ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム(遊戯王OCG)

登録日:2025/01/04 Sat 00:04:20
更新日:2025/03/25 Tue 19:09:13
所要時間:約 4 分で読めます




ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。
所属カテゴリは【メタルフォーゼ】。
2017年11月25日発売の「LINK VRAINS PACK」が初出で、その後も何度か再録されている。


カードテキスト

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム制限カード
リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
 
リンク2/炎属性/サイキック族/攻1800
【リンクマーカー:左下/右下】
Pモンスター2体
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがL召喚した場合に発動できる。
デッキからPモンスター1体をEXデッキに表側で加える。
(2):1ターンに1度、自分フィールドの他の表側表示カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
その後、自分のEXデッキ(表側)からPモンスター1体を手札に加える。
(3):自分のPゾーンのカードがフィールドから離れた場合に発動する。
自分は1枚ドローする。

概要

第10期の「新マスタールール」施工により、EXデッキからの特殊召喚には著しい制限が課せられることになる。
それを踏まえLINK VRAINS PACKシリーズ(以下、LVP)では、従来のデッキもEXデッキからの展開ができるようなLモンスターを豊富に排出していた。

その中にS召喚担当の《水晶機巧-ハリファイバー》、融合召喚担当の《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》といった、各召喚法を支援するLモンスターもいた。
そしてこの頁で解説する《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》は、それらと同様にペンデュラム召喚(以下、P召喚)担当のモンスターとなる。

とりわけP召喚は他の召喚法と比べても厳しい制約を課せられ、新マスタールールが廃止された第11期以降も据え置きとなっている。
具体的にはEXデッキからP召喚するには、EXモンスターゾーンかLモンスターのリンク先にしかP召喚できない状態が続いている
それだけにP召喚を支援するLモンスターの影響力は計り知れないものとなる。


それでは、そんな重役を背負ったこのカードの内容を見ていこう。

召喚条件は「Pモンスター2体」。
他のLVP出身のLモンスターと比較すると、やや厳しい縛りになる。
このカードをP召喚のために使用する、つまりP召喚の前にこのカードをL召喚する必要があり、以下のいずれかで素材を確保する必要がある。
  • 元々通常召喚する前提のPモンスター(例:《EMドクロバット・ジョーカー》)
  • P召喚に関係なく、自力で特殊召喚できるPモンスター(例:《覇王眷竜ダークヴルム》)
  • カードの効果で複数のPモンスターをフィールドに用意(例:《レスキューラビット》)

(1)はL召喚時に、メインデッキのPモンスターをEXデッキに加える効果。
いわゆる「EX肥やし」効果であり、カテゴリに属さないPモンスターであってもEXデッキからP召喚する手筈を整えられる。
もしくは自身の(2)効果で回収することで実質サーチ効果にもなる。

(2)は自分フィールドのカードを破壊し、EXデッキからPモンスターを手札に加える効果。
主に自身の(1)効果でEXデッキに加えたカードを回収する手立てになる。
額面上は「1:1交換」だが、元々P召喚では自分のカードを積極的に破壊する行為が常態化しているので、破壊を活かした立ち回りも得意である。
この辺りは、全盛期(エラッタ前)の《Emヒグルミ》が分かりやすいか。
単純に「破壊された」時に発動する効果を持つ効果が多いうえに、フィールドで破壊されるとEXデッキに積まれるのでP召喚が捗る。

またこの(2)の効果は、近年のカードでは珍しく「名称ターン1回」の制限では無い。
そのため2枚目以降の《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》をL召喚したり、効果を使った後に一旦墓地へ落として蘇生させれば、再び効果を使用できる。
効果を使うには破壊する側のカードが必要なので

(3)は1枚ドローする効果。
カード消費の荒い【ペンデュラム召喚】には嬉しい効果で、条件も自身の(2)効果で能動的に満たせる。
手札誘発の補充やリソース補填で盤面形成補助などが期待できる。


総じて、【ペンデュラム召喚】を力強く助勢するカードとして仕上がっている。
稼ぐアドバンテージの量もさることながら、1枚で効果の一貫性が高いのもポイント。
(1)→(2)の効果でデッキから任意のPモンスターをサーチしつつ破壊ギミックも遂行、そして(2)→(3)の効果で損失分を補うドローを自然と行える。
P召喚に必要な要素を1枚にまとめ、かつ「素材さえ揃えばいつでも出せるLモンスター」という点も取り回しがよく、P召喚ギミックの安定性に大きく貢献している。

採用デッキ候補

基本的に「ある程度Pモンスターに比重が傾いているデッキなら入れて損は無い」という評価になる。
中には【魔術師】の様に、ルール弱体化を受けてなお入賞させる程の活躍に寄与しており、このカードの優秀さがうかがえる。
ヴァリアンツ【覇王幻奏】【エンディミオン】などの環境レベルにいたPテーマも好んで採用していたことから、その実力は本物。

一方でPモンスターの割合が少ない【超重武者】や召喚制限を持つ【アモルファージ】等では、採用を見送ることもある。
ただし【超重武者】でも「ブレイク・アーマー1キル」狙いの場合、その鍵になる《DDD超視王ゼロ・マクスウェル》をサーチする目的で採用された過去はある。


相性の良いカード

大凡のP召喚デッキならば採用は手堅いため、ここでは個別に相性の良いカードを挙げていく。

  • 《軌跡の魔術師》《奇跡の魔導剣士》
《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》と同じく、P召喚を支援するLモンスター。
いずれも召喚条件は「Pモンスターを含む効果モンスター」と緩く設定されている。
そのため効果を使い終えた《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》を素材にして処分、若しくは妨害を受けて止まったあちらを素材にして仕切り直しも狙える。
またリンク3の《奇跡の魔導剣士》はL召喚した直後にEXデッキのPモンスターを手札に加えられるので、
《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》で破壊したPモンスターも即座に回収できP召喚を迅速に行える点も合致している。

これらの効果を使い果たした場合は《召命の神弓-アポロウーサ》のL素材として処分し、
後は《ヴァレルロード・S・ドラゴン》の装備候補にするなり《アクセスコード・トーカー》の墓地コストにするなりで、最後まで有効活用しよう。

  • 《アストログラフ・マジシャン》
優秀な効果を持ったPモンスターだが、《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》と強固なシナジーを形成している。
【モンスター効果】
(1):自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、このターンに破壊された自分か相手のモンスター1体を選び、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。
1つ目の理由は、このモンスター効果。これで以下の展開が可能になる。
  1. 《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》をL召喚し、《アストログラフ・マジシャン》をEXデッキに加える
  2. 《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》の(2)効果、適当なPゾーンのカードを破壊し《アストログラフ・マジシャン》を手札に加える
  3. この効果処理が終わったタイミングで《アストログラフ・マジシャン》の上述した効果を発動。自身を特殊召喚し破壊したカードと同名カードをサーチ。
    更に《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》(3)効果も発動して1枚ドロー
この流れで《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》L召喚後に場にモンスターを1体、手札を2枚増やしアドを稼いでいる。
手順2でカードを破壊するものの、Pカードには《虹彩の魔術師》など破壊をアドに変える効果も多いためむしろプラスになっている。

【Pスケール:青1/赤1】
このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
このカードを破壊し、手札・デッキから「星読みの魔術師」1体を選び、自分のPゾーンに置くか特殊召喚する。
もう1つの理由は、こちらのP効果。
Pゾーンに居る自身を破壊して《星読みの魔術師》というPモンスターを特殊召喚できる。
これによりP召喚権を温存してPモンスターをフィールドに用意し、《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》の素材にできる。

炎属性モンスターに関する複数の効果を持つお姫様。
《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》を含めて素材にL召喚しつつ、蘇生させてこちらの(2)効果を使い回すのに好都合。
《賜炎の咎姫》の(1)デメリット効果も、《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》(2)効果で破壊すれば解除できるため大した問題ではない。

ハリファイバー、アナコンダとの比較

このカードが稼ぎ出すアドバンテージの量は、かの《水晶機巧-ハリファイバー》《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》に比肩ないし凌駕する。
しかしご存じの通り、この2枚は現在禁止カード指定されているのだが《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》は禁止を免れている。
今か今かと予想を立てる者も少ないが、現時点で禁止を逃れた理由としては以下が推察される。
※ちなみに海外環境では2020年1月20日付で禁止カードに指定されている。
そしてエクシーズ担当の《武神姫-アハシマ》はよく忘れられている。


・関係ないテーマへの「出張」が無い
例えば《水晶機巧-ハリファイバー》の場合、本来の狙いである「S召喚の補助」を超え「L素材の頭数を素早く揃える」という目的で、S召喚という枠を超え様々なデッキで活躍した。
そして《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》も「展開の〆に強力なモンスターを融合召喚する」目的で、融合召喚という枠を超え様々なデッキで活躍した。

ただし《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》はこの辺りの事情が異なり、P召喚をしないデッキへの「出張」は現実的ではない。
稼げるアドバンテージは多いが、P慣れしていないデッキに無理矢理Pギミックを詰めてもデッキスロットの圧迫や事故などの問題が生じる。
そのため「P召喚の枠を超えて」採用するのは難しい。

・新マスタールール廃止後も続く枷
S召喚と融合召喚は新マスタールール廃止に伴い、第9期以前と同様の規定に戻されている。
それはつまり、この2枚の「新マスタールールに合わせた救済」という役目を終えたことを意味している。
一方でP召喚については、これまでも述べた通りで、引き続きLモンスターが不可欠な存在となっている。
つまり《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》が「不可欠」の状況は依然として続いているというわけである。
もし《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》が禁止になればP召喚テーマが完全に滅びてしまうのでは、という極端な推測も存在するほどである。

・P召喚そのものの欠点
そもそもの話として、現環境におけるP召喚そのものの逆風も無視できない。
P召喚は他の召喚法と異なり「素材を並べてさらなる大型召喚に繋げる」ためのものだが、それでありながら《次元障壁》に引っかかってしまう。
またPゾーンを狙って潰せる《クシャトリラ・シャングリラ》【スネークアイ】、Pカードをスケールに置くことすら許さない《ナチュル・ビースト》《原罪のディアベルゼ》《ライゼオル・デッドネーダー》等、P召喚デッキの仇敵となるカードが特に多い。

余談

「エレクトラム」とは、銀を20%以上含有する金「琥珀金」のことである。


追記修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 炎属性
  • サイキック族
  • リンク2
  • 制限カード
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • リンクモンスター
  • ペンデュラムモンスター
  • セルフ破壊
  • ドローソース
  • LVP新規収録カード
  • メタルフォーゼ
最終更新:2025年03月25日 19:09