真スーパーロボット大戦(没企画)

登録日:2021/08/31 Tue 21:49:17
更新日:2024/12/06 Fri 06:26:54
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『真スーパーロボット大戦』とは、2019年4月9日に生放送されたWEB配信番組『生スパロボチャンネル』において
寺田貴信プロデューサー(当時)の口より明かされた、スーパーロボット大戦シリーズの没企画の名称である。
繰り返すが没企画である。新作でもガセネタの類でもないので注意。

タイトルの読みは同じだが『新スーパーロボット大戦』とは全くの無関係……という訳でも無かったりする。詳しくは後述。


概要

元を辿ると、上述のWEB番組において寺田Pの持ち込み企画のコーナーとして紹介されたもので、
寺田Pが過去に企画を立ち上がるも、あえなく没となってしまった作品案……それが本項で紹介する『真スーパーロボット大戦(仮)』である。

前述の通り、1996年に販売された過去作『新スーパーロボット大戦』と作品題が被っているが、
これは寺田Pにとって様々な意味でトラウマを抱えた作品である同作の想い出を払拭したいという意味合いも込められての仮タイトルとのこと。


コンセプト

① 参戦作品は15くらい。基本的に「昭和のスーパーロボット」で限定する。
00年中頃から10年代中頃辺りまで、参戦作品の数が(特にシリーズ作品で)膨大になりつつあったスパロボの傾向を顧みてか、参戦作品は抑えめに。
選定する作品は『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』、『ライディーン』『コン・バトラーV』『メカンダーロボ』等といった「昭和のスーパーロボット」に絞り、
文字通り誠のスーパーロボットしか出ないスパロボというコンセプトとする。当然ながら『ガンダム』等と言ったリアル系作品は一切無し
寺田P「『ダンクーガ』とかはちょっと新しい、出すとしたら最新作のポジションになる」
所謂「戦艦ユニット」枠も限られるため、『大空魔竜ガイキング』や『グロイザーX』*1といったそういう要素を持った作品の重要性が増す。
寺田P「神谷明さんがいっぱい出てくる」 赤羽根氏「神谷さんとか古谷さんとか」

寺田P曰く、この時点で他の関係者からは「どうなの?」と言われたと苦笑気味で明かしている。
番組に参加していた赤羽根健治氏も「昭和の時代に発表してれば行けたんでしょうね、やっぱ平成入ってからだと困惑するだけ」とコメントしている。
まぁ平成に入ってのやつでスピンオフ的作品で参戦作品が昭和だったゲームもあるが……。


② コアとなるターゲット層は、40代以上の男性。
今のスパロボのメインターゲット層が概ねその辺くらいと言っちゃいけない
昭和のロボットアニメに参戦作を限定するため、メインターゲット層も概ね40代……45歳以上を想定。
そもそもスパロボも誕生して(番組放送時点で)30周年を間近にした長寿コンテンツ、
初期のシリーズを遊んでいたプレイヤーも恐らくは寺田Pと同じくらいの年代層が多いだろうと見込み、そういったユーザー層を対象とした作品として成立させていく。

寺田P曰く、この時点で関係者からは「大丈夫なの?」と第二のツッコミが入ったとのこと。


③ ストーリーの時代背景は昭和(1970年代)。
 インターネットやスマホが存在しない世界で繰り広げられるスーパーロボットと、そのパイロットたちによる熱き戦いの物語。
時代背景は昭和(1970年代後半程度を想定)
所謂、その時代にそぐわない類のテクノロジーは(各原作の劇中に出てこない限りは)扱わない。スマホどころか携帯電話も存在しないので、通信手段は黒電話せめて無線使おうぜ…

寺田P曰く、この時点で周りから「寺田さん、寝言いってんすか」と言われたとか。



④ 敵の目的は基本的に地球征服人類抹殺
昭和のスーパーロボット作品なので、敵が地球を襲撃する目的は基本的にコレ2択。
「人類の革新」とか「分かり合える世界」とか「人の進化」みたいなまどろっこしい要素はなし
無論、長浜ロマンロボシリーズなどで描かれたような「敵陣営のドラマ性」などを否定する趣旨の言及ではなく、
寺田Pも「昭和の敵の全てが地球征服か人類抹殺という訳ではない」「独創的な設定の作品も多い」と明言している。
ある意味「生存戦争、死ぬか生きるか」という深いテーマとも言えるし。
また「敵勢力が連合しやすい」「本家スパロボではリアル系に多い“敵キャラ同士の絡み”も多くできる」「説得が多くできる」というメリットもあるとのこと。

寺田P曰く、この時点で周りの人はついていけてなかったとのこと。


⑤ ゲームシステムは、家庭用スパロボ新作に準拠するが、なるべくシンプルに。
(いつ発売するのかという想定は置いといて)少なくともSRポイント辺りは廃止。小隊制とかも入れない。
感覚的には『第2次α』『第3次α』から小隊制を抜いたイメージで、特殊スキルの要素は『V』程度には残す、精神コマンドも1キャラに付き3つ程度……
その他細かい点は企画始まってから要相談。


⑥ スーパーロボットの合体システムを可能な限り再現。合体前の機体なども極力ユニット化する。
マジンガーZのホバーパイルダーやコン・バトラーVのバトルマシンなど、『α』以降長らく見ていない分離系ユニットも出す。
参戦作品は15作程度ながら、その実ユニット数はメチャメチャ多い想定。
分離形態もおまけ程度の要素ではなく、ちゃんとその状態で戦えるシステムも用意し、ありがちな「一機足りなくて合体不可」イベントも盛り込む。
『α』でこういった要素は一応幾つかやったが、せっかくのスーパーロボットなのでそういった点は再現したい。


⑦ スーパーロボットの発進シーンや、合体変形シーンは、可能な限りデモ映像化する。
MX』辺りまではそういうCGデモを採用していたが、近年ご無沙汰なそれを復活。
CGデモでもいいし、原作映像の流用でもOK。スーパーロボットと言えば発進・合体変形なので、そういうデモは入れられるだけ入れたい。

寺田P曰く、この時周りの人からは「えぇ……」と言われたそうな。


⑧ コンセプト⑥と⑦を踏まえた上で、ロボット戦闘アニメーションのクオリティ。
寺田Pが「最大の問題点」と称する点。『V』~『T』レベルの水準まで持っていくか、もうちょっと下げるかは企画が決まってから考えるが、
少なくとも『T』程度でないとユーザーは買わないだろうと想定。
参戦作品は15作品程度なので、その分、敵の機体や味方の機体も増やすなど「濃く」。

寺田P曰く、この時点で「リアル系をがっさり削るんですよ」と言った途端、周囲からは「こいつ本当何言ってんだ?」な反応をされたとのこと。


⑨ シナリオは1ルート40話で、全70話。クリア後の特典として、敵側の視点での短編ストーリーも入れたい。
本編シナリオは『V』~『T』辺りに比べれば少なめだが、ユーザーが一気にプレイできるくらいにしたい想定。
敵側サイドストーリーは、それこそあしゅら男爵の話とか、大将軍ガルーダの話とか。
全体的な話数は多少伸びてもいい、『マジンガーZ』のボスボロットの他、『鋼鉄ジーグ』のメカドンみたいなユーザーがあまり馴染みのないサブメカも出すので、
今までのスパロボではあまり拾われなかったそういう機体の主役回とかも作っていきたい。
寺田P「問題は、声優さん大変だな~(笑)」


⑩ オリジナル主人公メカはスーパーロボット系。オリジナル主人公キャラは昭和の熱血少年(女性主人公は出ません)。
 女性ヒロインは選択可能(お転婆タイプか、おしとやかタイプ)。
「スーパーロボット」大戦なので、オリジナル主人公メカはスーパー系のみ。熱血少年と言ってもパターンはあるので、そこら辺は(選択可として)分けてもいい。
キャラクター&メカデザインの絵柄も昭和ロボットアニメの主人公と並び立つように、かと言って「何かに似てしまう事」だけは気を付けるように。
デザインをお願いしたい人は何人かいるが、「レジェンド過ぎる人ばっか」という理由で寺田Pは番組内で未言及。
当然、オリジナル主人公の担当声優もベテランクラスを起用。赤羽根氏「一般兵は大体島田さんですね」


⑪ 原作のOP主題歌のみならず、挿入歌や劇伴を多数収録した「スーパープレミアムアニメソング&サウンドエディション」。
『V』以降シリーズで採用されている、原作の楽曲や劇伴をゲーム中でも採用したスペシャル版パッケージ。むしろ「それしかない」。
寺田Pは「これ皆さんいくらだったら買います?」と番組の参加者に聴いて、赤羽根氏は「2万くらい行くのかな」と想定するも、寺田Pは「2万じゃ無理」と断言。
当時ニコニコ生放送で寄せられたコメントには「2万4千円なら」「クラウドファンディングで製作費募ろう」というものもあり、番組の参加者が反応していた。


結果として

寺田Pによると、こういったコンセプトの作品案は前々から提出していたとのこと*2だが、
結果としてそれが形を変えて『スーパーロボット大戦DD』のワールド1(昭和を舞台にした世界観)に繋がった事もほのめかしている。
ただ、結果的にリアル系の『ダンバイン』が入ってる辺り、やはり「リアル入れとかないと」という集客的な意向が働いたとも寺田Pは述懐している*3

紹介の締めに寺田P曰く、この企画はバンダイナムコエンターテインメントには出していないと言及している。
というのも、B.B.スタジオ内で「ダメだ」と内々に却下されたとのことで、若いスタッフは話を聞いてて「目が死んでいた」そうである……そりゃ70年代なんて半世紀は前だもんな……

寺田Pは「あくまで現段階で没な訳で、諦めた訳ではない」ともコメントしており、実際 2021年8月頃の4Gamerによるインタビュー でも、
「中々賛同されないが年配向けの“シルバーゲーム”路線として、過去作を当時の直撃世代向けにブラッシュアップするくらいの方向性で作り直したい」と意見した上で
番組でも語った『真スーパーロボット大戦』の企画を大真面目に考えており、本当に製作が叶うのなら色々予算を抑えに行きたいくらいだと言及している。


追記・修正は、『真スーパーロボット大戦』の実現を望む方がお願いします。

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最終更新:2024年12月06日 06:26

*1 2021年時点でスパロボには未参戦。

*2 2015年発売の書籍『マジンガーZとスーパーロボット』でも「年代ごとの短編スパロボを作りたい」という趣旨の文章の中で、1970年代版のスパロボとして「真スパロボ」と同様の内容を語っている。こうした年代別のスパロボのコンセプトは80年代作品を中心に集めた『GC/XO』、90年代前半の作品を中心に集めた『NEO』などもある。

*3 寺田P曰く「個人的には『ダンバイン』は当初はワールド2を想定していた」とのこと。