JOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN

登録日:2025/01/09 Thu 19:24:44
更新日:2025/01/19 Sun 17:46:00
所要時間:約 6 分で読めます




概要

JOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVENとは、『ジョジョの奇妙な冒険』連載25周年記念企画「VS JOJO」の第2弾として発表された作品。
ジョジョ1部、そして3部のラスボスであるディオ・ブランドー/DIOの手記という体で書かれた小説である。
作者は<物語>シリーズで知られる西尾維新。
西尾維新の独特な癖はほぼ存在せず、一貫して原作のDIOらしい語りが維持されている。


DIOの手記が復元された経緯

正史における『「DIOの手記」の原本』は、その内容を見た空条承太郎によってすでに焼き捨てられている。
そしてこの作品における「DIOの手記」は、承太郎がホワイトスネイクに記憶DISCを奪われ昏睡している間、スピードワゴン財団の者が蘇生の一助にならないかと考えて復元を試みたものである。

手記は複雑な暗号で記されており、復元者の解釈も含まれるため、この『復元された手記』の内容はあくまでも「多様な解釈のひとつ」に過ぎない。


主な登場人物

手記の内容はディオ・ブランドーとしての半生と、DIOとしての活動及びジョースター・エジプトツアー・御一行様がカイロに来るまでの諸事そして『天国』へ行く方法をまとめたもの。

DIO

手記の著者。屋敷の中にまで承太郎一行が侵入してるのを知っても日記を書き続ける筆まめ吸血鬼。
父親と「人間をやめる」前の自身を『奪う者』、母親を『与える者』、ジョースター家を『与えられ、受け継ぐ者』と定義し、全て嫌っていた。
特にジョナサンに対しては「こんなボンボンの甘ちゃんがいるのか」と初対面から軽蔑している。
ブランドーやジョースターの姓を忌避し『DIO』となってからはそのどれでもない『捨てる者』を密かに目指していたのだが、結果は……。

ジョナサンが一~二週間ほどで波紋を身につけて殴り込みに来たり、ウインドナイツロットになんか知らない波紋使いが来たり、ジョースター一行に差し向けた刺客が次々と撃破されていくことには、愚痴ったり呆れ返ったりしている。
特にエンヤ婆が正気を失った時は組織をどうすればいいのかとゲンナリした。
「ストリートファイトもスタンドバトルも結局は数の勝負なんだから能力を隠そうとして一人ずつ行かせるのは……いやしかし自分も隠してるしなァ~……」とか悩んだりもしている。
DIO直轄のスタンド使い「エジプト九栄神」を集めた時も同様だった。

何人か子供を作っているが、いずれも『天国』に到達する道具とするため、孕ませる相手は意図的に性格の悪い女を選んでいた。
そのほかディアボロや野良時代のイギーについても存在だけは知っている。

三部になってから一回も使ってない気化冷凍法や空裂眼刺驚も日記で言及しており、
ジョナサンの肉体が馴染んでないので制御が難しく、そもそも物理攻撃が通じないスタンドバトルじゃあんま意味無いと思っている。

ディオの母親

地獄のように荒んだ貧民街において幼いディオに倫理観や礼儀作法といった教育を施したり、ダリオを咎めるなど真っ当な人物。
だがそれ故にダリオから激しいDVを受け、周囲からも嘲笑の的になっていた。
ディオを咎める際、何かにつけ『天国』という言葉を口にしており、これがDIOに多大な影響を与えることに。
DIOは「感謝なんてしたことないけど、今にして思えば母親の教えはありがたかった」と振り返っている。

ダリオ・ブランドー

そんな貧民街のクズ親父。幼いディオ少年にとっては母親より彼の方が正しく憧れだったが、母が亡くなり自身も成長するにつれ鬱陶しい存在になっていった。
しかし直接殺すのは世間体が悪いため、原作同様病気に見えるよう毒殺し『最初のパン』とする。
「なんてことない気分で殺したが、なんとなく『天国』に行けるような気がした」と考える一方、彼の遺した手紙がジョージ・ジョースター卿毒殺未遂が露見する決め手になった時には、その父親に嘲笑われているようでとてつもなく不愉快だったと回想している。

エンヤ・ガイル

3部の時代におけるDIOの腹心。「正義」のタロットの暗示を持つスタンド使い。
シェルターの中から100年ぶりに蘇ったDIOだったが、大西洋のど真ん中で食事をしたためボートの操縦方法などもわからず漂流する羽目になった。
そんなDIOを救ったのが彼女であり、以降も組織の運営に欠かせない存在となった。
しかし息子J・ガイルが死んだことを知って錯乱、DIOは肉の芽を埋め込んでまで精神を安定させようとしたがあまり上手く行かなかった。
そして勝手にジョースター一行の始末に向かい敗北したため、DIOはやむなく鋼入りのダンに始末するよう言い渡す。
組織の中核であったエンヤ婆がいなくなった影響は大きく、特にタロットの暗示を持つスタンド使いは全員エンヤ婆の部下だったためDIOにもどうすることができなくなってしまった。

「ホリィを殺してエジプトに空輸し血を吸うのはどうか」というDIOのテンションもブチ上がる素晴らしく下衆な提案もしているが、DIOは却下した。
実際にやったらエリナを傷つけた時やジョージを殺した時にジョナサンが爆発したように、承太郎やジョセフをどれほど怒らせていたかわからないからである。触らぬ神に祟りなしとはこのことだ。
けど最後は追いつめられてついジョセフの血を吸って挑発までしちゃった。子安の言う「まるで成長していない」とはまさにこれである。
ド外道すぎる悪女っぷりにはDIOからの評価も高く、エンヤ婆がもっと若ければ子供を作ってもいいと日記にも書いている程である。

ガイル親子がなぜ「両腕とも右手」なのかも、実はDIOが遠因。

ダニエル・J・ダービー

エジプト九栄神の一柱「オシリス神」の暗示を持つスタンド使い。
『心から信頼できる友』にはならかったが、魂を操る「オシリス神」の存在が「『天国』に行く方法」に思い至る発端になった。
『天国』に至れる候補として、プッチの次に期待している。ちなみに弟のテレンス・T・ダービーはその次。
魂をチップに出来る限界は10枚。

ボインゴ

「トト神」の暗示を持つスタンド使い。
絶対の予知ができることに興味を持って自分が死ぬ未来が見えたらどうするか聞いたら、「『覚悟』ができる」と返された。
これにより「『天国』とは『覚悟』する『未来』」という仮説を立てるに至った。

ホル・ホース

「皇帝」のタロットの暗示を持つスタンド使い。
協調性という他にない能力を持つ彼のことは非常に高く評価しており、ジョースター一行にも肉薄するだろうと考えていた。
実際アヴドゥルを始末したが、その代償はあまりに大きかった……。そもそも始末できてなかったけど

エンリコ・プッチ

『心から信頼できる友』。ジョースター一行が近付いてきている間にもエジプトに来てもらって、何度か別のアジトで会っている。
DIO自身はこの手記を彼が見ることを願っている。
「記憶とスタンドの両方が揃えば魂なのではないか?」と考えてたくさん入れられないか相談したが、彼いわくホワイトスネイクのDISCはどれだけ無理しても一人に五枚入れるのが限界だろうとのこと。
素数を数えて落ち着く方法をプッチから教えられてディオが実行してみたが、言うほど効果が無いなぁ、と日記に書かれている。

ヴァニラ・アイス

狂的な忠誠心を持つ部下。忠誠心と覚悟はイコールで結べるのかを疑問に思われ、最終的には結果で判断すればいいとされた。
ゾンビ化して蘇生させたから肉体強度は跳ね上がったが、スタンドパワーとか落ちてないか?と不安がられ、
ゾンビ化の悪影響で日光で消滅した事を知った時は自分の行動は何でこうも裏目に出るのかと愚痴っている。実際はゾンビ化していなければイギーを嬲っていたところをポルナレフに脳幹を貫かれ死んでいたのでそう裏目にもなっていないのだが
後は二度寝した所を起こされたので日記で愚痴る事にもなった

ヌケサク

ディオが戯れに作った改造ゾンビで、ディオ本人からも戦闘能力は欠片も無く、忠誠心も無い役立たずとして認識されているが、
妙に憎めず、妙な親近感のある部下として割と面白がられている。裏切られるその時までは、今や貴重な部下として尊重してやらなければならない。とまで思われていた。
本編でディオの寝床に案内したようにしたのは、実は裏切り者なりに空気を読んで的外れな場所にジョースター達を案内していたとの事。
「どうせこのままだとジョセフあたりに波紋で始末されるし、このディオが直々に刻んでやるか、運が良ければ生き残るかもしれんし」とまで言われている。

関連用語

肉の芽

どんな者にもDIOに忠誠を誓わせる新たな能力。
しかしその分精神力が落ちるのか、スタンドパワーが弱まる。

『天国』

DIOが最終的に目指したもの。
必要なものは『ザ・ワールド』『信頼できる友』『極罪を犯した36名以上の魂』『14の言葉』『勇気』。
しかし100年前ならいざ知らず、3部の時代になると『信頼できる友』もだが『極罪を犯した36名以上の魂』の方を誰にも秘密にしたまま探すのが大変だった。
「極罪を犯した」理由については原作で説明されている通りだが、「36名以上」の理由はダービーがチップにしたように魂を限界まで割って10として360、つまり円を描くからである。
『14の言葉』は、母親が口ずさんでいた子守唄の歌詞が元になっている。
必要な場所と時間は『北緯28度24分西経80度36分』の場合は『新月の時』。
いずれ誰かが見ることを願って天国に行く方法だけは記しておこうと思ったのが、この手記の始まりである。








『天国』に行くための方法は既にわたしにとって明確だが、残念ながら、今日は一旦、ここで筆を措かざるを得ないようだ──塔に向かい、ジョースター家との因縁を、今度こそ完全に断ち切ろう。
焦ることはないのだ、わたしは永遠の命を持つ身。
時間はいくらでもある。
追記・修正は明日、するとしよう。

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最終更新:2025年01月19日 17:46