やはりと言うべきか行方不明事件の犠牲者で、ガンスの秘書キノシコワの弟。
プリンス・マッシュはリングネームであり、本名はキノシチョフ。
本編より前にて、キノシチョフはガンスのトップ・シークレット……「スターストーンを悪用して作り上げたマシンで、強い選手のエネルギーを吸い取り己の若さを保っている」という衝撃の事実を、何らかのきっかけで知るに至った。
秘密を知られたガンスは当然生かしておくはずもなく、口封じとしてキノシチョフをこの世から消してしまった。
つまりゴールド・ホークは失踪に無関係であり、地位に固執するただの卑劣漢なだけであった。
キノシコワは失踪の真実を探るべく、ガンスに近づくため秘書となり、彼の恐ろしい陰謀を知ってからは打倒できる者の到来を望んでいた。
スターストーンを求めて現れたマリオにその素質があると睨み、「謎の人物X」として導き、秘密に行き着いたマリオをガンスはスターストーンの力で口封じを図るも失敗。
敗北したガンスにキノシコワが問い詰め、彼の口から遂に「キノシチョフはもうこの世にいない」ことを知ってしまった。
流石のキノシコワも、弟の喪失にはショックを受けてしまうが……
なんとスターストーンが光り輝き、その中からキノシチョフが飛び出した。
まるでキノシコワの心の願いに応えたかのような奇跡が起きたのだ。
キノシチョフはどうやらマシンに取り込まれていたのか、前後の記憶も曖昧なようであったが、何はともあれ無事に生還することができたのであった。
事件解決後は、おなやみセンターでキノシコワの依頼を完了すると、
しばらく経ってから彼女のメールで現役復帰に向けたトレーニングをしていることが語られる。
また、バーに佇む女性キノピオはプリンス・マッシュの帰還を静かに喜んでおり、「ありがとうマリオ」と礼を述べてくる。言及はないが、この女性はキノシコワのプライベートでの姿と思われる。
しかし本編中では、結局プリンス・マッシュと戦える機会は一度も無い。
代わりと言うべきか、闘技場を再挑戦しているか否かに拘わらずゴールド・ホークから「ときはきた!」のタイトルで「あれから強くなったから挑戦しに来い(意訳)」というメールは届くのだが、実際にはステージ3の強さそのままで1ミリも強化されていないオチがつく。
プレイヤーたちは肩透かしを食らうと同時に、プリンス・マッシュの実力を味わってみたかったと残念に思うのだった。
リメイク版では基本的な流れに変化は無い。
一応、ウーロン街を去る際や
ラスボス戦での応援シーンでは顔を出すという変化はある。
しかし、原作同様にキノシコワの依頼を済ませてしばらく経つと、突然キノシチョフからのメールが届く。
その内容は……
「てあわせ ねがいます!」
おひさしぶりです、マリオさん!
オレのこと おぼえていますか?
キノシコワの おとうとの キノシチョフです
~中略~
そして ついに…
プリンス・マッシュが ふっかつするひが
やってきたんです!
マリオさんに いまのオレを
どうしても みてほしかったので
ねえさんに たのんで
とくべつに マリオさんと
しあいが できるように してもらいました!
とうぎじょうの
『エキシビションマッチ』で まってます!
パワーアップした プリンス・マッシュを
おみせしますよ!
……もうお分かりだろう。リメイク版で遂に
裏ボスとして戦えるようになったのである。
闘技場の「エキシビションマッチ」からいつでも戦えるので、ランキング順位は関係ないという優しい仕様。
わざわざ2周もするのがめんどくさいことは開発側も把握済みらしい
闘技場的にはメインの一大イベントとして組まれており、初回に限り専用の新規イベントで演出されるなど気合が入っている。
ちなみに二つ名は「復活の貴公子」になっており、バトルの際の観客はキノピオ(と低確率で
ルイージも入る)で固定される。
投げる物はキノピオは一般的なアイテム・ハート・コイン、ルイージは高級アイテム2種類のみ。激戦が予想されるのでおひねりとしてありがたく受け取っておこう。
どちらも石・空き缶などのダメージを受ける物は投げてこないので、Xボタンを気にしなくていいのも嬉しいところ。
癖で投げてくる物を確認せずに押してしまいがちな人は注意。
そして、いよいよプリンス・マッシュの実力が白日のもとに晒される……。
ボスデータ
『プリンス・マッシュ』よ
ついに カムバックした とうぎ場 初代チャンピオンね
さいだいHPは『96』で こうげき力は『6』 ぼうぎょ力は『6』よ
ブランクを かんじさせない つよさだわ!
クリーンな ファイトで しられただけあって
小細工なしの まっこう勝負を いどんでくるわ
バトル中 かまえが かわると
せんとうスタイルも へんかするみたい
相手に あわせて
こちらも こうげき方法を かんがえましょう!
もしも かてないと おもったら
『スーパーカード』を ねらってみるのは どうかしら?
ちなみに こう見えて
じつは ケーキが ニガテ なんですって
かこに ナニが あったのかしら…?
カレを こえたとき
はじめて しんのチャンピオンに なれる 気がするわ!
HP:96
こうげき力:6
ぼうぎょ力:6
なにこれ……?
まず、ステータス面は間違いなく高水準と言ってもいい。
ここで比較対象として、最速で戦える時期の前後にあるステージ4、ステージ5のボスたちを並べてみよう。
|
ランペル ※ニセマリオ時 |
コルテス |
ペケダー |
プリンス・マッシュ |
備考 |
HP |
40 |
20×3 |
30×2 |
96 |
コルテスは最終形態でHPを10強回復するので合計70以上になる |
こうげき力 |
4 |
4 |
3 |
6 |
ニセマリオ時ランペルとペケダーはお供が随伴し、実際の受けるダメージはこれより更に多い。 コルテスは最終形態で4つの武器パーツが加わる為、総合的なこうげき力は3倍以上に膨れ上がる |
ぼうぎょ力 |
0 |
1 |
0 |
6 |
- |
……全く比較にならないことがお分かりだろうか。
一応、瞬間火力と総合火力では匹敵するか上回る場面がランペル~ペケダーにもある。
しかしそれらはまとまったダメージではないので、ガードを重ねた分だけ軽減できる。対してプリンス・マッシュは、瞬間・総合火力と他の要素(後述)によって彼らを完全に突き放している。
HPとこうげき力は他の
裏ボスたちと比較して流石に低いが、それを補って
6という本作のボスの中で最高数値ブッチギリのぼうぎょ力が光る。
つまり、最速で挑めるタイミングだと
マリオのジャンプ、ハンマーの強化段階では全く歯が立たない。
ステージ6をクリアしてウルトラブーツ・ウルトラハンマーを手にしても
こうげき力を盛らないとこちらの攻撃が通らない。
ぼうぎょ力貫通のツラヌキ攻撃はもとより、ムキムキボディ、パワープラス、モロハノヤイバー等を駆使してこうげき力を上げることで、やっと同じ土俵に立てるかどうかというレベルである。
■主な攻撃
正面から溜めてパンチ。
モーションこそ分かりやすいが、直前に溜めるのでガードタイミングは少し分かりづらい。
ジャンプからの飛び蹴り。
HPのみならずFPにもダメージを与える性質を持ち(他にこの特性を持っているのはフラワーチョロボンのみ)、ボディブローのようにじわじわ効く。フラワーチョロボンと違い、FPダメージの累計で何かをしてくることはない。
なお、「ダメージガエシ」や「しかえしのこな」を使っていると最初のHPに対するダメージの時点で反撃に対するガードを行うのでFPダメージを受けない。
チャージ後に使用。
攻撃力に加算したそのままのダメージではなく、
レンゾクジャンプのように威力が減衰するタイプの連続攻撃であり、一気にHPが削られる。
半端なHPだと事実上の即死攻撃。
なお、「ボウギョプラス」があれば一発ごとにダメージを減らせるし上記の「しかえしのこな」や「ダメージガエシ」を使っていると反撃に対するガード行動を行うので最初の1発目だけで済む。余談だが、この連続飛び蹴りを一発だけで済ませたり、先述の飛び蹴りでFPを奪われるのを防ぐのが、裏ダンジョンを完全クリアして裏ボスの
ゾンババを倒して手に入るダメージガエシが役立つほぼ唯一の瞬間である。本来のカウンターの用途としてではないが。
技のラインナップだけでも非常に手強いのだが、こいつを更に裏ボスたらしめているのが「構え」。
なんと構えによってマリオ側の有効な攻撃が違い、そうでない攻撃は全て回避される反則みたいな性質を持っているのだ。
「すり足で前後移動」:ハンマーなど横からの攻撃が有効
「ぴょんぴょん跳ねる」:ジャンプなど上からの攻撃が有効
『
スーパーシール』でのハックンに近い性質……どころかスーパーシールのハックンは通常時(ジャンプ無効)・ジャンプ時(コウラ・ハンマーに対して反撃)どちらでもフラワー系シールが効くが、こちらは両方の構えで共通して効くマリオの攻撃がないという上位互換であり、さらに頻繁に構えを切り替えてくるので、レンゾクジャンプ一辺倒のような戦い方は途中で手出しできないターンが生まれてしまう。
では他の攻撃なら……と思うだろうが、更にヒドいことに
アイテム攻撃、バクハツ系、まほうのほのお等、いくつかの特定攻撃は構え関係なく完全無効。バクハツ攻撃及びカウンター技しか無い
バレル涙目である。
有効な攻撃であっても、前述のようにツラヌキ攻撃でもない限りは「
6」もあるぼうぎょ力を上回ることが大前提になる。
本作で防御貫通に仕様変更された舞台装置のダメージも無効化される。スペシャルわざのダメージは有効なのが救い。
厄介なことに、見た目は肉弾攻撃なのに
しかえしのこなorダメージガエシorふれたらドカン、びりびりキノコorビリビリーンなどといった接触カウンターは通用しない。
ただし、ビリビリ状態及びふれたらドカンとダメージガエシ含む仕返し状態に対する反応は異なっており、後者の反撃ダメージに対してはガードの構えを取って無効化するという反応を取る。この時攻撃が中断するので、連続で攻撃する技に対しては最初の一撃のみで済む。
また妙に賢い所もあり、チャージ後にビビアンのカゲがくれを使うともう一度チャージに回す着地狩りめいた行動が確認されている。
その為、一回の行動に対してならば一定以上のダメージを受けても無効化してくれる「コウラのまもり」の方が安定しやすい。
この時点で『
マリオストーリー』の
シショーを総合的に上回る難易度の、悪夢みたいな強さを誇るプリンス・マッシュ。
ところが、これでも
まだ闘志に火がついていない状態なのである。
プリンス・マッシュを追い詰める……即ち、残りHPが3割近くまで減った時、闘志に火がついた彼は先程までのどれとも異なる構えに変化。
ここからペーパーマリオ史上最強と言っても過言じゃないバケモノじみた実力を発揮する。
・数値の見えないチャージを事前に行い、ダメージが倍以上に跳ね上がる
・時々分身する。なお分身がそれぞれ攻撃をしてくる
・スペシャルわざ含む全ダメージが無効化
そりゃ偽りのチャンピオンとか言われますわ、ゴールド・ホーク……
与ダメが馬鹿馬鹿しいレベルまで跳ね上がるのにこっちは全然攻撃できないわ、分身までするわと勝てる見込みが何も見えてこない。
ゴールド・ホークもかつてはこの絶望感を味わって生きた時代があったのだろうか……。
しかし、隙が見当たらないように見えるプリンス・マッシュにも、唯一にして最大の弱点がある。
それはスーパーガード成功で怯ませると一時的に構えを解くこと。
構えが解けたプリンス・マッシュは無防備な状態となり、前述したアイテムダメージなどの無効化されていた攻撃も通用するのだ。良かったねバレルおじいちゃん!
接触ダメージ無効なのは、上記のスーパーガードによるギミックを機能させるためだろう。
ただし状態異常は殆ど効かず、自分のターンが回ると復帰→即攻撃を仕掛けてくるのでフルボッコとはならない。
この弱点は闘志に火がつく前後で有効なので、スーパーガードが上手いプレイヤーであれば同時にノーダメでやり過ごせることもあって楽……かもしれない。尚、カンタンニナールをつけておけばスーパーガードも成功しやすくなるので、スーパーガードが苦手ならつけておくといい。っていうかそうでもしないとやってられない。
これでも決して楽勝ではなく、正攻法ではぼうぎょ力を上回る・貫通する手段は必須だし、何よりチャージ技にスパガをミスったらほぼ即死という緊張感が凄まじい。念の為きんきゅうきのこを多く持ってた方がいい。その分アイテムの枠が減るのでしかえしのこなに頼るのも難しいため、序盤の連続飛び蹴りで即死させられるのを防ぐためにダメージガエシか複数のボウギョプラスもあった方がいい。
終盤はこうげき力が一気に跳ね上がるので尚更。ニバイダメージでも付けようものなら壮絶なダメージ値が飛び出すことになる。
案の定であるが、シナリオクリア後にHP5マリオを育てればレンゾクジャンプでの撃破自体は簡単。
あるいはチャージ及びチャージPのバッジを付けて、敵の攻撃が温い序盤に何度もチャージを重ねがけしてからダメージを与えても容易に勝てるだろう。
ただしこれらの方法に頼ってしまうと難易度が著しく下がるため「中々勝てないが、どうしても勝ちたい」と思ったときのみに使おう。
闘志に火が付くとスーパーガードを求められHP5マリオには厳しいため、半端にHPは残さないようにしたい。返しのターンでHPを一度に削り切るのが理想。
HP5マリオに頼っても、構え次第でジャンプ無効に引っかかって手痛い反撃を喰らう初見殺しもあり得るため、決して油断はできない。
他にも極端な話、けんきゅういんやヤリクロウからドロップする「ナマクラヤイバー」を23個程付ければ無傷で受け切る事が可能となる。
ちなみに「ボウギョプラス」は消費BPが5で最大でも19個までしか付けられないが、「ナマクラヤイバー」は消費BPが2である為に23個付けても最大53余る為、余ったBPで「ピンチデガンバル」や「キケンデパワー」等で火力を補強させられる。
変わった攻略法として、プリンス・マッシュも
バツガルフ等と同様に
イチゲキコロリが低確率で効くといった仕様が存在しているので、アピールによる取得スターパワーが増える「スーパーアピール」を付けてからイチゲキコロリを連発するという方法もある。
上記したように観客はキノピオで固定されているが、そのキノピオは貰えるスターパワーが一番多い効果を持っているので、「ナマクラヤイバー」等の防御系バッジと併用しつつアピールやサポート技のアクロバットを連発してスターパワーを溜めながらイチゲキコロリを使い続けると良い。
見事に撃破すると、プリンス・マッシュはマリオの強さを認めた証に「プリンス・マッシュのおび」をくれる。
「だいじなもの」扱いで、プリンス・マッシュを倒した記念のトロフィーや勲章の様な証である。
さらに、勝敗に関係なく「サウンドギャラリー」の「ステージ3」の項目で専用BGM「プリンス・マッシュ戦!」をいつでも聴けるようになる。
余談
- 専用BGM「プリンス・マッシュ戦!」は、同じくゴールド・ホーク専用BGMの「イベントバトル チャンピオン」とイントロは少し似ているが、こちらは明るく熱いプログレロック調の音楽となっており、初代チャンピオンの格をその強さでもって感じさせる仕上がり。
BGMの枠自体はステージ3クリア時点で「特定の敵と戦うことで解放」という条件のもと伏せられているため、察しのいい人は闘技場に追加ボスがいることに気付けただろう。
- これだけ無茶苦茶な強さを誇るので、勝てばファイトマネーもさぞかし高額に違いない……と思いきやたったの30コイン。
全然割に合わない……- なお、1位のゴールド・ホークとのエキシビジョンマッチのファイトマネーは25コイン。ホットドック1つ(10コイン)の差もないってどういうことなの……
- 獲得スターポイントも彼の強さに反して多いとは言えず、マリオがレベル10台の時に倒してもSPは20に満たしておらず、章ボスやコブロンの方が上回っている状態となっている。
- よく「お前が伝説の魔物を倒しに行けよ」と当然のツッコミを受けることが多い。
ただ忘れてはならないのが、その魔物はスターストーンが奇跡を起こすまではマリオも打つ手が無かったこと。たとえプリンス・マッシュであってもおそらく勝てないだろう。
- クリスチーヌの「ものしり」によれば、何故かケーキが苦手である様子。
- しかし、ステージ3をクリア済みのプレイヤーならその理由は察しがつく筈。ゴールド・ホークである。
ゴンザレスがランキングを勝ち上がることに脅威を感じたゴールド・ホークは、ファンの差し入れを装った毒入りケーキを差し入れすることで戦わずして排除を目論んでいた。
さらにステージ3攻略中に闘技場の記者から「昔のゴールド・ホークは腰の低い男で、プリンス・マッシュとの試合前にケーキを差し入れていた」という話を聞くことができる。
この事から、プリンス・マッシュがケーキを苦手とする理由はゴールド・ホークの策略で同じ手口を食らった過去があるからでは?と想像がつくようになっている。
- 結局そこまでやってもゴールド・ホークはチャンピオンになれなかったわけだが、実際に戦ったらわかるようにステージ3の中ボスである彼と、元祖隠しボスのゾンババも真っ青なプリンス・マッシュでは天と地ほどの差があるので仕方ない。
リメイク版では、ステージ6クリア後のクッパパートで見れるゴールドホークの秘密のトレーニングルームにて、彼とプリンス・マッシュが笑顔で並んで撮影された写真が飾られているので、真実を打ち明けて謝罪及び和解をしたのかもしれない。
- スーパーマリオくんでは未登場。
- 漫画のストーリーではそもそもガンスが悪人ではなく、スターストーンを用いた装置も登場しない。そのため、行方不明の初代ファイターがいるという設定そのものが存在していない。
- キノシコワは第32巻の目次に描かれているが、同じくストーリーには未登場。