超竜バハム

登録日:2014/06/22 Sun 20:06:18
更新日:2024/10/09 Wed 15:39:35
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その姿、その果敢さ、その強さ、時代の記憶に残されるであろう。




己のパートナーを信じること。それが如何に大切なことかは、すべてが終わる時にやっと気付けるものだ。
*1


超竜バハム》とは、TCGデュエル・マスターズ」のクリーチャー。
コロコロコミック2004年1月号のプロモーションカードとして封入され、その後も一般的なパックでの再録はされなかったカードでもある。

2022年現在でも最軽量の進化アーマード・ドラゴンの地位を持っている。


【スペック】

超竜バハム P(SR) 火文明 (4)
進化クリーチャー:アーマード・ドラゴン 11000
進化-自分のアーマード・ドラゴン1体の上に置く。
このクリーチャーは、バトルゾーンにある自分のドラゴノイド1体につき、シールドをさらにもう1枚ブレイクする。

カッコいいイラストに違わず、レアリティもスーパーレア。
一見すると、素晴らしいドラゴンのように見える。

まず、4コストのアーマード・ドラゴンであることが挙げられる。
これは、アーマード・ドラゴンでは最軽量であり、現在もその地位を確立している。
さらに4コストなのに、パワーが11000もある。
現在でも、4コスト域でパワー11000を超える進化クリーチャーはなかなか存在しない。

能力は事実上のクルー・ブレイカー
対象種族ドラゴノイドは軽量で並べやすいものばかり。
どんどん並べて、相手のシールドを吹き飛ばしてやろう。



と言いたいところではあるが…。



実は2004年当時だと、超使いにくいアーマード・ドラゴンだったのである。
能力自体は悪くないのだが、コストに対する種族や能力が致命的に噛みあわせが悪いと言わざるを得ない…。

まずコストの問題がある。
4コストなのは良いのだが、残念ながら進化元指定が『アーマード・ドラゴン』なのが問題なのである。

まず、アーマード・ドラゴンで4コスト未満の非進化クリーチャーが、このカードの登場時点から長らく存在しなかった。

最低でも、このクリーチャーを召喚できるのは5ターン目以降になってしまったのだ。
5ターン目以降に召喚できる進化ドラゴンには、こいつより性能の高いドラゴンなど数多くいるのである。

同じ『超竜』である《バジュラ》が、『ドラゴン』なら何でも進化できる。
バハムもそういう進化でよかったような気がするのだが、当時にしては軽量すぎたのでこういう調整がされたのだろう。

さらに、ドラゴノイド指定の追加ブレイクとの能力の相性も悪い。
何故なら、進化元の高コストアーマード・ドラゴンをデッキに入れようとすると、軽コストのドラゴノイドとの兼ね合いが難しいのだ。
結果としてデッキは、軽いのか重いのかがよく分からないデッキ構成になってしまう。

ただ、コスト面に関しては、改善できる余地が見えてきた。
それは、2014年に発売された、DMD-15「ビギニング・ドラゴン・デッキ 熱血の戦闘龍」にて《霊峰竜騎フジサンダー》というカードが登場。

《フジサンダー》は、非進化アーマード・ドラゴンでは当時最軽量のコスト4である。
このカードの登場により、バハムも一応5ターン目に召喚することが可能になった。

次に追加ブレイク能力である。

ドラゴノイド指定の追加ブレイク能力は、ドラゴノイド自体が軽いので問題はない。
しかし、《バハム》の進化元であるアーマード・ドラゴンとバランスが取りにくいのは、前述で述べた通りである。

さらに、《バハム》には最強ライバルカード《レジェンド・アタッカー》が存在する。
《レジェンド・アタッカー》を唱えた方が、《バハム》を使うより、ダイレクトアタックが決めやすいという点が存在する。


結論を言うと、このカードは軽量進化ドラゴンという見た目に反して使いにくい。
軽すぎるコストが、逆に仇となったという珍しいカードではある。

しかし、《バハム》を上手く利用した専用デッキは使っていて楽しいという意見も存在する。
早期の進化が出来るようなデッキを構築すれば、そこそこの働きは見せてくれるだろう。

今後の新規カードで相性の良いものが出れば、化ける可能性はあるかもしれない。


【相性の良いカード】


▽軽量ドラゴノイド

凶戦士ブレイズ・クロー C 火文明 (1)
クリーチャー:ドラゴノイド 1000
このクリーチャーは、可能なら毎ターン攻撃する。

最軽量のドラゴノイド。序盤からガンガン殴れるのでアタッカーとしても優秀。
このクリーチャーを入れずに《バハム》を扱うのはほぼ不可能だろう。


愛護兵ブランカ C 火文明 (2)
クリーチャー:ドラゴノイド 1000
セイバー:アーマード・ドラゴン

アーマード・ドラゴンの身代わりになれるドラゴノイド。
ブレイク数の底上げや、進化元の護衛に役立つ。
ただ、ドラゴンのセイバーは更に優秀なものが多数登場してしまったため、現在では《バハム》専用のセイバーとなっている。

フレーバーテキストもこのデッキに似合うと評判。
「希望はあなた様の中に!」


先陣兵アインデッカー C 火文明 (3)
クリーチャー:ドラゴノイド 4000
自分のマナゾーンにカードが3枚以上あれば、このクリーチャーを[火(1)]支払って召喚してもよい。そうしたら、このターンの終わりにこのクリーチャーを破壊し、カードを1枚引く。

コスト3のドラゴノイドだが、自分のマナゾーンにカードが3枚以上あればわずか1マナで召喚できてしまう。しかしこの方法で出すとターンの終わりに自壊する。
多分《バハム》使いが考えたオリカ。
3ターン目に出して普通にブレイク枚数の増強に使ってもよし、5ターン目に出した《バハム》の横に1マナで添えて、《バハム》を2打点にすることもできる。
1マナで出して自壊する時は1ドローできるので、最悪手札交換にも使える。
ウィニー種族ゆえにパワーが低めのドラゴノイドにしては3マナ4000とバニラ並みのパワーを持つため、マッハファイターや除去にもそこそこ強い。




要撃闘士スピニング・スピン UC 火文明 (4)
クリーチャー:ドラゴノイド 3000+
スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない。)
<マジボンバー>3(このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を見る。その後、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札または山札から出してもよい。)
ウェーブストライカー(「ウェーブストライカー」)を持つクリーチャーが他に2体以上あれば、このクリーチャーに次のWS能力を与える。
WS-このクリーチャーのパワーを+3000し、「W・ブレイカー」を与える。(「W・ブレイカー」を持つクリーチャーは、シールドを2つブレイクする)

4マナのドラゴノイドだがスピードアタッカーとマジボンバー、さらにウェーブストライカーによる自己強化を備えた(ドラゴノイドの中では)ハイスペッククリーチャー。
《バハム》とはコスト域が被ってしまうものの、マジボンバーでドラゴノイドを展開しておいて打点を稼いでおく動きは強力であり、マジボンバーで踏み倒せるコスト3のドラゴノイド、さらに「ウェーブストライカー」を持つ有名な《炎舞闘士サピエント・アーク》がツインパクト化したことにより8枚積めるようになった結果、

2ターン目《ボル武者の炎霊》→3ターン目《サピエント・アーク》→4ターン目《スピニング・スピン》、攻撃時マジボンバーで《サピエント・アーク》(ここで「ウェーブストライカー」達成)→5ターン目《バハム》でシールドを全てブレイクしゲームエンド

という《バハム》が出た当初では考えられないような動きが理論上は可能になった。




▽進化元候補

デュアルショック・ドラゴン SR 火文明 (6)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 8000
S・バック:火
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドを1つ、墓地に置く。

S・バックでコスト踏み倒しできるアーマード・ドラゴン。
シールドは減るが、負ける前に殴り切れれば問題ない。
しかし、2005年当時の火文明はシールド回収能力を持たなかったため、高速召喚は相手任せだった。

現在は《斬斬人形コダマンマ》などシールド回収が沢山登場したので、2ターン目から場に出せるようになった。

霊峰竜騎フジサンダー P 火文明 (4)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/ロック・ビースト 6000
ガードマン
バトルゾーンに自分の他のドラゴンがなければ、このクリーチャーは攻撃できない。
W・ブレイカー

DMD-15 「ビギニング・ドラゴン・デッキ 熱血の戦闘龍」で収録された、軽量アーマード・ドラゴン/ロック・ビースト
火単色の非進化アーマード・ドラゴンでは、当時最軽量の4に到達した。

このカードの存在により、上述の通り《バハム》を5ターン目に降臨させることも可能になった。
3ターン目までにドラゴノイドを並べる→4ターン目に《フジサンダー》→5ターン目に《フジサンダー》から《バハム》に進化して相手に殴りかかる、という流れも不可能ではないかも。


レオパルド・グローリーソード P(UC) 自然文明 (2)
クロスギア
これをクロスしたクリーチャーに、好きな種族の進化クリーチャーを置いてもよい。
このクロスギアに、好きな文明の進化クロスギアを置いてもよい。

クロスギア
これをクロスしたクリーチャーは、どの種族指定の進化クリーチャーの進化元になれる。

1コストや2コストのドラゴノイドにコイツをクロスさせると、あら不思議。
4ターン目に《バハム》の降臨が可能になる。相手も4ターン目に《バハム》を出されればさすがに恐怖に陥るはず。

ファイナル・ドラグアーマー SR 火文明 (3)
クロスギア
これをクロスしたクリーチャーは「パワーアタッカー+5000」を得、シールドをもう1枚ブレイクし、種族にアーマード・ドラゴンを追加する。

クロスギア
クロスしたクリーチャーは、強力なパワーアタッカーや追加ブレイク、さらに種族にアーマード・ドラゴンを追加する。

これを使えば、《バハム》の召喚もいくらか楽になるはず。
これで殴りまくれば良くね!?』とか『6コスもかかるし、その頃にはもっと良い進化獣が存在する』とかは禁句だぞ。

レジェンド・アタッカー R 火文明 (4)
呪文
このターンが終わるまで、バトルゾーンにある自分のドラゴノイドはすべて、種族にアーマード・ドラゴンを追加し、パワーが+4000され、「W・ブレイカー」を得る。

火の呪文。
ドラゴノイドをアーマード・ドラゴンにさせ、パワーを強化しさらにはW・ブレイカーも追加してくれる高性能呪文。

ただ、《バハム》をフィニッシャーにしたドラゴノイドデッキを作ろうとしても、『この呪文で良くね!?』となることが多い。
この呪文を使って、《バハム》を進化させる方法も悪くはないが、8コストかかるので難易度が高い。

メガ・イノポンドソード P 自然文明 (2)
オレガ・オーラ +0000
これを付けたクリーチャーの上に、自分のどの種族の進化クリーチャーを置いてもよい。
オレガ・オーラ:これを自分のGRクリーチャー1体に付けるか、1体GR召喚してそれに付ける。そのクリーチャーがバトルゾーンを離れたら、これも同じゾーンに行き、その後、そのGRクリーチャーは自分の超GRの一番下に戻る。

自然文明のオレガ・オーラ。
先に紹介した《レオパルド・グローリーソード》とほぼ同じ使い勝手で使用できる上に、ジェネレートとクロスで4マナ掛かるクロスギアのあちらと違い、これ1枚で進化元となるクリーチャーも超GRゾーンより呼び出せるのがメリット。

ボルシャック・栄光・ルピア P(C) 火/自然文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード/アーマード・ドラゴン 4000
このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から1枚目をタップしてマナゾーンに置く。それがドラゴンなら、自分の山札の上からさらにもう1枚、タップしてマナゾーンに置く。
上記の《フジサンダー》が一瞬で吹っ飛ぶ程の 超スペックドラゴン ボルシャックの欄も参照。
多色とは言え、 コスト3 のアーマード・ドラゴンは危険すぎる。
おまけにマナ加速も併せ持つので《ブレイズ・クロー》ら軽量ドラゴノイドを並べながら、4ターン目に《バハム》を進化させる事が遂に可能となった。

ボル武者(むしゃ)炎霊(ソウル) C 火文明 (2)
タマシード:アーマード・ドラゴン/サムライ/レクスターズ
シンカライズ:このタマシードがクリーチャーであるかのように、この上に進化クリーチャーを置いてもよい。
このタマシードが出た時、相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊する。

火文明のタマシード。
クリーチャーではないが上に進化クリーチャーを重ねることが出来るシンカライズ能力を持ち、登場時に4000火力を放てる。
遂に登場した《バハム》以下のコストを持つ非進化火単色アーマード・ドラゴン。
クリーチャーではない故に打点として運用することは出来ないが、逆にクリーチャーでない故に除去に対して耐性がある。
2ターン目に出しておいても4ターン目まで残っている可能性はそこそこあるため、4ターン《バハム》の難易度は大幅に下がった。
出た時の4000火力も《とこしえの超人》くらいまでなら射程範囲に収めているため、厄介なメタクリーチャーを先に処理しておくことも出来る。

紫電(しでん)炎霊(ソウル) UC 火文明 (4)
タマシード:アーマード・ドラゴン/サムライ/レクスターズ
シンカライズ:このタマシードがクリーチャーであるかのように、この上に進化クリーチャーを置いてもよい。
このタマシードが出た時、自分の山札の上から5枚を見る。その中から進化クリーチャーを1体相手に見せ、手札に加えてもよい。残りを好きな順序で山札の下に置く。
シンカパワー:このタマシードが進化する時、このターン、この進化したクリーチャーが初めて攻撃する時、その攻撃の後アンタップする。

火文明のタマシード。
シンカライズ能力に加え、出た時にトップ5枚から進化クリーチャーをサーチできる。
特筆すべきは進化元にした時に発動するシンカパワーで、出たターン限定で2回攻撃を付与してくれる。
盤面のドラゴノイドにブレイク枚数が左右される《バハム》にとっては、お手軽に打点を実質2倍にしてくれる強力な能力。

ボルゼラス・ドラゴン R 火文明 (3)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 4000
各ターン、このクリーチャーの最初の攻撃の終わりに、このクリーチャーをアンタップする。
メガ・ラスト・バースト (このクリーチャーが離れて、手札、マナゾーン、または墓地に置かれた時、このカードの呪文側をコストを支払わずに唱えてもよい)
「オレの行く道は止められねぇ」 R 火文明 (3)
呪文:アーマード・アーツ
相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体選び、破壊する。
カードを1枚引く。

拳怪!Law儿&テイル UC 火文明 (3)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/マジック・コマンド 4000
ガードマン (このクリーチャーをタップして、相手クリーチャーの攻撃先を、自分の他のクリーチャーからこのクリーチャーに変更してもよい)
このクリーチャーがタップした時、相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体選び、破壊する。

2023年になって漸く登場したコスト3単色アーマード・ドラゴン達。
能力も優秀で、これだけ沢山の進化元を抱えられればもう困らないだろう。



【余談】

  • 背景ストーリーでは、フレーバーテキストから考察するに、ドラゴノイドからはとして崇めまつられているらしい。
    ドラゴノイドの設定や、バハムの能力から考えるに、妥当な扱いであろう。

  • 古いプロモーションカードでは、テキストが『シールドを攻撃したとき』という記述になっている。
    しかし実際には、クリーチャーが攻撃できるのは『プレイヤー』である。
    紛らわしいが、ゲームでは難なく使えるためあまり問題はないだろう。



その作成、その追記、その修正、アニヲタWikiの記憶に残されるであろう。

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最終更新:2024年10月09日 15:39
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*1 画像出典:Twitter イラストレータータカヤマトシアキ氏 @tata_takayama 2019年3月5日投稿 https://twitter.com/tata_takayama/status/1102763267426902017?s=20&t=0gr5GMB9nwBL5kB4AN4csQ