登録日:2023/09/30 Sat 18:49:51
更新日:2025/01/22 Wed 14:25:41
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魔力を得るには、魔術師は自らの意志を強めなくてはならない。
だがこの意志と欲望とを、混同してはならない。
──────ウィリアム・ウェン・ウェストコット著「飛翔する巻物」より
黄金の夜明け団(英語名:Hermetic Order of the Golden Dawn)とは、19世紀末に実在した魔術結社である。
【概要】の前に ~そもそも魔術結社って何?~
ここにいるアニヲタ民諸氏は、そもそも「魔術結社」とは何たるかを知っているだろうか?
「そんなものが実在する訳ねぇだろwww中二病の妄想乙www」と笑い飛ばす人もいるかもしれない。
だが俗にいう中世~近世ヨーロッパにおいて、魔術を含むオカルト全般はれっきとした学問であり、哲学思想であり、文化であったのだ。
アニヲタ諸兄は「魔術」や「魔法」と聞くと、やはりフィクションに出てくる魔法を思い浮かべるだろう。
派手な魔法陣のエフェクトと共に火や水を出したり、時間とか空間とかを操ったりするアレである。
しかし現実世界で行われていた「魔術」はそういったものとは全く異なり、もっと人間の宗教や社会に根ざしたものだった。
魔術結社について説明するための大前提として、まず現実の魔術とはどのようなものだったのかアニヲタ民諸氏にイメージしていただく必要がある。
というわけで、最初に現実世界の魔術について大まかに解説しよう。
なお、魔術に類するオカルト思想は古くから日本も含めた世界中に存在しているが、
普通に「魔術」というとヨーロッパで生まれた西洋魔術を指し、「魔術結社」もそこから生まれた概念である。
なのでここでは中世ヨーロッパの「
錬金術」「自然魔術」や、近現代ヨーロッパの「儀式魔術」というジャンルの魔術についてのみ解説する。
(この他にも「ウィッチクラフト」というジャンルの西洋魔術もあるが、ここでは触れない。
魔女の項目を参照。)
中世・近世
魔術やオカルトというと、辛気臭くて不気味なものと思う人もいるかもしれない。
確かに、ルネサンス期における「魔術」とは、霊や悪魔を降臨させ契約や交渉を行うものを指していた。
俗に「
降霊術(インヴォケーション)」と呼ばれるもので、生贄を使ってヤバい悪魔とかを召喚したりする魔術のイメージと大きくは違わない。
キリスト教的には異端的でおぞましくて忌まわしい、邪悪なる概念とされて非難された。
だがそれらとはまた別の潮流として、未知なるものへの憧れが人々をオカルトへと手招いたのもまた事実である。
例えば14世紀末から15世紀を生きた魔術師ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ。
彼は当時存在した魔術や神秘的知識を3冊の『隠匿哲学』という書物にまとめて広めた。
魔術や悪魔などといった存在を「オカルト」と言うが、これはラテン語で「隠されたもの」を意味する「occulta」に由来する。
この書のタイトルもそのまま『オカルト哲学』という意味になる。
17世紀には、『薔薇十字友愛団』と名乗る謎の組織による怪文書が広まった。
この怪文書は「クリスチャン・ローゼンクロイツ」なる人物の生涯を記したもので、
ローゼンクロイツさんの成し遂げたという様々な偉業や、彼が作ったという「薔薇十字団」なる団体について説明していた。
さらには
「ローゼンクロイツはエルサレムやアラビアで神秘の秘奥を手にし、世界から"病"を取り除こうとしている。それに共感するものは我ら薔薇十字団と共にあろう!」
「君もそんな凄い結社の一員になれる!」
「宣言すれば君の所に入会の使者がやって来る!」
「さぁ君も入ろう薔薇十字団!」
という宣伝文句まであり、それはもう爆発的な流行となった。
後にこの文書は、ヨハン・アンドレーエという有名な著述家が学生の頃に捏造したものと分かった。
しかしそれでも当時には多くの賛同者が生まれ、実際に薔薇十字団を名乗る団体が乱立したのだ。
存在しないなら作ればいい。
俺が!俺たちが!薔薇十字だ!!
の精神である。
薔薇十字団員を自称した
カリオストロ伯爵や
サンジェルマン伯爵などもその一員である。
こうなった原因としては、当時の
キリスト教の求心力の低下が大きい。
当時のヨーロッパにおいて、
キリスト教の存在は非常に大きいものだった。言ってしまえば道徳そのもの。まさに絶対なる存在と言えただろう。
しかしキリストが死んで1000年が経過しても一向に黙示録は訪れず、救いも永遠の国もやってこない。
それどころか16世紀にはカトリック教会の腐敗が深刻になり、それに反発してプロテスタント諸派が誕生する事態になってしまう。
カトリックとプロテスタントの対立は一向に収まらず、激化の一途を辿った。
17世紀に入ると、ドイツ(神聖ローマ帝国)では皇帝フェルディナンド2世によるプロテスタント弾圧が元で『三十年戦争』という大戦争が起こり、皇帝と教会の権威が大ダメージを受ける有様となった。
フランスでもルイ14世による『フォンテーヌブローの勅令』でプロテスタントの弾圧が再開された。
このような状況に「これは一体どういうことだ?」と疑う人たちが少なからず現れ始めた。
そんな中で求心力を放ったのが、いわゆるオカルトである。
悪魔や幽霊の力を借りる系統のオカルトは「異端」であったが、それが例えば「神の隠した知識」などと言えば興味を持つ人も増えたわけである。
上述の薔薇十字団の伝承はまさにその典型であった。
「神秘的な知識が、世界から病を取り除こうとしている」というセンセーショナルな話題に、大勢の人が飛びついた。
これは当時のマンネリ気味な
キリスト教より、言ってしまえば「なんか凄そうな未知の知識」の方が求心力を放ったという典型的な事例と言えるだろう。
そうして集まった大小さまざまな「結社」は、秘密の符号や握手といった「分かる人だけに分かる合図」を使い、同胞を見分けて集まりサロンを開いた。
これこそがいわゆる「秘密結社」であり、今でも脈々と続く伝統の始まりと言えるだろう。
有名な『フリーメイソン』も、元を辿ればこういう集まりの一つだったと言われている。
言ってしまえば、我々アニヲタらも同胞同士で集まっているという点では広義な秘密結社の一員である
そしてそんな「未知の神秘」に惹かれる流れは、1つの魔術思想にスポットを当てる。
それが「カバラ」という思想である。アニヲタ諸兄なら「生命の樹とかクリフォトとかの元ネタ」と言うとピンと来るかもしれない。
カバラとは要するに
「聖書はこの世界の、まったく知らない未知の知識や神の神秘まで含んでいるよ」「それは暗号化されて聖書に隠されているんだ!」
として、それを読み解こうという学問である。
12世紀ごろにユダヤ人のラビ(宗教的指導者)によりヨーロッパにもたらされた際はマイナー扱いだった。
しかしこうして神秘的知識にスポットが当たると一躍有名になる。
「秘密の符号」を用いるエセ薔薇十字団らの性質とも相まって、「暗号化され隠されし世界の真実」というのが多くの人を魅了。
そして研究するべき一大学問となっていった。
こういったオカルトや魔術を真摯に受け止め、限られた秘密のメンバーだけで集う結社を「魔術結社」と呼ぶ。
現代を生きる私たちは「宇宙は物理法則に従って動いている」ことを知っている。
それに対して、当時の人々は「宇宙は魔術に従って動いている」と考え、それを解き明かそうとしていたのだと理解していただきたい。
産業革命以後
だが18〜19世紀にヨーロッパの近代化が進むと、オカルトの世界に過渡期が訪れる。
近代的な科学技術が発展した欧米では、「オカルトなんてバカみたい」という風潮が出てくるようになったのだ。
その一方で近代的な合理主義の流れの反動か、文芸界では「人間の感性」を重んじる「ロマン派」という創作ジャンルが一大ブームを巻き起こした。
その流れで、近代科学ができる前の中世ヨーロッパへの懐古趣味も活発化。
さらにそこから「神秘的でエモいオカルトの世界に浸ろう!」という流行が生まれたのだ。
懐古趣味とはいえ、文明の変化はオカルト自体の考え方も大きく変化させた。
上で述べたように、近代以前の西洋オカルト業界では「この世界そのものが魔術に従って動いている」という考え方が基本。
しかしこの頃になるとオカルトと科学(物理法則)の分離が進み、
- 「確かにこの世界は物理法則に沿って動いているけど、人間の精神とかはやっぱり神秘的な法則で動いてるんじゃねえの?」
- 「いや、むしろ人間の魂とかも物理法則で説明できるのでは?」
……という、今で言うスピリチュアルの先祖のような考え方が主流になっていった。
そんな時代の変革期に出現した巨大魔術結社こそが、本項目で紹介する『黄金の夜明け団』である。
長くなったが、魔術結社とは決して夢でも創作でもなく、確かに実在する。
オカルトの実在を信じ、憧れ、研究しようとした人々がいたことはれっきとした事実なのだ。
【概要】
『黄金の夜明け団』は、一言で言うと「中世・近世ヨーロッパにおける魔術・オカルトの集大成」である。
これだけだと分かりにくいので、当時の世界情勢も含めて語ろう。
当時は大航海時代も終わり、欧米列強を中心とした世界の一体化が進んだ時代であった。
ヨーロッパでこぢんまりとまとまっていた版図は広がりきり、時間こそかかるが世界中の様々な場所に行けるようになった。
結果的に当時のオカルティスト達は、先述の「未知の神秘」を求めてヨーロッパの外に注目するようになった。
特にインドの密教などは人気だったようで、かの
エレナ・ブラヴァツキーはインドの密教や仏教の輪廻転生概念を大きく取り入れたことで有名になった。
東洋に限らず先述のカバラやエジプト神話など、外に散らばっている神秘的な思想に憧れを抱いていたのが、この時代のオカルティストたちである。
そういった
「世界中に散らばった神秘」を1つの体系としてまとめ、魔術師として研鑽を積みレベルアップしようという団体が、黄金の夜明け団である。
基本的には「ヘルメス主義」という思想をベースにした団体だが、
最大の特徴は「世界中の神秘思想を悪魔合体させたこと」。
カバラを軸に据え、エジプト神話・
ギリシャ神話の密儀、インドの密教をベースに独自解釈を加えた東洋思想など。
多角的な視点から様々なオカルティックな知識をまとめ上げた。
さらには、ルーン魔術・タロットカード・グリモワール・エノク魔術など、ヨーロッパの中の神秘思想もくまなく合体。
占星術や
錬金術など古典的な魔術や、当時できたばかりであった近代神智学の思想まで取り入れた。
当時の彼らに手が届いたあらゆるオカルトを取り入れたと言っても過言ではない。
ごちゃ混ぜのツギハギと言えばそれまでだが、その幅広さは今までに類を見ないものであった。
こうした古今東西の様々な知識を合体させるには、何らかの基準になる物差しが必要になる。
彼らが基準に選んだのは、カバラにおける「生命の樹」の概念だった。
複数の国に跨がって存在した神秘的概念を、それぞれ似通った要素ごとに当て嵌める(これを「照応」という)。
そして分かりやすい形としてテキスト化させていった。
この「照応」の考え方は黄金の夜明け団に限らず幅広く浸透している考え方で、アニヲタ諸兄も知らず知らずのうちに影響を受けている。
超ざっくりした例としては、生まれた月に宝石を当てはめる「誕生石」も立派な照応の一種である。
黄金の夜明け団が行った照応の例を挙げると、「生命の樹の各要素に対応する天使をあてはめる」などがある。
そういった様々な属性への照応・当て嵌めを行った者こそ、ほかならぬ黄金の夜明け団である。
彼らがテキストとしたことでカバラをはじめとしたオカルト概念は広く浸透したのだ。
もし彼らがいなければ、サブカルにおける魔術などの描写は全く違うものになっていたかもしれない……
その影響力は絶大であり、今なお残っている魔術結社の大体はこの黄金の夜明け団の系列に連なると言っても良い。
かの
アレイスター・クロウリーなんかもこの黄金の夜明け団で頭角を現した魔術師である。
近現代の魔術復興において重要な役割を果たしたダイアン・フォーチュンもこの黄金の夜明け団(正確にはその後継団体の1つ)に所属した過去を持つ。
このように教義的な意味でもそうでない意味でも、様々な意味で近代のオカルトに重要な意味をもたらした組織こそが黄金の夜明け団なのである。
【来歴】
黎明
黄金の夜明け団の歴史は、1つの暗号文書から始まる。
当時フリーメイソン系列の神秘主義サロンに通っていた1人の魔術師ウィリアム・ウィン・ウェストコットは60枚綴りの暗号文書を入手。
解読してみると、なんとかの薔薇十字団の教義を受け継ぐ凄まじい魔術師アンナ・シュプレンゲルが文通をしたいという内容だったのだ!
アンナ「よう、薔薇だぜ」
ウェストコット「真剣かよ…ッ! 薔薇十字が…!!? 幻想じゃねぇよなぁ…っ!!」
冒頭でも述べたように、薔薇十字団は(今でこそその存在は嘘と明確になっているが)ヨーロッパ各地に旋風を巻き起こした超絶怒涛の魔術結社の先駆け。
これにはウェストコットも度肝を抜かれ、さっそく文通を開始。
かねてより自分だけの魔術結社を作りたかったウェストコットは「これは利用できる……!」と確信する。
かの薔薇十字団の教義を受け継ぐすげぇ魔術師のお墨付きの魔術結社を設立できれば、魔術師として箔が付き勝ちまくりモテまくり間違いなし!
ウェストコットは彼女を「秘密の首領」と仰いで文通を繰り返し、やがて魔術結社設立の許諾を得る。
かくして黄金の夜明けという名は此処から始まったのだ。
…………以上の内容は全てウェストコットの証言であり、誰一人としてアンナ・シュプレンゲル本人を見た者はいない。
一応暗号文書は全て現存しているが……文通をしたウェストコットの目的からして、自作自演だったという説が濃厚。
まぁ何はともあれ魔術結社設立の火蓋は切って落とされた。
そしてウェストコットは友人マグレガー・メイザースと、先輩ウィリアム・ロバート・ウッドマンに協力を打診。
メイザースは団の根幹となる教義の設定と整理を行い、ウェストコットは団の運営資金の管理や規律の指導を担当する事となった。
ウッドマンは後見人やご意見番と言った立場であった。
1888年3月1日、最初の運営施設『イシス・ウラニア神殿』がロンドンにて開設。これが黄金の夜明け団の産声の日である。
さらに続けてサマセット州に『オシリス神殿』、ウェストヨークシャー州に『ホルス神殿』を開設。順調な滑り出しとなった。
ちなみに最初の団員はミナ・ベルグソン。彼女は後にメイザースと結婚し、彼並びに黄金の夜明けを支える存在となる。
黄金期
当時の魔術結社は割と選民思想じみた部分があり、入れる人が限られていた。
アニヲタWikiがメアド登録しないと書き込めないように外部の一見さんをお断りすることで神秘性を保っていたのだ。
しかし黄金の夜明け団はというと「設立者のウェストコットの意向により男女平等、どんな身分でもウェルカム!」の風潮で勝負した。
「職業や性別での区切りなど必要なし、あるのはただ実力による階級のみ!」という方針で、大勢の参入者を集めたのだ。
集める手段は主に団員の紹介や推薦、他にオカルト冊子の広告や街中での勧誘であったという。
これが功を奏したのか、徐々に会員数が増えていく。
女優のフロレンス・ファーやモード・ゴン、ウェイト版タロットを描いたパメラ・コールマン・スミスなど女性の著名人が数多く所属した。
もちろん男性も非常に多く、
ノーベル賞を受賞した詩人ウィリアム・バトラー・イェイツや小説家アーサー・マッケンなどの文芸界の巨匠達が在籍。
他には物理学者ウィリアム・クルックスなどのインテリ系の人々。
アレイスター・クロウリーやアーサー・エドワード・ウェイトといったオカルト界隈の巨人たちも軒並み連ねていた。
設立からたった2年で100名以上の会員が集まったと言えば、その規模がどれほど大きかったか分かるだろう。
支部としての神殿も、ロンドンを離れてフランス・パリに『アハトル神殿』を設立。
他にも『トート・ヘルメス神殿』など無数の神殿をアメリカ各地に設立するなど確実に勢力を伸ばしていく。
これにより当時アメリカで隆盛を誇っていた『神智学協会』の空気を取り入れたりなど、より多角的な教義の熟成に繋がっていく。
ただこの頃はそこまで魔術に真面目に取り組むような結社ではなかったようだ
所属していた団員が言うには「他の結社やクラブと同じような、暇を潰せる友人と会う場所」だったらしい。
1891年、創設に携わり後見人として様々な協力をしてくれたウッドマンが死亡。
さらにウェストコットは「シュプレンゲルからの連絡が途絶えたぞー!!」と公表した。
これにより、団は「あくまで薔薇十字のお墨付きである結社」ではなく「完全に独立した1つの魔術結社」としての地位を確立。
今までよりも自由に、幅広く、多角的な活動の幅を広げていこう!という風潮が作られていった。
崩壊の兆し
だがパリにアハトル神殿が作られ、メイザースがその管理の為にパリに飛んでから自体が揺らぎ始める。
元々言動に問題があったり会議を欠席したり、果てはアメリカで物好きな連中に黄金の夜明け団の"位階"を売買して私腹を肥やしていたメイザース。
彼のある一件で団内に亀裂が生じ始めるようになる。
メイザース「俺も秘密の首領に会ったわwww」
ウェストコット「なんで?」
なんとメイザースは、パリでシュプレンゲルと同じ高位の霊的存在「秘密の首領」と接触したというのだ。
その上自分はその代理人に任命されたとも主張した。
これは要するに「黄金の夜明けの教義を作った存在と同格の存在が現れた」という事であり、団の根幹を揺るがすような事態であった。
アニヲタ的に例えるなら、
「凄いカリスマのある絵師を中心にファンコミュニティを作っていたら、もう一人同レベルの画力とカリスマを持つ絵師が混ざってきた」
ような感じとなる。
ウェストコットは流石に混乱するが、一旦はそれに同調。以降の運営は基本的にメイザースに任せるようになる。
これにより、今までは和気藹々とした倶楽部のような黄金の夜明けは厳格な教義と規律を重んじる、文字通りの「魔術結社」となっていく。
具体的には魔術を学ぶ『外陣』黄金の夜明けと、様々な国の伝承や神秘を持ち寄り教義を形成していく『内陣』紅薔薇黄金十字に分かれた。
が、メイザースは運営を任されてすぐにパリに移住してしまう。
しかも金銭的な援助を団員のアニー・ホーニマンから受けつつ、自信は遊び惚けるという始末で団員からは呆れられていた。
その上自分を支持しているからというだけの理由で、団の教義にエッチな魔術を混ぜ規律を乱そうととした魔術師を"お咎め無し"と不問にしたのだ。
これには流石に援助し続けたアニー・ホーニマンもブチギレ退団。メイザースは金のあてがなくなってしまった。
小銭稼ぎの為に様々な魔導書を翻訳して売ったりした。それが後に日本語訳などされ広く知れ渡ることとなる。
一方ロンドン、黄金の夜明け本部では何が起きていたかというと、なんと創始者のもう片割れであるウェストコットが退団を余儀なくされていた。
というのも「検死官という公平を期する職業に就いていながら魔術結社に所属とは何事だ」と職場にバレてしまったという説が有力である。
ヲタバレとか言うな
仕方がないので、ウェストコットは事務作業の後継をフローレンス・ファーに託し退団。
おそらく信頼していたのだろうが……実を言うと彼女は絶望的に事務作業が苦手だった。
こうして実質的に権力がメイザース1人に集中するのだが、それが後の分裂騒動に繋がっていく。
一方で、メイザースは同時期にホロス夫人と名乗る女性とパリで接触。
彼女は自らを「隠されし首領」アンナ・シュプレンゲルの正体だと名乗るが……?
分裂~ブライスロードの決闘~
さて、フローレンス・ファーがロンドンでの事務を任され実質的リーダーとなった時、ある人物が入団する。
後に20世紀最大の悪人と呼ばれる大魔術師、
アレイスター・クロウリーである。
彼はメイザース派閥の魔術師アラン・ベネットの推薦で入団した。
当時はまだ魔術師としては新参者であったが、入団早々その腕前を発揮。たった1年で
達人位階へと昇り詰め内陣に入り込めるほどまで至った。
だが、団内は大いに反発した!
フローレンス・ファー「こんな変態が達人!?寝言いってんじゃ無いわよ!!」
メイザース「いや、こいつは天才だ。俺の派閥が推薦したんだ!間違いねぇ!」
フローレンス・ファー「アンタはアンタで会議欠席気味じゃない!!」
アレイスターが問題児なのは彼の黄金の夜明け団出奔後の数々を見れば言うまでもないだろう。
実際団内にいたころから大分ファンキーだったようで、そういった事情から昇格の儀式を拒否られる事態になってしまう。
結果、泣く泣く(こいつが泣く姿など想像できないが)アレイスターはパリのメイザースに相談。
メイザースは権力者の特権で、パリのアハトル神殿でアレイスターの昇格を独断で決行。当てつけの如く昇格を押し付けてきたのだった。
当然、フローレンス・ファーをはじめとしたロンドンの魔術師らはメイザースの決定に反発。
イシス・ウラニア神殿を突如として閉鎖したうえに、任された神殿の管理と代表者を辞任するとまで言い出したのだ!これにはメイザースも驚愕。
「これは……ウェストコットの野郎の当てつけか!?秘密の首領と接触したと言ったことを根に持っているのか!?」と疑心暗鬼になる。
実際フローレンス・ファーといったロンドンの魔術師は、ずっとパリにいたメイザースよりもロンドンで運営をしていたウェストコットとの交流が深い。
例え辞めた身であったとしても、その急激な反発の裏には彼の影があるのではないかと考えるのは当然だったのかもしれない。
実際はアレイスターが問題児過ぎただけだと思うが……
更に、この時メイザースが接触していたホロス夫人の存在もこの騒動を大きくするキーとなった。
彼女は自らを神秘的な存在であると名乗り、言葉巧みにメイザースを誘惑。
なんと自らをウェストコットが接触したアンナ・シュプレンゲル本人だと言ったのだ。
これは当然嘘であり、彼女の正体は魔術界隈を駆け巡った詐欺師である。
ブラヴァツキー直伝の弟子だと言ったりして多くの霊媒商法で金をだまし取り、アメリカから
イギリス、パリと逃げ回ってきた大罪人である。
しかしそんなことは露も知らないメイザースは、彼女こそがアンナ・シュプレンゲル本人であると信じ込み、団内の秘密教義を全て明け渡してしまった!
更に彼女と交流を重ねた結果「ウェストコットが出会ったというシュプレンゲル嬢は偽物だ!!!」と考え、それを告発し団内に触れ回ったのだ。
だが証拠を出せと言われるや否や、ホロス夫人はトンズラこいて失踪。メイザースは沈黙を貫くしかできなかった。
完全ににっちもさっちもいかなくなったメイザースは、騒動の中心であったアレイスターをロンドンへと派遣。
幹部ともいえる内陣専門の施設を占拠し、重要文書と儀式道具を押収させた。
運営自体を不可能にさせるという大胆不敵なというか普通に犯罪行為を選んだのだ!
これは所在地から『ブライスロードの決闘』と呼ばれ、黄金の夜明けの分裂を象徴する出来事となっている。
魔術師同士の抗争と言うと名前も相まって凄いかっこよく見えるが、最終的に警察に通報されお開きとなった。魔術師でも警察には勝てねェ
解体、そして……
警察沙汰まで引き起こしたせいで、黄金の夜明け団は完全に2つに分裂した。
メイザースはロンドンへの当てつけのように、パリで新しく"もう1つの"インス・ウラニア神殿を作成。
ロンドンから追いやられた魔術師を囲い込み人手を集める。
一方のロンドンはというと、事務作業を放ったらかしにしていたり勝手に団内でサークルを作ったりしたフローレンス・ファーのせいで色々ギクシャク。
かなり有力だったイェイツが退団する事になる。
そして1900年の初め頃、決定的な事件が起きてしまう。
メイザースをまんまと欺き、黄金の夜明けの秘奥を奪い去った詐欺師ホロス夫人が少女暴行・金銭詐欺によって逮捕されたのだ!
しかも彼女は取り調べに際し、自分は黄金の夜明け団の首領であると大々的に宣言。
こうして黄金の夜明け団は「詐欺師を頭目に掲げた不気味な集団」とスキャンダラスに報道されることになってしまう。
本来黄金の夜明けとは、魔術師自らの魂を研鑽し、欲や金銭とは無縁でなくてはならない高潔な集団である。
項目冒頭のウェストコットの言葉は、まさにその在り方を端的に表しているだろう。
にもかかわらずこのようになってしまうのは、団員らにとっては余りにも耐えがたい屈辱だった。
結果、退団するものが大勢出てパリとロンドンの両団体とも急速な弱体化を余儀なくされる。
ほとぼりが冷めた後、ロンドン側の黄金の夜明けは名を『暁の星』と改名。
パリ側は『A∴Ω∴』と新たな団体となり、魔術師育成に励んだ。かのダイアン・フォーチュンなどはこの団体出身である。
アレイスター・クロウリーはフローレンス・ファーに訴訟をちらつかせたりちょっかいをかけたりしたが、全てにボロ負けした為アメリカに逃亡。
その後結婚し、新婚旅行中に出会った啓示を元に「セレマ」という体系を生み出す。
こうして様々な組織に分派。黄金の夜明けという組織こそ滅んだものの、その教えや体系化された神秘の知識は様々な流派へと分かれていった。
そして時は流れ1937年、細々と活動を続けていた暁の星の内陣所属魔術師イスラエル・リガルディーはある決意をした。
(俺が黄金の夜明けを守護らねばならぬ)
彼が内陣、つまり教義をまとめ上げる幹部クラスにまで上り詰めて見たものは、堕落しきった魔術師たちだった。
このままでは黄金の夜明けの知識が完全に無に帰ってしまう。
アレイスターの書物から感銘を受けて魔術師になった彼にとって、その根源ともいえる黄金の夜明けの体系が腐敗することは耐えられなかった。
そうして彼は「教義を外部に漏らしてはならない」という誓約を破り、黄金の夜明けの全てを本にして出版。
衆目に曝すことで知識を"保存"することを決めたのだ。
彼のこの行動は大バッシングを受け、クロウリーをはじめとした魔術師らから嫌がらせを受ける事となる。
しかしこれらは60年代のオカルトリバイバルブームで脚光を浴びる。
ブームで黄金の夜明けの教義が持つ高い価値が再注目され、多くの魔術師やアマチュアオカルティストたちが実践。
黄金の夜明けは風化せずに残る事となった。
現在でも、黄金の夜明けの系譜は脈々と受け継がれ、そして残り続けている。
知らず知らずのうちに、画面の前の貴方も影響を受けているかもしれない……
【教義】
ここでは、黄金の夜明け団の魔術思想(
日本語では「教義」と呼ばれる)について語る。
ただあまり詳しく書き過ぎるとここが『黄金の夜明け団Wiki(仮)』になってしまうので、ここでは一部をかいつまんで話す。
生命の樹
黄金の夜明けの教義は、基本的に生命の樹に集約されていると言っても過言ではない。
生命の樹は元を辿るとカバラに由来し、カバラという体系を具現化しつつ宇宙を表す図として考えられた概念である。
そして前述の通り、黄金の夜明け団はそれに複数の国に跨がって存在した様々な神秘的概念を組み込んでいった。
具体的には10個のセフィラ(大径)と22個の小路を合わせることで計32の
形成の書を形作り、それぞれに様々な
魔術属性を照応させていった。
例えば22の小路ごとに
タロットカードを配置して照応させたり、10のセフィラごとに惑星や宝石を配置したのは黄金の夜明けである。
惑星などは占星術から、宝石やタロットなどは古くからある神秘的思想や古典的な占いなどから引用し、分かりやすく教義に取り入れたのだと思われる。
こうすることで新参者でもわかりやすくしつつ、いわゆる「黄金の夜明け方式」とでも言えるような独自の体系にまとめることを図ったのだ。
儀式魔術
「黄金の夜明け団の残した魔術の中で著名なものと言えば?」と問われると、話題に上がるのがこの儀式関係である。
上述の生命の樹に紐づけた教義内容などは、特にこういった
魔術儀式の中で活用されるものであった。
実際、黄金の夜明け団の方針としても儀式魔術を奨励したらしい。
世界各国に残るシャーマニズムやインドの密教由来のタットワ、そしてカバラやグリモワールに
錬金術などから、四大属性などのエッセンスだけを抽出。
これらを1つの儀式として方式をまとめ上げていた。
- 儀式の場をきちんと整える追儺
- 神秘的存在を降臨させる招聘
- 術者の精神をアストラル体などに至らせる投射(有り体に言えば幽体離脱)
など、あらゆる過程を明確に整備してテキストとして団員内で共有していた。
こういった神秘を実現する技法は世界中に存在したが、実現できる人は当然限られていた。
なので団員、特に内陣に属する者たちはそれを誰でもできるように調整するべく日夜を費やした。
各分野ごとの儀式の過程をすり合わせ1つの儀式にしていくその様は、永遠に終わりの見えない「工作キット」の開発とも言い換えられている。
ちなみに儀式言うとアニオタ諸兄がイメージするのは1人の魔術師が魔法陣の前で怪しげな呪文を唱える……と言ったものかもしれない。
しかし黄金の夜明け方式では割と大人数でやることも多い。
一番有名なものだと、先述した薔薇十字団の創始者ローゼンクロイツの墓が発見されたエピソードを複数人で再現する演劇のようなものなどが存在する。
儀式に参加する魔術師たちがそれぞれの「役割」に合わせた衣装や儀礼道具を手にし、特定の順序で呪文や動作をこなしていく。
この動作にカバラを中心とし
錬金術やエノク魔術などの各種神秘的概念を取り込み、先鋭化させていったという具合である。
ちなみに当時は自然科学の台頭が目覚ましかったために、聖書への信用が薄れていったのは先述の通り。
そのため聖書発生以前の古代宗教の変遷を紐解く試みも行われ、黄金の夜明けもそういった概念を儀式に取り入れることを好んだ。
中でもメイザースはエジプト神話にかぶれていたらしく、儀式に参加する者たちにそれぞれ照応するエジプト神の名を与えていたとか。
【漫画・アニメ作品にて】
ここでは、黄金の夜明け団を取り上げた漫画やアニメについて解説する。
おそらく日本のあらゆる漫画・アニメの中で、最も大々的に黄金の夜明け団を取り扱っている
ライトノベル作品。まぁ話の中心が
彼だしね。
ファンタジー的な脚色や独自解釈はあるが、教義もメンバーもほとんど史実そのままの形で登場する。
当初からその名前は要所要所で上がってこそいたが、本格的な登場は新約18巻から。
主人公の
上条当麻がアレイスターの過去を追体験するシーンで、メイザースやウェストコット、アラン・ベネットが登場する。
そして新約21巻にて、主要メンバーのほとんどが魔術で再現される形で現世に登場。
メイザースやウェストコット、フローレンス・ファーなどといったここで語った大部分の魔術師が復活している。
この作品が史実と脚色をどう混ぜているかの例として、先述の『ブライスロードの決闘』が分かりやすい。
作中のブライスロードの決闘は、「魔術を憎むようになったアレイスターが、団を空中分解させるために仕込んだ陰謀」とされている。
その後、アレイスターは黄金の夜明け団の面々に「失敗」の呪いをかけ、何をなそうとしても失敗するという運命を辿るようにした。
この作品では黄金の夜明け団が分裂・離散したのはそのせいだとされている。
正確には黄金の夜明け団そのものではなく、名前を借りつつモチーフにした魔術結社である。
といっても設立者がメイザースとウェストコットを含めた3人の魔法使いだったりと、ある程度は史実に則っている部分もある。
ただしこの作品でのメイザースはルシファーの眷属だったりと、史実とは異なっているが。
正確には黄金の夜明け団そのものではなく(略)。
こちらはメイザースやウェストコットなどは登場せず、あくまで名前だけ借りた組織と言えるだろう。
と言ってもクリフォトなどを出してはいるので、完全にオリジナルとは言えないかもしれないが。
魔法騎士団の中でも最強と謳われる存在で、エリート魔術師のみで構成されている。
厳密には"登場"したわけではないが、一応記載。
アニメ版『
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』の最終話にて、生徒の昇格の儀式が黄金の夜明け団を基にしたものと明言された。
作中でも同じ名前の団体だったという保証はないが、少なくとも似たような事をした魔術結社が存在したという事実にはなる。
また同じく『事件簿』1巻の冒頭においては、イェイツなどの名前も挙げられていた。
このことから黄金の夜明け団に所属した魔術師たちも作中世界で存在し、また現実世界とそう変わらない成果を上げていたのかもしれない。
しかし時計塔のお膝元であるロンドンで史実通りの事を騒動をやらかしていたとすると、命知らずどころではない話である。
もしかすると型月世界では、『ブライスロードの決闘』の裏で時計塔が動いていたのかもしれない。
追記・修正は8=3に到達してからお願いします。
- 黄金の夜明け、見えてくるまっすぐな道、忘れないよこの道を -- 名無しさん (2023-09-30 19:03:30)
- 唐突に混ざる暴走族神構文に草 -- 名無しさん (2023-09-30 19:10:46)
- すごくどこにでもありそうな理由で崩壊したの神秘の欠片もなくてかわいそう -- 名無しさん (2023-09-30 19:14:20)
- ↑2 黄金つながりなのにウェストコットがオレ仕事辞めますにならなかったの悲しい -- 名無しさん (2023-09-30 21:42:30)
- ↑2 魔術師も所詮人間社会の一部に過ぎなかったのには悲哀を感じる -- 名無しさん (2023-09-30 22:03:16)
- 警察には勝てなかったくだりで爆笑してしまった。国家権力ってすごいわ -- 名無しさん (2023-10-01 00:46:34)
- 悪魔呼び出して授けてもらう知識って俗欲丸出しなのが多いんで、魔術実践としてはこっちの方が敬虔だな。しかし、濃い記事だ -- 名無しさん (2023-10-01 07:39:09)
- 最初の団員ミナと結婚、分派についてきた団員アニーから資金援助を受けるも遊び惚け、そして詐欺師ホロス婦人に調略されるマグレガーメイザースの女性関係のだらしなさ…まあ団体創設者の一人となれば魅力はあったろうしすり寄ってくる者もいただろうが。軽くググったらミナとアニーは親しかったようで。 -- 名無しさん (2023-10-01 08:59:48)
- ラノベのトリックスターズでも出て来たなアレイスタークロウリー(但し3世)、名前だけならメイザースも出て来た -- 名無しさん (2023-10-01 14:01:53)
- 神格的な上位存在からの権限移譲(という建前?)をトップに据えて運営してるから、ただの宗教カルト集団にしか見えんのやが…。 -- 名無しさん (2023-10-01 15:51:56)
- 魔術結社だからイメージ補正が入るけど実態は新興宗教が内ゲバで過激化して崩壊したという超絶よくある話なので… -- 名無しさん (2023-10-01 16:08:50)
- ↑ もっと言えば、日本の新左翼など世界中に起きたテロリズム集団活動のオチとあまり変わらなかったりする。 -- 名無しさん (2023-10-01 17:20:25)
- Bibleblackアニメ版だと結構スポットライト当ててたな -- 名無しさん (2023-10-01 17:26:35)
- 秘密の首領って女性だったのか……ミスターX的な、年齢不詳黒塗りのおっさんイメージしてた。 -- 名無しさん (2023-10-01 17:27:47)
- 記事立て乙です。普通のアニヲタ民が「魔術結社」と聞いて思い浮かべるのはフィクションの火とか水とか出す魔術だと思うんだけど、現実にGDで行われてた「儀式魔術」はそういうのとはだいぶ違うから、その認識のズレを埋めるような解説があるといいかもしれない。(一応、自分でもちょこちょこ説明を補足してみたつもりです) -- 名無しさん (2023-10-01 23:03:57)
- 薔薇十字団といい、団名考えた人は相当厨二力が高いと見える -- 名無しさん (2023-10-02 06:16:34)
- ↑マジレスすると、因果関係が逆なのでそれは当たり前。「薔薇十字団」みたいなネーミングセンスが先にあって、価値観が変わった現在になって「そんなセンスしてるとか厨二じゃんww」という風潮が後付けされた -- 名無しさん (2023-10-02 17:33:01)
- 厨二病概念は歴史を超越するのか -- 名無しさん (2023-10-02 22:36:58)
- キリスト教(基準)的道徳が現実に対応できず屈する中、キリスト以外以前の思想に縋り現代の問題を説明・解決しようっていうのは右派左派問わず資本主義も共産主義も起きる事例だけど、それが神秘主義と占いの類というのは時代もあるだろうけど面白い。それが結果的に現代の創作にも使える貴重な知識の宝庫になったという点も。 -- 名無しさん (2023-10-03 18:48:24)
- 禁書でもアニーは「ミナ大好き!メイザースはくたばれ!」ってキャラだったな、まあ史実を考えると当然だが(そこら辺はアレイスターにも指摘されてた)最新章じゃじゃシュプレンゲルやローゼンクロイツも登場したし -- 名無しさん (2024-02-08 17:28:12)
最終更新:2025年01月22日 14:25