ダニエル・J・ダービー

登録日:2009/07/29 Wed 22:20:29
更新日:2025/03/12 Wed 13:11:16
所要時間:約 8 分で読めます






わたしの名はダービー
D'.A.R.B.Y
Dの上にダッシュがつく…




声優 : 内海賢二(OVA版)、岸祐二(Part3対戦格闘ゲーム版)、石井康嗣(ジョジョASB)、銀河万丈(TVアニメ版)(ジョジョEoH)

【概要】

エジプト9栄神のうちのひとつ『オシリス神』の暗示をもつスタンド使い。

小奇麗にめかし込んだ服装に口髭と両頬に描かれた横縞模様のメイク?が特徴の中年紳士。
鷹揚でキザな口ぶりに小粋な身振り手振りがよく似合っており、油断の無い鋭い眼光の持ち主。
後に21歳の弟に「兄とは10歳歳が離れている」と説明されているところから、登場時の年齢は31歳と思われる。

テレンス・T・ダービーという10歳年の離れた弟がいるが、過去に(ちょっとした事でも)ゲーム勝負をした事はただの一度もない。弟のガールフレンドにちょっかい出したせいでブチ切れられて半殺しにされた時も「おれが悪かった」と平謝りしている。弟曰く「わたしに決して勝てないことを知っていた」らしいが、弟の自分語りなのでどこまで真実かは疑問符がつく。*1

ただ弟のテレンスが全てにおいて上位互換なのかと言うとそうでもなく、承太郎たちは後にDIOの館でテレンスともゲーム勝負をすることになるのだが、テレンスはスタンドの「心を読む」能力に頼り切っている節があり、ダニエルなら苦も無く見破っていたであろう簡単なイカサマを見抜けずに引っかかって敗北している。
「ダニエルだったら見破っていたイカサマを見抜けなかった」と言う点は承太郎も作中で指摘しており、スタンド能力抜きでの純粋な勝負師としての格は兄ダニエルの方が数段上である。
また、テレンス自身も尊敬云々はともかく、「兄はギャンブルとイカサマの天才だった」「天才詐欺師だった」ということは本心から認めていたようである。

【人物】

あらゆる賭事をこよなく愛し、ギャンブルで生計を立てている生まれついてのギャンブル・クレイジー。
無敗であるという申告から察するに、登場時点で日本にも不動産という形で多量の財産を所有*2しており、
肉の芽も植え付けられてなければ、報酬目的でDIOに手を貸しているわけでもないという3部の中でもかなり珍しいタイプの刺客である。
そのため、なぜDIOに手を貸しているのか地味に謎であった。
だが…(後述)

「バレなければイカサマとは言わない」が信条で、賭けに勝つためには手段を選ばない。
もちろんイカサマだけでなく、指の感覚だけでトランプのカードの位置が分かるという特技を持つなど、純粋なテクニックでも抜きん出ている。
この洗練されたテクニックと計算尽くされた行動、そして狡猾に仕掛けるペテンにより賭事には滅法強い。
イカサマの事前仕込みも余念がなく、勝負する前にいくつか仕掛けている上に当然それ等を見抜く能力自体も優れている*3

しかし単なるスタンド使いのギャンブル狂な訳がなく、スタンド能力で賭事で負かした対戦相手の魂をコインに変えそれを収集することが趣味。
膨大な量のコレクションだが、それ以上に凄いのは対戦相手の名前、日時、場所を正確に記憶していること。
これは言い換えれば殺した相手の首級を逐一保管しているようなもので、彼自慢のコレクションを見せられたアヴドゥルはその悪質さに完全にドン引きし、「悪魔だ…」と呻き声を漏らしていた。

なお、名乗りには拘りがあるようで、ジョセフにわざと間違えられた時には怒鳴りつけている。


ダービーだ…二度と間違えるな!
わたしの名はダービーというんだ!
オービーでもバービーでもない!

また、表面的には紳士的に振る舞っているが、内心では口汚く毒づいたり、浮かれてややお茶目なところを見せるなど、等身大の人間的な感情も豊かであり、
勝負のラストに緊張の糸がキレた時はそれが一気に表に出て盛大なシリアスブレイクを見せることに…

ギャンブルに対しては相当な拘りがあり、



わたしはバクチ打ちだ………誇りがある

わたしはDIO様のために
戦いに来たのではないッ!
生まれついての『賭け師』だから
戦いに来たのだッ!

と断言してのけている他、承太郎のブラフに対する反応から、数少ないDIOのスタンド能力の秘密について独力で目星をつけられている人物と考えられる。
DIOとダービーの性格から「DIOともギャンブルで対決したのでは」と想像されていたが、スピンオフクレイジー・Dの悪霊的失恋』では実際にDIOと彼との勝負の様と、同時に「何故DIOに従ったのか」が描かれた。(後述)


【活躍】

カイロの郊外にあるカフェにDIOの館の位置を聞き込みにやってきた一行の前に現れる。

◆第一戦

館の位置を種に「外にいるは左右どちらの魚の燻製を食べるか」という遊びのような賭事を仕掛け、乗ってきたジャン=ピエール・ポルナレフ相手にさりげなく魂を賭けるという言質をとる。
あらかじめ仕込んでおいたイカサマ*4で賭けに勝ち、ポルナレフの魂をスタンド能力で奪う。

ちなみに、実はこの勝負が始まった際、ポルナレフ自身は「魂を賭ける」とは言っていない。
「賭けるのは、魂なんてどうです?」という、ダービーの冗談めかした提案に対して声に出した返事もしていない。
「魂を賭けるという条件をあらかじめ提示されたうえで賭けに乗った」という事実自体が「魂を賭ける」という宣言と同じ扱いになる、と示す事例である。


◆第二戦

それを人質に今度はジョセフ・ジョースターと対戦。
ルールは「ウイスキーを入れたグラスにコインを交互に入れ、先に溢れさせた方の負け」というもの*5

ちなみにジョセフに「オービー」だの「バービー」だの名前を間違えられて怒っていたが、本気なのかジョセフを油断させるための演技なのかは不明。
怒っていたのは本気だが、本気の怒りだからこそそれを見せればジョセフも油断するだろうという計算も働かせていた可能性もある。


◆第三戦

そして、承太郎と最も得意なゲームであるポーカーで勝負することに。
まず承太郎はテーブルに置いてあったトランプカードを「星の白金」の動体視力でダービー同様にカードの順番を当てる芸当をやってのけた上でこれからはイカサマをし難くすると恫喝。
その言葉に本気を見たダービーは新品のトランプの封を切り承太郎にトランプカード自体にイカサマが無いか確認させる。
ちなみにキチンと読むと分かるがこの時に使ったトランプのデッキは「ジョーカーは1枚」という日本で標準的なジョーカー二枚組の物とは違う事が分かる。
そして最初は一発勝負でカタをつけようとしていたが、セカンド・ディール*9というテクニックを見破られ、指をへし折られる
思いっきりイカサマの現場を押さえられているが、実はまだ承太郎の魂のベットが済んでなかったのでオシリス神的にはノーゲーム扱い(=賭けが成立していない)らしい。
そこで先述のセリフを吐き、ポルナレフとジョセフのコインを分割して6枚に増やし、承太郎に白いチップを同じく6枚渡す。
最初の勝負は「8&9のツーペア」の承太郎に対し、「J(ジャック)Q(クイーン)のツーペア」でダービーが勝利。ベットされた承太郎のチップ3枚を奪う。
一見するとイカサマ抜きの普通の勝負の結果にしか見えないが、後述の仕込みを前提に考えると、通常起こりえる範囲でギリギリの勝負を演出しつつダービーを勝たせるイカサマをしていたと考えられる。*10


その後、ツーゲーム目ではディーラーの少年に自分には最強クラスの手である「K(キング)のフォアカード」*11を配らせ、承太郎に「ブタ」の手*12を配らせるというインチキ極まりないイカサマをやらかしていた。
実はこの少年や先の猫のみならず、カフェのマスターも含め、ダービーの視界にいる全員があらかじめ配置していたダービーの仲間で、しかも誰を選ぼうがカードのイカサマができるほどの腕前をもっていた(ただしDIOの事は何も知らない)。
これらを踏まえると、最初に恫喝されたにもかかわらずスタープラチナの前でイカサマをしたのは迂闊な行動ではなかった。
「指をへし折った以上、ダービーはもうイカサマをできない」という心理的盲点を衝いたイカサマであり、自身のイカサマが見破られたとしても必勝の態勢を勝負が始まる前から構築していたのである。*13

だが、承太郎はカードを全く見もしないままに勝負を決定。
カードを見ないという奇策に動揺するダービー、対して承太郎はアヴドゥルの魂も賭けると言い出す。
アヴドゥルは自身が熱くなりやすく賭け事は苦手で有る事と承太郎を信頼している事を宣言し承太郎の策に身を委ねるという事でチップを増やす事自体は承認される。

暫くして「ブラフだ」と判断し、ポルナレフの魂でコール、そしてもう賭ける魂がないはずの承太郎に対してジョセフの魂をレイズ(上乗せ)。
入院している花京院の魂を賭けるよう持ち掛け、承太郎のポーカーフェイスを崩してから敗北をさせようと目論む。

しかし、承太郎は何の躊躇いもなく、その場にいない花京院の魂も賭ける*14

その自信に、ダービーは凄まじいスピードと精密さを持つ「『星の白金(スタープラチナ)』でカードをすり替えたのでは?」と疑心暗鬼に陥り出す。
ダービー自身はたとえ『スタープラチナ』のスピードでも眼前でイカサマが行われれば見逃さない自信はあったが、
勝負と無関係の動作とは言え、承太郎がいつの間にかタバコを咥えて火をつけるところ、ジュースを持ってくるところを見逃していた事に気づく。
そのせいでイカサマについても「何かやったのでは?」と可能性を無視できなくなっていた*15

それでも「自分の前でイカサマはできない」という自信から、承太郎のハッタリだと断定して勝負に出ようとするが、
対する承太郎は「まだ俺のレイズの権利が残っている」と言い、なんと母親ホリィの魂まで賭けるという大暴挙に出る。これにはダービーのみならずアヴドゥルも驚愕(というよりドン引き)していた。考えてみれば旅の目的であり承太郎がダービーに倒されてしまえば尽きてしまう命ではあるため花京院の魂よりは妥当ではあるが。

正真正銘、もう賭けるものが無いはずの承太郎から出たこの言葉に、完全に冷静さを無くした状態で、
レイズするチップに代えて『DIOのスタンドの秘密』を賭けさせられてしまう。

なまじDIOのスタンドの実態を知ってしまっていたことが逆に足枷となり、もしも負けたらDIOからの制裁をくらう状況になってしまい*16、精神的に追いつめられたダービーはついにDIOへの恐怖が嵩じて取り乱す*17


さぁ!
賭けるの(コール)か!賭けないの(ドロップ)か!
ハッキリ言葉に出して言ってもらおうッ!

ダービィー!!!!



ヒイイイイイイイイ
言ってやるゥゥゥゥ

おれは最強のバクチ打ちだァァァァァァ

受けてやるゥゥゥ
コールしてやるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

コール!コール!コール!
コール!コール!コール!

    コール
コール

コール  
     コール

  コール
コール
コール    


コールと言うぞォォ~~~っ

「コ…」

「コ………」

「ココッコッ…」


「コ」


だ…だめだ…、恐ろしい
声が出ない…。

ビ…ビビっちまって
こ…声が出ない……

い…息がッ!息が
ヒッ ヒック ククク

「コ……」

半ば自暴自棄になりつつも博打打ちの意地でコールを宣言しようとするが、DIOへの恐怖心には勝てず、声が出ないダービーはついには立ったまま気絶。
心の中で「降り」を選び、勝負に敗北した。

この勝負で極度の恐怖のあまりダービーの髪は真っ白になってしまい、精神も崩壊。
コレクションされていた魂も解放されたのだった*18
勝負の直前、「2人ともあまりの緊張感で頭がおかしくなった」と言っていたが、結果的には自分があまりの緊張感で狂ってしまった。

その信念の強さからモハメド・アヴドゥル「真に強い男」
承太郎からは「今まで出会ったどんなスタンド使いより危険なヤツ」「大した奴だと敬意さえ表された。
実際、たった一人でジョースター一向を倒そうとし*19、かつあと一歩でそれができたかもしれない刺客であった。

敗北後のダービーの消息は不明だが、精神が崩壊して発狂したことやテレンスの「兄は再起不能になった」という発言から、ギャンブラーとして再起不能になっただけでなく、まともな日常生活も送れないほどの廃人になったのは確実だろう。

余談ではあるが、ダービーのセカンド・ディールを看破した承太郎だが、ダービーに雇われた(もしくは弟子の?)ディーラーの少年の仕掛けたイカサマは完全にスルーしている。
承太郎が気付けなかっただけなのかもしれないが*20、もしそうであるならば、この戦いの真の勝者はディーラーの少年と言うことになりえるだろう。後払いだとしたら報酬は貰えそうにないが……。
おそらく少年の腕はダービーよりも劣るはず……そのイカサマを承太郎が見抜けなかったということは、まさに「イカサマは心理的盲点を衝くこと、目がいいだけではイカサマとはわからない」ことの証明といえる。
一方、承太郎がダービーに勝利できたのも賭けの技術ではなく精神面で蹴倒したからこそ、すなわち「心理的盲点」を衝いた結果であり、上の言葉はまさにこの勝負の真髄を表している。


◆番外 vsDIO

クレイジー・Dの悪霊的失恋において、スタンドによる過去の再現という形でDIOとダービーの対決が描かれている。
はすでに部下として忠誠を誓っていたが、ダニエルはあくまで対等な関係を要求。それに対してDIOがポーカー勝負を提案している。




【スタンド:『オシリス神』



『魂』!
わたしは『魂』をうばう「スタンド使い」!
賭けというのは人間の魂を肉体から出やすくする!
そこをうばいとるのがわたしのスタンドの能力!

破壊力-E
スピード-D
射程距離-D
持続力-C
精密動作性-D
成長性-D

名前の由来は古代エジプトにおける生命と農耕の神。
死後の世界を治める王でもあり、魂を奪い保管するスタンドなのもそこからであろう。
ちなみに壁画などでオシリスは緑色の肌で描かれ、それに対応してかスタンドの『オシリス神』のカラーもその系統で彩色されている場合がある。

ヘッドランプ状の目を持つ大柄な人型スタンドだが物理的なパワーは持たないらしい。

◆能力

対象の肉体から魂を取り出して掌で加工、ギャンブルに用いる白黒のチップのような形に変えてしまう能力。
チップの表面には目を閉じた対象の顔が刻印されている。

人間の魂は「敗北」を認めるとエネルギーが限りなくゼロになる性質を持ち、その一瞬を狙って魂を引きずり出すスタンド。
弟のテレンスのスタンド『アトゥム神』と同タイプのスタンドであり、ダニエルは「賭け事」で勝負を行う。
種目は何でもよく、右か左かの二者択一のようなシンプルな勝負でも相手が魂を賭けると請け負えば成立する。
本体であるダービーが負けを認めない限り奪われた魂は肉体には戻らず、魂が戻らないまま本体が死ぬと奪われた魂は死に向かう。
負けとは文字通り賭け事勝負での負けを指すが、たとえ賭け事自体がまだゲーム決着前であったとしても、本人が心の中で負けを認めてしまうとその時点で魂を抜かれてしまうのが最大の肝である。


最大の弱点は、このスタンド自体には物理的な攻撃力と「賭け事を有利にする能力」は一切無い事。
できることは「魂の取り立て」と、「取り立てた魂のコインを好きな数に分割する」のみである。
つまり、勝負自体は完全に本人同士のガチンコ勝負なのだが、根っからの勝負師であるダービーにとってこれは弱点とはなりえない。

むしろ弱点は「相手が自分の土俵の上での勝負に乗ってきてくれない場合」である。
たとえばもしジョースター一行が「ポルナレフは不運だった。あきらめて先を急ごう」と彼を見捨てた場合、その後のダービー戦自体が成り立たない。
それどころかポルナレフの仇としてジョジョ達に暴力で対抗されたらダービーが再起不能となるのは確定する。
「ギャンブルでは負けていない」と心の底から信じていればたとえ殺されてもポルナレフのコインもそのままあの世への道連れにできるが
長時間の拷問 でもされていれば途中で心が折れてポルナレフの魂を解放する最悪のケースもありうる。*21
そのため「いかに自分の得意なギャンブル勝負の上に引きずり込み、いかに相手に敗北を認めさせるか」という、実際の勝負のさらに前段階である心理戦こそが能力の肝となる。
尤も、ジョースター一行が拷問によって無理矢理ポルナレフの魂を解放させようと試みたとして、その行為が「まともにギャンブル勝負しても勝てないと認めた=心の中で負けを認めた」扱いとなり、魂を奪われてしまう可能性もあるが…*22

ダービーによれば証文さえあれば、賭けに参加していない人物相手でも能力を行使可能らしい。
同タイプの『アトゥム神』は相手が賭けに同意しなくても、それどころか賭けに自分が負けても、相手がショックを受けて魂に隙が生じればある程度干渉できる。
また先述の通り『オシリス神』には勝負自体に干渉する能力が無い分『魂の取り立て』の方に能力を割いている可能性も高く、
それらから考えるに『オシリス神』も証文を見せて相手にショックを与えれば魂を奪えるのかもしれない。

なお、テレンス含め、ダービー兄弟は劇中では明確に生まれついてのスタンド能力者である事が明かされている敵側では数少ない人物である。
証拠としては、兄ダニエルは子供の頃から弟テレンスのスタンド能力に気付き、怯えていた事や、少なくとも1984年*23以前からコインコレクションをしている為。
ちなみにDIOがエンヤ婆と共に「弓と矢」を手に入れたのは1986年、ディアボロを通じてである。

ぶっちゃけスタンドとしては「汎用性は低いが条件次第では強い」タイプであり、あまり強いとは言えない。そんな能力で(変則的な勝負ではあるが)4人の最強格のスタンド使いを全滅寸前に追い込んでいる。
荒木飛呂彦がパワーインフレを避けるべく開拓した「能力バトル」というジャンルが、バトル漫画に単なる殴り合いや力比べや絆の力や信念の強さではない純粋な心理戦の要素を持ち込んだことで大きく花開いたのがこの辺り。
その後も別漫画でこの手の非暴力心理戦を得意とするキャラクターが登場して人気を博するなど、漫画の在り方に大きな一石を投じた。


【余談】


  • ダービー戦の元ネタは、1973年公開の映画「スティング(The Sting)」における賭博ポーカーのシーン。アメリカンニューシネマの名優コンビがW主演を務めた事で知られる、コン・ゲーム映画の傑作。
  • ジョセフがダービーに行った「名前をあえて間違えて集中力を削ぐ」作戦は、主人公の詐欺師ゴンドーフが、紳士的なギャングの首領ロネガンを徹底的に挑発するシーン。原作では「ロネマン」「ロニアン」などわざとらしく名前を間違えた上、身だしなみは崩すわ酒は無作法に飲むわ狭い部屋でタバコを吹かすわとジョセフ以上に徹底した挑発を行う。
  • その後にダービーが部下を使って詐欺を行うシーンは、この無作法なゴンドーフをイカサマポーカーでケツの毛までむしり取って分からせるために「ゴンドーフに3のフォアカードを餌として配って勝ちを確信させて賭け金をつりあげさせ、自分に配った9のフォアカードで圧勝して総取りする」というジョジョより手の込んだイカサマ。原作ではイカサマ返しをされて逆に素寒貧にされた挙句、この時のやり取りが更なる大掛かりな詐欺につながっていく。
  • つまりジョジョきっての名勝負の元ネタは、ある映画の「前哨戦」というわけ。ダービー戦が好きな人には絶対に面白い映画なのでぜひ見てほしい。
  • なお元ネタと言っても、ダービー戦とはほとんど別物。「元ネタ」というと盗作のニュアンスを感じて嫌がる人も多いようだが、そもそもジョジョは洋画を下敷きにした話が結構多く、彼本人も「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」「荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟」などでジョジョの元ネタを開示していたりする*24。面白い本なのでぜひ読んでみよう。

  • この他にも「サマ師のキングのフォアカードをブタのブラフで降ろさせる」というシチュエーション自体、時代劇『必殺必中仕事屋稼業』の『負けて勝負』という回が元ネタと言われている。

  • なお荒木飛呂彦はデビュー作「武装ポーカー」でもポーカーの駆け引きとイカサマをテーマにしており、当時の巨匠から高い評価を得ている。

  • 函装版「ジョジョニウム」のあとがきによると、
    直接的な暴力を用いずに戦うVSダービーは荒木先生にとってもひとつの新境地だったようで、以降彼のような変則的な勝負を挑んでくる敵スタンド使いが登場するようになった。
    こうした敵と交戦する時は勝負を受けた相手に「グッド!」と返すのがお約束となっている。

  • OVA版では殆どの敵がハブられるかアレンジが入っている中、VSダービーだけ異様に原作再現度が高かったりと謎の優遇を受けている。

  • テレビアニメ版のカードモーションの撮影には、実在のマジシャンである紙磨呂氏が協力している。

  • スタンド能力は似たような能力があっても何かしら差別化出来る所はあるが、ダービー兄弟のように完全上位互換の存在するスタンドは非常に珍しい。
    一応、『オシリス神』は魂を分割で賭けれたり、魂を封じたチップも弟の人形とは違い完全に沈黙しているため、差別点はあるという意見もある。

  • 名前の由来は歌手・演奏家の「テレンス・トレント・ダービー(現:サナンダ・マイトレイヤ)」から。
    本人が拘っていた「Dの上にダッシュがつく」という独特な表記も氏に由来する。そして言わずもがな、弟テレンスの名前の由来でもある。

  • SFC版『ジョジョの奇妙な冒険』ではなぜかエンヤ婆の町におり、カードをめくり数字の大きさを競う勝負を仕掛けてくる。
    負けたら精神力をとられるが、スタンド使いかどうかも定かではない。
    勝つと普通に情報をくれる。というか、承太郎以外の4人は必ず負け、最後の承太郎で必ず勝てるようになっているので、勝負自体が茶番である。

  • AC格闘ゲーム版ではプレイヤーキャラとしては参戦していないが、モードセレクト時と敗北時のコンティニュー演出として登場。
    コンティニューせずにゲームオーバーになるとそのキャラクターは『オシリス神』によって「バーン」と挟まれてコインに変えられるという演出が見られる。

  • 上記の移植版であるPS版のスーパーストーリーモードでは
    ■猫が右左どっちの肉をとるか
    ■表面張力コイン(ジョセフは水の量を増やす、ダービーは減らすイカサマができる)
    ■ポーカー(10から13とAのカードのみで行う。こちらのコイン枚数が少ないか、一定以上勝負を行うとブラフが出せる。)
    以上の3種類のミニゲームが用意されており、非戦闘要員としてはかなり愛されている。

    なお、ポルナレフは高確率で負けるが1/256の確率で勝利可能。
    「なにいいいいいッ!」と驚いた後に「おいっ邪魔だッ!どきなっおっさん!」と押しのけられるダービーの姿は必見。
    ペットの躾が足りなかったのだろうか。まぁ、猫は自由な生き物だから仕方ない。

    ジョセフも展開次第で勝利可能。
    ポルナレフの魂を返却してもらった後にアブドゥルと承太郎に任せる展開になる。
    ポーカーは展開次第ではブラフなしで勝利可能。
    もちろんこの後の展開はお察しの通りであり、自信満々に勝負を吹っ掛けておきながら敗北すると言うかなりマヌケな事になる。

  • アイズオブヘブンでは原作後に正気を取り戻したダービーが登場(ストーリー上では2回戦うことになる)。
    杜王町のカフェを拠点にしているような描写が見られる他、承太郎へのリベンジを目的としており、DIOのためではなく、ギャンブラーの誇りを取り戻す為に戦うと宣言している。
    精神的に屈したかつての自分を恥じており、メンタル面では原作当時と比べてかなり強くなっている。
    コインコレクションは引き続き行っているようで、アルバムには承太郎専用の特等席があるとか。
    『スタープラチナ・ザ・ワールド』のことも知っており、それを使ってこなかった承太郎に不愉快を感じていたほど。
    なお、承太郎が時間停止を使わなかったのは「たとえ時を止めてもその先の罠をダービーが仕掛けてくるはず」「時を止めた程度ではダービーには勝てない」と判断していたためであった。

  • アーケードゲーム「ラストサバイバー」では、なんとバトルロイヤルの主催者として登場。
    マップに配置される「ダービーの刺客」を倒しチップを集めることがラストサバイバー(優勝)への近道となる。



「さて!露伴先生
追記・修正をするなら君の方にも携帯を渡したいと思うがまだ例の言葉を聞いていなかったな」


「……………いいだろう……ぼくの『魂』を賭けよう」


「グッド!」

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最終更新:2025年03月12日 13:11

*1 弟の能力と相性が悪いのは間違いないが、それだけでは兄のイカサマをすべて見抜くことは困難である。

*2 真山祥蔵という不動産会社社長の男と勝負して得た物らしい。彼は会社の社長でありながらもダービーに匹敵する程のギャンブラーだったとの事で、この一戦は彼の人生の中でも特に印象深い大勝負だったという。思い出したのが承太郎にイカサマを見抜かれ指を折られた時なので、おそらくある程度イカサマを見破られ、逆境に陥ったのだろうという事が推察できる

*3 実際承太郎は「いくら星の白金でもダービーほどの男の目を盗んでイカサマをするのは不可能」と勝利後に評している。

*4 ポルナレフは大きい右の燻製に賭けたが、猫は左→右の順番に食べた。猫は元々ダービーのペットであり、ダービーの思うようにエサを食べるように調教されていた。

*5 いわゆる表面張力を利用したもの。本人の弁によるとジョセフが得意とするゲーム。

*6 通常のニムなら、残りの石の数は数えれば誰でも分かるし、どんな雑な取り方をしてもそれで取る石の数が変わってしまうことはない。

*7 闇雲に酒の量を増やしたところで限界を見切れていないのであれば、詰みの状態で自分に手番が回ってきかねないリスクは何ら変わらない。

*8 実のところ、もしもジョセフがそのままコインを投入していたら、本当に酒が溢れずに済んだ可能性は残っている。ダービーのこのイカサマの主眼が、自分がゲームを完璧に支配しているというジョセフの確信を覆すことで動揺と敗北感を生じさせるハッタリだった可能性である。もしもそうだとすれば、ハッタリによってジョセフを完封してみせた彼が、次戦でその孫のハッタリによって完璧に敗北させられたのは何とも皮肉な展開と言える。

*9 「カードは上から順に配る物」という心理的盲点を利用して、巧みな指捌きで上から二枚目のカードを必要に応じて配るイカサマ技巧。ダービーは伏せられたカードの内訳や順番を全て記憶できるため、この技を合わせて用いることで簡単に手役を揃えることができる。常人の肉眼で捉える事は不可能だが、『スタープラチナ』の動体視力を欺くことはできなかった。

*10 配られるカードを自由に操作できることを前提にすると、1戦目で承太郎に勝たせてやる利点は特にないので、イカサマを疑われない範囲でダービーが勝つ結果にするのが無難となる。なおカジノ等の賭場では最初は客に気持ちよく小さく勝たせておいて調子に乗った客が大きな勝負にでたときにイカサマで大敗させるのが常套手段であるが、今回は承太郎の6枚のチップさえ奪えればそれでよいので、そのような駆け引きは不要である。

*11 この手に勝てるのは「エースのフォアカード」「ストレートフラッシュ」「ジョーカーを入れたファイブカード」しかない。いわゆるロイヤルストレートフラッシュは「ストレートフラッシュの中でも一番強い組み合わせ」の俗称であり、正式な役名ではないのでここには含まれていない

*12 何も手が揃ってないカードの事。ハイカード、ノーハンド、ノーペアとも呼ばれる。一応これも手であるが一番弱い。

*13 余談だが「クレイジー・Dの悪霊的失恋」においてもこのカフェを賭けの場に選んでおり、「自分のフィールド」として頻繁に利用していたことがうかがえる

*14 この時その場にいなかった花京院の魂を勝手に賭けるくだりは、冗談交じりに読者間でもどうでもいい事柄を保証するのに伴いよく真似される。

*15 恐らくダービーを動揺させる為の承太郎のハッタリ

*16 勝てば丸く収まるのだが、負ければ「スタンドの秘密をバラした」という罪で殺されてしまう、しかも後述のスピンオフにおいてDIOとの勝負でトラウマを刻み込まれている

*17 もしくはこの時、承太郎の「能力」がDIOと同じである事に気付いてしまっていた可能性もある。

*18 ポルナレフやジョセフは戻って来れたが、大抵の人物は帰るべき肉体を失っているため、そのまま死亡してしまったと思われる。

*19 実際は上記の通り協力者が多数居たりして、全然一人ではない。承太郎がこのように評したのはただそれに気が付いていなかったから…と言うこともできる

*20 OVAでは勝負後に少年が口を滑らせたことでイカサマが発覚しており、承太郎が勝負中は少年のイカサマに気付いていなかったことが明確になっている。

*21 ジョースター一行は旅路を急ぐ必要があるが、ダービーの能力を見切ってしまえば「こいつのギャンブルには乗らずにずっと拷問し続けろ」とスピードワゴン財団に引き渡すという手もある。

*22 相手が敗北により精神エネルギーが弱まった瞬間を狙って魂を奪うという性質上、また、弟のテレンスも後述の通り相手が魂を賭ける宣言をしていない段階で相手の精神の動揺を衝いてスタンドの一部を相手に食い込ませている実例があるので、相手の「魂を賭ける」宣言が無くても負けを認めさせさえすれば魂を奪える可能性がある

*23 その時の対戦相手は、スティーブン・ムーア一家。ダービーのイカサマに抗議したが魂を取られてしまったとの事。

*24 ゾンビ映画についての美学が「スポーツ・マックス」戦の下敷きになっている話など