めちゃ×2イケてるッ!新メンバーオーディション

登録日:2022/10/15 Sat 20:24:00
更新日:2024/12/31 Tue 20:56:32
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2010年、それは唐突に訪れた──





ナインティナイン岡村隆史 体調不良により無期限活動休止




それに伴い、レギュラー番組のめちゃ2イケてるッ! (通称:めちゃイケ)も2010年6月より一時的に休養を余儀なくされ、岡村不在のまま番組が放送された。

めちゃイケ放送開始から15年という節目の年に訪れた「番組の大黒柱である岡村の無期限休養」という最大の「ピンチ」を「チャンス」にしよう、と発表されたのが新メンバー公開オーディションの開催であった。
めちゃイケの初期メンバーは前身番組『めちゃ×2モテたいッ!』のメンバーをほぼそのまま引き継いだ形であり、降板はあるものの*1加入自体はなかったため、オーディションによる新規メンバーの加入はめちゃイケの15年の歴史では初めてのことである。

まず、500回記念放送(2010年9月4日)での『やべっち寿司』終盤において、江頭2:50が当企画の開催を発表。
その後1次・2次・3次審査の様子をダイジェストとして10月9日に放送。
そして10月30日に最終オーディションが生放送で行われた。

オーディションは仙台東京大阪福岡の4都市安定の名古屋飛ばしで開催された。
また、芸人だけを集めた「芸人ブロック」が別枠で開催。
事務所に所属している人だけでなく、芸能界とは関係なく普通に過ごしている一般人まで国籍関係なく「めちゃイケに対する愛があればOK」との条件で幅広く新メンバーを募っていた。
(ただし、労働基準法などの関係で応募時点で18歳未満の人はNGとさすがに年齢に関する制限はかけられていた)
長い歴史を持つ民放の人気ゴールデン番組であること、事務所に所属してない素人まで応募可能ということもあってか、応募者数はなんと1万を越えた。

合格できるのは1組のみと予定されており、番組内でもその事は強調されていたが…(詳しくは後述)。


【オーディションの内容】

予選○×クイズ(東京会場のみ)

1次審査:メンバーが審査員を務める面接(10月9日放送)

2次審査:やべっち寿司でのグループトーク(10月9日放送)
トークの翌日に合格発表となっているが、○×泥んこクイズの要領で壁を破って合格者は金のマット、不合格者は泥に落とされるとかなり趣向を凝らしたものとなっている。

3次審査:めちゃイケに関する心の手紙の朗読(10月9日放送)
この審査中に大人気漫画『ONE PIECE』 の作者、尾田栄一郎からめちゃイケメンバーを麦わらの一味風に描き下ろしたイラストが寄せられた*2
その中には新メンバーを意味する、全身真っ黒でNEWの文字が書かれたフード姿のキャラも1人描かれていた。
なおこれは『ONE PIECE』がめちゃイケと同じくフジテレビ系列で放送されていたことと、尾田先生がめちゃイケの大ファンだったため実現へ至ったものである。

最終審査:生放送による最終審査(10月30日放送)
候補者は計10組で行われた。
その選考内容は、新メンバーにかける自らの思いを1組ずつスピーチしていくいうものであった。


【主なオーディション参加者】

1次審査で落選した人々

何故か『オレたちひょうきん族』のキャラクター・パーデンネンに扮しつつ、他の芸人達の後ろにこっそり紛れる形で登場。
他の参加者の芸人を上手くネタに利用したりと、会場をカオスな空気に陥れた。ちなみに2018年のめちゃイケ最終回でもパーデンネンの格好で登場しており、このオーディションの件にも触れた。

  • 恵比寿マスカッツ
テレビ東京の深夜番組『おねだりマスカットDX!』*3から局の垣根を越えてオーディションへ参加。
1組の参加者としては(放送内で確認できる限りでは)最多である。
『おねマス』の番宣目的で来たのではないのかという疑惑と、メンバーの大半がAV女優であるためゴールデンに相応しくないという点により加藤から一蹴された。

  • キンタロー。
まだ前田敦子のモノマネでブレイクする前に本名で参加。当時は事務所に所属していない素人だった。

  • 石田たくみ
グレープカンパニー所属のお笑いコンビ「カミナリ」のメンバー。
上記のキンタロー。同様、当時はまだ事務所に所属していなかった素人で、本来は後に相方となる竹内まなぶと友人の3人で参加する予定だったが、スケジュールの都合で石田のみの参加となった。

なお、正式な参加者でないが、SMAPの東京ドーム公演の本番前に突如乗り込んできためちゃイケメンバーにより番組の準レギュラー的存在の中居正広も無理やりオーディションへ参加させられ、後日『SMAP×SMAP』の「BISTRO SMAP」にて正式に不合格を言い渡されるというコントが行われた。


2次、3次審査で落選した人々

  • 諸星和己
光GENJIメンバー。2006年にも番組にはゲスト出演していた。
トレードマークのローラースケートで光GENJI時代のように2回転ターンを披露したが、ターンが終わった直後よろけそうになっていた。

とてつもなく高い声とカオスな言動が特徴的な人気声優。
そのあまりにも特徴的な声での自己紹介で、審査員であるめちゃイケメンバーを圧倒した。

  • 宮下雄也
舞台を中心に活躍する吉本興業所属の俳優だが、アニヲタ的には『遊戯王5D's』の主人公・不動遊星の声優といえば馴染み深いであろう*4
「空中座禅」という謎の特技を披露した。

  • あばれる君
当時芸歴1年目のド新人であった彼も芸人ブロックで参加していた。

当時AKB48のメンバー。まだ今ほどの知名度も無ければ、『笑っていいとも!』のレギュラーにもなる前*5
応募した時は17歳で年齢規定に達していなかったが、オーディション結果発表後の11月21日には18歳になるからという理由により番組プロデューサーの独断で通過していた。
しかし、やはり応募時点で18歳でないことには変わりないので最終的には辞退となった。

  • 矢部美幸
矢部の実兄。

  • misono
倖田來未の実妹。バンド「day after tomorrow」でデビュー、活動休止後はソロで歌手活動を行なっており、
当時はその赤裸々なキャラで『ヘキサゴンⅡ』や『ロンハー』などのバラエティ番組で活躍していた。


最終審査に残った10組

  • ダイノジ
大分県出身のお笑いコンビ。
同期がタカアンドトシやガレッジセールといった中堅どころで、2002年のM-1グランプリで決勝進出経験を持つなど最終審査の芸人組の中では図抜けて実力者。

  • トミドコロ
グレープカンパニー所属のピン芸人。

  • 栗山夢衣
アイドル。『クイズ正解は一年後』にてTBSの玄関で門前払いを喰らっている人と言えば分かる方もいるはず。セルフ亀甲縛りが特技で予選にて披露していた。

  • 多賀久徳
就職活動中の大学生。一般公募組その1。

  • 香月亜耶乃
高校生から地元福岡で芸能活動をしている。

  • ジャルジャル
フジテレビでかつて放送されていた『爆笑レッドシアター』で話題を集め、当時人気急上昇中だったお笑いコンビ。

  • たんぽぽ
当時デビュー2年目の若手お笑いコンビ。
女性2人のコンビ、顔がどちらも客観的に見れば不細工という点でめちゃイケメンバーのオアシズと被っている。

  • 敦士
身長187cmという日本人離れした身長を持つファッションモデル。
芸人ではなく客観的に見ればイケメンという点でめちゃイケメンバーの武田と被っている。

  • 重盛さと美
グラビアアイドル。
日本テレビの『エンタの神様』にグラドルながらも2008年~2009年にかけて数回出演したり、同じく日本テレビの昼の番組『ラジかるッ』『おもいッきりDON!』などといった番組に曜日レギュラー出演していたりと様々な実績があった。

  • 三中元克
一般公募組その2。オーディション当時はフリーターであった。
岡村のファンと自称しており、岡村が『オファーシリーズ』で着用している青色のジャージと同じものを常に着ている。オーディションでも長々と岡村に対する思いを涙ながらスピーチした。


【オーディションの結果】

企画当初は合格者が1組だけと宣伝されていた。
…が、最終審査にてファイナリスト達の全員分のスピーチが終わり、これから結果発表というところでアナウンサーから衝撃的な発言が。

「新メンバーになっていただく方は1組だけではございません。5組いらっしゃいます」

このサプライズにはファイナリストだけでなく、番組出演者や観覧ゲストも驚愕した。
実はこの合格枠拡大は企画当初から決めていた演出でなく、選考が進んでいくうちに「参加者の皆の熱量が強く、いい意味で1組に絞るのが難しい」という番組の判断により、本当に急遽決定されたものであった。

そしてその5組に入っためちゃイケ新メンバーオーディション合格者は…

・ジャルジャル
・たんぽぽ
・敦士
・重盛さと美
・三中元克

となった。
なお、このうち三中元克はオーディション合格者唯一の一般公募組であり、事務所無所属のままレギュラーに抜擢された。

なお、惜しくも落選となった残り5組も「激励賞」として受け取るかどうかは自由の仕事を与えられる権利を貰った。
特にダイノジは「審査員特別賞」としてトロフィーをもらったもののそれだけ(仕事の権利はなし)というオチ扱いにされていたが、その後はめちゃイケ内でレギュラー陣や新メンバーに因縁をつけに来る役として結果的に準レギュラー的存在となった。


【オーディションのその後】

  • 岡村の復帰
オーディション企画終了から僅か数週間後に岡村が無事復帰。当時ニュースを賑わせていた、チリの鉱山で落盤に遭った作業員の奇跡的な救出劇をパロディにした復帰企画にて新メンバーとの顔合わせも行われた。
その際、挨拶代わりにネタを披露しようとしたたんぽぽが緊張のあまり完全にネタを飛ばすというハプニングも。
なお、一部ネット民から「岡村が復帰したら即新メンバーを解雇するだろう」とネタ混じりの予想がされていたがもちろんそんなことはなく、後述の三中以外は番組終了まで出演し続けた。

  • 新メンバー炎上騒動
本オーディション翌年の『27時間テレビ』内のバスケットボール企画で、ジャルジャル福徳が岡村に何度もボールを当てる場面があり「休養から復帰したばかりの岡村をワザと虐めている」と大炎上。
事件直後に岡村から、また数年後に福徳本人から上記の行動はスタッフや岡村が新メンバーと事前に打ち合わせした上での行動で、また安全面に配慮した上で実行されたものと釈明があった。
要するに、企画自体がよくめちゃイケでも行われていた極楽とんぼのケンカのようなコントだったのだが、それが上手く伝わらず視聴者に本気だと捉えられてしまったというのが真相である。

  • 三中のその後
素人としてメンバー入りした三中だったが、番組企画からの脱走・スタッフへの横柄な振る舞い・事務所所属の番組への未報告といった行動が裏で問題として取り上げられ、他メンバーからも彼の姿勢に疑問が呈されていた。
そのような背景もある中、2016年上旬にオーディション最終選考で漏れたダイノジ大地が「素人枠として出演させていた彼をプロになってもそのまま出し続けていいのか」と提唱し、それに伴いめちゃイケの特番内で「再オーディション」と称し三中が番組に必要か否かの生投票が行われ、結果的に反対票が圧倒的に多く集まり降板が決定した。
不祥事が原因でない降板は、めちゃイケの歴史上初かつ唯一である。


【本企画への評価】

多くの人気番組において「唐突な新レギュラー大量加入」「レギュラー入れ替え」はその後の人気を大きく落とすきっかけになることも多かったため、「本企画もそのジンクスに抗えないのでは」と不安視する声は開催発表当初から多かった。

特に視聴者の脳裏によぎったのは、初期めちゃイケと同時期に「ドーバー海峡横断部」「ポケビブラビ」で人気を博したお笑い番組である『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』での事例である。
この番組においても、末期に企画の失敗により「ウリナリ解散総選挙」としてレギュラー4組8人の芸人を視聴者投票で決めるという試みを実施。これにより堀部圭亮(K2)・よゐこが番組を去り、新たに大竹一樹(さまぁ〜ず)・ゴルゴ松本(TIM)・坂本ちゃんが加わるも、それに伴って千秋・藤崎奈々子・ビビアン・スー*6といった番組を支えた女性レギュラーも降板した結果、リニューアルから10ヶ月で番組終了という憂き目を見ていた。

そのようなこともあり、めちゃイケ新メンバーオーディションについても「ウリナリの二の舞になるのでは…」と心配する視聴者もいたが、上述のような経緯・事件などがありつつも新レギュラーとなった面々は(三中を除き)番組終了まで、めちゃイケメンバーとして出演し続けた。
その功績については人により様々な意見があるものの、結果的には22年の長きに亘っためちゃイケの歴史において、その3分の1を占める7年間をめちゃイケメンバーの一員として過ごし番組の大団円まで共に走り続けた彼らには、一定の評価がなされるべきであろう。
そして何気にウリナリとめちゃイケの両方に絡んでいるよゐこ。


追記・修正はオーディションに参加したことがある人がお願いします。

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最終更新:2024年12月31日 20:56

*1 極楽とんぼの山本圭壱が不祥事により2006年に一時降板している(その後、番組終了間際に復帰)。ちなみに山本も予選に参加していたが予選のクイズで不正解となりオーディションには参加できなかった。

*2 配役は、ルフィ→矢部浩之 ゾロ→加藤浩次 ナミ→雛形あきこ ウソップ→光浦靖子 サンジ→武田真治 チョッパー→濱口優 ロビン→鈴木紗理奈 フランキー→大久保佳代子 ブルック→有野晋哉 サニー→オカレモン。なお、2010年時点に描かれているためそれ以降で仲間となったジンベエは当然ながらいない。

*3 めちゃイケメンバーからは大久保が番組に出演していた。

*4 ちなみにオーディション開催当時にはまだ『遊戯王5D's』は絶賛放送中であった。

*5 この年に太田プロへ移籍したばかりで、『いいとも!』レギュラーになるのは1年後の2011年10月

*6 ビビアンに関しては、母国の台湾が大地震にあい不安から帰国というやむを得ない事情があった