孫夫人/孫尚香

登録日:2011/09/16(金) 17:05:35
更新日:2024/12/14 Sat 23:03:31
所要時間:約 6 分で読めます




孫夫人とは三国志の登場人物。孫堅の娘で孫策孫権の妹である。生没年不明。
演義においては孫パパ第二夫人・呉国太の娘に当たり、孫仁と言う名だが、正史では妾の子という説が強く名も不明。
三國無双シリーズのお陰で孫尚香の名で一般的に浸透してるが、これは元々京劇における名称。
孫仁とは孫権の弟、孫朗(何時の間にか獄死してたヤツ)の別名。

幼少から武芸を嗜み、腰にを下げていたことから「弓腰姫」の二つ名でも知られる。
が、実はこれは吉川三国志の造語で、史実・演義ともに一切呼ばれない。

[演義(エンターテイメントです)]

周瑜劉備を政略結婚させ、呉に連れ込んで死なせてしまえという計略の餌として名が挙がったのが孫夫人。
劉備も危険を感じるが、そこは天下の名軍師諸葛孔明

「同盟強化のためにもいい話じゃないですか。受けちゃいましょう。
趙雲に計略の入った袋を3つ与えておきますんで、ご安心ください。」

当然引っかけたと思った呉は喜ぶが、まずここで孔明の罠その1発動。

「政略結婚を言いふらしてしまえ」

周瑜はこの政略結婚による暗殺を秘密裏に行おうとしていたが、これを公然の事実にし、関係各所にご挨拶に行ったのだ。
この政略結婚を知らされていない孫夫人の母・呉国太と孫策の舅・喬国老は孫権に激怒。「娘を夫の顔も見せずに未亡人にするのか」「美人局で荊州を手に入れても笑い者になるだけ」と詰め寄る。
その後なんやかんやあり、「呉国太が会ってみて決める。ダメな時は好きにしろ」という条件で劉備と呉国太が面談。
その結果、劉備の風格を気に入ってしまい当初の発言を翻して結婚を許した。

なんか当人無視な状態で決まってしまった婚姻であったが、当の孫夫人もベタ惚れ。
武装した侍女に取り囲ませたりして脅かしたりしつつも何やかや仲良くなってしまった。

しかしそれなら次の策。
周瑜は思いっきり酒池肉林にして腑抜けにしてやろうとする。ヒキニート化する劉備に趙雲孔明の罠その2を発動。

「大変です!!曹操が荊州に大軍を率いて攻めてきます!!」

別に孔明でなくとも思いつきそうな策であるが、一応これで劉備は目を覚まし、呉からの脱出を図る。
とは言え流石に孫権がそれを許すはずもなく、直ちに部下をやって連れ戻しをはかる。
ところが、孫夫人は「夫についていくのは妻として当然、邪魔するなら私がお前らを殺す」と追ってきた武将を怒鳴りつけて追い返す。

すごすごと帰ってきた武将に業を煮やした孫権、「従わないなら夫婦二人とも切ってよい!!」と厳命し再度の急追。
しかし、ここで趙雲が孔明の罠その3発動!!

「船で迎えに来ました」

…まあ、脱出時期や脱出地点まで読んでいたことは確かにすごいのだけど。
こうして劉備と孫夫人は荊州に戻ったのでした。

しかも船で去る時に
「花嫁を取られるとは流石周瑜殿は名将ですねぇ」
と兵に叫ばせ、周瑜は怒りのあまりに持病を悪化させてしまうことになった。

その後も子は出来なかったが夫婦仲は良好だった。
が、侍女達に武装させており、おせっせの時も監視役として置いていたみたいなので劉備は内心ビビってたとか。
まぁ常人の感性を持った人間なら普通はビビる

史実同様に益州攻略後、荊州を巡って蜀・呉間の仲が急速に悪化。
その為、張昭・魯粛は荊州に居た孫夫人の帰還を提案。「呉国太が危篤」と孫夫人に伝え、呉へ帰還させている。
この際、阿斗を呉へ連れ帰ろうとして趙雲と張飛に止められる。
呉は副官の周善が叩き切られるが、とりあえず帰国はする。

実際に呉に帰国した所、呉国太は危篤どころかピンピンしており、母と二人揃ってぶちギレ金剛と化して孫権を糾弾した。
タケコプター哀れ。

その後、「夷陵の戦い」で劉備が戦死したという誤報を聞きつけ、長江に身を投げた。
もっとも、その劉備も史実同様間もなくして病没したが。


[正史(現実は非情である)]

上記の通り演義においては一途な女性として描かれているのだが、現実は甘くない。
正史での記述自体少ないのだが、やっぱり孫家の血統としかいえないくらいアレ。

目付け役をやっていたのはあの趙雲。演義で劉備についていったのが趙雲なのも、おそらくこの史実に由来するのだろう。
趙雲は史実では演義ほど派手な活躍はしていないと考えられているが、的確に働く歴戦の名将であったことは間違いないと考えられている。
普通、当時の目付け役は宦官や女中の仕事であり、趙雲のような武将がやること自体が非常事態だった。
また、彼女が連れてきていた兵士たちの素行が悪く、その監視役として趙雲が付けられるようになったともある。

侍女達に武装させていたのは史実でも同様であり、なおかつ孫権の妹であることをかさにきて、素行不良で相当問題が多かったとか。
この為、孫夫人とのやり取りは演義以上に劉備もかなりビビってたらしい。

要するに彼女も彼女の配下も監視役を付けざるを得ないので、趙雲がまとめて監視していたのかも知れない。


劉備が蜀に入った後、ここで取り立てられた法正のインテリヤクザぶりが酷く、諸葛亮は「あいつを取り締まるよう殿に進言してくれ」と頼まれた。
諸葛亮は愛弟子の馬謖でも軍法違反で斬ったほど法に厳格な人物、やりたい放題は許さない…とはならなかった。
「殿が荊州にいた頃、北に曹操、南に孫権、更に内にあっては孫夫人の脅威があり、その中で我が君が志を遂げたのは、ひとえに法正の功績。どうして自分に止めることができようか・・・」
諸葛亮に主義を曲げさせるほど、孫夫人は曹操・孫権と並ぶ危険人物であったのだ。

政略結婚だったためか演義と違って結婚した劉備との仲は悪く、終いには別居状態と化し、そのまま自ら進んで呉に帰ったとか。
危篤云々のくだりも当然創作。

他方、正史でも阿斗を呉に連れ帰ろうとしていたという記述があり、この件がきっかけで更に劉備との仲は険悪になった。
諸葛亮が趙雲に命じて長江を封鎖して奪還したらしい。

呉に帰国後の動向・生死は不明。

実は意外なことに、呉の人物でありながら正史の呉書には一切記述が無い。
女性であり、君主の妹にしても他の君主の家族・夫人・皇后の例から考えると謎である。


[その他の孫夫人]

●反三国志

政略結婚ではあったが、演義ベースで仲はすこぶる良好。
こちらでは呉国太が本当に病気になってしまったため、荊州を守っていた関羽が独断で里帰りさせる。(劉備も事後承諾はしている)
しかし呉が劉備との敵対を決めた際に、夫や関羽に合わせる顔がないと考えて長江に身投げ。
怒った劉備と関羽は呉と本格的に事を構える決意をする。

●レッドクリフ

演:ヴィッキー・チャオ
吹替:朴ロ美
本作の事実上のヒロイン。第2作では雑兵に扮して曹操軍に忍び込み、戦場を視察する。
胸に書状を巻いて服の下に隠すなどお色気場面もほんのちょっとだけある。
曹操軍の兵との悲恋も見どころ。


蒼天航路

ヨウ(火華)夏という名前で登場。劉備の器に触れベタ惚れ。劉備もデレデレ。何故か関西弁。
本作における彼女は人物像・エピソード共に演義寄りに描かれている。
劉備が結婚をあっさり承諾したのは、嫁さんが全員死んで溜まってたので、せがれの一存で決めた模様。
関羽は呆れて、張飛はキレて一緒に飲みに行った。
ちなみに政略結婚を提案したのは周瑜ではなく揉み上げロール魯粛。


無双シリーズ

PS1作目から登場しているキャラで、前述の通り名前は孫尚香。この時は周瑜のコンパチ。何気にシリーズ皆勤キャラ。
真シリーズからの武器は乾坤圏。どこのナタクだよ
弓腰姫の通り名は本作でも登場。
弓よか圏の方が得意ですけど…
モーション補正のお陰で火力に難がある。真無双3エンパだと全キャラ屈指のステータスになるが、この点が更に顕著になる。
スタッフのお気に入り!

●コーエー三國志

最初期から登場している女性武将。作品によっては劉備との結婚イベントも存在する。
能力値だけ見れば二流武官といったところだが、劉備軍に足りない水軍系の適性を持っていることが多く、
演義準拠の設定のため劉備との親愛補正もあり、能力値以上の活躍が期待できる。
難点は寿命の短さ。やはり演義準拠で長江に入水自殺したことになっているため、不自然死扱いとはいえあまり長生きはできない。

●恋姫†無双

CV:北都南(18禁版)/ひと美(全年齢版)
真名は小蓮(しゃおれん)であだ名は『シャオ』。孫権(蓮華)の妹で、見た目はまだまだ子供なロリ枠。

生意気で背伸びしたいお年頃のおてんば姫だが、王族としての誇りも持ち合わせている。
主人公である一刀を気に入るのは『恋姫†夢想』も『真・恋姫†無双』も共通で、ロリとは思えない色気と小悪魔な言動で迫ることも。

ちなみに、元々女性である貂蝉が『恋姫』ではガチムチ漢女(おとめ)になっているのに対し、孫尚香はそのまま女性として登場している。


BB戦士三国伝

CV:神田朱未
「江東の弓腰姫」孫尚香ガーベラ。
孫家は全てGPシリーズが演者となっており、彼女の演者はGP04ガーベラ
ガーベラ・テトラ分やシーマ様分はなく、おてんばで気が強いお姫様。
異名の通り「虎鋭弓」という弓を所持しており、普段は腰布と一緒に纏っている。
必殺技はロングビームライフルがモチーフの薙刀「麗虎刀」を投擲する「華天楼」。未熟故にノーコンだが、マトモに当たれば普通に人は死ぬ。

各漫画・アニメともにまっとうなヒロインで、戦いの後にホンタイさんと結婚したようだ。
スーパーロボット大戦シリーズにもUXにて声付きで参戦。見た目SDなのに表情豊かで元気な尚香に萌えて新たな扉を開いたプレイヤーもいるとか。
ちなみに華天楼はちゃんと敵に当たるが、トドメ演出で戻ってきた槍が目の前の地面に突き刺さってキャッチできない

公式が病気と名高い旧公式サイトでは陸遜を振り回す腐女子
まぁ他のメディアでも陸遜ゼータプラスの扱いは変わらないけどな!

キットは比較的簡素な作りだが、表情違いのアイシールが複数付属、説明書を切り取ってエプロンにできる……など、萌えを前面に押し出した独自のポイントも。
また、女性キャラ初の単独キット化という偉業も成し遂げている。*1

SDガンダムワールド 三国創傑伝

演者はストライクルージュ。おかっぱの髪型が特徴。
虎吼戦輪という、背中に装着すればブースターにもなる巨大チャクラムを武器に使う烈女。
ゴ・エリアの大企業レッドタイガーの社長令嬢だが、アニメでは長兄・孫策ガンダムアストレイもろとも出番0秒という超絶悲惨な扱いだった。

●白井式三国志

オリンピック選手級の身体能力を持ち、素手で岩を割り、片手で人間を持ち上げるという女子力(物理)な人。完全に劉備を尻に敷いている。
あまりに「個人としての」戦闘力が高すぎるため、孫権からは「嫁にやるんじゃなかった」と言われる始末。
レッドクリフネタで女性的な一面も見せた。


●三国戦紀(初代~SH)


「大胆な奴、私の往く道から離れろ」

まさかの一面ボスとして登場。
「一面ボスとか楽勝」と余裕かましているプレイヤーに超反応やら無敵攻撃やらかましてくる初心者キラー。
ちなみに最新作『三国戦紀 Knights of Valour』でまさかのプレイアブル化。
長い間をあけての再登場とも言える。


三国志大戦

必ず蜀と呉の両方に存在する。
蜀の方は呉っぽい兵種と計略で、呉の方は逆に蜀っぽい兵種と計略を持っている。
ただそのせいか逆に浮いてしまい、イマイチ使用率は振るわなかった。
武闘派の姫ということで戦場のヴァルキュリアになったりもした。

リブート後は蜀の方こそ相変わらず呉っぽい兵種と計略をしているが、呉の方でヴァルキュリアが持っていた目覚め計略がデフォルトになり、どちらもかなりいい立ち位置を得ている。蜀の方はマジで呉に欲しい性能してる。
女性武将の能力が全体的に引き上がる追い風を受け、更にいとうのいぢが描いたり裏生徒会書記が出てきたりもしている。
そしてどれもかわいい。選ぶのが辛い。



追記・修正は劉備に一途に惚れてからお願いします。

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最終更新:2024年12月14日 23:03

*1 「キット化された女性キャラ」というだけであれば『頑駄無闇元帥』に付属する邪麗という先達がいる。