ヒム(ダイの大冒険)

登録日:2020/11/13 Fri 05:52:15
更新日:2025/04/10 Thu 19:42:29
所要時間:約 12 分で読めます






オレはハドラー様の忠実なる兵士(ポーン)

ヒム!!


漫画「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の登場人物。

CV:三木眞一郎(2020年版)

目次

【概要】

ハドラーの親衛隊であるハドラー親衛騎団の一人。
大魔王バーンから与えられたオリハルコン製のチェスの駒に、かつてフレイザードを生み出した禁呪法を用いて作られた禁呪生命体。頭部と肩が丸みを帯びており、アルビナスと同じく人間に近い顔つきをしている。
兵士(ポーン)』の駒から創られた戦士で、ハドラーの「闘志」を強く受け継いでいる。
チェスにおけるポーンは最弱の駒だが、ヒム自身は距離を詰めての格闘戦なら団内でも随一という実力者である。

作中では一度も単体の呪文として使用はしてないが、メラ系を得意とする。
必殺技はメラゾーマを拳に宿した技である『ヒートナックル』

禁呪生命体は術者の性格が顕著に表れるが、ヒムは親衛騎団の中でもハドラーの性格を最も強く受け継ぎ、団内一好戦的な熱血漢。
また、無機物にもかかわらず涙を流す。
それらの特徴・行動はハドラー本人から「自分と似ている」と称され、後にヒムが辿る運命を示すものとなっていた。

禁呪法で生み出された生命体は急所である(コア)を持っており、ヒム達ハドラー親衛騎団の(コア)は人間でいうと心臓のある左胸の部分に位置している。

【作中の活躍】

◆初登場

魔王軍で会議にも一切名前が出ないなどないがしろにされ始めて焦り、手柄を立てるべく先走ってダイを独断で襲撃したザボエラを、「オレ以外の誰にもダイ達に手出しはさせない」とハドラーの命令で力ずくでも連れ戻すべく、戦闘のまっ只中に現れる。
配下のサタンパピーたちの火炎呪文をその身に集め、メラゾーマ十数発分の熱エネルギーに達してダイ達を消し炭にしようと放ったザボエラの集束呪文マホプラウスを、自分の体で体当たりしてあっさりと霧散させる。
その際、巨大なチェスの駒から変形していたが、この演出が見られたのは今回だけ&ヒムだけだったりする。*1

ザボエラを捕縛し、ザボエラの部下の最上級モンスターであるバルログとサタンパピー達を瞬く間に壊滅させ、ダイの救出にやって来たポップを救うと同時に、オリハルコンの身体由来の圧倒的な戦闘能力を見せつける。
ハドラーの禁呪法でオリハルコンの駒から生み出されたことと4人も仲間がいると明かし、ダイ達を攻撃せずこのクズ(ザボエラ)みたいに不意打ちのような真似で倒しても面白くもなんともないし、誇り高きハドラー様の部下として真っ向から受けて立つ」と語る不敵ながらも正々堂々とした態度は、居合わせたクロコダインをも戦慄させ、新たな強敵達の出現を強く印象づけた。

ザボエラを連れ戻した後、本来独断行動で死刑になるザボエラを、ハドラーの温情で魔牢に幽閉した。

◆サババ戦

対魔王軍前線基地の港町サババで他の親衛騎団共々襲撃した際には、先陣を切って立ちはだかったノヴァと戦い、額にノーザングランブレードを受けるが、ほとんど無傷で完勝した。

…ほめてやるぞ!

前座試合にしてはなかなか面白かった…!!!

ノヴァにとどめを刺そうとするも、遅れてやって来たヒュンケルの一撃を受け額をぶち抜かれる。
アルビナスの指示でダイと戦い、ダイの剣に無意識に依存していたダイを苦戦に追い込むも、これ以降ヒュンケルに対して異様なまでの執着心を抱き、自らの宿敵と見据える。

◆死の大地戦

続く死の大地での決戦ではダイとバランとの決闘を望むハドラーの命を受けアバンの使徒達の前に立ち塞がるも、『黒の核晶』の爆発によって戦いは水入りに。
この時「立っているのさえつらい」はずのヒュンケルによそ見しながらの裏拳一発で吹っ飛ばされるなどちと扱いが悪い。

その後、ハドラーがダイたちを大魔王バーンから逃がした咎で共に処刑されかかるも、ブロックの尊い犠牲により辛くも一命を取り留めた。

◆バーンパレス戦

大魔王バーンに反旗を翻したハドラーに従い、魔王軍から離反。
ハドラー親衛騎団と勇者一行の最終決戦では交戦経験豊富で本人も逆襲に燃えているヒュンケルと交戦する。
しかし、パワーアップを果たしたヒュンケルとの戦いは荷が重く、それぞれポップやマァムを苦戦させたシグマやアルビナスとは対照的に戦闘シーンほぼカットで胸をブラッディースクライドでぶち抜かれてバーンパレスから落ちていった……。
かませ犬にもほどがある。


何を迷ってるんだアルビナス!!! このままじゃオレたちはwiki篭りだ!!
項目だって何のために追記・修正したかわからねえっ!!!
大暴れしてやろうぜっ!!アニヲタの鼻をあかしてやろうッ!!!



























……やめとけよ ムダな事たぁ…!

…そいつを倒すのはこのオレだっ!!


【以下、ネタバレ













バーンパレスから落下したヒムは、頭も砕け、『核』も失い、『死』を待つだけであった。
だが…薄れゆく意識の中、ヒムは、仲間の、ハドラーの魂の雄叫びを聞いた。
そして悟った。ハドラーの死を。仲間の死を。
暗闇の中でヒムは、強く、強く願った。血の涙を流しながら…!!


その瞬間、心の底から思ったのさッ!!!


“このまま死にたくねえッ!!!

たとえオレが最後の一人になっても、生きて……生きのびて……!!
ハドラー様と仲間たちの意地を見せてやらなけりゃならねぇ!!
貴様らにっ……せめて一矢でも報いてやらなきゃあっっ……!!!”



死んでもっ……!! 死にきれねええっ……!!!!



……ってな……!

◆兵士の帰還

そして、ヒムは帰ってきた。
ハドラーの魂を受け継ぎ、ヒュンケルとの決着のみを純粋に願う戦士として。
実は噛ませに見えた先程のヒュンケルとの対決も、この為の「演出」だったのである。

先のヒュンケルとの戦闘で胸に空けられた大穴こそ塞がっているものの、バーンパレスから落ちた際の衝撃で頭には大きなヒビが入り、今にも砕け散りそうなその姿。
あるいは、それは今まさに殻を破り飛び立たんとする、新たな生命の息吹の現れだったのかもしれない。

そんなヒムを、「負け犬ハドラーの手下」と嘲り、攻撃を仕掛ける魔界のモンスター軍団。
……それがヒムに火を付けた。


…バカどもが!
邪魔さえしなけりゃ生かしといてやったのによ!

だが、もうただじゃおけなくなっちまったぜ!!!

オレの邪魔をした事もだがそれ以上にっ!!!
てめえらみたいなクズ野郎が偉そうにハドラー様を侮辱しやがった事がっ!!


最ッ高に許せねえッ!!!!

親衛騎団としての誇り、戦士としての意地、そして己が敬愛するハドラーを侮辱されたことへの怒り。
それら全てが爆発し、『兵士』(ポーン)『闘士』(ファイター)へと『昇格』(プロモーション)を遂げる。

砕けた頭部から現れたハドラー譲りの銀の長髪に、全身から発せられる闘気。
チェスの駒から生まれた仮初めの命は、今ここに一個の生命体として生まれ変わったのだ。

魔界のモンスター軍団を一蹴した*2ヒムは、ついにヒュンケルとの最後の決闘に挑む。
既にこれまでの戦いで既にグランドクルスを2回も使い満身創痍のヒュンケルと、闘気全開のヒム。
この日3発目のグランドクルスも普段より発動に時間がかかって間に合わず破られたヒュンケルはついに鎧の魔槍を脇に置き、鎧も解除してしまった。
決して勝負を諦めたのではない。
鎧の魔槍で戦っても勝機はない、なまじ強力な武装を持てば覚悟も鈍る。
己の覚悟を鈍らせないために鎧の魔槍を置き、全闘気を込めた拳に全てを賭ける。

失敗すれば無残な屍となるであろう結末に、ヒムはそんな死に方をしてほしくないと懇願するが、どれだけ無様でも惨めでもわずかな勝利の可能性に賭けて戦い抜こうとするヒュンケルの固い意志に応えて、自らも全ての闘気を込めて挑む。



すべて吹き飛ばァすッ!!!

このオレの燃える拳でっ!!!

あんたの"闘志"もっ 何もかもっ…!!!

うけろォッ!!!


オォォーラナックルッ!!!!!


“闘志”の拳と“執念”の拳のぶつかり合いを制したのは、闘志の男ヒュンケルだった。
死をも恐れず美しく散ることを厭わないヒムと、どれだけ無様で見苦しくても最後まで諦めないヒュンケルの二人。
その明暗を分けたのは、戦士としての覚悟の違いだった。

かつてアバンがハドラーを倒した、あえて武器を置いて自らの闘争心を鎮め、相手の攻撃を受け流してカウンターを狙う奥義、「無刀陣」。
この無刀陣の術理を応用し、ヒムの勢いすら乗せたカウンターこそが、ヒュンケルの策だったのだ。
しかし、ヒムの強烈な一撃の前に、既に満身創痍のヒュンケルには「受け流しても生じる僅かなダメージ」を耐える体力すら残されていない。
つまり、「受け流す」以前に「ぶち当てる」しかない。
それは一歩間違えばヒムの拳によって原形すら残らず吹き飛んでいたかもしれない奇跡のタイミング。

ヒムとしては、ごく普通にヒット&アウェーを繰り返せばヒュンケルに勝つことは訳はなかった。ヒュンケルもそれを理解し、ヒムが勝負に乗ってくれるかは賭けに近かった。
だがヒムは真っ向から挑んでいった。いや、その手があったことに気付いても行うことはなかった。
死んでも勝ちたかったが、そんな勝ち方をするなら死んだ方がマシ。正面から全力で拳で打ちかかったのだ。
かつてダイの必殺技の完成を妨害せずにあえて待ち、生涯最後の一太刀で受けて立ったハドラーのように……。



激闘の末またしても敗れた彼は、その信条故にトドメを刺すよう求めるが…

目を開いた彼が見たものは、敗者である自分に手を差し伸べるヒュンケルの姿だった。

「…立て。ヒム。おまえはこんな所で死ぬべき男じゃない…!」

ヒムの復活には意味があるはずだと考えたヒュンケルはそれを拒否したのである。
「敗者に情けをかけるのか」と怒るヒムだったが、ヒュンケルはこう返す。


「情けではない。これはオレの『命令』だ。」

「!!!?」

「もし、勝者に『敗者の生命を奪う権利』などというものがあるなら…
オレはおまえから生命(いのち)ではなく…
死を奪う…!!!」

「……!!」

ヒュンケルは、ヒムに対し、オレと純粋に決着を付けたいと願ったお前はもはや悪ではなくなっていること、生命を奪う相手ではないことを告げる。


「し…、しかし…、オレはっ…!!」

それに何よりも…!
おまえの生命(いのち)はもう、お前一人のものではないはずだ!!

「!!!」

そう。ヒムは単に『昇格』(プロモーション)の能力だけで、生命が宿った訳ではない。
ハドラーと、親衛騎団の仲間の生命(いのち)が宿っている。
ヒムには、仲間たちの分まで生きる『義務』があるのだ。
たった一度ぐらいの敗北で、その『義務』から逃げる事は許されない。
それこそ、親衛騎団達の、そしてかつてヒュンケルも憧れたあの偉大なる獄炎の魔王の死が無駄になってしまう。
彼等を本当の意味での「負け犬」にしてしまう事を、ヒュンケルは諭したのである。


「“仲間になれ”とまでは言わん。
だが、この闘いの後で、オレの生命(いのち)がまだ残っていたら、
必ずやおまえとの勝負、再び受けて立つ!!」

「……だから……」


…生きろ、ヒム!
オレ達と共に!!!

初めて受けた、「人間」の素晴らしい感情。他人を慈しむ『愛』。
それをヒムは、悔しさ半分、嬉しさ半分の涙を流しながら、渋々ではあるがその言葉を受け入れる。
与えられたこの「命」を、ハドラー達の分まで生き抜く事を決めるのであった。

……が、そこへ手柄をかすめ取らんと現れたマキシマムによって葬られんとするが、これもヒュンケル最後の奮闘とさらに割って入ってきたラーハルトにより救われる。
そして戦い終えて安らかに燃え尽きたヒュンケルを涙ながらに看取るのであった。まぁ、生きてるんですけどね、ヒュンケル

その場に駆け付けたビーストくん回復魔法でヒュンケル共々治癒されたヒムだったが、
ヒュンケルは二度と戦えないほどにダメージを負ってしまっていた。
それに責任を感じてか、ヒュンケルに代わり、彼が本来戦うべきだった相手を全て倒し、いつの日にか傷を癒した彼ともう一度決着をつける。
その願いを胸に、彼は最終決戦の欠くべからざる仲間として勇者ダイのパーティーに加わるのだった。

◆光の闘士ヒム

仲間になった後は魔王軍の最高幹部であるミストバーンと対戦。
光の闘気で力押しするヒムは暗黒闘気を主体にするミストバーンに非常に相性がよく、ポップ、マァム、ラーハルトの三人がかりでも有効打を与えられなかったミストバーンをほとんど一方的に押しまくるほどだった。
しかし、ミストバーンが肉体の封印を解いてからは防戦一方に回りオリハルコンの肉体も砕かれてしまった。

最終決戦では、何とか真バーンの『瞳』の選考から外れ、ラーハルトと共に『天地魔闘の構え』攻略の立役者となった。
戦友であるシグマの遺品であり、ポップの天地魔闘破りの要となって砕け散った『シャハルの鏡』を見た時には、好敵手に巡り会えた素晴らしさを改めて想い起こしている。

最終盤では、他のメンバーと共にバーンパレスの心臓部、生体動力路の中に閉じ込められてしまうが、「ここでお前(ヒュンケル)に死なれちゃオレは一生勝てねぇ」と、自分が犠牲になるのを承知の上で、最強闘気技『グランドクルス』を発動する。
…そこで彼は、ヒュンケルに、仲間たちに「本音」を打ち明ける。


「本当…、言うとな……。」


…好きになっちまったんだよな。
おまえら…人間たちを…。
そして、おまえらの仲間たちもな…!


ここにいる奴ら全員…オレは好きだぜ。
絆を守るためなら生命(いのち)をも捨てるバカばっかり…!
オレの戦友たちとそっくりだ!!!


もう誰一人悲しい顔にゃさせたくねぇんだよっ!!!


彼もまた、他人を慈しみ、守りたいと願う『愛』に目覚めていたのである。


…見損なうなって!

テメェが不死身なら!

…不死身なら!!!


オレもまた不死身だぁぁぁーーー!!!!!


『グランドクルス』発動には成功し、皆を脱出させることに成功したヒム。

だが、その身は砕け、未来を照らす光と共に消えていった…


…ヒムちゃん…キミは…立派だった…!本物の戦士だったぞ…!!

キミの活躍は永久に忘れないっ…!!

…本日をもって獣王遊撃隊12番を永久欠番とする…!!!


…が、ちゃんと生きてました。
みんなよりも下側に落ちてしまったため、死を早合点されてしまい、チウからは「No.12は永久欠番とする」という名誉(?)を与えられた。


ちっきしょ〜。ひっでぇなぁー。隊長さん…

…ちゃんと生きてるよォ…

◆エンディング

最後の戦いの後は、チウとともにデルムリン島に移住。
親衛騎団の腕章は外している。*3

【人物】

ハドラー親衛騎団の中でも一番の熱血漢。
禁呪法によって生み出された禁呪生命体は、術者の性格が顕著に表れるとされているため、ハドラー親衛騎団のメンタルは、ダイ達に敗れた結果自分を省みたハドラーの「立て直した精神」がそのまま現れている。
中でもヒムはハドラーの根っこの性格「正面からの力比べの戦いを望む熱血ファイター気質」が最も強く表出しており、常に正々堂々の真っ向勝負を望む。

短気で感情的過ぎるきらいもあり、ハドラーやアルビナスの手を焼かせる事もしばしばだが、忠誠心や仲間意識も人一倍強く、特に主君であり創造主であるハドラーに対しては絶対の忠誠を誓っている。
初対決時にはすでに体が凍結し戦えなくなったノヴァを、粉々に粉砕すべく哄笑を上げながら殺そうとする残酷さを見せているが、これは「戦士は醜く生き残るよりも美しくカッコ良く死ぬべきだ」という考えによるもの。力比べの敗者は結果としてどうされても当然、という価値観を持つ。*4
相手の最期を華々しく飾ろうとするのは彼なりの慈悲なのかもしれない…。

また、彼は無生物なのに涙を流す
これが、後の彼の運命の重大な伏線となっていた。*5
それらの行動を通して彼はハドラーに「自分と似ている」と言われた。

復活してからはより筋肉質になった身体に銀色のオールバックの長髪など、どことなくその風貌はハドラーを思わせるものになっている。
また、性格も前以上に感情豊かになり、江戸っ子みたいな「べらんめぇ」口調で超魔生物になる前の主君のようにおハナを垂らしながらの変顔もするなど、すっかり愛すべきバカ枠に収まった。
ギャグでは主に今までいそうでいなかった男のツッコミ役。
チウの正直微妙なネーミングセンスにつっこんだり*6、ポップのマァムへの恋心を茶化した際は、「なんでお前が知ってんだよ」とテンパるポップに、「(見てりゃモロバレじゃねーか!)」と呆れ顔で心の中でツッコミを入れていた。
そして怒れるマァムの制裁には軽く引いていた。
「…まだ、なんか悪の気が残ってんじゃねーか?あのねーちゃん…」
「いやぁ……いっつもあんな感じだぞ、あの2人は」(悪いのはポップ、というチウの見立てである)

【戦闘能力】


…男ならこっちで来いよ……!!大将!!!

最弱の駒である『兵士(ポーン)』が元であるが、だからといって弱い訳ではなく、距離を詰めての戦闘を得意とする格闘戦のエキスパートである*7
職業で例えれば、バリバリの武闘家。
武器は持たないが、その拳ですらオリハルコン製なのでかなりの破壊力があるだろう。
ちなみに左利きであり、必殺のパンチは全て左の拳で行っている。*8
また、親衛騎団全員に共通する特性として、オリハルコン製のボディによる圧倒的な防御力を物理攻撃・呪文の両方に対して備えている。

ダイのパプニカのナイフを避けてその上に立ったり、ザボエラとサタンパピー&バルログの大群を一瞬で撃破したり、北の勇者をボコにしたりと戦士としては優秀である。
ただし、生まれてまだ1ヶ月前後である為、「経験」に乏しく、経験豊富な一流のベテラン戦士相手ではやや分が悪い。
技術そのものはまだまだ荒削りとクロコダインにも評されている。
逆に言えば、これからいくらでも伸び代はあるということにもなるが。

また作中では一度も単体の呪文として使用の可否は不明ながら、メラ系属性を持つ
それ以外にも、瞬間移動呪文(ルーラ)飛翔呪文(トベルーラ)*9も使用可能。

復活してからのヒムは、『昇格(プロモーション)』により以前よりも強くなっており、
ヒュンケルとの決着のみを純粋に望むがゆえに善悪の区分を越え光の闘気を放つようになり、得意技の『超熱拳(ヒートナックル)』も光の闘気を込めた『闘気拳(オーラナックル)』に強化された。
また復活前とは違い、『生きた駒(リビング・ピース)』という完全な金属生命体になっているため、痛みも感じるようになり、回復呪文で回復できるようになった*10
ちなみに、血も通っており、腕を切られた程度では出血しないが、胴体にダメージを受けると吐血する。体の構造どうなってるのか、是非ともマキシマムにスーパースキャンしてもらいたかったもんである。
ビーストくん曰く「メタルスライムやメタルキングと似たような体質じゃな」。
それを聞いたヒムは「…あいつらとお仲間なのかぁ…」とボヤいていた。
ただし、薬草は効かないらしい*11

必殺技

  • 超熱拳(ヒートナックル)
オリハルコンの拳にメラゾーマの高熱を込め真っ赤に赤熱した拳で相手を殴りつける技。
魔法ならぬ魔法
超金属オリハルコンの硬度と並みの金属なら瞬く間に溶かしてしまう程の高熱が合わさる為、まともに喰らえば大ダメージは必至。
生まれ変わった後も使えると思われるが、闘気拳をメイン必殺技とするようになったので一度も使っていない。
とは言っても、残る相手がミストバーンと真バーンしかいない状況だったので、活躍の場面はなかっただろう。

  • 闘気拳(オーラナックル)
新たな生命体として生まれ変わったヒムが繰り出す新生必殺技
生命体となったことで、闘気を拳に集中させて攻撃することが可能となった。
オリハルコンの身体から繰り出されるその攻撃は、ダイの闘気剣に匹敵する威力を誇る。
ヒュンケル曰く、闘気を込めた肉体は鋼鉄より強靭になる…との事なので、オリハルコンの金属生命体であるヒムの、闘気を帯びた拳…
想像するだに恐ろしい。
これを鎧の魔槍抜きの生身で受けようとしたヒュンケルにヒムがやめるよう説得したのも当然で、ヒュンケルはよく勝てたもんである。
ミストバーン戦において憑依されたマァムにもやむを得ず使おうとしたが、流石にヒュンケルからは止められた。*12


  • グランドクルス
バーンパレス心臓部からの脱出時に、満身創痍で技を構えることすらままならないヒュンケル、技の開発者ではあるが全力で放てばまず間違いなく自爆技となってしまうアバンの両名に代わり使用した。
ヒムの場合は、十字を作る武器やそれに代わる装飾品もないため、両腕で✕の字を描く構えをして発動させており、
オリハルコン製であり、後述のように反動も大きかったものの、自身の肉体を利用してグランドクルスを放ったのはヒムだけである。*13

その威力は、バーンパレスの心臓部の壁どころか、勢い余ってバーンパレスの残骸の半分以上を吹っ飛ばしてしまった。
ただしその反動も凄まじく、気絶するも五体満足で生還したヒュンケルに比して、ヒムは超硬度の両腕が消し飛んでしまい、会得できてない者が撃てばどうなるか、この技の恐ろしいサンプルにもなった。

なお、将来的に彼が同技を身に付けられる適性があるかは不明。
少なくとも原作終了時点のスペックでは、専用ベホマ要員が必要となるか、一発撃ったらしばらく退場のロマン技となるか…。


  • 昇格(プロモーション)
チェスにおいて、ポーンが盤面の一番奥に到達した場合、キングとポーン以外の他の駒に成り代わる事が出来るというルールがある。

ヒムはこのポーンの駒に備わった昇格(プロモーション)の能力と、アバンの使徒たちに一矢報いんとの執念が合わさった結果、金属生命体(リビング・ピース)となって復活できたのである。
なお、チェスの大抵の試合では、駒の中で一番強力だと言われるクイーンに成る事が多い。
ヒムの場合は男性なので、さしずめクイーンのパワーを持ったキングになった、と言ったところだろうか。

【主な人間関係】

最大のライバルにして後の親友。
当初はヒムの方から一方的にライバル視していただけだったが、幾度かの闘いを経てヒュンケルからも好敵手と認められた。
「『オレは最強なんだよ』って態度が気に入らねぇ」らしく、常に執拗に狙っていたが、結果として命を救われる。
連戦のダメージでヒュンケルが闘えなくなった後は、いつの日にか傷を癒したヒュンケルともう一度闘う日までヒュンケルの代わりに自分が闘う事を誓った。
彼への漢としてのヒムの思い入れは、ほぼすべての発言が非常に熱暑苦しい(燃え系のいいこと言ってるんだけどね)

創造主であり主君。
ダイ達の味方になってからもハドラーへの忠誠心は一切揺らいでおらず、アバンがハドラーとのかつての対決を語った際には微妙そうな様子だった。

親衛騎団のリーダー格で、血気盛んなヒムのブレーキ役。
ただ、アルビナスがヒュンケルとバランの決闘に横槍を入れようとした際には逆に彼女を諌めていた。

本来、主君になるはずだった男。
チェスの駒の総数16個*14から、大魔王バーンがハドラーに与えた親衛騎団の分の5個を差し引いた駒からなるオリハルコン軍団を形成している。
だが、過去のデータに頼りっきりなダメダメっぷりと、噛ませのオンパレードの如くやられていく同型の兵士を見て、ヒムからは
「……正真正銘のバカだぜ。あの(キング)
……オレ、ハドラー様の部下に生まれて良かったぁ~…。
…確率8分の1だもんな~…」*15
…と、辛口のコメントをされた。

光の闘気を武器に戦うヒムの戦闘スタイルは、ミストバーンにとっては天敵と言え、直接対決した際は一方的にボコボコにした。
魔王軍の中でもハドラーの数少ない理解者だったミストバーンに対して悪感情は無く、敵同士になってしまった事に内心気が引ける思いもあると語っていたが、ミストバーンが全盛期のバーンの身体を使っていたと知るとかなり失望した様子も見せている。
一方、ミストバーンはハドラーへの敬意故にヒムにハドラーの生まれ変わりみたいな姿・言動が我慢ならず、マジギレしている。

マキシマムの部下である兵士は5体まとめてラーハルトに瞬殺されており、ヒムもその延長程度にしか見ていなかったのか、当初は見くびっていた。
が、ヒムがミストバーンを圧倒するのを見て「オレでも危ないかもしれない」と評価を改めた。
尤もヒュンケルによるとスピードタイプのラーハルトはパワータイプのヒムにとって天敵と言える存在であり、まず負ける事はないとのこと。
逆に闘気技のないラーハルトはミストバーンとの相性が悪く、彼らの関係はちょうど三すくみになる。
しかしヒムからは、「ヤキを入れてやる」予定あり

同じハドラーの禁呪法によって誕生した、言わば「兄」にあたる存在。
劇中で本人同士の面識はなかったが、武人となる前のハドラーに作られた存在である為、恐らく反りは合わなかっただろう。
ファンの間では、もしもフレイザードが武人となったハドラーによって復活させてもらったら、ヒムのような性格になるのでは、とも言われている。

謎のモンスター(?)。
最初は「何この変なヤツ」的な感じで見ていたが、一応は命の恩人。
そして彼の美しく華麗な技と、ミストバーンにも引けを取らない体術には「格闘技の教科書みてぇな闘い方だ…」と呆然としていた。
彼自身「ヒュンケルに勝つ」という目標を持ち続けるなら、案外、最終決戦の後は彼に弟子入りするかもしれない。
ただでさえ素質に溢れたヒムが武神流を継承したら…
連載が続いていたら計画されていた『魔界編』に於けるエース戦力となっていた可能性も。おっとそんな女格闘家需要を否定するのはそこまでだ

獣王遊撃隊の隊長。
チウからはその男気をひと目で気に入られ、獣王遊撃隊第12号として強制入団させられてしまった。*16
遊撃隊内でのニックネームは「ヒムちゃん」*17
最初こそは嫌がったものの、「悪に奇跡は起こらない。でもヒムちゃんは正義の獣王遊撃隊隊員だから、奇跡が起きていい」と言われたことには強く救いを感じており、チウのことも「隊長さん」と呼ぶようになり、尊敬するようになった。
ボケ役のチウとツッコミ役のヒムとの漫才(?)は殺伐とした最終決戦での数少ない清涼剤である。
ちなみに、初登場時もダイの剣をたまたま引きずっていたチウに声をかけていたりする。
実力がいまだ伴わないが、心根の良い器の大きい隊長さんである

旧魔王軍時代のハドラーの忠臣。
本編時代は既にガンガディアが死んでいるので出会うことはなかったが、『勇者アバンと獄炎の魔王』の特別番外編ではその活躍を見て
「めっちゃ働いてるぞこのデカい人!」とシグマ、ブロックと共に敬意を表し、
ザボエラの振る舞いに「全く憧れない」とキレている姿には「一字一句同感だぜえデカい人!」とシグマ、ブロックと共にその心境に共感していた。



…んじゃあ…!許可をもらうぜ隊長さんよっ!
…こいつを追記・修正してもいいかい!!?…

…よし!許す!

どーも!!!

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最終更新:2025年04月10日 19:42

*1 後に2020年アニメ版において残る4名の変形シーンも描かれた

*2 漫画版では打撃でモンスターを全部あっという間にバーンパレスから叩き落とした。アニメではモンスターとの戦闘シーンが追加され、バーンパレスから叩き落としたモンスターはほんの少しで、最後は闘気の衝撃波?で残るモンスターを消し飛ばした

*3 もしくは、『グランドクルス』発動の際に消失したものと思われる。ひょっとしたら、ハドラーからの親衛騎団の「卒業」の証なのかもしれない。

*4 ただしノヴァとマァム=粉々死亡もアリ、ヒュンケル=ナシ、なので改心云々関係なしで、単純にヒュンケルだけ別枠らしい

*5 なお、『勇者アバンと獄炎の魔王』ではヒュンケルの義父であり、ヒムからすれば兄にあたるバルトスも今際の際に涙を流していた。

*6 ポップ「こん中でもトップクラスに強えーのに、チウにあしらわれてんぞ、アイツ」ラーハルト「掴めんヤツだ…」

*7 実際のチェスでもポーンはとても大事な駒であり、「ポーンはチェスの命」という格言を残したプロもいるぐらいである。ちなみに日本の将棋においても「歩のない将棋は負け将棋」というほぼ同意の格言が古くからある。

*8 一応、右の拳でもできないことはないと思われる。近い将来、右手で『超熱拳』、左で『闘気拳』なんて芸当もできるようになるかも。

*9 詠唱してる様子はないのでハッキリと言えないが、派生元であるルーラを使えることと、ハドラーのように別の原理で飛んでいる様子も無い。キメラの翼を使う手もあるが所持に向いた衣服の類もないため、トベルーラで飛翔しているものと考えられることが多い。

*10 『プロモーション』以前はホイミ等では回復せず、生み出した本人であるハドラーの元へ戻った際に「修復」してもらう必要があった。

*11 味覚はちゃんとあるようで、薬草を苦そうに吐き出していた

*12 よく薄情ではと言われるが、この時はマァムとは全くと言っていいほど交流はなかったし、取り憑いたミストだけを倒せる「空の技」の存在を知らなかったし、勘弁してあげよう。ヒムも実際に「可哀想だがよ…」と躊躇はしている。

*13 ただ、この時はアバンが剣もなかった状態だったのだが、ヒムと同様の構えを取っている。恐らく放つこと自体はできるのだろうが、結果は想像に難くないだろう。

*14 王・女王が1個ずつ、僧正・城兵・騎士が2個ずつ、兵士が8個

*15 チェスの兵士(ポーン)の数が8個であることによる発言

*16 バッジがなかったので魔法の筆(一度書いたら消えない代物)で「12」と胸に殴り書きされた。余談だが、「12」はトランプに於ける「クイーン(女王)」である。

*17 他の候補は「ヒーたん」、「ヒムすけ」、「ポンちゃん」。妙に多いレパートリーに引きながらも、「その中では…ヒムちゃん」と決定した。