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モジャ公

登録日:2016/10/18 Tue 07:53:36
更新日:2026/05/26 Tue 09:53:34
所要時間:約 3 分で読めるモジャ




いざ、さっそうと、宇宙へ『家出』!!

『モジャ公』は、藤子・F・不二雄漫画及び本編に登場する宇宙人の名称。


概要

1969年まで連載され、藤子氏も「面白がって書いた」と語りながらも打ち切られてしまった『21エモン』の続きとしての面を持つ作品で、『週刊ぼくらマガジン』に、1969年(創刊号)から1970年まで連載された。
藤子Fもわざわざ「二番煎じ」と断りを入れており、「少年・宇宙生物・ロボットが宇宙を冒険する」という設定を継承している。

藤子F作品としては珍しく、一つのエピソードを連載しているのが特徴。
また、掲載誌が小学生向けであるにもかかわらず、異色短編のような極めてシュールかつブラックなストーリーが展開される。

尤も、この時『ぼくらマガジン』に掲載されていた他の作品は、まだ怪奇色全開だった『仮面ライダー』、「少年二人が合体してオッサンになる」という『バロム・1』、『ハレンチ学園』と『バイオレンスジャック』を足したような『ガクエン退屈男』など濃い作品ばかりだったため、ある意味絵柄も手伝ってまだ読みやすかったのかもしれない。
この『ぼくらマガジン』は「小学生向けと言う触れ込みだが、トラウマになりそうな漫画ばかりでとても小学生向けではなかった」と言われるほど。ちなみに、藤子Fに来た依頼も「低学年向けのギャグ漫画」であった。

しかし、藤子Fが「毎週次の回が待ち遠しくてワクワクしながら書いた」と言うほど力を入れながら、またしても短命に終わってしまった。

とはいえ、いわゆる少年向け漫画とは一風違った展開やギャグ、SFとしての完成度等から現在でも支持されている作品である。
単行本では藤子Fの意向により、第2話の未収録やエピソード中の扉絵のカットなどが施されたが、藤子・F・不二雄大全集では連載時のカラーページや同時連載されていた『たのしい幼稚園』版も含めて完全復刻されている。

連載終了から25年後の1995年10月には小学館プロダクション・OLM制作によるテレビアニメがテレビ東京系にて1年半、全74話が放送。
製作協力にはXEBECスタジオディーンなどが加わっており、第1話・2話の脚本には藤子Fがえんどうてつやと協筆している。さらに、藤子Fはアニメのスタートにあたり番宣を兼ねてあの『開運!なんでも鑑定団』にゲスト依頼人として出演。依頼品は自身が高校時代に描いた同人誌『小太陽』2冊。結果、鑑定額は1200万円だった。

宇宙に家出して惑星を旅する、という設定が過激すぎたからか基本は地球の空夫の町に滞在し偶に宇宙冒険に行く、という筋書きに変更され原作に登場しないモジャ公の妹・モジャリ、弟・モジャル、そして『21エモン』からゴンスケがレギュラーとして登場するなど、内容も大幅にアレンジされている。

この放送期間中の1996年9月23日に藤子Fは逝去。彼の死後に新たにTVアニメとして企画された作品は無いため、この作品が新規でTVアニメ化された最後の藤子・F・不二雄作品になる。本作は先生が亡くなった翌日にも予定通り放送されたが、オープニングとエンディングの曲中に「モジャ公の作者 藤子・F・不二雄さんは23日お亡くなりになりました。つつしんでごめいふくをおいのりします。」(原文ママ)というテロップが表示された。当時のエンディングテーマは友達と別れる帰り道の情景や感情を描いたバラードソングの『じゃあね』(歌:小林清美)だったがその曲調や歌詞、映像も相まって涙を誘う形となった。

現在では作品名としての他に、頭髪や髭がなんかモジャモジャしてるキャラを指して表現する言葉で「モジャ公」と使われることがある。
勿論、本作とは一切関係ない。

登場人物

  • 天野空夫
声:折笠愛
地球人。学校の成績は悪く、喧嘩も弱い普通の少年というのは他の藤子F作品の主人公と共通するが、性格面がかなり独特で、危険で物騒なことに自ら突っ込むスリルシーカーとなっている。弱いくせに喧嘩を吹っ掛けてボコボコにされて満足するでたらめさや、0点のテストを「過ぎたことは忘れよう」と捨てるずぼらな態度を見込まれて宇宙への家出の仲間に誘われた。
三人の中では常識があり、シャングリラで行方不明になったモジャ公を助けに行く役を買ってでる等、友情に厚く行動力がある。
アニメではSFクラブに所属しており、性格は穏やかな形に改変された。

  • モジャ公
声:田中真弓
毛玉のような丸っこい形の宇宙生物で、モジャラン星系の第二惑星出身。故郷に母親がおり、年齢は不明だが少なくとも学校は卒業している。
手が短い代わりに舌を伸ばして手のように使う事ができ、口の中にはドラえもんポケットのように色々な物をしまっておける。
非常に惚れやすい性格で、女性に会う度に一目惚れしては回りが見えなくなる悪い癖を持つ。
また、時々予知能力が働く事があり、これで見た「未来の場面」は必ず実現し、逃れる事はできない。ただし、その場面に至るまでの過程やその後の状況がどうなるかは分からない(自分達が自殺する場面が見えたが、本人ではなくそっくりなロボットだった、等)。

  • ドンモ
声:中村大樹
ロボットだが、表情豊かで怖がりな性格をしており非常に人間臭い。自分を組み立てた作業用ロボットを「オッカサン」と呼んで慕い、写真を持ち歩いている。
恐竜狩りゲームセンターで恐竜に食われたショックで電子頭脳に異常を起こしてしまったが、頭に再びショックを与える事で頭が冴えるようになり、ピンチを切り抜ける切り札的存在になった。ただし、頭を打ち過ぎると尚更悪くなってしまう。

  • モナ・モナシス
声:林原めぐみ
宇宙で一、二と言われる金持ちの娘で、父親に買ってもらったロケットで気ままな宇宙旅行を楽しんでいる。
レーサーとしての顔も持ち、強豪として知られている。
出番は『さよなら411ボル』『恐竜の星』『アステロイド・ラリー』までだが、加筆修正された最終回にも登場した。
モデルは海運王オナシス。

  • ムエ
声:塩屋翼*1
クエ星出身の宇宙人で『ナイナイ星のかたきうち』に登場。
空夫を父親の仇だと言って命を狙っている。クエ政府が正式に発行した「かたきうち免許証」を持っており、警察でも止めることが出来ない。
念力や透視、テレポーテーションといった様々な超能力を持ち、三人がかりでも敵わないほど強い。
クエ星人は長生きで有名で、平均寿命は2500歳。父親の名前はヌエ

  • オットー
オットセイのような姿の宇宙人で、狡猾な詐欺師。関西弁で喋る。
自殺を装って食料などを得る「自殺屋」に始まり、三人を自殺フェスティバルに追い込んで大金を騙し取ったり、さらにはポンコン・シンジケートと通じて地球全体を詐欺にかける等、様々な悪事を行う。

  • タコペッティ
タコのような姿の宇宙人で、世界的記録映画作家。危険が迫ると口が尖るという危険察知能力を持つ。
映画の鬼と言われ、「宇宙残酷物語」や「宇宙の皮をはぐ」といった作品で知られている。
これまでの数々の決死的撮影で以外の部分は残っておらず、他は部品で補っている。
宇宙を渡り歩いた色々な経験から、自分の目より科学者の認めたデータを信じる現実的な考えの持ち主で、冷静に物事に対応できるが命より大事というカメラの事となると冷静さを失ってしまう。
モデルはドキュメンタリー映画監督のヤコペッティ。

  • モクベエ
ゴゴロンゴ星にいるという、怪獣ダンボコを狩りに来た成り上がり者の金持ち宇宙人。
いばりくさっているが、別荘ブームで持っていた小惑星を売ったら大金が入っただけの田舎者である。
我儘な性格で、気に入らない事があるとキセルでひっぱたいたり、銃を乱射する。
だが、気前は良く、金払いはいい。

各エピソード

  • 宇宙へ家出
ごく普通の少年、天野空夫。成績は悪く、喧嘩も弱い空夫の元に突然変な二人組が現れて…!?

連載時には第2話で宇宙へ行くことを決心するまでが描かれたが、単行本では第1話ラストを変更したうえでカットされている。大全集では特別収録として読むことが可能。

  • 地球人はこわいよ
宇宙旅行の事が何も分からず、モジャ公とドンモに馬鹿にされた空夫。やって来たメルル星でもあまりの文明の違いに驚いてしまう。しかし、手違いで送られた留置場で聞いた地球人の印象にまた驚く事に。

  • うまそうな三人
三人がやって来たのは、危険地帯のカミカミ星。どんな危険があるかと身構えるが、意外にもカミカミ星人は優しく、歓迎される。ただし、絶対に夜になる前に帰って欲しいと言う。危険を顧みず残った三人の前に現れたものは…?

  • さよなら411ボル
ロケットが燃料ぎれになり、手近の星へ向かう三人。ところが、その星は悪どい商売で有名なコスカラ星だった。なんとか騙されないようにお金を三人で分けるのだが…?
アニメ版で唯一原作からアニメ化されたエピソード。

  • 恐竜の星
ロケットが動かなくなり、漂流しているととある星に引き寄せられて墜落してしまう。その星には何と恐竜がいて、しかもモジャ公が「三人が恐竜に食べられる」という予知を見てしまう。

  • アステロイド・ラリー
成り行きで超高級ホテルに泊まった三人は、支払いができず大弱り。そんな時、アステロイド・ラリーが開催される事を知った三人はレースを利用してホテル代を踏み倒そうとする。

  • ナイナイ星のかたきうち
アステロイド・ラリーで優勝し、一躍時の人になった三人。ひっきりなしにやって来る客人の中に、空夫が親の仇だという宇宙人、ムエが現れる。ムエから逃げる三人は、立入禁止だというナイナイ星に逃げ込むが…?

  • 自殺集団
これまで、死ぬ思いばかりしてきた三人は一万年もの間誰も死んだ事がないというフェニックス星へ向かう事に。ところが、その途中で出合ったオットーによって、話はとんでもない方向へ向かう事に…

  • 天国よいとこ
タコペッティと共にシャングリラ星へ向かう事になった三人。シャングリラ星は、数億年も昔に滅んだが調査隊が誰も生きて帰ってこないいわく付きの星だった。一人調査に出たモジャ公が行方不明になり、空夫が捜しに行くがそこで待つシャングリラの秘密とは…?

  • 地球最後の日
星際都市ポンコンにやって来た三人はオットーと再会する。しかし、取り逃がした上に反対にロケットで地球に送られてしまう。久しぶりの地球を満喫する空夫だったが、巨大などくろ星が地球に衝突するという知らせが入る。

中央公論社から発売された愛蔵版以降はこのエピソードが最終回となっており、この時ラストシーンが描き替えられている。

  • 不死身のダンボコ
金持ちの宇宙人、モクベエに雇われて怪獣「ダンボコ」を捜しにゴゴロンゴ星にやって来た三人。ダンボコを捜す内にドンモの様子がおかしくなり、姿を消してしまう。さらに空夫とモクベエまでもおかしくなり残されたモジャ公は…

雑誌掲載時の最終回…というか打ち切り回。愛蔵版と藤子・F・不二雄大全集版では『地球最後の日』の前に収録されているが、小学館文庫版では未収録。

ちなみに『アステロイド・ラリー』と『ナイナイ星のかたきうち』はアニメ版『21エモン』で登場人物・設定を変更してアニメ化された。

たのしい幼稚園版

上述のように、掲載誌が小学生向けであるにもかかわらず、異色短編のような極めてシュールかつブラックなストーリーが展開な本作だったが、講談社は何をトチ狂ったか、自社の幼稚園児向けの雑誌『たのしい幼稚園』にも『モジャ公』を連載させてしまった(連載開始は本家の「さよなら411ボル」の付近)。
なお、毎回2・3ページ程しかない故、詳しいストーリーが不明瞭で、第1話でいきなりロケットで宇宙を飛びつつ「食料が無くなっちゃった」と困る3人の場面から開始。
以後いろんな星に立ち寄っていくが、最終回でロケットが墜落大破して3人が泣いてたところ、実はここは地球でサンタクロース(?)に助けられて家まで送られ、プレゼントもお土産に頂き「ただいま」と両親に・・・だが、空夫たちの降りていく先がどう見ても『ドラえもん』の野比家*2なのだが…。
あと、ロケットが壊れているにも拘らず、モジャ公達はこれからどうするのだろうか?




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最終更新:2026年05月26日 09:53

*1 本作のアニメ版にはエピソード単位で未登場だが、『21エモン』のアニメ版でこのエピソードが使用されており、そこで同名同設定で登場。

*2 『たのしい幼稚園』版では第1話で空夫の家が出てこないため、家庭環境が違う可能性もあるが、本家では空夫の家は鉄筋コンクリート製の割と大きいアパートで、母親も『パーマン』のミツ夫の母親のようなデザインである。