No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード

登録日:2020/01/05 Sun 09:31:17
更新日:2025/07/08 Tue 12:38:16
所要時間:約 3 分で読めます





《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》とは遊戯王OCGより登場した地属性サイキック族のXモンスター。
ナンバーズカードだがOCGオリジナルであり、遊戯王ZEXAL本編には登場していない。

概要

収録パックはコレクターズパックZEXAL編である。
カードの性能で当たりはずれが決まるのはカードパックの常だが、コレクターズパックZEXAL編は
はずれカードの盆暗ぶりが群を抜いていることで話題となっていたボイド様雪月花スカイペガサス、ナデシコ等々)。

無論、当たり側のカードにも目を見張るものはおり、
高い攻撃力と耐性を持つ《CX 熱血指導神アルティメットレーナー》 、運次第だがパワフルな効果を持つ《No.85 クレイジー・ボックス》等も収録されていた。

それでは、そんなパックに収録されていた本カードの解説へ。


エクシーズ・効果モンスター
ランク7/地属性/サイキック族/攻2700/守2300
レベル7モンスター×2
(1):このカードを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、フィールドのカード1枚を選んで破壊できる。

やけにゴテゴテして分かりにくい名前とは裏腹にシンプルながらも良い効果を持っている。
カード効果の対象になった時に、それを無効にし尚且つカウンターとして1枚カードを破壊する効果を持つ。

つまりX素材を持っている限り、対象をとるカード効果で《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》を突破するのは不可能という事になる。
除去や弱体化を対象をとって行うカードは多く存在するので、このカードのカウンター範囲も広い。
この効果は相手には筒抜けであるものの、逆に言えばバレバレであることで牽制役に使うことができる。
カウンター効果は回数制限がないうえに、追加でカードを破壊してくるため1:2交換が成立してしまい、うかつに手が出せない。
かといって処分できなければ、2700の攻撃力で戦闘破壊を招くことになる。

ちなみにこの効果は、自分のカード効果で《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》を対象にとっても発動する。
一見すると頓珍漢な行いに見えるかもしれないが、後半の破壊効果を能動的に発動できることを意味する。
相手が攻めあぐねているところへの攻撃としても役に立つ。

難点は「対象をとらない」カード効果には無力であること。
メジャーどころでも《氷結界の龍 トリシューラ》や《ブラック・ホール》などがいるため過信はできない。

また攻撃力2700は高い方の数字ではあるのだが、それより高い攻撃力を持つモンスターも非常に多い。
つまり《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》を対象にとって弱体化しなくても、戦闘で突破する方法もよくあるということなので、
この効果一つに頼ることなく、牽制・制圧手段の一つとして使用していくのがいいだろう。


環境

このカードが登場した時は、征竜が環境で大暴れしていた時期である。
そのため、《幻獣機ドラゴサック》や《No.11 ビッグ・アイ》などのランク7Xモンスターが大活躍していた時期でもある。

当然《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》もランク7であったため、この時代の波に乗ることができた…と言うよりは
この二者があまりにも目立ちすぎていたことで少々影が薄いカードではあった。

現役時には、よく《幻獣機ドラゴサック》とカード性能を比較されることもあった。
両者ともにランク7で、カード破壊効果と何らかの耐性を持つという共通点があった。

《幻獣機ドラゴサック》の場合は、破壊耐性を有しており、《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》と異なり起動効果で破壊でき、破壊効果であれば対象をとらない効果でも阻止できた。
また自前で用意するトークンを各種素材にすることで新たなモンスターの召喚を補助する役割もあった。
一方の《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》は、破壊以外の対象をとる効果を阻止できた点、破壊効果を相手ターンでもダメージステップでも発動できる点、
破壊しても攻撃できる点、ナンバーズのカテゴリに所属している点などが、《幻獣機ドラゴサック》と比較した時の優位点となっている。
一長一短といえばその通りなのだが、如何せん《幻獣機ドラゴサック》の方がヘイト注目を集めていた部分は否めない。

とはいえ単純ながら優秀な効果を持つこのカードは、コレクターズパックZEXAL編きっての当たりカードであるどころか
ランク7の雄を名乗るにふさわしいカードと言える。

しかしこのカードの何が一番評価されたかというと、2700という攻撃力である
当時のランク7エクシーズの内、最も汎用性に優れてい《幻獣機ドラゴサック》と《No.11 ビッグ・アイ》の攻撃力は共に2600であり、後出ししたこのカードで一方的に戦闘破壊することができる*1
この2つに対しては先出ししても効果を無効化でき、その攻撃力から戦闘による突破も不可能と大きく勝っていたといえる。
汎用性では劣る《No.7 ラッキー・ストライプ》にしても、まずは素材を3つ揃えなければならず、罠や手札誘発での妨害を受けやすい。その上で出すことができたとしても、3回のサイコロ投げのうちに1/2を当てなければ戦闘破壊可能な攻撃力にすらならないのだ。
征竜全盛期に投入されていた《水精鱗-ガイオアビス》ならば戦闘破壊も可能だが、こいつはそもそも出すのが大変である。
この通り、中途半端なように見える攻撃力も当時は優秀であったのだ。





しかし時は無情なり




征竜が禁止と言う名の豚箱にぶち込まれて以降、多くのランク7モンスターはX召喚そのものが難しくなり、彼らは路頭に迷うこととなった。
《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》についても例外ではなく、元々慎ましみ深く目立たない存在だったために征竜亡き今、積極的に使用しようという決闘者も殆どいなかった。


更に時が経過し、今度は環境のインフレが進んだばかりに《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》の弱点が露見してきている。
かつてと比べ、《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》には手に負えない「対象をとらない効果」が横行しており、このカードのカウンター範囲の狭さが致命的な弱点と化してしまった。

更にかつてはランク7の中でも高い方であった攻撃力も、《真紅眼の鋼炎竜》らをはじめとして抜かれている*2

ちなみに現役時代に何かと比較対象に挙がっていた《幻獣機ドラゴサック》だが、こちらも昔と比べてその評価を落としている。
「戦闘・効果では破壊されない」という《幻獣機ドラゴサック》の耐性が信頼性が落ちてきている点、フリーチェーンでない対象を取る破壊効果が大幅に弱くなっている点など、
インフレによって相対的に弱体化しているという経緯は《No.74 マジカル・クラウン-ミッシング・ソード》と似ている。

なによりの問題点としては、征竜を失ったことによる「ランク7の肩身の狭さ」が、あまり解決されなかった部分にある。
勿論ランク7のX召喚に役に立つカードは増えているものの、それ以外のランクのX召喚の難易度も大幅に緩和されている。相対的には難易度は緩くなっていない。
ランク4を始めとする他のXモンスターのカードパワーの増大、
そしてXモンスターに限らず高い制圧効果を持ったシンクロ・融合・リンクモンスターの台頭が、その大きな理由となっている。

ランク7の立場については、ほぼ意味のないデメリットと引き換えに莫大なアドバンテージを約束するエクシーズモンスターのレベルでようやく禁止候補*3になっていることからもうかがえる。《嵐征竜-テンペスト》解禁されたおかげで多少楽にはなったが。
しかしクシャトリラのおかげでランク7の評価はうなぎ登り…のはずがインフレの波に飲まれこのカードは陽の目を見なかった。

《アストラル・クリボー》の登場によりまさしく相棒と呼ぶに相応しいシナジーを発揮する。
効果を要約すると、「 No. 」モンスターの素材にする場合任意のレベルで特殊召喚する効果と、X召喚の素材となった場合そのモンスターに「戦闘・効果破壊耐性」を付与する効果である。
つまりこのカードの弱点であった打点と対象を取らない破壊や全体除去を克服したのだ。このカードを除去するには対象を取らない除外リリースくらいしか無く、デッキによっては詰みかねない。消費もカード2枚で出せるため困ったら立てて損は無いだろう。

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最終更新:2025年07月08日 12:38

*1 ドラゴサックは先にトークンを処理することが必要となるが

*2 これに関しては、征竜というカード群が禁止になったためにようやく高攻撃力のカードを刷ることができるようになったというのが正しいと思われるが

*3 海外では禁止カードに指定されている