ゲッターロボアーク(機体)

登録日:2009/09/24 Thu 20:12:56
更新日:2025/09/23 Tue 22:39:58NEW!
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早乙女博士・最後の遺産だ!

この星に遺された、唯一の希望となる力!!




石川賢先生の手がけた漫画ゲッターロボ・サーガ』最終作『ゲッターロボアーク』の主人公機。


概要

早乙女博士最後の遺産。
「ゲッターロボ」ではゲッターロボ、「ゲッターロボG」ではゲッターロボG
「真ゲッターロボ」の頃は真ゲッターロボの開発及び調整にかかりきりだったはずなので、「一体いつ作っていたのか?」という疑問が持たれることも。

石川先生の言う事には、「1体のゲッターを作るためにはかなりの試作品を作る、その中から生まれて来た。」との事。
これまた石川先生の言葉だが、「ゲッターらしく言うならば、ゲッターの意思によって出来るべくして出来た」機体とも見られる。
真に比べると大変よい子で勝手に火星に行ったりしない。
石川先生直々のお言葉である。

性能

真ゲッターロボの開発過程で完成したとされており、真ゲッターよりも安定性が高く、遥かに効率的なエネルギー消費をするという。
エネルギー消費は真ゲッター唯一の欠点であるため、その点が改善されている本機は、ある意味では真ゲッターより進んだゲッターロボと言えるかもしれない。
しかしその反面、出力は真ゲッターと比較するとかなり抑えめで、悪く言えばどう頑張っても出力面では真ゲッターには遠く及ばない。
前述のように試作品の中から生まれてきたという意味では、真ゲッターの基になった機体なのかもしれない。
ちなみに、総合戦闘力は完成時点での真ゲッター(※出力が十分の一くらいに抑えられていた頃*1)を凌ぐといい、十分と言えば十分なスペック。


「乗りこなせるのは優秀な奴もしくはバカ」という、パイロットを選ぶ機体というゲッターの特徴は相変わらず。
第一話の時点で正規パイロットはかつての敵である恐竜帝国の半ハ虫人類であるカムイ・ショウただ一人のみだった。
後に、流竜馬の息子である流拓馬と、その相棒にしてメシア・タイールの弟である山岸獏らをパイロットとして迎えることになる。
そして、遥か未来から現れる敵「アンドロメダ流国」との戦いをくぐり抜けていくことになる。

ゲッターロボアークはゲッターロボ・サーガに登場する主役機の中で長らく映像化されて無い事から、その勇姿をTVで見たいと希望するファンが多数存在していた。
そして2020年11月2日に遂にアニメ化が発表され、2021年7月4日から放送開始。
バンダイからはHGシリーズでプラモが発売。2021年11月には超合金魂も発売される(ナンバリングはGX-99)。
戦闘シーンは「ゴッドマーズの方が楽」とキャラクターデザインを務める本橋秀之氏からも豪語される複雑な線の多いデザインであったため、3DCGが採用されている。
下記の各形態もアニメオリジナル要素も記述する。
アニオリ展開では、アークより基本性能では圧倒的に上の未来ゲッターロボ軍団、それらを瞬殺するウザーラの攻撃にも耐え最終的には撃破すらしたため、原作より潜在能力は相当に上げられている。


各形態の説明


ゲッターアーク

アークとはサンスクリット語で「大日如来」を意味する。

上からゲットマシンアークキリクカーンの順番で合体した姿。
シルエットは従来のゲッター1系統のものに近いが、今までのそれよりも生物味をおびたデザインになっている。
頭に付いたコウモリ羽と、ゲッター1系統の定番である真っ赤なボディが特徴。
地上、空中、水中と、あらゆる場所での戦闘が可能で、終盤付近では宇宙でも活動していた(より厳密にいえばキリクもカーンも万能タイプではある)。
後述の武器以外にも鋭い爪や牙を持っており、それらを生かした肉弾戦も得意。さらには牙で噛み付き攻撃も繰り出している。

メインパイロットは流拓馬。

主な武装

  • ゲッタートマホーク
ゲッター1系統の十八番であるトマホークで、長い柄から両刃が伸びている。
左右の肩のボタンに一本ずつ搭載されている。
簡単に言えばゲッターロボGのそれを巨大にしたものだが、片方の刃が少し大きめになっている。
両手持ちして拓馬の二天一流で相手をぶった切る活躍を見せた。
また、柄を連結させて一本の巨大なトマホークとして使用することもできる。
原作では片方のトマホークは刃を展開させずに柄のみを連結してハルバート状の武器としたこともあった。

  • トマホークハリケーン
アニメオリジナル技。
緑色の竜巻を纏って、相手を完膚なきまでに切り刻む。
第5話「運命(さだめ)の子」で蟲にジャックされたゲッターD2を細切れにした。

  • バトルショットカッター
ゲッター1系統のゲッターレザーに該当するもので、両腕に巻き付くように装備されている四対の刃。
展開した後、さらに引き伸ばす事も可能で、作中ではアークの身の丈以上にもなっていた。
原作では銀色だったのだがアニメでは金色に変わっている。

  • ゲッタービーム
ゲッター1系統の十八番・その二。
頭部から照射されるビーム。
細身で、ゲッタードラゴンのそれに近い。
原作では二度しか使われておらず、しかも最初に撃ったのは拓馬ではないこと、二度目は実体のない敵に空振りしたことから影が薄いのが欠点。
アニメ版ではアンドロメダ流国のウザーラ恐竜帝国が完成させたバグに使用したが効かなかった。

  • サンダーボンバー
背中に装備された九本の針状の翼を展開し、雷のようなエネルギーを全身から放出、周りの敵を一掃するアークの必殺技
指向性を持たせる事も可能で、トマホークや拳から直線上に放出したこともあった。
だが、アニメでは上記の応用的な使い方はされなかったうえ使っても効かないことが多く、下記の上位技が登場したこともあって不遇気味であった。

  • アークシャインボンバー
アニメオリジナル技。簡単に言えば「アーク版シャインスパーク」
金色に迸るゲッター線を纏い、敵に突撃する。ドラゴンのシャインスパークと違い機体ごと突っ込む。
第11話「宿願」でマクドナルドが駆るウザーラに対して使用。拓馬とマクドナルドの因縁に終止符を打った。
アニメでは初使用の際に技名は言っていないが、スパロボDDの参戦PVで「アークシャインボンバー」と判明した。
ちなみにアニメ最終話にてバグのバリアを貫いた後でこの名前で同様の技を放っているが全然効いてなかった
威力自体はこの時も特大サイズのクレーターを作るレベルであったのだが。……ストナーサンシャインの系譜か


ゲッターキリク

キリクとはサンスクリット語で「阿弥陀如来」を意味する。

上からゲットマシンキリクカーン+アークの順番で合体した姿。
今までのゲッター2系統のようなスリムなデザインとは打って変わって、右腕のドリルや左腕の鉤爪含めて全身トゲトゲしておりいかにも「敵メカ」といった印象を受けるようなデザインをしている。
ここ一番、と言う時や、絶体絶命のピンチの時に現れる等、登場のカンどころを押さえた小粋なロボである。
明記はされていないが、おそらく地上、地中戦がメイン。そしてきっと速い。
ある程度なら空も飛べる。まあゲッター2系統はデフォで空飛べる奴ばっかりだからね。

メインパイロットはカムイ・ショウ。

主な武装

  • ゲッタードリル
ゲッター2系統の十八番であるドリルで、鱗状のパーツを何枚も重ねたような、いびつな形をしている。
敵を貫くだけでなく、地面に潜る時にも使用する。
道路に穴を開けると公共事業費がかさんで国会で問題になるので、街中で使用するには注意が必要である。

  • ドリルアタック
アニメオリジナル技。
ゲッタードリルで敵に突貫する。

  • ダブルドリルストーム
アニメオリジナル技。
全身を回転させながら、両腕でドリルのように貫く。要するに超電磁スピン。
バグとの戦いで使用し、唯一バリアを突き破るものの攻撃を通しきる前に捕縛されてしまった。
ちなみにその際カムイが「その機体は俺でなければ乗りこなせん」と言っている。

なお、歴代ゲッター2系統のようにドリルをミサイルの如く発射する技は未登場。残念。


ゲッターカーン

カーンとはサンスクリット語で「不動明王」を意味する。

上からゲットマシンカーンアークキリクの順番で合体した姿。
従来のゲッター3系統のようにズングリムックリ体型だが、ゴツゴツとした甲殻類のようなデザインをしている。
自分の数倍以上のサイズを持つの敵の拳を真正面から受け止め、そのまま砕き壊すなど、いかにもパワーファイターといった風な戦闘を得意とする。
歴代のように水中戦が得意かどうかは不明。なにせ唯一の海中戦をアークに取られてしまっているからである。合掌。

出番については……ゲッターロボ・サーガではもはや定番なので何も言うまい。
しかしやっぱりスタッフもその辺は思うところがあったのか、アニメ版ではこれでもかと言う程出番が増えている。
なお、水中戦に関してもアニメ版で初披露されており、「高圧化での戦闘に強い」「スピード面では水中戦もキリクの方が有利な面がある」などの描写がある。

メインパイロットは山岸獏。

カーンローバー

武器というよりは形態変化。
肩と足の装甲を繋ぎ、そのまま自分の体を隠す形で左右の装甲を結合。巨大なパンジャンドラム棘付きタイヤの如き形状に変形する。
体当たりすればそのまま攻撃にもなる他、海底などの悪路の走行も得意としている。

今まで名称すら不明だったが、アニメ化に伴ってようやく命名された。

主な武装

  • スパイクビーム(仮)
アニメオリジナル技。
肩のスパイクから全方位にビームをぶっ放つ。ゲッター3系統なのにビームである。
今までのゲッター3系統が殆どミサイルばっかりだった為、いきなりビームを撃ちまくった姿は視聴者を驚愕させた。
ゲッター剴ネオゲッター3? あれはゲッター線で動いてないから…ゲッター3「撃てるぞ」えっ*2

  • ゲッターミサイル(仮)
アニメオリジナル技。
肩のスパイクから一斉にミサイルを発射する。
真ゲッター3のミサイルストームに該当される技と思われる。

  • メイルスローム
アニメオリジナル技。
水中でカーンローバーに変形、高速回転することで巨大な渦潮を引き起こす。
地上で使えるのかは不明。
第8話「竜の血 人の心」で使用し、蟲の大軍を薙ぎ払った。

  • スパインクラッシャー
カーンローバーに変形し、敵の体に突っ込み、そのまま内部から敵を引き裂く。
ゲッター3系統らしく豪快な技。なお原作でのカーンの登場シーンはこの技を使用した場面だけだった

外部出演

スパロボシリーズでは、『スーパーロボット大戦DD』にて初参戦。
最終回放映を前の期間限定参戦となるが、実はさらにアニメ初報PVの時点ですでに参戦が決まっていたことが判明するという超高速参戦となった。
上述したようにDD参戦のPVにてアニメ放送に先駆けてアークシャインボンバーの技名が判明している。

その後、続編イベント「蒼黒の真ゲッターロボ」を経て恒常参戦作品に昇格した。


『スーパーロボット大戦Y』にて家庭用スパロボ初参戦。
性能はゲームシステムも相まって優秀どころか「最優秀」と言って差し支えないレベル。
まずゲーム開始直後の最序盤に加入*3する。
「なら最初は弱いのか?」というとそんな事はなく、ゲッター1系列のパイロット通例の「気力が上がると攻撃力が上がるエースボーナス」が固有スキル「ゲッターの申し子*4」の効果に統合されエースボーナスに届かずとも序盤から高い火力を発揮。
アークの素の火力の高さもあり序盤から終盤にかけてスーパーロボット勢の中でもひときわ高い攻撃力を誇る。
なおこの火力アップ効果はそれまでのゲッターと違いアーク以外の形態にも乗るのでキリクやカーンも地味に高火力。
代わりにチーム全員の気力を上げる必要があるため、ゲッター1乗りに重点が置かれていた『チェンゲ』版と比べるとカムイや漠の運用も重要となるバランスとなっている。
なお地味な欠点としてゲッターの申し子の発動の為の気力160にカムイと漠はデフォルトで届かない。*5その為気力限界突破のスキルプログラムか気力限界値上昇パーツは必須となる。
また今までのゲッター1系列は「火力はあるが防御面がやや不安」という弱点があったがアークはその点でも十分な装甲があり、しっかり耐える。
精神コマンドのラインナップも優秀で例によって拓馬が覚醒、カムイが直感・加速、漠が鉄壁・気迫を備えると隙が無い。
というか、覚醒が熱血と同じ消費で使える。

更に命中率も高めで、アークは必殺武器の射程が最も長い上にマップ兵器まで装備している*6
ついでに、本作における「メインパイロットのSP回復」という効果は、細かい言及がなければ撃墜数カウントを持ったパイロット全員に対して適用されるらしく、全員まとめて回復できたりする。

一方で特に難易度ハード以上だと「味方機が敵ユニットを撃墜した際の気力アップ」が削除され、全体的に気力が上がりにくくなるシステム変更の影響を受けている機体の一角でもあり、最序盤は「ゲッターの申し子」の発動がなかなか出来ず、ゲッタートマホークやキリク・カーンでの味方援護をメインで立ち回ることになる。諸々のフォローができるようになるまで我慢。ある意味原作っぽいが。

地味な変更点として本作では移動後・行動後にも変形が可能になっており、
移動力の高いキリクで接近→火力の高いアークで攻撃→耐久力の高いカーンで耐える*7、なんてテクニカルな事も出来たりする。
アーク、キリク、カーンそれぞれ優秀であるため、変形機能を使って縦横無尽な対応が可能となっている。
ただし、自動で飛ばなくなった上にアークの陸適応が悪いため、行動終了後にアークに変形したままでいると不利になってしまう。ここもなんか原作っぽいが。

総評すると
  • 参戦が早い
  • 火力も高い
  • 耐久も高く3人乗りで精神ラインナップも優秀
  • 変形の仕様変更によりゲッターらしい変幻自在な立ち回りも可能
  • おまけのようにMap兵器持ち
と揃った隙の無い性能をしておりその様はまさに『優等生』

その分能力強化(アークシャインボンバーの追加)も割と遅いが、そもそも加入時点で『完成形』と言える状態なため問題はほぼ無いと言える。
当然、強化されればさらに大活躍である。
アークシャインボンバーもスパロボ恒例のオリジナル展開により、3人揃った状態で使用できる

シナリオ面でもダイナゼノンと共に中核を担う...どころか詳細は省くが今作はゲッター線関連の設定がある意味元凶とも言える非常に重要な立ち位置を貰っている。
ゲッターアーク自体はそんなに長い話ではない為原作再現ステージは少ないが、「粗暴なようで意外と聞き分けが良くフレンドリー」なアークゲッターチームの性格により幅広く他作品とも絡みその存在感は大きい。
何より終盤の「出たな、ゲッタードラゴン」の直後に起こったシナリオをわざわざフルボイスで補完されるという優遇を受けておりある意味「第二の主人公」と言えなくもない。アニメ共々アークは愛され過ぎている

余談

石川賢先生曰く「真ゲッターみたいに勝手に火星に行ったりしない」という安定性を重視したという設定で、パイロットを取り込もうとしたりもしない。

そしてアークチームが歴代と比べても人格や行動的にそれなりにマシだったこともあり、歴代で最も怖い顔とは裏腹に「ゲッターロボアークは優等生」とネタにされた。
アニメ化の際にも様々な描写から改めて「アークは優等生」と言われた。……もっとも真ゲッター系統が化け物なだけで、『G』の正統後継機と言うべきか。
特に第11話でのマクドナルドが駆るウザーラとの決着の場面は「ハチュウ人類のカムイが乗っていなかったから全力を出せたのでは?」という声も出ているとか……。*8
暴走の危険性が薄い反面、真ゲッターと比べるとゲッター線の爆発力はやはり控え目であり、攻防共に苦戦を強いられる事が多かった。

「ゲッターの意思によって出来るべくして出来た」という先生の言葉を借りれば、全部ゲッターがやってしまうのではなく、搭乗者に未来の選択権を与えたのかもしれない。
それ故か、アニメ版では「勝手に火星に行かなかった」が「アークチームとともに火星でゲッター天に挑む」展開となった。



ゲッターの申し子は追記・修正お願いします。


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最終更新:2025年09月23日 22:39

*1 ゲッターロボGの補欠パイロット候補だった伊賀利三佐(ゲットマシン練習生として自衛隊より出向していた自衛官)が普通に乗れる程度

*2 実はゲッター3は石川賢先生の手による作品「クレーターバトル」でゲッター1・ゲッター2と連結してジャガー号部分の先端からゲッタービームを撃っている。まあ合体技みたいなもんだけど。

*3 味方部隊結成前からの最速参戦。主役機 ゴッドガンダム ダイナゼノン共に実質チュートリアル組に当たる。

*4 ゲッターチーム全員の気力160以上でダメージ1.2倍

*5 拓馬は気力限界突破Lv2をデフォで所持し160に初めから届く

*6 移動後使用は不可能だが、当然高威力で、当てられる敵数で言えばウイングゼロと同等。ただし範囲が格子状で若干癖があるが拓馬の覚醒で位置調整すれば意外と大量撃墜のチャンスは多い。カムイは手加減も使えるので、他のメンバーの稼ぎにも便利。ちなみに、マップ兵器としては最優秀と言えるストフリは、キラが手加減を使えなくなってしまっている。

*7 本作のエネルギー管理の関係上、ミサイル持ちのカーンは攻撃面でも地味に優秀。

*8 それの解釈については「カムイが乗っていたためにアークが優等生の皮をかぶっていた」説や「搭乗者を思いやったアークが戦闘に支障をきたさない程度の絶妙な塩梅で力をセーブしていた」説などがある。