登録日:2025/01/26 Sun 20:42:17
更新日:2025/02/02 Sun 23:07:02
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当項目では、
自作パソコンの各パーツの選び方について解説する。
これらは自作パソコンのみに限らず、パーツ選定の目安としてBTOパソコン・メーカーパソコン・中古パソコンなどを購入する際にも役に立つので、そうしたパソコンの購入を検討しているといった方も目を通していただければ幸いである。
特に中古パソコンや激安のパソコンの一部には、
- 「高性能なCPUを搭載!」
- 「最新ゲームが起動できる」
- 「最新のOSを搭載!」
- →必要な性能を満たさずにインストールしたため、OSを動かすことすらまともにできない。
……といった曖昧な文章を使い、型落ちのパーツや低性能のパーツを使用していることを半ば隠しているケースもあるので、パーツについて最低限の知識を付けてから購入することをオススメする。
具体的にはどの順番でパーツを決めればいいの?
自作パソコンの項目で用途を決めたら、とりあえずは出せる予算を考えよう。以下は、2024年現在の予算の例。
- ゲーム機よりも高性能のゲーミングPCは最低でも15万円(モニター等周辺機器を含まず)。
それも、ゲーム機では仕様が画一化されていることによる最適化の利点もあるので、カタログスペックが上でも動作面を同等以上にするならさらにお値段が必要なことも。
さらに高解像度、高フレームレートを目指すなら20万~25万円。画像生成AIの運用も大体このあたりの価格帯が視野に入る。
- データの母艦やオフィス用ソフトなら、10万円で事足りることが多い。
ストレージ容量の大きさならPCの価格に比べてかなり安価に増やしやすく、後からでも継ぎ足せるので、そこまで予算に敏感になる必要はない。テレビ、ビデオとしての機能も継ぎ足すなら、さらにそれぞれ1万5千円程度足せば事足りる。
なお、10万円を切る価格で組もうとするとフリマアプリ等のお世話になるのだが、この方法での集め方はロクに動かないポンコツパーツを掴まされる可能性が一気に跳ね上がるため、初心者にはおすすめ出来ない。
無論、自作パソコンを複数回組み上げている経験者なら話は別だが……。
それでも「動けば御の字」以上のものは完成しないので、値段を重視するならその辺りは割り切ったほうがいい。
動画制作ならGPUやCPUを高性能にすることでエンコードの時間を短縮できるし、DTMならメモリとストレージをたくさん積まないと大容量な音源に食われてしまう。お絵描きや音楽制作なら、PC以外の機材に必要な経費との兼ね合いも出てくる。
仮想通貨マイニングや高度な科学技術計算のような大規模な計算ならばゲーミングPCよりも遥かに高性能なGPUが、場合によっては複数枚必要なことも。数十万円では済まないことも多い。
いよいよパーツを決める順番だ。
- まずはOS。Linuxを使わないならWindowsでおk。
- Windowsの場合、エディションが用途に合ったものかを確認する。数台以上の並列運用や、Linuxのノウハウを使いたい、その他システム面に深入りしたい理由があるならPro、それ以外ならHomeを。
- パッケージ版かDSP版かは後で決めても構わず、オンライン前提ならHome→Proのデジタルアップグレードも効く。
- 物理的なパーツのうち、はじめに考えるべきはグラフィックボード(GPU)。用途上必要か否か、もし必要ならどの性能が必要かを考えよう。
- 他のパーツよりも先に選ぶのは、GPUの性能は他のパーツの性能に足を引っ張られやすいから。CPUやメモリを先に決めてしまうと、GPUの性能が制限されてしまうことも多い。
- 『そのGPUがどのくらいの能力を持つか』の検証データがネット上にたくさん転がっている。ベンチマーク(性能検証用の高負荷なプログラム)の結果や実際のゲームでのフレームレートを参考に、必要な性能と予算を天秤にかけながら選ぶべし。
- ちなみに、GPUを内蔵しているCPUも存在する。3Dゲームにあまり手を出さないならそれで済ませて「GPUは買わない」という選択肢もある。GPU搭載タイプであっても、後からGPUを買い足してそっちに交代できるので、懐が寂しいならこの買い方がおすすめ。
- GPUの次はCPU。一般的な用途ではここが一番PCの性能を左右する。
- GPUを使わないなら、GPU機能を持ったCPUを選ぶこと。画面が映らなくなって困るぞ。
- GPUを積んでいるなら、CPUが足を引っ張る現象、いわゆるボトルネックがなくなるようにCPUを選ぶとよい。こちらも検証データが大量にレビューされているので、提灯記事に注意しながら参考にしよう。
- 続いてメモリ(RAM)。この容量によってできること、できないことが出てくるため、重要性は非常に高い。
- メモリの速度についてもGPUを使いこなすなら重要だが、それほどボトルネックになることは少ないので、できればでよい。
- マザーボードはCPUとメモリの次。CPUを決めると取付可能なCPUのソケットが決まり、チップセットもある程度絞られる。
- メモリにも規格が存在するため、正しい規格に対応したマザーボードを選ぶことも忘れずに。メモリの相性問題を気にするなら、マザーボードを決めたあとにマザーボードメーカーのメモリ対応表を確認。もしも動作確認ができていないなら、同じ規格や容量で対応表にあるメモリに変更しよう。
- PCのサイズと外部接続端子、そして拡張性が全て決まってしまうので、PCの外に何を置くかについてはここまでに考えておこう。
- その他の内蔵パーツもマザーボードより前に決めておこう。拡張スロットが足りなかったり、GPUで余計なスロットが塞がるとか、M.2の排熱が塞がるようなクソ配置のやつだと悲惨だぞ。
- ストレージは、マザーボードの後でよい。
- 現代のマザーボードなら基本的にM.2端子とSATA端子は最低1つずつは備えているので、M.2 SSDにせよSATA SSDにせよHDDにせよ、基本的に普通の用途には充分。
- なんなら後からでも継ぎ足せるので、現状の必要に応じたもので構わない。
- ここまで来たら、冷却装置以外の消費電力は決まっているはず。
- 冷却装置は誤差の範囲として、電力に合った電源を選ぼう。安定動作や静音化、拡張性のためのマージンは必要と予算に応じて。
- ほとんどの構成部品が出揃ったところで、PCケースを決めよう。マザーボードと電源装置が決まれば、それが入れられるケースの規格も決まってくる。
- 組み上がったPCの最高にイカス…かはさておき、無骨にカバーするかスケルトンで見せるか、外見をお好みにキメていこう。
- 逆にいえば「このケースで自作パソコンを作りたい!」というタイプの人であれば、そのケースに合わせてマザーボード等の規格を決めていく流れとなる。
- 特に初心者の場合は、冷却装置は最後に決めよう。
- 空気の流れ(エアフロー)はケース(PCの形)が決まらないと分からないし、そもそもの話冷却装置がケースに入らなかった、他の部品とCPUクーラーが干渉した、なんてこともある。
- CPUクーラーについても、初心者ならここでよい。よっぽどハイエンドなCPUを選ばない限りは対応した形状と冷却性能のものが必ずあるはず。
- 透明なケースを使うなら、光って回るクーラーを選ぶのもいいだろう。合わせて映えるものを選ぶとテンションが上がったりするかもしれないぞ。
- あとはマウス、キーボードといった入力装置や、ディスプレイやスピーカーといった出力装置を。
- せっかく高額なGPUやサウンドカードを買ったのならば、それに相応しいデバイスで応えよう。
- パーツが出揃ったら後は組み立て。
- そして前のPCからの環境移行という地獄が始まります。
【CPU】※必須
中央演算装置。人間でいう「脳」にあたる。
これの性能が良いほど、
- PCの動作が速くなる
- 同時に複数のアプリを扱える
- フリーズ等に強くなり日頃のメンテナンスの手間が減る
など、性能の良し悪しを直接左右する重要なパーツ。
「せっかく作るなら性能のいいパソコンが欲しいなあ!」と考えている人は、まずこのCPUとメモリにお金をかけることを考えよう。
ただし、実を言うと
現代のCPUは全体的に質がよく、頭打ちの感がある。
3Dモデリングや4K動画編集作業など、よほど複雑な作業をするつもりでもなければ性能で困ることはほぼない。CPUは明確な寿命といった基準が存在せず、また無茶なオーバークロックをせず、冷却を怠らなければ非常に長く使える。
また、性能の高い(≒値段が高い)ものほど消費電力や発熱が増えてしまうため、
高ければいいわけではない。良いものが欲しいからと考えなしに「
一番いいのを頼む」と店員に頼むのはNG。
初心者なら「そのPCで何をしたいのか」、経験者なら「要求するスペックは幾らなのか」を相談することを強くおすすめする。
追記者の主観だが、余程異常な使い方をするのでもない限り、店員や詳しい人におすすめしてもらった手頃な商品で十分に事足りるはずだ。
概ねその製品のグレードと世代によって性能が決まる。
CPUのメーカーはIntelとAMDの2社だが、どちらを選ぶかは好みで。
かつてはよほどのAMD党や、内蔵グラフィック(内蔵GPU)性能が欲しい場合でない限りほぼIntel一択の状況が長期間続いていたが、2017年3月にRyzenが登場し、以降も目覚ましい性能向上を遂げたこと&Intelの諸々の問題で自作er的にはAMDが逆転している。
なお、製造量と知名度ではIntelの方がまだまだ多いため、既成品のPCなどを含めたPC全体でのシェアは未だにIntelが7割を占める。
自作界隈でも例外ではなく、Ryzenの最新モデルが売り切れだったので旧モデルかIntel Coreシリーズのどちらかで泣く泣く妥協なんて事も……
あと、CPUそれ自体の構造や仕組みについての解説は、当Wiki内の
CPUの項目にある。詳しく知りたいならそちらを参照すること。
大まかには以下の通り。
Intelの場合 |
ブランド名 |
▲高グレード |
Xeon W |
|
Core i9/Core Ultra 9 |
|
Core i7/Core Ultra 7 |
|
Core i5/Core Ultra 5 |
|
Core i3 |
▼低グレード |
Intel Processor |
AMDの場合 |
ブランド名 |
▲高グレード |
Ryzen Threadripper |
|
Ryzen 9 |
|
Ryzen 7 |
|
Ryzen 5 |
|
Ryzen 3 |
▼低グレード |
Athlon |
グレード間の違いとして一番目立つのはコア数であり、Core i3・Ryzen 3なら4コア、Core i5・Ryzen 5なら6コア、…、とだいたい決まっている。
ただし、同じグレードでもコア数が違う場合があるので注意。例えば同じ「Ryzen 9」でも、12コアのものと16コアのものに分かれている。
主流はRyzen 3~7と、Core i3~i7/Ultra 5。それらより上はいわゆるハイエンド、性能を求める人が買うコスパ度外視モデルである。
なおこれらの他、サーバーやワークステーションなどの産業用途向けに、Intelの「Xeon SP」やAMDの「EPYC」が存在し、上記と同様に単品販売されている。
近頃のCPUは、内部の設計が更新されてもグレード名が変わらないことが多く、よく「第◯世代」といった呼ばれ方をする。
もちろん型番で見分けはつくのだが、いかんせん紛らわしい命名規則であることに変わりはない。
同じ商品名・コア数・周波数でもより新しい世代のCPUは全体的に性能が向上するので、うっかり古い世代のCPUを買うようなことがないようにしっかり調べることをお勧めする。
逆に、若干の性能差に目をつぶって値崩れした前世代品を使うという手もあるので、そこは財布と相談しよう。
デスクトップPCにおける2024年末現在の最新世代は、Intel CoreがUltra 200番台、AMD Ryzenが9000番台。
なお、AMD RyzenではCPUの型番(モデルナンバー)と内部設計(アーキテクチャ)の関係がえらく複雑怪奇になっていて、特に注意が必要。
モデルナンバー (番台) |
アーキテクチャ |
9000 |
Zen 5 |
8000G |
Zen 4 |
7000 |
|
|
5000(G含む) |
Zen 3 |
4000(G含む) |
Zen 2 |
3000(G除く) |
3000G |
Zen+ |
2000(G除く) |
2000G |
Zen(初代) |
1000 |
※6000番台はデスクトップ用に開発されていない。
CPUには形状の規格が設けられており、それに対応したマザーボードを用意しなければ装着できない。
しかし、IntelとAMDは競合関係にあることもあって規格を統一しておらず、雑に選んでしまうと、IntelのCPUを買ったのにマザーボードがAMD用なので取り付けられない、という事態に見舞われる。
しかも、IntelのCPUは世代によって規格=マザーボードのソケットの形が違うことすらある。
大抵は通販でも店頭でも対応規格がCPU・マザーボード双方で明記されているので、きちんと確認しよう。
\ |
一般向け [メインストリーム] |
超ハイクラス [エンスージアスト] |
Intel |
・Ultra 200: LGA1851 ・第12~14世代: LGA1700 |
・Xeon W 3400: LGA4677 ・Xeon W 3300: LGA4189 |
AMD |
・7000~9000番台: Socket AM5 ・5000番台以前: Socket AM4 |
・Threadripper 7000番台: Socket sTR5 ・Threadripper 3000番台: Socket sTRX4 |
CPUがフルパワーで動作している時、最大でどのくらいの熱が出るかを表す量。単位はW。
この値が高いほど、より強力な冷却装置(後述)が要求されるようになる。
例えば、市販品のCPUクーラーには対応できるTDPの上限が設定されており、それに収まるCPUを選ばないと、CPUを十分冷やしきれず、PCが緊急シャットダウンする(後述)などの障害が起こりやすくなるので注意。
実はこれ、CPUの内部で消費される電力とは異なる。
だが、「TDP=最大消費電力」と消費者に勘違いされることが多かったり、TDP表記と実際の消費電力が大きく乖離していたりした。
そのため、Intelは第12世代Core発表とともに、TDPに代わる新たな指標として、平常時の消費電力を示す「Processor Base Power(PBP)」と、フルパワー時の最大消費電力を示す「Maximum Turbo Power(MTP)」を考案・採用した。
一方AMD CPUでは「TDP=最大消費電力」と考えてもほぼ間違いなかったため、特に大きな問題にはなっていない。……はずだったのだが後に「Platform Power Threshold(PPT)」と呼ばれる指標を導入し、Intelに追従している。それでもIntel製CPUに比べると大人しめの数値である事が多いが。
製品によっては、CPU内部にGPUの回路を搭載しており、後述のグラフィックボードがなくとも映像出力ができる(≒そのままPCが使える)。
ただし大抵の場合性能は低く、あまりゲーム用途には適していない。(AMD Ryzenシリーズのうち、型番に「G」とつくものは除く)
内蔵GPUを搭載していないものは以下の通り。
◇Intel Core: 型番に「F」または「X」とつくモデル
◇AMD Ryzen 5000番台以前: 型番に「G」とついていないモデル
◇AMD Ryzen 7000番台以降: 型番に「F」とつくモデル
ここから下は選び方にそれほど影響してこないが、予備知識として覚えておくと便利。
コア数とは物理的な演算回路の数で、スレッド数はOSで認識される論理上のコアの数のこと。前者は「物理コア」、後者は「論理コア」と呼ばれることもある。
基本これらの数が多ければ多いほど単体のCPUが同時に処理できることが多くなり、総合的な処理速度も速くなる。
2024年8月現在は4~8コア(Intelの場合はPコア)が主流で、10コア以上はやや玄人向け。
特にAMDのThreadripperシリーズにもなると、最大96コアとかいう冗談みたいな数に達する。
1コアにつき2スレッドで動作するのが基本的だが、Intel Coreシリーズに限り若干事情が異なる。
Core iの第12世代(12000番台)からは、高性能だが消費電力も高い「Performanceコア」(Pコア)と、性能はそこそこだが電力効率が良い「Efficientコア」(Eコア)を組み合わせた設計になっている。
Pコア側が1コアあたり2スレッド動作可能だが、Eコア側は1スレッドに留まる。
また、Core Ultra 200番台ではPコア側も1スレッド動作になった。
「クロック周波数」とも言われる。
「●.●GHz」の数字が高ければ高いほど性能が良い…のは確かだが、実際には、CPUの設計思想がグレードや世代ごとに違うため、性能の指標として単純には比較できない。
現実には「同じグレードかつ同じ世代のCPU」であれば、動作クロックが速いほうが高性能と考えて良い。
例えばクロック数の高いCore i3より、クロック数が低くてもi5の方がシングルコアの性能も高かったりする。
また、大半のCPUには、定格のクロックの他に「ブーストクロック」が設定されている。
これは、マルチコアを上手く活かせないソフトウェアを動作させる際に、一時的に特定のコアだけ定格を超えたクロックで動作させる技術である。
後述のオーバークロックとは違って、保証の範囲内の動作なので、これ自体が故障につながることはまずない。
余談ながら、2000年代前半までは今ほどCPUのグレードはなく、せいぜい上位ブランドと廉価ブランドがあって、その2種類の中に動作クロックの違うモデルが数種類ある……といった程度だった。
その頃はIntelもAMDもひたすらクロック数を上げることに邁進していたのだが、高クロック化に伴い発熱も増大していき、やがて処理しきれないほどとなってしまい(掃除機並みの爆音でクーラーのファンを回してもなお冷やしきれない)、クロックは程々にしてマルチコア化やクロックあたりの効率を上げる方向に両社とも舵を切ることになる。
「L3キャッシュ◯MB」などの数字。大抵グレードの高いCPUほど多く積まれている。
L1、L2、L3の3つがあるが、このあたりの役割は説明が面倒難しいので、それぞれの容量が多けりゃいいと思っていただければいい。
地味ながら性能に大きく響くが、このあたりはコア数以上にタスクに依存する面が大きい。特にゲーミング用途では、キャッシュメモリによる性能向上が大きい。
高性能なゲーミングPCの流行もあってか、各社様々な方策でキャッシュメモリ容量を増やす方向に舵を切っている。
特に有名なのはRyzen X3Dシリーズ(5000番台以降に存在する、型番の末尾にX3Dが付いてるやつ)の3D V-Cache。これは通常の集積回路の上にL3キャッシュを物理的に乗せることで、通常のCPUサイズに大量のL3キャッシュを積んだものである。
【メモリ】 ※必須
メインメモリ、主記憶装置、RAM(Random Access Memory)とも呼ばれる、作業中のデータを一時的に展開しておく部品。
一般にはストレージの「引き出しの大きさ」に対応する「勉強机の広さ」に例えられ、
CPUの「ペンの書き心地」と並んでPCの処理速度・マルチタスク性が上がる重要なパーツ。
このメモリ(とCPU)が一般的な意味での「PCの性能の良さ」を左右する、つまり
メモリとCPUにどれだけ良いものを宛てたかでPCの基本性能が決まると言っても過言ではない。
動作のもたつかない快適なPCを作りたいなら、メモリの出費をケチらないようにしておきたい。
マザーボードのスロットに接続するため、マザーボードが対応している種類を選ぼう。
たまに
CPUとの相性で正常に動作しないことがあるため、心配なときは店員さんに確認してみよう。ショップによっては「相性問題が出たら別メーカーのに交換します」という保険金が付けられる場合もある。
QVLとしてマザーボードベンダー側で動作確認したメモリのリストがあるため、その中のものを買うのも手。
2018年頃より「光らすためのダミーメモリ」という物体も登場。
うぃらめぇ時代のRDRAMを思い出したらおっさん確定。
「DDR◯」がメモリの形状規格。
「DDR◯L」など、末尾にLがつくものは形状は無印と同じでありながら低電圧で駆動する。
またSO-DIMMと呼ばれるものはノートPC用メモリなので注意。超小型のPC(後述のベアボーンキット等)になると、デスクトップ型でもSO-DIMMを使う場合がある。
さらに2024年現在では、SO-DIMMとDIMMの両方の置き換えを狙った「CAMM」なる新規格も登場。薄型であることと配線の短さによる低レイテンシが特徴で、最新のノートPCへの搭載が始まっているほか、自作用のマザーボードにもスロットの搭載が計画されている。
あとMacの一部モデルやXeonやEpycといったサーバー用CPUは、Registered DIMMという専用のチップを積んだメモリしか受け付けない。
普通に出回ってるUnbuffered DIMMに比べるとちょっと高い上に数自体少ないので注意。
2024年8月現在はDDR5が主流。
上記のDDR5の場合、「PC5-◯◯◯◯◯」「DDR5-△△△△」という数字が大きいほど高性能なメモリになる。
ただし、CPUやGPU(後述)ほどは性能向上に寄与しない上、「PC5-57600 (DDR5-7200)」などの高速過ぎるメモリを選ぶと、OSの起動に失敗するなどトラブルの可能性も高まるため、よくわからなければ「PC5-38400 (DDR5-4800)」のような、程々の速度にしておくべき。
またCPUが「デュアルチャネル対応」と宣言している場合、同じ32GBでも、32GB×1枚より16GB×2枚に分割すると高速化する。市販のメモリモジュールに2枚セットが多いのはこのため。
ただ、マザーボードの特定の2スロットに挿し込む必要があるので注意。マザーによって隣り合った2スロットなのか、1つ空けて2スロットなのかが異なる。
なお、「PC5-◯◯◯◯◯E」とか「PC5-◯◯◯◯◯R」とか、末尾にアルファベットのついたものは大抵特殊用途向けなので、よく調べてから買うこと。
ちなみにDDR5メモリには、4枚使うと動作速度が低下するというCPU側の都合による仕様が存在する。
例えばDDR5-6000のメモリを4枚挿すと公称の6000MHzではなく4800MHzで動作する、といった所。
とは言え先述の通りCPU等よりはPCの性能に寄与しないため、速度よりも容量を重視する場合は4枚挿しでも特に問題はない。
どうしても気になるなら、ちょっと奮発して4枚分の容量のメモリ2枚のセットを買うといいだろう。
読んで字のごとく、メモリの大きさ。PCの性能においては上の動作速度よりもこちらの容量の方が重視される。
基本的に大きいほど良いが、その分値段も跳ね上がる。
不足するとPCの動作が遅くなるので、使いたいOSやソフトの「推奨スペック」を参考に決めよう。
2024年8月時点での主流は、最低でも8GB、一般的には16GBは欲しい。画像処理や動画エンコードを多用する人は32GB以上必要。
OSやソフトは高速化、ディスクアクセスの減少といった理由のため、あればあるほど使うようになっているため多く積んで損はない。Windows7位の世代なら最低限4GBでも大丈夫と言われたが、今のOSはもはや8GBでも足りないという意見が出る程度にはガンガン消費する。
また、マザーボード側で認識できる最大容量というものがあるので、それにも注意。128GBのメモリを買ってきてもマザーボードが64GBまでしか認識しない場合は完全に無意味。
DDR4までは1GB、2GB、4GB…と、2倍単位で容量が増えるものしか存在しなかったため、16GBだと足りないが32GBだと過剰すぎてもったいない、というような容量選びが悩みの種の1つだった。
DDR5では24GBと48GBのメモリが登場するようになったため、現状レアでコスパは極端にいいとはいえないが適切な容量を選びやすいようになっている。
なお、32bit版のOSは仕様上4GBまでしか認識しない……それどころか、実際は32bit版OSが使われているであろう古いハードの制約上3.0~3.5GB程度までしか認識しないと思った方が良い。設定などで無理やり4GBまで認識させることが可能な場合もあるが、致命的な不具合をやたら起こしやすくなる。
また、その手の界隈の人以外だと昨今では見かけることは稀だが、古いハードに64bit版OSを入れた時も同様の問題が生じる場合がある。
一応これらの場合でもソフトを使えば残りの容量をRAMドライブとしては使用可能。
グラフィックボードを使わず、CPU内蔵GPUを使う場合限定。
CPU内蔵GPUは、GPUが使うVRAM(ビデオ出力に使用するメモリ)領域をメインメモリで賄っている。
そのため、メインメモリの動作速度とデュアルチャンネル動作の有無がグラフィック周り(特に3D描画)の性能に影響するため、なるべく高速なメモリをきちんとデュアルチャネルで使いたいところ。
容量についても、最大でメインメモリの半分までを上限に自動で変動させるようになっているが、3Dゲーム等をやる場合は2GB以上をVRAMに割くことがあるので少し多めに積んでおこう。
メモリに命令が送られてから実際にメモリが動作するまでにかかる時間のこと。46-45-45みたいに数字が並んでいるのがそれ。
この数値はクロック数で表されており、これにクロック数をかけたものが実時間のレイテンシとなる。
これら3つの数字はそれぞれ別の動作に対するレイテンシを示しており、最初の数値はデータを用意するためのレイテンシ、2つ目は読み取りにかかる時間、3つ目は行を用意するための時間であるとのこと。
レイテンシは短い方がデータの用意が早くなるため、多少のゲーミング性能等の改善が見込めるとされる。
メモリクロックが同じでもレイテンシを短くすることで性能を上げることができるが、詰めれば詰めるほど猶予もなくなるので、動作は不安定になりやすい。もちろんユーザー側がやればオーバークロック扱いになる。
【冷却装置】 ※必須、だが付属品でも可
文字通り、PCの出す熱を処理するための冷却装置。
CPUを冷やす
CPUクーラーや、ケースに取り付けるケースファンなどのこと。
PCパーツは使用しているとかなりの熱を発し、その熱によって性能が劣化する他、最悪壊れてしまう可能性がある。それを防ぐため、PCにはファンを始めとした冷却装置を取り付けることが必須となっている。
最近のものは自身の温度を常に測定し、一定の温度に達するとリミッターがかかる機能がついているが、折角の高性能な部品の性能が制限されてしまうのは勿体ない。
冷却性能を高める他にも、騒音を小さくするため可能な限りファンを減らす、あるいは完全なファンレス化を目指す、掃除の手間を減らすために正圧化してフィルターをつける……といった方向性もある。
空冷クーラーやケースファンを使っている場合、ホコリは避けられない問題で、内部がホコリまみれになってヒートシンクの隙間にも入り込んで冷却できなくなって最悪PCが強制終了する。また、喫煙者の場合はヤニまみれになったり、超音波加湿器をかけているとカルキがPC内部で結晶化したりすることもある。
手っ取り早く高い効果を得たいからといって、冷えピタなどの冷却ジェルやアイスまくらをPCに使ってはいけない。本体内部に結露が発生して故障の原因になる恐れがあるからだ。
CPUに取り付けるクーラー。必須である。必ず用意しよう。
ただ、CPUを買うと大抵備え付けのものが一緒についているため、単に動かすだけならそれを使えば問題はない。
クーラーが同梱されていないCPUを買ったとか、あるいはそれなり以上の冷却性能を求める時など、何らかの理由で別売りのCPUクーラーを使う場合、使うCPUに対応していると謳っているものを選ぶか、CPUのTDP値を目安に探すことになる。
大型のCPUクーラーは、ケースやメモリー等と接触・干渉して収まらないこともあるので特に注意が必要。
昔はサイドパネルに穴を開け、ダクトや小型ファンを設置し、ダイレクトにCPUクーラーに外気を導く手法が流行っていたが、令和の現代ではほぼ見られなくなった。
サイドフロー型CPUファンが一般化してダクトに干渉するようになったりだとか、CPUだけ冷やしてもあまり効果がなく、ケース全体でエアフローを考え整えないと意味が無く、他のパーツの発熱(主にM.2 SSD)で悪影響が出やすくなったというのもあるか。
横から見た時に目立つパーツである為、クリアパネル等で中が見えるようにしているケースを利用しているなら、此処に拘るとカッコ良くなりやすい。
余談というか注意事項だが、AMD Ryzen 5000番台以前の場合はCPU固定方法の仕様上、CPUクーラーを外そうとすると、CPUロックを掛けていてもそのままCPUごと引っこ抜けてしまう場合がある(通称・スッポン)。
これをやらかすとCPUのピンが折れてCPU全損どころか、最悪マザーボード側のソケットが壊れて全損になるので注意。
CPUクーラーを掴み、左右にねじりながら外すとスッポンを回避できる。
7000番台からようやくIntelと同じ固定方法になったため、スッポンは解消された。
IntelのCPUは金属の枠でCPUの周りを固定するシステムなので、相当変な外し方をしない限りはスッポンしないが、CPUクーラーを固定する押しピンが、外す時に壊れやすいので注意。
予備というかピンも4本購入するか、ネジ止め式に変更するキットを一緒に買っておいた方が手間がかからずに済む。
PCケースにつける送風機。基本的にこれも必須だが、一部の上級者がごくまれにファンレスのマシンを組むことがある。
こちらも、ケースには最低限のファンが同梱されているため購入の必要はない。しかし、それ以上の性能を持つ別売りのファンを購入するユーザーもいれば、光らせて見た目を良くしたいがためにLEDつきのファンに換装するユーザーもいる。
標準のファンは縦横120mm、厚さ25mmとなっている。基本的にサイズが大きいものほど冷却性能が高くなっていくため、より高い静音性と冷却性能を求めるのであれば縦横140mm以上のものを、静音性を投げ捨ててでも冷却性能を求めるのなら厚さ38mmのものを使うといいだろう。
現在一般的に出回っているケースファンは縦横230mm程度が恐らく最大サイズ。当然冷却性能も静音性も段違いだが、何分デカすぎて付けられるケースは限られる。
またそもそも180mm以上のファンは流通量が少なくなかなか手に入らない上、そんな大きいファンを取り付けられるPCケースも極めて限られるので、基本的には140mmを上限に考えよう。
ここまでにちょいちょい「静音性」という言葉が出てきているが、基本的には「ケースファンが立てる音の大きさ」のこと。
初めて自作するのなら「音が大きくても平気平気」とナメてはならない。
というのも、静音性の弱いもの(特に、主にサーバや産業用で使われる38mm厚のファン)はめちゃくちゃうるさいのだ。下手するとヘッドホンやイヤホンを貫通して音が聞こえるほどに。
よっぽどの騒音に慣れている人でなければ不眠症、耳鳴り、難聴などの健康被害がほぼ確実に発生する。
音で体が削られていると表現する人もいるが、まさしくそう錯覚するほどにうるさいのである。
冷却機構そのものではないが冷却に関わる内容。
クーラーやヒートシンクなどは単純にCPUなどチップの上に置いただけではそれほど熱が移動せず冷却力は低い。間に残る僅かな空気などで熱伝導率が落ちるからだ。
これを緩和するためにサーマルペーストという粘着物で隙間を埋め、熱を伝わりやすくする必要がある。
基本的に油性ペーストを使用するため、俗称は「グリス」。
CPUクーラーなどには付属品がついているか最初から塗られていたりして大体それで十分なのだが、ここでもこだわる人は自分で選択したグリスを塗る。
基本的にはシリコングリスに熱伝導の為の金属粒子等を混ぜた物が多いが、中には液体金属製という物も有る。
グリスに関してはかなりオカルトめいた情報が飛び交っており、その割には塗り溢しなどがあるとショートして故障するなど、そこそこリスクのある物。
特に液体金属ははみ出たら確実にアウト。また塗った時は大丈夫でも、熱膨張で膨らんではみ出しショートするだとか割れるだとかのトラブルもある。
なお、時間経過で乾いてダメになるという話がよくあるが、実は単に乾いただけなら(グリスの素材にもよるかもしれないが)大丈夫だったりする。
ただし、乾きと振動などで中途半端な接続になったり、内部に空洞が出来ることは往々にあるので、そうなったら添付品のものでもいいので古いグリスをふき取って塗り直した方が良い。
外さないと分からないので、目安としてはエアフローに注意していてさほど酷使もしていないのにCPUが高熱な時(あるいは熱が原因のシャットダウン機能で気づくこともあるだろう)に行う程度。
上にも書いたけどRyzenの5000番台以前を使っている人は、塗り直そうとする時にスッポンしないように注意。
メーカー既製のPCやデフォのパーツに付属している物でも冷却機能は基本十分であり、PCを多用していても10年以上普通に保ったりもするので、この辺りに手を加える必要性はほとんどなく、基本的には性能というよりは細部へのこだわりや興味本位によるところが大きい。
なお、グリスの他にも熱を伝えやすいシート(サーマルパッド)というのもある。
以上で述べた他にも、PCは様々な部位が発熱するものなので、専用の冷却装置が取り付けられることも多い。
特にCPUに供給する電力を調整するVRMや、コントローラーチップが高温になるM.2 SSDについては冷却が重要で、ほとんどのマザーボードにヒートシンクが付属している。
ヒートシンクで飽き足らず、特定の部位にファンや水冷用の水枕を接続して直接冷却する、なんてことも近年で珍しくない。
ヒートシンクでCPUの熱を吸収し、それをCPUファンによる風で放散させる一般的な冷却方法。構造がシンプルな分安価で信頼性も高い。
CPU上部から風を吹き付けるトップフロー型と、ヒートシンクを立てて横から風を通すサイドフロー型の2種類がある。
トップフロー型はCPU以外のパーツもついでに冷やすことができ、サイドフロー型はケース内をスムーズに風が流れるためCPUの冷却性能が高くなる。好みで選んでも問題ないが、サイズの吟味は欠かさずに。
トップフローで高い冷却性能を得るために変態と化すCPUクーラーも稀によくある。スサノヲとかジェネシスとか。
CPUを購入すると付属するのは基本的にトップフロータイプの空冷クーラー。部品自体の精度や質は決して悪くないのだが、付属品という性質上静音性は劣悪で冷却性能もCPUを使用する最低限度となっている。
変わり種としては、巨大なヒートシンクによってケース内のエアフローのみで冷却を賄うファンレスタイプもある。モバイル用やそれに近い設計の低発熱CPUを基板に直付けしたタイプのマザーボードに多い。
空冷式の現時点での究極として、ケース外板が表面積の多い形のアルミ製になっておりヒートパイプでマザボやCPUの熱をケースに伝導させて放散する、いわばケースそのものが巨大ヒートシンクとして機能するというトンデモマシンも市販されている。
CPUの熱を冷却液に吸収させ、それをファンによる風で放散させる冷却方法。\
空冷のヒートシンクを冷却液に変えた感じだが、冷却液はパイプを使って移動させられるので、より冷えやすいようにケースの外側付近まで運んでから冷やすことができる。
これによるメリットとしては、冷却性能の割に小型化できること、空冷に比べて冷却性能の上限が高いことなど。
特に2023年以降のCPUは性能競争の激化により初期設定でもサーマルスロットリングが起こるCPUが増えているので、CPUの全性能を発揮したいのならばこちらを選ぶのがよい。
デメリットとしては高価であることと、組み立てやパーツ換装に手間がかかること、作った後の冷却水や配管の定期点検が必要なこと、駆動部が多くなるため故障率が上がることなど。
場合によっては水漏れや結露など致命的なトラブルを起こす可能性もあるため、挑むにはそれなりの覚悟が必要になる。
CPUクーラーに「オールインワン型」「簡易水冷」という、水冷に必要な機能をコンパクトに収めたものが出回っているので水冷が気になったらそれから試してみよう。
それとは逆に、自分で全て組み立てるタイプの水冷クーラーは「本格水冷」と呼ばれることが多い。
究極を求めようとすると、チップセット等のすべての発熱機器にヒートシンクを付ける事もある。
クーラント(冷却液)に蛍光塗料を少々混ぜ、ケース内にブラックライトを設置すると、各パーツを連絡するクーラントパイプがいい感じで光るので、見た目を重視するならぜひ。BYOCイベントでは超目立つぞ。
冷却水を常温以下に冷却して循環する装置。構造上、本格水冷でしか使えない。
ラジエーターがわり、もしくはラジエーターの後に設置することで冷却性能を上げることができる。
温度調整が容易なのでペルチェ素子よりも結露対策はしやすいが、値段と電気代からコスパ的にはネタの範疇か。
電圧を加えることで一方の面を低温、もう一方の面を高温にできる素子。CPUに低温側を貼り付けることで、CPUを常温以下の温度に冷却できる。
熱力学を学んだ人なら分かると思うが、高温の面はCPUの温度を下げた分よりもさらに熱くなる。もちろんそのままでは継続的な冷却は不可能なので、空冷や水冷の接着面に利用して限界性能を高めるための補助的な手段として使われる。
……のだが、ペルチェ素子はそれ自体の消費電力も大きいため、電力効率としては非常に悪い冷却方法である。
さらに、素子の温度が他の部位や外気に比べて相当な低温になるため、温度に合わせてうまく出力をコントロールしないと結露の危険性も出てくる。
これらの弱点から、2000年代前半に一時期注目されたものの、すぐにこの冷却方法は廃れてしまった。2010年代末以降は、温度調整プログラムと併用してペルチェ素子を採用した水冷クーラーが再び登場したものの、やはり主力にはなっていない。
/!\ 上級者向けです!!真似しないでください!! /!\
CPUと言えば、多くの人が緑色の基板の上に大きめな鈍色の金属が乗っている様を想像するだろう。
しかし、あの金属は実はただのカバー(ヒートスプレッダー)であり、CPU本体ではない。本体であるシリコンダイはその内部に隠されている。
そのカバーを取り外し、シリコンダイを直接冷却する、もしくはシリコンダイとカバーの間に塗布するサーマルペーストを交換することで最大の冷却効率を目指す、というのが「殻割り」である。
もちろんメーカーが想定している使い方ではなく、取り外す方法も万力などで強引に取り外すという力業であるため、取り外す段階から実用する段階に至るまで大きなリスクが伴う。
実用上意味があるほどの違いが感じられるわけでもないらしいので気軽に真似してはいけない。
/!\ 超上級者向けです!!真似しないでください!! /!\
極まった者は更なる冷却効率を求めてより高みを目指すという。
検索すれば分かるが、これらはある意味究極の冷却方法。なんとPCの基幹部分全てを
冷却液の中に沈めるというとんでもないやり方。
油冷は油の中に基盤を沈める。海冷はなんと
海に基盤を沈めるという超ダイナミックな冷却方法である。海冷ならば冷却コストは0円と大変お安い。
……言うまでもないが相当な手間がかかる。
やってる人間はいないこともないが、それこそどこぞの大学の研究でだったり、スパコンのような大規模なサーバマシンを保有する巨大IT企業だったり、あるいはアニヲタWikiを見る時間すらPCの改造につぎ込むような究極のド変態だったり、と正に「研究」と呼ぶべき領域であり、人生を捧げるレベルにのめり込まないと割に合わないのが現状である。
とはいえ、海冷は業界最大手のMicrosoft社は大真面目に実験をしており、将来的に実現するつもりで全力で取り組んでいるため、
いずれは膨大なデータを保有するIT企業などにとって、海冷も風冷・空冷に次ぐメジャーな冷却方法になるかもしれない――。
これをすると思わぬ影響でむしろすぐに壊れたり、壊れずともメンテナンス困難になることで簡単に修復できなくなるため(そのため個人でやる場合は壊れても良いマシンをぶちこむ)、あくまでも理由は特殊な用途・研究・ネタのためで基本的に逸般の誤家庭一般のご家庭の実用目的ではない。
上記の極まった者たちとはまた違った、開き直ったアプローチ。
ケースを必要最低限の骨組みで済ませるか、もしくはサイドパネルを取り外し、扇風機の風を直接当てて冷却する方法も存在する。
ケースファン方式の極致とも言え、ケース内のエアフロー(空気の流れ)をそこまで考え無くても良いため、当然ながらケースファンと比べ圧倒的に冷却性能は高い。
冗談みたいな方法だが、特に夏場は冷房の風を直接当てることも可能なため、これで凌いでいる者は少なくない。
何より最大の利点は家電なので入手性に優れること。そこら辺のホームセンターでもより取り見取り。
弱点としては、当然ながらパーツ類がむき出しなので飲み物をこぼす、物を落とす、あるいは虫や小動物の進入に気を使わなければならないことと、
ホコリに対してはフィルターを付けることも出来ないため完全な無策となり、特にCPU・GPUファン周りはホコリがべったり、という事態になりやすいのでマメな掃除を心がけよう。
またPCのケースにはエアフローを整える役割もあるため、単にサイドパネルを開けているだけではエアの流れがどこかで滞り、却って冷却性能が低下することもあるので、一概に開けっ放しが有利という訳ではない。ただ気軽にメンテ開始できる長所もあるのでペットが居ない環境且つ諸々を気を付ければやはり便利。
過去には株式会社サイズが『Propela』という扇風機サイズのケースファンがついたケースを販売していた。
銅やアルミのパイプの中に液体を入れて、熱されて気化し、冷やされて液体に戻るのを繰り返す、一般的な水冷とは似て非なるもの。これだけではデスクトップPCで使うのは難しく、ヒートシンクにつけて使われる。
とにかく冷やして効率を良くしたいと思う製作者の、ロマンと夢の終着点。
マイナス温度の物を使えば冷えるじゃん? という脳筋極まりない考えのもとに実行される。そりゃ冷えるよね、-196℃と-79℃だもんね。
やり方はCPUの上に熱伝導率の高い銅の容器を置いてその中に入れるか、CPUに直接ぶち当てる。
この方法はあくまでCPUの動作速度がどこまで出せるのかという実証実験や、IT企業主催の競技オーバークロック大会等で使われる一時的かつ超限定的な方法であり、
一般の自作PCに常用するものではない。いわゆるネタ枠。
【マザーボード】 ※必須
CPUやメモリなどを接続する基板で、PCの拡張性を決める。
他のパーツを支えるための土台のような存在なので、買うときはコレ以外のパーツを先に決め、それに対応しているマザーボードから選ぶようにするとよい。
また、無線LANに対応したものもあるので、家のネット環境とも相談する必要があるだろう。
最新のCPUに最新のマザーボードを組み合わせることで、パーツの性能を最大限まで引き出せる。
マザーボードの形状規格。
代表的なものでは大きい順に「Extended ATX」「ATX」「microATX」「Mini-ITX」などの規格がある。
拡張カードの数から固定用のネジ穴の位置までこれで決まる。ケースの対応フォームファクタに合わせて決めよう。
初めての人におすすめなのは「microATX」。
Mini-ITXは小さすぎて配線やパーツ選びの難易度が上がり値段も高く、逆にExtended ATXとATXはサイズがデカい分対応ケースの重量も重くなりやすいので、組み立て後の重量が10kgくらいになる。
以前は通常のATXが主流だったが、ストレージ1台の容量が上がって複数台搭載の必要性が薄くなったりM.2の登場でストレージスペース自体が小さくなる、拡張スロットに装備するのがグラボのみが当たり前という流れの変化でmicro派が主流となった。
「PCI Express」(PCIe)や「SATA」「
USB」、そしてメモリやケースファンなど、各種拡張スロットや拡張ポートの数。
上記のフォームファクタ次第で概ね決まってしまうが、モノによってはわざわざ旧規格の拡張ポートを残していたり、USBポートを大量に装備してたりと特徴がある。
PCの構成や使いたい周辺機器を確認しておき、いざ組んで見たら「あれが足りない……」なんてことがないようにしよう。
マザーボードにはPCの部品のほとんどがつながる関係上、また後々増設する可能性を考慮して、ある程度余裕をもたせることができれば尚良い。
CPUの項でも少し記載したが、CPUとメモリには複数の規格があり、それらとマザーボードの規格を合わせないと全力が出せないどころかパーツがセットできずそもそもPCを完成させられない、というトラブルも起こりうるので、購入前はそこに気を配ること。
なお、挿さるからといって適当に挿し込むと、パーツが認識されなかったり全力が出せないということになるため、説明書はしっかり読もう。
こんな具体例もある。
■PCIe x16スロットを2つ同時に使っていると、各スロットはx16ではなくx8で動作する。
■M.2スロットを使うと、SATAポートの一部が無効化される。
■マザーボードによっては、メモリを複数枚挿す場合にスロットの順番を指定しているものがあり、これを守らないとPCの起動に失敗する。
CPUと他のパーツを中継・接続する役割を持ったチップ。これはIntelでもAMDでも各世代ごとに3~4種ほどのグレードに分かれている。
どのチップセットを使っているかによってマザーボードのグレードが決まり、上位のものでないとオーバークロックやマルチGPUに対応していないことが多いため、事前によく調べよう。
また、チップセットの世代によってCPUソケットも違うので、CPUとの組み合わせはよく確かめるようにしよう。
CPU |
≪‐ 低 |
性能と価格 |
高 ‐≫ |
メーカー |
ソケット |
Intel |
LGA1700 |
H610 |
B760 |
H770 |
Z790 |
B660 |
H670 |
Z690 |
LGA1200 |
H510 |
B560 |
H570 |
Z590 |
H410 |
B460 |
H470 |
Z490 |
|
LGA4677 |
- |
C741・W790 |
LGA4189 |
- |
C621A |
LGA2066 |
- |
X299 |
|
AMD |
Socket AM5 |
A620 |
B650 |
B650E |
X670・X670E |
Socket AM4 |
A520 |
B550 |
X570 |
- |
B450 |
X470 |
A320 |
B350 |
X370 |
|
Socket sTR5 |
- |
TRX50 |
Socket sTRX4 |
- |
TRX40 |
Socket TR4 |
- |
X399 |
上の表を見てわかる通り、Intel・AMD両社ともにチップセットの名前が似ていて紛らわしい。
実際、チップセット名だけで判断して買い間違いをしてしまった事例も散見されている。
マザーボードに内蔵されている機能をオンボード機能と呼ぶ。
拡張カードなどで後付けする場合に比べて性能・機能は限定されることもあるが、サウンドやLAN機能などはマザーボードに内蔵されているもので充分なことも多い。
それらにはコストからRealtek社製のIC(通称:蟹チップ)が使われていることが多い。あなたのPCでもきっと蟹が働いている……
サーバや産業向けのものでは、2D画面が表示できればいい程度の簡易なGPUが内蔵されていることも。
後述するRAID機能を内蔵したものも増えている。
後述の電源ユニットから受け取った電力を、CPUやメモリなど各パーツに配分するのもマザーボードの主な仕事の一つ。
通常あまり気にする必要は無いものの、多コア高クロックのCPUでは電源回路の発熱も激しく、ここの温度が高い場合でも調整機能が働き性能が低下するため、特にハイエンド帯ではマザーボードのパーツ品質やヒートシンクの造りが重要となる。
高価なマザーボードは電源回路の品質を売りにしていることも多い。
USBポートの中にも、たまにVRMに電源用の回路を直結して電力を安定化してから給電する機能が備えられている場合がある。
電力供給の変動に起因して機器に電気ノイズが流れてしまうことを防ぐことができるので、ノイズが音質に直結するオーディオ機器や測定機器、どうしても壊したくない高額な機器を接続する際にはこのようなポートを接続するとよい。
【電源ユニット】 ※必須
ノートPCでいうACアダプタ(電源ケーブルの途中に付いている四角いアレ)に該当する。
PC内部で動作に必要な電力を確保(厳密には、家庭用コンセントの交流100Vを適切に変換して各パーツへ供給)するPCのジェネレーター。
単体で電源ユニットを売っている場合もあれば、ケースと一緒になっているものもある。
CPUは「高けりゃいいってもんじゃない」と言われるが、こちらは逆に「高ければ高いほどいい」とされる。
これは、PCに繋げる全パーツ分の電力を賄える出力がなければいけない、土台的なパーツだからである。
この電源ユニットが供給する電力よりも要求する電力が多い状態、すなわち容量(ワット数)不足になると、PCを起動できなかったり動作が不安定になったりする。できるだけ余裕を持たせたい。
安定した電力供給は、PCの安定動作はもちろん、各パーツの長寿命化にも繋がるため、人によっては最重要パーツに位置づけられており、掲示板等でアドバイスをもらう際には「電源だけはいいモノを買っておけ」と言われることもしばしば。
場合によってはHDD・SSDなどの突然死の原因として、電源の不具合によるものが挙げられる(直接的な原因としては不安定な電圧、過電流など)。
そして、全てのPCの根幹を成す存在でありながら最も流用性が高いパーツでもあるため、余裕があればなるべく良い物を買っておこう。
また、停電などを見越してノートPCのバッテリーの様な働きをする「UPS(無停電電源装置)」を追加するのもありだが、UPSで確保できる電力は基本的に停電時のセーブやバックアップ時間、シャットダウンまでの時間を確保できる程度のものだと覚えておこう。
更に最大の注意点として、多くのUPSは瞬間停電を含む停電発生時にバッテリーからの給電に切り替わるのだが、その際に給電が一瞬止まるものが多い。つまりUPSを置いていても停電でPCが落ちる。
止まってもその後に作業続行できれば良い使用環境なら問題はないが、PCに関しては瞬停で電源が切れるかはPCの構造に依存するので、瞬停すらアウトなPCでは一般的なUPSでは無理と判断する方が無難。
そのためPCを一瞬でも絶対に落としたくない目的(あるいはデータ保存やサーバー等の役割)で検討する場合は、大きくなりやすく値段も高くなりやすいが常時インバータ給電方式の様なタイプが必要になる。
またサージ保護のついているUPSも多いが、そうでなければ過電流対策ができていないので別途サージプロテクタを付ける場合もある。
つまりコスパが悪いので、個人でそこまで対策することはあまりないと思われる。
必要性を感じたら用途に合わせて設置しても問題ないと言えるだろう。
電源の大きさにも様々な規格がある。代表的なものとしては「ATX電源」や、やや小さめの「SFX電源」など。
メジャーなのはATX電源なので基本的にそちらを購入すれば問題ないが、小型のケースの場合、SFX電源でなければ入らないものもある。
オフィスや事務所等で見かける細長いPCにはSFXが多い。企業が出していたようなオフィス向けPCだとさらに小さい「TFX電源」などが使われている場合もある。
大昔にBTXという細長い奴もあったが黒歴史化した。
ちなみに、ケースを買うと一緒についてくるタイプもある。
ケーブルの位置やファンの方向などはマチマチなので相性が悪いと筐体や他のパーツに接触してしまうことがある。小型PCを組むときは特に注意しよう。
一応ある程度までは筐体の形を無理やり変えるとか、切断する手もある。
思い切って外側に出す場合もあるが、熱問題があるのでスペーサーなどでユニットを浮かせる必要がある。
変わったものでは自作PC用ACアダプタなどもあるが、これもケースの電源ユニット部分に接続するため規格は確認しておこう。
「定格出力」とも言われる、その電源ユニットが供給できる電力の大きさ。電源に書いてある「◯◯◯W」という数字がそれ。
この定格出力というやつはいわば「上限」なので、もちろん常に容量分消費し続けているわけではない。
750Wの電源ユニットを使っていても、接続されたパーツの合計消費電力が200Wなら電気代もその分だけなので安心しよう。
上記の通り容量が足りないとPCが動かず、逆に闇雲に大容量の電源ユニットを用意しても持て余してしまう。電源容量は自作を始めるにあたって一番悩むところだろう。
とはいえ、どちらかといえば「容量が足りない」場合のほうが問題が大きいので、「迷ったら余らせておく」方向で良い。
正確な消費電力を計算するのは難しいが、PCパーツメーカーなどがWEBサイトで提供している消費電力シミュレータで、自分の構想だとどれくらいの電力が必要か見積もることができるので参考にしよう。
問題になることは少ないが、場合によっては「組もうとしたらコネクタが足りず買い替えるハメに……」という事態も起こりうる。
容量の小さい電源や安価な電源はコネクタ類の数が最小限になっていることもあるので、特にパーツを増設する時は電源についているコネクタやケーブルの数をチェックしておくと失敗がない。
また、HDD・SSD用の「SATA電源」や4ピンの「ペリフェラル電源」などのコネクタが余っていれば変換ケーブルで賄えることもあるので、コネクタが足りないという場合は落ち着いてまず変換ケーブルを探そう。
特に補助電源が必要となるミドル帯以上のグラフィックボードには、そうした変換ケーブルが付属されていることが多い。
電源ユニットから各パーツへと接続するケーブルが着脱式のもの。
最近は、光学ドライブはおろかSATAのSSDすら使わない構成もあるので、必要なケーブルだけで済ませられるのはケース内の通気性にも好ましい。
最低限の電源構成だとマザーボードとCPUの電源だけあればいいので、それらのケーブルだけ電源から直接生えていて、それ以外はプラグインという製品も増えている(「セミプラグイン」と呼ばれる)。
特にマザーボードのケーブルは殆どが24ピンという幅を取るものなので、これを直接生やすと、電源側の他のケーブルの配置が楽になったり、抜き差しがしやすくなったりなどのメリットもあると思われる。
一方で格安の怪しい電源や、構成の決まっているメーカー製PCの電源は電源ユニットから直接ケーブルが繋がっているものが多く、構成の変更やパーツを追加した時にケース内がグチャグチャになりがち。
さらに言えばコストを抑えて作られているのもあって、絶妙にケーブルの長さが足りないなどのトラブルも起きやすいので、筐体内のサイズを把握して多少長めのものを選ぶことが大切。
前述のプラグイン対応電源の検討もありだが、このプラグインケーブルも機種ごとに電源側のピン配列が違う可能性がある。
同じ形をしているからといってケーブルを使い回すとマザボを焼損する原因になるので、電源を新調したらちゃんと仕様を確かめるか今までのケーブルを全部捨ててしまうのが吉。
電源ユニットは交流から直流へと電力を変換しているが、その変換効率を保証する規格がこの「80PLUS」である。
その品質に応じて、スタンダード・ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナ・チタニウムの6段階に分かれる。
80PLUS認証を取得した電源は最低80%以上の変換効率が保証され、上位グレードほど高効率になっていくが、その分値段に跳ね返ってくる。
「変換効率の高い電源=発熱が少ない電源」と考えてよく、効率の良い電源は部品や回路設計も高品質のため必然的に壊れにくく、出力される電気の質も良くなり他の部品への悪影響も少なくなる。
認証取得にはある程度のコストがかかる都合上、効率が良くても認証を取っていない製品もたまにある。
逆に認証を取得していないのにマークを掲げている「詐欺電源」もあったりするため、怪しそうな製品(特にグレードに不釣り合いに安いもの)を見つけたときは80PLUS公式サイト(英語)のリストにあるかどうか確認してみるといい。
主流は、値段と品質のバランスが取れているゴールド。
2019年頃より登場した、80PLUSより新しい認証規格。
ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナ・チタニウム・ダイヤモンドの6段階という点は80PLUSと似ているが、80PLUSよりも厳格かつ明確な基準が定められている。
2024年現在はこの認証を受けた製品はまだ多くなく、あまり知名度も高くないが、80PLUSのみならずETAまで受けている電源ユニットであれば、よほど品質に自信があるとみていいだろう。
同じCyberneticsという機関が行う認証だが、こちらは変換効率ではなく静音性の認証。
S < S+ < S++ < A- < A < A+ < A++で、右に行くほど静音性が高い。
SがAよりうるさいのは日本人の直観には反するが、SはStandardの略なので当然ではある。
この認証があるとはいえ、電源装置がコイル鳴きしたりファンが轟音を発したりするのは基本的にCPUやグラフィックボードがバリバリ働いている時。
特にグラボを使っている場合は基本的にそちらのファンの方がうるさくなるので、『グラボのファンをデカくて静音性に定評のあるメーカーのやつに付け替えるぜ!』みたいなことでもやらない限り、それほど良い認証のものを選んでも実用的なメリットが薄いことも。
電源と消費電力に余裕を設けてPCを構築しているなら尚更。
【ストレージ】 ※必須
データを保存しておく場所。
「机の引き出しの多さ」に例えられ、PCとしては「補助記憶装置」にあたる。
ファイルや画像や音楽、PC用ゲームのデータなどなど、一般に「PCのデータ」と呼ばれるものは全てこのストレージに格納されているので、新しいPCにデータの引き継ぎを行いたい場合、最悪このストレージさえ残っていればなんとかなることが多い。
基本的にケースの内部にドライブベイという空間が設けられており、その中に入れてネジで固定する。
おすすめはしないが、古いノートPCから引き抜いて新しい自作PCに挿せば(ドライバなどがなんとかなれば)そのまま使える。
……というのが主流だったが、Windows 11以降では「BitLocker」というストレージ暗号化機能が最初から有効化されているノートPCがあるため、移行元がWindows 11だと差し替えても機能しないことがある。
心当たりがあるなら「回復キー」を手元のUSB等にインストールしておこう。
HDDとSSDの2種類に大別され、どちらにも一長一短があるので目的に合わせて使い分けるのが賢いやり方といえる。簡単に言えば、HDDは安いが遅く、SSDは高い分速い。
容量が足りるならどちらでも良いが、もちろん両者を一挙に搭載するのもアリだし、殆どのPCケースには最低でもストレージを3つ以上搭載できるスペースが設けられている。
音楽や画像フォルダなど、頻繁に記録データを書き換えたり、ある程度大きなデータを保存する用途にはHDD、読み出すほうが多く書き込みの少ないOSやソフトウェアのインストール先にはSSD…といったように使い分けることも多い。
また変わったところでは両方搭載した上でソフトウェア的に統合することで、キャッシュとしてHDDに書き込む前のデータや頻繁に使うものをSSDに置くことで、SSDの速度とHDDの大容量を実現するものがある。
と言っても、現在は大容量のSSDもそれなりに出回ってきているため、普通に使うのであればSSDだけで十分なことも多いが……
詳しくはStoreMI、Optane memory、Bcacheで調べてみよう。
HDDの磁気ディスクの直径がストレージのサイズの基準となっており、現在は3.5インチと2.5インチが主流。
注意点として、1000GBのストレージを買ったとしても画面では931GBと表示される、といったようにOS側の表記と製品の容量表示は異なる。
EFIといった内部処理用に予約された領域もあるのだが、GB~TB級のストレージが一般化した現在では、単位変換の原因の方が主である。
これは普通に使われる単位系の接頭辞(G、kなど)とプログラム分野で使われる接頭辞が示すものが異なるため。普通k(キロ)は1000倍の数を表すのだが、プログラム分野では2進法の都合上2^10=1024倍の数を表す単位として慣用されてしまっているのだ。
kB単位ではそれほど問題は起こらなかったのだが、単位が繰り上がるたびに1024が掛けられるために容量がでかくなるほど相乗的に影響が大きくなってしまう。
結果、1000 GB = 1,000,000,000 B ≒ 931.3 * 1024^3 Bとなり、約10%もの容量が減ってしまうのだ。
メーカーとしてはちゃんとSI接頭辞の1TBのストレージを作って売っているわけで、もちろん製品に欠陥があるわけではない。これはいわゆる『天使の取り分』現象と呼ばれ、度々物議を醸している。
これを避けるため、国際単位系ではSI接頭辞を1024の冪乗に使うことを禁止しており、代わりにGiB(ギビバイト)、MiB(メビバイト)のような別の接頭辞を使うように指導しているのだが、あろうことかOS側が従わずに1024BをkBとして表記してしまっている。
OS側も今更変えるのは大変なのだろうが、消費者としては理解せずに損した気分になること請け合い。これによるクレームを避けるために(前述の通り、ストレージメーカーには一切の非はないのだが)OS側で認識する容量を併記するようにしていることも多い。
磁気ディスク。
容量あたりの単価が安く、書き換え回数の上限が比較的高い。
それと他のストレージやパーツでも同じだが高性能なほど熱くなりやすいので熱対策に注意。
転送速度の面ではSSDに譲るため、主に大きなサイズのデータの保管に使われることが多い。
というか昨今はSSDもかなり大容量化&長寿化しているため、安価な保管庫やバックアップとしてのみ使われるケースが殆ど。
限界が近づくと「ガガッ」という異音が出てくる、一部書き換え不能の領域が発生するなど、完全に壊れるまでに分かりやすい予兆と猶予期間が発生しやすい。
万一壊れてもデータの吸い出し技術が確立されており、何もかもパーなんてことはほとんどない。
2.5インチと3.5インチの2サイズがあり、2.5インチは大雑把に言うとノートPC用。自作PCでは3.5インチがよく選ばれるが、低発熱省電力という点から2.5インチHDDを選ぶユーザーも一定数存在する。
PlayStation4に代表されるPC以外の使用先が生まれて行っていることなどから、HDD全体の出荷量では2.5インチの方が多い。
2014年頃からそれまで停滞していたHDDの大容量化を促進させるため、「SMR」という新しい記録方式を用いたものが販売され始めているが、書き込みがそれまでのと比べてかなり遅いため、大容量のキャッシュメモリを搭載することで速度を補っている。
最近はそれらの技術が確立されたことから、SMRでコストダウンした一方、各メーカーは今度は容量競争にシフトしており、今や8TBは当たり前、大きいものでは10TBや12TB、サーバー向けともなると22TBというとんでもない容量が出回っている。
自宅サーバーなどが目的でなければ3TBもあればいい方なので、容量より値段で選んでしまっても問題ない。
ただし、使用頻度的に安くてもいいからって思うと、古くて低速なハードウェア&規格のせいで覚悟していても堪えられないほど低速なんて場合もあるので、使用用途や回転数などには気を付けよう。
前述しているが、OSインストールするストレージは性能のボトルネックになりやすく、低速だと遅くなるどころかバックグラウンドプロセスですら時間がかかり、PCがまともに動かなくなってしまうことすらある。
かつては、国内外十数社以上のメーカーがHDDを製造していたのだが、競合他社の吸収合併が繰り返されたり、HDDよりもはるかに製造が簡単なSSDが台頭したりした結果、2020年6月現在、Western Digital、Seagate、東芝の3社しか残っていない。
また、2010年頃のSeagate製一般向けHDDの品質が悪かったため、「Seagateは粗悪」として同社を忌避する自作erがいるが、現在は改善されており、Western Digital製のものとほとんど変わらなくなっている。
ちなみに、強い磁石を近づけてはいけない。ディスクの書き込み・読み出しをするための針が磁石に吸い寄せられて壊れ、書き込みも読み出しも二度とできなくなる。
フラッシュメモリを使ったストレージで、USBメモリと似ている。
軽くて衝撃に強く、駆動音も静か。おまけに動作がHDDより遥かに早く、消費電力も少ない。
…といいこと尽くめに思えるが、HDDより容量あたりの単価が高いのと、壊れる時は何の前触れもなくぶっ壊れるという弱点がある。
その上壊れたが最後、中にあるデータは復旧不可能なので、バックアップは念入りに取っておくべきだろう。
もう一つの短所として、同じ製品でも品質の当たり外れがHDDよりも激しい(ように感じる)。外れを引いた場合ある程度容量が埋まるととたんに遅くなったりする。使用用途に対してある程度余裕のある容量を持たせたり、値段のみならず自分が信頼できると思った製品を選ぶと良いだろう。
それとHDDに比べて基本的に発熱量は少ないが、高温になったら熱を抑えるために速度が低下するので(※もしも速度低下機能がない場合は故障確率が飛躍的に高まる)モニタリングソフトでちょくちょく温度は確認した方が良い。もし簡単に高温になるようなら筐体や環境、SSD自体の買い替えを検討しよう。
フラッシュメモリ(NAND型メモリ)の特性として、長い間通電していないとデータが正常に読めない、消滅するということがあるため、長期間のアーカイブ用途には向かない(同じフラッシュメモリを使うUSBメモリやメモリーカードも同様)。
そのため、SSD向けの健康管理ソフトを導入したり、定期的にSMARTデータを確認するのが推奨される。
SSDではSMARTデータのReported Uncorrectable Errorsの回数増加具合と、TBWと照らし合わせた総書き込み量が故障直前、NANDの書き換え限界の目安となるだろう。
SSDを購入後しばらくして、自身の利用傾向を調べたら単純計算で10年以上持つって出た(´・ω・`) というのはよくある話。ぶっ壊すつもりでひたすら書き込みを続けたら公称TBWの10倍を超えてもピンピンしていたという記事もある。
SSDが普及し始めたころの古いOSではデフォルト機能や設定ではSSDを長期的に使えないなんて場合もある。Windowsでいえば8以降なら完全に大丈夫。
注意点として、フラッシュメモリの記憶素子の種類が存在する。
主にSLC、MLC、TLC、QLCの4種類があり、右に行くほど書き込み速度は遅く、書き換え回数は少なく(=寿命は短く)、容量は大きく、容量単位の価格は安くなる。
2024年時点ではTLCが主流……というか、SSD≒TLCと言っても過言ではないほどにTLCが席巻している。
QLCはTLCよりあまり安くなっていないという現実もあり、ぶっちゃけ超不人気。
なお、実験室条件では7bitものデータを1つのセルに格納する7LC(HLCだと6bitのものと被るため)なんてものにも成功しているらしい。
磁気ディスクを搭載しないのでサイズの制約は特にないが、基本的にノートPCにも搭載できるようにと2.5インチHDDの規格で取り付けられるように作られている。
2.5インチ用のドライブベイがあらかじめ用意されているケースでなくても、3.5インチまたは5.25インチのドライブベイに取り付けるための変換マウンタがあるため、ほとんどのケースに使うことができる。最近はUSBメモリと同じ大きさのスティックSSDもある。
上に挙げたSSDの亜種。2.5インチより更に小さい、スティック型のストレージ。
性質は通常のSSDとだいたい同じだが、マザーボードに設けられた専用のスロットに取り付けて使う。
マザーボードに直接はめ込むSSDであるためデータと電源用のケーブルを用意する必要がなく、ケース内の配線がぐっと楽になる。
また、マザーボードとストレージの両方がNVMeという接続規格に対応していれば、SATA接続と比べて2~6倍の転送速度が得られるため、性能だけ見るなら上記のSSDよりさらに上。
ハイエンドマザーボードともなると4~5枚は挿せるように作られており、バックアップ用以外のストレージは全部M.2というユーザーも主流になりつつある。
一方、その速度の代償として、コントローラチップが無視できないレベルまで発熱するため、ストレージのための冷却手段(ヒートシンクなど)を用意してやる必要がある。
一応壊れないように温度センサーが内蔵されており、発熱が一定値を超えると速度を抑えるようにはなっているが、遅くなっては元も子もないし、位置によっては冷却が非常に難しく、また放出する熱で他のパーツを温めてしまうこともある。
そのため、M.2は上級者向けと言われることがあるが、2024年現在ではBTOもほとんどがメインストレージにM.2を使用しており、ストレージのメーカーもM.2の開発を主軸に据えている。
マザーボードによってはM.2 SSD用のヒートシンクが付属していることもあるので、積極的に活用しよう。
また、世代を経るごとに高速化・爆熱化していくにつれ、消費電力も馬鹿にならなくなっている。常時フルパワーで動くわけではないが、最大電源容量を考える際は気にしておくべきか。
配線が無いので組み立てやつけ外しが楽……かと思いきやCPUやグラフィックボードの近くに取り付けることが多いので、つけ外しの際はそれらも外す必要が出てきたりと大仕事になりがち。
またネジ止めが必要な点も含めて案外煩雑なので、あまり交換する必要が無いように容量の大きいものを採用すると良いかもしれない。
内部的にはPCI Expressで通信されるため、PCIeの世代が古いスロットに取り付けるとスペック通りの性能を発揮できないので注意。
2024年11月現在、7300Mbit/sのPCIe Gen4×4接続が主流。一応Gen5にまで対応するSSDもあるし、実際対応マザーボードも増えつつあるが、まだまだ割高ので安くなるのを待ちたい。
HDDにフラッシュメモリをキャッシュメモリとして搭載したもの。2.5インチと3.5インチの両方がある。
HDDよりは早く、SSDよりは大容量で安価というだいたい両者の中間くらいの位置付けだった。
いいとこ取りと言えば聞こえはいいが、総合的に見るとどちらと比較しても中途半端と言う見方が強い。
出たばかりの頃は何かと持ち上げる動きもあったが、SSDの低価格・大容量化に早々に押されてしまい、令和の現代で新規の製造は見られない。
残念ながら時代の徒花と言ったところか。
正確にはストレージの種類ではなく、HDDやSSDを複数台まとめて一台として扱う利用方法。
自動的にコピーを作成する、複数のドライブに交互にアクセスする、などの方法で信頼性を高めたり、読み書きを速めたりする。マザーボードにRAID機能が組み込まれているものもあれば、RAID用の拡張カードやRAID機能搭載の外付けHDDケースなどを使うことも。
いくつかの形態があり、「RAID0」「RAID1」「RAID5」などが代表的。それぞれを組み合わせてRAID1+0、RAID1+5、RAID5+0といったことも可能。
個人用のPCでデータの保護が目的なら定期的にバックアップをとるほうが手軽で楽、かついずれのRAIDも程度は違うもののコストパフォーマンスが悪化するという点は同じなので自作PCで使われることは多くないが、自宅サーバーを作ったり性能を追求する場合に採用する例はある。
しかし全部まとめてぶっ壊れたり、復旧中に残ったディスクもダメになることが意外と多かったり、RAIDコントローラが壊れた時に構成情報もぶっ壊れている時があったり、復旧作業を間違えたり(冗談の様な話だがPCに精通している者でもよくある話)など、トラブルが非常に多い仕組みでもある。
例えRAIDで最大の冗長性を誇る「RAID6」とて安全とは言い切れないので、RAIDを組んだからと安心せず、むしろRAIDを組むほど大事なシステム・データならば別口で定期バックアップも取っておきたい。冗談ではなく。
なお、多くのRAIDでシステムを動かしたままでも復旧(RAID再構築)出来ることも長所なのだが、復旧に時間も負荷もかかるので、出来ればシステムを動かさずなるべく最低限の動作で復旧させた方が安全。
小型のPCのような機器をローカルネットワークに接続し外部容量として利用する方法。
同じネットワークを利用する機器で容量を共有したり、一度設定してしまえば簡単にデータの受け渡しもできたりする。VPNを使えば外部からアクセスすることもできる。
ネットワーク上に置いておけるので、構築さえできればPCの外部のバックアップを自動で出来るようになるという利点も。複数機器のバックアップもお手の物だし、RAIDが設定できるので擬似的な多重バックアップにもできる。
小型のPCのようなものなので、自作PCほどではないが組み込むストレージもHDD・SSD問わず選べるしカスタマイズも可能。
弱点としては、これ自体が1つの機器なので、起動している間ずっと電力を消費し続ける上に、ストレージを共有するため使いすぎるとストレージ寿命もゴリゴリ減っていく。
またストレージに基板をくっつけて制御するため、信頼性の低い商品ではこの基板部分が故障の原因となりやすい他、コンパクト化の代償にストレージが密集しているとか排熱が甘いとかで熱暴走しやすい製品も散見される。
そのため少々場所は取るが、安い省電力PCを自宅サーバーとして自作する方が結果的に安上がりで安定するケースもある。勿論PCなので他の用途にも使える。
メモリの一部をストレージとして使うソフトのことで、普通のSSDなどよりも圧倒的に早いが、メモリの一部を使うため、メモリ容量と相談しなければいけない。SSDの寿命のために一時ファイルをこちらに移すという考えもあるが、今のSSDの寿命を考えれば無視できるものである。
RAMディスクのようにRAMを搭載したストレージ装置がi-RAMやANS-9010などである。
基本的に過去の商品であり、令和の現代では製造されていない。
やはり非常に早く、あくまでハードウェアなのでOSなどをインストールすることもできるが、その場合はバッテリーバックアップが必要で、データが消えたときのバックアップのHDDやSSDも必要になるのでかなり手間がかかる。
ものすごーく太古、具体的にPC-9800シリーズ全盛期の話だが、この頃のノートPCはスペースの都合上FDDが1台のみというのが基本だった。
しかし当時の事務ソフトは基本的にFDDを2台要求した(例えば「文章作成プログラム+漢字変換プログラム」など)。
それをノートPCで動かすためにどうしたかというと「標準搭載のRAMディスクにこれまた標準搭載のユーティリティソフトを使い漢字変換プログラムをコピー、電源を切る前に学習データをセーブするためにRAMディスクから書き戻す」という力技で解決していたのである。
ちなみに当時、HDDは存在こそしたけど40MBが9万円という超高級品だったので、導入できる人はかなり限られていた。
挿入口にケースのついた磁気ディスクを入れる。保存のアイコンに使われることもあるZ世代には意味不明なもの。
磁気・埃・汚れ・紫外線に弱く容量も少ないので廃れれていったが、一部の公的機関では容量のせいでウイルスを入れられない、枯れた設計なので安定している、古すぎてそもそも泥棒がドライブを持っていないことが多い、などの安全性とシステム更新が手間&費用がかかることで今でもぼちぼち現役である。
なおFD亜種というかご先祖様の磁気テープ型記憶媒体も色々あり、コンパクト・大容量・テープは低単価(そして読み書きは低速)なものが多いのでバックアップ用途を中心に現在でも広範に現役である。ドライブがめちゃくちゃ高いので自作PCや個人用途ではまず採用されないけれど。
日本では結構普及していたもの。HDDとCD-RWの合いの子に近い性質(少しHDD寄り)だったため、
DVD時代が到来した後も企業と個人用途どちらにも多少存在していたがHDDとフラッシュメモリの急速な普及により現在は規格ごと消滅。
FDDよりも確実に便利だったのだがある意味FDD以上に稀な存在となっている。
ちなみにWindowsでは自動でバックアップを逐一取ってくれる機能があるので、普通にPCとして使うならバックアップ用のHDDかSSDをもう一台用意するだけで十分。
【ケース】 ほぼ必須
取り回しやメンテナンス性、安全性を無視するのであれば無くても良いが、よほどのことがない限りこれも買うべき。ケース無しで運用しているときに水でもこぼしたら、目も当てられない事態になる。
物理的に基幹となる部品のためかBTOでも完全に自由にできない場合が多く、ケースを選べるというのも自作PCの醍醐味と言えるかもしれない。
たかがケースとは言えど、ファンや電源ボタンやUSBコネクタ等、無いと地味に困る機器はこっち側についているので、自信あるからと調子に乗っていきなりケース無しに挑戦した結果、電源ボタンがなくPCを起動できないなんて笑えない状況に陥りかねない。
ケースもまたピンからキリまで色々あり、
- 一般的にイメージされるシンプルな直方体のケース
- 冷却性重視のケース
- 防音マットが貼られた静音ケース
- ガラス張りのスケルトンケース
- 中身剝き出しのオープンフレームケース
- 業務用にもなると、ボタン部にカギをかけて起動を制限できるケース(SilverStone Rackmountシリーズなど)
まで存在する。
極め付けにはデスク一体型という異色なものもある。文字通りケースを机として利用できる代物だが、ケース単体でハイエンドBTOパソコン1~2台分と超高価。
直接PCの性能を左右するわけではないが、高級なケースはその分配線が繋ぎやすくすっきりまとめられる、大型のパーツ(高性能なグラフィックボードなど)を積める、騒音を抑えてくれるなど作業を快適にしてくれる工夫が凝らされている。そして何よりも、組んだ後のガタつきが少ない。
見た目も上位のものになればなるほどカッコよくなるので、これも是非良いものを買っておこう。
ただ、やはり直接PCの性能には影響しない事もあって、大抵は予算を絞られ貧相なケースになってしまうわけだが…
昨今では、大型化するグラフィックボードが下に垂れ下がらないようにするための支え棒なども付属している商品もある。
大きく分けてミニタワー・ミドルタワー・フルタワーの3つに分類されている(それら以外にもスリムタワーなど様々な種類が存在する)。
大体ミニタワーはMicro-ATX向け、ミドルタワーはATX向け、フルタワーはExtended-ATX向け。
置き場所に合わないとそもそも置けないという意味では最も重要な部分。事前に設置場所を考えて選ぼう。
部屋のスペースにある程度余裕があればケースに合わせて設置場所を作ってもいい。
また、小さいケースは拡張性に難があるのはもちろんのこと、ケーブルの取り回しや部品同士の接触、排熱効率が低いなど組み立てる上でも難度が高い。
小さいほどメンテナンスの手間もかなり増大する傾向にあるため、その意味でも必要に迫られない限りある程度余裕のある大きさを選びたい。
特に気をつけるポイントは、「冷却装置」の項にある「CPUクーラー」と、後述するグラフィックボード。
この2つはケースサイズが小さいと物理的に入れられなくなってしまう。特に最近のグラフィックボードは大型化が進んでいるので、それぞれの大きさは把握しておきたい。
冷却性能を重視したり、多数または大型のパーツを入れたくなったりすると必然的にフルタワー一択になるが、フルタワーを選ぶとケース単体で10kg超がザラなのでケースを設置場所まで持って行けるかどうかも考慮する必要がある。
特にこれといったこだわりがない場合はミドルタワーから選び、それから目的に応じて拡大・縮小するのが安全。
パーツとして見るとこれ以上大きなものは組み上がった本格水冷くらいしかないかさ張るパーツなので、ある意味CPUやグラフィックボード以上に購入前の吟味が必要になる。
そのケースがどの規格のマザーボードに対応しているか、という意味。先述のサイズ分けはここで判断されていると考えて問題ない。
一部の規格には互換性があり、ATX対応のケースにmicroATXは入る事が大半だが、スペースを余らせるメリットはあまり無い。
基本というか安価なのはネジ止め型のシステム。
ガッチリ固定されるので、長期的に使うのであれば安全でもある。
ちょこちょこ仕様を変える等の用途であれば、ロック装置や専用のスペーサーを入れる事で嵌合固定するタイプ(「スクリューレス」「ツールレス」とか呼ばれる)を選ぼう。
ただ、圧力で固定されるので、使ってる間にズレて接触不良になったり、プラ製のロック装置が熱で壊れたりする。
中には交換機会の多いHDDだけスクリューレスで、グラフィックボード等はネジ止め式などの折衷式のもある。
同様にグラフィックボード等の端子を出す孔は、プレスで撃ち抜いただけなので折って使うのと、ネジやロック装置で開けたり塞いだり出来るタイプの2種類がある。
そのケースに搭載できるHDD/SSDやDVDドライブの数。そのケースがどのような用途を想定しているかで大きく変化するため、ある意味では最もケースの個性が出る要素。
ケースの外に露出したドライブベイを「オープンベイ」と呼び、光学ドライブを搭載する5.25インチベイ、FDDやカードリーダーを搭載する3.5インチベイなどがあるが、FDDや光学ドライブの需要が減っているため3.5インチ/5.25インチを問わずオープンベイを持つケースは徐々にその数を減らしつつある。1スロットでもあれば「珍しい」と評されるほど。
オープンベイにはディスクドライブ以外にも温度計やファンコントローラーや小物入れや水槽(!?)など色々なものをつけられる。蓋をしておけばシャドウベイとしても使えるので無駄にはならないだろう。
逆にケースの外からは見えないドライブベイを「シャドウベイ」と呼び、こちらは3.5インチベイと2.5インチベイがある。
シャドウベイはHDD/SSDを搭載する以外に用途はないが、ストレージの項で説明したRAIDを構成するなど、多数のドライブを搭載する予定があるなら不足しないようよく調べておこう。
最近では大型のケースであってもシャドウベイは減少傾向にあり、その分のスペースは長大化したグラフィックボードや水冷装置のための場所になりつつある。ゲーミングPCを作るのであれば問題ないが、サーバー用途にするにはモノ選びに苦労するかもしれない。
HDDを後から増設するような使い方をしている人は、HDD増設がしやすいように、サイドパネル側にシャドウベイの開口部があるケースを選んでおこう。
マザーボード側に開口部があるケースにHDDを追加しようとすると、そのためだけに一度グラフィックボードを外す必要が出てきたりする。そしてそういうケースに限ってグラボのバックパネルをネジで固定する面倒仕様だったりする。
2010年代以降はHDD用の振動対策を投げ捨てた「2.5インチシャドウベイという名前のケースにSSDをネジで直固定する用の場所」という物も存在する。
一応HDDも取り付けられないことはないが、振動が直に伝わったり、HDDの搭載推奨方向を無視した配置になったりして早くに壊れやすくなるので、SSD専用スロットだと思っておいたほうがいいとは思う。
多くのPCでは、PC前面にUSBやイヤホン用の端子が付いている。
USBの端子数が多いと何かと便利なので、マザーボードに付いている端子数や配置と合わせて考慮するとよい。
オーディオジャックについてはバックパネルよりもアクセスしやすいものの、フロントパネルコネクタが実質的にノイズの多いケース内を通る延長コードとして働いてしまうため、音質を気にする場合は注意。Bluetoothイヤホンなのでいらないと言われればそれまでだし。
5.25インチベイに搭載できるUSB端子やオーディオジャックもあるので、足りないならそちらでの増設も選択肢に入る。
中には電源ユニットが一緒になっているケースもある。
大抵は安物の電源なので避けられることも多いが、中には80PLUS認証つきなど一定以上のグレードを使っている場合もあり、ケースに合う形状の電源なので選定の手間を省けるなどメリットもある。
よく見ないで買うと電源が無かったり、電源が丸ごと一個余ってしまったりするのでチェックはしておこう。
基本中身の見えないPCにおける、ある意味「華」とも呼べる部分。
見た目より中身が大事なPCにおいては「たかが見た目」ではあるが、毎日のように使う製品なんだからお気に入りの見た目の方が使ってて嬉しくなるというものだろう。
中には、最初にケースを見た目重視で選び、ケースの方に合わせてパーツを選定するという人も。
最近ではマザーボードを始めLEDを搭載しているパーツが増えているため、主にマザーボードを取り付ける側と反対側の側板をアクリルやガラス製の透明板に変え中身をバッチリ見られるようにしているケースも多い。電磁波対策などの面で心配されることもあるが。
「パーツをとっかえひっかえする予定があるなら…」と書いたが、そういう人向けに外装の無い板だけのケース(?)が売られてたりもする。「テストベンチ」「千早まな板」などとも呼ばれる。
もちろんパーツ類はきちんと固定できるようになっているが、むき出しでホコリ避けもないのでそのまま長期間運用するのは推奨されない。
また、外装が無いと書くと安そうに思えるがさにあらず。しっかりしたものは並のケースより高いこともある。
予めケースにマザーボードと電源が組み込まれており、CPU・メモリ・ストレージ・OSを追加するだけでPCとして完成する半完成品の自作キット。
近年ではASUSの「NUC」など、CPUまで一体化させたものも増えている。
あまりメジャーではないものの、通常の自作PCと異なり安価で、超小型のPC(なんと文庫本と同じくらいのサイズ!)を組めるなどのメリットがある。安さをかなぐり捨ててまで小型高性能を追求する自作erも多い。
小さいものはパーツが物理的に入らないことも多いので、対応パーツサイズはよく読んでおこう。
このベアボーンキットに対応するために工夫を凝らした構造のCPUクーラーなども多い。
主にグラフィックボードやNVMeのSSDを取り回すための、PCI Express及びNVMeの延長ケーブル。
大きなケースで内部に余裕があれば不要なものだが、小型ケースに大きなグラフィックボードを積みたい時によく使われる。一部では光っているファンを正面に向けたいという謎需要もある。
グラフィックボードをマザーボードに直角に挿すとそれだけで無駄な空間が生まれがちだが、これをライザーケーブルでマザーボードと平行に配置するだけでかなりスッキリする。
当然だがグラフィックボードの取り付け場所がないと困るので、対応したケースを買うのが前提。
それ以外にも、手のひらに乗るような超小型PCで本来はSSDを入れるNVMe接続端子からPCIe端子に変換してグラフィックボードを利用するという本末転倒な用途も。
延長ケーブルとなると信号の劣化や損失による性能低下が心配されるが、ケース内を取り回す程度ならばまず発生しない。あっても誤差レベル。
ただし、同じPCIeでもGen4以降に対応していない製品もあるので要確認。
基本は自分のPCの構成に合った既成品のケースを買ってくるわけだが、熱心な自作erの中には自分でケースを作ったり、業者にオーダーメイドで注文を出したりする人もいる。
なお、パーツを固定できて通風孔や開口部を設けることが出来れば、だいたい何でも使用できる。ネットには一斗缶や電気ポット、果てはビールサーバーや酒瓶、ストーブ、机をPCケースにした例が上がっている。
PCをジオラマに組み込んだ作例も昔から作られており、各種イベントに出るたびに人気を博している。
最近だと3Dプリンターが普及してきたからか、なんと
ゲームキューブなどのゲーム機の筐体をPCに改造する猛者もいたりする。
また超小型PCのRaspberry Pi(後述)のせいで余計変なのに挑戦されることに……まあこれは自作PCより電気工作に近いんだけど。
そのほか、自作とは少し異なるが、古い筐体に最新パーツを組み込むレストモッド的な魔改造を行うパターンも。
特にスロットイン型のCDドライブが存在していた時期には、5inFDD搭載のPC-98やIBMPCのケースを魔改造するのがかなり流行った。
5inFDDのスロットならCDも入るので、見た目的には無理なく組み込めたのである。
電源・リセットスイッチや各種ランプとマザーボードを繋ぐ細いコード群。
そこそこ自作に慣れた人でもマザーボードの取扱説明書とにらめっこしながら接続することがある、自作において最も面倒な部分の一つ。視力が低い人の永遠の敵。
それぞれのスイッチやランプのコネクタを対応する箇所に差し込むのだが、これが本当に小さい。マザーボードのピンを折らないように注意。
更に各コネクタを差す箇所は決まっている上、コネクタにはプラスとマイナスがあり、間違えると動作せず差し直しになる。
これらのコネクタをまとめて脱着できるケーブルが安価で売られているので、マザーボードやケースの交換の予定がなくても持っておいて損はない。
同じフロントパネルでもUSBやイヤホンのピンヘッダは規格化されているのに、一体なぜ電源スイッチやランプのものはそうならないんだ?
【GPU/グラフィックボード】構成により必須
主に画像処理を担うパーツ。
厳密に言うと、実際にパーツとして使うのはGPUではなく「そのGPUを搭載した『グラフィックボード』」。詳細は後述。
「グラボ」という略称が頻繁に使われる。他には「グラフィックカード」「グラフィックスカード」「ビデオカード」と呼ばれたりも。
- 「ゲーム機みたいな3DゲームやVRゲームを遊びたい!」
- 「お絵かきや画像処理の仕事でAdobe Illustratorなどを使ってます」
- 「PCにディスプレイを複数繋ごうかなと考えています」
- 「藤井聡太くんが使ってるRyzenって奴使ってみたいんだけど」
- 「画像生成AIをやりたい」
あなたが上記いずれかに当てはまるのなら、これは必須アイテムと言えるだろう。
逆に、上記のどれにも当てはまらないのならば無理に導入する必要はない。CPUにグラフィックス機能が内蔵されているならば、それを使っておけば問題ない為である。
デバイスマネージャーを開いて、ディスプレイアダプタの項目に「Intel UHD Graphics」「AMD Radeon Graphics(「RX」の表記がないもの)」的な名前があれば、CPU内蔵のグラフィック機能で動作している。
単体のGPUに劣るとはいえど、CPUの性能に合わせてグラフィックス機能も順当に強化されているため、ブルーレイの再生や動画サイトを1080p/フルHDで楽しむ位ならこれだけでも十分。
また、電源や排熱に遠慮する必要が無い分、同世代のノートPCよりも高スペックになることが多く、軽めの3Dゲームならグラボが無くてもなんとかなってしまうことも。
とは言っても、本格的な3Dグラフィックを駆使したゲームや描画ソフトを本格的に動かすとなるとやはり力不足になってくる。
ちなみに、万が一ドライバが壊れたとかでこの機能が無効になっても、最低限モニタを映す位はできるのでご安心を(当然性能はガタ落ちするが)。
グラフィックボードはかなり電気を食うので、電源ユニットの性能も考えて選ぼう。やりたいゲームが決まっているなら、そのゲームの推奨スペックを参考にするといい。
また性能が上がるにつれ加速度的に価格が上がる、PCパーツきっての金食い虫。
一応ミドルレンジまでのGPUは他のパーツと同等以下の安価に収まっているが、ハイエンドを求めると
他のパーツの合計価格に迫り、予算オーバーになりかねないので宝の持ち腐れにならないよう欲張らずに選ぶべし。
他のパーツと比べると
世代交代が早く、型落ちが起こりやすいのも悩みの種。ゲーマーたちの懐をこれでもかと攻めてくる。
逆に言えば、ちょっと前までハイエンドとして高額で売っていたものが、型落ち品として安価で手に入るようになる、ということが起こりやすいパーツでもある。
正直選ぶのに困るほど多種多様で複雑だが、上述したような「やりたいこと」から必要な仕様を整理すれば自ずと絞り込めるはず。
なお、「グラフィックボードの外付けは(モニターの分配用等を除いて)原則不可能」というのが長らくパソコン界の常識だったが、最近では「Thunderbolt」という新しい通信規格に対応した「グラフィックボードと補助電源を接続できる外部ケース」なんてものも出始めている。
当然CPUやメモリ等の他のパーツ、極端な話ケース自体がボトルネックになる可能性はあるし、そもそもPC側がThunderboltに対応していなければ使えないわけだが…。
対応さえしていれば本体内部にスペースがなくともグラフィック性能の強化が図れる他、外付けにすることで本体側の発熱や電源の負担を軽くしたり、必要な時以外は外しておいて消費電力を抑えたりもできる。
ただ、グラフィックボード本体に加えてケースの方も割と高価な上、ガンガン排熱する構造上熱が籠もり易い…というより、その前提でケース自体がかなりデカいので予算や置き場所は余裕を持って確保しておきたいところ。
まあ元々「デスクトップリプレイスメント」とも呼ばれる、持ち運ぶことをあまり重視してない大型ノートPC向けの技術なので、自作機のほとんどを占めるデスクトップ機ではあまり意味が無い技術ではある。
また「小さいPCケースを使いたい」「せっかくカッコイイグラボだから縦/斜め置きしたい」「グラボを無理矢理外付けしたい」などの需要から、マザーボードとグラフィックボードを連結する「PCI Expressライザーケーブル」というものが使用される場合もある。
ケーブルを経由させる都合上、「ケーブルの質によっては大幅に性能低下する」「給電の都合上使えない場合がある」「BIOSでPCI Expressのモードを変更しないと性能が低下する場合がある」「ファンとライザーケーブルの位置関係を考えないと冷却力が低下する」などの注意点があるが、上述した目的があるなら一つの選択肢となりうるパーツとなる。
ちなみに冒頭のGPUとグラフィックボードの違いだが、GPUは内部にあるチップのこと。画像処理専門のCPUみたいなもので、これ単体では小さなチップでしかない。
対してグラフィックボードはそのGPUを基板に乗せ、更に必要な冷却機構やコネクタ類諸々も組み合わせてモジュール形式に作ってあるパーツのこと。画像処理専門の小型PCみたいなものである。
つまり同じGPUを搭載したグラフィックボード同士でも、更にメーカーによって見た目やサイズ、コネクタ類の数といった仕様の違いがある。
ゲームの必須環境等で指定されるのは基本的にGPUの型番だけ。グラフィックボードはそのGPU搭載の中から自分のPCや機器に合うものを選ぼう。
余談だが、CPUに内蔵されている画像処理回路も便宜上GPUとして扱う事もある(実際、3社ともにグラフィックボードのチップもCPU内蔵の回路も共通の基礎設計を用いている)。
こうした際はグラフィックボードに搭載されているチップをdGPU(Discrete GPU)、CPUに内蔵されている回路をiGPU(Integrated GPU)と呼んで両者を区別する事が多い。
グラフィックボードの処理性能や機能は、搭載しているチップ(GPU)のメーカーとグレードでほぼ決まる。
現在の主流は、NVIDIA製の「GeForce」とAMD製の「Radeon」の2種類。ゲームを楽しみたいなら、このどちらかを選ぼう。
正直どちらも性能面においては常にしのぎを削っており、決定的にこちらがおススメというのは言いづらい。
人気で言えばGeForceが優位だが、その人気のせいで在庫が無くて買えないということもありがち。
でもRadeonも最前線で使っていくには全然問題ない性能なため、メーカーに拘りがなく迷ったら在庫があった方とか、安い方を選ぶといった感じでもよいだろう。
なお、2022年下半期からはIntelも「Arc」というグラフィックボードシリーズを売り始めた。2024年末時点では値段の割には性能が出る、特に同価格帯の他社製品よりVRAM容量が多いという評判からジワジワと人気が上がっているが、ゲーム用としてはドライバの最適化が済んでいないのか性能が出にくい、あと消費電力が高めに出る為に微妙という感じではある。
他にも、NVIDIAからはGeForceを冠さない「RTX Aシリーズ」や「Tシリーズ」(旧・Quadro)、AMDからは「Radeon Pro」(旧・FirePro)も用意されているが、これらは3DCGやCADの作製、高度科学技術計算など、クリエイターやエンジニアが業務用に使う品物であり、まずゲーム用に推奨されない。
そもそも、GeForceやRadeonのような民生品と比べるとかなり割高であり、よっぽどの事情がない限りまず選ばれない。
ブランド |
←低 |
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高→ |
GeForce |
GTX 1630 GTX 1650(Super) |
RTX 3050 |
RTX 3060(Ti) |
RTX 3070(Ti) |
RTX 3080(Ti) |
RTX 3090(Ti) |
RTX 4080 |
RTX 4090 |
RTX 4060 |
RTX 4060 Ti |
RTX 4070 |
RTX 4070 Ti |
Radeon |
RX 6400 RX 6500 XT |
RX 6600 |
RX 6600/6650 XT |
RX 6700/6750(XT) |
RX 6800 |
RX 6800 XT |
RX 6900 XT RX 6950 XT |
- |
RX 7600(XT) |
RX 7700 XT |
RX 7800 XT |
RX 7900 GRE/XT |
RX 7900 XTX |
Arc |
A310 A380 |
A580 |
A750 A770 |
- |
B570 B580 |
- |
なお、現行のグラフィックボードでは接続端子がPCI Expressにまとめられているので、CPUと違って端子形状を気にする必要はない。
解像度は画面のドットの数。多いほどより広く、より精細な映像を出力できる。
大抵ドット数を直接「(横のドット数)×(縦のドット数)」と表記したり、特定の縦横のドット数の組み合わせに名前がついて「4K(3840×2160)」「WQHD(2560×1440)」「フルHD(1920×1080)」などと言われたりする。
リフレッシュレートは1秒間に表示されるコマの数で、多いほど動画がなめらかになる。多くは周波数として「Hz」で表記される。ゲームなどで特に重視されるが、それ以外の用途でも画面の動きがカクつくとストレスになりがちなので、60Hz以上は欲しいところ。
解像度とリフレッシュレートはトレードオフの関係にあり、片方を上げるともう片方が下がる。
上記の搭載チップごとに対応する解像度とリフレッシュレートの組み合わせが異なるほか、最終的には後述の出力端子の規格とバージョンによって決まってくる。
表示できる限界はディスプレイで決まるため、使いたいディスプレイの仕様に合っていれば問題ない。
なお、グラフィックボードの宣伝文句として「WQHD向け」「フルHD向け」という文言が使われることもあるが、これはそのグラフィックボードが得意とする解像度を指しており、その解像度以内ならば、高いリフレッシュレートでゲームを快適に遊べるということである。
逆にそれを超える解像度だと、グラフィックボードの性能の限界に達してしまい、リフレッシュレートがガクッと落ちる。
昔のアナログ接続時代なら「アナログ端子(VGA端子)」でほぼ間違いなかったが、デジタル接続になってからは液晶テレビなどでおなじみの「HDMI」や、PCに多い「DisplayPort(DP)」が主流となっている。
これも使う予定のディスプレイが対応してるものに合わせれば概ね問題ない。それぞれ変換ケーブルもあるが、変換すると問題が起きることもあるのでできるだけ合わせたほうが良い。
ディスプレイやVR用のヘッドマウントディスプレイなどを複数繋ぐ際は、対応している端子の数が足りているかもチェックしておこう。
あとHDMIはケーブルに世代があって、昔/安価な市販ケーブルだと60Hz以上出ないというのもあるので注意。ディスプレイ付属のはディスプレイの規格に合わせてあるはずなので、それを使うのが無難。
余談だが、デジタル接続の黎明期には「DVI」という端子がよく使われていたが、2024年11月現在では、一部のローエンドモデルに搭載されるにとどまっている。
同時に接続できるモニタの数。付属する端子の数で変わってくる。
モニタの数を増やすほど1台あたりの解像度の限界が下がるため、どの解像度で何台繋げられるかはしっかり確認しておくこと。
コネクタを追加するために余分に拡張スロットを潰すものもあるため、接続方法も重要。
PCIeスロット接続のグラフィックボードの場合、多くは冷却ファンのスペースが必要なため拡張スロット2本~3本分のスペースが必要で、隣の拡張スロットが塞がれて使えなくなる。小型のPCの場合は拡張スロットが足りなくなったりすることもあるので注意が必要。
もちろん1本分に収まるものもあるが、小型な分性能は限定される。
ハイエンドモデルになると、4本も占有するものまで売られている。
読んで字のごとくグラフィックボードの全長。特に小型のケースでは使用できるボードのサイズに制限がある。
ケースによっては装着可能な最大長が明記されていることもあるので、ケースの形状や仕様はよく確認しよう。
こちらは拡張カードの幅。「フルハイト」などと呼ばれる通常のものと、薄型のPCケースに使われる「ロープロファイル」に分かれる。ロープロファイル仕様のPCケース自体あまり無いが、ケースに合わせて選ぼう。
グラフィックボードに限った話ではないが、ロープロファイル仕様の拡張カードは端子が出てる枠を交換することで、フルハイトとしても使えることがほとんど。
ファンを搭載したものがほとんどだが、静音性を重視したファンレスのものもある。ファンレスのものはケース内のエアフローを考える必要があるため使用に際して気を遣う。
メーカーによっては最初から付属ファンの冷却性能がチップメーカーの標準仕様よりも強力なことがあり、その場合ちょっとクロックが上がってたりして性能と消費電力が上がっている。
CPUと同様に、より高い冷却性能を求めて冷却装置を交換したり水冷化したりすることも可能。
冷却装置を強化することで熱暴走のリスクを低下させつつ、額面通りのスペックが発揮し易くなるが、CPUに比べてハードルが高め。
元から簡易水冷化されているものもあれば、基板上のメモリチップ等の配置の都合上、各ボード用の専用品が必要な場合もある。
VRAMとは、グラフィックボードに搭載されているメモリチップのことで、先述のPCのメモリ(メインメモリ)とは異なる。
主に映像データや、ゲーム内のテクスチャなどのデータを展開しておく部品。
特に高解像度のディスプレイでゲームを遊ぶときに、この容量が多いとフレームレートが落ちにくくなるなどの恩恵がある。
しかし、VRAM容量とGPUグレードには比例関係があり、大容量が欲しい場合にはほぼ必然的に高いグレードのグラフィックボードを買うことになる。
メインメモリと違い、VRAMだけを後から自分で増設することができないからだ。
特に画像生成AIではVRAMの使用量が極めて多く、1024x1024以上の画像サイズでは10GB以上食われるので、どうしてもハイクラスのグラフィックボードになりがち。
また、グレードの割にVRAMを多めに積んでいるモデルが用意されることもあるが、1世代のラインナップの中で1種類のグレードにしか用意されないことがほとんど。
NVIDIAは「Total Graphic Power(TGP)」、AMDは「Typical Board Power(TBP)」と表記している。
グラフィックボードに最大の負荷がかかっているときに、グラフィックボード全体で消費される電力を示す。
上で「性能が上がるにつれ加速度的に価格が上がる」と書いたが、消費電力も同じようなもので、ロー~ミドルクラスなら高々150Wくらいで収まるが、ハイエンドになると200~300W、ものによっては400Wを超えるものも。
消費電力に比例してグラフィックボードの熱も上がっていき、現状のハイエンドモデルだとフル稼働中なら冗談抜きで暖房代わりになるくらい発熱する。ハイエンドグラボを利用する際はケースのエアフローはしっかりと。
極端な例として、AMDはかつて消費電力500Wにも及ぶトンデモGPU「Radeon R9 295X2」を作っていた。もはや電子レンジである。
さらに高みを目指すとグラフィックボードを複数枚挿すこともできるが、そうなると本当に天井知らずに値段と消費電力が上がっていく。
マルチGPUに対応しているソフトでなければ効果が無く、必然的にCPUやマザーボードの仕様も奢る必要があり、また電源ユニットや冷却への配慮など色々と気を遣うため、ハードルは非常に高い。
NVIDIAでは「NVLink」(旧世代では「SLI」)という名前で提供され、マザーボード側がNVIDIAからライセンスを受けていることと専用のブリッジ回路が必要で、対応製品は高価となる。
ただ、RTX 2000番台以降からだんだん使われなくなっていて、3000番台ではRTX 3090にしか対応しなくなり、4000番台に至っては完全に廃止された。
AMDでは「mGPU」(旧世代では「CrossFire」)と呼ばれ、そちらはブリッジ回路やマザーボード側の対応が必要ない上、現行のRX 7000番台でも無くなってはいないので導入ハードルは低い。
が、NVLinkと比べると効果は高くない。
DirectX12以降で使用可能になった「EMA」というマルチGPU環境ではメーカーを問わず柔軟に構成可能になったが、これもDirectX12かつマルチGPUに対応したゲームでないと有効にならない点に注意が必要。
ちなみに単純に機能別に分けて使う目的でGPUを複数台搭載する事例もある(1台をゲーム用、もう1台を動画録画・配信用で使用する等)。
【音響装置】 構成により必須
グラフィックボードと同じく音を聞かないのであれば別に不要だが、今のOSは音声案内機能も普通にあるので需要が皆無という事は少ない。
少なくとも自作するのであれば程度の差はあれど「全く音を鳴らさない」という事は考えにくい。
だが現在のシステムでは特に考慮しなくてもよいケースが増えているので、そのあたりも触れていこう。
まずPC上の音響のシステムは〔PC→ サウンドカード(音声出力端子)→ スピーカーまたはヘッドホン〕という流れ。
この中でサウンドカードは、基本的にPC用のマザボなら内部に組み込み済み(オンボード)となっているので、これを考慮する必要はまずない。
形式が分かれるのは音の出し方である。
たとえばスピーカーの形式は多様化しており、誰もが想像するであろう箱型の装置限定ではない。
従来では音声出力はオンボードの各音声ジャックから外部スピーカーやヘッドホンに繋ぐのが一般的だったが、今やディスプレイにスピーカーが内蔵されているものは珍しくなく、例えばHDMIケーブルなら映像と共に音声も伝送できるので、この場合は独立したスピーカーは要らなくなる。
しかもモニターによってはさらにヘッドホン出力端子を持つものがあり、こうなるとPC側ではオンボード端子すら全く使われない。
つまり「音が出ればいいや」というだけなら、音声伝送可能な映像規格とディスプレイを選択すればいいのである。
近年ではBluetooth接続のイヤホンやスピーカーがよく利用されており、無線のため音声用のコードを使う必要すらない。
これはデジタル信号をBluetooth送信機から飛ばしてデバイス側(イヤホンやスピーカー側)で音声変換を行う原理になっているからだ。
従ってパソコン本体のオーディオ関連の性能を気にする必要はない。
ゆえに、今度はイヤホンの選定が難解になるわけだが
スピーカー自体もいろいろ種類があり、好みの製品を拘ることが可能。
とにかく音が出ればいいというなら、100均のスピーカーやヘッドホンや、ディスプレイ内蔵のスピーカーでもいいかもしれないが、家電量販店で売っているようなものも数を増やしている。昔ながらの巨大なコーンのついたスピーカー以外にも、細長いサウンドバーや首掛けスピーカーなどがある。
突き詰めすぎてPC本体の数倍の値段をオーディオに費やしてしまう人もおり、そうなると「自作パソコン」というカテゴリがオマケとなってしまうわけだが。
前置きが長くなったが、この項における音響装置の必要性とはこれの逆、つまり「それなり以上の音」を欲する場合に必須となる。
ここで挙がるのは前述したBluetooth接続の他、サウンドカードやUSB DACがある。
先に断っておくと、現在ではサウンドカードの需要はほぼ絶滅している。
昔はオンボードの音質がイマイチだったためサウンドカードの需要が高かったが、昨今はオンボードサウンドの高品質化が進んでいるためだ。
具体的には普通の音源(CDと同じ無圧縮音源)とハイレゾ(可聴範囲外の音も収録した音源)を聞き比べて違いが分かる性能は有している。そのためスピーカーやヘッドフォンに左右されるところが大きい。
デスクトップPCのオンボードサウンドなら5.1chや7.1chも大抵は対応しているので、こちらも解決している。
代わりに主流となっているのがUSB DAC。
DACとはD/Aコンバータ、パソコン上のデジタル音声信号(D)を実際の音(A)に変換(C)する装置のこと。
すなわちUSBで繋いだ外付けの変換機である。
パソコン内部ではパーツや配線等によってノイズから逃れにくく、プリメインアンプの代わりにもならないとされる内臓型より外付けに需要が移るのは必然と言える。
また、外付け機器にする事によりパソコンケースのサイズに依存せず、ジャック(端子)の数・種類など機能面でも有利となる。
USB接続なので持ち運び・使い回しに便利な点も見逃せない。
余談になるが、かつてオーディオインターフェースといえばIEEE1394(Firewire)やPCI-eを利用したサウンドカード(ややこしい)が主流だった。
ざっくりいえば、これはオーディオ信号の入出力の遅延(レイテンシー)が最大の敵であったことに由来しており、当時のUSB規格では速度的にニーズに応えられなかったのだ。
現在のUSB DACやBluetooth接続の需要は、速度に応えうる新たなUSB規格の登場とその歴史に沿う形で推移してきたといっても過言ではない。
なお今でもFirewireを愛するマニアはいるが、ともあれこれから自作パソコンを組む人であれば考慮する必要はないだろう。
- ノートPC(※自作PCとしては一般的ではないが、ハードウェアをいじる場合もある)
音質以前の話でジャックを付けるスペースの余裕がなく5.1chなどにはまず対応していないため、ノートPCでそれを求める場合はUSB DACなどを付ける必要がある。
疑似的にステレオを5.1chに変換する機能が付いている場合があるのでそれで満足する手もある。
オンボードでも入力端子はまず付いているが、音質が悪すぎたり入力レベル(音量)が不足する場合がある。
そしてそこらがセーフあるいはアンプやDACあるいはサウンドカードで対応しても、
「手元で入出力の様々な操作をしたい」
「入出力端子の数不足」
「ループバック機能が欲しい」
あたりで事足りないことが多いので、オーディオインターフェースかオーディオミキサーのどちらかを選ぶ事になる。
- 音楽・音響制作(作編曲、歌・楽器・声・効果音の録音など)をしたい人
作曲には高音質でモニターできる環境が重要なことはもちろん、録音時の音質にも大きく関わってくるため、ほぼ確実にオーディオインターフェース一択。
先に述べたようにサウンドカードの需要は少なく、昨今のDTM事情においてすら選ぶ理由はあまりない。
ただしオーディオインターフェースはUSB DACの上位互換のため、その分お値段も高いのが難点。
一応、USB DACはただのUSB外付けのD/Aコンバータを指す用語に過ぎない=オーディオインターフェースも当然DACを内蔵した機器なのだが、用途の違いからかオーディオインターフェースとUSB DACは区別されている。この辺は、モニター用の偏りがないフラットで解像度の高い音を求めるクリエイター向けのものと、聴き心地の良さを追求したリスニング向けのものと考えると分かりやすい。
また、多人数で同時録音したいというケースは話が変わってくるが、自作パソコンでスタジオ的な用途に使うのはかなり稀だと思われる。
音楽制作をしない場合でも、近年では動画編集を行う人も増えており、動画のジャンルによってはあった方がいいケースがある。
例を挙げると音声や会話とBGMのレベルバランス、マスタリング等。
気になる音がどのソースから鳴っているのか探すといった時などでもオンボードとは明確に差が出る。
音の高さのどこに重きを置くかの好みの違いは人それぞれだし、いつの世も音質にとことん拘りたい人々は居るため需要はある。結局ここがサウンドカードやUSB DAC最大の用途。
音の強弱の問題だけならイコライザで解決する事もあるが、抜本的な音質向上においてはやはり専用機器に優るものはない。
しかし高価なサウンドカードやDACを用意してもヘッドホン(イヤホン)側が安物では意味がないし、逆にオンボードでは高価格帯のスピーカーやヘッドホンの性能を最大限に生かせない。
片方だけでは大した効果は得られないので、違いの体感にはグラフィックボードと同じくかなりのコストを覚悟する必要がある。
ちなみにそこまで音質にこだわるならWASAPI排他モードやASIOなどのソフト面の検討も必要だが、原音を出力出来る代わりにソフトが対応している必要があったり1つのアプリしか音が鳴らなくなるので恐らくマイナー。
低音が聞き取りやすかったり高音が聞き取りやすかったりすると有利な場合もなくはない。
例えば、多人数戦FPSゲームではただの環境音とゲーム的に有効な音を聞き分けやすくしたり、足音を増幅して接近する他プレイヤーにいち早く気付けるようにすることにサウンドカードが用いられることもある。
ハードウェア構成の変更、すなわち実力ではない外部的な要素ででゲーム上の有利を得る行為であり、いわゆる『ハードウェアチート』として嫌う人もいるので注意。
この用途ではPC内部にあってもノイズが悪さをすることが少ないので、内蔵型サウンドカードが用いられることも比較的多い。
オンボードというのは、マザーボード上にはじめから搭載されている機能ということ。
つまりオンボードサウンドというと、マザーボードの音声入出力機能、あるいはマザーボードにハンダ付けされている音声処理用の半導体チップのことを指す。
マザーボードの欄で述べたRealtek社(蟹)の出力(デジタル・アナログ変換器、DAC)と入力(アナログ・デジタル変換器、ADC)を兼ね備えたチップが支配的だが、蟹に加えてプリアンプやDAC専用チップが搭載されたマザーボードも販売されている。
入出力が当たり前に搭載されているので、やろうと思えばオンボードサウンドでの配信も可能ではあったりする。
価格帯 |
ローエンド・ミドルレンジ |
ハイエンド |
型番 |
ALC 800番代 |
ALC 1200・4000番代 |
基本的に高いマザーボードには高性能なオンボードサウンドが乗っているのだが、外付けのDACやオーディオインターフェースがあるので、これだけのために高いマザーボードを選ぶのは考えもの。
とはいえハイエンドのマザーボードならば、そこそこのUSB DACに匹敵するオンボードサウンド…というかDAC専用チップが搭載されているものに関しては、中堅上位クラスのディスクリートDACに搭載されているDACチップとプリアンプがそっくりそのまま乗っているものも売られている。
PC本体から出るノイズに対する考え方にもよるが、買おうと思っていたマザーボードに良いオンボードサウンドが乗っていたら儲けものくらいには考えておいても良いかもしれない。
【光学ドライブ】※初回立ち上げ時のみ必要なときも
CD/DVDドライブやBlu-rayドライブのこと。PCの場合、ビデオデッキについてるCDの出し入れ口が単体で販売されている。
OSやドライバのインストールに際して必要になることがあるので、出来ればあったほうが良い。
……のだが、人によっては使うのがその最初だけな場合もなくはない。
近年では光学ドライブを付けられないPCケースも多く、そういった場合でも、USB接続の外付け光学ドライブがあれば事足りる。
実際SATA接続の内蔵光学ドライブの優位は価格面くらいで、よほど頻繁に使うのでなければ内蔵型にこだわる必要性は薄い。
それ以前に光学ドライブ自体がそもそも必要ない、という環境も珍しくなくなっている。
自作とは少し逸れるが、Appleが2008年に発売した
MacBook Airが光学ドライブ非搭載という割り切った仕様で商品展開して以降、現代ではディスクドライブを廃したノートPCも増え、OSのインストールやリカバリーはUSBメモリから実行するものが大半を占める。
実際、Windowsも10以降のリテール版の中身は
USBメモリとライセンスキーである。
そのため使用頻度が減少した光学ドライブベイを2.5インチドライブやM.2ドライブに置き換える改造部品も販売されており、ノートPCでは内部容量の増加やRAID環境確保などに使われている。
自作界隈でも内蔵するのをやめて内部容量の拡張やUSBと言った端子の追加場所として活用する人もいる。
それに配慮して、パーツ付属のドライバはUSBメモリで配布することも増えたが、それもメーカーのサイトから直接ダウンロードすれば問題ない…
どころか付属の物は古いことも多いので最初から最新版をダウンロードしてきたほうが良いという側面も。
2010年代後半になるとインターネット上でのダウンロード販売が一般化したため、アプリであればUSBメモリすら不要になりつつある。
Microsoft Officeを筆頭に店頭で買った場合でも入っているのは「ダウンロード用コード」だったりとディスクで流通するもの自体が減少傾向。
仮にオフラインの環境でインストールする場合でも予めネットから拾ってきたデータをUSBメモリを経由してインストールすれば良い。
最高画質のUltra HD Blu-rayを見たいと言う人もいるだろうが、PCだと第7〜10世代までのintel CPU搭載機しか再生できない仕様になっている。しかもグラフィックボード出力は不可でGPU内蔵intel CPUを搭載したマザーボード出力じゃないと視聴できない。
そのためPCではなく専用プレーヤーやPS5やXbox One等で視聴した方が楽で便利になってしまっている。
とまあ、CD/DVD/Blu-rayにとって苦しい時代であるのは確かだが、光学メディアはバックアップ用の記録媒体に適するほか、
どうしても物理媒体でデータを配る予定がある場合(DVD/BDビデオを編集して誰かに渡す、同人活動で手焼きする等)では未だに使い途がある。
【ネットワークアダプタ】※ほぼ必須
ローカル通信網やインターネットに接続する為に必要なパーツ。
今の時代、インターネットに繋がらないパソコンほど寂しいものはない。
オンラインゲームをやり込む人であれば、ラグを極力抑えるためにも有線LANがベターだろう。
このLANポートはマザーボードの標準装備であることも多いので改めて買い求めるケースはあんまりない。
LANケーブルの形状は一つしかないが、「中の配線が両端共に同じ並びのストレートケーブル」と、「途中で入れ替わっているクロスケーブル」がある。自動判別する製品が多いので大して気になることもないと思われるが念の為。
通信速度は1Gbps(1000Mbps)のものを選んでおけばまず問題ないが、2020年代に入ると2Gbpsや10Gbpsと言った超高速回線も登場しているので、その場合は対応したマザーボードを購入する必要がある。有線LANカードをPCIeスロットに挿して対応させる方法もある。
逆に古いアダプタやケーブル(カテゴリ5より古いもの)は100Mbpsまでしか対応していないことがあるのでこれも念の為(といってもYouTube位は普通に見れる)。
LANケーブルの取り回しが面倒なら無線LANを採用してもいい。有線LANケーブルが届かない環境などで無線にせざるを得ない人もいるだろう。
かつては有線よりもラグがあるのが問題だったが、技術の進歩できちんと環境が整っていれば大抵の用途では実用上支障は無くなっている。
予めマザーボードに無線LAN機能を内蔵してくれるメーカーも増えているが、無い場合はPCIeスロットやUSBに差し込めるタイプを使えば容易に増設できる。
形状によってはマウスのレシーバー並に小さなものや、端子から直接アンテナが数本伸びたものだったり、ケーブルを介して据え置きアンテナとPCを繋ぐ方式だったりする。価格と受信性能、必要スペースも基本的に見た目相応。
こちらの規格は若干複雑だが、一番見ておきたい表記は「IEEE 802.11〜」の部分。
最新の規格から順に「be>ax>ac>n>g……」と付き、もちろん新しいほど速いが対応機器は少ない。2024年時点での主流はax(Wi-Fi 6)、実用的には最低でもn(Wi-Fi 4)以上は欲しいところ。
余裕があれば使用する周波数も見ておこう。6GHz、5GHz、2.4Ghzがあり、周波数が高いほど混みにくく通信も速いが、ルーターから離れるほど電波が弱くなりやすい。
「同じ規格と周波数なのに速度が違う…?」という場合は、よくあるのはアンテナ(ストリーム数とも)の搭載数が違うパターン。
同じ電波の質でも、アンテナが増えるだけ小分けにできるので通信速度が上がるという理屈である。ただし、アンテナの少ない方に合わせないといけないが。
◇USBレシーバー
一番安価で簡単な方法。おまけでBluetooth機能も追加もできる物も。
只、ノイズの性能を受けやすく速度が安定しないのが欠点。オンラインゲームや配信、ビデオ会議、金融取引が多い人にはおすすめしない。
◇PCIeスロットに接続するWi-Fiカード
グラフィックボードと同じ要領でマザーボードに装着する。マザーボード直結のためUSBレシーバーと比べるとノイズの影響が出にくく十分な速度が出る。
こちらもBluetooth機能を追加できることが多い。しかしGPUの大きさによっては付けられない場合もあるので注意。
◇Wi-Fi中継機・メッシュWi-Fiと有線LAN接続
これらの機器は基本的に親機ルーターからの電波感度を広げるために使う印象が強いが、有線LAN端子も搭載されている物も多く、それを活用すれば途中まで無線で通信しつつパソコンにはLANケーブルで有線接続できる。
PC内部には手を加える必要は無い上に通信機能が分離しているため不具合が起きた時にも対処しやすいのが利点。
余っているWi-Fiルーターが中継機モードに対応しているなら、それを流用してもOK。こちらはLANポートの数も多く、他の家電等を複数接続する場合のハブも不要になるので実用的。
只、ケーブルレスは諦めることと、コンセントが1本分増えることになるので見た目をスッキリさせたい人には向かない。
自作であってもパソコンには変わりないので、いざとなったら携帯電話(スマートフォン)のテザリング機能を使ってインターネットに接続もできる。
無線以外でもUSB直結か有線LANケーブルに変換して有線接続できるのでパソコンの場合は速度面で有線接続を推奨。
通信障害が発生した際に使える手法なので覚えておいて損はない。只、パケットデータはかなり消費する上、光回線ほど速度が安定していない点は注意。
【OS】※必須
正式名、オペレーティングシステム。
人間でいうなら「脳とそれ以外の部位を繋ぐ神経」に相当するパーツで、これを入れないとPCはまともに動かない。立ち上げたとて、無機質な設定画面が表示されるのみである。
……なので、これも必須パーツ。
「パーツ」とは言ったが、実際にはソフトウェア……ようはデータの塊なので、多くの場合、「OS」等と書かれたCDやUSBメモリを買って読み込ませる(インストールする)ことになる。
OSにはWindowsや
Linuxなどの種類があるが、これは自分の好みで。よく分からないなら
とりあえずWindowsにしておけば失敗はない。
市販のゲームやアプリケーションはWindowsでの起動を前提としたものも多くく、下手にLinuxなどにすると起動できないなどのトラブルに見舞われる可能性もある。
どれを選んでも頑張ればDOOMは動く
なお、
MacはそもそもAppleが自作パーツを売ってないので、当然OS単体では買えない。欲しいならお店でiMacやMacBookを買おう。
一時期のmacOSではディスクメディアによるアップデートが可能であり、このディスクやアップデート用の仮想ディスクからMacOSが手に入ったため、それを自作PCにインストールするHackintoshという裏技をやる者達もいた。
パーツ単体がそれぞれ非公式に対応してないとインストールの途中でエラーを吐いて止まるという茨の道だったらしいが、Intel Mac時代のmacOSならば割と簡単に動かせたという噂もある。
スマートフォン向けのOSである
Androidをインストールすることもやろうと思えば出来る。
また、ITエンジニア界隈を中心にOSを自力で構築するという離れ業をやってのける人も昔からちらほらいる。Linuxはこの過程の産物と言って良い。
OS自作に関する書籍なども売っているため、興味があれば挑戦してみるのも良いだろう。
ただし、市販のアプリケーションが正常に動作しないなどのトラブルも起こり得るので、あくまでも自己責任となる点には注意すること。
Microsoft社が開発しているOS。多く、というかほとんどの家庭用PCで使われており、店で買ったノートPCであればMacBookを除けば100%コレ。もはや世界基準と言っていいレベルで普及している。
既製品でなくとも、ディスクなどの単体で売られてもいる。正規品はだいたい一万円。
利用者がメチャクチャ多い上に製造元のMicrosoftが定期的にアップデート・サポートをしてくれるため、困った時の対処法やソフトなどがすぐに見つかりやすい。
このため一部の変態マニア・エンジニア・クリエイター系の人以外は、なるべくならこのWindowsを選ぶことが推奨される。
ただし、クリエイターも環境と設定さえ整えれば、Windowsを使っていて困る場面は他OSとのデータ共有以外では少ないので、そこはお好みで。
ユーザー数が多いのでWindowsを狙ったコンピュータウイルスも多いとよく言われるが、他OSもそこらの注意点は全く同じなのでウィルス対策はどのOSでも気を付けること。
Apple社が開発している、UNIXベースのOS。
基本的にMacBookなど、Appleが販売する製品に組み込まれて販売されており、OS単体で入手することはできない。また、これらのApple社が開発しているPCはすべてmacOSで固められており、MacBookにWindowsなどの別OSをインストールするのは不可能だった。
2012年以降販売のIntel CPUが使われているMacであれば、BootCampという公式のユーティリティと、Windows(非アップグレード版)のディスクイメージがあればインストール可能になっている。
2020年から発売されたApple Silliconチップ仕様のMacBookはIntel CPUじゃないので今の所不可能。ARM版のWindowsなら動くらしいが…。
iPhoneに導入されている「iOS」も同社開発かつこのmacOSから派生した系列にあたり、このためApple社の製品同士ならデータのやり取りが円滑に行える。
ヌルっとしたやたら滑らかな動作が特徴で、歴史的事情からグラフィックデザイナーや絵などのクリエイターにとってはWindowsよりもこちらの方がなじみ深いだろう。
反面、Windowsよりも対応しているゲームソフトが少なく、これまたいくつかの事情からソフト開発などが面倒だったりするのが欠点。
Steamゲームが数割以上対応してないこと、「.exe」が動かないことはとりわけ問題になりやすい。
iOS向けのゲームはApple Sillicon機なら動作が可能であり、Windows向けのソフトの一部もWindowsエミュレーターアプリで動作することも一応可能ではある。
フィンランド出身で現在はアメリカで活躍するプログラマーである「リーナス・トーバルズ」によって開発され、有志の手で改良が繰り返されてきたOS。
コイツについては
Linux、
Linuxディストリビューションに項目があるので、気になる方はそちらを参照。
ざ~~っくりとした説明をすると、「オープンソース」という仕組みを採用しており、タダで入手できる上に自由に改造できるのが特徴のOS。
Windowsほどにはサポート体制がしっかりしていないというデメリットはあるが、裏を返せば「余計なソフトが入っておらず軽量である」「カスタマイズにおける制約が少なく改造がしやすい」という特徴もあり、エンジニアなどの技術職…の中でもOSをとことんいじりたい層や上級マシンオタクに好まれがち。
デメリットは上に挙げたとおり、サポート体制がしっかりしてないトコが多く扱うのが難しいこと。
◇「WindowsでもMacでも使えるのにLinuxには非対応」というアプリがそれなりに存在する
◇CLIを扱うスキルが半ば必須
◇日本語対応が遅れ気味で、ある程度以上の英語スキル・検索スキルを要求する
◇そもそもLinuxといっても、いくつもの「ディストリビューション」に分かれている(後述)
◇単に無料だからと始めようとしたことを他OSでやる場合とで比較すると、時間と労力的に割に合わないことも多い
…など、利用難易度面でのデメリットが大きく、PC初心者には基本的にお勧めできない。
世界中の無数の技術者によって改造・独自アップデートが重ねられた結果派生形が多数存在しており、「ただのLinux OS」というものは事実上存在しない。
レトロゲームに特化したものから、WindowsやMacの挙動をパクったもの、サーバーに使う業務用、通常の家庭PC用、宇宙ステーションの制御に用いられているもの(!)、などその種類は多岐にわたる。
GUIがない(つまり、プログラマがよくやる真っ黒い画面をカチャカチャやって操作しなければならない)タイプも多いため、利用するには「Linux Desktop」と呼ばれるタイプのディストリビューションを導入しなければならない。
よく使われるLinux Desktopは「Ubuntu」「Fedora」「Linux Mint」などがあるので、この辺りを選んでおけば失敗はない。
無論、パソコンに疎いならWindowsをまずは推奨するのだが……
改造版のLinuxの中には「USBからブート可能」な物もある。OSが壊れて起動しなくなった時のデータレスキュー用に1個持っておくと便利。
Googleが開発するOS。正確にはLinuxのディストリビューションの一種である。
一般的にはChromebook向けに搭載されているOSとして知られているが、『Chrome OS Flex』としてOS単体で配布されているので
個人のパソコンにも導入することも可能。
ただ、Chrome OSの魅力であるAndroidアプリの互換動作は標準配布版では不可能である。どうしてもの場合はLinux経由で対応版をインストールできる手段があるが。
動作がWindowsより軽いので、自作界隈の場合は古いCPU搭載機の活用のために他のLinuxディストリビューションと共に使われている。
PCにインストールする
Android。
スマートデバイスと比べて高容量を確保しやすい利点はあるものの、ソシャゲなどをPCでしたい場合は、これでなくてnoxなどのWindowsに入れるエミュレータで十分かもしれない。
自作パソコンはとりあえず最新のWindowsを入れておけばいいのだが、いざWindowsを買おうとすると「Home」「Pro」といったエディション違いのものがあって迷うこともある。
EnterpriseやEducationは定期購入のみであったりと購入のハードルが高い上に、追加機能も個人では持て余すようなものばかりであるので、本項では扱わない。
また、リストがあまりにも長大になるため、自作パソコンではあまり使わない機能についても省略する。
エディション▶ |
Home |
Pro |
最大メモリ容量 |
128 GB |
2 TB |
最大CPU数 |
1ソケット |
2ソケット |
最大コア数 |
64コア |
128コア |
リモートデスクトップ |
△ クライアント(※1)のみ |
✓ |
Hyper-V(仮想化) |
✕ |
✓ |
サンドボックス |
✕ |
✓ |
BitLocker |
システムドライブのみ |
✓ |
Kiosk(機能制限)モード |
✕ |
✓ |
アップデートの延期 |
35日 |
365日(※2) |
※1 ここでは操作する側のこと。操作される側はサーバーと呼ばれる。
※2 機能更新プログラムのみ。不具合やセキュリティの更新はWindows Updateの更新の一時停止から最大35日間停止可能。
PCの中に仮想的なPCを作り出す、いわゆる仮想化機能。VMwareやVirtual Boxといった名前を聞いたことがあるかもしれないが、それに相当する機能がPro版では標準で付属するようになる。
これを利用すればWindows上のウィンドウの中で、古いバージョンのWindowsやLinuxなどを動作させることができる。
また、OSが対応していれば、クリップボード(コピー&ペースト)を利用して簡単にファイルの移動が可能。
仮想化したPC内の変化は元のPCに影響を及ぼさないし、巻き戻し機能も搭載しているので、セキュリティ保護の一助にもなる。
またPro版では、安全でないプログラムを自動で判別して、自動でHyper-V上の動作に切り替える機能も存在する。
サンドボックスも似たような仮想化機能。こちらはデータの保存ができず、1から環境を構築してテストを行ったり、さらに無茶なテストを行ったりするのに向く。
PCをネットワーク上の別のPCから遠隔操作する機能。VPNを挟むことで、別のネットワークから遠隔操作をすることもできる。
USBなしで簡単にデータの共有を行うことも。クリップボードで同じPC内と同様の操作でファイルを移動できる。
うまく活用すれば、ハイエンドなPCを適当なノートPCで操作することで、重い動作をハイエンドPCに肩代わりさせることも。遅延の関係でゲームこそおすすめできないが、画像生成AIなどならばデスクトップに向き合わずともできるようになる。
セキュリティ上の知識がないならVPNを利用した遠隔操作はあまりおすすめできない。セキュリティの穴を突いてハッキングされると怖いので。
Home版ではメモリが128 GB、CPUのコア数が64コアまでしか認識しないが、Pro版ではメモリ2 TB、128コアまで認識することができる。
いくらマルチタスクや大容量の作業をするにしても、一般的な用途で128 GBを超えることはほぼない。なんなら1/4の32 GBでもよほど頑張らなければ使い切れない。
CPUのコア数に関しては、実際に販売されているCPUと比較してみるのが早い。それこそAMD Ryzen Threadripperの中でも64スレッド(論理コア)を上回るのはCPUだけで80万円超えの7980X以上に限られる。Intel Coreシリーズに至っては、64スレッドを超えるものが存在しない。
デュアルCPU環境についても、余程の超高性能を目指さない限りは構築する機会はない。
対応している超高額のマザーボードを買うくらいなら、その値段で高いCPUを買ったほうがよっぽどコスパ良く性能を上げることができる。
- Windows Update for Business
Pro版のWindowsでは、Windows Updateの高度なオプションが追加される。
他のPCを同時にアップデートしたりと様々な機能があるのだが、やはりいちばんの目玉はWindows Updateを任意で後回しにできることだろう。
Windows Updateは強制的にアップデートが適用されるため、使用している環境との互換性を保つことが難しいこともある。
マイクロソフト側のセキュリティに対する責任や不具合に対するクレームを避ける面では仕方のない部分もあるのだが、Windowsの難点として強制的なアップデートを挙げる声は大きい。
その点Pro版では、アップデートを最大で1年間止められるようになるので、環境との互換性問題を気にする頻度が少なくて済むようになる。これも完全ではない上、不具合修正やセキュリティに関するアップデートは避けられないが、無いよりは相当マシになる。
Home版でもアップデートを一時停止することで後回しにできるのだが、いちいち操作するのは面倒くさいし、最大で5週間しか止められない。
他にも、Proでは他のPCやデバイスの管理が可能な機能が多く含まれている。
ここまで書いたが、ぶっちゃけ理由がなければHome版で良い。なにせ、ここに書いてないほとんどの機能はHome版でも完全に使えるのだ。
特に自作PCにおいてはなおさら。企業内で頼まれてPCを自作するのならばともかく、Pro版の機能の多くは他のPCとの協働を助けるものとなっているため持ち腐れになるものも多い。
ただ、上記の機能のうち1つでも魅力を感じたのならばPro版を買う充分な理由となる。
リモートデスクトップはセキュリティ面も含めて使いこなせればゴツいPCで行う作業を小さい端末から命令できる。
変なプログラムを入れる前に仮想化環境でテストしたり、Hyper-Vの仮想化で昔のWindowsでしか動かないエロゲプログラムを擬似的に最新のPCで動かすこともできる。
筆者には思いつかないがめちゃくちゃメモリを使ってなんかすることも、使う人には分かるのだろう。
特にアップデートによる不具合をある程度制御することが出来るのは魅力。
実売価格の差としては数千円だが、どれも必要に応じた選択肢となるはずだ。
文字通りワークステーション……つまり、業務用の超高性能PC向けのWindows。こちらはEnterprise版と違い、個人でも永続ライセンスが導入可能。
Pro版の全機能に加えていくつかのワークステーション向けの機能が追加されており、サーバー用CPUと組み合わせることで最大メモリ容量は6 TB、最大CPUソケット数は4つまで強化される。
メモリ内容を不揮発性メモリに常時バックアップするNVDIMM-Nメモリに対応していたり、ストレージの内容を複製して、データが壊れても即座に自動修復するような機能なども搭載している。
……とまあ、強力な安定動作と限界性能を誇るのだが、多くの機能が専用のパーツを要するために普通のPCに入れればまず持て余す。
通常のProと比べても遥かに高額なので、これを個人で導入するのは『逸般の誤家庭』の域だろう。
【ディスプレイ】※必須
要は画面。今で言えば液晶ディスプレイが殆どを占める。「(PC)モニター」と呼ばれることも。
PC初心者にありがちな勘違いだが、本体と画面が一体化しているテレビやタブレットと違い、パソコンは上述したCPU〜ケースで構成されるPC本体とディスプレイが揃って初めて成り立つ。(※ノートパソコンやオールインワンパソコンなどの例外もある)
というか、電子機器とは本来そういうものである。PC本体だけ作っても何も見えないし、ディスプレイだけ買ってきても何も映らない。
組み上げたPCの全ての結果が表示される機器であるため、ディスプレイに予算を多めに割く人も結構多い。
なお、最近のテレビではディスプレイとして使えるものも存在するので、ディスプレイを買い忘れたうっかりさんはHDMIケーブルをテレビに繋いでみよう。
多くは机に置いて使うので、サイズは20〜32インチで縦横比16:9〜16:10のワイド画面が、個人で使うのに適した大きさ。解像度やリフレッシュレートはGPUの性能とのバランスを考えよう。
横方向に広くしたものも登場しており、21:9だったり中には32:9なんてものもある。横に長すぎると視線の移動が激しくなって目と首が疲れるので、本当は縦に積んだ方が良いらしいが。
あと某漁師集団は32:9大好き。同ゲームの推奨環境は16:9デュアルとされているが、32:9モニターであれば1枚で足り、画面の境目も無くせるからだ。
ディスプレイは大抵1台あれば十分だが、ビジネス用途など一度に表示できる情報量を増やしたい場合は2台以上接続することも。
実際一般人でもデュアルモニターを使ってみると、いろんな事がすごく捗る。サブモニター側に「チャットツール、SNS、ゲームの攻略サイト、音楽再生ソフト、動画再生ソフト(YouTubeなども可)」を逃がすだけでも、タスクバーへマウスを動かす回数がめちゃくちゃ減り、最大化最小化でイライラすることも減る。
メイン画面にゲーム、サブ画面に攻略サイトとするのもおすすめ。SNS用に縦長ディスプレイを置く場合も。
特に株やFXといった取引を長時間行う個人投資家などは3~4台使うことも。そういった作業で目が疲れないよう画面の明滅を軽減した機能(フリッカーフリー)もある。
複数ディスプレイを使う場合に異なるサイズや解像度のものを用いたい場合もあるだろうが、最低限サイズあたりのドット数(dots per inch, dpiとも)は揃えておくと扱いやすくなる。
拡大・縮小でウィンドウが見にくくなったり、マウスカーソルの物理的な位置と内部的な位置が対応せずにカーソルを見失ったりすることを防げるからだ。
見た目が見た目なので、PCに詳しくないお父ちゃん/お母ちゃんがPCと勘違いしてコイツだけを買ってきてしまい、子供や知り合いに相談する、というほほえましくも悩ましい問題が起こりがちなパーツでもある。
同様に、Windows 8発売時にOSの機能としてタッチパネル対応を謳っていたのだが、コレを「Windows 8を入れればPC(モニター)がタッチパネル操作できるようになる!」と勘違いしてしまう人が続出した。
実際には無論そんなことは無く、ノートPCも含めタッチパネル操作に対応したディスプレイを別途購入しなければならない。
◇ブラウン管
CRTとも呼ばれる。昔の頃に一般的だった画面。液晶よりも応答速度が速いのでゲーマーには好まれていた。
置き場所をとる上に電力も多いため、液晶が普及するにつれて衰退していった。
今では新規製造されておらず、中古販売店でしか見かけない。
◇液晶 (LCD)
現在の主流である画面。省電力省スペース長寿命で比較的安価だが、後述の欠点がある。
それらを克服するために各社が様々な技術を投入している。
◇有機EL (OLED)
液晶よりも色鮮やかかつ省電力で、
パネルメーカーや端末メーカーのゴリ押しに近いせいもありスマートフォンでは普及が進んだが、パソコン向けはラインナップが少なすぎる上に値段も極端に高い。
しかし動作原理上、液晶よりも応答速度は極めて高速。
欠点として、長期間の使用で画面の焼き付きが起きる可能性があり、その防止のため輝度を抑制する処理が入る場合がある。
さらに
パネル自体が紫外線に極端に弱いという決して無視できない弱点もある。このため直射日光はほぼ厳禁、未使用時にはカバーか何かをかけて外光を遮ることが望ましい。
劣悪環境が当たり前の産業機械と、負荷の重いゲームセンターでほとんど使ってない時点で耐久性や信頼性はお察し
ただ液晶にはない強みとして、
パネルの造形の自由度が高い、曲面や折り曲がる画面を作れるなどの点もある。
それって『普通の』PCやスマホなどには必要なくね?というツッコミをしてはいけない
◇マイクロLED
小さなLEDを並べて作ったディスプレイ。
有機ELも含めた他のディスプレイよりも黒のコントラスト比が高く、応答速度、省電力性能も最高。焼き付きの心配もない。
欠点は値段。力技的な最新技術であるため4Kディスプレイ1枚が1500万円以上(2024年現在)。大きさも100インチ前後のものしかない。
現状で自作PCに使うにはあまりにも高額だが、メーカー各社が開発競争を進めているため安くなるのを待とう。
◇ミニLED
マイクロLEDの廉価版とされる技術。厳密には液晶のバックライトを小型のLEDに変えただけで、単純な性能では劣るものの既存の液晶や有機ELよりはずっと上。
こちらもまだまだ高価ではあるものの有機ELよりは安めであり、徐々に現実的な選択肢に加わりつつある。
◇プロジェクター
映画館のように光を壁やスクリーンに当てて画像を映す装置。新製品なら一般的な液晶より電気代のかからないことが多く、天井に映すこともできる。
デメリットとしては明るいところでは画像が薄くなる、起動音がする、起動時間がかかるなどがある。
◇E-ink/電子ペーパー
電子書籍リーダーなどに搭載されている、発光しないディスプレイ。明るい部屋でしか使用できないが、目に優しく消費電力も低い。
PC用のもいくつか売られているが、基本的に白黒で、リフレッシュレートも物凄く低く(アクションゲームなどはほぼ壊滅)、しかも液晶などと比べると値段がものすごく高い。
◇ヘッドマウントディスプレイ
頭に装着するディスプレイで、VR用のものも存在する。PlayStation VRもPCで使用可能。
液晶ならば「TN」「VA」「IPS」の3つに分けられる。
◇TN (Twisted Nematic)
3つの中では最も安価。GPUの項目でも触れた、リフレッシュレートが高い製品が数多く揃っているのが特徴。ゲーム用途でオススメされるのはだいたいコレ。
応答速度も上げやすい。
欠点として視野角が狭いため、複数人で鑑賞するような用途には向かない。一人だけで使うなら無問題。
また、コントラスト比(後述)も低い。例えば、真っ黒な画面を表示すると、少し明るくて灰色っぽい黒色になってしまう。
◇IPS (In-Plane Switching)
ゲーム向けを謳っていない、一般的な液晶ディスプレイでは主流の存在。製品数も3タイプの中では最も多い。
視野角が圧倒的に広く、色もかなり鮮やかに描かれる。
2024年現在、IPSのゲーミングディスプレイの開発が進み、TNに匹敵するような高リフレッシュレート、低応答速度のものも増えている。
今やTNとそれほど変わらない価格で同じリフレッシュレートを実現できるようになったため、こちらのオススメ度も高くなっている。
◇VA (Vertical Alignment)
TNで問題となっていた、視野角の狭さや変に明るい黒色を改善するために開発されたタイプ。
3つの中では圧倒的にコントラスト比が高く、黒色の表現力はIPSすらも凌ぐほど。映画などの映像作品の鑑賞用途に強い。
黒色が強すぎてゲームに向かないとも言われていたが、こちらもゲーミングディスプレイ向けの開発が盛んに行われており、曲面ディスプレイになっている場合に採用されていることが多い。
直下型は、ディスプレイの下にLEDを配置し光を送る方式。
エッジライト型は安価なモバイルディスプレイに多く、ディスプレイの端にLEDを配置し導光板などでで光を送る。
そのため、LEDに近い部分は必然的に明るくなり、LEDから離れるほど暗くなる。黒い画面だと端にLEDの光がくっきり見えるものも。
高い解像度ほど画面に映し出せる情報量も多くなるが、GPUの負荷も大きくなったり、自分の目で追い切れなくなったりと一概に高ければいいというものでもない。
特に目が追い付くかどうかは選ぶ上で最も重要なポイント。とはいえディスプレイ側で縮小できたりするので、大は小を兼ねるという選び方もOK。
2024年現在では「フルHD (1920×1080)」「WQHD (2560×1440)」「4K (3840×2160)」の3種類が主流。複数ディスプレイを駆使して8K以上の超高解像度を実現する猛者もいる。
分かっているとは思うが、「解像度」と「ディスプレイ本体のサイズ」は別物なので注意。
同じ24インチパネルでも、解像度と駆動速度の違いで複数のモデルを製造しているメーカーが多く、品番も少し違うだけとややこしいので選ぶ際には注意。
液晶ディスプレイは、PCから送られてきたデータを綺麗に処理してから表示する仕組みになっているため、信号が入力されてから画面に表示されるまでにどうしても若干の遅延が発生してしまう。なので、ゲーム用の場合はこの「表示遅延」対策がどの程度行われているかを重視することが多い。
現実問題として5フレーム
(1秒あたり60フレームとして、約0.083秒)も遅れていれば大抵の人は違和感を覚え、0.1秒遅れると
クリボーを踏むのも困難である。
ゲーミング向けを謳っている商品は概ね低遅延だが、FPSや格闘ゲームなど特に表示遅延が死活問題になるゲームを遊ぶのならば、カタログに「スルーモード搭載」等と記載のある商品を選択するとよい。
スルーモードとは前述の「映像を綺麗にする処理」を省いて表示するモードのことであり、その分映像の綺麗さとはトレードオフである。
商品によっては「遅延○○ms」と明記されていることもあるが、メーカーの自己申告でしかないのが辛いところ。表示遅延を計測するソフトもあるが、「基準となるディスプレイと同時出力し、表示されるタイマーをデジカメで撮影する」という手間のかかる計測方法になる。
余談だが、一般用の液晶テレビは今でも遅延を重視しない傾向が強く、(上述の通り画質と遅延は基本的にトレードオフの関係になるため)アクション要素のあるゲームを遊ぶには不向きだが、「ゲームモード」や「低遅延モード」といった設定で解決できる場合もある。
液晶が市場に出回り初めて間もない頃は遅延の重要性がまったくと言っていいほど認識されておらず、ゲーミングディスプレイなどという物も存在すらしていなかったため、「アクションゲームをやりたいなら液晶は買わずブラウン管で遊べ」と言われたりもした。
上記の表示遅延と似たイメージで紛らわしいが、単に「応答速度」と書かれていた場合は「液晶パネルが《黒→白→黒》という変化をした場合にかかる時間」といった意味になり、この数値が小さいほど表示を素早く切り替えられるため、残像が少なく動画の表示に適したディスプレイと考えられる。
このため「応答速度◯ms」などと謳われていても、上記の表示遅延時間とは無関係である点に注意が必要。ひどい場合はショップ店員や雑誌まで混同している時がある。
また表示遅延と同様に応答速度の表記もメーカーの自己申告でしかなく、実は最も良い条件の数字のみ記載していたり、そもそも応答時間・表示遅延共々測定方法・記載方法に統一された基準がなく各社マチマチだったりと、なかなか悩ましい状況が続いている。
液晶パネルの応答速度は白から黒にする場合、あるいはその逆を行う場合に最も速くなるが、中間色から中間色への応答速度はそれより遅くなるほか、その度合いも駆動方式等によって差がある。そのため「GTG(Gray To Gray:中間階調応答速度)」という指標が生まれてもいるが、これも中身が曖昧であまり普及していない。
画面を1秒間で何回書き換えられるかという数字。単位はHz。
従来は「1/60秒以下の書き換えは人間の目では分からない」として、基本的には60Hz出てればいいとされてきた。
しかし60Hz以上で書き換えると「なんとなくにゅるにゅる動く」と、実際には60Hz以上も判別出来ることが判明。
現在は倍速駆動と呼ばれる120Hz、更にブーストした144~240Hz辺りのモニターがゲーム用途向けに販売されている。昨今流行りの対戦FPSを遊ぶプレイヤーは要チェック。
ただし60Hz以上を出すにはPCの性能もかなり要求されるため、この辺りの高速駆動はハイエンド構成でないと発揮できないので注意。ハイエンドでなくても設定変更で144Hzを引き出す事も(ゲームによっては)可能だが、実際に自分が遊びたいゲーム・遊びたい画質で144Hz出るかどうかはPC構成の際に店員さんに聞くとよいだろう。
一応整数倍なら綺麗に動くので、144Hzモニターで72Hz出力ならミドルレンジでも実用的に運用可能。
ただ、処理落ち等でリフレッシュレートと実レートがズレると「テアリング」と呼ばれる画像の乱れを引き起こすので注意。
ディスプレイを構成する画素、すなわち光る点が並ぶ間隔。画素の大きさと言い換えることもでき、「表示領域の寸法÷最大解像度」で計算できる。
注意したいのは、安価なディスプレイの中には稀に縦方向と横方向の画素ピッチが違う機種があるという点。
縦横の画素ピッチが揃っていないということはつまり画素が長方形の液晶パネルを採用しているということで、こういったディスプレイでは表示内容が画素の形に引き伸ばされて実際の印象が変わってしまう。
「安い」という点以外にそのようなディスプレイを使うメリットは皆無であり、特にイラスト制作やCADといった表示に厳密さが求められる用途では避けたいところ……だが、メーカーによってはそもそも画素ピッチが公開されていなかったり、ボカされていたりすることもある。
気にする場合は「0.△△mm×0.△△mm」といった具合に、両方の画素ピッチを明記している機種から選ぶのが無難。
画面内の「白」と「黒」の輝度の比を表す指標。例えば1000:1ならば、白い部分が黒い部分の1000倍明るいことになる。
液晶ディスプレイでは1000:1~1500:1くらいが主流で、上述したVAパネルだと3000:1~4000:1、有機ELに至っては100万:1にも及ぶ。
「人間工学」という意味。要は、モニターを支柱上で動かして扱いやすい位置に動かしたり傾けたり、あるいは90度回して縦置きしたりできる機能。
ゲームでも仕事でも、長い間同じ姿勢でいることが多いPCではちょうどいい位置にディスプレイを置いておくことで、作業のしやすさが段違いに上がる。
特に縦置きが出来るものは省スペースで作業領域を稼いだり、論文や攻略サイトなどの縦長の文章が読みやすくなったり、ある種のサイドバーとして活用できたりするなど活用法も増える。
2019年~2021年頃に各社が売り出したディスプレイの形状。2022年以降は下火になりつつある。湾曲モニターなどとも呼ばれる。
その名の通り画面が物理的に曲げられ、両端が前面にせり出している形のディスプレイ。
画面の中央と両端の視線の距離差が少なく、ゲームや映像への没入感を高められるメリットがあるが、平面ディスプレイより高価、人によっては画面酔いしやすいなどといったデメリットもある。特に自分の正面にディスプレイを置かない人は酔いやすい。
パネルの種類はほとんどがVA。メーカーサイトなどでは「1800R」「1500R」といった表示があるが、これはディスプレイの曲がり具合を半径で示しており、数字が小さいほどキツいカーブになっている。
主にモバイルディスプレイに搭載されている。
特に今のWindowsはどの端末でも使えるOSにする流れの一環で、8以降ではスマホのようなスワイプ操作にも対応しており、力を入れている。
厳密には違うが液タブもこの類かもしれない。
モニターアームとも。最初から付属しているスタンドの代わりにディスプレイを取り付けるロボットアーム状のパーツ。
ディスプレイの位置を上下前後左右自由に調整でき、付属のスタンドではデッドスペースになりがちなディスプレイ直下部分が空いて、机を広く使えることがメリット。
1台用はもちろんのこと、2台以上のディスプレイを同時に取り付けられるアームも用意されている。
ディスプレイとアームの接続には「VESA」という規格のネジ穴を使うことがほとんどだが、VESA規格にもいくつかサイズがあるほか、VESA非対応のディスプレイも多い。
ディスプレイとアームの両方が同じネジ穴を備えているかどうか、調べておくと後が楽。一応、非対応のディスプレイを接続するための変換パーツや大きな爪でディプレイを掴むような金具もあるにはあるが。
アームの基部は机や壁に固定する。机に固定する場合、主にクランプ式とグロメット式の2種類。
ちなみにWindowsには画面の向きを縦横変えられる機能がある。縦の画面を使いたい場合は、タブレットスタンドを使うこともできる。
【入力機器】※必須
キーボードやマウスなど。
いろんな機種で使いまわし出来るので手持ちがあればわざわざ改めて買う必要もない…が、使い心地に大きく響くためこだわる人も少なくはない。
当然消耗品でもあるのだが、仕事にせよ趣味にせよ、使用頻度が高いと肉体への負担が深刻になるのでヘビーユーザーほどお金をかける傾向にある。「キーボードを交換したら肩こりが治った」とか「マウスからトラックボールに替えたら腱鞘炎が改善した」などの声も…
基本的に好みで選ぶものだが、ちゃんとした良いものを買うことをお勧めする。
良いものはやはり値が張るものの、痛めた目や指や腰を治療する為に病院に通うよりは、高級機器でそれらを未然に防止する方が結果的に安上がりだ。
機械も人体も、壊れてしまう前にケアするのが最善である。ディスプレイと同じく外部機器であり、自作PCの範疇とはいえないので市販のPCを使う人もこだわりたいところ。
共通項
手の大きさが人によって大きく異なる以上、マウスやキーボードのサイズも大小さまざま。
使いやすさに直結する要素であるが、使って見ないとわからない部分でもある。
キーボードの場合はキー同士の間隔やキー自体のサイズも重要になってくる。
どの機器も、大きく分けて有線式と無線式の2つに分かれる。
どちらを選ぶかは人の好みにも依るが、優劣というよりは相互互換に近いので自分に合うものを見つけたい。
◇有線式
コードの都合上置き方や配置に制限がある上、PCのUSBポートを占領する。
しかし、電池交換や充電の必要がなく、トラブル時(初回起動時やデータ復旧時等)も安定して使える。無線式を使っている人でも、トラブル復旧用に1台持っておくと何かと便利。
マウスの場合は電池不要な分軽くなるので、配線が問題なければ地味にストレス軽減しやすい。
◇無線式(Bluetooth以外)
コードを気にせず好きな場所に置けるし、有線同様にトラブル時も安定して使える。
しかし定期的な電池交換または充電が必要になる上、レシーバーがPCのUSBポートを占領する。
機器にもよるが、入力に遅延が発生する。
◇Bluetooth式
好きな場所に置けるのは上述の無線式と同じだが、こちらはUSBポートを占領せず、USBポートのないタブレット等にも接続できる。
しかし電池交換や充電が必要な事に変わりはない。Bluetooth設定をしないと使えないのでトラブル復旧時に使えなくなる。
そもそも、つなぐ機器にBluetoothが搭載されてないと、試す事すらできない。
機器にもよるが、入力に遅延が発生する。
ポートを占領したり、いちいちコードを引きずったりするのは嫌という人には無線式がお勧めだが、充電や電池交換が手間だったり、肝心な時の電池切れやラグが嫌という人は有線式がお薦め。
特に少しのラグが命に直結しているゲーマー(特にアクションや格ゲー・FPS・RTSなどの対戦ゲームをやり込みたい場合)は有線式がベターと言える。
ただし、近年は有線式に遜色ない速度の無線式機器も存在しているため、ゲーム目的であっても必ずしも有線式に拘る必要ない。
とはいえ、ゲーム目的で購入するのであれば、事務作業向けの無線式は避けた方が無難だが。
無線派の人も、有線式の予備を持っていると電池いらずで何かと便利だったりする。
過去にはキーボード・マウス共にPS/2接続だった。
2024年現在はUSB接続がほぼ全てを占めるようになったが、それでもなお、USBドライバ無しでも動く事や同時押し制限数の無さから、古い規格であるPS/2コネクタを利用したキーボードの人気が未だ根強い。
元々は多くのメーカーがPS/2を全廃する中で、変態企業AsRockが1ポートだけ残していたら、その後何故か他のマザーボードメーカーも、ゲーム用上級機を中心に1ポートだけ搭載するようになった。
その後もAsRockはクリエイター向け高級機と最廉価品以外でPS/2を継続搭載する傾向があり、昔からの自作erの財布に非常に優しい。2020年代になっても、Intel CPU用マザーボードでは未だにPS/2を用意するほど。。
AsRock「いつも通りユーザーが『低コストで新プラットフォームへ移行する』為に残しておいたのにどうしてこうなった」
とはいえ現在はPS/2キーボードの方がほぼ壊滅しており、余り考える必要が無くなってきた気がする。あのリアルフォースですらRシリーズにフルモデルチェンジした際、PS/2モデルを廃止してUSBに統一した程。
…とはいえこのリアルフォースシリーズ、静電スイッチを採用しているため本当に壊れない。筆者の一人が使っていた無印の106Sはポンジュース×2回、加糖コーヒー×4回をぶっかけた経験があり、中に入ってる鉄板もこの影響でサビまくり。しかしトラブルはキーの戻りが悪くなった位で、キーの洗浄によってそれも元通り。購入から18年経過して、ついにPS/2のないマザーに変更したためにようやく引退となった。
正直壊れたら変えようとか思ったけど10年以上かかりました…。
キーボード
◇メンブレン式
接点シートを内部に敷いただけの簡素な構造で、キーを押して接点が導体に触れることで入力される。
最も安価だが性能や押し心地も値段相応。
かつては富士通から「Libertouch」という高級メンブレンキーボードも発売されていたが、2021年現在は絶版になっている。
キーを押し切らないと反応しないので、指を痛めやすいという指摘もある。
◇パンタグラフ式
キーが電車のそれと似たような支持構造になっている。薄型化が可能なため軽い打ち心地になる。
それ以外はメンブレンと同じ仕組みでこれも安価。ノートPCや折りたたみ可能なキーボードに採用されている。
一部のゲーマーは「ストロークが短い」「キーが平面なので指を滑らせやすい」という理由でフルサイズパンタを愛用していたりする。
◇メカニカル式
キー1つずつにスイッチとバネが組み込まれた方式。
しっかりとした打鍵感と耐久性があり、長時間操作しても疲れにくい。ゲーミング用途での主流。
構造が複雑であり値段も高め。あと故障率が他と比べると桁違いに高い。
いくつか種類があるので気になる人は下記の種類の項目を参照。
◇アナログキーボード
物理的な接点がなく、キーを押し下げるとセンサーが反応する方式で、耐久性が高い。
無段階のセンサーに閾値を設けてキースイッチとして動作させているため、閾値を変えることで好きな押し具合で入力動作させることができるモデルも。
文字入力(事務/経理やプログラミング等)が主のプロ向けで、これも構造が複雑なため値段が数万円と高い。
他と違って「スプリングがラバードームの機種はキーが極端にふわふわしている」「キーを押し切らなくても反応する」という特徴があり、これは利点でもあり欠点。
特に押下圧30gモデルでは、キーの上に手を投げ出してたらソレだけで押したと判断され、勝手に文字が入力されるなんて事も。慣れるまではゲームで使ってるときに意図せず左移動(Aを入力)しがち。
そのため「REALFORCE(リアフォ)ってどうよ?」と聞いた時に
「リアフォじゃないと生きていけない」という人と、「リアフォはピーキー過ぎて使えない」という人と、どちらにしろ極端な感想が帰ってくる事が多い。
これだけは必ず持ってる人に使わせてもらってから購入したいところ。
アナログキーボードにも方式が色々あり、タッチパネルの仕組みを転用した静電容量無接点方式は原点にして頂点。リアフォもこれ。
リアフォ以外だと、Ctrlキーを空気なCapsキーの位置に置いた変態配列で有名なHappy Hacking KeyBoard Professionalシリーズぐらいしか採用例が無い。
他の方式だと鏡を押し下げてレーザーの当たる位置で押し下げ位置を判定する光学方式、磁気センサーと磁石の位置関係を変えることで磁場を変化させる磁気ホール方式などが2010年代後半以降増えている。
現在のアナログキーボードの隆盛の理由はゲーミング用途が主。無段階でセンサーを作動させられるので、キースイッチの位置ではなく速度で反応させることもできるのだ。これは「ラピッドトリガー」と呼ばれ、早押し速度で有利不利が決まる競技ゲーマーに非常に人気の機能となっている。
これらの新方式は様々なメーカーから出ており、静電容量無接点方式よりもやや安く買えるものも多い。あとスプリングリターン故にメカキーにフィーリングが近いのは利点。
2020年代現在、ドイツのCherry社が作ったCherry MXスイッチがデファクト・スタンダードとなっている。
そのため中国のKalihスイッチと言った他社製のスイッチでも規格と色毎の特徴がCherryの物を概ね踏襲されている。
「メカ式=バキバキ鳴る」というイメージが強い人もいるだろうが、実際は様々なスイッチが存在していて、その通称として「軸」が使われている。
大きくリニア軸・タクタイル軸・クリッキー軸に分かれており、多くの市販されているメカニカルキーボードはこの3つ+それぞれでスプリングの重さを変えた派生モデルという形で併売されている。
◇リニア軸
高速にタイピングしたい人向け。黒軸がスタンダードで、派生として赤軸(Cherry MX Red)や銀軸がここに分類される。
クリック音は全体的に控えめ、キーが反応するタイミングで重さが変わらないのが特徴。
黒軸(Cherry MX Black) 最初に登場したリニア軸。タイピングが強めな人向け。
赤軸 黒軸の入力が重いという評判から荷重を下げたバランス型。
静音赤軸 赤軸を静音化した物でピンク軸とも。周囲の環境に配慮したい人はこれを選ぶと良い。
銀軸 赤軸をベースにキー入力が有効になるストロークを短くした超反応モデル。意外に思うが重さ自体は45cNで赤軸と一緒。
◇タクタイル軸
カクッとした適度な打鍵感が特徴。茶軸(Cherry MX Brown)がここに分類される。
このカクッの部分で微妙に音が出るが、下の青軸よりかは静かではある。静かな室内で使ってるとちょっと気になるかな、ぐらい。
リニアとクリッキーの中間的存在。下の静電タイプ同様に押し切らなくとも反応するが、そっちよりはちょっと手応えがある分誤入力はしにくいとされている。
◇クリッキー軸
わざわざキー自体に音を出すギミックを追加したもので、カチャカチャとしたクリック音が特徴。青軸(Cherry MX Blue)がここに分類される。
その分うるさいので環境を選ぶ点に注意。
近年はストロークを減らした「ロープロファイル」と呼ばれるスイッチも登場している等、これ以外にも多数の軸が存在する。
これらCherry MX規格のスイッチはキーボード基板やキーキャップと独立しており、別売りのキースイッチやキーキャップに取り替えることでカスタムが可能。サードパーティの互換スイッチもあるので、予算に応じてメーカーも選べる。
このようなスイッチの取り替え機能を俗に「ホットスワップ」というが、これは元はキーボードの取り換え機能ではなく、『電源を入れたまま装置の部品を取り替えることができる』機能のこと。キーボードの回路の関係上電源を入れたままでも押してない限り通電はされないので、結果的に後者のホットスワップの定義に合致してはいる。
そのため複数の軸を共存させることも構造上可能であり、自作パソコンと別で沼る人も。
お試し用のサンプラーも販売されているので、それで軸ごとの打鍵感を体験してみるのも良いだろう。
キー配列は言語によって異なるが、日本語では英語や中国語、スペイン語などと同じQWERTY配列が採用されている。
只、QWERTY配列でも細かな違いが各言語・地域毎に存在する。
◇JIS配列
日本市場での標準仕様。ローマ字入力とかな入力に対応している。特にこだわりが無いなら、これが一番無難。
◇US配列
QWERTY配列の元祖。
アメリカやカナダ、スペイン語圏等で使用されている。Enterキーが横長、変換・無変換・かなローマ字キーが無い分Spaceキーが巨大化しているのが主な特徴。
見た目がスッキリしている事とアルファベット入力に最適化されていることもあり、JISより好む人も一定数いる。そのため国内企業でもUS仕様の物を用意している所も多い。
◇UK配列
イギリスでの標準仕様。基本的にUS配列と一緒だが、こちらはEnterキーがJIS配列に近い仕様でUSのEnterキーの形に慣れない人はこっちがおすすめ。
しかし日本市場だとUS配列以上に製品の選択肢が少ないのが難点。
◇HENTAI配列
キーボードを省スペースに収めるため、キーの位置を極端に崩したキーボードが存在する。
あまりにもあまりな配置なので通称でこの名称。昔の省スペースノートPCも横幅を圧縮するためにHENTAI配列になっているのが多かった。
テンキーレスやファンクションキーをFn+数字キーにするのは序の口で、中には矢印キーすらFn+なにかに割り振る物も。
2020年代に一部で流行った「自作キーボード」や「70%キーボード」の類はほぼHENTAI配列。
テンキーとは、キーボードの右端(エンターキーより右側)についていることがある、電卓のような配列のキーのこと。
キーボードによって付いていたり付いていなかったりし、テンキーが付いていないものをテンキーレス(TKL)と呼ぶ。
数字だけを打ち込む場合は(慣れれば)便利なのだが、文字を打ちつつ数字も打ち込むような場合は、配置の都合もあってあまり使わない。
そのため使わない人は本当に使わないキーであり、キーボードがデカくなって邪魔になることもしばしば。
メインのキーボードと独立してテンキーだけを付けられる製品もあるため、あまり使わないようならテンキーレスにして使うときだけ外付けという手もある。
手のひらサイズのミニキーボードならともかく、一般的には小さなキーボードほどキー数は少なくなる。
上にも書いたけど圧縮に圧縮を重ねたHENTAI配列キーボードは一部キーをFnキー+何かで代用することになる。
JIS配列のテンキー有りなら109キー、テンキーレスで91キーがデフォルトなので、不安になったらこの数字以上のキーボードを探そう。
マウス
今主流なのはマウスとトラックボールだろう。トラックボールは一見昔ながらのボールマウスを逆さにしたような見た目だが、仕組みは光学マウスのセンサに窪みをつけて中にボール入れたといった感じ。
マウスとトラックボールを比較すると、マウスは直感的な操作感があるため、初心者でも使いやすく、手首を左右に動かすことでカーソルを移動させるため、より自然な操作感が得られる。
一方、トラックボールは、直接手を動かさずに球体を転がすため、手首を安定的に保つことができ長時間使用しても手首の疲れが少なく、デスクトップのスペースをとらず、いというメリットがある。しかし、トラックボールの操作感覚に慣れるまでには時間がかかり、初心者には使いにくいというデメリットがある。~
親指ボール型はあまり癖がない代わりに親指に負荷がかかるのがネック、大玉型はトラックボール特有の癖がモロに出るのと、ドラッグが非常にやりづらいのが難点。
また、マウスはある程度形が決まっているが、トラックボールは比較的自由。手のひらサイズだったり、キーボードに内蔵されているものも。
・DPI
DPIとは「Dots per inch」の略で、マウスを1インチ動かした時にカーソルが移動するドット数である。DPIが高いほど、カーソルの動きが早くなる。
マウス側でDPIが変えられる場合は、Windows側の設定を真ん中にするとDPIと移動距離が1:1対応するので、そこからDPI変更で好みの速さに調整するのが正解。
近年のマウスはDPIを50とか100の単位でネイティブ可変できるようになっているが、昔のマウスだと400/800/1800のようにネイティブで出せるDPIが固定だった。
これ以外の解像度を選択すると入力抜けが出るので非推奨という時期が存在した、どのDPIがネイティブなのかは調べておこう。
・ボタン数
マウスのボタンが2つだけだったのは大昔のこと。今は普通に売っているマウスでも3(3つ目はスクロールホイールを兼ねる)から5個(大抵4・5個目は戻る・進むボタン)あるものも多い。
また、ゲーミングマウスには、通常のマウスに比べて多くのボタンがついていることがある。これは、ゲーム中によく使用する機能をボタンに割り当てることで、素早く操作することができるようにするためだ。また、ゲーミングキーボードやPC本体にも言えることだが、光る。ネオンサインのごとく光る。
一概にどちらが良いというものではなく、FPSゲーマーの中には「そんなもん増やすなら軽くしろ、マウス振り回しながら左右クリック以外を押すとか無理、エイムがずれる」という人も結構いるし、逆にリアルタイムシミュレーションゲームなどの場合ショートカットに使うボタンの多さや配置にこだわる人も居たりと、ジャンルやユーザーの好みで振り幅の大きい部分である。
なおWindowsのデフォルトでは5ボタンまでしか認識しないため、6ボタン目以降はドライバで割り振る必要がある。2010年頃からはマウス自体にメモリを搭載し、一度ドライバで書き込んだ設定を保持して、ドライバの入ってないPC(や家庭用ゲーム機)でもその通りに動かせるという機種が増えている。
なお、PC上級者の中にはモノホンさながらのハンドル・ペダルや、
音ゲー専コンなどのゲーム機のコントローラーを繋ぐ強者も。
Xbox360や
PlayStation4、
Nintendo SwitchのコントローラーはUSBやBluetooth接続になったので普通にPCに繋がる(Xbox360からは純正品がWindows対応している)ので、本体を持って無くてもパッドだけ持ってる、なんて人も。
ドライビングフォースGTとかPlayStation3用に出た奴も、PC用のドライバが用意されている場合が多い。
最近では、主に絵描きの人がSwitchのJoyコンを片手で使える補助入力デバイスとして利用しているケースもあったり。
昔からUSBパッドを左手に持って…というのはあったが、Joyコンのおかげで軽くなったのである。ちなみに便利なダイヤルなどが搭載された専用のデバイスを左手に置く場合も存在する。
あと、PC向けのアーケードスティックは非常に出来の悪い安物ばかりだったので、PS3/4/Xbox用のスティックを流用することが多い。
Xbox360用はネイティブ対応、PS3用は非公式だが対応、PS4用はスイッチでPS4用の信号とPC用の信号を切り替えられるようにして両対応という物が多い。
また
Steamは「Steam Input」という機能があり、PSやSwitchのパッド入力を自動的にXboxの物へ変換してくれる機能がデフォルトで有効になっているので、あまりデバイスには困らないようになっている。
ただEpicやMicrosoft Storeなどこの機能がないストアもあるので、やっぱりネイティブX-Inputパッドはあると便利だったりする。
- なんだこれすげぇ -- 名無しさん (2025-01-27 09:42:41)
- 本体より分割先の方が文字多いw -- 名無しさん (2025-01-27 09:59:50)
- AMDも4090の性能を見てさすがにハイエンドの性能を競うのに飽きたのか、最近発表されるグラボは大体80台の性能を狙いながら安めの値段にしているようだ かなりオススメできる -- 名無しさん (2025-01-27 11:33:26)
- 全部最優先になってるコピペの項目かと思ったら超絶ガチ項目だったでござる -- 名無しさん (2025-01-27 13:12:54)
- しかしここまでクソ長いとまた容量オーバーになるのも時間の問題かね。さらに細分化した分割も視野に入れるべきかと。 -- 名無しさん (2025-01-27 19:55:37)
- すげえ気合の入った記事で驚いた、本当に沼だなぁw -- 名無しさん (2025-01-27 22:10:18)
- めちゃくちゃ分量多いのに内容はせやな…ってなるしこれでも語り切れないのがわかるので自作PCという沼が深い事を再認識してしまう -- 名無しさん (2025-01-27 22:23:31)
- 『性能の高い(≒値段が高い)ものほど消費電力や発熱が増えてしまうため、高ければいいわけではない』とは言うモノの、どうしてもマザボやメモリとセットになる関係で最新のを選びがちになっちゃうんだよなぁ・・・ -- 名無しさん (2025-01-27 23:05:39)
- 表示遅延と応答速度の混同は15〜20年くらい前からあったし、何が凄いってその頃から勘違いが減る気配がないこと -- 名無しさん (2025-01-28 09:03:30)
- このwikiでやることか? -- 名無しさん (2025-01-28 12:47:29)
最終更新:2025年02月02日 23:07