ポルシェティーガー

登録日:2021/05/16 Sun 10:55:30
更新日:2021/05/19 Wed 01:41:05
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VK45.01(P)こと通称ポルシェティーガーは、第二次大戦中にナチスドイツが使用した重戦車
ちょっと古めのミリオタさんを中心にP虎とも呼ばれている。

え?「あの有名なティーガーとどう違うの?」って?
違うよ!全然違うの!ザクヅダぐらい違う!確かにパッと見似たように見えるけど、それは砲塔がほぼ同じものを使ってるからで車体は全然……
ん?どっちがヅダ(欠陥機)なのって?えーとそれはその……


【どんな戦車?】

一言でまとめると、「ティーガーにコンペで負けた試作戦車である。

かのティーガーは試作段階では「45t型戦車・H型」を意味する「VK45.01(H)」の名前で呼ばれていたが、このHは「ヘンシェル社」によって開発された戦車であることを意味する。

対してそのライバルであったのが「VK45.01(P)」、即ちこのポルシェティーガーで、Pは当然ながら「ポルシェ社」を意味するP。
ここで「ポルシェってあのポルシェ?」って思った方もおられようが、そうですそのポルシェです。

設計担当者はなんと創業者である「20世紀最高の自動車設計者」の呼び名も高きフェルディナント・ポルシェ博士本人で、彼によって

・ガソリンエンジンで生まれる出力を電気に変換し、その電気でモーターを回して動く「ガス・エレクトリック」方式
・外装式でかつトーションバー式という独創的なポルシェ型サスペンション
・非常に先進的な、無論ドイツ戦車としては初めてのリアエンジン・リアドライブ構造

などといった数々の先進的な機構が搭載された、まさに野心作…だったのだが…


【性能】


「走」

一般的な戦車が、大雑把に
  • エンジンで動力を作り出す → 変速機のギアを介して動力を最適な形で*1起動輪*2に伝える → 起動輪を回す → キャタピラが動く
というステップで動くのに対し、ポルシェティーガーは
  • エンジンで動力を作り出す→動力を発電機で電力に変換する→電力で起動輪のモーターを回す → キャタピラが動く
というステップで動く。現代で言うところの「ハイブリッド車」に近い構造である。

この方式はポルシェ博士の専門分野である乗用車や鉄道用のディーゼル機関車などで使われていた技術だが、
・戦車のパーツの中で最も故障率が高い、「変速機のギア」を少なくor省略できる
・エンジンから起動輪までを機械的に直結する必要がないので、構造の自由度が大きくなる
・エンジンを「最も調子がいい回転数」で固定できるので、燃費部品寿命などいろいろ高効率
・モーター駆動なので高トルクを得られて加速がよい
・モーター駆動なので左右の履帯を簡単に別々に動かすことができ、旋回性が高い
・モーター駆動なので普通の戦車に比べて後退が早い
などなど多彩なメリットがあり、エンジンや足回りに無理をさせることになる重戦車の駆動方式として理想的なシステムであると考えられた。

またその構造自由度を利用して、ドイツ戦車には珍しくエンジンと駆動系を全て戦車の後部に持ってくることができた。
現代の殆どの戦車もこの構造をとっていることからもわかる通り、車高を低くできてパワフルな動きができ、おまけに被弾にも強くて整備性も高いという、戦車としていわば最適の配置である。

足回りはポルシェ博士が考案したと思われる独特なボギー式サスペンションを採用。
一般に「縦置き式トーションバー」と言われるこのサスペンションは、端的に言うとトーションバー式の「軽くて小さく、大重量に強い」長所と、外装式の「車内スペースを取らず、整備性も高い」長所のいいとこどりをしたタイプ。
色々と詰め込んだ結果57tにまで肥大化した大重量を受け止めつつ、運用性にも最大限配慮したポルシェ博士会心のサスペンションであった。理論上は。


「攻」

ヘンシェル社のティーガー同様、通称アハト・アハトこと56口径88mm砲「8.8cm Kwk 36」主砲として搭載。
性能はあちらと全く同じで、90mmに迫る大口径ながら1000mで約100mmの装甲を貫徹でき、当時のあらゆる連合軍戦車に対して有効打を与えることが可能だった。
機銃配置もティーガーと全く同じで、主砲脇と車体正面に7.62mm機関銃「MG34」を1丁づつ搭載している。
光学照準器もティーガー同様、ツァイス製「TZF9b」を搭載し……とまあそんな感じで、攻撃面はティーガーとほぼ一緒

これは冒頭でちょっと触れたように砲塔にほぼティーガーと同じものを使っているからだが、実はこの砲塔はポルシェティーガー(厳密にはその前段階の試作機)用にクルップ社が開発したもので、つまり厳密にはこちらがオリジナルだったりする。

相違点としてはヘンシェルティーガーは生産開始前に砲塔の小改修を受けているため、それを受けていないこちらは俯角がやや小さいこと、あと装弾数が10発ほど少ないことぐらいか。


「守」

こちらもティーガーと基本的には同レベルで、正面装甲は100mm、側面・背面の装甲は80mm
全面がほぼ垂直装甲のティーガーと異なり、車体正面の下部や上部両サイドなどには若干の傾斜があるため、全体的な形はIV号戦車をシュッとさせたような感じになっている。

完成した1942年当時では、ティーガー同様に激烈な防御力といってよく、連合軍側で遠距離から対抗可能な砲は(機動が困難な大型砲を除けば)イギリス17ポンド砲やソ連の52-Kなど、極めて限られていた。

またティーガーに比べて車高が低くて前面投影面積が小さく、弱点部位である駆動系が後ろにあるため正面からの攻撃で破損しにくいという長所もある。


【開発経緯】

開発に至った経緯は概ねティーガーと同じ…かと思いきや、スタート地点や計画の変遷など、意外に違うところの方が多い。

ティーガー完成に至る流れを大雑把にまとめると

1. 大戦前の1937年に「30t級突破戦車(DW)」がヘンシェル社で開発開始
2. 1939年、DW計画を発展させた30t級戦車「VK30.01」がヘンシェル社とポルシェ社で開発開始
3. 1941年、VK30.01計画を発展させた「VK36.01(H)」と「VK45.01(P)」開発開始
4. 1941年後半にVK36.01が開発中止、「VK45.01(H)」に発展

という感じになるのだが、ポルシェ社が開発に参加したのはこの中の2の段階から。

つまり1939年末、30t級戦車「VK30.01(P)」としてポルシェティーガーの開発は始まっている。
この3001Pというのは軍側からの呼称で、当時の社内開発コードでは「Typ100」または「レオパルト」の名前で呼ばれていたという。カッコイイ!!
ちなみにこのレオパルトの時点で、ガス・エレクトリック駆動にポルシェ式サスペンションなど、後のポルシェティーガーを特徴づける基本的な構造はほぼ考案・実装されていた
しかも流石ポルシェ博士というべきか、独自技術を使いまくったにも関わらず開発は順調に進み、開始から1年半ほどで既に試作機の完成にこぎつけている。

しかし試作機の完成が間近に迫った1941年5月、ドイツ軍上層部は突如として30t級戦車の開発計画を中止してしまう。
これはフランス戦やポーランド戦などで得られた戦訓から「30t程度に収まるような性能じゃ、この先もう重戦車は務まらん!」と判断されたためだった。

そして上層部は重量制限を一気に1.5倍に引き上げ、その分火力と装甲を強化した新型重戦車の開発をヘンシェル社とポルシェ社に依頼することになった。
だがドタキャンからの発展計画再開とあってこのスケジュールには全く余裕がなく、ヘンシェルもポルシェも30t級戦車の基本構造をほぼそのまま流用、改良していく形で開発することになる。

そして翌1942年4月20日、突貫工事で完成させられた「VK45.01(P)」は、ライバルであるヘンシェル社の「VK45.01(H)」と共に誕生日を迎えたヒトラーにお披露目されたのだが……

正直なところこの時点での4501Pは「完成した(完成したとは言ってない)」状態であり、お披露目のデモンストレーションでは「直進で4501Hにあっさり追い抜かれる」「というかそもそもまっすぐ進むのが一苦労」「その場旋回しようとすればモーターが過負荷で焼けつく」「あっさりスタックしてしかも抜け出せない」などといった醜態をさらすことになってしまった。

ただしこの醜態によって4501Pの評価が地に落ちたかというとそうでもなく、ぶっちゃけそれ以前に「作りかけじゃねえかコレ……」とみなされ*3、ポルシェ社には「はよ完成させろ!」と追加で3カ月の改修期間が与えられた。

……が、残念ながら4501Pの未完成っぷりは3カ月でなんとかなるようなものでは到底なく、3か月後に改めて行われた評価テストの結果、

・搭載されたポルシェ製の「101/1」型エンジンが出力・信頼性ともにうんこ
・モーターのジーメンス製「D1495a」もパワー不足気味
・抵抗器(モーター出力の制御装置)の性能が悪く、エンジンの回転数調整が必要で燃費がよろしくない
・抵抗器がヘボいので左右のモーターを同調させられず、上手く直進できない
・各部の配線が負荷を受け止めきれずに熱で劣化・破損しがち
・バッテリーがないため、発電できなかった余剰出力がモリモリで燃費がさらに悪化
・余剰出力の熱+モーターからの発熱+空冷式エンジンの排熱のトリプルコンボで車内のいたるところが爆熱状態
・雨や泥水の侵入、また部品からの油漏れで容易に回線ショート→行動不能のコンボも喰らう
・4501Hのような千鳥足転輪(内と外で2列の転輪)じゃないため、履帯にかかる負荷がでかすぎて旋回でブチブチと切れる
・リアドライブの構造上、起動輪周辺に泥や石がつまりやすい
・サスペンションが硬く、特に低速域での上下振動がひどくて乗り心地が真剣にヤバい
・発電機からの電磁波のために常時セルフジャミング状態で、通信が上手く行えない

などといった深刻な問題を次々と露呈

それでも上層部的にはあきらめきれなかった(ちょび髭おじさんがポルシェ贔屓だったのもある)のか、さらに3カ月の予備期間を与えたものの、結局トラブル解決には至らなかった。

さらには兵器・物資生産全般を担当する軍需相からも

・コイルや電線などに、不足気味の重要戦略物資であった銅を大量消費するのがダメ!
・現用戦車と全く別の動作システムは、補給や人員教育に混乱をきたすからダメ!

などと物言いがつくことになってしまう。

そして1942年10月末。ついに4501Pは採用中止を通達され、4501Hが「VI号戦車 ティーガー」として制式採用されることになったのだった。
なので実は記事名でもある「ポルシェティーガー」だが、4501Pが実際に当時そう呼ばれたことはない。いわば「ポルシェが作った、ティーガーのなり損ない」だったのである。

こうしてポルシェ博士渾身の野心作であったVK45.01(P)は、ドイツ第三帝国の鋼の虎として戦場を駆ける機会もなく、歴史の闇につかの間の泡沫として消えていくことになった……


【活躍】

……かと思いきや、そんなことはなかった。

というのも採用中止が決定された時点で、既に4501Pは100両分が既に生産体制に入っていたからである。
どんな丼勘定だよ!?と言いたくなるが、これは1つにはポルシェとヘンシェルの両方を採用するというプランもあったためで、もう1つには当時のドイツ軍がT-34KV-1のような強力なソ連戦車に直面していて、対抗できる新型戦車の配備が切迫して望まれていたため。

なのでコンペに決着が付く前の8月の時点で、既に「制式採用が決定したら即!配備態勢に入れるように!」ということで双方に100両分の先行生産が命じられていたのだった。

そして当時のドイツにこの100両分の部品を放っておく余裕など全くなかったため、これらの1部は組み上げられて改良やテストを続行することになり、他は別の車両の車体として再利用されることになった。

ちなみに採用中止になってもなおテストが継続されたのは、4501Pの方向性自体には高い将来性が認められていたからである。


なので完成した10両の4501Pを使った各種データ取り、また改良は粘り強く続けられていき、最終的に各問題を完全に解決!とまでは言えないものの、「実戦でもまあ使えなくもないかな?」程度にまで信頼性が高められた

さらに改良結果を反映しつつ、翌1943年中ごろ、4501Pの車体を流用した重駆逐戦車「フェルディナント」が開発された。
このフェルディナントは対ソ連戦のために東部戦線の第653重戦車駆逐大隊をはじめとする、2つの重戦車駆逐大隊に集中配備されることになる。

そしてこの第653重戦車駆逐大隊へのフェルディナントの配備に伴い、フェルディナントの指揮用車両として、それまでテストに使用され改修を重ねてきた4501Pが数両、同部隊に配備されることになったのである。

そう、ヘンシェルの虎から遅れること半年、ついにポルシェの虎もドイツ第三帝国の戦場へと立ったのだった。
え?具体的な活躍の記録?ごめん残ってないんだ……


【系列・バリエーション】


「VK30.01P」
別名Typ100、またはレオパルト。前述した通り、前段階にあたる試作機。
主要部の装甲は80mm~60mmぐらいで、装備する砲塔は4501Pと同じなので主砲も同じくアハト・アハト
車体の見た目もまんまちっちゃい4501Pって感じだが、そっちでのばされた車体後部がまだかなり短く、横からみると印象が結構違って見える。
後の4501Pに比べて重量が半分ぐらいなので、この時点ではそれほど駆動系の問題は起きておらず、最高時速もなんと時速60kmを記録している。
ちなみに4501Pの開発中、エンジン不調で動かなくなった試作機を動かすため、隣でケーブルを接続して電力を供給してたりする。弟想いのお兄ちゃんだぁ……


「VK45.01(P) Typ102」
4501Pの開発中、ポルシェ社側が考案した別バリエーションの試作機。
ポルシェティーガーの最大の特徴であるが、しかし同時に欠点の根幹でもあったガス・エレクトリックを廃止したバリエーションである。
しかし普通のトランスミッションに戻すのかと思いきやそこはポルシェ博士、ドイツ戦車としては初となるオートマチック流体変速機、所謂トルクコンバータの搭載を考案している。
これは現代のオートマ車が搭載している変速機で、簡潔に言うと「エンジンを高効率で回せる」「歯車や軸にかかる変速時の重量負荷が軽い」という点でガス・エレクトリックに近い利点がある。
しかし当時のトルクコンバータには57tもの戦車を変速するほどの性能はなく、これまた試作車1両が作られただけでボツとなった。


「VK45.01(P) 第653重戦車駆逐大隊仕様」
前述した実戦投入タイプ。製造数は資料によって差があるが、最大でも3両
性能面では基本的に普通の4501Pと同じ………かと思いきや
・エンジンをフェルディナントと同じマイバッハ製「HL 120」に換装
・履帯をフェルディナントと同じ幅640mmタイプに換装
・砲塔を制式型ティーガーと同じ改良型砲塔へと換装
・各種アンテナの増設など、指揮通信機能を強化
・車体正面に厚さ100mmの追加装甲を増設し、合計200mmの重装甲戦車に
などかなりの部分が改修されており、試験時の4501Pと比べるとザクと高機動型ザクぐらいの違いがある。
欠陥の大元だった空冷エンジンがまともな水冷エンジンになっていたため実戦ではそれほどトラブルはなかったようだが、最終的には1944年8月、バグラチオン作戦からの撤退戦で最低1両、もしかしたら全車が失われたらしい。


「フェルディナント/エレファント重駆逐戦車」
最も有名、というか一昔前はポルシェティーガー本体よりも有名だった駆逐戦車バリエーション。
余った90両分の車体は、最終的に全てこれの製造に回された。
詳細は項目参照


「ベルゲティーガーP」
第653重戦車駆逐大隊が現地改修で作り出した戦車回収車バリエーション。素体はフェルディナントであるとも4501Pであるとも言われる。
戦車回収車というのは行動不能になった戦車や装甲車をけん引したりトレーラーに積んだりして回収するための戦車のこと。
現地改修機なので、パンターを改修したベルゲパンターのようなちゃんとしたクレーンなどは持っておらず、実質的には砲塔を取り外してフタをした程度のもの。


「ロイムパンツァー ティーガーP」
通称ラムティーガー。
車体全体を鋭い傾斜の巨大な箱型装甲で覆っているが、代わりに戦車の命である砲塔と砲撤去されている
え!?それじゃどうやって攻撃すんの!?と思った方もいようが、答えは簡単。
箱型装甲の鋭利な先端に50tの全重量をのせてぶちかます体当たり攻撃である。おお見よ!あれこそは伝説のポルシェ・カラテ!!
一瞬同盟国得意戦術でもリスペクトしたのかな?と思われたかもしれないが、ごあんしんください。
これは戦車隊ではなく工兵隊用の特殊車両で、敵の籠っているバリケードを蹴散らして破壊したり、建物に大穴をあけて歩兵を送り込んだりするための補助兵器なのである。
余り物とは言えティーガーの兄弟を工兵用に回すとはなかなか豪気だが、実際にはペーパープランに終わったとされている……が、資料によっては4501Pの内3台が実際に改造されたという話もある。ロマンだぜ!


「VK45.02(P)」
4501Pの開発中に提案された火力強化型で、つまりはポルシェティーガーIIとでもいうべき計画戦車。
主砲はクルップ製71口径88mm砲「8.8cm KwK 43」で、後のティーガーIIと同じもの。
装甲は最初は80mmの傾斜装甲パンターとほぼ同じだったが、計画途中でどんどん増大されて最終的には150mmの傾斜装甲という、こちらもほぼティーガーIIと同レベルに。
そして4501Pで散々ダメ出しを喰らった駆動系は、その反省から堅実に現用機の構造を………なんて殊勝なことをポルシェ博士が考えるわけが無論なく
  • ポルシェ製101/3型エンジン使用のガスエレクトリック式
  • ポルシェ製101/3型エンジン使用のトルクコンバータ式
  • ポルシェ製101/4型エンジン使用のガスエレクトリック式
  • ポルシェ製D180/1型ディーゼル使用のトルクコンバータ式
  • ポルシェ製D180/2型ディーゼル使用のトルクコンバータ式
というよくばりポルシェセットがお出しされた。
ついでに砲塔を4501P同様に前に配置する案と、駆動系との配置を逆転させた後部砲塔(AMX-13みたいな感じ)案まであったが、結局4501Pと同じ理由で制式採用されることはなかった。
しかし本車用に開発された砲塔(クルップ製)は例によって採用/不採用決定前から既に生産開始されていたので、ティーガーIIの初期生産型に転用されている。


【フィクションでの活躍】


漫画


☆『豚の虎』

「これからの戦車はこれだーーー!」
    ヴオ~~~ グオオオ                      ノロノロ          ヴエエエ デドド               ドロドロ          ゲゲゲゲゲ ズリズリ                          ブチッ               バラ
日本屈指のP虎マニアにしてP虎界のパイオニアとして知られる珍兵器大好き男宮崎駿監督が、『月刊モデルグラフィックス』に描いたP虎紹介+プチ戦記お漫画。『宮崎駿の雑想ノート』に収録。
ドイツ末期の戦車兵、「ドランシ予備大尉&戦車整備兵長ハンス」の豚コンビ三部作(…のはずだが時系列上の2作目はまだ描かれていない)の最初のタイトル。

当時はまだ世界的にP虎関連の資料があまり発掘されておらず、試作機が第653重戦車駆逐大隊で実戦投入されたことも知られてなかったため、戦記部分は「訓練に使用されていた試作機2両を教官が無理やり持ち出し、クルスクの戦車戦に急行……したが間に合わずそのまま後退戦に移行する」という架空のもの。
しかし宮崎駿のミリ作品らしく、アニメ的なヒロイズムとは全く無縁の、コメディタッチながらもリアリズムと泥臭さに満ちた世界で、P虎の個性を存分に?活かした?活躍?を見せてくれる。「戦争が終わって俺が金持ちになってもポルシェには絶対乗らんからな」

ちなみに発表はなんと1992年で、日本では(というか世界でも)P虎なんかろくな知名度もなかった時代であり、まさしくポルシェイズムに満ちた先進的作品であった。
多分ポルシェティーガーを「P虎」と呼ぶのはこの作品が発祥。


☆『ノブナガン』
「人類史を代表する傑物の能力で戦うバトル漫画」だが、何故かその一人にポルシェ博士が選ばれている。無論、車ではなく戦車の方の能力で。
作中ではダイジェストで一度だけ戦闘が描かれたが、仲間の「メフメトⅡ」に目の前まで敵をブッ飛ばしてもらう事で自身は一歩も動かずに全火力をぶっぱという「駆動が駄目なら動かなきゃいいなじゃい」を地で行く連携プレーを見せていた。
それでいいなら砲術の傑物でも使えば良かったんじゃ……。
なお、時期的にガルパンの影響を受けたのか、単に作者の趣味なのかは不明だが、ポルシェの能力者は女性である。


アニメ


☆『ガールズ&パンツァー
『豚の虎』がミリオタ界にP虎を一躍知らしめた作品だとすれば、こちらは無論アニヲタ界……いやオタ界を越えて広く一般にポルシェティーガーの名を広めた作品
大洗女子学園の自動車部部員から構成される「レオポンさんチーム」の車両で、中盤で学園艦の船底で発見され、彼女たちのレストアを経て終盤の黒森峰戦で投入された。
戦間期の軽戦車~大戦中盤辺りまでの中戦車で構成されている大洗チームの中では火力・装甲共に群を抜いた存在であり、さらに乗員にも恵まれており、ポルシェ博士感涙の活躍ぶりを示している。
劇中ではスタッフの拘りにより、画面に近付くとモーター音や時々F1カーのエンジン音まで聞こえるようになっている。

当初は乗員達も扱いには四苦八苦しており、試運転中は史実の4501Pよろしくぬかるみに嵌って抜け出せないままエンジンが出火し擱座するというブザマを晒したが、それ以降でエンジンやモーターの不具合で脱落するシーンは少ない……というかこの時と後述の超スピードを出した時程度。
初の試合では他の戦車の盾として先陣を切る、敵チームの追撃を邪魔するために橋を落とす、撤退中に調子が悪化したエンジンを走りながら直し撤退を続行する、最終的に4輌もの敵戦車を撃破するといった大戦果を挙げる。
特にフラッグ車同士のタイマンに持ち込んだあんこうチームを守るため、狭い通路に昼飯の角度*4で雄々しく立ち塞がり、弁慶の立ち往生の如き壮絶な最期を迎えた様には、多くの視聴者がアハト・アハトでハートを撃ちぬかれたとかぬかれないとか。
ポルシェティーガーで昼飯の角度を取ると車体形状のせいで真正面に一番装甲が薄い弱点ができてしまうぞ!とか無粋なことを言わないように。*5
その後も劇場版、最終章となかなかに安定した活躍を見せており、戦果なしで退場したのは今のところ1試合ぐらいしかない。

ちなみに登場するのは試作段階のVK45.01(P)仕様で、砲塔も試作型のそれ(低い車高で俯角を稼ぐための特殊な構造、いわゆる「トサカ」がついているのが特徴)なのだが、履帯だけは実戦投入型の640mmになっている。
『劇場版』では乗員達が戦車道のルールではモーターに関するレギュレーションが存在しない*6事に気付いたため、この点を突き本来のクソモーターを現代の最新モーターに換装した事で大幅にパワーアップしている。
またモーターの規定がないということは多分バッテリーの規定もない可能性が高く、もしかしたら本来のポルシェティーガーには搭載されていないバッテリーを搭載して動作を安定させているのかもしれない*7

そうした改修の結果か、劇場版では5秒間だけ瞬間最大160km/h(推定)を出す(6秒以上連続使用すると自爆する)ドリフト走行するステルス・垂直離着陸能力まで付与されるなど、自動車部のテクニックと合わせて訳が分からない進化を遂げている
詳細はこちらを参照⇒レオポンさんチーム(ガールズ&パンツァー)


ゲーム


☆『World of Tanks
ドイツ軍の正規ツリーでTier7の重戦車(HT)として、増加装甲がついた第653重戦車駆逐大隊仕様の「Tiger (P)」が登場。
200mmに達する車体正面装甲は同格の中でも頑丈な方で、格下からもスポスポ抜かれるティーガーと違って重戦車に相応しい防御力を発揮できる。
一方でティーガーに比べると火力(連射速度や精度)や速度の面で大きく劣り、いわば「攻めのティーガー、守りのポルシェ」みたいな住みわけがなされている……いや、されていた。
しかし最近のアップデートでティーガーの装甲が大幅に強化され、砲塔正面が2倍ちかい厚さになってしまったのである。
wotというゲームの性質上、実戦での重要度は圧倒的に砲塔装甲>>車体装甲なので、もはや攻めでも速さでも守りでもティーガーに上をいかれてしまい、「劣化ティーガー」と言わざるを得ない状況になってしまっている。
なんだ史実どおりじゃないかって?うるせぇ!!
虎ほどではないがバリエーションはなかなか充実しており、発展元のVK30.01(P)、ポルシェティーガーIIことVK45.02(P)が2種類(砲塔が前にあるA型と後ろにあるB型)、またいわずもがなのフェルディナントに、計画におわった自走砲タイプまで登場する。
ちなみにかの超重戦車マウスにはここから分岐するが、マウスは「ガチ戦に使えなくもない程度の性能」を持つ数少ないドイツ戦車の1つなので、必須経由地であるこのP虎もなかなかに人気……かと思いきや課金でスキップされてしまうことも多い模様。なんでだよ!






「ようするに全部ダメですね」

「なんの!!失敗こそ最良の経験だ たゆまぬ追記!ひるまぬ修正!」

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最終更新:2021年05月19日 01:41

*1 ギアを回すパワーはただ大きければ良いという訳ではない。自転車のギアと同様、いきなりハイパワーなギアで回そうとすると負担がかかり過ぎるし、必要以上に回転数が多過ぎると機構自体の破損に繋がる。

*2 その名の通り動力を伝えられて駆動する車輪。戦車の脇にいっぱいついてる車輪の中で、動力を持っているのは基本1セットだけである

*3 実際、4501Pのエンジンが完成して組み立て工場に到着したのはこのわずか10日前である

*4 実戦でも多用されたテクニックで、12時方向からの敵からの砲撃に対し、1時あるいは11時方向に車体を向けて砲撃を斜めに受け止めること。装甲を傾斜させることで実質防御力を増す効果がある

*5 そもそも通路の中央に陣取ったのは万全の守りで迎撃するというより、フラッグ車同士のタイマンを邪魔されないよう、唯一の出入口を塞いで敵増援を行かせない、ないし極限まで遅らせるのが目的である。実際、通路の中央で擱座した事で敵チームが通路を進行するのを大幅に遅らせる事に成功、最終的には強引に突破されるがその頃には決着が付いていた。

*6 戦車道で使える戦車の中でモーターで動く戦車はそれほど多くなく、このポルシェティーガー系やマウス、フランスのシャール2Cとサン・シャモン突撃戦車、パーシングの試作機であるT23~T25系、イギリスのTOG2、ソ連のIS-6にESU-100ぐらい……って結構多いな!?大丈夫かこのレギュレーション!?

*7 後述の時間制限付き超スピード発生機構「EPS」はF1カーに装備されている「ERS」が元ネタと推測されており、ERSは回生ブレーキの要領で電力を貯め、また貯めた電力を使用する機構である。もしこの推測が合っているならバッテリーを積んでいる可能性は高い。