ヘラクレスオオカブト

登録日:2013/04/05 Fri 00:26:07
更新日:2025/02/13 Thu 21:41:39
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ヘラクレスオオカブトとは、昆虫綱コウチュウ目コガネムシ科に分類されるカブトムシの一種。
英名はまんまHercules beetle。
学名はDynastes Hercules。

名前はギリシャ神話に登場する英雄「ヘラクレス」に由来。

概要

中央アメリカから南アメリカに広く分布している。
頭の角より胸角の方が長く、前翅が明るい褐色なのが特徴(水分を含むと黒くなる)。
また、ごく稀に淡い青色をした羽をもつ個体もいる。

しかし、最大の特徴はその大きさである。
オスで平均して15cmくらいに達し、17cmに迫るものもいる世界最大のカブトムシとしてとても有名。
日本のカブトムシの2倍以上あることになる。
大きいだけに力も桁違いで、自分で顎を使って木を削り、樹液を出させることも出来るのだそうな。

ここで少しだけ、亜種について簡単に紹介する。

  • ヘラクレス・ヘラクレス
グアドループ島とドミニカ島に生息する基亜種。愛好家におなじみヘラヘラ。
胸角が太く直線的に伸びるので人気がある。
一般にヘラクレスオオカブトというとこの種を指すことが多い。

  • ヘラクレス・リッキー
南アメリカ北東部に広く分布。
最も大型になりやすい。
頭角の先端の突起がへら状になっているのが大きな特徴。

  • ヘラクレス・エクアトリアヌス
アンデス山脈東部からアマゾン川上流〜中流域にかけて分布。
他の亜種より前翅が黄色味がかっている。

  • ヘラクレス・オキシデンタリス
南アメリカ北西部に分布。
頭部の角はやや直線的で先端は強く湾曲しているのが特徴。
基本的には大人しいとされるヘラクレスの中でも好戦的な性格で『虫王』の影響からか、世界最強のカブトムシというイメージが強い。

  • ヘラクレス・レイディ
カリブ海セントルシア島とマルティニーク等に分布。
大きくても10cmをわずかに超える程度の小型亜種。
頭角の形によりバウドリー型とレイディ型に分けられている。

この他にトリニダーデンシスやモリシマイなど、多数の亜種がある。


言うまでもないが、子どもから大人まで幅広い層から絶大な人気を誇る。
ムシキングでトップクラスの強いカードになっていたり、昆虫館では見る者すべてを釘づけにする。
これを飼育する愛好家も数多い。

とても飼育が容易で、成虫の寿命がカブトムシとしては破格の1年前後、幼虫の期間が1年半くらいとオオカブトの中では比較的短い、
大きな成虫に育てやすいと良いことづくめである。
ただし、原産地では野生の個体を無許可で捕まえたり国外へ持ち出そうとすると逮捕されるので、海外旅行などでこれらの土地を訪れる際は注意すること。
そっと見守ってあげる事もまたブリーダーとしての優しさである。

強そうな見た目通り、喧嘩も非常に強く樹上での戦いではカブトクワガタの中で最も最強に近い種である。
その強さを支えるのは意外な事にパワーではなく、見た目通り長いリーチとその巨体からは想像がつかない動きの速さ。
他のオオカブトのコーカサスやゾウカブトと戦うと大抵スピードとリーチの差で簡単に横に回り込み投げ飛ばしてしまう。
無論パワーも凄まじく、まともに挟まれたら日本のカブトムシでは潰れてしまう事すらある。
世界最大最強のイメージとは裏腹に基本的にはおとなしい性格であるが、怒り狂うと恐ろしいほどの闘争心を発揮するので注意が必要。
しかし、巨体とは裏腹に脚が短く、懐に潜り込まれる事を苦手としており、
自分より半分以下のサイズの日本のカブトムシに敗北する場合もある。

世界には、アジア最大のコーカサスオオカブトや最重量級のアクティオンゾウカブト、そして世界で2番目に大きいネプチューンオオカブトなど、
魅力的なカブトムシは他にもいる。
しかし、かっこいい、大きい、飼育しやすいと3拍子そろったヘラクレスオオカブトは、まさにカブトムシの”王”と言っても過言ではなく、
今後も彼を超えるスターが現れることは多分ないであろう。


性格

前述の通り、ヘラクレスオオカブトは基本的には温和な性格であり、無駄な戦いを好まないとされる。
しかしそれでも日本のカブトムシに比べたら十分荒っぽく、本気で怒らせた場合の執念は凄まじい。執拗に攻撃してくることもあるので要注意。
先述の通り並のカブトムシやクワガタムシでは殺害されてしまう危険性もあるし、稀に交尾の際に同種のメスを殺害してしまうこともある。


同属の甲虫

ヘラクレスオオカブトは同属(ディナステス属)の甲虫が多いことでも知られている。
ここでは有名なものを紹介する。

ヘラクレスオオカブトに次いで世界で2番目に体長が大きいカブトムシ
ヘラクレスに比べて頭角が長いのが特徴。しかし脚が短いので力はそれほど強くなく、戦闘能力はヘラクレスほど高くはないとされる。

  • サタンオオカブト
ネプチューンに近い仲間のカブトムシ。ネプチューンに比べて角が短い。

主に北米大陸に生息する、全身が白色〜クリーム色になるカブトムシ
グラントシロカブト、ティティウスシロカブト、ヒルスシロカブトなどが知られている。


余談

テレビ番組『トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』企画の「PRYDE カブト祭り2005」では、己が最大の体格を生かしつつ、最大の角を持つネプチューン、最大の重量を持つアクティオンといった強豪を打ち負かして決勝進出。

日本産のカブトムシと激しく渡り合った末、見事に優勝を果たした
さらにはスペシャルマッチにて、トーナメントで唯一戦わなかったコーカサスとも決戦。
パワーと技量と勢いをフルに駆使した激闘の末にコーカサスをも打ち負かし、名実ともに世界最強の栄冠を獲得した


ムシキングでの活躍

ヘルクレスオオカブト(シリーズ通してヘルクレス表記が使われている)

強さ200 バランスタイプ。
「伝説の巨大甲虫」という肩書きを引っ提げて初代から登場。
鯨のような響く鳴き声を覚えているのは何人いるだろうか?
攻守のバランスが良いバランスタイプで大会でも愛用されていたムシの一匹でもある。
羽の色が黒い「ブラックバージョン」も存在している。

「1億枚突破記念」を最後に一旦排出を終了するが、「2006DS~ダイナミックスタンド~」で新技「ヘルクレススパイラル」を携え、復活。この時に艶がかった原名亜種らしいグラフィック*1に一新された。
「2007夏シャイニング 究極対決!ドルクスVSディナステス」では、ディナステス属の総大将を務めたほか、シークレットレアとして【性格なし(2003秋第1弾までとバーコードが同じ)】のカードが復刻して、2003秋第2弾から2007ファーストまでの中では唯一性格なしのカード。

バランスタイプのムシだが、アクティオンゾウカブトとともに一度だけディフェンスタイプとして登場したことがある。
実際には強さ200のディフェンスタイプはカード化はされておらず、敵専用の能力だった。

超必殺技

  • ローリングドライバー
1億枚突破記念までの超必殺わざ。
相手を天高く投げ飛ばした後、上空で抱え込んでそのまま地面にねじ込む。

  • ヘルクレススパイラル
2006DSからの超必殺わざ。
相手を正面から挟み込み、高く掲げた後に一旦投げ上げ、落ちてきたところを掴み、ひねりながら後方へ投げ捨てる。

アダー完結編

  • 第五弾EXノーマル
ダゲキ48 ハサミ54 ナゲ100 体力204 防御39

  • 第五弾ハイパーレア
ダゲキ39 ハサミ60 ナ124 体力217 防御48

アダー完結編最後である第五弾で堂々と姿を現し、高い能力と体力を持ち最後の最後まで伝説の誇りを見せる。

新甲虫王者ムシキング

2015 1stより登場。レアリティはSSR。
性格はアタックタイプに変更された。
激闘5弾では新必殺技を引っさげて登場。
必殺技はヘルクレスバスター。
続く激闘6弾では赤い目をしたブラック甲虫の長として登場。
非常に厳しい条件ながらも入手可能。こちらの必殺わざは従来通りヘルクレススパイラル。

超神化編においては、なんと歴代SSR甲虫の中で唯一収録されないという憂き目に遭ってしまった。

ヘルクレスリッキーブルー

強さ200 アタックタイプ。
「青き伝説甲虫」という肩書きで登場。
一旦排出を終了したヘルクレスオオカブトに代わって登場する。
他のメディアでは原名亜種より出番が多かったり、ラスボスとして登場する事が多い。もっとも、原名亜種は実在するカブトムシ・クワガタムシと扱っている割にはあまり優遇されていないのだが…

「2006ファースト」でヘルクレスオオカブトの中で唯一のアダーコレクション入りし、「2006夏ネイチャー」で一旦排出を終了するが、「2007夏シャイニング」で復活。

青白い羽を持つことで当時話題になっていたが、「リッキー」は亜種名であり、「リッキー」でなくても、青白い翅を持つ個体は全亜種で存在する。なお原名亜種の方が青白い翅の個体が出やすく、百獣大戦アニマルカイザーではこちらが「ブルーヘラクレス」として登場する。

超必殺わざ

  • アースクエイクスロー
自らの角を地面に叩きつけて地震を起こし、吹き飛んだ相手を掴んで投げる。

アダー完結編

  • 第三弾EXノーマル
ダゲキ52 ハサミ58 ナゲ108 体力188 防御20

  • 第三段ハイパーレア
ダゲキ50 ハサミ60 ナゲ136 体力192 防御20

第三弾のみ登場する。高い攻撃力は引き継がれておりヘラクレスの中で最も高い。
その強さと共に青き伝説を見せるも新たな最強の伝説甲虫が現れるのであった。
詳しくは後記

新甲虫王者ムシキング

激闘1弾より登場。レアリティはSSR。
また超神化4弾では敵限定でマジンフォームが登場した。
必殺技はシュウエンノトキ。


ヘルクレスオキシデンタリス

強さ160 バランスタイプ。(ムシキングと属と超必殺わざ以外同じ*2ネプチューンオオカブトと超必殺わざとバーコードの色以外同じ。)
「伝説甲虫外伝」という肩書きで2007夏シャイニング*3で初登場。
ヘルクレスの中で唯一の強さ160。
原名亜種ヘルクレスオオカブト同様、羽の色が黒い「ブラックバージョン」も登場した。

超必殺わざ

  • T4
むかってきた相手をはじき上げてからつかまえ、頭の上でトスするように軽く連続で打ち上げながら勢いをつけとどめの4回目に空高く打ち上げる。

◆アダー完結編

  • 第一弾EXノーマル
ダゲキ37 ハサミ48 ナゲ104 体力180 防御48

  • 第一弾ハイパーレア
ダゲキ48 ハサミ50 ナゲ106 体力174 防御56

第一弾のみだがそのシャープなボディとヘラクレスとは違った魅力を持つ。
他のと比べると投げ技以外尖った能力を持っていないがバランスが良く使いやすい。
ハイパーレアでは若干強化したが肝心の投げ技はたった2しか増えていない…。

新甲虫王者ムシキング

2015 2ndから登場するが、コロコロコミックの付録のプロモーションカードとして先行登場。1st、2ndそれぞれで特別なトーナメントが遊べるようになる。
2ndにて、この付録カードを使うと解放される「シークレットカップ」で優勝すると覚醒することができる。必殺わざも「T4」から「ヘルクレスT5」になり、事実上の究極必殺わざが導入された。

超神化1弾においてはゴッドフォームを得たことでSSRを超えた新階級SGRへと強化された。
必殺わざはサンフレアトリガー。超神化4弾ではマジンフォームも登場。

なお本作を触れていた人にとっては有名な話だが、本作の覚醒オキシデンタリスはパー属性のムシには最適解とされるパー+パー+チョキのお助け相性により全ムシ中最強との呼び声が高く、無制限大会では非常に高い使用率を誇っていた。
特に2016セカンドで「コノハムシ」が登場してからは「テイオウゼミ」+「ゴライアスオオツノハナムグリ」+「コノハムシ」のカスタマイズが鉄則となり、これを「テンプレオキシ」と称するユーザーもいた。

同じく最強の一角であったアクティオンゾウカブトの場合は相性の良い「ギンヤンマ」を組み込むとステータスバランスが歪になる上、テクニックの低さから必殺わざが弱いといった弱点があるのに対して、オキシデンタリスの場合は上記のテンプレ構成でも膨大な体力と強力な必殺わざ打点を確保可能かつ、残りのグーとチョキの手も非常に優秀と非の打ち所が無く、激闘6弾までは暴れ続けていた。

超神化1弾では前述通りゴッドフォームが解禁され更なる強化…かと思いきや、お助け相性が激闘4弾のSR時と同じパー+パー+グーとなっており、「テイオウゼミ」を組めないために評価は低く「SSRの覚醒オキシの方がマシ」などと評される羽目に。
超神化4弾では待望のパー+パー+チョキの相性を持ったマジンフォームが解禁されて環境復帰…と思いきやこの時期になると多彩なゴッドフォームのムシや、オシキデンタリスには無いグー属性の「オオシモフリスズメ」の登場によって環境がめっきりと変わってしまい、低すぎる体力も相まってもはや時代に取り残されてしまった節すらあった。

対するアクティオンゾウカブトはテンプレに捉われにくい多彩なカスタマイズ性のおかげで、無制限環境だけでなくコスト制限環境でも猛威を奮いマジンフォームの性能も優秀と最後の最後まで最強格のムシとして存在感を発揮していただけに、皮肉な顛末と言える。

ヘルクレスエクアトリアヌス

「美しき伝説甲虫」という肩書きを引っ提げ、シリーズ最終章である「アダー完結編」に参戦。
体力は甲虫の中で二番目に高く、旧カードで見れば強さ200のスーパーディフィンスタイプだろう。
攻略本ではムシキングのライバルと書かれているが実力は桁違い。
むしろムシキングが不憫に見える…だが!?

超必殺わざ

  • ジャベリン
相手が頭を突き出して攻撃してきたところを、後ろへ身をかわしてから上へとはじき上げ、逆さまに落ちてきたところをはさみこむ。
その後、陸上競技のヤリ投げのように助走し、前方へと放り投げる。

  • 第一段ハイパーレア
ダゲキ37 ハサミ56 ナゲ106 体力248 防御76

第一弾にしか登場しないが、その高い能力と迫力に印象が残ったプレイヤーは少なくはないハズ。
なおムシキングは終了し新たな時代に変わったので持っている人達は大切に保管しておこう。


またラスボスとして敵限定で「ヘルクレスエクアトリアヌスブルー」が登場。肩書き・必殺わざは通常のものと同じ。
このラスボス、体力が500、一度倒すとパワーアップして999(後に強化されて1500)という究極完全体コーカサスを遥かに上回る真の化け物。だがパワーを制御できずアダーが命令をしてこちらに教えてくれるので落ち着いて戦えばそこまで苦戦はしない。(例「エクアトリアヌスブルー、ダゲキを出せ!!」)ただし敵の行動によっては騙してくるので注意。
また一度倒してから復活した際にはダメージが引き継がれるため、1戦目で苦戦すると2戦目で瞬殺されることになり、軽くみんなのトラウマであった。(カスタマイズと運次第では開幕ファイナル必殺一発で倒せることもある。)
ラスボスをようやく倒したプレイヤーはエンディングへ…!!  

ヘルクレスレイディ

「ポケットの中の伝説」という肩書きを持った小柄なヘルクレス。
新甲虫王者ムシキングの超神化3弾より参戦。必殺わざは「ライジングドライバー」
小柄ではあるものの、オキシデンタリスと同様レアリティばSRと中々のもの。(もっとも、マヤシロカブトというより小さなディナステス属のカブトも後にSRとして登場するのだが。)

元々は雑誌付録として登場したムシであり、正式な収録をされるにあたって1年以上もの時を有した経緯がある。


ヘラクレスオオカブトをモチーフとしたキャラクター



追記・修正はヘラクレスオオカブトを飼育している方にお願いします。

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最終更新:2025年02月13日 21:41

*1 超必殺わざ変更前はリッキーに近かった。

*2 それ故究極必殺技の有無で劣化版になっている。

*3 2007ファーストで初登場の予定だったが、カードのリリースが後回しになってしまった。

*4 名前のみ。変身形態はオオクワガタオージャー