邯鄲の夢(相州戦神館學園 八命陣)

登録日:2014/07/26 (土) 00:03:24
更新日:2024/10/22 Tue 14:16:17
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邯鄲の夢とは、『相州戦神館學園 八命陣』、『相州戦神館學園 万仙陣』に登場する用語。
名前の由来は中国の故事。

公式サイトでは邯鄲の夢は夢界において使用できる超常の力のように書かれているが、正確には邯鄲の夢とは夢界そのものを指し、そこで使用できる力は邯鄲法と呼ばれる。
作中でも邯鄲の夢を夢界と呼ぶことは時々あるが、邯鄲法を邯鄲の夢と呼ぶことはほとんどない。

この項目ではその両方について解説していく。ネタバレも多々あるので注意。









◆来歴

まずこの邯鄲の夢が構築されたのは日露戦争の時代。神祇省の手によって行われた。

この時代、既に神祇省は解体されていたが、未だ残党は存在していた。組織の復興のために物部黄泉が編み出した普遍無意識に接続し、人類が抱くイメージを現実に具現化させる法。それが邯鄲の夢の雛形であった。

実際にこの術はある程度の効果を示し、日露戦争でもある程度の効果を上げていた。





しかし、この術を完全なものとするために戦真館学園で行われた実験は失敗。邯鄲から逆流してきたべんぼうによってその場にいた全員が発狂して殺し合いを始め、ただ一人を残して全員が死亡するという事態に陥った。

流石にこれに懲りた神祇省は実験を取り止めたが、その実験に目を付けていた柊聖十郎の手によって邯鄲の夢の術は完成。

そして自身が邯鄲に身を投じる前に安全を確かめるための実験台を探していた彼の前に現れた男、甘粕正彦によって夢界はその姿を変貌させていくことになる。








◆邯鄲法

前述した通り、邯鄲の夢において使用できる超常の力であり、自らのイメージによって発現する。
大別して戟法・楯法・咒法・解法・創法の五種があり、それぞれを更に二つの分野に細分化して計十種の夢が存在する。
この能力にはそれぞれ向き不向きがあり、現実世界での身体能力や強い思いに影響を受ける。本人の性質によっては望む能力が手に入ったり、逆に自分にとって疎ましい部分が能力に反映されたりもする。


  • 戟法
身体能力を強化する夢。パワー型の「剛」とスピード型の「迅」に分かれる。
自らの運動神経や筋力という、もっとも馴染みの深い感覚に干渉する力のため、現実でのスペックと比例しやすい。
つまり、現実世界で高い能力を持つ者は戟法も高い数値にあり、逆に身体能力が低い者は低い数値になるということ。


  • 楯法
体力・スタミナや耐久力を強化する夢。防御型の「堅」と回復型の「活」に分かれる。
前者は防御力の向上、後者は治癒能力を意味する。
ただ、人間にとって致死レベルの負荷を耐えたり癒したりというイメージが非常に困難であるため、扱いが難しい夢でもある。
この夢に特化した性質の持ち主は、精神的に非常に強いか、或いは生物としてどこかが壊れているかのどちらかだという。


  • 咒法
イメージを放つ夢。矢のように飛ばす「射」と爆発のように広げる「散」の二つに分かれる。
つまりは間合いを伸ばす能力。高い資質であればあるほど、より高威力かつ高射程・広範囲に影響を及ぼすことができる。


  • 解法
他者の力や感覚、場の状況等を解析・解体する夢。すり抜ける「透」と破壊する「崩」の二つに分かれる。
つまりは夢を無効化する能力。例えば相手の攻撃を透過して躱したり、逆に相手の防御を貫通して攻撃を加えることが出来たりする。


  • 創法
イメージを具現化する夢。物質の創造や操作を成す「形」と、環境の創造や操作を成す「界」に分かれる。
形は武器や防具の具現化。本人の愛着がある物ほど具現化の精度も高くなる。ただし、精度が高くなると現実的な性能に留まってしまうため適度に夢を持つことが大事。

界は天候や季節の具現化。しかしこの能力は他のどの能力よりも難度が高く、高い資質を持ち、その中でも一握りの人物が後天的に化けることでようやく使える上位スキルである。そのため、これをまともに使える人物はほとんどいない。







◆五常楽

術者個人の戦闘技能ないしは熟練深度を判定する為の評価尺度。
つまりどれだけ邯鄲法を使いこなせているかの基準であり、「序・詠・破・急・終」の五つから成る。


  • 序段
初歩中の初歩。一度に一種類の夢しか使えない段階。
この場合の一種類とは戟法・楯法・咒法・解法・創法の五種類を指す。同じ系統に属する能力を使う場合、例えば戟法の剛による筋力の強化と、同じく戟法の迅による速度の強化はこの段階でも制限なく使えるということ。

ただし咒法の「射」と「散」に関してはその限りではなく、他の複合技よりも高度な技量が要求される。


  • 詠段
夢を掛け合わせる高等技術・顕象が使用可能になった段階。この段での限度は二つ。
例えば、戟法(筋力の強化)と解法(無効化)を合わせて攻撃力をさらに上昇させたり、楯法の活(回復)と咒法の散(範囲の拡大)を合わせて仲間を回復したりといった事ができるようになる。



  • 破段
術者個人が思い描く“自分だけの夢”を構築し展開する事が可能になる段階。つまり固有技の習得。
Dies irae』の創造に近いイメージだが、最大の違いはあちらの元になっているのが渇望、現れる能力がどうであれ元になっているのが自分自身の願いであるのに対し、こちらの元になるのは夢、つまり強い思いであること。
邯鄲法においては自分の疎ましく思う性質も形になる場合があるというのは先述したが、破段でそれが現れた場合、本人のトラウマや精神の歪みがそのまま反映された能力が発現してしまう。
かなり特殊な例になるが、複数の破段を持つ者も存在する。

名称 使用者 勢力
犬田小文吾悌順 柊四四八 戦真館
犬山道節忠与
犬塚信乃戌孝
名称不明 龍辺歩美
名称不明 我堂鈴子
名称不明 大杉栄光
名称不明 鳴滝淳士
中台八葉種子法曼荼羅 壇狩摩 神祇省
夜叉面・阿修羅 夜叉
怪士面・黒式尉 怪士
泥眼面・橋姫 泥眼
夢合延寿袋大成 芦角花恵(人形) 逆十字
傾城反魂香 辰宮百合香 貴族院辰宮
名称不明 幽雫宗冬



  • 急段
破段の能力を更に強化した段階。三つ以上の夢を複合した奥義である。
この段階の能力には「協力強制」のルールが適用される。これは自分のみならず相手のイメージも能力に上乗せすることで強化するというもの。急段には全て使用条件とも言うべきルールがあり、相手がその条件を満たした場合にのみ初めて発動可能になる。

急段の恐るべき点は上述の通り、使用者の力に加え合意した相手の力が乗るため、一度発動すれば絶対に相手を上回る脅威となって発現する点にある。故に嵌れば必殺となり、邯鄲法の熟練者同士の対決では相手の急段の発動条件に引っ掛からず、いかにして自分の急段の発動条件に嵌めるかが勝負の鍵を握る事になる。

この協力強制のパターンは大きく分けて三つ。
一つ目が「片方の要求に対し、もう片方が合意すること」。
比較的条件を満たしやすい簡易の急段であり、回復や自身の強化の能力が多い。
ただ、人によっては「相手が抱いた感情を拡大解釈した上で発動し、代償を奪う」という性質の悪すぎる能力もあったりする。

二つ目が「片方が抱く思考に対し、もう片方が同意すること」。
この協力強制の条件を持つ者には何かしらの信仰を持つ者が多い。例えば、「自分は○○だ」という思考を持っている者は、条件を満たすことでその存在に変貌する。大抵そういった考えを持つ者は普段の行動にもそれが現れているため、相手が勝手に型に嵌る事になる。
逆に相手のそういった考えを利用してその相手に対してのみ絶大な効果を誇る能力を発動させる急段もある。

そして三つ目が「両者が同じ思いを持つ事」。
このタイプの急段は特に発動させるのが難しいが、その分強力なものが多い。
基本的に発動条件となる思いが細かく設定されている能力ほど強力になる傾向がある。

名称 使用者 勢力
犬江親兵衛仁 柊四四八 戦真館
犬川荘助義任 真奈瀬晶
犬坂毛野胤智 龍辺歩美
犬村大角礼儀 我堂鈴子
犬飼現八信道 世良水希
名称不明 石神静乃
名称不明 世良信明
軍法持用・金烏玉兎釈迦ノ掌 壇狩摩 神祇省
生死之縛・玻璃爛宮逆サ磔 柊聖十郎 逆十字
鋼牙機甲獣化帝国 キーラ 鋼牙
穢跡金剛禁百変法 幽雫宗冬 貴族院辰宮
雲笈七籤・墜落の逆さ磔 緋衣南天 逆十字
斯く在れかし・聖四文字 甘粕正彦
万仙陣 黄錦龍


以下作品の根幹に関わるネタバレ

















盧生

邯鄲の夢に入る資格を持つ者。名前の由来は故事『邯鄲の夢』の主人公から。
基本的に邯鄲に入ることが出来るのは盧生のみだが、盧生の眷属となれば邯鄲に入ることが出来る。
ちなみに眷属となった者は何度でも蘇ることが出来るが、盧生が死ぬと眷属も道連れとなって死亡する。
そして真の盧生のみが第六法、終段を行使することができる。

  • 終段
普遍的無意識に蓄積されている太古から人類が想像したあらゆる神話存在・事象を引き出し、操る力。
盧生によって呼び出せる存在には限りがあり、逆に性格が合致すればより強く権能を引き出せる。

名称 使用者
仁義礼智忠信孝悌 柊四四八
霊虎童子
蝿声厭魅 甘粕正彦
明けの明星
裏勾陳
黄龍
海原に住まう者・血塗れの三日月
大黒天摩訶迦羅
神々の黄昏
高き者の箴言 クリームヒルト
四凶渾沌・鴻鈞道人 黄錦龍
九天応元雷声普化天尊
十絶の陣
玻璃爛宮 緋衣南天









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最終更新:2024年10月22日 14:16