FCS(AC)

登録日:2025/02/09 Sun 08:28:11
更新日:2025/03/17 Mon 01:37:32
所要時間:約 13 分で読めます




FCSとは「Fire Control System」、一般的に火器管制装置や射撃統制システムと呼ばれる兵装の制御機構のこと。
ここではフロムソフトウェア製作のロボアクションゲームARMORED COREシリーズに登場する内装パーツについて解説する。


画面中央上にある横長の黄色い枠が「ロックオンサイト」。枠の形状などにFCSが関わってくる。

概要

初代から存在し、2025年現在で最新作に至るまで皆勤のパーツの一つ。
ジェネレーターブースタラジエーターと並び、ACの基礎的な性能を左右する所謂「内装」の代表格である。

砲撃を命中させるためには彼我の距離、移動方向や速度、自身の揺れ具合、砲弾の移動速度などなど様々な要素を加味して複雑な計算を必要とするが、FCSとは簡単に言えばそれらを人の頭に代わりに行ってくれる計算機と思えばよい。

アーマード・コアシリーズに於けるFCSはACの『敵機をロックオンする性能』の全てまたは大部分を担う装備という形で登場しているが、役割がはっきりしているためか基本的な性質は初代から最新作に至るまでほとんど変化が無い。
ACでは「画面に表示されているロックオン可能範囲」ロックサイトに敵機を収め、「とりあえず敵機を捕捉し照準している」一次ロック状態→「敵機が移動しても自動的に偏差射撃を行ってくれる」二次ロック状態に移行する、というのが最も基本的な攻撃準備の段階である。
並行して、ミサイルはロックサイト捕捉から対象をホーミング可能になるまでに一定時間を要する。種類によって多数の目標をロックオンできたり、一度に複数の弾頭を連続発射することができる。
これらACの「ロックオン可能範囲」「一次ロックするまでの時間」「二次ロックするまでの時間」「ミサイルのロックオン時間」、作品によっては「ロックオン可能数」「ミサイルロック可能数」は全てFCSが決定する。

「生体兵器のロックオンの可否」は頭部に依存したり、厳密にはロックサイトの大きさやロック速度は武装とも関係していたり、4系やVIでは「ロックサイト」が無かったり、また武装によってはロックオンができなかったりと例外はあったり様々な仕様が追加されたり削除されたりと変動も少なくないが、
「ロック速度」「ロック距離」「ミサイルロック速度」はFCSが関係するという点は全作品で共通している。

ロック能力を司るパーツというだけありFCSの性能が低ければ「敵機をロックオンするのが遅い、射撃精度が悪くなる」「ロックオンできる範囲が狭い、距離が短い」ことになり、如何に武装が強力であったりプレイヤーのテクニックが優れていようとFCSがチャチまたはチグハグではそれを活かすことはままならない。
ACの内装の例に漏れず、FCSもまたフレームよりも優先して買い替えるのをお勧めする。
ただ、どれもこれも貧弱極まりない性能のジェネレータやブースタなどと比べると初期FCSの性能は致命的に悪くはないことも多い。内装の中では買い替えは最後で良いとされる。

傾向として「ロックオン範囲」と「ロックオン距離」はトレードオフの関係となっている。
また種類によって狙撃、通り魔、近距離張り付き、ミサイル砲撃……と得意な戦法も異なっており、武装毎に設定されたサイトタイプとFCSのサイトタイプの組み合わせはアセンブル上の重要なポイントの一つ。
つまるところはある意味、武装以上に攻撃の要となるパーツであり、ミッションや機体構成、取りたい戦術によって都度吟味する必要がある。

「電装品」なためか重量は(作品によってはEN負荷も)他の内装類と比べて1~2桁低く、基本的に機体の挙動そのものにはほとんど影響しない。
一部の超豪華仕様を除き、このパーツの負荷の影響はほぼ気にしなくて良いと言える。よって「低燃費」を謳うFCSは「強みが誤差の範囲=産廃」の傾向が強い


ロックオンサイトの形状

初代からN系までは共通して以下のような特徴がある。
  • 画面に表示される「ロックサイト」の形状は、FCSと武器それぞれに設定されている『サイトタイプ』に依存する
  • FCSのサイトタイプは「広いがロック距離が短い広角型」「狭いがロック距離が長い遠距離型」「標準型」「横長」「縦長」に大別される
  • 一方で武器側は「横長」「縦長」がなく、代わりに標準と遠距離の中間にあたる「特殊型」がある
  • おおむねFCS側と武器側のサイトタイプが一致していると高い性能を発揮する傾向にある
STANDARD (ST) WIDE&SHALLOW (WS) NARROW&DEEP (ND) LENGTHWAY (LW) SIDEWAY (SW)
標準型 広角型 遠距離型 縦長型 横長型

実際には各ロックタイプに対して全て個別のパラメータが設定されているため、FCS側のサイトタイプ表記はあくまで目安に過ぎない。
すなわちサイトの縦幅・横幅・ロック距離はそれぞれの組み合わせによって大きく異なってくる。
中にはサイトタイプの組み合わせによって横長になったり正方形になったり変化する謎のFCSもある。
なお和名はN系からの登場で、それ以前のシリーズではSTやWSといった略称がよく使われた。


各作品のFCS

初代シリーズ

初代シリーズというだけあってこの頃のFCSは『最大ロック数』『ロックサイト形状』『ミサイルロック時間』の三つしかパラメータが無く、ごくシンプルな仕様。
ただし、マスクデータとしてロック時間やロック距離の違いがあり、見た目より考えるべきことは多い。
基本的な仕様はこの時点で既に網羅され、以降色々要素が追加されつつもN系までほぼそのまま引き継がれていく事となる。

FCSが持つ役割の関係もあり、「ロック距離は短いがロックサイトの大きい近接向け」「それとは真逆の狙撃向け」「とにかくミサイル性能に特化したモデル」は本作からほぼ毎回欠かさず登場している。
「縦長サイト型」「横長サイト型」もN系まで登場し続けていたが、「縦長FCS」は伝統的に産廃
理由は単純、ACは3Dアクションゲームであり、上下移動より左右移動がメインだから
僅かでも敵機が左右にずれただけでロックオンできなくなる縦長ロックサイトはお互いに動き回りながら撃ち合うACのゲーム性と全く嚙み合っておらず、普通に使う分には非常に扱いに困るのである。

AC自体が黎明期というのもあるだろうが、この頃のFCSの形状は以降の作品のものと比べて独特気味。
「端子らしきものが付いたブロック状の物体」という傾向自体はあるが、中には一見何が何だかさっぱりな代物も。


代表的なFCS

  • COMDEX-C7
初期機体が装備しているACシリーズの最初のFCS。
例の如く性能は優秀とは言い難いが、劣悪とも言い難い。
さっさと買い替えたいが最優先でなくても良い、これ含め「初期FCS」は以降も大体そんな感じのパーツである。

  • QX-AF
広角型FCS。初代では隠しパーツ。
ロック距離にやや難があるもののとにかくサイトが広く扱いやすい。迷ったらこれ。
ただしミサイルの最大ロック数が少ないため、多ロックミサイルとの相性は悪い。
ロック速度自体は早いので単ロックミサイルとの相性は悪くない。

  • TRYX-BOXER
シリーズ最初の縦長FCS。つまり産廃の系譜第一号
狙いを付けづらい代わりに他の性能は優秀……なんてことも無く、事実上のただただ狙いが付けにくいだけのFCSになってしまっている。
おまけに横長版のQUADと異なり、何故かMoAでのサイトサイズ拡大の対象外。どうして……

  • TRYX-QUAD
↑の派生型。こちらは横長なロックサイトをしている。
こちらはミサイルロック速度以外は優秀な性能で、ミサイルを使用しない限りは高バランス型FCSとして運用できる。
最大の特徴は外見であろうか。テトラポッド状に向かい合った四つの四角錐というおよそ電子機器とは思えない珍妙な外見をしている。

  • QX-9009
遠距離型FCS。
『PP』まではサイトが狭い代わりにロック距離が長いという典型的な長距離型で、サイトが狭いため使いづらい。
ただしミサイルロック速度がかなり早いという特徴も持っており、下記の18Xが存在しない初代ではミサイラーが使用することがあった。
『MoA』ではキャノン向けFCSという位置づけになり、NDサイトのサイズが大幅に拡大。
キャノンを使うならこれ一択と呼べるほどの性能になったが、一方でミサイルロックはやや鈍化した。

性能云々より本体に「技術のムラクモ」と書かれていることで有名。
これそのものを指して「技術のムラクモ」と通称されることもあり、その理由を「見れば分かる」と称される事もあるが、
角度が悪い上に高速でぐるぐる回転しているので実際のゲーム画面で「技術のムラクモ」を読み取るのは不可能に近い。

  • FBMB-18X
『PP』で追加されたミサイル向けFCS。通称18禁。
なんといっても爆速ミサイルロックが特徴で、ミサイル主体ならこれ一択。
ただしミサイル以外との相性はいまいちなので、腕武器との組み合わせには注意が必要である。



AC2系シリーズ

「ロック距離」「ロック速度」「ロック精度」「照準移動速度」がパラメータに追加されたが役割はほぼ変化なし。
またブレードに関する性能は未だ隠しパラメータという扱い。


代表的なFCS

  • LODD-8
広角サイト型FCS。射程はかなり短いが範囲とロック速度に優れる接近戦型。立方体の角に円柱を埋め込んだようなデザイン。
射程の短さが役に立つ局面もある。車幅が薄くて反対側のターゲットを誤ロックしてしまいがちなSRBIA戦では有用。
グレやロケを直当てする? アッハイ

  • LODD-QHT
横長FCS。ミサイルのロック速度が最速で、ロック数も最多。ミサイル主体で戦うならこれ一択。
ただしSTとND以外の武器では性能が極端に落ちる。そしてミサイルは全てSTサイトだが右腕武器でSTorNDサイトの武器はショットガンとバズーカ他にはハンロケとハンミサしかない。
意外と思われるだろうがこの時代のライフルはWS、砂はSPサイトだったのだ。
得意と苦手がハッキリ分かれたパーツと言える。見た目は砂時計の中央部から棒を伸ばしたようなデザイン。
なお2系のFCSでは最高額で、初期パーツDOX-105の10倍もする。

  • LODD-BLAZER
横長FCS。↑とは逆にミサイルのロックが遅く、代わりに二次ロックへの移行が速い。ロック精度に優れ射程も長めというガンナーに向いた性能。
ただしサイトの縦幅が狭いので、相応のサイティング技術と武器選択が重要となる。WSかST武器との相性が良い。
見た目はDOX-ALMを二つ繋げたような形状。色も全く同じ。ただの偶然か、別メーカーのパーツを盗用したのか…ちなみにDOX-ALMは真逆の性能を持つ。



AC3系シリーズ

パラメータに変化は無し。
2系にもあったパラメータ「ロック精度(PRECISION)」の重要度が非常に増しており、AC戦や対人戦では最大値である「8」未満のFCSは使い物にならないとまで呼ばれるほど。
SLでは新規追加されたぶっ飛んだパーツがシェアを独占してしまっているが、それを除けばそこそこ個性のあるパーツが多い。
性能とは関係ない部分だが、パーツの型番の法則が三大企業でほぼ共通している3系に於いて、どういう訳かFCSのみ企業ごとに命名法則がそれぞれ異なっている。
ミラージュは「AOX-」、クレストは「VREX-」、キサラギは「PLS-」から始まるパーツ名となっている。
因みに本作の縦長だの横長だのといった特殊なサイト形状のFCSは案の定と言うべきか大半がキサラギ製


代表的なFCS

  • AOX-F/ST-6
シリーズで半ば伝統的な「初期パーツの強化版」的な立ち位置の標準型。
適度なロック可能距離、適度なミサイルロック数、適度なミサイルロック速度を持つ、まさに標準。
サイト範囲も適度なのだが、本作では他にも優秀なサイト範囲を持つパーツがあるためこの一点によって対戦での立場は苦しい。
一方で広角型よりもライフルの射程を生かせるためミッションで汎用的に活躍。サイティングに慣れてくるほど扱いやすくなる。

  • VREX-WS-1
サイト範囲が最も広く、最も短い超近接戦用のFCS。
マシンガン、ショットガン、ブレード(ブレードホーミング)との相性は最高で、とにかく張り付いて戦うタイプのACにはこれほど頼りになるものはない。対戦定番パーツの一つ。

  • AOX-X/WS-3
VREX-WS-1の性能をマイルドにしたFCSで、範囲を少し落とした代わりにロック距離を伸ばしたバランス型。
またミサイルのロック数も1から3に増加しており、様々なシーンで使えて初心者にも優しい定番パーツ。
伸びたとはいえ屋外ではロック距離が不足する事もある。とはいえ屋内戦闘も多い同シリーズでは基本的にミッションでも使い勝手がよい。

  • VREX-F/ND-8
遠距離型FCS…の皮を被った何か。
確かにカタログスペック上はNARROW&DEEPと表記されているが、ほとんどの武器で初期FCSよりサイトが広い。お前のような遠距離タイプがいるか。
その正体は遠距離型とは名ばかりの「ミサイル特化型FCS」。
なにしろ予測照準性能はワーストの「4」、代わりにミサイルロックオン最速、ミサイルロック数8
ロック数だけでみれば上回るFCSもあるが、そのいずれもロックオン速度が遅すぎるので本パーツが実質ミサオン向けのご用達のFCSとなる。
なお特殊タイプ武器のサイトも異常に広くなるが、恐らくこれは肩武器のオービットキャノン(特殊型)が要ロックオンだからではないかと予想される。
ついでにいうと一部の縦長や横長より射程が短い。お前やっぱNDじゃねえだろ

  • PLS-EMA
はい、シリーズ伝統の産廃枠の縦長FCSはこちらになります…とでも思ったか?珍しくまともな縦長FCSだよ!やるじゃんキサラギ
予測照準をきっちり確保し、トップアタックの強い3シリーズでは地上から捉えるのも空中から捉えるのも強い。
使用時の注意点としては特殊・遠距離・ミサイル武器との相性が悪いこと。
逆に言えば広角タイプの武器ならば横幅にさほどハンデを持たず、上下に強くなれるのだ。
あくまで「縦長FCSとしては使える」であって他のパーツを食えるほどポテンシャルはないが、上下サイティング操作が難しいPSP版では相対的に本パーツの地位はかなり高くなっているらしい。

  • PLS-SRA
SLで追加された新型の縦長FCS。
追加パーツは優秀なものが多く、PLS-EMAがまともならば追加も期待できる…とでも思ったか?伝統の産廃だよ!だめじゃんキサラギ
まずもって予測照準性能が酷いのでミサイルしかまともに扱えない。なんせワースト2の「5」
ミサイルロックオン速度は最速なので、「おっ!?」と思わせておいてミサイルロック数はたったの2。しかも隠しパーツでもないのに価格がやたら高い。
「やっぱ縦長FCSはこうでなくちゃな!」とまで言われてしまう産廃・オブ・産廃なのであった。

なおロックサイト自体はなかなか広い。しかもロック可能距離も非常に優秀という特徴を持っている……が、
実はこれ下記のPLS-SRA02と全く一緒である。
なぜこちらだけ予測照準とロック数を奪ったのか……せめてそのやさしさを少しでも縦長に分けてあげていたら……

  • PLS-SRA02
SL追加パーツ。縦長FCSに比べて横長FCSは人気が高いが、3シリーズ屈指の壊れと名高いのがこいつ。
まずサイト範囲が異常に広い。横幅がとにかく広いのは言わずもがな、縦幅ですら一部の標準タイプと同等かそれ以上というトンでもない広さ。
加えて全FCSでも屈指の長いロックオン距離を誇っており、上述した遠距離タイプより長い。
もちろん予測照準性能もバッチリ「8」。
さらにさらにミサイルとの相性も抜群(ロックオン数6・ロックオン速度も上位)で、なんというかやり過ぎレベルで高性能。
標準FCSどころか広角FCSすら食ってしまっていると評判である。

一応難点はあり、ミッションでは長すぎるロックオン距離が不便に働く事もある。
敵機が複数存在していると「近くの敵を狙いたいのに遠くの敵をロックしてしまう」事が多発し、かえって効率的な攻撃機会を逸してしまうのだ。
特に多数の航空機などが出てくるミッションは要注意。




ACN系シリーズ

右手に銃器、左手にレーザーブレードという伝統的スタイル「シングルトリガー」は最早過去のものとなり、両手に銃器を持つ「ダブルトリガー」が当然となったN系にFCSも対応。
「サイト並列処理能力」がパラメータに追加され、「ダブルトリガー」の際はこのパラーメータを元に両手に銃器を装備した際のサイトサイズと射程距離が「シングルトリガー」よりも低下する。

FCSのサイトタイプと武装のサイトタイプが一致している場合と異なる場合の性能変化率も可視化され、武装構成とFCSの種類の組み合わせの重要度が増加している。
「標準サイト」「シングルトリガー用」のFCSで「特殊サイト」と「遠距離サイト」の武器を「ダブルトリガー」にした結果、サイトが豆粒サイズと化したズベンはFCSの組み合わせの致命的に悪い例である。

とはいえ、N系は従来と比べてサイトの広さがかなり狭くなっており*1
シングルトリガー時はロックオンがしやすいというメリットも結局は誤差の範囲でしか無いのでダブルトリガーが余計に主流となっており差別化はされなかった。
サブ武器に広角タイプを持つ事でメイン武器のサイトを広げたりといった事ができたのも大きい。
『LR』ではブレードが有効な場面が増えているので、場面によってはシングルトリガー向けのFCSを選択するのも有効ではある。

また、ECMが出ている際の性能低下を抑える「対ECM性能」はレーダーに加えてFCSにも追加された。
『NX』ではECMが鬱陶しいミッションが特に多いので対ECM性能も注視する必要がある。
ただし対ECM性能は並列処理能力とはバーターになっている傾向がある(遠距離タイプを除く)。


代表的なFCS

  • MF02-VOLUTE / CR-F69 / MF05-LIMPET
N系優等生トリオ。NXからLRまで、一人プレイも対戦もとりあえずこの3つの中から選ぶのが基本。
サイトタイプはそれぞれ「標準」「広角」「広角」。
なぜこれが基本かというと、N系ではダブルトリガーが有利なバランスになっており、その中でサイト範囲と並列処理能力を両立しているため。
よってW鳥機を組む時に困ったらとりあえずこの中から選ぶ。ECM耐性が少々弱いが、その他の性能も概ね良好。
トリオの差別化はロック距離など様々で、さらに左右武器のタイプの組み合わせでサイト範囲の得意不得意がそれぞれ異なっており、ベストな組み合わせの違いでも住み分けができている。

  • FUGEN
伝統の縦長FCS。例によって例の如く、やっぱり産廃
とてもとても普段使いに耐えるものではないが本作ではミサイルロック速度が全FCS中最速という個性を持っており、
核腕のような強烈だがロック速度が非常に遅いミサイルを使うために購入しておいて損は無い。

3系の縦長FCSにも言えるが、キーアサインの関係で上下視点移動が難しかったポータブル系作品では縦長は活躍できるのではという向きも僅かながらあったという。
しかし広角型を使った方が手っ取り早いということで結局光ることはなかった。

本作以降「サイト形状」の概念は消滅するため、ACVI現在縦長FCSの系譜は本機で途絶えている。

  • MIROKU
標準サイト型のFCS。
ECM耐性、射程、範囲が高水準でまとまっている。ミサイルのロックは単体だがロック速度はなかなか速く、癖がない優秀なパーツ。
…と言いたい所だが、並列処理能力が最も低いのでW鳥が大の苦手。なのにジャックやズベンなどW鳥機体に積まれていたりする。特にズベンのロックオンサイトは悲惨。
S鳥機に積む分には優秀なので決して産廃ではない。
これにスナイパーライフルをW鳥してアリーナ一位に勝利するドミナントもいたりする。
また親戚とも呼ぶべき同じ傾向のVOLUTE2がいる。



AC4系シリーズ

初代以来そのまま受け継がれていた仕様の多くが刷新された4系では、(ミサイル)ロック数や速度、並列処理能力といった部分は以前から共通しているが、大きな仕様変更された部分もある。

まずロックサイトが消滅した
4系では言わば画面全体がロックサイトとなったため「サイトタイプ」は消滅、パラメータから削除された。伴って「サイトタイプの相性」の概念も消滅している。
ただし「並列処理性能」は健在なので、特にこれが低めな狙撃型やミサイル特化型のFCSでは旧来のシングルトリガーにしたり手持ち武器と背中武器を片方ずつ運用する「クロストリガー」というテクニックも考慮する必要が出て来た。
N系では死んだも同然だったブレードホーミングの復活に伴い、「ブレードロック距離」もFCSの性能として明記され「ブレーダー特化型FCS」が登場し、「ブレーダーに向き/不向き」という見方も生じた。

以前は頭部の固有性能だった「レーダー」に関するパラメータはFCSに移動した。
このため「レーダー性能の良し悪し」という選定基準も生まれ、また以前は頭部によってあったり無かったりしたレーダーは全機種標準装備となった。

今までは誤差レベルだったFCSの消費ENは、本作では重めかつ幅が広い。
極端な例であれば、高負荷型から低燃費型に変更しただけでEN管理が少し楽になった、という場合さえある。

世界設定がハード・リアル寄りになった関係か、何がどこにどう取り付けられているのかさっぱりなパーツが多かった従来のFCSから形状は一新され、
本作のFCSの形状は「20本のピンが2列に並んだ端子が備わった板状のパーツ」という形に基本的な規格が統一された。
この傾向はV系以降のFCSにも受け継がれている。


代表的なFCS

  • INBLUE
アクアビット製、近距離射撃戦用FCS。
ロック速度やレーダー更新性能はチューンが不要なくらいの驚異的なレベル。マシンガンをダブルトリガーで使用するならこれ一択と言えるFCS。
しかしミサイルに関する性能はからきし、ロック距離やレーダー範囲も狭く、あくまで「至近距離で射撃戦をするためのFCS」というピーキーな代物。状況と目的さえ選べば優秀なFCSではある。
初期機体にアリーヤを選択した場合は本機が初期FCSとなるが、カメラ性能の低いアリーヤ頭とこれを組み合わせると本当の本当に至近距離戦しかできなくなってしまう。
アリーヤは4系の顔的なACなのに初心者には勧め辛いのはこういった面もある。

  • OMNIA
『fA』にて追加されたトーラス製FCS。
超高負荷万能型という癖の強い標準機アルギュロスのFCSというだけあって、その性能も全方面で高バランスだがEN負荷の重さはFCSワースト3位、低燃費型の倍以上という悪さ。
初期レギュだと高負荷な割に光る部分が無い正しく器用貧乏なパーツだったが、後期レギュでは中距離向け汎用型として採用の余地が出始めた。
因みにパーツ名はトーラスの「有毒元素」「不穏な医療用語」ではなくアクアビットの「香水」に因んでいる。
アクアビット健在時の未発売製品と考えるには想定機種が不明*2。或いは原案だけあったものをアルギュロス向けに調整したとか旧アクアビット社員だけで開発したとかだろうか?



ACV系シリーズ

再びゲーム性が大きく一新されたV系ではまたしても性能が大きく変化している。

まずサイトタイプ復活
本作では中間的サイズの「ロック速度重視型」、広角かつ短射程の「広角型」、狭小かつ長射程の「長距離型」の三タイプに大別された。
N系以前とは異なりサイトタイプは円形で統一されているため、縦長だの横長だのといったサイトは存在しない。
武装とのサイトタイプ相性も性能としては無いままである。

「セントリーガン」または「ジャマー」の同時設置数はFCSに追加された「子機制御数」「妨害装置制御数」に依存し、これらを主力とする場合は重要な部位となる。
また逆にジャマーを喰らった場合の性能低下抑止率も、やはりFCS(と頭部)が持つ対ECM性能改め「ロック妨害耐性」が司っている。

一方、ダブルトリガー時に関係する性能や、レーダーが無くなったためレーダー云々に関する性能は削除されている。
ブレードに関する性能も削除されたため、比較的簡素になった。


代表的なFCS

  • UFC-11 GLANCE / FA-215
高速ロック型代表。
「チラ見」を意味するパーツ名に違わず、高速のロック速度で瞬時に敵機を捉える近距離射撃戦との相性が良いFCS。
ゲームスピードの増加により『VD』ではサイトサイズが物足りなくなり、近距離というよりスナイパー向けのFCSに。


  • KV-1T2/OTKRYT / Fs-L-E28
通称「250FCS」。
ロシア語で「開かれた」という意味の名称の通り広角型FCSの中では最も長いロック距離250(狙撃するには物足りないが中~近距離で撃ち合うには十分な間合い)を有し、ロック速度は遅めだがミサイルロック速度は非常に優れている。
つまりロック速度の速い武装とミサイルの併用というアセンで強みを発揮し、よってカラサワと高速ミサイルを主力とする「レザスピ四脚」のFCSとして愛用された。



ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

10年振りの新作、ACVIではシステムがシンプルになった事に合わせてFCSの性能も大幅に簡略化されており、
  • 初代から常に存在した「ロック距離」 → 構成によらずロック距離は一定となり、削除
  • N系から追加されたECM・ロック妨害耐性に関する性能 → 削除*3
  • V系で一旦復活したサイトサイズに関する性能 → 削除。4系と同じく画面全体がサイト扱い
  • レーダー関係の性能 → 引き続き無し。レーダーは共通の簡素なものに統一された
…と、多くのパラメータが消滅。結果として重量とEN負荷を除けば「近・中・遠のそれぞれの距離帯での照準移動速度」、「ミサイルの通常ロック速度」、「ミサイルのマルチロック速度」の五項目しかない
このため、極論「最も得意な距離帯」と「ミサイル関係の性能」の二点がアセンの指標となるので、本作のパラメータはある意味初代系以上に簡素。

また重量は他パーツの1割足らず(最大で160)と相変わらず微々たるものだが、EN負荷はフレーム・内装やそこらの武器と同じ程度にはあるため無視できなくなった。

ジェネレータにも言えるが本作のFCSはほぼ全て開発企業のロゴがデカデカと描かれているという特徴がある。
また4系からV系まではメモリースティックやグラボのような基盤か端子に挿入する「拡張カード」に近い外観だったが、
本作では4系以降のパーツデザイン傾向に3系以前のテイストを混ぜたような、「いくつか半導体のようなパーツが取り付けられたマザーボード」に近いものが多い。


特徴的なFCS

  • FCS-G1/P01
初期FCS。本作のミサイル本舗、ファーロン・ダイナミクス製。
今まで初期FCSはジェネレータやブースタほど悲惨な性能ではないことが多いと先述したが、コイツは真逆にどうしようもない産廃
同じく酷いスペックだった『VI』初期機のジェネとブースタはレギュ更新で比較的マシになった(うえにブースタは対人戦に持ち込まれるほどに躍進した)ものの、これはEN負荷が最も軽い代わりに全ての性能が満遍なく低いまま全くいじられてない
一応最序盤のミッションなら敵があまり動かないので問題ないものの、的確に回避機動を取るACが出始めたあたりから辛くなってくる。
近接縛り・マニュアルエイム*4オンリーの際の負荷低減など極端なケースを除けば、本機特有の魅力は無いと断言できるのでさっさと買い替えたいところ。そして売却不可能な仕様上、以降は倉庫の肥やしと化すだろう。

  • FCS-G2/P05
FCS-G1/P01の後継モデル。
全面的にステータスが上がっているが、特に中距離アシスト適正性能がトップクラスとなり、ミサイル周りの性能も上位。
比較的古めのモデルのようでショップ入荷時期も早く、チュートリアルトレーニング報酬でもらえる近距離向けのFC-006 ABBOTとともに長くお世話になった621も居ると思われる。
性能…特に中距離適性にかけてはVE-21AVE-21BIB-C03F: WLT 001が競合として立ちはだかるが、こいつらはFCSとしては重いEN負荷ワースト3を背負っており、
「WLT 001」は全点豪華の万能性と引き換えにFCSどころか四脚型脚部三種に次ぐ全フレーム・全内装を含めた本体パーツ中ワースト4位のEN負荷、アーキバスFCSは近距離が弱すぎるといった難点が有る一方、
P05のEN負荷は3番目の軽さであり、軽量機/内燃ジェネの射撃戦向けFCSとしては対戦環境ですら最後まで候補から外れないほど優秀なコスパを誇る。
その優秀ぶりを評価されてか、なんとNPCにも全勢力それぞれに採用者がいるという輝かしい実績を持つ。

  • FCS-G2/P10SLT
ミサイルロック補正特化型のFCS。ファーロンの本領発揮である。
標準ロック時間の長い特殊ミサイルや大型ミサイルが主軸の構成を組むならもはやこれ一択。
一方で通常の照準アシスト適正は全て標準を大きく下回るのでミサイル以外の武器にはあまり期待できず、対戦では必然的に引き撃ちミサイルを主軸とした構成での運用になりやすい。
実際、これを高速機で併用する構成が対戦で流行した煽りを受け、ver1.05でかなりの弱体化を受けた。
派生版としてマルチロック補正と中距離性能が上がったFCS-G2/P12MLTもあるが、こちらはEN負荷のコスパ的にも集団戦ミッション向け。

  • FC-008 TALBOT
ベイラム・インダストリー製。木星戦争で喫した苦杯を教訓として開発されたという強襲作戦向けFCS。同社FCSのFC-006 ABBOTの真下に大型の追加ボードをくっつけたような風貌。
近距離バランス型のABBOTからEN負荷と若干の近距離適性を犠牲に他の性能に割り振った形で、特にミサイルロック速度を大幅に+ついでに中距離適性も強化。
EN負荷は下から4番目と重めだが、よほど距離が離れてなければどんな武器でも使える近中距離バランス型に変わり、説明通りの傑作ぶりを発揮してくれる。
ABBOTと同様に遠距離適性はからっきしだったものの、ver1.07において強化され最低限の数値は確保されたため、バランスの良さにより磨きがかかったといえる。

  • IA-C01F:OCELLUS
ルビコン調査技研製。近距離アシスト適正特化…というよりそれ以外を度外視したFCS。見た目が4~V系の拡張カードっぽく、表にメーカーロゴが見えない。
文字通り近距離とEN負荷以外その他の全パラメータは投げ捨てられており、現Verでは近距離+ミサイル寄りのABBOTが強力な競合として立ちふさがっているが、
そもそも近距離アシスト適正の対象範囲はマシンガンの性能保証射程より長い程度なうえ、今作は様々な要因*5により元から近距離戦が重要とされるゲームなので、意外とアセンは縛られにくく特化型にしては割と扱いやすい、まさにAC6ならではのFCS。
ちなみに、正真正銘の完全特化型になったのはVer1.07で弱体化された以降であり、ver1.06.1以前のOCELLUSは近距離アシスト適正がもう少し高いだけでなくミサイルロック補正も最低限確保されていたので、対戦だと引き撃ち機以外では一択レベルで仕様にハマっているぶっ壊れFCSだった。





◆画像出典
冒頭画像:フロム・ソフトウェア公式サイト 2025/02/27 「詳細 - 製品情報 _ FromSoftware - フロム・ソフトウェア」https://www.fromsoftware.jp/jp/detail.html?csm=017

ロックオンサイト画像5点:編集者自作 2025/02/27






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最終更新:2025年03月17日 01:37

*1 従来の標準サイトが本作の広角サイトになったと考えれば分かり易い

*2 近距離射撃戦が得意なアリーヤやテルス、レイレナードの強力なレーザーブレードを使用するならINBLUEを含む既存のFCSで十分であり、そもそもEN周りが非常に厳しいアリーヤやランスタンで高負荷万能型FCSの運用は難しい。低燃費かつ重量級のテルスやヒルベルトには比較的マッチするが、これ程の負荷をかけてまで(つまり低燃費というフレームの長所をある程度犠牲にしてまで)そのような万能性を与える必要があるかは疑問が残る。

*3 ロックオン妨害は存在するものの、それに対する耐性を決めるパラメータが存在しない

*4 使用するとターゲットアシストとロックオンなしで、必ず視点中央を狙って攻撃。つまり、そもそもFCSを全く使わないモードということ。

*5 射撃武器の弾速や射程の都合に加え、パルスブレードやショットガンなどわかりやすく強い近距離武器が多い、スタッガーのシステムなど