田中真弓

登録日:2019/02/23 Sat 19:41:56
更新日:2025/04/04 Fri 18:37:57
所要時間:約 12 分の項目を一人で読んでる奴なんているわけねェだろう!!!




田中真弓(たなかまゆみ)は日本の声優・女優・ナレーターである。
本名は「阿部真弓」。


□プロフィール

生年月日:1955年(昭和30年)1月15日
出身地:東京都
身長:150cm
血液型:A型
事務所:青二プロダクション


□概要

日本を代表する女性声優の1人。
しかし本人はあくまで声優業は女優業の一部として考えており、現在でも肩書きは女優で通し、舞台でも活躍している。
夫は同じく声優の柴本浩行。

青山学院女子短期大学出身。
学生の頃から演劇に興味を持っており、在学中に舞台女優になる決意を固める。
バーで歌っていた際、たまたま店に来ていたテアトル・エコーのスタッフの目に止まり、その人の勧めで付属養成所への入所試験を受ける。
その試験に見事合格し、短大卒業後にテアトル・エコーに所属した。

初めて出演したテレビドラマは、1978年(昭和53年)放送の社会派ドラマ『白い巨塔』。
それ以前には、1975年(昭和50年)放送の刑事ドラマ『Gメン’75』で、香港の難民少年の声の吹き替えを行っている。

声優としてはテレビアニメ『激走!ルーベンカイザー』で高木涼子役で出演し、デビューを果たした。
しかしこの初出演した番組が鬼門であった。田中は先任者が急遽降板したため入ることになった、つまり二代目としての登板だった。
緊急事態に対応する、という目的のその場しのぎ的な起用だったこともあり、当時の田中に社長令嬢という役は完全にミスキャストだったうえ、
おまけにまだアフレコに不慣れな状態なのにも関わらず、いきなり無名の新人を入れてきたということで、キャスト内からも爪弾きにされてしまう。
そのため毎回居残りとなり、ルーベンカイザーで主演していた三ツ矢雄二は見かねて一緒に居残り、演技を添削しながらも自分を磨いていた。
同番組が終わった後に、共演していた大先輩の納谷悟朗*1から直々に謝罪されるくらい空気が悪かったらしく、デビューにしていきなり打ちのめされた。

デビューは最悪だったが、少年役の声優としてその後は少しずつ役をもらうようになる。

1983年(昭和58年)には、人気アニメ『うる星やつら』に男装少女・藤波竜之介役で出演し、一躍知名度が上昇。
その後は『おそ松くん』『ドラゴンボール』『忍たま乱太郎』等の人気アニメに少年役として出演する機会が多くなり、
1999年(平成11年)には世界的ヒット作『ONE PIECE』で主人公のモンキー・D・ルフィを演じることとなる。

現在は青二プロダクションに所属し、役者の仕事をしている一方で日本芸術学校特別講師もしている。


□特色

少年の声にも聞こえる独特のハスキーボイスが特徴で、アニメでは元気な少年・心優しい少年を演じる事が多い。
田中真弓が演じた少年キャラで有名なのは、『魔神英雄伝ワタル』シリーズの戦部ワタル、『おそ松くん』のチビ太、『忍たま乱太郎』の摂津のきり丸
『ドラゴンボール』のクリリン、『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィ等がある。
ジブリの大ヒット映画『天空の城ラピュタ』でも主人公の少年・パズー役で出演しているため、田中真弓の声を知らない人はまずいないと言っていいだろう。

少年役以外では老婆や中年女性、姉御肌な女性を演じる事が多い。
田中が演じた有名な女性キャラは、『うる星やつら』の藤波竜之介、『サクラ大戦』の桐島カンナ、『ゲゲゲの鬼太郎(第6シリーズ)』の砂かけ婆等が挙げられる。
もっとも最後の砂かけについてはそれなりに年を重ねてから得た役であり、その10年前には同作の第5シリーズでぬりかべ女房という役も担当している。

鳥の鳴き声を真似るのが得意で、アニメで何度か鳥役で出演している以外にも、『森田一義アワー 笑っていいとも!』でカラスとニワトリの鳴き声を披露した事がある。

後はNHKの教育番組『おーい!はに丸』ではに丸の声を担当した事でも有名。
『おーい!はに丸』に関しては声だけでなく、はに丸たちの近所に住む「魔女おばさん」等顔出しでも複数回出演しており*2
最終回等田中真弓と田中真弓が会話するシーンがよく見られた
この他、94年放送のNHK教育番組『マホマホだいぼうけん』でも魔法使いウィッチーを顔出しで、箒の使い魔ホーキー(人形キャラクター)をアフレコで演じたことがある。
この番組ではウィッチーが普段の姿である老婆スタイルと魔法を操る魔女スタイルを切り替えるため、かつらと衣装が2パターン用意されていたほか、
毎回紙芝居の世界に入ってウィッチーも人形劇になるため、アフレコでも二役を演じていた。
女優も声優もこなす役者・田中真弓ならではの出演形態であろう。


□エピソード

  • 事務所のプロフィール写真
ぶりっ子ポーズで写っていることが、一部のファンの間で有名。
本来なら俳優のプロフィール写真では手を写さないポーズを取るのが慣例なのだが、
田中は写真撮影時に手が写るポーズにこだわり、スタッフから「手を入れないでください」と何度言われても徹底して手を入れるポーズを取り続けたらしい。
スタッフが何枚撮っても田中は手の写るポーズを取ったため、最終的に青二プロダクションのスタッフが諦め、渋々ぶりっ子写真を採用するに至ったとのこと。

  • 家族
現在の夫は柴本浩行で、出会って1年のスピード結婚だった。
と言っても一度離婚していて、その理由は家に帰っても仕事(芝居)の話にしかならず、お互いに煮詰まってしまい、
柴本の方が参ってしまい家族から離れたから(田中の方は別にそういうわけではなかったらしい)とのこと。
そういう経緯もあって所謂ギスギスな離婚ではなかったようで、柴本はその後も元妻である田中真弓と普通に劇団で仕事をしていた。
その後、柴本は別の女性と再婚するが結局離婚し、それを聞いた田中も悔しさから別の人間と再婚しようとしたが気が乗らず、
紆余曲折を経て息子が柴本を家に呼んだこともあって田中と復縁したという。
なお、現在は円満であり、食事作り以外の家事等は大体柴本がやっているらしい。

  • おそ松くん
自分が演じた役で最も気に入っているのは、『おそ松くん』のチビ太。
チビ太が作中で言っていた「てやんでぃバーロイチキショイ!」「しっかりこまたき」等の台詞は実は田中のアドリブである。
そのうちの1つ「てやんでぃバーロイチキショイ!」は中の人ネタとして、他のアニメ(『とっても!ラッキーマン』等)でも使われていたりする。

  • ドラゴンボール
前述のとおり『ドラゴンボール』ではクリリンの声を担当しているが、クリリンが作中で敵に殺された事で本編への出演がしばらくなくなってしまう。
だが原作者の鳥山明が田中の声を気に入っていたので、「クリリンが死んで田中さんの声がもう聞けなくなるのは寂しい」と思った鳥山が、
田中に新キャラのヤジロベー役を頼んでいる。
ちなみにアニメ版ではクリリンとヤジロベーを演じ分けるために、ヤジロベーを演じる際には名古屋弁を使っている。
現場内での年齢的には中堅どころなので、お茶くみをしたりする。

  • サクラ大戦
少年役が多いキャリアの中で、珍しく女性キャラの桐島カンナを演じた。
同作は『歌謡ショウ』という舞台版も展開しており、声優がそのまま担当キャラを演じている。
カンナは大柄で男勝りなキャラであるが、田中は女性としてもかなり小柄であり、
「カンナ役がこんなチビで悪かったな!心で見ろ!」とコメントしている。

  • ONE PIECE
現場では元気に振る舞い皆を盛り上げる。
いたずらっ子でもあり、嘘か真か台本にいたずら書きをしてナミは思いっきり「トルネード=●ンポ!」といったことがあるとか…。ドラゴンボールの現場とは打って変わって誰よりも自由である。

10周年記念誌『10th Treasures』では、作者尾田栄一郎と対談。
セールスマンからかかってきた電話に出ると子供と間違われ、「お母さんはいますか?」と聞かれるので「あたしがお母さんだよ!」と言ったりしたこともあるとのこと。

また、尾田はワンピース連載開始当初から、ルフィを演じてもらうなら『ラピュタ』のパズー役だった田中真弓がいいと思ってはいたという*3

演技論の話の中で出た「泣きの演技」について田中は、
「若い人は泣く演技で泣こう泣こうとするが、本当に泣く時は『泣いちゃダメだ』と思い、涙がこぼれるギリギリまで笑ってる
泣いて恥ずかしいと思った瞬間にまた少し笑う。演技の方向が違う」と持論を語っており、
その話を以前聞いた尾田は自分の描きたい泣き顔(の表情)について納得し、
自分が泣けない場合(感情を理解できていない場合)はキャラクターに涙は流させないことにしていると述べている。

また、田中は「自分は健康に自信がなく、もしかしたらポックリと死んでしまうかもしれない」と危惧。
そのためある時息子に「もし母ちゃんがうっかり死んじゃったら後任誰がいい?」と聞いたところ、
息子は「おかんの後釜(ルフィの役)かぁ…野沢雅子さんしかいないな」などと言い出し、
田中は「私より年上を指名してどうするのよ!」とツッコんだという。
なお、この事を野沢雅子本人に話したら大いに笑われた後で「真弓、演るよ」とGOサインを貰ったのこと。そのため田中真弓が作っているという緊急時の後任リストの一人に野沢雅子がきっちり入っているらしい。*4

AERA dot.2022/01/01インタビュー「『ONE PIECE』声優・田中真弓が語る「最終回までの目標」」では、「もう少年役は、『ONE PIECE』のルフィを最後にしたいと思っています」と述べた。


□余談

『ONE PIECE』第52巻では、単行本書き下ろしコーナー「SBS」にゲスト出演しており、読者からの質問に答えている。

クレヨンしんちゃん』のオーディションをテアトル・エコー時代の仲間だった坂本千夏と一緒に受けていたが、オーディション時に野原しんのすけの口癖でもある「ぞぅーさん」と言ってほしいといわれて子供の声を得意とする2人もアフレコで演じたが、しんのすけ役には決まらなかった。その後、後輩の矢島晶子にしんのすけが決まった時には「私たちには矢島のような演技はできなかった」と『お願い!ランキング』出演時に語っている。

主人公.清の声優を務めた『対馬丸 さようなら沖縄』のEDでは延々と続く実際に犠牲になった児童名簿のテロップを見て、「こんなに死んだのか!?」と体が震えたと言い、ED中の泣くのを堪えているような清の台詞はリアルで泣きながら台本を読んだそうである。

MCをしていたラジオ番組「アニメトピア」で「田中真弓がスタジオを占拠!」という実況中継が行われた。
もちろん冗談放送だったのだが、半信半疑のファンが放送局まで押し寄せる騒ぎになった。

あるテレビ番組で嫉妬する相手を聞かれた時、田中は戸田恵子と野沢雅子の二人をあげた。
前者は「自分は喉をいじめて身を削るような叫びしか出来ないけれど、グリ子(戸田のあだ名)さんはアンパンマンで喉に負担をかけず技の名前を呼んでおり、その技術に嫉妬する」という。
後者は先のONE PIECEのルフィの後釜のエピソードを上げつつ、いつまでも元気でかつ人徳の高い野沢雅子に嫉妬してしまうという。


□主な出演作

◆テレビアニメ


◆劇場アニメ


◆ゲーム


◆ドラマCD


◆テレビ番組

  • はに丸(声)、魔女おばさん(顔出し)等(おーい!はに丸)
  • モンタ(声)(ともだちいっぱい)
  • ウィッチー(顔出し)、ホーキー(声)(マホマホだいぼうけん)
  • ナレーション(クイズ!ヘキサゴン

◆特撮

  • イエローフォー(声)(7話~10話まで*5)(超電子バイオマン
  • カミタマン(声)(勝手に!!カミタマン)

◆テレビドラマ

  • 医学生、看護婦(白い巨塔)
  • 難民少年(声)(Gメン’75)
  • モンキー・D・ルフィ(声)(世にも奇妙な物語「ゴムゴムの男」)

◆映画

  • 音響監督・しじみ(トーキング・ヘッド)
  • 田中さん(神☆ヴォイス)

◆ラジオ






「ゴムゴムの~『追記・修正』!!」

「いやそんな技ねェだろ!!」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 田中真弓
  • 何故かなかなか立たなかった項目
  • 声優
  • 声優項目
  • 女優
  • ナレーター
  • 青二プロダクション
  • 東京都
  • クリリン
  • モンキー・D・ルフィ
  • チビ太
  • はに丸
  • ハスキーボイス
  • パズー
  • 戦部ワタル
  • 摂津のきり丸
  • 桐島カンナ
  • コエンマ
  • 藤波竜之介
  • イーラ
  • マリーア・カラヴェラ
  • チッポ
  • ロック・ヴォルナット
最終更新:2025年04月04日 18:37

*1 ルパン三世の銭形警部などで有名な大御所で、田中真弓が所属していたテアトル・エコーの超大先輩である。

*2 同作では出演者が別役を演じるのが当たり前になっており、はに丸の従者ひんべえ役の安西正弘(うる星やつらの龍之介父役など)も声と生身双方で活躍していた

*3 パズーは作中で「僕は海賊にはならないよ」と言うシーンがあり、ルフィは海賊王を目指しているというギャップから、しばしばネタにされる。

*4 なお野沢自身はDr.くれは役としてONEPIECEに出演している。

*5 キャストとしてはノンクレジット