ローヤルベース(デジタルモンスター)

登録日:2024/06/26 Wed 15:16:20
更新日:2025/01/31 Fri 12:22:42
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『ローヤルベース』とは、『デジタルモンスター』に登場する施設。
また、そこに所属する特定の種族のデジモンを指す勢力/組織名でもある。


【概要】

2003年発売の『デジモンペンデュラムエックス3.0』。
そこで初登場した、ファンビーモン~タイガーヴェスパモンの設定で唐突に 登場した。
曰く『謎の“空中秘基地「ローヤルベース」”』とのこと。
なお、その際の進化ルートは
ププモン⇒プロロモン⇒ファンビーモン⇒ワスプモン⇒キャノンビーモン⇒タイガーヴェスパモン

ペンエックス当時の世界観では、NEWデジタルワールドの未来世界「スクルドターミナル」の上空に位置し、絶賛建造途中。
また、地上では“秘蜜部隊ローヤルコマンド”が暗躍しているという情報しかなかった。

英語で書けば“Royal Base”。意訳すれば「女王の基地」。
まあ、所属デジモンを見ればわかるが、明らかにハチを意識した組織であることは想像に難くない。
「ローヤル」という単語および表記(「ロイヤル」の方が一般的)のチョイスも、ミツバチの女王が分泌する「ローヤルゼリー」から採られたものであろう。
まあ、上位デジモンはミツバチ以外が多数だが気にしてはいけない。
余談だが、ミツバチそのものの名前を持つ「ハニービーモン」はブイモンが「知識のデジメンタル」でアーマー進化した種として登場済だったため、ローヤルベースとは無関係。

……と、アレコレ書いたが、ハッキリ言ってフレーバーテキスト以上の存在ではなかった。
まあ、「四大竜」やら「D-ブリガード」やら、組織を作るだけ作って放置するのがデジモン公式なのであまり気にされてもいなかったが。


だが・・・



2024年5月に公開された、『DIGIMON LIBERATOR(デジモン リベレイター)』のWEBノベル版。
詳細は後述するが、その主人公の一人のパートナーがファンビーモンであった。
しかし、それだけには留まらず、フォージビーモン、ヴェスパモン、……そして、トップである《女王》クイーンビーモンの存在が明らかになったのであった。
(公開同日に、公式のデジモン図鑑も更新)

ローヤルベースの拡大は止まらない!! …ハズ


【所属デジモン】

後出のメンバーを含めて全員がウィルス種である他、素の状態でX-抗体を所持しているという共通項がある。
中でも、プロロモンとププモンは、幼年期でありながらもX抗体を持っている希少なデジモン。
(他には、同じくペンエックスシリーズで登場したドルシリーズリュウシリーズといったプロトタイプデジモンの幼年期程度)

また、成熟期以上のデジモンは全て「サイボーグ型」で統一されている。
「ある一定の年代に達すると生体改造手術を受ける」と受け取ると、なかなかのブラック臭…。
ある組織に改造される蜂女の話ではない。

◆クイーンビーモン

世代 究極体
タイプ サイボーグ型
属性 ウィルス種
必殺技 ホーネットイレイザー
ローヤルスローン下部の砲塔から放つ光線。
ローヤルベースからエネルギーが供給されると、更に砲身が展開
その際の火力は山一つ吹き飛ばすほどにまで跳ね上がるという。
得意技 アクセルスティンガー
相手に対し最も効果的な毒を生成し、ローヤルスローンのアームユニットから敵に打ち込む技。
20年以上の年月を経て遂に登場した「ローヤルベース」の支配者にして《女王》。
見た目はハチコスをした紫髪の女性で、サイボーグ型ではあるがメカっぽさはあまりない。
背中の6枚翅がエネルギー状となっており、そこはサイボーグっぽいが…。

その性格は目立ちたがりであり、基地内でも自分が女王であるという誇示を怠らないという。
配下のラブコールをお立ち台 玉座の上で浴びながら、ジュリ扇 ビーム扇子を振るのが日常となっているという。
なお、件のビーム扇子は、戦術的効果の一切無い秘蜜装備である。
そういう面から、欧米のスクールカーストにおける“Queen Bee”的なニュアンスもあると思われる。
ただ、デジモン図鑑を信じるのであれば「配下であるデジモンたちもクイーンビーモンを女王として敬愛して」いるらしい。

とはいえ、他の“キング”やら、“プリンス”やら“トノサマ”やら付いてるくせにポンのコツな他のデジモンとは異なり、優秀な面も多く存在する。
特に科学力・技術力は高く、ローヤルベースそのものを設計・開発したのもクイーンビーモンである。
その他にも、基地の守備配置、戦闘時の陣形指示等を全て一人でこなすなど、驚異的な情報処理能力を誇る。
そして、野心家でもある彼女は基地の無窮なる拡大を求めるのであった。

その一方で、当人の単体での戦闘能力は同じ究極体であるタイガーヴェスパモンには劣る。
ただし、それも自身の秘蜜兵器兼玉座である「ローヤルスローン」の多種多様な機能によって補っている。
これはクイーンビーモン自身の体の一部とも言える兵器であり、見た目は巨大な二本のアームユニットと下部にハチの腹のような砲塔を備えた玉座である。
また、イラストを見る限りでは小型のハチ型のドローンを複数体使役できるようだ。


◆タイガーヴェスパモン

武装蜂起!虎の名を持つ秘蜜部隊!!
世代 究極体
タイプ サイボーグ型
属性 ウィルス種
必殺技 マッハスティンガー(ビクトリー)
2刀流「ローヤルマイスター」で敵を突き刺す技。
得意技 ギアスティンガー
20年以上もの間、存在するか不明だった一般のヴェスパモンの中でもトップ0.08%というエリート中のエリートは、“秘蜜部隊(ローヤルコマンド)”となり、コードネームを与えられる。
その中でも、単独での戦闘能力がずば抜けていることから“タイガー”のコードネームを与えられ、“秘蜜武器(ローヤルマイスター)”をの牙の如く2刀流で扱うのがこのタイガーヴェスパモン。
なお、“タイガー”以外のコードネーム持ちがいるかは結局不明なまま

一方で、スティングモンがハッカーに薬を投入された事によって進化した姿であるといわれることもある。
これは恐らく、『デジモンストーリー ロストエボリューション』でタイガーヴェスパモンのみが登場し、その上、ディノビーモンの進化先に当てられたことによるものと推測される。

なお、“Vespine(ヴェスパイン)”は「スズメバチの~」を表す形容詞。“Vespine Wasp”で「スズメバチ」そのものを意味する。
ミツバチの警護に当たるのがスズメバチというのはいいんだろうか…。


◆ヴェスパモン

世代 完全体
タイプ サイボーグ型
属性 ウィルス種
必殺技 マッハスティンガー
「ローヤルランス」による攻撃技。
ビーファランクス
「ローヤルシールド」を展開し、構えた「ローヤルランス」からエネルギーを撃ち出す戦術陣形であり連携技。
2024年、20年以上の時を経て遂に登場した一般のヴェスパモン。
余談だが、類似の事例としてはスカルバルキモン~バルキモンが約18年、メタルピラニモン~ピラニモンが約17年かかって登場した。
タイガーヴェスパモンと比べるとあからさまに量産機然としている、ある意味で見事な造形。

ただ、これでも「ローヤルベース」の中でもエリートとされる種で、無尽蔵のスタミナとスピードを武器に重要施設の守護を担当する。
仲間との連携を重視して戦い、女王や基地のためなら命を投げ出すこともためらわないという。
また、その中でも基地の最高位《女王》クイーンビーモンを守護する誉を与えられたヴェスパモンらは親衛隊「ローヤルガード」と呼ばれるのである。

武装はビームで覆われた槍「ローヤルランス」と、六角形の絶対守護領域ビームシールドを展開可能な「ローヤルシールド」。


◆キャノンビーモン

鉄壁の基地防衛を誇る絶対阻止蜂(ぜったいそしほう)
世代 完全体
タイプ サイボーグ型
属性 ウィルス種
必殺技 ニトロスティンガー
本体下部に備え付けられた大口径レーザー砲で堅固な装甲を持つ敵であっても撃ち抜く技。
スカイロケット(ムゲン)
武装コンテナから、警戒が解除されるまで怒涛の如く撃ち続ける技。
「ローヤルベース」の警護を担当する超大型デジモン。
空中を飛行し、その巨体で基地周辺の広域警護を担当している。
本体上部にはミツバチの巣のような形をした巨大な武器コンテナが付随しており、その内部には計り知れない量の武器を搭載している。
形は似ているが、決してデンドロビーモンではない。

基地は空中にある=周囲360°が危険に晒されている訳だが、そのコンテナから放つ一斉砲撃の弾幕は広範囲をカバーしている。
また、堅固な装甲を持つ敵であっても大口径レーザー砲『ニトロスティンガー』での対応を行う。


◆ワスプモン

強力レーザー砲装備の兵隊蜂(ソルジャービー)
世代 成熟期
タイプ サイボーグ型
属性 ウィルス種
必殺技 ベアバスター
大口径のレーザー砲にエネルギーを溜めて放つ大技で、大型のデジモンをも一撃で仕留めてしまう。
ただ、チャージの関係から素早い敵には当たり難く、主に地上の敵に対して有効である。
得意技 ターボスティンガー
レーザー砲を連射して放つ技。
「ローヤルベース」の一般兵の立ち位置。
基地に近づくデジモンを警戒して常に周辺を哨戒しており、不用意に近づくだけで襲い掛かってくる。
ちなみに、“Wasp(ワスプ)”はハバチとハナバチ(ミツバチもこの一種)以外の種のハチ全般を指す英単語。
なので、少なくともミツバチではない。

全体的なシルエットは大型のハチだが、翅はなく腕があり、肩に大型の推進器、背中にはスタビライザーを備えて、移動はそれで行う。
なお、推進器のを正面から見るとアシナガバチの巣のような逆さの茶椀型に見えなくもない*1
これら装備により、ワスプモンは上下前後左右…あらゆる方向に急速に移動が可能で、近づいてくる敵をディフェンスした上で、強力なレーザー砲で追い払ってしまう。
また、頭部の触角パーツは索敵能力が高く、警備に一役買っている。


◆フォージビーモン

世代 成熟期
タイプ サイボーグ型
属性 ウィルス種
必殺技 トルクスティンガー
尻のノコ針で相手を切り裂く技。
バンブルウェルダー
背中から伸びる溶接アームによる放電攻撃。
なお、“Bumblebee(バンブルビー)”はご存じマルハナバチのこと。
ローヤルベースの警備を担当するワスプモンに対して、建設・建造の実作業を担うデジモン。
ただ、《女王》のために日夜建築に励んでいるが、自分たちが何を作っているかについては知らないという。
必殺技の名称からしても、モチーフはマルハナバチであろうか。

全身が工作用に特化されており、片腕には胴とチューブで連結されたグルーガンを保持しており、腹部で生成される「蜜着剤」をつかって資材を接着している。
時折、資材を運んできたファンビーモンも一緒に接着してしまうことがあり、その際には副腕*2を使って器用に救出するという。
背中から伸びる溶接用のメカアームと化したもう一対の腕やノコ状の針なども所持している。
これら装備は戦闘に転用できる物も多く、建設要因ながら侮れない戦闘能力も誇る。

逆に翅は小さく退化したようになっている。
ただ、カードのイラストを見る限り、脚部のブースターと併用することで飛行自体は可能な模様。

また、顔は逆T字のバイザー状になっているようだが、これは溶接用の遮光面のようで、その下には2つの目が存在している。


◆ファンビーモン

空中秘密基地所属の働き蜂!
世代 成長期
タイプ 昆虫型
属性 ウィルス種
必殺技 ギアスティンガー
ギザギザのある小さな針を連射して放つ技。
得意技 88(ハチハチ)コール
頭部の触角を赤くして味方に連絡する技。
こうなると大勢の仲間を呼ばれるので逃げた方が賢明である。
「ローヤルベース」に所属している昆虫型デジモン。
立ち位置としては、雑兵・雑務・見習い、といったところか。

基本的には、常時建設中な基地の材料として、花や草木などのフィールド上のデータを少しずつ持ち帰る任務にが主。
ファンビーモンに限らないが、“周囲の環境を自分の住みやすい環境に変化させる”という性質から、関連種は皆、ウィルス種に区分されている。
このように他の昆虫型デジモンとは異なった生活ではあるが、ファンビーモンの性格はとても陽気で力持ちの働き者。
パルモンやリリモンなどの植物型デジモンともいつも仲良くしている。

なお、公式の『デジモン図鑑』の日本語版上で確認できるスペルはFunBeemon”なのだが、英語名はFanBeemon”が正しいらしい。
《女王》のファンということなのだろうか?
もしくは、ミツバチは高温の時期、巣の温度が高くならないように自らを送風機(Fan(ファン))の役を果たすこともあるので、そちらかもしれない。
バンダイ公式 てめーら「fan」の意味知ってんのか?「fanatic」!!「狂信者」だよ!!
どうせ てめーら「楽しい」の「fun」と混同してたんだろ!!
ぬるいんだよ!!意気込みがよ!!

狂信者 ファンなのか、送風機なのか、はたまたこのような生活でも楽しく過ごすデジモンなのか…ファンビーモンの明日はどっちだ。


◆プロロモン

世代 幼年期Ⅱ
属性 なし
タイプ 幼虫型
必殺技 チックリット
お尻の小さな針で微量の毒を注入する技。
3対ある翅を別々に動かして変幻自在に飛ぶ幼虫型デジモン。
見た目や進化ルートからハチがモチーフとは思われるが、詳細なモチーフは不明。
そもそも、2対までしか翅をもたない現実の昆虫に対して、プロロモンは3対である。

力は未だ無いが、とにかくランダムに飛び回るので捕まえることは難しく、意外にも敵は翻弄されてしまうという。

名前の由来は不明だが、ミツバチが作り出すことで知られる「プロポリス」と関係があるかもしれない。


◆ププモン

世代 幼年期Ⅰ
タイプ スライム型
属性 なし
必殺技 毒の泡
泡のような軽い体に薄っぺらの翅が1対生えているスライム型デジモン。
少し大きめの目玉は物体の動きにとても敏感で、何かの動きを捉えるとすぐに飛んで逃げてしまう。
しかし、決して臆病なわけではなく、イジワルをし続けると反撃してくるという。

こちらも名前の由来は不明。
ただ、英語で「サナギ」などを意味する“pupa(プーパ)”が由来である可能性がある。


【関連作品でのローヤルベース関連種】

残念ながら、メディアへの露出の機会は極めて少ない。

漫画『デジモンネクスト

バルバモンの部下である、コマンドメンツの一員としてワスプモンが登場。
性格は残忍にして卑劣。
遊園地のような基地「i-LAND」で将来コマンドメンツになりうるデジタマの育成をしている。
また、配下に複数体のファンビーモンを抱えている。

作中では、配下のファンビーモンを倒されたため、キャノンビーモンへ進化する。
ジオグレイモンとのバトルになり、空中からの「ニトロスティンガー」で攻撃を行うが、ジオグレイモンの「メガバースト」と押し合いになる。
DPこそキャノンビーモンの方が上であったが、ツルギの友を思う心にジオグレイモンが応えた事で押し負けて、敗北。
デジタマへと還ったのであった。


その後、上記個体とは別で、天界に乗り込んできたツルギらの迎撃のために、下部ビーム砲をカタパルトに換装した『キャノンビーモン(空母型)』が複数体登場。
武器として、ブレイドクワガーモンを多数射出する。
…が、そのブレイドクワガーモンらはライズグレイモンのライジングデストロイヤーですべて撃墜されてしまった。

更に、終盤ではその残党がツルギ一行に協力した。


アニメ『デジモンアドベンチャー:

第3話では太一とアグモンが再開するところで、2匹のププモンが描かれていた。

大きくスポットが当たったのは第13話「紅蓮の翼ガルダモン」で、キャノンビーモンがメインの敵として登場。
ワスプモンの群れを配下としている他、ファンビーモンを連れ去って兵隊として使役しているという。

深いジャングルが広がる場所へと到達したヤマト、空、丈たちが、そこでワスプモンに襲われるファンビーモンの群れに出くわすところから話は始まる。
一体だけ生き残ったファンビーモン(CV:釘宮理恵)の懇願もあり、子供達は捕えられたデジモンの救出に当たる。
名前に恥じない強力なキャノンに苦戦するも、バードラモンはガルダモンへ超進化し、キャノンビーモンを倒すことに成功。
捕えられていたデジモンも、無事に解放されるのであった。

その後のファンビーモンの来歴は不明であったが、第62話「シャッコウモンの涙」で開墾地のデジモンとして村を開拓していることが描かれた。


アニメ『デジモンゴーストゲーム

第63話「暴食」において、クオーツモンが保護していた幼年期デジモンの一体にプロロモンの姿が確認できる。


ノベル『DIGIMON LIBERATOR』

『キヨちゃんとローヤルベースの結束は、誰にも破られないっ!』

デジモンカードゲームを主軸に置いた、複数媒体で展開される作品群。
その中のWEBノベル版のメインキャラクターの1人「サイキヨ」のパートナーデジモンがファンビーモンである。

性格は心配性だが、面倒見は良く責任感も強い、気遣いのできるタイプ。
その性格から、皮肉屋なタイプであるインプモン(ユウキのパートナー)とも仲良くやっている。
パーソナリティとしては女性寄りで、博多弁交じりの口調が特徴。
また、他人のことは「キヨちゃん」「ユウキちゃん」などとちゃん付で呼ぶ。

彼らが初登場した第2話では、ユウキらが“こてんぱん”にされたNPCのトラロックモンを相手取る。
新しく入手したカードの効果もあり、ファンビーモンはクイーンビーモンへと進化。
自身の効果もあり、《ローヤルベース》関連デジモンを大量展開し、トラロックモンを下すのであった。

なお、女王まで進化しても性格は変わらないようで、配下に細かく指示を出したり、ファンサも欠かさないようである。

余談だが、作中で使用されたカードは2024年9月発売予定の『【BT-19】ブースター クロスエボリューション』に収録予定である。


追記・修正は女王様の名のもとに!!

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最終更新:2025年01月31日 12:22

*1 前後に分割されているので、実際に茶碗型というわけではない

*2 逆側の腕か?