第12期パック(遊戯王)

登録日:2025/05/15 Thu 19:20:20
更新日:2025/05/16 Fri 22:45:01NEW!
所要時間:約 22 分で読めます





本項目では、2023年4月から2025年3月にかけて展開された遊戯王OCGのレギュラーパックのシリーズを取り扱う。


前期:第11期
次期:第13期


概要

様々な点で激動の幕開けとなった第11期とは異なり、大きなルール変更などを伴わない平穏な開幕となった第12期。
そしてこの期をもって遊戯王が25周年を迎え、東京ドームにて開催された「遊戯王デュエルモンスターズ 決闘者伝説」を筆頭に様々な催しが為された。

収録カードの傾向は引き続き「OCGオリジナル」及び「既存テーマの強化」となっている。
アニメ登場テーマの新規カードの内容として「アニメ展開のIFを描いたカード」「アニメの名シーンを再現したカード」「既存のテーマカードと上手く合致するカード」など、アニメテーマに理解のある新規が多いのも特徴。

第12期以降の変更点としては、以下の通り。
  • 新種族:幻想魔族が登場。これに際して汎用枠の幻想魔族モンスターが前半期に複数収録されている。
  • テキストの整備、より文字数が少なく分かりやすい表現になっている。
  • パック価格が165円(税込)から176円(税込)へ値上げ。

環境面では「2022年の問題児」の生き残り、及び11期最後のパックで強化された【超重武者】【ピュアリィ】が環境に台頭。
そうした「置き土産」等に立ち向かってゆくのであった。


なお第11期後半から苛烈なインフレが発生したためか、本期においても大胆なカードパワーの底上げが確認される。
展開力と制圧力の向上は言うに及ばず、以下の通りのデッキが(デッキビルドパック産を含め)多数確認されている。
  • 「単純なテキストは強い」ではなく「強い効果を沢山詰め込んだカードが強い」と言わんばかりの、テキスト一杯に効果を積載させる実力強化
  • 自分のカード・アドバンテージ(リソース)を稼ぐ能力の増加
  • 主要な手札誘発を受けても「物量に物を言わせ展開を強行」「妥協盤面へ軌道修正」「相手ターンに展開を持ち越し実質無力化」など対策力の向上
    逆説的に「手札誘発に弱い」は普遍的な欠点では無くなり、歴然とした「格差」として生じている
  • 「1ターン目で盤石の制圧盤面を築いて終わり」とならず、制圧効果を継続して立たせられる継戦能力の上昇
またこの時期で遊戯王25周年を迎える吉事に合わせた収録がレギュラーパックにもなされている。
それぞれのパックにて「25」に関する数字の効果を持ったQuarter Century Secretレアのカードが収録。
更に第12期最後のパックでは、攻撃力及び守備力が2500のモンスターに関するテーマ【リジェネシス】も登場している。



1年目

1年目を通した傾向としては、炎属性及び炎族の強化カードが目立つ。
レギュラーパックの収録品、そして同じ時期に発売した「ストラクチャーデッキR-炎王の急襲-」やアニクロ2023の《篝火》など、炎カードを強化する内容が多い。
また、前期のストーリーテーマ【烙印】の直接強化はないものの、その世界観が描かれたカードが各パックに1枚ずつ登場している。


 DUELIST NEXUS 
2023年4月22日発売。
パッケージを飾るは《コズミック・クェーサー・ドラゴン》。
新テーマは【有翼幻獣キマイラ】【焔聖騎士】【焔聖剣】【ヴィサス】【シンクロ】。
既存の強化テーマは【オルターガイスト】【マナドゥム】【聖騎士】【ネムレリア】【エヴォル】【破械】【R-ACE】等。
種族の面で見ると、恐竜族を強化するカードも多く収録されている。


アニメファンからの反響が大きかったカードの1枚が《赤き竜》である。
本編では幾度となく「タクシー」もとい主人公たちに力を貸していた伝説の竜がまさかのカード化。
それまでは似て非なる存在として、漫画版5D’sの《アルティマヤ・ツィオルキン》がいたのだが、今回正式に「赤き竜」として登場。
効果についても「シグナーの竜」及び「決闘竜」に関連しており、ドラゴン族SモンスターをS召喚扱いで特殊召喚できるものになっている。
その結果、【マナドゥム】【センチュリオン】にて相手の後攻1ターン目に《琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ》を強引にS召喚し相手を封殺する方法を確立。
これ一強とまではいかなかったものの、ゲーム性を欠いたと判断されたためか、後に《琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ》が禁止カードに指定されるに至る。
これではタクシーではなく囚人護送車である。

同じ5D’s繋がりの話題として、《レボリューション・シンクロン》を挙げる。
龍亞が使用する《パワー・ツール・ドラゴン》を模したモンスターで、「手札からS素材になれる+自己蘇生可能なチューナー」という特徴を持つ。
目を付けたのが【ティアラメンツ】で、度重なる規制により墓地肥やし手段を失った補填手段に《混沌魔龍 カオス・ルーラー》を、そしてそのS召喚に《レボリューション・シンクロン》を用いるようになった。
これにて一度は環境に復帰するという恐ろしい執念を見せたのだが、これが契機となって《混沌魔龍 カオス・ルーラー》が禁止カードになることとなった
開始早々物騒な話題に事欠かさない。

原作でも闇遊戯が使用した《有翼幻獣キマイラ》のリメイクテーマも登場。
《合成獣融合》による融合召喚と、それを支援する数々のカードで構成されたテーマとして仕上がっている。
本パックから登場した幻想魔族モンスターも取り入れており、デッキの回転と妨害、そしてアタッカーという大役を一通り担わせている。
深淵の結界像》を始めとした相性の良い悪魔族・獣族カードと共に、環境でも一定の成果を保っていた。

度々やられ専門の雑魚モンスターとして醜態をさらしていた百獣王(笑)がついに覚醒したのか、《百戦王 ベヒーモス》としてリメイク登場を果たした。

本パックのCMナレーションは不動遊星役の宮下雄也氏が担当。


 AGE OF OVERLORD 
2023年07月22日発売。
パッケージを飾るは《覇王天龍オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン》。
新テーマは【スネークアイ】【罪宝】【ホルス】。
既存の強化テーマは【覇王門】【魔術師】【覇王眷竜】【TG】【エレキ】【VS】【霊魂】【溟界】等。

黒魔女ディアベルスター》を主役にした「罪宝」物語が開始したパック。
主役の《黒魔女ディアベルスター》は便利な自己特殊召喚効果と、「罪宝」カードを何でも確保する将来性・拡張性の高さからさっそく注目を集める。
特に炎属性版《ワン・フォー・ワン》の効果を持つ《原罪宝ースネークアイ》が早速評価され、【罪宝R-ACE】等のデッキが早々に考案されている。

その一方で罪宝ストーリーテーマ第一弾の【スネークアイ】だが、この段階では「カード消費が多く制圧力に乏しい」という今一つな評価となっていた。
このテーマの本領発揮は、次パック以降の強化までお預けとなる。

「ホルス」テーマは、従来の「ホルスの黒炎竜」群とは異なり、《王の棺》とそこから出現するレベル8のカード群として登場。
召喚権を必要としない展開効果から出張採用も目立ち、一定の存在感を放つようになる。

そしてパッケージを飾る通り、【覇王】関係のカードにも大幅な強化がなされている。
《覇王門の魔術師》などの新規カードにより、P召喚テーマでありながら初動手札の枚数と事故率の削減に成功。
さらに《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》《軌跡の魔術師》に次いで、P召喚を補助する《奇跡の魔導剣士》の登場で、新マスタールール以降の弱体化を補う手立ても万全。
これにより【覇王魔術師】、また後に【幻奏】が強化された際には【覇王幻奏】というアニメ本編を踏まえれば非常にエモいデッキが成立している。
名題役者の《覇王天龍オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン》も、ズァークが闇から解放され観客を楽しませる「エンタメデュエリスト」に生まれ変わったことを思わせる性能になっている。

【TG】についても、アニメ再現と強化を兼ねた収録が目立つ。
それまでは「展開力はそこそこあるものの、それ以外がパッとしない」評価ではあった。
しかし終着点として定められる《TG グレイヴ・ブラスター》《TG-クローズ》は制圧性能だけでなく、アニメにおける《TG ハルバード・キャノン》を強く意識したものであり、ファンアイテムとしても良質。
制圧面だけでなく《TG オーバー・ドラグナー》《TG-オールクリア》で今まで以上の展開力、《TG ロケット・サラマンダー》という初動札も確保。
なお《TG-オールクリア》の効果は「機械族にする」なので、「機械族としても扱う」原作効果の完全な再現とはならなかった。
それまでは噂レベルの憶測だったが、「複数種族持ちモンスターを出さない」姿勢が浮き彫りになり、謎が一つ増えることとなったのはまた別の話。

汎用カードとして決闘者の度肝を抜かしたのは《S:Pリトルナイト》。
緩い素材縛りに見合わぬ強力な除外効果から数多くのデッキで使用され、使われる側も使う側も驚愕するのであった。

本パックのCMナレーションは榊遊矢役の小野賢章氏が担当。


 PHANTOM NIGHTMARE 
2023年10月28日発売。
パッケージを飾るは《ユベル-Das Ewig Liebe Wachter》。
新テーマは【ユベル】【百鬼羅刹】【粛声】【ホワイト・オーラ】。
既存の強化テーマは【スネークアイ】【RR】【ゴーティス】【マジェスペクター】【アロマ】等。
また「三魔神」関係のカードも収録。

大々的に脚光を浴びたのは【ユベル】関連の新規カード。
アニメ遊戯王GXでは強い存在感を放ちながらも、OCGでは《E•HERO ネオス・クルーガー》を最後に収録が途絶えていた。
作中で彼女が使用したカード、及びアニメ描写を落とし込むことで「ユベル」関連カードとしてリメイクしている。
これにより【ユベル】の破壊手段と展開手段の確保に成功。
この後に登場する《ナイトメア・スローン》《ファントム・オブ・ユベル》も合わせ、一躍環境デッキへ進化してするのであった。

また前段から登場した【スネークアイ】にも有力なカードが収録。
アドバンテージを稼げる《蛇眼の炎燐》や、【炎属性】の多くを助力する《賜炎の咎姫》の登場により、デッキとしていよいよ完成されていく。

概要欄でも触れたが、【ティアラメンツ】の登場から夙に広まった価値観として「1ターン目の盤面形成能力」のみならず「妨害貫通力」「継戦能力」も重要視されている。
【スネークアイ】はその点も優れており、複数ターンにわたってリソースを確保する持続力と、複雑ながらも誘発を受けた際のサブプランを持つ妨害貫通力を兼ね備えている。
これにより潤沢に物量を確保し、Lモンスターや《ヴァレルロード・S・ドラゴン》などで制圧する構えを確立している。
こうして【スネークアイ】及び【罪宝R-ACE】【罪宝炎王】として長い期間環境の常連となる。

更には【粛声】も、サーチとサルベージ効果を多く備えた儀式召喚テーマとして抜群の安定性を発揮。
展開回数が少ないため誘発受けが良いという利点を持ち、やはり環境の一角を争うこととなった。

他にも《嗤う黒山羊》《鉄騎の雷鎚》といった枠やデッキが噛み合うならば採用したい罠カードも揃っている。

この通り、環境レベルで戦うデッキを多数輩出した強力なパックとなっている。

また【RR】の新規《RR-ライジング・リベリオン・ファルコン》はOCGオリジナル初にしてZEXAL以外初のランク13のXモンスターとして登場し、OCGタイムズで発表された際は多くのデュエリストの度肝を抜いた。

なお前期の「DIMENSION FORCE」から展開されていた「世壊」ストーリーカードだが、本パックの《幾星霜》を最後に収録が途絶えており話がお終いになったものとされている。

本パックのCMナレーションは遊城十代役のKENN氏とユベル役の鶴ひろみ氏が担当。
なお、発売時に鶴氏が鬼籍に入っている都合上、ユベルのボイスは過去ゲームでのボイスを使用したライブラリ出演となってる。


 LEGACY OF DESTRUCTION 
2024年01月27日発売。
パッケージを飾るは《破壊竜ガンドラG》で、武藤遊戯の使用カードをリメイクした【光の黄金櫃】の顔となるモンスターである。
新テーマは【蕾禍】【天盃龍】。
既存の強化テーマは【古代の機械】【幻奏】【ライトロード】【ユベル】【GP】【センチュリオン】【ヴァルモニカ】等。

《光の黄金櫃》は《封印の黄金櫃》のリメイクにあたり、上記の通り原作で遊戯が使用したカードを関連カードとさせることで1つのデッキとして成立させている。
なのでカテゴリではなく、「《光の黄金櫃》と、それを名指しするカード群の集まり」という格好になる。

罪宝物語では、新たな登場人物として《原罪のディアベルゼ》が登場。
「《黒魔女ディアベルスター》に仇なす存在、と思いきや……?」な立ち回り、また単体で強めの妨害効果を持っていることにも注目が集まる。
また幻想魔族繋がりの話題として、幻想魔族をサーチする種族サポート《幻惑の見習い魔術師》も登場。
幻想魔族という種族パワーの向上、並びに耽美な容姿から多大な支持を集める。

本パックで最も環境に大きな影響を与えたカード群は【天盃龍】。
知る人ぞ知る脳筋ドラゴン《トライデント・ドラギオン》をリメイクした麻雀由来のテーマとして新登場。
遊戯王で珍しい後攻ワンキル特化テーマであり、ダメージ半減デメリットが付く《金満で謙虚な壺》を使っても余裕で1ターンキルを狙えるという馬鹿力が特徴。デメリットの踏み倒し方が斬新すぎる。
「戦闘を介してバトルフェイズ中に展開する」と書けば弱く感じるかもしれない。
しかし強力な耐性を炎属性・ドラゴン属全員に付与する《盃満ちる燦幻荘》、手札誘発や後攻捲り札を多く採用できる軽デッキスロット、
そして「バトルフェイズ中に動く」独特の挙動による誘発避け*1の特徴から、前評判以上の強さを発揮する。

その他の注目カードはランク10の《終戒超獸-ヴァルドラス》。
そもそも「制圧力」が致命的に欠けていたランク帯に颯爽と登場した「汎用的な制圧効果を持つ」カード。
既存のランク10を扱える【列車】【ネムレリア】や、後の【竜華】などでも注目される存在となる。

その他、《死霊ゾーマ》をリメイクした《地縛死霊ゾーマ》も収録。
原作でコンボした《地縛霊の誘い》を意識した名前と攻撃強制効果を持っており、リメイク元とは互いに差別化されたカードとなっている。
だが、その名称から関係が無い「地縛」のカテゴリに属することとなってしまった。
といっても「モンスターカード状態」の時のみカテゴリに含まれあちらの融合素材になれるという程度。

本パックのCMナレーションは武藤遊戯役・闇遊戯役の風間俊介氏が一人二役で担当。


2年目

この時期には「タクティカルトライデッキ」も発売され、新規層を積極的に取り込む姿勢がみられる。
また発売後のレギュラーパックには、タクティカルトライデッキを意識したカードも複数収録するなど、スムーズにパックを購入してデッキを試す流れを整備している。

一方で環境面ではここで登場したテーマや、デッキビルドパック産の【ライゼオル】【M∀LICE】が高いシェアを維持するなど、禍々しいインフレの発生を示している。

 INFINITE FORBIDDEN 
2024年04月27日発売。
パッケージを飾るは《幻の召喚神エクゾディア》。
新テーマは【千年】【ミレニアム】【白き森】【デモンスミス】。
既存の強化テーマは【ギミック・パペット】【ドライトロン】【マドルチェ】等。
また《光と闇の竜》関連のカードも収録されている。

強化テーマの中でも、【ギミック・パペット】の話題性は大きいものがあった。
使い手本人を模した《ギミック・パペット-ファンタジクス・マキナ》や、アニメの名シーンをイラストにした《傀儡遊儀-サービスト・パペット》など、斜め上のアニメ要素採用で注目と笑顔を掻っ攫う。
ネタに留まらず、展開力の向上と能動的にモンスターを送りつけた上で破壊+効果ダメージに繋げるビートバーン戦法を確立。
何より今回の強化は、アニメにも登場した既存ギミック・パペットXモンスターを戦術に組み込んだ内容となっており、アニメカードの上手い活かし方として評価されている。
純粋な【ギミック・パペット】だけでなく前述の【ホルス】との混合構築により大会でも結果を残しており、アニメテーマ強化の中でも特に評価が高い。

それまで宣告者などとの混成が中心だった【ドライトロン】だが、本パックの強化では混ぜ物をしない純粋な【ドライトロン】を前提とした強化と制約を齎されている。

既に環境に頭角を見せていた【天盃龍】にも、展開手段を拡張する《幻禄の天盃龍》《ドラ・ドラ》が追加。
1枚初動の手立てをより増やし、1ターンキルの成功率がさらに上昇している。

デッキを選ばない汎用枠としては《影法師トップハットヘア》が話題を呼んだ。
罠モンスターを支援する本来の使い方も更なり、「手軽にEXデッキから出せる幻想魔族モンスター」という用途から、【白き森】など幻想魔族モンスターを条件とするカード/デッキで用いることも可能。
勿論、展開中に相手から妨害を受けた時の妥協着地点としても機能する。

そしてこのパックで外せないカードと言えば新規テーマ【デモンスミス】。
詳細はあちらの項目に載っているが、召喚権を使わずリンク4相当及びリンク2を残しランク6をX召喚できる出張ギミックとして大流行。
これまでの出張セットと異なり「素引きしたら困るカード」が無く、デモンスミスカードを引けなくても効果モンスターを3体並べることでデモンスミス展開を始動できるため、安定性も桁違いに高い。
出張でなくとも、フリーチェーンで毎ターン2枚までカード効果を無効+対象耐性持ちの《刻まれし魔ディエスイレ》も手札1枚から降臨でき、優秀な制圧役として働いていた。

あまりに優秀な内容だったために、環境では急激急速に浸透し【炎属性】【悪魔族】系統をはじめ様々なデッキに引っ張りだことなる。
そして「ランク6出張」でX召喚筆頭の《永遠の淑女ベアトリーチェ》が同年10月の制限改定で禁止カードに指定されるにまで発展した。

なおこのパックでは、既存の手札誘発に対する競合カードが何枚か収録されている。
登場当時から「《増殖するG》規制の伏線」と話題になった「マルチャミー」シリーズも、このパックが初出。
急先鋒の《マルチャミー・プルリア》は範囲の狭さ、上述する【デモンスミス】への効きの悪さから当時はイマイチな評価に留まる。
また《灰流うらら》と同じ効果を手札から発動する罠カード《聖王の粉砕》も登場。
墓穴の指名者》を回避するなどの利点もあるが、著しくデッキを選ぶ制約を持つためやや難しい評価となっていた。
とはいえこれらのカードも、時期が経過するにつれて少しずつ採用例が増加している。

本パックのCMナレーションは武藤双六役の宮澤正氏が担当。


 RAGE OF THE ABYSS 
2024年7月27日発売。
パッケージを飾るのは《CNo.32 海咬龍シャーク・ドレイク・リバイス》。
新テーマは【シャーク】【アザミナ】【メタル化】【原石】。
既存の強化テーマは【B・F】【Em】【魅惑の女王】【海皇】【水精鱗】【六武衆】【霊使い】【百鬼羅刹】等。

前の期に登場した「デュエリストパック-深淵のデュエリスト編-」にてナッシュのカードを収録したためか、今回は神代凌牙としてのカードを収録。
  • 原作の自己特殊召喚効果をようやく再現した上で有益なサーチ効果を持つ《浮上するビッグ・ジョーズ》
  • アニメ・漫画版で幾度となく登場しながらも幻の効果とされた「2体分のX素材になる」効果をようやく現実にした《ドレイク・シャーク》
  • 転落の仕儀を忠実に再現した《傀儡流儀-パペット・シャーク》
といった、原作再現に特に重きを置いた内容になっている。
それだけでなく前者2枚は召喚権を使わずにレベル4を2枚場に揃えられるため、各種素材として用いるにも有益。

【メタル化】は原作で城之内バンデット・キースが使用したカードをリメイクしつつ原作の戦闘シーンを模したカードを多く収録。
そのため一部では城之内とキースの友情の結晶とも揶揄されている。

融合召喚テーマの【アザミナ】は初の幻想魔族統一テーマであり、罪宝カードをモンスターの代わりに素材にする斬新な召喚方法を持っている。
そのためこの時点ではメインデッキ側にモンスターカードが無い状態で収録された。
効果についても、万能無効効果を持つ《背信聖徒シルヴィア》を《罪宝の欺き》1枚から出せるなど性能は高く、出張デッキとして名を馳せる。
同じ罪宝カードを要する【スネークアイ】や単純にパワーの高い【デモンスミス】と悪魔合体を果たし、強デッキとして君臨。

その【デモンスミス】にも強力な新規カードが収録。
特に《紅涙の魔ラクリモーサ》の登場は大きく、《魔を刻むデモンスミス》を素引きしていない場合の展開始動条件を「効果モンスター3体を並べる」から2体へ減らし、更なる安定性の向上に貢献。
元々デモンスミスを使っていたデッキは勿論、このハードル低下からさらに多くのデッキで採用できるようになる。

前弾から続いて登場した二枚目の「ドミナス」として《霊王の波動》が登場。
発動した「モンスターを特殊召喚する効果」であればカードの種別を問わず無効にできるという、手札誘発としては初の無効化範囲を持って登場。
やはり「ドミナス」カードとしてデッキの属性縛りがあるものの、それをクリアできるデッキであれば優先的に採用されるに至る。

なお「PHANTOM NIGHTMARE」から本パックまでの4回連続で【メメント】の新規カードが収録されている。
いずれも既存のメメントには成しえない役割を持った有能ぞろいであり、度々環境で顔を出す程に「記憶に残る」テーマとなった。
同じデッキビルドパックの【センチュリオン】【ヴァルモニカ】共々、多くの収録機会に恵まれている。

本パックのCMナレーションは神代凌牙役の増田俊樹氏が担当。


 SUPREME DARKNESS 
2024年10月26日発売。
パッケージを飾るは《E-HERO ネオス・ロード》。
新テーマは【ARG☆S】【アクア・ジェット】【ディアベル】。
既存の強化テーマは【E-HERO】【SR】【アルカナフォース】【マテリアクトル】【水晶機巧】【剣闘獣】【原石】等。

カードの枚数自体が多くなかった【E-HERO(イービルヒーロー)】に多くのカードが収録。
元々同テーマが「結城十代のカード達が闇堕ちした姿」というコンセプトでもあり、今回はそれに倣い他のE・HEROカードも闇に堕ちたifの姿として登場している。

そして大きな話題になったのは【マテリアクトル】。
詳細はあちらの項目に譲るが、枚数が少なすぎてカテゴリとして成立しない有様で長いこと放置された、不遇のテーマとして一部界隈で有名だった。
此度のパックにて「X素材を循環させるランク3のドラゴン族テーマ」として成立させるだけの新規を会得、漸く永久の原子炉が稼働した。

前パックで登場した【原石】には、《原石竜アナザー・ベリル》なる助っ人が追加参戦。
自力で墓地からサルベージできる点も含め継戦能力が高く、通常モンスターサポートというコンセプトに大きく貢献。
特に近い時期にストラクで強化された【ブルーアイズ】と共謀した【原石青眼】として、原作コンビデッキとして強力にまとまっている。

環境への影響が大きかったのは《蝕の双仔》。
ランク4特化の【ライゼオル】を意識した新規カードだが、革新的な要素を持っている。
第一に、ランク4モンスターを素材に使えるので、効果を使い終えたランク4を棒立ちさせずに済む。
第二に、墓地へ送られるとランク4を素材持ち状態で復活させるがとができる
これは《蝕の双仔》を復活させたXの素材にしてもよく、またどこから墓地に送られても発動できる。
そのため《ライゼオル・デッドネーダー》が「自力でサクリファイス・エスケープでき、即座に復活できるエース」となってしまった。
元々環境テーマとして目されていたところに追加されたため、その強さに拍車がかかりそれまで以上のシェアを誇るようになる。
そして【ライゼオル】の突破難度の高さを揶揄して「デドハラ」なる単語も新たに誕生した。

発売日がハロウィンに近いため、《イタズラの大精霊ハロ》《お菓子の大精霊ウィーン》という可愛らしいカードも収録。
季節ネタのためか、ほぼ同時期にマスターデュエルにも実装されている。なぜか《Trick or Treat!》はハブられたけど

本パックのCMナレーションは覇王十代役のKENN氏が担当。


 ALLIANCE INSIGHT 
2025年1月25日発売。
パッケージを飾るは《アコード・トーカー@イグニスター》。
新テーマは【リジェネシス】【征竜】。
既存の強化テーマは【@イグニスター】【紋章獣】【ARG☆S】【マテリアクトル】【竜華】等。
また《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》を名指しする、龍可の使用カードをリメイクしたカードも収録されている。

6属性全てを包括する【@イグニスター】であったが、今回は劇中で遊作が使った闇属性カードをリメイクした新規カードとして収録。
そのためカードも全て闇属性となっており、遊作とAIの和合(アコード)を特に強調していることがわかる。

【リジェネシス】は攻撃力か守備力が2500のモンスターに関連した効果を持つテーマ。
まさに遊戯王25周年を迎えた第12期の最後を飾るに相応しいテーマと言えるだろう。
堅実な展開と妨害効果を兼ね備え、一部では「でかい【スプライト】」とも呼ばれている。

【光の黄金櫃】からは、満を持して《魔術師の弟子-ブラック・マジシャン・ガール》が登場。
遊戯王を代表するアイドルカードであり、また《光の黄金櫃》をサーチする効果を引っ提げている。
サーチ面の弱さを弱点としてしばしば指摘された同デッキにとっても、「遊戯デッキ」というコンセプトにとってもこれ以上ない新規と言えよう。

【紋章獣】の新規は展開力と回転力の向上は当然ながら、トロンが使用したXモンスターの原作再現に力が入っている。
No.8 紋章王ゲノム・ヘリター》が所有していた「相手モンスターの名前を書き換える」効果を再現し、
更に《No.69 紋章神コート・オブ・アームズ》のリメイク版でアニメ版効果を再現しつつ名前を奪われたモンスターの効果を無効にする制圧手段も確保。
まさに劇中のトロンの発言「名無しさん、潰れちゃいな!」を変則的ながらも再現しており、秀逸なファンアイテムとなった。
トロン一家ではV兄様のカード強化を残すこととなったが、それはいつになるのだろうか……。

タクティカルトライデッキに収録された【サイバー・ドラゴン】【イビルツイン】【黄金卿エルドリッチ】には、直接的なサポートカードが新たに収録。
特に【黄金卿エルドリッチ】には《黄金郷のアンヘルカイド》《貴き黄金郷のエルドリクシル》という強力なカードが追加。
前者はそれまで「出せればそこそこ強いが、出す手立てが弱い」とされてきた《黄金狂エルドリッチ》の召喚難度を大幅に下げ、メインデッキ側の枠を圧迫しないギミック。
後者は除外された「黄金郷」「エルドリクシル」を回収してリソース回復に勤しむギミック。
いずれも【黄金卿エルドリッチ】に望まれていたカードであり、激動の2022年によって転落した同デッキが環境に復権する切っ掛けにもなっている。
他にこの前月に発売された「QUARTER CENTURY TRINITY BOX」を踏まえてか、【オルフェゴール】【ドラゴンメイド】【P.U.N.K.】を意識したカードも見受けられる。

既に環境2トップの立場を得た【ライゼオル】【M∀LICE】にも、強力な新規が追加。
前回の改定で間接的な弱体化がなされたものの、それを払拭するかの内容となっている。規制をかけた意味とは……?
それぞれ「テーマ内の魔法・罠カードへアクセス手段増加」「妨害貫通と妨害・展開手段の増加」という順当な内容であり、ますますトップの立ち位置を確固たるものにしている。
その代償として、両デッキは発売後の2025年4月の制限改定にて展開の要と重要カードをまとめて制限カード送りになってしまう。
特に【ライゼオル】はここでの規制が致命傷となり、妨害貫通力を落としたことで王座から退くこととなる……はずだったが、13期の「オノマト」強化を受けたことで再び環境の下位層に食い込む執念を魅せた。
その後の環境は【M∀LICE】、および同じくデッキビルドパック産の【ドラゴンテイル】【ヤミー】【K9】達を中心に、様々なデッキが入り乱れることとなる。

汎用枠としては、《械刀婪魔皇断》が耳目を集めた。
EXデッキに余裕のあるデッキがその強みを生かした後攻捲り札として、一定の存在感を持つようになっている。

本パックのCMナレーションは藤木遊作/Playmaker役の石毛翔弥氏とAi役の櫻井孝宏氏が担当。


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最終更新:2025年05月16日 22:45

*1 メインフェイズにしか発動できない《エフェクト・ヴェーラー》、ダメージステップでは発動できない《灰流うらら