「M3 Lee」
…などと書いておきながらいきなりそれを裏切る、「明確な欠点しかない」アメリカ屈指の苦行(弱くて活躍しにくい=経験値が溜めづらい戦車のこと)戦車。
tierは4で、区分は中戦車。通称
リー先生。
まず見た目通りのクッソでかい車体故に隠ぺい率が極悪なまでに低く、茂みに隠れていても余裕で見つかってしまう。そして逆にこちらの視界は同格中戦車の中でも最低。
装甲やHPも全然頼りにならないため、「敵からは見つかりやすく、こちらは見つけにくく、かつ死にやすい」という驚愕の3重苦を背負っている。
これだけならまあいいのだが(よくねぇよ!)、より深刻な欠点は中戦車なのに砲塔が回らないこと。
Wotにおいて各戦車はそれぞれ主砲1基しか武器を使用できないので、リー先生の場合は車体に搭載する固定式の砲しか使えない。
このため敵との接近戦=死と言っても過言ではなく、柔軟なポジショニングを求められる中戦車なのに、前線を張ることができないのである。
駆逐戦車的に使おうとも、同格のM8A1と比べDPMこそ高いが単発威力も貫通力も劣り気味、しかも向こうは駆逐戦車の癖に砲塔が回る。
そして最大の問題は、アメリカの中・重戦車ルートを進めるためにはこの戦車を絶対に避けて通れないという点だろう。
初心者はアメリカツリーがいいぞ!とよく言われるが、それは「リー先生はまあ、その、あれな」という暗黙の前提が附されていることを忘れてはならない。
流石に流石なのか、v1.9.0アップデートで、ついに通常ツリーを外れてコレクション戦車に隔離された。ガルパンおじさん以外に買う人は居ないと思う。
代わりにTier4中戦車の枠に入ったのはT6 Medium。シャーマンの試作車両ということで砲が微妙な事を除けばそれなり…というかM3がひどすぎた。
「M5 Stuart」
M3軽戦車のエンジン・クラッチを乗せ換えた改良型で、tierは4。区分は当然軽戦車。
太平洋戦争では日本の「中戦車」
チハたん相手に無双したことで知られるM3スチュアートの改良型なのだが、Wotではゲームシステムの都合上、極めて不遇な軽戦車として知られている。
偵察用軽戦車としてみた場合tier4としては充分な性能を持っているのだが、いまだ軽戦車でも撃ち合いに参加しなくてはならない同tier帯において、火力・装甲の不足があまりに深刻なのである。
火力はただでさえ不足気味だったM3からほとんど進歩が無く、貫通・威力・精度のいずれをとっても劣悪そのもの。
当初は75mm榴弾砲での嫌がらせという立ち回りも出来たのだが、v0.9.3で75mm榴弾砲をボッシュートされてしまう。
残されたのはM3の時点で威力も貫徹力の怪しい37mm砲と、それを5連射する砲の2本のみ。
5連射砲も連射したところで貫通できなければ意味が無い上、1クリックで5発吐き出すという機関砲的さむしんぐなので、下手に金弾を使うと弾薬費とんでもないことになるのがアレ。
装甲と機動性に至ってはむしろM3から劣化しているという有様で、ぶっちゃけた話視界以外はM3の下位互換と言っても差し支えない。改良とはいったい……うごごごご
しかもかつては「戦闘力はダメダメだが、偵察性能は並以上ぐらいあるのでなんとかなる」という評価でとどまっていたのだが、最近マッチングが修正されて軽戦車でも1/2の確率でティアトップ(=撃ち合い担当)になるため、本格的にやばいことに。
その統計勝率はアメリカ通常ツリー車両で下から2番目、勝率ではなく活躍率であるWN8レーティングではアメリカ通常ツリー車両以外を含めても下から2番目、全戦車でも874/888であり、リー先生が勇退した以上、最早アメリカ戦車の苦行を全部引き受ける車両と言っても過言ではない。
なんでリー先生を勇退させたのにこいつも勇退させなかった!
ちなみに中国ツリーにあるレンドリース版のM5A1は、47mm砲が積めるため火力がマシになり・エンジンの改良で機動力共にオリジナルを圧倒的に上回り、同tier軽戦車の中でも最強を争える戦車になっている。それでいいのかアメリカ。
物量帝国アメリカを体現する中戦車シャーマン。tierは5で、区分は中戦車。リー先生による長きにわたる拷問教育を終えたプレイヤーにようやく与えられるご褒美である。
v1.9.0でリー先生が隔離勇退された事もあり、ご褒美感は薄くなったかも。
突出して厚い部分はないが全周に渡ってそれなりの装甲、10榴による高いパンチ力、中戦車として必要十分な機動性、中戦車にしては広い視界など、アメリカ戦車らしいそつのない優等生ぶりが魅力。
さらにこれもアメリカ戦車に多い特徴だが、砲の俯角が大きく、稜線射撃が非常に得意。
偵察気味に前に出るもよし、ダメージ交換で殴り合うもよし、遮蔽物を使って撃ち合いもよし、地形をつかった待ち伏せもよしと、対応できる戦況の幅が非常に広い。
アメリカンサイズな車高の高さゆえに若干被弾しやすいという欠点もあるが、バランスが取れた性能と懐の深い対応力を持つ、中戦車の鑑ともいうべき一台。
ちなみにシャーマン系列基本であるこれ以外にもバリエーションが多く、ver1.9.0でTier6コレクション車両行きとなった重装甲化タイプのA3E2シャーマンジャンボ、一つ上のTier6中戦車となるA3E8イージーエイト、
そして珍しく英国アレンジが常識的な方向に働いたファイアフライ(こちらは英国のTier6コレクション車両)などはそれぞれ独立している。
「M18 Hellcat」
殺せ!今すぐ殺せ!
糞猫殺すべし!慈悲はない!!!…と長い間言われ続け、Wot屈指のヘイトを集めてきた
クソ戦車。tierは6で、区分は(一応)駆逐戦車。
前述したとおり、駆逐戦車と言えば「高い火力と引き換えに、他の性能は低い」というのが相場だが、この糞猫ちゃんは畜生なので後者の条件を忘れてしまっている。
つまり、軽戦車すら上回る高い機動性、常軌を逸した超高隠ぺい、駆逐戦車としては異常に広い視覚範囲、申し訳ない程度の弱点として装甲が薄く、とくにオープントップ車両のため、自走砲に爆撃を食らうとほぼフルダメージ、砲塔の正面は硬いが、車体自体はTier1並の13mmのため、きちんと狙われるとHEでフルダメージをもらう事も珍しくない。
しかし隠蔽率が高く見つかりにくい上、車体が小さく狙われにくいのと、加速力が高く回避性能自体が高いと、あらゆる点で自重しないスペックを誇るのである。
しかもそこまでぶっとんだ性能を持ちながら、一般的な駆逐と違って砲塔が普通に回ってしまい(ただし砲塔旋回速度は流石にとろい)、隠ぺいを維持しやすい上に、戦況対応力が段違いに高い。
その機動性と視界故に、駆逐戦車ながら場合によっては軽戦車のような偵察任務も充分に可能。更に軽戦車と違って自身が充分な火力を持っているので、必要に応じて自分で攻撃役も兼任できてしまう。
そして真に驚くべきは、これでも数度にわたるnerfを経た末の性能であるということ。
実装当初は機動性・照準精度・後退速度などがさらに強力で、今のように駆逐戦車と軽戦車のハイブリットどころか、中戦車の役までこなせてしまう正真正銘のぶっ壊れ戦車筆頭であった。
全盛期においては「ランダム戦に出たら全30両中18両が糞猫でした」などといったにゃんこ天国も日常茶飯事であり、当然ながら他車から向けられたヘイトは半端ではなかった。
2024年現在ナーフによってそれなりの能力に収まっている。なおプレイ年数(満)4年以上のプレイヤーに配布されたTier7には在りし日の性能を持った代わりにTier7へと格上げされたHellcatであるSuper Hellcatも存在する。
ちなみにアメリカツリーにおける2個上の軽戦車M41 Walker Bulldogもこれまたえげつないほどに強いのでめでたく「糞犬」の名前で呼ばれていた。保健所だ!保健所に行け!
「T29」
アメリカが戦中に試作した重戦車。tierは7。
大戦中に
キングタイガーに対抗するため開発された重戦車だが、完成前にドイツが降伏したため制式化されることは無かったというなんだかガンダムチックな代物である。
性能面では、一言で言ってしまえば「アメリカきっての強戦車」というに尽きる。
tier7重戦車は典型的ガチムチモンスターことO-Ni、DPMの鬼であるドイツの
ティーガー、走・攻・守を高レベルで兼ね備えた
ISなど、個性豊かで強力な戦車が揃っている。
そしてこのT29の特徴は、ガッチガチに装甲で固められた砲塔と強烈な火力、更には重戦車としては破格の俯角にある。
稜線から頭だけを出してハルダウンしたT29の前面装甲は実に300mmにも達し、同格戦車の主砲どころか、格上戦車の主砲ですらたやすく弾き返す。
この状態になったT29は「だいたいtier8.5ぐらいの性能はある」と言われるほどの超性能を誇り、狭い坂の上に陣取られてしまうと、最早自走砲に焼いてもらうぐらいしか手段がなくなってしまうほど。
一方で車体装甲、特に側面のそれが極端に薄いのが弱点で、市街地などで混戦となってしまうとごく普通のHTになってしまうのだが、それでも「普通」どまりであり、その強大な火力によって並のHTぐらいの働きは簡単にできてしまう。
「M56 Scopion」
課金戦車の1台で、区分はTier7の駆逐戦車。
DPSには劣るが単発威力と貫通に優れた主砲、すっごく隠れやすい車体、機敏な出力比…まではいい。
装甲が一番分厚いところでも1mmしかない。当然どんな戦車相手でも被弾すなわち貫通。
おまけに覗き穴やらなんやらのせいで天井以外にも装甲無し(装甲厚0mm)の部分があるので防御力は一切ない。
弱くはないのだが、アメ車らしからぬ極端な性能をした戦車である。
「T49」
Tier9の軽戦車。かつては8だったが、2017年4月にツリーの再編成にともなって格上げされた。
軽戦車としても薄い装甲、軽戦車らしい高い機動力、そして何よりLTのくせに152㎜砲を装備できる珍車。
こんなトンデモ車両でも制式採用・量産化した米軍を褒めるべきか皮肉るべきか。
車体性能自体はごく典型的な高機動型軽戦車で、必要に応じて偵察も遊撃も可能な万能型。
しかしその最大の特徴はやはり格下戦車を一撃で
デデーンできる152mm榴弾砲の存在で、ティアトップになろうものなら猛スピードで走り回るワンパンマンとして猛威を振るう。
ちなみに通常弾(APCR)をメインとする90mm砲も搭載可能。これは152mm砲とは真逆のDPM型砲だが、こちらはこちらで別方向に強力な砲である。
なお、モバイル版となるWorld of Tanks Blitzでは期間限定で誘導ミサイルが使用可能なT49 ATMが実装された。
「T95」
アメリカ重駆逐戦車ルートTier9に存在する戦車。
その見た目はまさに亀そのもの。重厚な正面装甲は如何なる砲弾をも受け入れない。
弱点としてはキューポラや主砲下部付け根が薄いが750ダメージを叩き出す155mm砲に睨まれた状態でこれを命中させるのは至難の技である。
また機動力も遅くNDKも容易だが当然障害物の多い重戦車戦場でよく見かけるわけで…といった要素が合わさりWoTでも有名な重駆逐戦車となっている。
ちなみにもう1つのアメリカ駆逐ルートTier9に存在するT30とは主砲が同じでありどちらかの車両で主砲を開発すればもう片方の車両を開発した際すぐ155mm砲を載せることが出来る。
「T110E3」
駆逐戦車は基本的に「隠蔽率と速度を活かして隠れながら動く」タイプと「鈍足だが装甲を活かして突き進む」タイプに分かれている傾向が強いが、この戦車は完全な後者。
その正面装甲厚はなんと驚愕の330mmにも達し、同じtier10内の一部の重・駆逐戦車、それも課金弾以外ではこの装甲を貫通することは不可能。
弱点の車体下部を隠し、かつ自走砲の砲弾が当たらない位置に陣取ると、真正面からは絶対突破が不可能な火力要塞と化す。
そしてここまで突出した装甲防御力を持ちながらも、火力や機動性も必要十分なレベルを確保している。総じてアメリカ戦車らしく、抜群に使い勝手が良い駆逐戦車に仕上がっていると言える。
なおもう片方の米Tier10駆逐戦車であるT110E4はE3と同じ車体に回転砲塔と155mm砲を備えているがE3と違い砲塔についている機銃塔の装甲が薄い。
「T92」
上のT110E3が駆逐の到達点ならこっちは自走砲の到達点、アメリカのTier10自走砲。
自走砲ならではの無いに等しい装甲と機動力、性能のよろしい無線機はやはり扱いやすいアメリカ戦車。
そして最大の特徴が砲の威力が一発1300、爆発半径12.2m、スタン時間14秒はすべてTier10自走砲トップ。
さらには貫通が60㎜とTier10自走砲トップ=ダメージが満額で入りやすいのもうれしい。
かのMausですらクリーンヒットすれば体力の4割が消し飛ぶ超威力。
ただし一発の威力に特化した結果、精度とリロードは劣悪な上、俯角(下向きの角度)が全く取れないため他の自走砲よりも坂道と接近戦に弱い。
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「M1 Abrams」
中戦車の頂点に君臨するTier11中戦車。2種類の主砲を持ち、初期砲となる105mm砲は同郷のTier10中戦車M48A1 Pattonの最終砲と同等。しかし榴弾がHESHに変更され貫通力がかなり高まっている上に課金弾として貫通力500mmかつ跳弾しないAPFSDSが追加された。当然凶悪なまでの攻撃能力を持つが弾代も1発100ゴールドと凶悪。
改良砲塔専用の120mm砲は通常弾がAPFSDSとなり貫通力は初期砲を凌ぐ550mmとなった。ただし弾代は1発10000クレジットとやっぱり凶悪。
そしてどちらの砲も本ゲーム最高の精度、照準時間を誇り、移動中であろうと旋回中であろうと照準が全く広がらない。
砲性能ばかりに触れてきたがそれ以外にも、本車自身の120mm砲のAPFSDSをも防ぐ正面装甲、重量60tを超えるにも関わらず最高速度は前進67km/h、後退29km/hという快速っぷりと文句なしのバランスブレイカー。
でも安心して欲しい。なぜならこの車両は2015年4月1日の公式によるエイプリルフールネタだから。
…とか思ってたらコンシューマー版に限り、2021年4月のアップデートで無印~A2が実装される事が発表された、まじかよ。
一応マッチングは同時代の戦車に限定されるようなので、マウスをド正面からぶち抜くみたいな風景は見れないのでご安心を。
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