パチソン

登録日:2015/03/12 (木) 14:30:41
更新日:2025/04/12 Sat 15:54:22
所要時間:約 7 分で読めます





この項目を見ているwiki篭りの諸君の中には、
ホームセンターや高速道路サービスエリアなどでアニソンの入ったカセットテープを見たことがあるかもしれない。

そしてそれに手を取り、収録曲を見てみると、
勇気100%』や『ムーンライト伝説』『おどるポンポコリン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』等の名曲がラインナップされている。
しかもそこそこ安い。「これは買いだ…」そう思ってしまう人もきっといるだろう。

だが、ちょっと待って欲しい。


表のパッケージを見て何かに気づかないだろうか?


アニメ版とも原作版ともつかないデッサンの崩れた乱太郎、自分の妹が書いた方が上手いセーラームーン、
まる子に至っては「とりあえず顔に縦の線入れときゃそれっぽくなるだろう」という感じで投げやり感丸出しである。
ジュウレンジャーのティラノレンジャーに至っては影の中にヘルメットの目が浮かんでるだけ。まるで「あやしいかげ」だ。
それに明らかにトレースか見よう見まねで描いたポケモンや特撮ヒーローなんかがいる事もある。

不安に思って裏の歌手をもう一度見てみよう。
光GENJIやB.B.QUEENSの名はどこにもない。大抵はノンクレジットであり、もし名前が載っていたとしてもまず聞いたこともない無名の人物ばかりである。
察しのいい子じゃなくても、この時点で大体気づく。
「これは無しだ…」

だが、この呪縛に魅入られてしまう者も少なからずいる。
一つはテープから溢れるダメオーラに気づかず買ってしまう純粋な子供達。これは仕方がない。高い勉強料を払ったと諦めなさい。

もう一つは中の曲が怪しい事に気づかず子供が喜ぶと思って買ってくる両親や祖父母等。善意が仇になってしまうパターンである。
そして最後は…こういった物を集めているマニアな収集家だ。強者すぎる。もしかしてみうらじゅん辺りの弟子かもしれない。


こういった本人の歌唱ではない歌の数々が、タイトルにある「パチソン」である。

パチソンとは「パチもん+ソング」の略で、一般的には殆どがアニソンである事が多い。
パチンコソングではない。
歌謡曲やニューミュージックもパチソンが売られていることがあるが、アニソンに比べると非常に珍しい。


主にカセットテープかマキシサイズのCDが殆どで、以下のような特徴がある。

(1)伴奏がおかしい
「原曲と同じ楽器が揃えられない」「オリジナルほどのテクニックを持った演奏者がいない」
「そもそもきちんと元の曲を知らない」という理由で原曲から大胆過ぎるアレンジが加えられている。
プロの編曲家がやっているならまだしも、こういう類のスタッフは言ってはなんだが音楽センスが皆無なので
大体が原曲レイプとなる。
例:『宇宙戦艦ヤマト』 ラストの「宇宙戦艦ヤーマート~♪」の部分の音程が上がらず平板になっている
  『マジンガーZ』 出だしのテンポのリズムが悪いため、「そらに そびえる」の部分が乗り切れていない 等


(2)歌詞がおかしい
「原曲の歌手が聞き取りにくい」「きちんとした歌詞が入手できず、耳コピに頼らざるを得ない」
「そもそもきちんと元の曲を知らない」という理由でこちらもかってに改造されている。
厳密には著作権等に抵触する筈なのだが、何故か裁判沙汰にならずにそのまま発売されている。
例:『ウルトラマンA』
  正→今だ 変身 北斗と
  誤→今だ 変身 北斗とみなべ
  正→ヤプール人の 魔の手が伸びて
  誤→ヤプール人の 空手が伸びて
  『スーパーロボット マッハバロン
  正→じゅうりんされて 黙っているか
  誤→チューニングされて 黙っているか
  正→マッハコレダー ぶっぱなせ
  誤→ああこれだ 噴く風
  『バトルフィーバーJ
  正→バトルケニア! 「Ndiyo(ディオ)!」
  誤→バトルケニア! 「ディオ!」 等


(3)歌手が原曲のイメージに合っていない
「オリジナルに近い声質の歌手を雇うギャラがなかった」「スケジュールが空いてる人が他にいなかった」
「そもそもきちんと(ry」という理由で明らかなミスマッチ歌手が連れてこられる事が多い。
たまに似せる気がある人が来るが、「似せる気がある」と「似ている」の間には大きな差がある。コロッケや清水アキラに謝れ。
例:民謡歌手のような『キカイダー01
  レコードを早回ししたかのような高い声の『アマゾンライダーここにあり』
  声がかすれて歌えていない『ゆずれない願い』
  ほんこんが酔って叫んでいるようにしか聞こえない『駆けろ!スパイダーマン』
  西川貴教「っぽい」『INVOKE』 等

上記の3つの合わせ技という高度なパチソンもある。まさに耳レイプ。

が、中には無名の歌手ではなく藤井健さん(『ゼンダマン』や『戦国魔神ゴーショーグン』の人)、
池田鴻さん(『翔べ!ガンダム』や『バトルホーク』、『グロイザーX』の人)、風雅なおとさん(『電磁戦隊メガレンジャー』やKAITOの声の人)といった
本業の人を使ってる場合もある。

これらは「パチソン」ではなく「カバーソング」に分類した方が妥当ではあろう。
特に上述の藤井健氏はその歌唱力と幅広いカヴァーソングの数から『パチソンの帝王』と若干不名誉に呼ばれいたり呼ばれていなかったり。

なお、原曲のほうがヘタ、もしくはてつをなせいで、むしろ原曲よりも歌唱力が高いパチソンも存在する。


また、幼い頃パチソンに慣れ親しんだ人の中にはむしろ本物に違和感を感じる人もいる。
原曲は水木一郎さんやささきいさおさん、子門真人さんといったプロの人たちなのだが……

近年ではアニソンの多様化や音楽メディアの世代交代により、こういった曲を耳にする事はめっきり減った。(一応音楽配信サービスなどにも本家に紛れてちょくちょく出てるらしいが...)
だが、もし仮にこれらを聴く機会があれば……

脱 力 せ よ ! ! そ し て 笑 え ! !


追記・修正は「これ俺が歌った方がマシなんじゃないか」と思った方がよろしくお願いします。


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最終更新:2025年04月12日 15:54