パーシアス(遊戯王OCG)

登録日:2009/10/07 Wed 23:39:49
更新日:2025/09/13 Sat 10:29:13
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「パーシアス」とは、遊戯王OCGのカード群。
元祖となる《天空騎士(エンジェルナイト)パーシアス》の初出は第2期第8弾「Mythological Age - 蘇りし魂 -」だが、カテゴリ化されたのは第10期である。

元祖が登場当時の環境で一定の活躍を見せたこともあってか、カテゴリ化に至るまでにも、何度か派生カードが登場している。
大まかな特徴としては、元祖の効果をベースとした、貫通やドロー、サーチ効果を持つものが多い。

また、リメイクの過程で《天空の聖域》と深い関わりを持つようになったのも特徴。
あちらが登場したのは元祖の登場から約2年後なのだが、「天空騎士」という名前や、種族天使族であったこと、初の派生カードが登場したのが《天空の聖域》を軸としたストラクチャーデッキだった縁ゆえだろう。

名前のパーシアスは、ギリシャ神話に登場する半神の英雄「Perseus(ペルセウス)」の英語読みである。
しかしながら、英語名では「Parshath」という全く異なるスペルとなっている。


モンスター一覧

モンスターは全て天使族で、大半が光属性、1体のみ闇属性となっている。

  • 天空騎士(エンジェルナイト)パーシアス》
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1900/守1400
(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。
自分はデッキから1枚ドローする。

「Mythological Age - 蘇りし魂 -」で登場した、元祖「パーシアス」。
ヒトの上半身と白いの下半身を持つ、ペルセウスと同じくギリシャ神話に登場するケンタウロスのような姿の騎士。

ステータスだけ見ると、A召喚が必要なレベル5でありながら、攻撃力は1900と高くはない。
しかしながら、貫通効果、戦闘ダメージを与えた際のドロー効果を合わせ持ち、安定した性能を誇る。
先述の難点も、自身を名指しでサポートしてくれる《コーリング・ノヴァ》や、光属性を戦闘に強くする《オネスト》でカバーできる。

当時は上級効果モンスターの層が薄く、その中でもメリット効果を2つも持っているというのは特に優秀であった。
これらの特徴は、後述の派生モンスターたちにも受け継がれている。

アニメ版では、闇遊戯と対戦したデュエルコンピューターが使用。
ルビは無視され、漢字表記のまま天空騎士(てんくうきし)と呼ばれた。
ちなみに、この時のデュエルコンピューターは暴走させられていたのだが、その首謀者のジークフリードは、パーシアスと同じ天使族デッキである【ワルキューレ】の使い手である。


  • 天空勇士(エンジェルブレイブ)ネオパーシアス》
効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2300/守2000
(1):このカードは自分フィールドの「天空騎士パーシアス」1体をリリースして手札から特殊召喚できる。
(2):フィールドに「天空の聖域」が存在し、自分のLPが相手より多い場合、このカードの攻撃力・守備力はその差の数値分アップする。
(3):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(4):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。
自分はデッキから1枚ドローする。

2006年発売の「ストラクチャーデッキ - 閃光の波動 -」で登場した、初の派生モンスターにして、《天空の聖域》に関連した効果を持つ最初のパーシアス。
聖域の力を得たその姿は、光神機を連想させる結晶天使のようになった。

レベルは7に上がったものの、元祖パーシアスをリリースして手札から特殊召喚できる。
貫通と戦闘時のドロー効果はそのままに、条件付きでステータスを高める効果を得ており、アタッカーとしての性能は大きく向上している。
強化は「フィールドに「天空の聖域」が存在する」「自分のLPが相手より多い」という2つの条件があるが、満たしさえすれば、貫通効果のおかげでどんどんステータスを伸ばせる。
とはいえ素のステータスはやはり低めで、強化が見込めるとはいえ、巻き返しには向かない。

なお、元祖は《天空の聖域》関連のシナジーがなく事故札になり得るため、併用するよりも(1)を無視して他の手段で特殊召喚を狙った方が楽。


  • 《ダーク・パーシアス》
効果モンスター
星5/闇属性/天使族/攻1900/守1400
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、自分の墓地に存在する闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在する 闇属性モンスターの数×100ポイントアップする。

2008年に「EXTRA PACK」で来日した海外先行カードである、闇に堕ちた天空騎士。パーシアス唯一の闇属性モンスター。
リメイクモンスターのうち、「ダークモンスター」と呼ばれるものの1体。属性以外のステータスは元祖と一致する。

自分の墓地の闇属性モンスターの数に比例して攻撃力が上がる効果を得たことで、ステータスの低さという弱点を自力でカバーできるように。
その代わりに貫通効果を失い、ドロー効果は条件が相手の戦闘破壊に変更。更に墓地の闇属性モンスターを除外するコストが要求されるようになった。

低倍率の自己強化の代わりに失ったものが大きく、戦闘破壊耐性持ちの相手との戦闘や直接攻撃ではドローができない。
攻撃力を得るにも、素のステータスの低さから多めにカードが要求され、発動できたらできたで、コストで墓地の闇属性を減らすため弱体化する。
除外と何かしらのコンボができればよいのだが、「自身を特殊召喚できない上級モンスターで、素のステータスが低いのに相手モンスターの戦闘破壊が必要となるこのカードを使うのが本当に最善か」という課題がつきまとう。
再録の機会にも更なるリメイクにも恵まれず、パーシアスの中で最も不遇なモンスターと言える。


  • 神聖騎士(ホーリーナイト)パーシアス》
シンクロ・効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2600/守2100
チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上
(1):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手の表側表示モンスターの表示形式を変更する。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

Sモンスターとなったパーシアス。《ダーク・パーシアス》と同じく海外先行カードで、2009年の「EXTRA PACK Volume 2」で登場した。
上半身はネオパーシアスに近いが、結晶体とはいえ馬の下半身が戻っており、シルエットは元祖に近い。
レベルが8になっていることから、ネオパーシアスよりも更に上位の存在となった姿なのだろう。

特徴の1つであったドロー効果を失ったものの、新たに相手モンスターの表示形式を変える効果を獲得。
これにより攻守のどちらかが2600以下なら戦闘破壊できるようになり、アタッカーとしての性能に磨きがかかった。
貫通効果と合わせ、数値が低い方の形式にしてダメージを増やす他、戦闘破壊耐性持ちを攻撃表示のサンドバッグにしたり、攻撃力だけを上げるコンバットトリックを事実上無力化したりできる。

非チューナーに光属性を要求するため、汎用性にやや欠けるのが難点。


  • 天空聖騎士(エンジェルパラディン)アークパーシアス》
効果モンスター
星9/光属性/天使族/攻2800/守2300
(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分がカウンター罠カードを発動した場合、
または自分がモンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にした場合、
自分の手札・フィールド・墓地からこのカード以外の天使族モンスター2体を除外して発動できる。
このカードを特殊召喚する。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(3):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。
デッキから「パーシアス」カードまたはカウンター罠カード1枚を手札に加える。

元祖の登場から16年が経過した2017年「ストラクチャーデッキR - 神光の波動 -」で登場した、パーシアスの更なる姿。
外見はまたネオパーシアスに近くなったが、下半身が目を閉じた頭部の形状になっている。
同デッキはパーミッション要素をメインとしており、こちらもその軸となるカウンター罠に関する効果を備えている。

(1)で自己特殊召喚ができるが、墓地からも出せる柔軟性がある代わりに、コストとして天使族2体の除外が必要となる。
効果を使い終わった、あるいは発動条件となる「発動を無効にした」を満たすために使った宣告者あたりをコストにすれば無駄が少ない。
この方法以外の特殊召喚もできるので、《神の居城-ヴァルハラ》などを使ってもよい。

過去のパーシアスと比較すると、戦闘に関わる効果は貫通のみ。
ステータスは更に上がったとはいえ、大台の3000には一歩届かず、自己強化や表示形式の変更もなく、突破力にはやや不安を残す。
しかし戦闘ダメージを与えることでカウンター罠をサーチできるため、突破力はなくとも、強力な妨害で相手の後続を潰すことには貢献できる。


  • 天空神騎士(セレスティアルナイト)ロードパーシアス》
リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
◀   ▶
◣ ▼ ◢
リンク3/光属性/天使族/攻2400
【リンクマーカー:左下/下/右下】
天使族モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札を1枚捨てて発動できる。
「天空の聖域」またはそのカード名が記されたカード1枚をデッキから手札に加える。
フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、手札に加えるカードを天使族モンスター1体にできる。
(2):自分フィールドの表側表示の天使族モンスターが墓地へ送られた場合、
自分の墓地から天使族モンスター1体を除外して発動できる。
除外したモンスターよりレベルが高い天使族モンスター1体を手札から特殊召喚する。

「LINK VRAINS PACK 2」で登場した、Lモンスターとして新生したパーシアス。
下半身がまたまた馬のそれに戻ったが、脚の数が8本に増えており、北欧神話のオーディンの愛馬・スレイプニルを思わせる。

効果は手札コスト1枚を要する、《天空の聖域》関連カードのサーチ。
《天空の聖域》が既に存在する場合、代わりに任意の天使族モンスターをサーチできる。

そうして手札に加えたモンスターは(2)の効果で手札から展開できる。
この効果は天使族モンスターを素材にL召喚を行うだけでも発動できるので、展開に組み込むのはかなり簡単。
「墓地から除外したモンスターよりレベルが高い天使族」という条件がついているため、除外するモンスターはできる限りレベルが低いものにしたい。

リンク3ゆえ少々重く見えるが、《創造の代行者 ヴィーナス》の効果を2回使うだけで簡単に出せる。
L召喚の前に3体目の《神聖なる球体》を出しておけば、(1)の発動後に(2)を使う準備をついでに整えられる。

サーチ先として有力なのは、緩い条件での自己特殊召喚と墓地肥やし効果、レベル変動が可能なチューナーである《死の代行者 ウラヌス》。
どちらの効果も一切の制約がかからないため、リンクマーカーの向きを活かしてコードブレイカーでリンク値を爆発的に稼ぐことも可能。


魔法・罠カード

どちらも「ストラクチャーデッキR - 神光の波動 -」で登場している。

  • 《パーシアスの神域》
永続魔法
(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「天空の聖域」として扱う。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
フィールドの天使族モンスターの攻撃力・守備力は300アップし、
フィールドにセットされた魔法・罠カードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(3):1ターンに1度、自分の墓地の天使族モンスター及びカウンター罠カードの中から、
合計3枚を対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。
そのカードを好きな順番でデッキの上に戻す。

場と墓地で《天空の聖域》扱いになる永続魔法。神域の奥に鎮座するアークパーシアスの姿が描かれている。
天使族の全体強化により、ステータスに少し不安が残る《天空聖騎士アークパーシアス》や、カウンター罠の発動をトリガーに効果を発動する下級天使族たちの場持ちを改善できる。
また、伏せた魔法・罠に除去耐性を付与することで、カウンターの打ちどころが来るよりも先に除去される危険性を減らせる。

墓地の天使族モンスターかカウンター罠3種をデッキトップに戻すこともでき、他のカードでのサーチ先の枯渇を防げるのも嬉しい。
ドロー効果を持つ《豊穣のアルテミス》や《光神テテュス》と組み合わせることで、事実上のサルベージも可能。

(2)の強化と耐性付与は相手にも適用されるが、《天獄の王》の(1)と同様、アーティファクトなどへの嫌がらせにもなる。


  • 《輪廻のパーシアス》
カウンター罠
(1):モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、
手札のカウンター罠カード1枚を相手に見せ、手札を1枚捨て、1000LPを払って発動できる。
その発動を無効にし、そのカードを持ち主のデッキに戻す。
その後、デッキ・EXデッキから「パーシアス」モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

「パーシアス」に属するカウンター罠。
幅広く無効化できる反面、コストが「手札のカウンター罠1枚の公開」「1枚の手札コスト」「1000のライフコスト」と他に類を見ないレベルで重い。
《解放のアリアドネ》のP効果で手札コストとライフコストは踏み倒せるが、「手札のカウンター罠1枚の公開」はあちらのP効果では踏み倒せないため、避けては通れない。

コストの厳しさの分、得られる効果は単なる無効化に留まらない。
無効にしたカードは破壊せずデッキへとバウンスするため、墓地リソースを与えず、再利用もさせにくい。
おまけにデッキまたはEXデッキの好きな「パーシアス」1体をフィールドに出せる素敵仕様。元祖およびダーク以外にはそれぞれの強みがあるので、構築や状況によってどれを出すか決めたい。

なお、2025年9月現在「パーシアス」を指定する効果を持つのはこのカードと《天空聖騎士アークパーシアス》の2枚のみ。
あちらのサーチ対象は「「パーシアス」カードまたはカウンター罠カード」であるため、実際のデュエルにおいて、このカードが「パーシアス」の名を持つ意味は今のところ皆無。

背景の特徴的な像から、イラストに描かれているのは永続魔法《天空の泉》とわかる。
本来のイラストと異なり、泉の底からは眩い光が放たれ、立ち上る水が《天空騎士パーシアス》を象っている。

その他関連カード


  • 《コーリング・ノヴァ》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1400/守 800
(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから攻撃力1500以下の天使族・光属性モンスター1体を特殊召喚する。
フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、代わりに「天空騎士パーシアス」1体を特殊召喚できる。

光属性・天使族専用のリクルーター。
同じく光属性のリクルーターである《シャインエンジェル》と比較すると、出せるのが天使族に限定された代わりに、守備表示でも出せるようになっている。
種族統一デッキなら《シャインエンジェル》よりも使えるが、その真価は《天空の聖域》があれば上級モンスターの元祖パーシアスを直接リクルートできることにある。


  • 地獄将軍(ヘルジェネラル)・メフィスト》
効果モンスター
星5/闇属性/悪魔族/攻1800/守1700
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
相手に戦闘ダメージを与えた時、相手の手札からカードを1枚ランダムに捨てる。

第3期第5弾「闇魔界の脅威」で登場した上級モンスター。
光→闇、天使→悪魔、ドロー→ハンデスと、様々な要素が元祖パーシアスと対になる存在。
だが攻撃力の差やハンデスよりドローの方が安定してメリットをもたらすことから、パーシアスの引き立て役感が強い。
使うなら展開を補助する悪魔族サポートが重要であり、当然ながらパーシアスと併用するのには向いていない。


――追記、修正などあればお願いします。

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最終更新:2025年09月13日 10:29