虚刀流

登録日:2021/11/29 Mon 18:07:29
更新日:2023/12/11 Mon 08:55:33
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己が刀。七つ花。相容れぬは赦すまじ



虚刀流とは大河ノベル『刀語』とその外伝作品に登場する架空の剣術である。

【概要】

を使わず己が自身を刀とする無刀の剣術で、手刀や足刀で戦う拳法ならぬ剣法。
当然、活人剣ではなく殺人剣。
鑢家に代々受け継がれており、起源は刀語本編から150年前の戦国時代。鑢一根から始まる。

剣士の魂である日本刀。その長所は長いからこそ斬りやすく、重いからこそ斬りやすいというもの。
しかし同時に長いからこそ振り回しづらく、重いからこそ振り回しづらいという短所も抱えていた。

「最強の剣士に弱点があってはならない」

そう考えた一根は誰も考えつかなかった境地、刀を捨てて自分が刀になるという発想に至る。
こうして編み出されたのが虚刀流であった。

……などと伝わっているが、実のところ鑢一根は刀剣を扱う才能がなかっただけ。
これはのちの鑢家の人間にも代々受け継がれており、全員刀の扱いはノーコン。
特に七代目の鑢七花に至っては刀を振りかぶろうとしたものならすっぽ抜け、構えても腰も不自然なほど落としたみっともない姿勢になるほど。
断っておくとこの時の七花は極めて大真面目にやっている。しかもこの時使用したのは真剣ですらない木刀である。

刀を持てば例え子供だろうと危険かつ脅威になるはず。にも関わらず虚刀流が刀で武装すれば著しく弱体化してしまうのだ。
そんな不自然さ、不器用さは『呪い』と称しても過言でない。


流派としては血縁によって受け継がれるものなので、外部の人間による弟子入りは認められていない。
当主の継承は武術にありがちな『師匠を倒して初めて襲名できる』というものではない模様。
鑢七花の場合、師匠であり父でもある六代目鑢六枝と対決した末に殺害し七代目を襲名しているが、これはアクシデントによるもの。


虚刀流では刀であるため余計な感傷を抱かぬよう教育される。
これにより虚刀流の人間は、感情こそあれど感傷を懐かない。
死体には戦慄こそすれど恐怖しない。
相手の事情を理解すれど同情を持たない。
倫理にも道徳にもとらわれない。
……割りきっていると言えば聞こえはいいが、何か無頓着でどこかデリカシーがない人格に育ってしまう。
故に虚刀流は一本の刀のごとく斬る相手は選ばないのだ。
その代わり、持ち主は選ぶ。
これと決めた主を絶対に裏切らない。それが虚刀流。


日本最強の剣士錆白兵曰く、虚刀流は『伝説の刀鍛冶、四季崎記紀の遺品』であり『記紀の血統』とのことだが……?


欠点


いかに己を刀とする剣法といえど病気にだってなれば体が鋼鉄になるわけでもなく、肉体的強度は生物の範疇であること。
当然刃を合わせた鍔迫り合いなんか出来っこない。
(ただし、極まった虚刀流の使い手は手刀で首をはねるぐらいは出来た模様)


素手で戦うため有効距離が短く相手の懐に飛び込む必要がある。
バトル漫画などにありがちな飛ばせる斬撃などないのだ。
……鑢家の異端児鑢七実はともかく。
またアニメでは演出面の強化によりラストバトルにおける七花の戦いっぷりが『それはもうとんでもないもの』になっていた。


刀身や武器を見て先手を取り攻撃の軌道を掻い潜る必要があるので、刀身が見えない納刀状態から繰り出される居合いにはタイミングを合わせづらい。


長所


接近戦しか出来ないからこそ相手の懐に入った際、鉄砲や大振りな武器が通じない。


意外にも防御力が高い。
肉体的強度は生物の範疇だからこそ攻守の切り替えの判断、防御や回避への気配りが早いのだ。
その分、防御を捨て攻撃に全てを割り振った虚刀流は恐ろしいものになる。


素手で戦うため、手ぶらで済む。


【虚刀流使用者及び当主】

木の成長過程をもとにした名前をつけられるのが特徴。

虚刀流開祖となる初代。
七花たちの先祖で刀語本編から150年前の人物。
のちの面々に比べれば刀の扱いはまだマシで普通に振り下ろすくらいなら出来た模様。それでもボロクソに言われてた
徹尾家に仕える放蕩息子だったようで、乱世の様相を無視して山中で修行していた。

  • 二代目~四代目
詳細不明(名前は鑢家のネーミング法則的にどうなるのだろう)。
歴史の表舞台には出なかった。

  • 鑢五幹
虚刀流五代目当主。
修行中の事故で早逝した。
二代目~四代目と同じく表舞台には出なかった。
不遇。

虚刀流六代目当主。
その実態は↓

『ナナフシのような棒人間の『僕』』。
『球体人間の『俺』』。
『刃物が突き刺さることを許さない、鎧のような筋肉の塊の男の『私』』。
『背の高い露出の多い青白い肌の女の『あたし』』。
『背の低い千歳の子供のような『拙者』』。
『刃のような牙を持つ喋るまだら模様の犬の『儂』』。

の六人で構成された存在で、虚刀流唯一の『六刀流』。
七花たちの前で親として振る舞っていたのはそのうちの一人(おそらく『私』)。
飛騨鷹比等が起こしたクーデターで彼を討ち大乱終結の英雄になるも、妻殺しの嫌疑をかけられ島流しにあう。
それから七実、七花の三人で本土より隔絶された不承島へ移り住み、虚刀流を継がせるため七花を鍛え上げていた。

ある日、異端すぎる才能のため継承候補からあえて除外していた七実が虚刀流の技術を身につけてしまったことを知り彼女を殺害しようとするも、それを止めようとした七花によって殺されてしまう。

虚刀流七代目当主。
刀語本編主人公。
生まれは本土だがその当時(4歳)まだ物心がつく前で、六枝と共に島流しにされてから不承島で鍛え上げられる。
ただ島には刃物がなかったため対刀剣用の技や型などは未完成だった。
外の世界のことは六枝から聞かされつつ、同時に斬る相手は選ばないよう教わってきた。
そのため喜怒哀楽の感情はあれど人間味に欠けた性格をしている。*1

とがめとの旅の中で人として成長し、刀として完了へと至っていく。

七花の姉。
天才、且つその目で見た技の全てを体得できる眼、『見稽古』を持った鑢家のイレギュラー。
一見羨ましく思えるかもしれないが、その体は高い致死率を誇る不治の病に冒されており*2、常に苦痛に苛まれている。
しかし彼女の高い天才性はそれすら拒絶してしまい、ギリギリのところで生き続けてしまっている。
謂わば死に損ないならぬ『生き損ない』。
この難儀な体は人間一人の器に納まりきらないほど余りある才能への反動のようなもので、才能と病でワンセット。
『見稽古』による他者の技術コピーなど天才すぎる彼女には本来必要あらず、それらは体を壊しかねない才を抑えるためのリミッター、安全弁なのである。
もっとも何もない不承島の中でおとなしくしている分にはマシなようだし、病による苦痛も付き合いの長い友のように思っている。

島流しにあう以前はまだ『見稽古』を持っていなかったが、当時7歳という若さでありながら日本最強の剣士であった錆黒鍵と激闘を繰り広げている。
規格外すぎる才能を持つため六枝からは虚刀流の継承候補から外され稽古もつけられていなかった……と思いきや、実は六枝が七花につけていた稽古を覗き見しており、それだけで虚刀流を体得してしまった。
それを知った六枝に殺されかけるも病魔に冒され常に苦しんでいた七実的にはそれもよしと思っていた模様。
のちにに刀の使い方も見てしまい、虚刀流の人間でありながら刀も扱えるようになってしまう*3

冷淡な性格ではあれど、努力ということに関しては思うところがある様子。ましてや虚刀流として研鑽してきた七花には大成してほしいと願っており、弟想いではある。
ただし彼女も虚刀流の人間故に斬る相手は選ばない。

七花が七代目当主なのは不満もないが、発言権は家長であるこちらが上なよう。
また何もない島育ちなためネーミングセンスは七花と同等だった。


【虚刀流関係者】

尾張幕府直轄預奉所軍所総監督。肩書きが長い
伝説の刀鍛冶『四季崎記紀』が作りし完成系変体刀集めのため不承島にいた七花を引き抜き同行させる。
もっとも刀集めの真の目的は復讐へ近づくための出世材料でしかないのだが、当初純粋すぎて善悪に頓着なく殺生をする七花の危うさは復讐という薄暗い野望を抱いていたとがめにも違和感と責任感を抱かせた。

  • 鑢みぎり(声:篠原恵美)
六枝の妻であり、七花七実の母親。
もとは六枝が仕える徹尾家の娘で三国一の美女と謳われていた。
しかしその性格は最悪の一言。
なにせ趣味は切腹の見学で、さらに自分に言い寄る男にも切腹を求めるという、常人には理解し難い感性の持ち主。
そのあまりの性格の悪さに飛騨鷹比等からも『人の形をした悪意』と言われるほど。あんたが言うな
嫁の貰い手もいなさそうな彼女だったが、六枝が本当に切腹したことでときめき婚姻する
そんな性格ながらも七実出産後は病魔に冒されていた彼女を一応案じていた。
大乱後に死亡。表向きは病死。六枝が殺したとされており、詳細は不明。

刀語本編から150年前の戦国時代にいた伝説の刀鍛治。
異端の力を備えた変体刀、完成系変体刀を作って日本中にばらまいた。
鑢一根とは同世代で浅からぬ因縁があったらしく……?














以下、ネタバレ














実は浅からぬも何も、鑢一根を導いて虚刀流を生み出し、虚刀『鑢』とした張本人である。














【虚刀『鑢』】

四季崎記紀が作りし完了系変体刀で、虚刀流そのもの。
もともと占術士の家系で未来予知の力を備えた四季崎家は刀語本編から1000年以上前に、これより先の未来で世界全てを巻き込んだ戦い、つまり自分たちが知るところの『第二次世界大戦』が起き、その末に日本が大敗することを予知する。
その未来を変えるため歴史の改竄を行っていった四季崎家はなんとか徳川将軍による江戸幕府成立までは阻止するも、歴史の修正作用として家鳴将軍による尾張幕府が誕生してしまう。鎖国体制も、保守思想も全てそのままに。
そうして、外界を知ろうともせず鎖国体制を敷き続ける尾張幕府トップ家鳴匡綱を打倒する刀として生み出されたのが人を刀とする虚刀『鑢』だった。
即ち虚刀流、虚刀『鑢』とは、歴史修正のために生み出された刀であり、生身で最強の戦闘力を発揮する人間でもある。

虚刀流の人間が刀を扱えないのも虚刀流自体が刀として鍛練され続けてきたから。
『四季崎記紀の遺品』もそのまんまの意味で、『記紀の血統』も『記紀の血刀』となる。


鑢一根を虚刀流として導いた刀鍛冶。
その一方で一根とは親友となり、山で修行中の彼に時々酒を持っていったりなどしていた。
刀語本編では毒刀『鍍』を握った真庭鳳凰の体を乗っ取り現世に復活(?)。
伊賀、新・真庭の里で七花とぶつかり合うも『七花八裂・改』を受け、虚刀『鑢』の完成具合に満足しながら散る。
それはそうと真庭の里の忍びたちは全員ぶったぎった。南無。

  • 家鳴匡綱(声:藤本譲)
尾張幕府八代将軍。
飛騨鷹比等に起こされた全国規模の大乱で煮え湯を呑まされており、彼を討った鑢六枝は謂わば命の恩人となる。
……しかし匡綱からしたら六枝ほどの人間も一兵卒に過ぎず、現在では虚刀流の存在もすっかり忘れていた。

四季崎記紀と四季崎家が虚刀流を生み出した原因。
外界に目を向けるという発想もなく思考停止しており、先述の六枝のことや、旧将軍でも集めきれなかった四季崎記紀の完成系変体刀が全て揃ったことを自分の手柄のように喜ぶ(集めたのは七花ととがめ)などその性格は小物。
四季崎家と違い未来予知なぞ出来ないので仕方ないと言えばそれまでだが……

とがめを失い壮大な『自殺』をしに来た七花の城攻めの末に『七花八裂・改』を受け死亡する。*4

虚刀『鑢』(鑢七花)の所有者。
その正体は刀語本編から20年前、尾張幕府に対し一大クーデターを起こした飛騨鷹比等の娘『容赦姫』である。
本来は殺されている逆賊の身で、幕府の追跡や調査を振り切りなんとか生きながらえた。
そんな彼女にとって一族郎党を処刑した尾張幕府と将軍家鳴匡綱はもちろん、父である鷹比等を討った鑢六枝は怨敵となる。*5
幕府に潜り込んだ彼女の最終目標は次代将軍の御側人。
四季崎記紀の完成系変体刀集めはそのための出世材料にしか過ぎずなかったが、旅をするうちに虚刀流と四季崎記紀の関係に触れることになる。
また、七花と絆を深めあっていく。

ちなみに鑢みぎりとは大乱前に面識がある(覚えているかは不明)。

幕府内におけるとがめのライバル。
その肩書きは尾張幕府預奉所内部監察所総監督。長いって
実は四季崎記紀の末裔。
一族の役目は果たしていたが、同時にその目論見が失敗するところも見たかったというアマノジャクなお姉さん。
のちに将軍殺しでお尋ね者になった七花の同行者となる。

飛騨鷹比等の大乱時には彼女によく似た四季崎一族が鑢六枝や飛騨鷹比等の前に現れ、予言を残しているが否定姫は別人と否定しており本人か否かは不明。。

日本最強の堕剣士。
全刀流の使い手で、手にした棒状のものは全て刀として扱える。
それを抜きにしてもその腕前は神業の域。
巌流島にて七花たちに意味ありげなことを言い残しながら散る。

実は錆白兵を含めた錆一族は四季崎記紀が作りし刀、全刀『錆』である。
もともと完了形変体刀候補だったが、虚刀流が選ばれたため候補から外れる。

錆白兵の母であろう錆黒鍵も全刀『錆』の一人。


【虚刀流の技など】

全て『花』の名前からつけられるのが特徴。

  • 鈴蘭
一の構え。
基本待ちの構えで、ここから虚刀流最速の奥義『鏡花水月』に繋がる。
その性質上、後の先を取るに秀でている。

  • 水仙
二の構え。
『鈴蘭』同様に後の先取る分類の構え。
このあと『花鳥風月』に繋がる。

  • 躑躅
三の構え。
ここから『百花繚乱』に繋がる。

  • 朝顔
四の構え。
七つの構えの中で唯一拳を握る。
ここから『柳緑花紅』に繋がる。

  • 夜顔
五の構え。
ここから『飛花落葉』に繋がるカウンタータイプの構え。

  • 鬼灯
六の構え。
左右の自由移動に特化している
もっとも後述の『杜若』による前後の動きほど変幻自在ではなく、真髄は他にあるとのこと。
この構えから『錦上添花』に繋がる。

  • 杜若
七の構え。
地面に手と足を付けて勢い良く突進する   つまり、現代で言う所のクラウチングスタートから始まる。
上述した鬼灯と違い、前後の自由移動に対応する構え。
移動速度に緩急をつける変幻自在な足運びが可能。
その具合はそこらの剣士の足運びとは段違い。
ただし、その足運びによるフェイントは実力者にしか通じない。つまり格下相手には通じないのである。
というか格下相手ならフェイントなど使わずにそのまま真っ直ぐ行ってブッ飛ばせば終わる
ここから『落花狼藉』に繋がる。

  • 無花果
零の構え。
本来虚刀流にない、七実オリジナルのもの。
構えてしまえば次に何を繰り出すか予想出来てしまい、同時に動作の遅れを招くと考えた七実が至った(至ってしまった)境地。七実以外の武芸者的にあんまりすぎる
そのため構えといいながらもただ棒立ちしてるだけで、名前も「強いて名付けるなら」とつけられた。

武器破壊の技。
刺突してくる敵の武器を背中と両腕でがっちり固定し、テコの原理で圧し折る。
不承島での戦いで七花は真庭蝙蝠が振るった絶刀『鉋』にこの技を繰り出すも、『何よりも固く決して壊れない』特性を持つ絶刀を破壊出来なかった。
しかしのちに再戦した時にはしかとこの技で破壊している。
実はもともとこの技は絶刀『鉋』を折るためだけに鑢一根と四季崎記紀により編み出された技で、最初七花が絶刀を折れなかったのはまだ未熟な状態だったため。

  • 牡丹
後方への回し蹴り。
父と姉以外の人間を見たことがない七花が真庭蝙蝠に対し反射的に使用した。
この時、真庭蝙蝠は何よりも頑丈な絶刀『鉋』を体内に収納していたためダウンした程度だったが、本来の『牡丹』はまともに入れば一撃で相手を戦闘不能にするぐらい強力なもの。

  • 百合
胴回し回転蹴り。
居合い抜きからとがめを回避させるため七花が彼女に対し使用した(もっとも『蹴る』というより『引っ掛かる』ように)。

薙ぐ軌道に対する受け技。
菊と同じく武器破壊をしてしまうので、言及されるだけで作中では使用されなかった。

  • 薔薇
跳び前蹴りを放つ飛び込み技。

  • 女郎花
カウンターの技。
折った刀を相手に返す一種の奪刀術で、七実が真庭蟷螂に使った。
完成系変体刀を無傷で集めねばならない七花には流石に使えない技である。

  • 雛罌粟
下から上へ斬り上げる手刀。
連続コンボの最初に持ってこられた。

  • 蒲公英
組技。
相手を引き寄せながら放つ抜き手。
七花のように腕力に優れたものならそのまま貫くことも可能だろうが、あくまで刺す程度。
七実お気に入りの技。
真庭蝶々戦での七実はその前にコピーした真庭忍法『爪合わせ』で爪を鋭利に伸ばした上でこの技を使い真庭蝶々を貫いた。
そして七花vs七実戦では皮肉にも彼女に対してのとどめとして使われた。

虚刀流では珍しい投げ技。
相手に足払いをかけ、さらに上半身を突いて遠心力で投げる。
凍空こなゆきに使われた。

一回転してからの回し蹴り。
凍空こなゆきの体を乗っ取った真庭狂犬に使われた。

  • 沈丁花
打撃技。連続コンボの〆にもってこられた。

  • 鷺草
上から袈裟懸けするように振り下ろす蹴り。
日和号との戦いに使われた。

  • 石榴
手による打撃技。
日和号との戦いに(ry

  • 菖蒲
手による打撃技。
日和号との(ry

  • 木蓮
跳び膝蹴り。
日和号(ry

  • 桜桃
(ry
どういう技かは不明。

  • 野苺
肘による打突。

  • 桔梗
相手の腕を捻り上げ、肩と肘を同時に極める組み技。
汽口慚愧との徒手空拳戦で七花が使用。

  • 百日紅
下からかち上げる掌底。
初代鑢一根が使用。

  • 鬼百合
  • 銀杏
  • 山茶花
  • 蓮華草
鑢六枝たちがそれぞれ使用。
心王一鞘流十一代目、汽口慚愧に振るった。

  • 真剣白刃取り
虚刀流としては名前もない基礎的なもの。
家鳴将軍家御側人十一人衆の1人、鬼宿不埒が使う斬刀『鈍』に使った。

  • 雛罌粟から沈丁花まで打撃技混成接続
『雛罌粟』から始まり『沈丁花』で〆る連続コンボ。
そのコンボ数、なんと272回
七実と七花、両名が使用。

七実の場合は清涼院護剣寺での七花戦(一回目)で使用。
本来虚弱体質故に体力がない七実には出来ない芸当だが、悪刀『鐚』による肉体バフ+重さをなくす真庭忍法『足軽』との併用でダメージのない攻撃ながらも七花を完全に圧倒した。

七花の場合、尾張城での家鳴将軍家御側人十一人衆が1人、胡乱との戦いに使用した。
もっとも七実が繰り出したそれとは違い、手加減なしの七花の攻撃一発一発はとても重たいもの。
結果、悪刀『鐚』により不死身の生命力を得ていた胡乱は悪刀の力が枯渇するまでHP100%分のダメージを272回受け続けるという最悪の結末を迎えた。
\フルコンボだドン!/

  • 石榴から菖蒲まで混成接続
日和号相手に振るわれた(もっともダメージを与えるためではなく、消耗させるために振るった)。


【虚刀流奥義】

全て『花』を含む四文字熟語から。

  • 鏡花水月(一)
一の構え『鈴蘭』から繰り出す虚刀流最速の技。
相手の胸元に強烈な掌底を放つ。
その威力は食らった部分が平手の形に陥没するほど。
よく使用された。
他にも裏拳バージョンが存在。

  • 花鳥風月(二)
二の構え『水仙』から見舞う技。
家鳴将軍家御側人十一人衆の1人、浮義待秋に使われたぐらいでどういう奥義か不明だったが、アニメでは『蒲公英』のような貫手として描写された。

  • 百花繚乱(三)
三の構え『躑躅』から仕掛ける膝蹴り。
錆白兵汽口慚愧といった強敵に七花が使用した(あと家鳴将軍家御側人十一人衆の1人、鬼宿不埒にも使われた)。

  • 柳緑花紅(四)
四の構え『朝顔』からぶちかます技。
拳を放ち、対象の好きな位置に衝撃を伝導させる技。
いわば『発剄』や『遠当て』などに通じる『鎧通し』で、防具を身にまとった相手などに対し特に有効。
理論的には地球の裏側にいる人間にさえ衝撃を伝えられるとのこと。

  • 飛花落葉(五)
五の構え『夜顔』から打ち込まれる、両手を使った張り手。
『柳緑花紅』が内側に衝撃を通すのに対し、こちらは相手の外側に衝撃を与える。
そういった技の性質上、7つの奥義の中で唯一殺さない加減が可能な技である。
凍空こなゆきの体を乗っ取った真庭狂犬に使用され、結果こなゆきは死を免れた。

  • 錦上添花(六)
六の構え『鬼灯』から振るわれる奥義。
出番がほとんどなく、家鳴将軍家御側人十一人衆戦で使われたのみ。
アニメでは左右から水平に炸裂する、両手を使った手刀として表現された。

  • 落花狼藉(七)
七の構え『杜若』から繋がり、上空に飛び上がったのち、足を斧刀に見立てた踵落としを決める。
その性質上、天井のような足場がある場所では威力が3割増しになる。

  • 七花八裂
七花考案の最終奥義。
虚刀流の七つの奥義を一から七まで順番に、連続して浴びせる。
最初に放つのが最速の『鏡花水月』であるため速応性がある。
反面、四番目の『柳緑花紅』が体を捻って放つので僅かに隙が生じ連続性が若干途切れるのが欠点。
七花だけでなく七実も使用。

  • 七花八裂・改
『七花八裂』の弱点を改めたバージョン。
七つの奥義の中で一番隙が目立つ『柳緑花紅』を最初に持ってきたことで『連続性の途切れ』をなくすことに成功。
そこから720通りの組み合わせを試行錯誤して完成した。
奥義の順番的には↓

四『柳緑花紅』(防御力無視の拳)

一『鏡花水月』(最速の掌底)

五『飛花落葉』(防御を崩す、両手による張り手)

七『落花狼藉』(踵落とし)

三『百花繚乱』(膝蹴り)

六『錦上添花』(左右から炸裂する、両手による手刀)

二『花鳥風月』(抜き手)

と放つのがもっとも隙がなく最高威力になる。

  • 七花八裂応用編
家鳴将軍家御側人十一人衆の1人、灰賀欧と日和号に七花が使用。
同時に襲いかかってきた2人に七つの奥義を3:4で割り振り放った(灰賀欧が奥義三つ。日和号が奥義四つ)。

  • 七花八裂(六枝バージョン)
大乱の折に六枝が飛騨鷹比等に対し使用した。*6
ただし厳密に言うと七花のものとは別で、六枝たち6人が奥義六つをそれぞれ別々に放ち最後に残った奥義一発を放つ。
つまりこう↓

『鏡花水月』、『花鳥風月』、『百花繚乱』、『柳緑花紅』、『飛花落葉』、『錦上添花』

『落花狼藉』×6

……最終的に6人で踵落としを決めてる姿はなかなかシュールに感じるが(しかも1人は犬)、それでも素の『七花八裂』が七つの攻撃でこちらは十二。威力はだんちである。
またオリジナルが七工程に対し、六枝バージョンは二工程と短くて済む。
なお当時『七花八裂』という名称は使われていなかったので(技を考案し名付けたのは七花である)、ここでの『七花八裂(六枝バージョン)』という名称は便宜的なもの。


【虚刀流の活躍(刀語本編基準)】

150年前

  • 虚刀流の誕生
戦乱を無視して山中でがむしゃらに剣の修行をしていた鑢一根は当時素材を求めていた四季崎記紀と出会う。
虚刀流、ここに誕生す。

虚刀流の修行をしていた一根は偶然初代真庭蝶々と遭遇。
お互い初対面、素性も知れぬ状態だったが武芸者として惹かれあうままぶつかり合い、初代真庭蝶々に勝利。
そのまま意気投合する。
またこの戦いで一の奥義『鏡花水月』が誕生する。

  • 時期不明
詳細は不明だが表立って一根が活躍し、一根と虚刀流の名が世に知られる。


【虚刀流二代目~五代目の時期】

大きな戦もなかったため歴史の表舞台に出なかった。
鑢五幹が修行中の事故で早くして亡くなる。


【20年前(刀語第零話 虚刀『鑢』】

  • 六枝の家族
(●六枝、みぎり、七実、七花)
鑢六枝は自分が仕える徹尾家のみぎりと婚姻させられる。
のちに長女の七実が産まれるも虚弱なくせに死ねない体質だった。
それから3年後、長男七花が誕生。

  • 飛騨鷹比等による大乱
(●六枝、みぎり)
奥州の顔役飛騨鷹比等が尾張幕府に反旗を翻し、日本中を巻き込んだ大乱が発生。
みぎりから六枝に、飛騨鷹比等の首をとり反乱を収めよとの指令が下る。

出雲に訪れた六枝は待ち伏せしていた鷹比等と殺し合いになる。
その戦場より遠く離れた地にいた最強剣士錆黒鍵による長距離爆撃ならぬ長距離素振りにより六枝と鷹比等の戦闘は強制終了。鷹比等に逃げられる。
一方で、鑢みぎりが鷹比等四天王の1人『右腕』に誘拐される。

因幡砂漠にて鷹比等四天王の『左腕』、『右足』、『左足』を切り捨てる六枝。
そこへ現れた否定的な童女からみぎりが誘拐されたことを知らされる。
困惑する六枝だったが、再び錆黒鍵による長距離攻撃を受け『僕』の右肩が爆散する。

出羽は天童にて。心王一鞘流十一代目、汽口慚愧と戦闘に入る六枝。
しかし結局最後まで勝てなかったため、天童から大きく迂回し飛騨『迷宮城』にたどり着く。

飛騨『迷宮城』へ乗り込んだ六枝は『首』を倒し、飛騨鷹比等のもとへ。
6人それぞれに虚刀流奥義を放ち彼の首をとる。
その後、妻みぎりを救出。大乱終結の英雄になる。

(●七実)
父が英雄になるところを見たくて六枝をストーキングしていた七実は、因幡砂漠にいた父を長距離攻撃せんとする錆黒鍵に遭遇。
鑢七実と錆黒鍵。虚刀流と全刀流。鑢と錆の半年に渡る激闘が繰り広げられる。
その戦いの結末は不明。

  • 大乱後
(●六枝、みぎり、七実、七花)
みぎりが死亡。これにより六枝は妻殺害の嫌疑をかけられてしまう。
本来ならば打ち首とされてもおかしくないところ、大乱終結の英雄だったため島流しとなる。
みぎりの死は表向きには病死とされ、また島流しの理由も徹尾家上役の機嫌を損ねたためと処理されている。
(おそらく虚刀流を一旦歴史の表舞台からどかすため四季崎記紀の末裔たちによる干渉があったと思われる)


【刀語本編前】

  • 1年前
(●六枝、七実、七花)
七花の失言により七実が虚刀流の技を習得していることが六枝に露呈してしまう。
それにより六枝は七実を殺害しようとするが止めに入った七花と戦闘に突入。
しかしこの時点で七花の技量や体格は父を既に上回っていたため六枝は敗れ死亡。
七花が虚刀流七代目に襲名する。

  • 六枝死亡から1週間後
(●七実、七花)
七花と七実。初の手合わせ。
結果引き分け……と言いたいところだが、その勝負内容は七花が繰り出した攻撃全てを七実が延々と捌ききり、七花の体力切れで終了というあんまりなものだった。
断っておくと七実は虚弱体質なので体力はない。ないのである。それでありながら七花の方が先に体力切れになるってどういうことなの……

この結果に流石の七花も1週間ほど落ち込む(そりゃそうだ)。

  • 数日前
(●七花)
虚刀流最終奥義『七花八裂』を思い付く。


【刀語本編】

  • 睦月
(●七花、七実)
不承島にとがめが来訪。初の来客をもてなす。

(●七花)
虚刀流当主である七花に、尾張幕府のもと旧将軍でも集めきれなかった四季崎記紀の完成系変体刀集めをとがめより依頼される。
そこへ現れた真庭蝙蝠と七花は対峙。
真庭蝙蝠からとがめの正体と刀集めの目的を知った七花は彼女に心うたれ協力することを決意。
初披露の虚刀流最終奥義『七花八裂』により真庭蝙蝠を倒し、絶刀『鉋』を蒐集。
とがめに惚れることにする。

とがめと海をわたり、京都は氷床道場にて。
蝙蝠vs七花戦を見れなかったとがめの計らいで道場の人間6人と腕試しすることに。
その6人は決して雑魚ではない手練れだったが『七花八裂』により全員ノックアウト。
そこでとがめから

「刀を傷つけるな」
「私を守れ」
「怪我をするな」
「自分自身を守れ」

と四つの約束を言いつけられる(アニメでは不承島を出る時に)。

(●七実)
小屋の壁が真庭蝙蝠にふっとばされる直前、それに誰よりも早く勘づき、とがめと七花を緊急回避させるという離れ業を見せる。
七花を島から送り出す際には、とがめの出自や六枝を殺していることは黙っておくよう言い含める。
一方でとがめから本土にあがることを提案されるも、頑なに島に残ることを選ぶ。
また七花が島を出る直前『七花八裂』を披露された模様。


  • 如月
(●七花、とがめ)
斬刀『鈍』を蒐集するため因幡の砂漠地帯にそびえ立つ下克城に赴く。
斬刀の所有者は宇練銀閣。居合い抜きの達人で、一万人斬りを達成した宇練金閣の子孫。
実戦経験の少なさとやりづらい居合いに苦慮しつつ、その軌道を変幻自在の足運びと3次元的な動きでかいくぐり勝利。
決まり手は虚刀流奥義『落花狼藉』。斬刀『鈍』を蒐集。

七花の口癖が「ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな」に決定された(とがめ考案)。
他、没になった口癖は「うっふん」、「ほら、おれって誰よりも神から愛されてるじゃん?」、「どうやらあんた、島流しにされたいようだな」


  • 弥生
(●七花、とがめ)
千刀『鎩』を求め、出雲は三途神社に訪れる。
千刀の所有者は元山賊の神主敦賀迷彩と黒巫女1000人。
とがめの交渉の末、迷彩から提示された刀を渡す条件は『まず千本全てが同一である千刀の最初に作られた雛型探し』と『その上での決闘』。

とがめによる千刀の雛型が見つかったあと*7七花と迷彩による対決が開幕。
バトルフィールドのあちこちに仕掛けられた千刀により七花は翻弄されるも、唯一刀が仕掛けられていない逗留先の庵周辺に誘きだす。
ここで真っ向勝負をせざるを得なくなった敦賀迷彩を虚刀流奥義『鏡花水月』で倒す(殺害してしまう)。*8
千刀『鎩』をここに蒐集する。


  • 卯月
(●七花、とがめ)
周防の巌流島にて日本最強の剣士錆白兵と対決。
際どい戦いではあったが『百花繚乱』が決まり勝利。薄刀『針』を蒐集。
七花ととがめは一皮むける。
なお、この激闘で巌流島の面積が半分になる。

(●七実)
一方、不承島に真庭忍軍十二頭領の真庭蟷螂、真庭蝶々、真庭蜜蜂が現れる。
既に完成形変体刀を3本蒐集した七花&とがめへの人質とするため七実を拐おうとするも、規格外の才を持つ七実により3人とも返り討ちにあう。*9
この戦いで七実は真庭忍法と刀の扱い方を習得してしまう。
自分の体がもたないと察した七実は剣士として七花に殺してもらうため刀集めに参戦を決意。


  • 皐月
(●七花、とがめ)
錆白兵を倒し『新日本最強』になったことで、何人もの剣士たちが七花に挑戦してくる。
そんな有象無象を斬り捨てながら、賊刀『鎧』がある薩摩は濁音港へ。
賊刀の所有者(装着者)は鎧海賊団船長校倉必
幕府的には斬ってもいいアウトローだが町の人気者だったため、賊刀を賭け町の公開闘技場である大盆で対決することになる。

大盆にて。賊刀の特殊構造によって奥義『柳緑花紅』を無効化された七花は苦戦し打つ手なしかと思いきや、とがめからの叱責に持ち直し、重装備の大男である校倉を持ち上げ地面に叩き落とす。
結果、校倉の脳震盪による気絶で七花の勝利。
賊刀『鎧』を蒐集。
船で尾張を目指す二人だったが、乗り込んだ船は校倉のささやかな意趣返しにより蝦夷へ向かっていた。

(●七実)
一方、蝦夷の絶対凍土、踊山に七実が現れる。
七実は山に住む凍空一族を壊滅させ、彼らが所有していた双刀『鎚』を見つける(さらに彼ら一族の固有スキルである怪力もコピーした)。
だが双刀はいまいち合わなかったため、その場にほっぽって踊山をあとにする。

それから陸奥の一級災害指定地域、死霊山に足を運ぶ。
山を守護する神衛隊を踏み散らし、祀られていた悪刀『鐚』を奪っていく。
その後四国行きの船に乗る。


  • 水無月
(●七花、とがめ)
双刀『鎚』があるなら……ということで仕方なく七花ととがめは踊山を登る。
しかし6月でも吹雪が吹き荒れる極寒の雪山に何の準備もないまま登り凍傷&遭難しかける。
そこへ踊山に古来から住む凍空一族の幼子凍空こなゆきが現れ助けられる。
『雪崩で全滅した一族唯一の生き残り』であるという彼女に双刀を蒐集しにきた旨を伝えると、双刀を欲するものが現れた場合資格を試すよう一族に伝えられていたため、こなゆきと戦闘に。
戦法も何も知らないど素人のこなゆきの動きが読めず調子を狂わされた七花は、初めて負傷させられ敗北する。

4日後。落命した仲間の敵討ちに燃える真庭狂犬が踊山に現る。
彼女の真庭忍法『狂犬発動』によりこなゆきの体が乗っ取られてしまうが、戦闘経験豊富な真庭狂犬の戦い方は定石通りだったため、七花の戦闘力と噛み合い、あっさりと敗北。
決まり手は虚刀流奥義『飛花落葉』。
この時七花の配慮により真庭狂犬の精神だけが消滅し、こなゆきは生存。
双刀『鎚』蒐集。*10


  • 文月
(●七実)
土佐。清涼院護剣寺に七実が現れ、僧兵たちを斬り伏せ、居座る。

(●七実、七花、とがめ)
清涼院護剣寺で七実と再会する七花ととがめ。
姉と弟は刀として刃を交えるも悪刀『鐚』の力、真庭忍法、凍空一族の怪力を駆使した七実により『七花八裂』が軽く破られ、七花敗北。*11

1週間後。とがめに発破をかけられた七花は、彼女と『七花八裂』の弱点を洗い出し、改良版『七花八裂・改』を編み出す。
二度目の対決。刀大仏が鎮座する本堂にて。
とがめの奇策で『見稽古』を封じられた七実は七花の接近を許し『七花八裂・改』を食らう。
悪刀『鐚』蒐集。
それでも食い下がる七実は七花を挑発し*12、最終ラウンドにもつれ込む。
しかし七実の体は限界を迎えており、七花の放った虚刀流『蒲公英』によって死亡する。
姉殺しを経験した七花は刀として錆びるも、人間らしさと覚悟を得る。

3日後、土佐から船で一度尾張へ。
なお、この壮絶な姉弟対決により刀大仏のあるお堂は全壊した(蝋燭の火がまわり炎上したこともあるが)。


  • 葉月
(●七花、とがめ)
残る完成形変体刀の情報が途切れたため、尾張へ帰還。
否定姫より『江戸は一級災害指定地域の不要湖に四季崎記紀が使っていた工房があった』との情報を得て、江戸に向かうことに。

1週間後。江戸、不要湖についた七花ととがめは、そのガラクタしかない不要湖を徘徊する、不要湖が災害指定されている原因となった殺人からくり人形日和号を発見。
それこそが四季崎記紀が作りし完成形変体刀の一振り、微刀『釵』であることを知る。
それから3日間、日和号のデータと不要湖の地形を調べ上げると同時に、四季崎記紀の工房があったと思われる場所を推測する。
翌日。天気は曇天。
日和号の動力源が『太陽光』であるとにらみをつけたとがめの奇策により、とにかく体力の続く限り攻防を繰り広げることとなる七花。
そしてついに日和号の燃料切れにより戦闘終了。
微刀『釵』蒐集。
四季崎の工房を探すも成果はなかったため、仕方なく出羽は天童へ向かうことに。


  • 長月
(●七花、とがめ)
出羽・天童、将棋村。
村唯一の剣の道場、心王一鞘流を尋ねた七花ととがめは道場に代々受け継がれていた完成形変体刀が一本、王刀『鋸』を確認。
翌日、所有者である心王一鞘流十二代目汽口慚愧と王刀を賭け対決することになる。
しかし彼女の『生真面目すぎる気質』と『心王一鞘流は活人剣で競技としての剣術に近い』こと。そして何より『そもそも徒手空拳で戦う虚刀流の存在を知らない』ことから七花が素手で戦うことを許せず、刀を扱えない七花に防具と木刀を使用して立ち合うことを強制する。
結果、七花の惨敗(のちに心王一鞘流は虚刀流に一度は勝ったと言い伝えられるようになる)。
へこむ七花だったが、あまりに実力差がありすぎた戦いに納得のいかなかった汽口により、しばらく七花を心王一鞘流の門下生として鍛えたのち再戦することになる。

10日後。他流の門下生になった七花にとって悪戦苦闘の日々となるが、それでもとても新鮮な経験になる(一方で、アニメ版ではとがめまわりの描写がそれはもうえらいことになってた)。
その間奇策を練っていたとがめにより王刀を賭けた勝負は翌日にセッティングされる。

翌日の汽口慚愧vs七花、二戦目。相変わらず防具と木刀を着用してのレギュレーションではあったが、開始と同時にとがめの場外戦術が炸裂し、集中力を乱された汽口は全くの無防備な状態に。
その隙を突いた七花の面により汽口は敗北。
王刀『鋸』蒐集。
この後改めて七花は虚刀流として汽口と勝負。決まり手は『躑躅』からの『百花繚乱』。

後日、とがめが報告書を書き上げるまでの間、今度は徒手空拳の汽口と拳を交える。
もっとも汽口がとったのはあくまで拳法の真似事。故に勝負は汽口の降参ですぐ終わり、七花は武装して弱くなる虚刀流の不自然さを改めて実感することとなる。


  • 神無月某日。
(●七花、とがめ)
尾張に帰還した二人は再び否定姫より情報をもたらされる。
誠刀『銓』。場所は奥州、元飛騨城跡の百刑場。所有者は仙人の彼我木輪廻

その情報に従い奥州に訪れた七花ととがめ。
ここで誠刀の所有者である仙人、彼我木輪廻に出会い彼と誠刀を賭けて勝負……になるかと思われるも、渡すのを渋るどころか「地中深くに埋めたから欲しけりゃ掘れ」と言われる。
ただし誠刀の採掘はとがめがやらされ、その間七花は手持ちぶさただった。

とがめが穴を掘ってる合間、暇な七花は彼我木と相対し、今まで対戦してきた女性に対し苦手意識があることが分かる。
また持てる力全てを防御や回避にまわす彼我木には全く勝てなかった。というか戦いにすらならなかった。

とがめが誠刀を発掘後、彼我木の証言より『虚刀流は四季崎記紀が作った完了形変体刀、虚刀『鑢』である』ことが判明。
奥州をあとにする。
その途中、手負いの真庭人鳥を発見する。


  • 霜月
(●七花、とがめ)
出羽の旅籠に真庭人鳥を運び込んだ二人はしばらく人鳥の回復を待つもなかなかよくならないため、人鳥をおいて乱心した真庭鳳凰がいるという伊賀は新・真庭の里に向かう。

霜月末日。新・真庭の里についた七花ととがめ。
そこで待っていた真庭鳳凰は毒刀『鍍』に宿っていた刀の毒と四季崎記紀の思念に乗っ取られており、ここに虚刀『鑢』とそれを打った刀鍛冶が対面。
虚刀『鑢』の完了度を実感するため刀を向ける真庭鳳凰(四季崎記紀)と、毒刀を蒐集しようとする七花がぶつかり合う。
結果、七花が勝利し真庭鳳凰(四季崎記紀)は死亡。決まり手は『七花八裂・改』。
毒刀『鍍』蒐集。


  • 師走
(●七花、とがめ)
毒刀『鍍』を携え尾張に帰還した二人だったが、とがめの正体が逆賊の生き残りであることが否定姫にバレており、左右田右衛門左衛門によってとがめが銃撃される。
これにより虚刀『鑢』の所有者奇策士とがめは死亡。
七花がとがめより言いつけられていた約束を守る必要がなくなる。

(●七花)
とがめを失い死に場所を求めた七花は彼女が着ていた衣を羽織り尾張城へ単身乗り込む。
ここでまず100人近い警備兵を蹴散らす。

次に今まで自分が戦ってきた完成系変体刀を携えた家鳴将軍家御側人十一人衆と一人ずつ戦闘になるも、一年間たっぷり戦闘経験を得た上に『刀を傷つけてはならない』という縛りから解放された七花の戦闘能力により全員が瞬殺、11本の刀は全て破壊された。

左右田右衛門左衛門との戦いでは『己を守れ』という約束も守る必要がなくなっていたので、炎刀『銃』による弾幕を避けずにその身に受けることでその弾幕網を突破。
死闘の末に左右田右衛門左衛門を倒し、炎刀も破壊。

そして最後。天守閣にて、天下を差し出す家鳴匡綱の命乞いを無視し虚刀流最終奥義『七花八裂・改』で打倒する。
なお、その時放ったかけ声「ちぇりお」は八百八町中に響きわたったという。


【以後】

  • 表向きの話と裏向きの話
尾張城に侵入し時の将軍を暗殺した七花は追われる身となる。
ただしそれらは表に出せる話ではないため隠蔽されており、世間での虚刀流は

【旧将軍でもなしえなかった四季崎記紀の完成系変体刀をコンプリートした英雄】
【剣士の聖地である清涼院護剣寺で壮絶な姉弟対決をした猛者】
【巌流島で剣聖錆白兵に打ち勝った新日本最強の剣士】

と謳われ、虚刀流の名誉はここに回復する。

  • その後の七花
(●七花、否定姫)
能登、星砂街道。お尋ね者の七花だが気にも留めてないのか茶店にて堂々と一息ついていた。
そんな七花の目的はとがめの意志を継いで日本地図を作成すること。
また四季崎家の役目も終え、同じく凶状持ちになった否定姫もついでに同行。

とがめの遺した衣で辛うじて生きながらえた七花は、彼女が死に際にはなった「好きに生きろ」という言ノ葉には従うことにする。

記録に残るのはここまで。その後の足取りは不明。


【余談】

原作の巻末にある主要キャラプロフィールには格ゲー風の技入力コマンドが設定されており、ここで紹介した虚刀流奥義にもそれがある。
格ゲー化を狙ったものだったそうだが、お声はかからなかった模様。



追記・修正は『鑢』で削ってお願いします。

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最終更新:2023年12月11日 08:55

*1 とがめと混浴に入っても何の反応もないあたり、性欲もない節がある。性教育は受けたのだろうか……?

*2 しかも一つだけではなく複数の病。慢性的に合併症を引き起こしている。

*3 但し弱体化するという点では他の虚刀流と同じく。

*4 もっともその時点で七花は虚刀鑢が歴史修正のために作られたとは知らず、匡綱を殺したのもとがめの復讐の原因となったしめしをつけるため。

*5 しかも当時、鷹比等が六枝に討たれるショッキングな場面を目撃してしまっている。

*6 この時の六枝は『完了』の域に達していたとのこと。

*7 但しそれは千刀を各位置に配置するための時間稼ぎの為だった。そして刀の雛形は全く別な場所、意外な形で見つかる事となる。

*8 しかし黒巫女たちの反応は騒然になるでもなければ七花たちを嫌悪するでもなく、冷静なものだった。

*9 この時、虚刀流初代鑢一根と初代真庭蝶々戦から150年以来の虚刀流vs真庭拳法となるのだが…。

*10 幕府へ持ち運んだのはこなゆき。

*11 しかし姉心として『七花八裂』の弱点も示唆していた。

*12 どうやったか不明だが『間合いの離れたとがめの髪を、首には一切傷つけずにバッサリ切り落とす』というワケの分からない神業をやってのけた。