エルメス(MA)

登録日:2012/05/29 Tue 21:08:33
更新日:2025/04/08 Tue 17:51:16
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シャアを傷付けるいけない人!


エルメスとは、「機動戦士ガンダム」に登場するモビルアーマー(MA)。

ちなみに某有名ブランドとは無関係(余談参照)。





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概要

型番:MAN-08
全長:85.4m(38mとする資料もあり)
全高:47.7m
本体重量:163.7t(180tとする資料もあり)
ジェネレーター出力:14,200kw
推力:645,200kg
最高速力:マッハ7.2
パイロット:ララァ・スン
      クスコ・アル
      セレイン・イクスぺリ
      ハマーン・カーン
      安室奈美恵



一年戦争末期にジオン公国軍に協力していたフラナガン機関が開発した完全なNT専用のMA
これ以前に投入されたブラウ・ブロは一般パイロットでも操縦できたため、完全なNT専用機とは言えなかった。

機関のニュータイプ研究の成果である精神感応波を機械に読み込ませマシンを制御する「サイコミュシステム」を搭載し、無線式の移動砲台であるビットを用いて敵を撃破するのが主なコンセプト。
ガンダムシリーズで初めてビット、つまり無線式オールレンジ兵装を使った機体である
ミノフスキー粒子の影響下において通常の無線通信装置が使用出来ない中、攻撃端末を遠隔操作し敵の攻撃範囲外からの攻撃を可能にしたこの装備は非常に画期的なものであった。
コクピットはほぼビットの制御に特化しており、操縦機器は最低限に留められている。

しかし、肝心のサイコミュシステムはまだ小型化の目途が立っておらず、結果的に機体本体は大型化。
さらに、サイコミュの弊害として精神感応波の逆流によってパイロットにかかる精神負担も大きく、実戦ではパイロットに不調を招くなど課題の残るものとなっている。
また、ビットの運用に特化したせいか本体の武器は2門のメガ粒子砲のみ。
一応装甲を厚くしてはいるが、パイロットはビットの運用に集中せねばならないため、護衛機の随伴が必須になっている。なお、コクピット正面はキャノピー式になっている。


3機ほど作られたが、1号機はビットの暴走で自滅。
2号機はララァ・スン、3号機はクスコ・アルが乗ったとされるが、3号機については疑問符がついている。

後のキュベレイの開発は、「エルメスをMSにする」というコンセプトで進められた。



武装

本機の主武装である無線誘導攻撃端末。
小型ジェネレーターや制御バーニアを搭載したため全高8.4mと大型であるが、その分かなりの機動性を持つ。
アニメ作画ではどう見てもガンダムの拳よりちょっと大きいぐらいである。
またビット本体にモノアイカメラが付いており、サイコミュシステムによる無線誘導と合わせてより意表を突いた攻撃が可能になった。
そのためミノ粒の影響下でこの端末を捕捉することは困難で、敵からすれば「気が付いたらやられている」という状態になっていた。
なお当初は長距離の運用に特化していたが、パイロットの負担が大きかったので短距離用に改良されている。このことが「護衛機必須」の要因。

  • メガ粒子砲
本体に2基装備。一応自衛用だが、射界は正面〜斜め上くらいしかなく、接近されると打つ手がない(ビットが残っていない限り)。
小説版では「オールドタイプが乗ったエルメスなど旧式の宇宙戦闘機と大差なく、芸のある兵器とは言えない」という一文がある。
実際、ビットを抜きにしたエルメスの固定装備はこれだけなので、宇宙戦闘機並みと言われればその通りだろう。


劇中での活躍

第37話で初めて言及される。
テキサスコロニーに輸送中だったが、整備が完了していないとも言及され、戦闘はしなかった。
38話ではアムロが砂塵の果てに何かを見たような発言をしており、どうやらララァがエルメスでシャアのゲルググを回収していたらしい……が、映像からはさっぱりわからない。

本格登場は第39話。
ビットを使った超遠距離攻撃で、コンペイトウ(旧ソロモン)に駐留していた多数のMSや連邦艦を撃沈。ソロモンの亡霊として恐れられた。
しかし超長距離からのサイコミュ攻撃はパイロットへの負担が大きくなりすぎることが発覚。
また「あまり長距離すぎる攻撃では戦果が確認しづらい」という問題もあって、以後は近距離戦闘で使うように調整された。

その調整を済ませた後の戦闘では、リック・ドム二機を護衛にビットで攻撃を開始、サラミス二隻のうち一隻を撃沈する。
しかしリック・ドムのパイロット・バタシャムが「バカバカしくなった」といって任務を放棄。
サラミスの猛反撃にさらされたララァは集中力を維持できなくなり、ビットの精度も著しく劣化、大苦戦に陥る。
幸い、シャアが駆けつけて牽制役を果たしたため、コントロールを取り戻したビットはサラミスをうまく撃破した。

この戦いでサラミスのクルーが攻撃を受けた際に「また聞こえるぞ。ラ、ラだ!」という 歌のようなものが聞こえた と反応していたが、
ニュータイプの素養があるか不明な複数の人間に聞こえているため、
これがエルメスの武装によるものかパイロットのニュータイプ能力による効果なのかは不明。
????「ララ…という歌が聞こえたら、私が来た合図よ」

また、どのタイミングでかは不明だが連邦軍の司令部もエルメスの存在を観測したようで、画像のいくつかを公表。
それを見たミライが「チューリップだかとんがり帽子みたいなの」と言ったことから、連邦側では「とんがり帽子」と呼ばれるように。直球すぎである。
ちなみにビットは「とんがり帽子の付録」。

さらにその後の40話ではキシリア・ザビの指揮する遊撃隊に入り連邦軍レビル艦隊を攻撃するも、アムロ・レイガンダムに襲われる。
エルメスはビットで猛攻をかけるが、ガンダムがマグネットコーティングによるアップデートを果たしたことと、アムロがブラウ・ブロと二回交戦してオールレンジ攻撃を体験してきたこと、アムロがニュータイプに覚醒したこと、そして気圧されたララァが頭痛を訴えビットが制御を失ったことで、勝ち目がなくなり部隊を率いて撤退となった。
(この際、エルメスの垂直尾翼につかまるゲルググが見られる)

41話では再びキシリア艦隊に所属して連邦艦隊を襲撃。
ララァも二回目のガンダム戦ということで頭痛を抱えることはなかったが、シャリア・ブル戦で微弱な脳波もつかんだアムロはついにビットのコントロールを把握。
ビットがこの先どう動くかまでを完全に読んでいき、ビットを片っ端から撃ち落してしまう。
ララァとアムロの一瞬の感応で生じた隙でビームライフルを破壊できたが、するとガンダムはビームサーベルでビットを斬ってしまい、ついにエルメスはビットすべてを失う。
ここでシャアのゲルググが加勢し、接近戦を挑むゲルググをメガ粒子砲でなんとか援護するが、ガンダムに加勢するGファイターをゲルググが切り捨てようとした瞬間、ララァがシャアを諫止。
シャアが今切り捨てようとしたGファイターのパイロットを確認し、隙をさらした瞬間、ガンダムに追いつかれ、ゲルググが破損。
そのまま破壊される寸前に陥ったところ、エルメスが突進してゲルググを突き飛ばし、身代わりになるようにしてコックピットを貫かれ、爆沈した。

この件はアムロとシャアの心に深い傷を負わせることに…。


劇場版では尺の都合で多くのエピソードが削られている。
出撃は実質二回となり、一度目はコンペイトウへの長距離攻撃、二度目は40話と41話を統合した連邦艦隊への攻撃。
なおエルメスの新規作画は少なめ。


関連機体

小説版だとララァが1号機、クスコ・アルが2号機に搭乗。
2号機の色はメタリックグリーン。

新編されたシャアの部隊に配備早々、模擬戦に乱入すると、ビットを使わずメガ粒子砲のみでシャア機を含むリック・ドムを全機「撃墜」判定をとるという鮮烈なデビューを飾る。
連邦軍がソロモンを無視してグラナダを落として月を支配したため、まずは月の連邦軍を攻撃。
続いて、月からア・バオア・クーに攻め込む連邦軍艦隊をコレヒドールという宙域で攻撃するが、その激しい乱戦の中でガンダムのビームライフルに撃ち抜かれて撃沈した。

ちなみに小説版では、ビットの中にはメガ粒子砲だけでなく爆雷をも搭載したものもあると語られている。
しかも2巻では「爆薬(核弾頭)」という解説が。
後のファンネルミサイルも真っ青である。

  • 3号機
「MSV」だとこれにクスコ・アルが乗ったという。
「Gジェネ」の携帯機シリーズではハニャーン様が使っていた。色はキュベレイと同じ白色。なお登場当初はこれが「2号機」と書かれていた。
余談だが、ハマーン・カーンとクスコ・アルの声は同じである。

  • 4号機
「Gジェネ」の携帯機シリーズでセレイン・イクスぺリが搭乗。色は赤。
シグ・ウェドナーを庇って撃墜された。

  • プロトタイプ・キュベレイ
型番:AMX-001/MSN-08

「Gジェネ」の据え置き系に登場。前述したキュベレイのコンセプトを地で行った機体であり、サイコミュの小型化が出来なかったせいで文字通りエルメスに頭手足を生やしたような機体になった。だがこれがなくてはキュベレイに繋がらなかったのでバカにしてはいけない。
デザインはあの近藤和久氏であり、同作者の「バニシングマシン」にも登場している。

  • エルメス(安室奈美恵カラー)
安室奈美恵の曲のPVに登場した赤いエルメス。4号機とはまた別の機体と思われる。

アムロのガンダムと戦ったが、撃破された。



ゲームでの活躍

  • Gジェネ
初代から登場。設定通り宇宙用でビットの運用がメイン。だが、メガ粒子砲もあるのである程度は使いやすい。またキュベレイにも開発できるほか設計素材としても優秀なので生産しておいたほうがいいだろう。
余談だが、「魂」以降だとνガンダムHi-νガンダムサザビーナイチンゲールを設計するとエルメスになる。…因縁を感じる組み合わせである。
(OVER WORLDにてこの組み合わせはシナンジュ・スタインに変更された)

  • ガンダムvs.ガンダムNEXT
Bルート(とHルート)のボスとして出現。
判定の大きいメガ粒子砲とビットで、引っ掛かけるような攻撃をしてくる。
また、アシストにシャア専用ゲルググを引き連れており、接近戦を仕掛けようとすると格闘で手痛い反撃を喰らうことも。
ただし、メガ粒子砲はステップで、ビットは垂直上昇か自由落下で簡単に避けることができる上、火力も全MA中最低クラスなので、慣れればかなり楽に倒せる。

ちなみに一人旅の場合のCPU僚機の初代ガンダムがなかなか強く、逃げ回っているだけで勝てることもある。

シリーズ皆勤賞のMA。開発にはブラウ・ブロが必要で、更には一年戦争以降も続くシナリオではキュベレイを開発するためには本機が必要。

MSとは違いスタックできないが、運動性は世代のわりに高いうえにサイコミュ持ちなのでNTを乗せると恐ろしい回避力と殲滅能力を持つ。一方で普通のパイロットではビットを使えないため殲滅力がガタ落ちする。

一年戦争限定のジオン本編では宇宙での戦闘が少なめ&最終ステージがジャブローなため活躍期間が短いのがネック。ジオンの系譜などの一年戦争以降も扱うシナリオなら二部以降もしばらくお世話になる。
一方で連邦編では後半は宇宙が主戦場なので回避力に優れる砲台として脅威となる。

だが、こいつが真価を発揮するのは正統ジオンやキャスバルネオジオンといった一年戦争の外伝シナリオ系。これらのシナリオでは開発されてはいないが初期配備で何機か自軍が所持しているので、両シナリオにいるNT連中を搭乗させれば、瞬く間に敵宇宙拠点を蹂躙してくれるだろう。

NEXTとは逆にシャア専用ゲルググのアシストとして登場。
斜め上から取り付く他のビット系武装とは異なり、横方向を含め包囲するように取り付くため避け辛い。
特に地走系にとっては鬼門。
有効射程もかなり長く、赤ロック外でも誘導してくれる。
シャゲの強さを支える武装の一つ。
ダミー属性の武装を無効化して本体を的確に狙うという唯一の特性を持っていたが、不自然と判断されたのか続編では修正された。



余談

○ララァ・スン専用モビルアーマー

本機がプラモなど立体化されて発売される際には、何故か「ララァ・スン専用モビルアーマー」といった表記である。
これは「エルメス」という名称が某有名ブランドにひっかかるための措置
初版品は「エルメス」の表記で販売され、そのキットは現在では希少である。
なお富野由悠季監督は「エルメス」のままでも大丈夫なはずだ、と主張したが結局通らなかったらしい。

またSDプラモでは他の媒体でララァ以外の人物も乗ったせいか「NT専用モビルアーマー」という名称になっている。

モンスター「ウィルオーエルメス」として登場した『SDガンダム外伝 光の騎士』及び「風帝機獣エルメス」として登場した『SDガンダム英雄伝』では立体化しておらず、
同年に「ザウラーファイター」ともう元が何だか全くわからない名前で登場した『ガンドランダー魔封の聖剣』ではガチャポンで立体化されていた。

ガンダムビルドファイターズ』第16話では、ガンプラを買おうとしたレイジが「1/550 MAN-08 ララァ・スン専用モビルアーマー」を見て首をかしげていた。
タケシさん曰く「いろいろあるんだよその機体には!」


ちなみに今の所、エルメスの方からのクレームはないらしい。




追記・修正はビットを迎撃してからお願いします。
なあに、ファンネルよりは的が大きいから、いけるいける

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最終更新:2025年04月08日 17:51