賜炎の咎姫(遊戯王OCG)

登録日:2024/08/14 Wed 21:28:57
更新日:2024/08/18 Sun 05:10:00
所要時間:約 4 分で読めます





禍々しき炎の力を発する赤き姫

その炎は呪いか、彼女の咎によるものか

窺い知ることは出来ない


LINK-3
賜炎の咎姫

ATK 2700



賜炎(しえん)咎姫(とがひめ)とは、遊戯王OCGのカードである。
2023年10月28日発売のPHANTOM NIGHTMAREで登場したリンクモンスターである。

カードテキスト

リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
 
リンク3/炎属性/悪魔族/攻2700
【リンクマーカー:左/右/下】
効果モンスター2体以上
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
自分の墓地から炎属性モンスター1体を特殊召喚する。
(3):このカードが墓地に存在する状態で、相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合、
自分フィールドの炎属性モンスター1体と相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊し、このカードを特殊召喚する。

概要

遊戯王第12期は炎属性デッキが環境で大活躍する時となったが、この「PHANTOM NIGHTMARE」はその流れを象徴するパックでもある。
最たるデッキ【スネークアイ】が環境にのし上がったのも、このパックの新規カードと《賜炎の咎姫》の存在に由来する。

同じ2023年に登場した《篝火》やストラク「炎王の急襲」共々、環境を紅蓮の炎に染め上げるに至った年であり、《賜炎の咎姫》はその流れの中心にいた。

さて、そんな炎環境の立役者である彼女の性能を見ていこう。

召喚条件は「効果モンスター2体以上」。
効果はいずれも炎属性が絡むが、炎属性モンスターが無くてもリンク召喚できる
そのため後述するように柔軟な運用方法が考案され、このカードの凶悪性に一役買っている。

(1)は炎属性しか特殊召喚できなくなるデメリット効果。
これは「《賜炎の咎姫》を素材にしてリンク召喚する」場合も適用される。
テーマ内で完結できるくらいの炎属性デッキであればデメリットを残したままでも動けるが、ぶっちゃけそんなデッキは少ない。
(2)(3)の性質的にも、何らかの炎属性リンクモンスターの素材にするか、自分で破壊してしまうなどして解除してから更なる展開に繋げるのが基本。
これは効果外テキストではないため、(2)の蘇生効果の後に効果を無効にし、《アクセスコード・トーカー》などの汎用リンクモンスターにバトンパスする手はある。

(2)は炎属性を蘇生する効果。
属性以外に一切の条件が無く、効果も有効で用途制限もないため、エース級の炎属性モンスターを使い回し放題。
逆に適当なものを蘇生してリンク4に繋ぐだけでも十分な役割は果たせるため、腐る場面は少ない。
何気に「墓地のカードを対象にとる効果」ではないので、蘇生効果へチェーンした《D.D.クロウ》に除外されて効果自体が不発、という事態も起きない。

(3)は除去と自己蘇生効果。
「相手フィールドにモンスターが特殊召喚された時」なので、相手ターン中でも使用でき、盤面の完成を阻害できる。
なおこの効果は壊獣などの「自分の効果で相手フィールドに特殊召喚した」場合も発動できる。
自分のカードも破壊してしまうものの《賜炎の咎姫》が自己蘇生するのでボード・アドバンテージ面でいえば損にはならないし、「破壊された」「墓地に送られた」効果のトリガーとして逆利用もできる。
同時期に環境トップになった【炎王】【スネークアイ】は、まさにそうしたトリガー効果を持つカードを複数持つデッキであった点も好相性。
そしてこの自己蘇生には「フィールドを離れた時に除外される」デメリットも無いため、毎ターン妨害手段として継続使用が可能。
ただし、(1)のデメリットも適用されるので、それは考慮しておく必要がある。
リンク召喚でしか処理できないデッキの場合、妨害のために出したはいいが炎属性を切らして身動きが取れなくなることもしばしば。

総じて(2)の効果で展開を補助し、墓地に行った後も(3)で1妨害として働く、そしてそれを1回限りではなく継続できるという序盤から終盤まで卒なく働いてくれる優秀なモンスターである。


相性の良いカード

ここでは《賜炎の咎姫》と特に相性が良いカードを列挙する。
またデッキとしては、炎属性中心デッキの中でもリンク召喚を許容し、以下のカードも込みでEXデッキに十分な枠を用意できる必要がある。

  • 《揚陸群艦アンブロエール》
リンク4という重さに対して受動的な効果からパッとしない評価であったが、《賜炎の咎姫》の登場により評価を向上させた1枚。
炎属性リンク4はあまり有力なカードがなく、素材2体なので《賜炎の咎姫》のデメリット解除のためのリンク召喚として適している。
その後も《賜炎の咎姫》(3)の破壊対象にこのカードを選択することで、こちらの(2)の効果トリガーにできるため、受動的という欠点も軽減できると至れり尽くせり。
(その場合、《揚陸群艦アンブロエール》で蘇生する《トロイメア・フェニックス》などを用意しておくと尚好し)

同じく炎属性のリンク4であり、《賜炎の咎姫》のデメリットを解除できる存在。
こちらの場合、《賜炎の咎姫》で《転生炎獣レイジング・フェニックス》を蘇生すれば、その組で2枚目の《転生炎獣レイジング・フェニックス》をリンク召喚できる。
これで《転生炎獣の聖域》を使わずとも転生リンク召喚もどきができ、(1)のサーチ効果が使える。
また《賜炎の咎姫》(3)の破壊効果はそのまま《転生炎獣レイジング・フェニックス》(2)の効果のトリガーにもなるので、
相手が特殊召喚するか《転生炎獣ウィーゼル》で能動的にトリガーを押せば、墓地の《賜炎の咎姫》と《転生炎獣レイジング・フェニックス》を即座に復活できてしまう。
これらは【転生炎獣】向きの運用で、他のデッキで雑に使うなら《揚陸群艦アンブロエール》の方が有用だが、単体でも《世海龍ジーランティス》とのコンボを持つためそちら目当てで使うこともある。

ペンデュラム召喚を強力にサポートする炎属性リンク2モンスター。
このカードの(2)の効果は「名称ターン1制限」ではないため、効果使用後にいったんフィールドを離れて戻った際には再度効果を使用できる。
それを活かし《賜炎の咎姫》《揚陸群艦アンブロエール》の効果で蘇生して何度も(2)の効果を使用できる。

  • 《世海龍ジーランティス》
炎属性…ではない水属性のリンク4モンスター。
リンク4で素材1体以上という変わり種で、上述したリンク4モンスターを素材にしてリンク召喚することとなるが、以下のコンボが実現できる。
  1. 《賜炎の咎姫》と、蘇生したモンスターで上記リンク4モンスターをリンク召喚し、さらにそれを素材に《世海龍ジーランティス》をリンク召喚
  2. 《世海龍ジーランティス》(2)の効果を発動、一旦フィールドのモンスター全て除外し、その後各々のフィールドに特殊召喚する
  3. その特殊召喚をトリガーに《賜炎の咎姫》(3)の効果を発動、お互いのモンスターを1体ずつ破壊し自己蘇生
    (リンク4が《転生炎獣レイジング・フェニックス》であればさらに自己蘇生し、1ショットキル圏内に到達しうる)
  4. お互い横方向のマーカー持ちで相互リンクできるため、《世海龍ジーランティス》(3)の除去効果も発動できる

  • 《灼熱の火霊使いヒータ》
リンク2で相手の墓地から同属性を蘇生してリンク3に繋げられる霊使いシリーズ。
《賜炎の咎姫》は素材指定が緩いので、極端な話ヒータじゃなくても《賜炎の咎姫》への繋ぎやすさは同じと言えるが、【炎属性】では選択肢の一つとして用意しておきたいのは確か。
また、使わなかった場合も《賜炎の咎姫》のデメリット解除手段の保険になる。
相手の《灰流うらら》を蘇生すれば《賜炎の咎姫》へ繋がるので相手からすれば妨害するつもりが逆に塩を送ってしまったなんて事も。

2024年に流行を見せている出張セット。炎属性デッキであれば《賜炎の咎姫》込みで、以下の展開が可能になる。
  1. 【デモンスミス】の基本展開により、召喚権を使わず《永遠の淑女 ベアトリーチェ》とリンク2の《刻まれし魔の大聖棺》を召喚(手順はあちらの記事を参照)
  2. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》(1)の効果で、任意の炎属性モンスターを墓地に送る。
  3. 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》と《刻まれし魔の大聖棺》を素材に《賜炎の咎姫》をリンク召喚
  4. 《賜炎の咎姫》(2)の効果発動、手順2で墓地に送ったモンスターの蘇生
これにより召喚権を残してデッキから任意の炎属性モンスターを特殊召喚でき、展開の起点になる
またこのルートが《灰流うらら》などの単発妨害を吸わせる囮にもなり、本命展開を通しやすくしてくれる。

余談

  • 実はこのカード、紙媒体OCGと遊戯王マスターデュエルでほぼ同時期に実装されている。OCG新規カードの実装はある程度の期間をおくのが通例のマスターデュエルだが、実装パックの「レコード・オブ・ノーブルスピリッツ」がCYBERSTORM ACCESS収録組中心の中、このカードのみ時期をフライングする形で収録されていた。公式でもこれは「初の試み」と喧伝している。
    • そのため、OCGでは炎属性プッシュの波に乗って登場したが、マスターデュエルでは炎属性プッシュに先んじて登場している。
  • それとは別に海外版マスターデュエルのバナーで「画像」だけが、カードプロテクターの商品名で「カード名」だけがバラバラに事前公表されていた。
    この時、そのイラストのモンスターが「賜炎の咎姫」なのだと推測するものも多く、結果その通りであることがカード化によって確定した。


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最終更新:2024年08月18日 05:10