ロード・エルメロイⅡ世の事件簿

登録日:2017/02/07 Tue 23:32:29
更新日:2023/06/18 Sun 14:00:29
所要時間:約 21 分で読めます





遂に、神秘解禁。――――魔術師たちの総本山、時計塔の世界にようこそ


『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』はTYPE-MOON BOOKSより発売された三田誠のミステリー作品。
イラストは坂本みねぢ。

●目次


【概要】

主人公はウェイバー・ベルベット改めロード・エルメロイⅡ世。時系列は『Fate/Zero』から約十年後、『Fate/stay night』の直前にあたる。
きのこ曰く、『完全に同じ世界、ただし三田誠スパイスにより大気濃度がちょい違う濃密魔術もの』。

ちなみに著者の三田誠は、同じくスピンオフ作品である『Fate/strange Fake』を書く成田良悟氏と奈須氏との打ち合わせにて、
「ヘイ、リョーゴのFakeは完全にパラレルだからユー好きにしちゃいなYO。あ、マコゥトの事件簿はステイナイト本編と完全に同じ世界ね
と言われたことで、FGO等で新しい設定が出てくる度に「どこまでこの設定を拾えばいいのか」と頭を悩ませているとかなんとか(この辺りの話は6巻のネタバレ後書きに詳しく書いてある)。
そのため、本編や『material』(資料集)などでは、これまで触れられることがあまりなかった魔術協会や時計塔の組織図やその建物の下にあるものまで一部明かされている。

他作品からのゲストキャラクターが毎回登場しており、別作品の過去の姿だったり、未来の姿だったり、並行世界の姿だったりを見る事が出来る。

2019年7月より、『魔眼蒐集列車』部分に新規エピソードを加えてアニメ化されることが発表。それに先立ち、2018年の大晦日に『第0話』が放送された。

本編は、第5次聖杯戦争開始時の時系列をもって完結。
その後、続編である『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』の執筆が発表され、2020年12月25日に『ロード・エルメロイⅡ世の冒険 神を喰らった男』が発売。
こちらは第五次聖杯戦争、つまり前作から数年後が舞台であり、各々が成長した姿となり、また遠坂凛がエルメロイ教室の一員となっている。
「冒険」と冠するように「事件簿」が時計塔を中心とする英国内での話だったことに対し、今作は更に舞台が世界へと広がっており、
一巻の舞台は西洋の魔術、アジア圏の思想魔術、中東の呪術が入り混じったシンガポールである。
また「事件簿」までは『Fate/stay night』と世界観が完全に同一であったが、その後の話である今作では『Fate/stay night』における3ルートを決定してしまうことになってしまうので、
いずれ聖杯解体戦争に至る「3ルートではない独自のルート」の後の話ということになっている*1
『アーネンエルベ』や『hollow ataraxia』も踏まえて奈須きのこに相談しながら構想したという。


【主要登場人物】

  • ロード・エルメロイⅡ世
CV:浪川大輔
第四次聖杯戦争に参加し、唯一生き延びたウェイバー・ベルベットが成長した姿。
現代魔術科学部長。時計塔に12人のみ存在するロードの一人。
魔術師としての階位は第四階位「祭位(フェス)」。ただ、階位の中でも祭位は名誉階位的な意味合いが強い階位であるため、実力的には第三階位止まり。平凡中の平凡である。
しかし講師としての実力はずば抜けて高いため、時計塔では様々な異名で一目置かれている。
特に歴史が浅く行き場のない新世代からの評価が高く、Ⅱ世自身も新世代である事から、時計塔の三大派閥的には民主主義派(トランベリオ派)に近いが、
エルメロイは元々貴族主義派(バルトメロイ派)なためややこしい事になっており、目をつけられれば即座にバルトメロイに潰されるような状態にある。

その豊富な魔術の知識からどうしてやったか(ホワイダニット)を解析する事に長けており、魔術からそれを行う魔術師の人格までを解体してみせる。
しかし、その神秘を暴くという行為は本道からはほど遠く、時に「魔術の破壊者」とも称される。神秘を力にする魔術にとって、それを白日の下に晒す事は力の減衰を意味するからである。
自分の魔術の才能のなさに関して、天才に届かない事は理解しつつも、それでも努力を止める気は無い。から受けた栄誉に相応しい人間になる事を、己の使命とする故に。

なお、ロードの地位は立場上義妹となるライネスから押し付けられたものであり、本人は「その名は自分には重過ぎる」と思っているため、
「自分は正式なロードではない」という主張も込めて「ロード・エルメロイⅡ世」を名乗り、単に「ロード(・エルメロイ)」と呼ばれると「Ⅱ世を付けてくれ」と返すこともある。
かつては反目していたケイネスに関しては、彼の死に責任を感じてエルメロイ教室を受け継いだ後、
その遺産を整理・保存した事からその実力を再確認するに至り、「ロード・エルメロイの名に相応しいのはあの人しかいなかった」とその才能が消えた事を惜しんでいる。
その為、ケイネスの死によって一気に没落したエルメロイ派の多額の負債(ハリウッド映画の製作費なみ)を全て引き受け、
更に破損し、二割程度しか機能が残らなかった魔術刻印の修復も請け負っている*2
おかげで借金で首が回らなくなっており、日々眉間の皺を深めているとかなんとか。

今作の時間軸では当初、第五次聖杯戦争への参加を目指している。
その目的はイスカンダルを再び召喚し、彼が勝利できなかったのはマスターが未熟だった為であり、彼の王は勝利できる器であった事を証明する事。
それをもって自分が先に進むためのけじめをつけようとしている。
しかし後に正式に辞退し、自らの敵であるハートレスと決着を付け、王の腹心であるヘファイスティオンに「一泡吹かせる」という、
かの征服王が聞けば必ず腹を抱えて笑うだろう自慢話をもぎ取る事を新たな目標に定める。

余談だが、時計塔で抱かれたい男ランキングでは同率4位。
そして後にナンバーワンになる事はこの時点では誰も知らない話である。

詳細は項目を参照。

CV:上田麗奈
ロード・エルメロイⅡ世の内弟子をしている少女。Ⅱ世の事は「師匠」と呼ぶ。一人称は拙(せつ)。
内弟子内縁の妻として、生活がだらけがちなエルメロイII世の身の回りの世話もしている。

常にフードで顔を隠しているが、その容姿はアーサー王と瓜二つ。
フードで顔を隠しているのは「Ⅱ世がその顔を見たくないから」であるが、それはグレイが最初に「この顔を嫌いなままでいてください」と頼んだのを律儀に守っている為。
アーサー王の墓が存在する霊園の出身で、その霊園の墓守の一族の中でも傑出した才能の持ち主であり、
対霊体のプロフェッショナルと呼べるが、その分感受性が高すぎるため、霊を恐れている。
しかし、その体には霊を滅ぼす機能が刻み込まれている為、いざ霊を目の前にすれば人外の戦いぶりを見せる。

人格を持った封印魔術礼装・アッドを常に携帯しており、普段はルービックキューブ状の匣の形をして細長い鳥かごの様な籠に入っている。
アッドの人格は凄まじく口が悪いが、グレイにとっては故郷での唯一の友人であり、彼女が敬語を遣わずに接する稀有な存在である。
しかしそれはそれとして、余計な事を言っては籠を振り回す事で折檻されている。

故郷の霊園では複雑な経緯からよく言えば箱入り、悪く言えば腫れもの扱いを受けており、まともな友人もいなかったため、対人関係に疎い。
ただ、師匠の関係者であるライネスやエルメロイ教室の面々とはそれなりに仲良くやっており、特にライネスからは彼女の数少ない友人として親しくされている。

師であるⅡ世に対しては、成長する事を自らの使命とするその姿が自分の道しるべになってくれるかもしれないと考えており、Ⅱ世の誘いに乗って時計塔に来たのもその為。
そして聖杯戦争やイスカンダルに対する彼の思いを知った事で、「その戦いに協力したい」「師匠を彼に会わせてあげたい」という願いを持つようになっていった。

詳細は項目を参照。

  • アッド
CV:小野大輔
封印魔術礼装。連代はグレイの唯一の友達。口を開けば軽口ばかりで口さがないため、よくグレイに窘められている。
普段はキューブ状態だが、状況に応じて幾つかの形態に変化する。
霊体を切り裂き、魔力を吸収する「死神の鎌」、攻撃を受ける事で魔力を溜め込み、一定量溜まった魔力を反転・放出する「大盾」、
Dランク相当の魔力放出と同等の効果を持つ「大槌」が存在するが、盾と槌は良くも悪くも使いどころが限定されるため、グレイは鎌をメインウェポンとして使用している。

CV:水瀬いのり
ロード・エルメロイⅡ世の義理の妹。彼に「ロード・エルメロイ」の名を与え、ロードに仕立て上げた張本人。『Apocrypha』の方にも出ている(と言うかそちらの方が初出)。
ロード・エルメロイの遺した魔術礼装を改造した水銀メイド形自動人形「トリムマウ」を連れている。
元々アーチゾルテはエルメロイの分家としては底辺だったが、ケイネスの死に伴って上位の家が早々に離反したため、
残った分家の子供の中で源流刻印の適合率が突出して高かったことから、ライネスがエルメロイの家を引き継ぐことになった。
後継者となった後、ウェイバーを自分の下に拉致し、自分が成人するまでロードの座を守ることを命じた。
エルメロイへの引け目もあってウェイバーは断れず、その上魔術刻印まで担保として取られてしまったため、ロード・エルメロイⅡ世としての胃が痛い毎日を送ることになったのだった。
Ⅱ世が考案したエルメロイの秘術を引き継ぐのに最適な手順の授業を受けている為、現在のところ戦闘用の魔術はあまり使えない。

自他共に認める生来のサディストであり、真面目な人間が苦しんでいるのを見て愉悦する困った性格をしている。
特にⅡ世を苛めるのが大好きで、Ⅱ世が断り切れない案件をちょくちょく押し付けに来ては、その懊悩を楽しんでいる為、「胃を破壊しに来る悪魔」とⅡ世からは言われている。
それもあってⅡ世からは塩対応が基本で、ライネスもそれを時にわざとらしく嘆きつつも気にせずに接しているが、
一方で義兄としてⅡ世のことを気に入り、信頼しているのも本心であり、イヴェットに貞操を狙われたⅡ世を助けに現れて「Ⅱ世(コレ)は私のオモチャだ」と凄んだこともある*3

また、義兄の内弟子であるグレイにも好感を抱いており、とある魔術関係のイベントに参加する際に護衛を頼んだり、ティータイムに誘ったりと親しくしているが、
生真面目かつ純朴なグレイの人柄にもサディストとしての食指が動くらしく、そういう雰囲気を時折出してはグレイを困らせている。

自分が世間一般的に「性格が悪い」と称される人種であることも自覚しており、Ⅱ世に「悪魔」と罵られてもケロリとしているが、
そういう性格と、権謀術数が渦巻く環境で生まれ育った影響もあって親しいと呼べる友人が非常に少ないことは気にしている。

詳細は項目を参照。

  • トリムマウ
CV:水瀬いのり
ロード・エルメロイの遺した魔術礼装。
前述の通り、ケイネスが攻撃に使っていた『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』にⅡ世が改造を加えたもので、
実体が攻撃・防御に優れているのはもちろん、時計塔内の魔術礼装の中でも指折りの優秀な演算機…要はスパコンとしての機能も有する。
さらには自律式であり、平時はライネスに水銀メイドとして付き従っている。「トリムマウ」というのはライネスの付けた愛称。
会話機能もあり、ライネスを「お嬢様」と呼んで従者のような言動を取る他、ライネス以外の人物からの会話にも応じられるだけの知性を持つが、
フラットが自分好みの(主にB級以下の)映画から引用した言葉をあれこれと吹き込んでいるため、時折変なことを口走ってはライネスを困惑させる。

CV:松岡禎丞
エルメロイ教室の現役最古参の生徒。
魔術師としては平凡な家系に突然生まれた天才児であり、傑出した数の魔術回路とそれを制御する圧倒的な才能を兼ね備えて生まれた。
しかし、その才能とは裏腹に気性が非常に緩く、魔術師然とした執着を全く見せず、精神的には絶望的なまでに魔術師に向いていないと評されている。
その為、時計塔でも彼を扱いきれる講師は一人もおらず、しかし放置するにはあまりにも惜しい才能であるため、
次々に学部をたらい回しにされては講師が胃痛を訴えて放逐されるという事を繰り返した末にエルメロイ教室に迎えられた。
Ⅱ世は見事に彼の才能を伸ばすことに成功しているが、その代わりにこの問題児を長い事抱える羽目になったため、胃が壊滅的な被害を受けているとかなんとか。

各地の魔術の「いいとこどり」とも言われる混沌魔術の使い手。
本来、混沌魔術の魔術基盤は脆弱なもので、いいとこどりなど名ばかりのものでしかないが、フラットはその有り余る才能によってその術式を通してしまう。
というか、即席の魔術式を基盤代わりに使い、既存の魔術基盤を使用していないらしい。橙子曰く、「無駄な事を見当はずれな魔術で器用にやってのける類のバカ」。
とりわけ他人の魔術への干渉という点において異常な才覚を持っており、魔術のベクトルを弄って術者本人に直撃させることも出来る。
ちなみに別の世界では令呪やサーヴァント召喚の術式にまで干渉しており、ただの玩具を触媒として機能させるという離れ業をやってのけている。なんだこいつ。
Ⅱ世はこれを称して「ゲテモノ魔術」と呼んでおり、フラット本人はそれを「先生が名前を付けてくれた!」と喜んで周りに吹聴している。
ちなみに魔術の代わりに腕っぷしの方はさっぱりで、護身術の授業は赤点連発だったりする。

詳細は項目を参照。

  • スヴィン・グラシュエート
CV:山下誠一郎
エルメロイ教室の現役最古参の生徒。
自らの内側から獣性を引き出し、魔力を纏うことによって疑似的に狼の能力を得る獣性魔術の使い手。
獣性に身を任せる獣性魔術は適性を持つ者が非常に少なく、受け継ぐ家系も数少ないが、
グラシュエート家は発狂するのも構わず魔術刻印を継承させることで現代まで獣性魔術を伝授してきた。

スヴィンは獣性魔術に適性を持つ数少ない成功例であるが、自分と人間が別の生き物であるかのような認識を抱えており、疎外感を感じていた。
しかし、3ヶ月前に自分と同じ悩みを抱えるグレイと出会ったことでシンパシーを感じ、彼女に特別な感情を抱くようになる。
が、獣性魔術への適性によって嗅覚が優れているスヴィンは、グレイたんを目の前にするとハアハア言いながら匂いを嗅ぎ始めるため、傍から見ると変態にしか見えない。過去にストーカー行為もしている。
特に異性に関する人生経験が乏しいグレイからは、自分に対するその態度を好意からではなく敵意からによるものと勘違いされ、苦手に思われており、
エルメロイⅡ世からも、グレイの心情や過去のストーカー行為から「緊急時以外はグレイの20m以内に近付かないように」と厳命されている。
類稀な美少年であるため、この奇行がなければと嘆く同級生多数。一方、顔と血統が良ければいいという女子もいるとかなんとか。
ちなみにフラットからは「ル・シアン()くん」と言うあだ名を付けられている。

  • イヴェット・L・レーマン
CV:岡咲美保
エルメロイ教室の新入生。自称「近頃流行の魔眼女子」。
中立主義派(メルアステア派)のスパイ。しかしあくまで牽制のようなものであり、Ⅱ世には初対面でその事をバラしている。
Ⅱ世の愛人を目指すことを公言しており、ことある毎に性的なアピールをするが、当の彼からは相手にされていない。
アニメではルヴィアがオーナーを務めるショッピングモールのランジェリーショップで、「(先生DTっぽいし)刺激が強すぎるかー」等と呟きながら勝負下着を物色する姿が描かれていた。
レーマンは宝石を加工する事で魔眼を複製する加工魔術を得意とする家系であり、イヴェットも右目が宝石製の魔眼になっている為、眼帯をしている。ちなみに生来の魔眼ではないため、交換も可能。

  • メルヴィン・ウェインズ
CV:平川大輔
自称ウェイバーの親友。今では唯一彼を本名で呼ぶ人物でもある。
トランベリオの分家の出であるが、生まれつき体が弱く、魔術刻印の調律師に甘んじており、エルメロイの源流刻印の再生を任されている。
その腕前は非常に高く、真っ当な手段の調律で彼の右に出る者はほぼいないとかなんとか。
どのくらい弱いかと言うとすぐに吐血するくらい。幸い魔術の腕はあるので、『強化』の魔術で体の弱さをカバーしている。
何よりも面白さを重視する性格の持ち主。人の悪さに関してはライネスどころかグレイにまで「クズ」と判断されるほどで、実際にライネスからは「クズ」と罵倒されることもしばしば。
ウェイバーことエルメロイⅡ世に時折金の融通などの助力をするが、自身や「ママ」の事情や判断によっては必ずしもⅡ世の味方をするとは限らない、厄介な人物でもある。

ちなみにⅡ世との関係は10年に渡り、第四次聖杯戦争で日本への旅費を出したのも彼。
当時のメルヴィンは「愉快な話をしてくれるなら金でもなんでも出す」と語っており、当時のウェイバーは「時計塔をひっくり返してやるから金を出せ」と金の無心を頼んだのだった。
別にメルヴィンはウェイバーが本当に愉快な結果を持ち帰ってくるのを期待していたわけではなかったが、再会したウェイバーは別人のように殊勝になっており、
「先生を失ったエルメロイ教室を買いたいから金を貸してくれ」と頼み込んできた。
それに興が乗ったメルヴィンも「金を貸してやるから友達ということでどうだ」となり、奇妙な友人関係が出来上がったのだった。

  • 化野菱理
CV:皆口裕子
第一原則執行局・法政科の魔術師。事件の裏にはだいたい彼女が関わっている。
着物を着こなす艶やかな美人だが、底が知れない人物でもあり、Ⅱ世は彼女を苦手としている。
元々はノーリッジの孤児であり、ドクター・ハートレスの義妹に当たる。

  • ドクター・ハートレス
CV:福山潤
前現代魔術科学部長。エルメロイⅡ世の前任者。幼い頃に妖精に攫われ、心臓を盗まれたという噂から心臓なし(ハートレス)と呼ばれる。
7年前、マリスビリー・アニムスフィアから冬木の聖杯戦争の調査の依頼を受けており、その方法として魔眼所有者の連続殺人を起こし、その首を回収。
その生首を首だけの状態で生命活動を維持させることで、魔眼によって聖杯戦争を調査し、そのシステムを暴いた。
その結果、マリスビリーは聖杯を使い物にならないと判断したが、ハートレスは英霊の召喚に興味を持ち、不完全ながらその術式を模倣する事でサーヴァントを召喚する事に成功した。
その目的は今のところ不明。

  • ヘファイスティオン
CV:大地葉
ドクター・ハートレスのサーヴァント。
イスカンダルの第一の腹心であり、ダレイオスⅢ世の母がヘファイスティオンとイスカンダルを間違えた際、
イスカンダルはそれを咎めず「彼もまたイスカンダルなのだから」と取り成す程の信を置かれていたという。
史実では当然ながら男性と伝わっているが、何故か女性の姿で現界している。
だが、小柄な体躯、髪の色は金か黒、一眼は夜の暗闇を、一眼は空の青を抱くと言われた金眼妖瞳と、伝承に語られるイスカンダルそのものと言ってもいい。
なお、第一の腹心であるはずなのだが、Ⅱ世はかつての聖杯戦争で見た『王の軍勢』の中に彼女の姿を見たことは一度もないという。



◆ゲストキャラクター

CV:伊藤静
フィンランドの宝石魔術の大家・エーデルフェルト家の跡取り。
エーデルフェルト家は世界中の争いに介入し、魔術の至宝を掠め取っていく事から「地上で最も優美なハイエナ」とも呼称される。
エルメロイⅡ世の事は「最悪の魔術師」と呼ぶほどに嫌っているが、その講師としての実力は認めており、彼を指導役に指名している。
そして事件簿より更に半年ほど後、ある少女と同時期にエルメロイ教室に入った事でⅡ世の胃は更にダメージを食らうことになるのだが、それはまた別の話である。

詳細は項目を参照。

魔術世界の最高位・冠位(グランド)の人形師。
元々は封印指定を受けていたが、数年前、封印指定を発令する秘儀裁示局・天文台カリオンで起きた大事変の際、封印指定を解かれている。
魔術の腕は言うまでもなく最高クラスだが、過去に比べればレベルは落ちているらしい。

詳細は項目を参照。

  • アトラム・ガリアスタ
第五次聖杯戦争の協会枠を金で買い上げた男。中東の魔術師であり、奪う事で成りあがってきた一族。
ある英霊の召喚の為の触媒を狙い、イゼルマの事件に介入してくる。
ちなみにその事件でどういう訳かⅡ世を気に入ったらしく、週に一度は訪ねて来るとか。
しかし彼は第五次聖杯戦争で……。(-∧-)

  • カウレス・フォルヴェッジ
CV:小林裕介
エルメロイ教室の新入生。別世界では名前にユグドミレニアが付いていたが、こちらの世界ではユグドミレニアの一族に加わっていないため、その一族名は付かない。
優秀な姉のスペアとして扱われていたが、その姉が全てを捨てて出奔した事で家督を継ぐことになった。当然親戚一同は大騒ぎで、殺されかけた事もあるとか。
エルメロイ教室に入ってからはフラット、スヴィンとよく行動しており、ドラマCDでは三人で事件を解決したりもしているが、クラスの女子からは彼らと合わせて三馬鹿扱いされている。
アニメ版ではとあるロボットアニメがお気に入りで、自室のポスターやPCの壁紙にも用いているが、どこかで見たようなヒロインとロボットが描かれている。

CV:米澤円
天体科のロードの娘。年齢は11歳。
別世界では無残な最期を迎えてしまったオルガマリーだが、こちらではその才能をⅡ世から賞賛されたり、
年齢や立場が近いライネスと奇妙な友人関係を結んだりしており、あちらよりはマシな人生を辿りそうな予感。
ただ父とは変わらず不仲らしい。

アトラス院院長。数百年院長の座に就いていると言われる死徒。
別世界では死徒二十七祖に数えられるが、この世界では死徒はそこまでの力は持っておらず、伴って現象と化す事もなかった。
世界の全てを演算する事で擬似的な並行世界の観測を可能としており、この世界にいながら別世界の事象をほぼ正確に俯瞰してみせる。
その演算によれば、自分が二十七祖となる可能性は千七百年ほど前に摘まれたとの事。その年代には朱い月と魔道元帥ゼルレッチの激突があったとされる。

詳細は項目を参照。

法政科所属。少年時代のゴッフ。
アニメ第3話にて、ムジーク家のホムンクルスたちを率いてⅡ世が捕えた魔術師を連行するため登場。
セリフは無し。
アニメBD特典ドラマCDでも、出番こそないが、その名前を聞いたカウレスが「似た名前の親戚がいたような」と首を傾げる一幕があった。


【舞台】

  • 剥離城アドラ
魔術刻印の「修復師」と呼ばれるゲリュオン・アッシュボーンの工房。
ゲリュオン・アッシュボーンは「天使」に傾倒していたとされ、その思想に従って城を作り変え、その城を「剥離城アドラ」と呼んでいたという。
そしてゲリュオン・アッシュボーンの死後、後継者がいなかったことからその遺産にまつわる謎を残し、Ⅱ世はエルメロイの魔術刻印の修復の為、その城に足を踏み入れる事になる。

  • 双貌塔イゼルマ
十二貴族の一つ、バリュエレータの分家・イゼルマの居城。
「最も美しいヒト」を作り出すことで根源を目指す家系。
魔術における「美」とは一種の共感呪術とされており、美しいものを見る事で自分の魂や霊性を浄化するものと言われる。心が洗われるとでも言うべきか。
その為、究極の美を創り出す事が出来れば、それによって自分の魂を高次まで引き上げられる、かもしれないというのがイゼルマの魔術の根本。
その家系の娘は代々美を体現するために徹底的な調整を施され、一定の完成度に至った段階で黄金姫・白銀姫としてお披露目会が行われている。

  • 魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン)
その名の通り、魔眼を蒐集しながらヨーロッパの森を走り続ける列車。
本来、魔眼は摘出するのも至難の業だが、この列車の支配人代行は摘出はおろか移植までやってのける。
その為、年に一度開催されるオークションには多数の魔術師が集い、出品される魔眼を競り落とそうと躍起になる。
蒐集する魔眼はその持ち主の元に魔眼の買い取りが申し込まれる事になり、制御しきれない程強力な魔眼の持ち主にすれば正しく天の救いであるが、
もし売却を断った場合、その持ち主は殺され、魔眼だけが持ち去られる事になる。
元々はロズィーアンの家名を持つ上級死徒が自慢のコレクションを披露するための場であったが、既に支配人であるその死徒は魔眼蒐集列車を離れており、
現在はその部下たちが主がしてきた事を引き継いでオークションを行っている。支配人にオークションを終えろとは命令されていないために。

  • ブラックモアの墓地
魔術師達の間で囁かれている最も古い墓地であり、グレイの故郷にある墓地でもあり、奇妙なルールがある。
ブラックモアは元々鳥を神聖視する魔術師上がりの死徒の名であり、同じく鳥を使役していた魔術師たちがその名に敬意を表してその名を使ったのが名前の由来。
ちなみにブラックモア本人は朱い月が滅びたため、自身も代行者との戦いで潔く滅びたという。


【余談】



追記・修正は事件解決後にお願いします。

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最終更新:2023年06月18日 14:00

*1 ちなみに3ルートだと、凛トゥルーエンド(&セイバールート)の場合、士郎と凛がエルメロイ教室に留学。凛グッドエンドの場合、セイバーもおそらく留学に同行。桜ルートの場合聖杯は破壊されるがその途中でグレイに影響を与えるセイバーがセイバーオルタに変貌してしまう等、グレイが割と大変になりそうなことになっている。

*2 アニメ版ではライネスが半ば嫌がらせで吹っ掛けたこれらの弁償をすんなり受け入れたことに驚愕し、しまいには頭の具合を心配していることからも、その負債の重さが分かる。

*3 尤も、この時には話の展開から考えてイヴェットの起こした騒動の全てがライネスによるマッチポンプなので、本気で凄んだのかは疑念の余地があるが。