沢下条張

登録日:2010/02/10 Wed 00:39:46
更新日:2025/02/07 Fri 23:18:00
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人を斬る悦びを忘れたっちゅーんなら、ワイが思い出させたるわ!

実演も踏まえてなァ!!


沢下条(さわげじょう)(ちょう)とは、漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場する人物。
CV:福本伸一/岡本信彦
演:三浦涼介

●目次

【概要】

志々雄真実の部下であり、精鋭部隊「十本刀」の一角。
通称『“刀狩”の張』と呼ばれ、剣心が初めて戦った十本刀である。
ホウキ頭のような髪型が特徴。関西弁と南蛮かぶれの言葉をよく使う。時折、片目を閉じたり顎に手を当てたりするのが癖らしい。
1852年6月生まれ。年齢は初登場時、数え年27歳(満25歳)。
「刀狩」の二つ名が示す通り、刀のコレクションが趣味で、背中に刀を二本、交差させて背負い、さらに両手にも一本ずつ携えるという重武装。
廃刀令以前でも危険人物扱いされそうないでたちである。

一見すると剽軽な好青年に見えるが、今は亡き刀匠、新井赤空の殺人奇剣を集めて、その刀で人を斬るのが趣味という、志々雄ほどとまではいかないがかなり危険な男。
更に短気な一面もあり、少しでも自分の意にそぐわない事があれば相手が一般人であろうと平気で脅しつける。
蝙也程ではないにしろ一見痩せ型の華奢な体躯をしているが、ハンデもあったとはいえ剣心の技を何度受けても立ち上がる規格外のタフさを見せている。

関西弁だったり負けた後のギャグ落ちのせいでネタキャラのように思えるが、子供相手に平気で危険な技を試したり「一度赤ん坊斬りをやってみたかった」などと宣うなど、登場初期は残虐な一面を見せていた。
その言葉から察するに戦う力の無い存在を斬り伏せたのかもしれない。
言動もよくよく考えたら自らのちっぽけなプライドを優先させる側面が多かったり、本性は狂った人斬りである事は間違いない。

それでいて案外常識人だったりする。詳しくは下記参照。
だが刀で人を斬るのが生きがいの男が人間の世界の常識を説く…いうのは、やはり異質な存在とも言える。
現在の言葉でいうと「サイコパス」というのが近いのかも知れない。


【戦歴】

大阪在住ゆえに一番早く京都のアジトに着いていた彼だが、
新井赤空の一振りがあると方治から聞いた途端、赤空の息子・青空のもとへ行き、
その青空の息子である伊織を人質にとり、刀が奉納してある白山神社へと向かう。
(令和版アニメでは、伊織を拐う前に一緒にケン玉を遊ぶも、上手に扱えなかったドジなシーンがあった。子供向けのおもちゃにムキになるヤツ…という見方もできるが)

しかし、その事を聞きつけた剣心が張より先に神社へ駆けつけ闘う。
剣心は、折れた逆刃刀で相手していたため、最初は張がリードするも途中で青空により「逆刃刀・真打」を手にした剣心の一撃で敗れる。


その後、警察署の留置場に幽閉され斎藤の尋問を受けるがちゃらけた態度でまともに答えようとしなかった。
そこに居合わせた左之助の挑発にブチ切れて喧嘩に負けると、すんなりと志々雄の京都大火計画を白状する。
(そして左之とは奇妙なケンカ友達になる。この時の斎藤の頭に浮かんだイメージは腹筋崩壊モノ)
志々雄の一件が解決した後に裏取引で警察庁の密偵として働くことになる。
(彼曰く、密偵は次までのつなぎで、もっと面白いもの見つけたらトンズラするとのこと)
まず葵屋に赴きちゃっかり昼食をご馳走になりながら剣心達にそのことと他の十本刀の処置が決まったことを伝える。
志々雄が死んだことで、生きる気力を失くしかけてた本条鎌足に気を配ったり志々雄と共に死んだ駒形由美の知られざる辛さを語ったりと、
色々と仲間想いな一面もある。

人誅編では斎藤の密偵として活躍し、外印の屍人形を制作していたことを突き止める。
明神弥彦達にはこの事を自慢するが、この時斎藤一の部下になったことがバレてしまい、「カッコ悪」と馬鹿にされてヘコんでいた。
その後は密偵に飽きて、金目のもの奪って文字通りトンズラする…。




が、よりにもよって斎藤とばったり遭遇してしまうのでトンズラ出来たかは謎。
斎藤からは特にそれについて咎められたりはしてないが、何だかんだでその後も密偵を続けているのかもしれない。

ちなみに、左之助からは「十本刀で一番下っ端だろ」とバカにされたが、実際では逆刃刀が折れているというハンデもあったとはいえかなり善戦しており、
トドメの時も人斬りに戻りかけていたなど、実力は充分上位なほうである。(少なくとも鎌足以上、不二以下と言った所か)
本人も精鋭討伐隊50人の皆殺しについても「時間制限が出来なかったら自分にも出来る」と豪語したり、小説では明確に「十本刀では中の上の実力」と語られている。
少なくとも左之助では(相性的に)勝ち目はかなり薄いと思われる…。

人質を取られていた事と、作劇上の都合で同行していた操や翁は「剣心に任せるしか無い」というスタンスで観戦状態であったが、後の描写的に翁は非常に強く、そして残酷である為、作中で「メッセンジャー」にされた拷問が張にされる可能性もあった。
ある意味では剣心に命を救われたと言うべきだろうか。
…と同時にもし人質に手を掛けていたら「人斬り」と「御庭番衆最凶」が黙っているわけがなく、どちらにせよ彼は赤ん坊を斬ると宣った時点で詰んでいた
そういう意味では斎藤にこき使われる今が一番の落とし所であると同時に、彼の「悪・即・斬」にも十分に値する悪人であるため、仮に逃げ出したとなればやはり斬り伏せられるだろう。
すでに明治の世は、…いやこのような腕利きに囲まれた「幕末」は、張のような中途半端な悪逆が生きていける場所ではないのだ。

北海道編では斎藤が集めた数合わせ猛者の一人として再登場を果たす。
性格は相変わらずだが、三島栄治が志々雄のことを「糞野郎」呼ばわりした際は珍しく深刻な表情で「謝っとけ」と忠告した。
この行動には「何で被害者の栄治が加害者側に謝らなきゃいけないんだよ」「諫めるなら鎌足の方だろ」など批判も少なくなかったものの、本人も言うようにその場に未だに殺意満々で鎌を突きつける鎌足がいたことを考えると、一触即発で殺し合いという事態を避けるために(まだ引っ込みをつけてくれそうな)栄治に形だけでも謝るように諭すのは妥当な判断ともいえる。

彼のテーマソングは「怒るぞ」。タイトルの割に怒ってるっぽい箇所は「だけど馬鹿にしたらあかん 刀狩りの張を」という一節だけ。


【武装】

  • 連刃刀(れんばとう)
赤空初期の殺人奇剣。一本の柄から平行した二本の刃が生えるという奇妙な刀。
狭い感覚で同じ切り傷を平行して二つつけることにより、傷口の縫合を不可能にし壊死させるという代物。刃に毒でも塗った方が早くない?
剣心に柄で受け止められ、さらに受け止めた刀を回転させるテコの原理でへし折られてしまった。
普段は二本の刀に偽装してあり、柄を半分取り外して左右対称に合体させることで完成する。

昔の不良の中に「カッターやカミソリの刃を二つ用意して間に1円玉を挟んでテープで巻いたもの」を持ち歩き
これで顔を斬るだけなら命に別状はないが当時の医療技術ではうまく縫合ができず消せない傷跡を残せるという嫌がらせ用の凶器を使う者がいたそうで、これが元ネタかもしれない。

  • 薄刃乃太刀(はくじんのたち)
赤空後期の殺人奇剣。非常に薄く長い刃を持ち、鞭のようにしなう変則的な刀。
切っ先をわずかに重くしており、手首の微妙な動きで自在に操ることができる。
通常の剣術からあまりにかけ離れた変則的な武器ゆえに、剣心も初見では見切ることができず、初撃で足を負傷してしまった。
剣心級の達人となると紙一重でかわす事が多いが、この武器はその紙一重分の精密操作が可能なので寧ろ直撃の危険が高まる達人殺し。
張は防具を兼ねて、胴体に巻き付けて隠し持っていた。

北海道編では新たに薄刃乃小太刀が登場。文字通り薄刃乃太刀の小型化したもので手首に巻いているリストラップから展開し、主に不意打ちによる奇襲や薄刃乃太刀では向いていない近距離の間合い向けに使われる。

  • 散刃刀(さんじんとう)
こちらも北海道編で登場した殺人奇剣。刀の部分に大量の小さな刃が収納されており、それらを全て一気に射出する刀。こんな使いにくそうな刀使うくらいなら連射力も殺傷力も高い回転式機関銃使った方が良くね?と言ってはいけない。
なお上記の薄刃乃小太刀も同様に、殺人奇剣とあるが新井赤空のどの時期に作られたかは不明であり、そもそも殺人奇剣という分類が同じだけで新井赤空が作った刀であるかも不明。

  • 逆中空納刀(さかさくうちゅうのうとう)
指で鞘を上空に放ち、真上に向けた刀を納める曲芸。
普通にやってもかなり難易度の高い技であるが、彼は伊織を鞘にぶら下げたまま成功させており、この時点でかなりの実力者であることがうかがえる。
当然純粋な見世物としてではなく青空夫婦を脅すために行った。
(ただし、新アニメ版ではけん玉は上手く扱えない模様。)

  • 我流「大蛇(おろち)
薄刃乃太刀を巧みに操り大蛇の如く更に複雑な連撃を見舞う技。剣心の刀の鞘を真っ二つにした。

  • 我流「蜷局(とぐろ)
令和版アニメで使用。
薄刃乃太刀を相手に巻きつけるように操って攻撃する。
また、空中に回避されても後述する我流毒牙につなげることが可能。

  • 我流「毒牙(どくが)
令和版アニメで使用。
薄刃乃太刀をランス状にし、相手を刺し貫く。


【実写映画版】

仮面ライダーOOO』のアンク役でお馴染み三浦涼介氏が演じた。(ちなみに三浦氏は2018年のミュージカル版では蒼紫を演じている。)
悪の怪人を演じた経験からか、原作と比べて全体的にチンピラじみたキャラになっている。
武器は連刃刀のみになっているが、鋏のように相手を挟み切るという能力が追加されており、さりげに原作よりもパワーアップしている。

『最終章 The Final』では洋装に身を包み、原作同様に警視庁の密偵として再登場。
斎藤の部下として活動するも、内心では未だ明治政府に叛意を抱いており、雪代縁に買収されて二重スパイとして、斎藤に偽の情報を流していた。
そして縁のアジトで刀を物色し、倭刀に興味を抱いていた所を彼に見つかり、縁の言葉にプライドを傷付けられ*1、倭刀の切れ味を試すと称して縁と一戦交えた…
と思われるが、何と戦闘シーン省略で一方的に惨敗。
挙句、口の中に剣心へのメッセージを詰め込まれた状態で袋に詰められ、神谷道場に打ち捨てられるというあんまりな末路を迎えてしまった。
生死自体は明確にされてないが、縁にして見れば最早用済みであるため、死亡している可能性が高い。
縁は「お前も抜刀斎を恨んでいるのか」と聞いていた事から、あそこで喧嘩を吹っかけていなければ、同志の一人として迎えていたかもしれない。
彼の頬には剣心への当て付けのように十字傷が刻まれていた。

前述の通り原作においてはギャグ落ちしながらも生き延びたわけだが、実際のところその時点で悪辣な存在なのは変わりなく、そういう意味では実写版の彼は「悪辣で明治には不要の存在」である沢下条張を正面から表現したのかもしれない。
だが、演じた三浦氏が子ども好きだった為、赤ん坊役の子をあやしたり、原作と違いしっかりと抱えたりと役としても子ども好きとなってしまった。




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最終更新:2025年02月07日 23:18

*1 「下手に扱うと怪我するぞ。日本刀とは重心が違う」と刀の素人扱いされたのが頭に来たらしい。縁自身は1本ぐらいくれてやるつもりだったのかもしれないし、本当の親切心で言ったものと思われるが…