○○から××まで(日本語)

登録日:2019/09/30 mon 11:05:10
更新日:2024/02/17 Sat 12:23:09
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「ここはアニヲタwiki(仮)だ。クソ項目から良項目まで何でも揃ってるさ」





概要

「○○から××まで」とは、ある点からある点までの距離・大きさ等の範囲を表す表現である。
転じて、規模の大きさ範囲の広さをアピールする際の表現に使用される事もままある。
大抵小規模のものが先、大規模なものが後になる。

小規模のものと大規模のものを如何に上手く表現するか、如何に語呂良く収められるかもポイントであり、
上手くキマればそれはキャッチコピーとして秀逸なものとなる。

●目次

現実の例

  • 「ハッキング」から「今晩のおかず」まで
匿名掲示板・5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)が開設当初から掲げているスローガン。あらゆる話題を扱える事を意味している。

なぜそんなことをわざわざキャッチコピーにするのか。TwitterにしろYouTubeにしろWikipediaにしろ、大抵のWebサービスはハッキングから今晩のおかずまで投稿できるのに。
しかし、ダイアルアップ回線時代のインターネットでは、そうではなかった。1つの巨大な場所に、たくさんの人々がさまざまな目的でアクセスするのは、この頃は技術的に非合理だった。
検索エンジンでさえ、人力で登録するのが基本だった時代*1。意見交換をするなら、特定のカテゴリに特化した場をまず作る必要があった。

そんな中、それなら特定のカテゴリについて話す場を、1箇所にものすごい数集めてしまえと考えた人々がいた。
2ちゃんねるに代表される、巨大掲示版群というものの始まりであった。


  • ゆりかごから墓場まで
イギリス労働党が1940年代後半*2に掲げていたスローガン。
原文はfrom the cradle to the grave
社会保障制度の高い充実度を表現したものであり、生まれた時と死ぬ時に必要になるものを例にする事でその手厚さを表している。
これはイギリスだけでなく、日本を含めた各国の社会福祉政策の指針となっていた。
しかし手厚い社会保障制度は膨大な財政支出・国民の労働意欲の低下・累進課税による重税などをもたらし、
途中でサッチャーによる改革断行やブレアの「第三の道」路線、それらに対する反発などを挟みながら2000年前後まで「英国病」が続くことになる。
ちなみに、『Axis Powers ヘタリア』のイギリスのキャラソン『絶対不敗英国紳士』にもこのフレーズが使われている。


  • マース川からメーメル川まで
  • エチュ川からベルト海峡まで
19世紀半ばに作詞作曲がなされたドイツ国歌「ドイツの歌」全三番のうち一番の歌詞。
一見当時のドイツの領域の広大さを表しているかのようだが、マース川流域は大半がフランス・ベルギーであったり、
ベルト海峡はデンマーク領土のシュレースヴィヒ公国・ホルシュタイン公国を含むことを意味しているなど、往時の広大なドイツでもなお行き過ぎ領土欲丸出しな歌詞であった。
ちなみにメーメル川流域は東プロイセン*3北部を流れておりドイツ語圏の最北東部であり、
エチュ川流域はイタリア北部*4でありドイツ語圏の最南部である*5
マース川もドイツ語圏の最西部、ベルト海峡もドイツ語圏の最北部であり、要は「ドイツ語を話す者が住んでいる場所は全てドイツ領土である」と言っているに等しい*6

ナチス・ドイツ期には一番以外の歌詞を演奏禁止にした上でナチス党歌と連続して一番を歌うものを実質的な国歌としていた。
しかし第二次世界大戦でフルボッコにされた結果四方全てで領土が大幅に削られ、さらに「ドイツの歌」自身が禁止されてしまった。
その後国民に根ざしているという理由から一番だけが禁止となり、今では三番だけが正式な国歌となっている。

ちなみに大戦中の軍歌に「フィンランドから黒海まで」というものがあった。こっちも今では縁がなくなってしまった。


  • バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステまで
バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパ大陸を横切る鉄のカーテンが降ろされた。
1946年、当時のイギリス首相チャーチルが演説の中で用いた比喩、「鉄のカーテン」の範囲。
まさしくヨーロッパの真ん中の北の端から南の端までそのものである。冷戦が始まろうとしている時代、この発言は当時の人々の意識に、「西欧」と「東欧」という区切りを、よりはっきりと植え付けることとなった。

一方、後に本当に物理的に作られてしまったベルリンの壁とは異なり、たとえ話の中の、それもカーテンである。
鉄のように歯が立たないものながら、まだこの頃は揺らいでいて不安定だったということだ。

ちなみに、上記の「ゆりかごから墓場まで」とは、国も時代も重なっている。
元はといえばそちらも、共産主義に圧勝できそうな資本主義アピールが目的のひとつだったので、この2つの「○○から××まで」には密接な関係があるといえる。


  • 小さなものから大きなものまで
小さなものから大きなものまで動かす力だヤンマーディーゼル~♪

過去に放送されていた、ヤンマー社提供の「ヤン坊マー坊天気予報」のテーマ曲の一節。
表現としては極めてシンプルかつ何の捻りも無いド直球なものだが、過去にゴールデンタイムに放送されていた歌という事もあって、
印象深いという人も多いのではないだろうか。*7
ただ2014年に放送終了しているため、最近のちびっ子には馴染みがなくなりつつあるのではと思われる。
一種の20代・30代ホイホイである。

  • 鉛筆からロケットまで
三菱グループの幅広さを表すのに便利な言葉
…なのだが、三菱鉛筆は グループとは関係の無い会社 である。三菱グループ内の三菱USJ銀行が三菱鉛筆の1.6%ほどの株を所有している程度。
ちなみに三菱のあのマークを使い始めたのは三菱鉛筆の方が10年ほど先。
なんで正確を期すなら ティッシュからロケットまで の方がよろしいかと。

総合商社を表すキャッチフレーズ。扱う事業の幅広さを表しているといえる。
場合によっては航空機の箇所が宇宙船やスペースシャトルに置き換わっていることも。
次のフィクションの例の項目にあるキャッチコピーも少なからず影響を受けているだろう。
なお、以前は「ラーメンからミサイルまで」となっていたが、ミサイルは不謹慎だというので今のようなフレーズに変わったとか。



フィクションの例

(なじみ深い日用品)から(超巨大建造物・兵器)まで、というのは企業の巨大さや事業を手広く展開しているのを表すフレーズとして使いやすいのか、
巨大企業が登場する作品ではよく聞かれる。
例えば「つまようじからスペースシャトルまで」が『機動警察パトレイバー』に登場するシャフト・エンタープライズの売り文句。


  • スプーンから宇宙戦艦まで
宇宙世紀系ガンダム作品に登場する超巨大コングロマリットアナハイム・エレクトロニクス社のキャッチコピー。
民間用の家電からそれこそ地球連邦軍の、果てはそれに敵対するネオ・ジオンのMSや宇宙戦艦まで手掛ける超巨大企業である。
余りに巨大過ぎて組織内の風通しは最悪であり、利益を出す為に連邦軍上層部と癒着する、
上記の様に、敵対する両組織に兵器を供給しているが、 現場レベルではそれに気付いていない、というか気付きようがない *8
死の商人ぶりといい、他企業の新技術を違法コピーする悪辣ぶりといい、別作品ならストーリーのラスボスをやれる位のやりたい放題な組織。


  • ティッシュペーパーから核弾頭まで
エリア88より、エリア88の兵站を一手に担う武器商人マッコイじいさんの倉庫のバリエーション豊かさを表現したもの。
エリア88に取材に来たジャーナリストにカメラのフィルムがあるか尋ねられた際に、基地司令のサキがこの様に回答している。
実際にフィルムも核弾頭も存在した。
なおこのマッコイの倉庫は劇中2回ほど破壊されている
マッコイ本人も「金さえ積めばクレムリン宮殿も仕入れて来る」と豪語するほどの剛腕商人であり、実際に当時の最新鋭機であるF-14やA-10、
量産されてすらいない試作戦闘機F-20などといった、入手困難どころか不可能なはずの戦闘機までも、時にはあくどい手段なども交えつつ入手に成功している。


  • ブラジャーから列車砲まで
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞より、主人公らの拠点アルゼナル内にある売店ジャスミン・モールはその品揃えの幅広さから
「ブラジャーから列車砲まで何でも揃う」と称されている。
実際に日用品から食料、パラメイルの武装あるいはパラメイルそのもの、
果てはバラエーナプラズマ収束ビーム砲M1アストレイといった次元の壁を突き破って出て来たものまで置いてある。
アルゼナルの「主人公が強制的に送り込まれた過酷な最前線基地」「武器・弾薬費は自分で稼がねばならない」といった点は上記エリア88の影響が見て取れ、
店主ジャスミンもまた、やたら元気かつ金にがめつい老人*9という点が共通する事から、
彼女自身もマッコイのオマージュと見る向きも少なくない。


  • パンツのゴムから装甲車まで
「愛されて80年、あなたの町のハボック雑貨店!」
「パンツのゴムから装甲車まで、電話一本でいつでもどこでもお届け参上!」
「で? お支払いは?」
鋼の錬金術師より、マスタング大佐の元部下ジャン・ハボックの実家が営む雑貨店の名乗り文句。
最終決戦にてマスタングらのピンチに際し、大量の武器弾薬と共に本当に装甲車をお届けした


  • ブラジャーからミサイルまで
俺はテンプルトン・ペック。通称フェイスマン。
自慢のルックスに、女はみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、ブラジャーからミサイルまで何でも揃えてみせるぜ。

特攻野郎Aチーム』のオープニングでの登場人物の自己紹介
これだけ並ぶと、調達屋のフレーズとして使い勝手が良すぎるのがよくわかる。
それにしても、プレイボーイとおばちゃんで「ブラジャー」の雰囲気が変わることといったらない……




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最終更新:2024年02月17日 12:23

*1 Googleはこの頃まだアメリカで生まれたばかりだった。

*2 つまり第二次世界大戦後

*3 現在のポーランド、リトアニア、ロシア

*4 19世紀当時はオーストリア帝国内

*5 特に上流はドイツ語が優勢

*6 実際「〇〇国内の我が民族を保護するため」という名分で侵略するのはドイツに限らずよくあることであった

*7 因みにこのフレーズの前の部分でその具体例が挙げられており、「農家の動力(トラクター・コンバインの様な農機具のこと)」、「漁船のエンジン」、「ディーゼル発電・ポンプ」、「建設(初期の歌詞では土木)工事(ブルドーザーやショベルカー等の建設重機)」をヤンマーが全て扱っている旨が歌詞になっている。取扱い製品のサイズ的にも、歌詞に偽りがない事がお分かりいただけるのでは無いだろうか。

*8 工場毎の独立性が高く、工場一つ一つが半ば子会社化しているため。例えば『逆襲のシャア』の時期では、連邦向けのMSは月面フォン・ブラウン工場、ネオジオン向けのMSは月面グラナダ工場で建造している。因みに、フォン・ブラウン工場は月の表面の「静かの海」に、グラナダ工場は月の裏面にあり、距離的にも結構遠い

*9 こちらはお婆さんである