登録日:2018/11/04 Sun 22:02:44
更新日:2025/02/25 Tue 21:01:46
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枯れた技術の水平思考とは、
任天堂の元社員だった故・横井軍平の技術面における哲学である。
概要
簡単に言うと、「既に存在している技術の別方面への転用・組み合わせ」のこと。
横井軍平は、自著である「横井軍平
ゲーム館」でこう書いている。
ゲーム&ウオッチは、5年早く出そうと思ったら10万円の機械になっていた。
量産効果でどんどん安くなって、3800円になった。それでヒットしたわけです。
これを、私は"枯れた技術の水平思考"と呼んでいます。
技術者というのは自分の技術をひけらかしたいものだから、最先端技術を使うということを夢に描いてしまい、売れない商品、高い商品ができてしまう。
値段が下がるまで、待つ。つまり、その技術が枯れるのを待つ。枯れた技術を水平に考えていく。
垂直に考えたら、電卓、電卓のまま終わってしまう。そこを水平に考えたら何ができるか。
そういう利用方法を考えれば、いろいろアイディアというものが出てくるのではないか。
「枯れた技術」とは、最先端ではないものの普及していてバグなどの欠点もある程度克服されている技術のこと。
そして「水平思考」というのは、別方面への使い方を考えるということである。
(垂直に)積み上げるだけでは同じ性質の物しか出来上がらない。
(水平に)発想を広げていくことで発展するものだから。
つまり、既に完成された技術を当初や本来の目的以外のものに使って新たな価値を生み出そうとする、技術の新規利用、あるいはリサイクル理論である。
「既にあるものを新たな組み合わせをする」というのは一見すると簡単であるが、普及しきった技術で簡単に作れるものは既にやり尽くされているわけで、
今あるものを「適材適所」で組み合わせて新しいものを作り上げるというのがどんなに難しいかは、実際にやってみるとよく分かるはずだ。
この、「あるものを組み合わせて、或いは別の使い方を考えることで、新しい発想を生み出す、或いは創造力を鍛える」というのが、
枯れた技術の水平思考という哲学の真髄である。
某所の携帯ゲームソフト板のデフォルトネームである「枯れた名無しの水平思考」の元ネタ。
この哲学は、横井氏がかつて身をおいた
任天堂にも今もなお受け継がれている。
枯れた≠古い技術
ただ、「枯れた技術」という言葉の雰囲気から、この言葉が独り歩きして、
時たま「役目を終えた古い技術のみに頼る保守的な思考・哲学」という間違った解釈をされることがあるが、
枯れた技術というのは「既に完成されている技術」という意味であり、
今の時点で完成されている、あるいは見込みがあるのなら、最新のものですら遠慮なく使う、
つまり「安定して使えるものならなんでも使え」というのがこの哲学の真髄である。
古い技術だけに固執するのは「枯れた技術を水平思考で別の使い方を考える」のではなく、
ただの「古い技術だけでやるという、
縛りプレイ」に過ぎないのだ。
そもそも本当に「役目を終えた、古い技術」のみに頼るとなると、
その「古い技術」を再研究するための、あるいは製造段階になればラインを再開・再構築するための費用が余計に発生し、却って高くつくこともある。
例としては
ガンダムの
一番くじの景品で、
「こんなもの賞」として
アムロの父である
テム・レイが作った
ガンダムのパワーアップパーツをモチーフとした
USB1.1規格のUSBハブがあったが、
この企画をメーカーに持ち込んだときに「ハァ?今更USB1.1仕様で作って下さい?」「
もうUSB1.1のチップそのものがほぼ無いのでメーカーに頼んで特注で作ってもらう必要があるから、その分コストが余計にかかりますよ、それでも本当にいいですか?」(意訳)と返されたという逸話がある。
これも「役目を終えた技術のみに頼る」ことがどれだけ難しいかを表している逸話と言えるかもしれない。
尤も、これは実用品ではなくあくまでジョークグッズ、あるいはガンダムの世界観を再現するためのこだわりという方面が強いので、
商業用商品に使うべき「枯れた技術」の比較対象としては無理があるかもしれないが(この賞品では「時代遅れのブツ」であるからこそ意味があるため。コストが掛かってもあえてやっているので。)。
枯れた技術とは古い技術ではなく、円熟した技術、と考えた方が正確だろう。
フィクションの話だが、
ラーメン発見伝シリーズというラーメンの調理だけでなく経営戦略を描いた作品に、
老舗ラーメン店の謎というエピソードがある。
だいぶ年齢を重ねた従業員たちが
「創業者のやり方を貫きたい、変えるつもりはない」「赤字になっているのは大卒の経営戦略でなんとかしろ」という、
経営者への無茶振りがされている。
…実際のところ、この老人の従業員たちは「本当に心から創業者を慕っているからこそ変えたくない」や「年齢を重ねて頭が硬くなった」でなく、
「単に面倒くさがりで新しいことをやりたがらない、なんなら経営が苦しくなってもいいとすら考えている怠け者」であることが
ラーメンハゲの手によって暴かれる。
「職場の問題を解決するには、老害社員を追い出すこと」という身も蓋もない結論を下したラーメンハゲにより、
自分たちよりも遥かに若く、仕事ができて、威勢のいい、若手従業員による逆パワハラによって、老人たちは職場を追われるのであった。
主人公含めて誰も老人たちの行方を心配するものはいないのであった。そもそも怠け癖のあって新しい仕事を覚えないし覚える気力もない老人など誰が雇いたがるというのだ。
また、古いものより新しいもののほうが洗練されていて使いやすくなっているというのもよくある話、
だったら「安価で洗練されていて使いやすい、今どきの技術」でやるほうがいいじゃないという話になってしまう。
例えば例えば
最近流行りのレトロゲーム機の
復刻版であるが、こいつらの中身は当時のチップである6502系や68000やMIPS RISCではない。
ファミコンやPSの場合はスマホやタブレットや現代の携帯ゲーム機でお馴染みのARMアーキテクチャの
CPUを使って、
一種の「エミュレータ」として動作してレトロゲーム機を再現している。
復刻版
MSXの場合は、FPGA…簡単に言うと「可変電子回路チップ」を使い、チップ内に
MSXの回路をプログラミングすることで
MSXの機能を再現している。
モニターとの接続に至っては、コンポジット端子ではなくHDMIである。
HDMIならケーブル1本どころか端子一つで映像もステレオ音声も同時に送れる、
つまり端子そのものの繋ぎ間違えの心配がないから利便性に関してはコンポジット端子よりも遥かに高い。
それに今更コンポジット端子なんかを採用したところで、例えばアナログ入力端子搭載テレビそのものが絶滅しているアメリカでは何にもならない。
今どきの接続端子であるHDMIの方が、利便性が高い上に確実なのだ。
昔のCPUを今あえて使うよりも、今どきのCPUや半導体チップで再現する方が、省エネルギーで安価に設計製造できるし、
取り扱える技術者も多数存在するため、効率がいいのだ。
Nintendo Switchだって、
CPUはカーナビやタブレットなどで幅広く使われているTegra、それもおそらくは開発開始時点での最新モデルであるX1がベースなのだ。
Tegraは既にカーナビ、スマホ、タブレットなどで多数実績がある安定した、つまり「枯れた」
CPUである。
だったらこれを「ゲーム機」に使えば、省エネでリッチなグラフィックを出せるから、家でも外でも楽しめる新発想のゲーム機ができるはずだ。そして作り上げてしまった。
そういうことである。
繰り返すが、枯れた技術と古い技術はイコールではない。
古い技術だけに頼るのは単なる縛りプレイに過ぎないのである。
今の時点で使えるものなら何でも使う。そして新しい物を作り出したり、懐かしのものを再現する。
これこそが「枯れた技術の水平思考」である。
そもそも技術なんてものは日進月歩なので、
「最新鋭であまり知られていない技術」→「新しいが浸透し始めた技術」→「全体的に使われている技術」→「やや古いがまだ使われている技術」→「古くなって時代遅れとなっている技術」
という感じに移っていく。
このうち3~4番目あたりが「枯れた技術」となる。
重要なのは「広く使用されておりメリット・デメリットがはっきりしている。それを使える技術者も多い技術」であることなのだ。
「最新の新技術」というものは往々にしてメリットばかりが強調されてしまい、デメリットが判明していないことが多い。
教育が終わっておらず扱える技術者も少なかったり、コストも余計に掛かってしまうことがある。
一方で「すでに役目を終えた古い技術」では上記の通り既に在庫が無かったり、技術者も次の技術に移行してしまって残っていないことも多々あるのだ。
有名な話として
「アポロ11号のコンピュータはファミコン以下」というものがあるが、
実際、この当時はファミコンを上回るコンピュータなどごまんと存在していた。お金をかければスーファミ以上の
CPUを組むことも可能だったかもしれない。
ただ、頑丈でかつ安全で、乗組員の修理も比較的簡単だからこそ、その程度の
CPUを選択したのである。
また、当時の最先端の技術だからといって必ずしも残る訳ではない。
有名所で言えば
VHSとの競争に負けたベータマックスや、MD(ミニディスク)、LD(レーザーディスク)など
他の機器や媒体に淘汰されてあっさり市場から消えてしまうこともある。
そういった物に大金を投資していれば莫大な損失となって会社が傾き、最悪の場合は倒産することさえあるだろう。
そんなバッドエンドを防ぐ為にも「まずは一般に広まるまで待つ」という
長期的な戦略でもあるのだ。
枯れた技術の水平思考の例
ヨコイズム、そして枯れた技術の水平思考の原点。
簡単に言うと「感情の変化で汗が出て人体の電気抵抗値が変わる」という原理の嘘発見器を、
男女の親密さを図るジョークグッズ、或いはおもちゃに転用したもの。
好きな人と手をつなぐとドキドキして汗が出る、つまり電気抵抗値が変わる。これをおもちゃに応用した。
最近ではメイドインワリオなんかに収録されているので、これで知った現代っ子も多いはずだろう。
冒頭にもある携帯型LSIゲーム機。
半導体で演算してその結果を液晶画面に出すという電卓の構造を、
電卓サイズの「簡単な
ゲームのできる機械」に転用したものである。
LSI+液晶画面=「計算機」じゃなくて、「ゲーム機」に発想を変えたものである。
CPUには当時のMacintoshで使われていた「PowerPC G3」をベースにしたものを使用している。
パソコンに使うような
CPUをゲーム機に転用したことで、パワフルで尚且扱いやすいゲームマシンができた。
銀行のATMや一部の携帯端末で使われていたタッチパネル操作を
ゲームに転用したのが
ニンテンドーDS、
携帯電話で普及していた加速度センサーや、様々な分野で活用されているCMOSカメラを、画像や動画の撮影ではなく「赤外線ビーコンを使った位置検知」に応用したのが
Wii。
ボタンではなくて画面に直接触れたりコントローラーを振るというわかりやすい操作のおかげで、新発想の
ゲームを生んだだけではなく、
今まで
ゲームを敬遠していた層の取り込みにも成功した。
それに、小型の液晶画面でも2つつければ実質大画面にもなる。
ゲームそのものは一枚絵と選択肢、テキストメッセージで構成されている、
「
ポートピア連続殺人事件(ファミコン版)」などのような初期のコマンド選択式のアドベンチャーゲームである。
しかし、そこに現代の
ゲームでは当たり前である
声優によるボイスなどのエフェクトを盛り込み、見た目が派手でスピード感のあるゲーム性を生み出した。
ゲームそのものは「昔のスタイル」であり複雑な操作が要求されないので、その辺りを敬遠していた層の取り込みにも成功している。
MtGに代表されるトレーディングカードゲームと、
モノポリーや人生ゲームなどのような双六ゲームを組み合わせた。
どちらもボードゲームの定番ジャンルだが、この2つを組み合わせたその結果全く新しいゲーム性を作り出すことに成功。
お湯を注ぐだけでお手軽に美味しいご飯が食べれるアレ。
カップヌードルの具材などにも利用されている。
今でこそ、フリーズドライは食品関連の技術で有名だが、元は医療用の技術。輸血用血液を鮮度の高い状態で持ち運びできるように開発された経緯があり、それを食品関連会社が目をつけたのである。
軍用で使われていたソナーの漁業への応用。元々ソナーは誤探知で鯨や魚群を見つけてしまう事が多々有ったので
「ソナーで潜水艦だけじゃなくて魚も見つけられるんじゃ?」となって民製品化した物。
完成までには様々な困難があったものの、このおかげで勘と運に頼らない安定した漁獲が実現している。
紐を引くと加熱できる弁当というアレ。
加熱部の中に入っているのは水と生石灰であり、生石灰に水を加えると反応して熱が出る。
この当たり前のことを応用した
軍用のレーション加熱パックを、訓練されていない民間人でも簡単安全に使えるようさらなる改良を施し、どこでも温かい弁当が食べられるようにしたものである。
世界最速の枯れた技術の水平思考。
開発コンセプトの一つには「未経験の技術は使わず、既存の技術だけを組み合わせる」というものがあった。
電気系統は交流電気機関車からの転用、駆動系は旧営団丸ノ内線の車両の拡大発展版。
WN駆動装置やミンデン系台車だって、私鉄で多数実績がある。
最近流行りのLCCこと格安航空会社、この手の会社は「小型で燃費が良くて航続距離の長い飛行機」に統一することで運航コストを下げている。
大手の航空会社じゃ短距離やローカル線で使うような機体を、航続力と燃費を取って「主力機材」に使うという発想の転換である。
そもそもAppleという企業自体が枯れた技術の水平思考を地で行く面があるのだが、その中でも代表格なのがこれだろう。
音楽プレーヤー+HDD+タッチセンサー=iPod
携帯電話+Webブラウザ+タッチパネル=iPhone
いずれも当時既に普及していた製品・技術だが、組み合わせ方を工夫することで機械が苦手な人にとってもわかりやすい操作を実現しヒット商品となった。
枯れた技術大好きのソ連の生み出した謎の高速戦闘機。
…のはずが、機体は軽金属のアルミニウムやチタンではなくステンレスがメインであり、レーダーに至っては真空管という、一見すると時代遅れのような仕様である。
だが、
縛りプレイでこんな仕様にしたわけではない。
当時の半導体は高いだけでなく不安定であり、ならば信頼と実績の真空管を使ったほうが確実。
ボーイング747の無線機にも真空管を使っている部分があったのである。
それに真空管ならEMPにも強いため、万が一核戦争になったとしてもレーダーをバリバリ使える。
アルミは熱に弱いためマッハ3の世界では不安。しかしチタンは高いだけでなく加工も難しい。
なら熱に強い鉄系材料で作り、重くなった分はハイパワーのジェットエンジンで補って
力業でマッハ3を超えてやる。
脳筋といえばあまりに脳筋、しかしあくまで目的は敵地への侵攻ではなく、自国の領空の防衛。
その点で言えば目的に沿った堅実な方法で作られた戦闘機と言え、また防空戦闘機ならばちょっとくらい燃費が悪くても構わない。
そういった割り切りの末に出来上がったのが最高速度マッハ3の迎撃戦闘機、
MiG-25という訳である。
第二次世界大戦中にドイツが生み出したビックリドッキリメカ。
「有線リモコンで操作する」「エンジンor
モーターでキャタピラを動かして自走する」「
爆弾」という、特に最先端
というわけではないありふれたものを組み合わせた結果、
「60kg以上の爆薬を積んで地雷原や戦車に突入してくる爆弾」という、敵にとって見れば恐怖の兵器に仕上がった。
しかし、「じゃあ線切っちゃえばいいじゃん」というこれまたありふれた発想で駄っ作兵器へと転落した。
漫画『逃げ上手の若君』にて登場した、1335年、即ち室町時代一歩手前の日本に於いては超兵器と言う他無い代物。
戦車といっても「チャリオット」ならヨーロッパには紀元前から存在したが、これは第一次世界大戦で出現した「タンク」の方の戦車である。
履帯は装備されておらず、動力は人力、全高は2~3階建て民家程の巨大サイズと、戦車というより自走式攻城櫓に近い代物。
足利尊氏に注入された神力によって覚醒した
清原信濃守が考案したもので、
駆動系は「牛車の車輪」、外壁は「置き盾」、上部構造物は「仏塔」、弱点である火攻め対策に「
人質を用いた肉盾」と、
14世紀の日本でも枯れている技術の流用のみで作られている事から、巨大奇想兵器でありながらも竣工に要した時間は
僅か3日であった。
兵庫県を走る北条鉄道(北条線)は、かつて路線全体で1閉塞しかないため行き違いができず、1編成の列車をひたすら往復させることしかできなかった。これを改善すべく、2020年、途中駅に行き違い設備を設置することとなった。しかし2編成の列車を同時に走らせるには2つの閉塞を設けなければならない。現代の鉄道ではほとんど自動閉塞が使われているが、導入するにはコストがかかる……という背景で誕生したトンデモ方式。
まずこれは非自動閉塞である。自動閉塞に追われ、限られたローカル線で細々と残っていた状態で、廃止はあれど新規採用はまず異例。しかし鉄道黎明期から長く使われ、少ないとは言え今だ現役で使われており、信頼性は高いと言えよう。
ただここで問題となったのが票券の受け渡しだった。非自動と言うように、票券(閉塞内の通行手形)をやり取りするためには、行き違いの際に駅員が必須。しかし駅員を雇ってしまうとコストは下がらない。
この事態を大きく変えたがICカードだった。従来の金属製のものではなく、乗車券としてもお馴染みのICカードを何と票券として使用。行き違いの際にはカードリーダーにICカードをタッチし、それを運転指令から遠隔監視する。さらに票券は駅に設置した専用の箱を通じて交換することで、無人駅で票券のやり取りを可能とした。
使い古されてとっくに枯れた非自動閉塞の技術に、普及し安定しつつあるICカードの技術を組み合わせることで、見事安全性とコストの両立を実現した。
なお乗車券としてのICカードはまだ使えない模様。
現在鉄道各社では転落防止のためのホームドアの設置が急がれているが、駅のホームドアはただ単に扉をつければいいというわけではない。車両の扉が開くと同時にホームドアを開かなければらず、さらにこの効率が悪ければ当然乗り降りにも支障をきたすことになるので、可能な限りスムーズな自動動作が必要なのである。
従来この連動には車両とドアを無線で繋いで、車両側のドアオープンの信号に合わせてホームドアも開くといった仕組みを使っていたが、ここで営団地下鉄の相互乗り入れが問題となった。それでなくても車両編成やドアの数に合わせた個別対応が必要なのに、複数の会社がまたがることでコストがさらに高くなることが予測されるし、乗り入れ側もそんな改修には協力してくれない。しかし交通局のとある職員が素晴らしい発想の逆転でこの問題を確実かつ安価に解決したのである。
それは、車両のドアに自分の情報をもたせたQRコードを貼り付けておき、ホームドアの側がそれを読み取りコードを追いかけて開くというもの。無線連動のような車両への追加装置は一切必要なく、なんせコードをプリントして貼り付けるだけなのでコストは冗談のように安くなり、しかも非常に柔軟性のある対応ができる。これにより車両の改修コストは当初見積もりの20億円から270万円にまで下がったとのこと。当然乗り入れ各社も喜んでこれに対応し、都営地下鉄のホームドア設置は急速に進むこととなった。また社会的に価値のある技術ということで、他社でもこの方式を採用する会社が増えている。
浮き上がった点で文字を表現し、指で触れる事で読み取る技術。
元々は19世紀のフランス軍で使用されていた暗号で、目の利かない夜や暗闇の中でも手先の感覚で意思疎通するためのものだった。
しかし、盲学校に通う当時12歳の少年ルイ・ブライユはこれが全盲の人間の意思疎通にも利用できると考え、元の暗号より簡略化するなどの工夫の末に4年後に完成させたのが今日の点字である。
今やブライユの名前は
「点字」そのものを指す名詞となっている。
ドン・キホーテなどで販売されているパーティグッズ。
文字通り、飲むとゲップが出やすくなってしまうパウダーで、YouTuberのHIKAKINが飲みすぎて大惨事を起こした動画で知った人も多いと思われる(後輩のデカキン曰く「伝説の動画」)。
実はこのグッズ、胃の検査に使われる歴とした医療品を転用したものである。
元々は患者がこれを飲むことで胃を膨らませ、病巣の確認をしやすくするというもの。人によっては健康診断で毎年お世話になる馴染み深さで、これをパーティ商品に転用しようと考えた企画者の着眼点が光る。
なお実際の検査ではゲップを出さないよう釘を刺される。パーティの用途とは真逆である。
SCP財団日本支部で収容されている
オブジェクト。
ざっくりいうと「様々な表示に変形でき、変形した内容を実際に起こす生きた標識」。
これ自体は作中世界においては単なるオブジェクトの一つと言えるが、メタ的には「既にやり尽くされたような(よくある)設定に新しいものを加える」という、枯れた技術の水平思考的なコンセプトで制作されている。
実際、
「変身して色々なことを起こすオブジェクト」というシンプルな特性に、
GIFアニメというこれもネット界隈では一般的になった表現法を組み合わせることで制作されており、一部の古参の参加者からの否定的な意見もあったものの総合的には大量の高評価を得たオブジェクトとなっている。
手元にあるものを別の使い方を考えながら追記修正をお願いします。
- 『逆転裁判』はポイントを捜査と犯人当てでは無くて犯人と直接対決できる法廷にしたのが大きいと思う。後、この分の話を動画で知れる某ゲーム◯話は最近の楽しみの一つ。 -- 名無しさん (2018-11-04 22:38:40)
- 屁理屈問題ではないのか -- 名無しさん (2018-11-04 23:14:03)
- ニコ百の記述とだいぶ被ってるからもう少し抜本的に差別化を図ってはどうだろうか 特に途中の部分の文体がかなり似通ってしまっている -- 名無しさん (2018-11-04 23:52:07)
- 意味を聞けば割と何のことは無い、当たり前の話にも聞こえるんだが、かの横井氏がわざわざこう明示してるってことは、こと技術屋という生き物はとかく最新技術に拘りたがるものだってことなんだろうな -- 名無しさん (2018-11-05 01:39:24)
- 最悪でも見た目さえ最新技術を使っておけば騙せるからね 見た目で騙せなくなると一気に死滅するけど -- 名無しさん (2018-11-05 01:58:53)
- ↑2新技術で商品作れば(実用性はともあれ)わかりやすいセールスポイントになるし、真似したがる企業から特許料もとれるしね。 -- 名無しさん (2018-11-05 02:10:23)
- 実際創作なんかでも、王道過ぎる手垢のつきまくった要素を複数組み合わせたら新感覚の話が出来たりする。その為にも組み合わせる知識が多いに越したことはないので本やwikipediaなんかを普段から読んでおくといいぞ! -- 名無しさん (2018-11-05 09:45:12)
- 初代GBもあの時代にカラー液晶で出せたっていう話だしな。え?当時カラー液晶を使ったゲーム機があった?一体何ームギアなんだ・・・。 -- 名無しさん (2018-11-05 09:50:32)
- 架空の製品だと、ファーストガンダムのドップからこれの匂いがする。「見よう見まねで飛行機とやらを作ったところでフライマンタに勝てる戦闘機にはならない。ならば、枯れた技術である宇宙船の技術で作ったらどうか」という発想が見てとれる。 -- 名無しさん (2018-11-05 10:23:25)
- これが出来るのは良いクリエイター…な気がする、コロンブスの卵というか何気に難しいことだと思うんだ -- 名無しさん (2018-11-05 14:28:48)
- ↑2ブラックテクノロジーのボディに油圧シリンダーの関節を入れたらクソ頑丈になったサベージとか? -- 名無しさん (2018-11-05 18:08:31)
- ワンダースワンはここに入らないのかな? -- 名無しさん (2018-11-05 23:41:06)
- そういやかいけつゾロリでアイドルのステージを低予算で作るという話があって、ゾロリがその辺の粗大ごみで本当に作り上げたのを見たとき子供心に「すげえええ!」と感動した。そういうことか。 -- 名無しさん (2018-11-06 00:48:14)
- この言葉は「枯れた技術」の部分に注目されがちだけど、実践するときに難しいのは「水平思考」の方だね -- 名無しさん (2018-11-06 05:09:40)
- TCGで喩えると「コモンカードを組み合わせて大会クラスのコンボデッキをビルドする」ようなもんか -- 名無しさん (2019-03-21 17:26:49)
- アルトアイゼンも割とこの線で行ってる -- 名無しさん (2019-04-22 11:31:13)
- ニンテンドーラボもその系譜か?リンクのボウガントレーニングみたいに「コントローラに装飾要素を加えたゲーム」と変わらん -- 名無しさん (2019-04-22 12:14:17)
- 「枯れた技術」が何を指すのかを正確に理解して、水平に思考していけるかどうか。簡単なようでやってみるとなかなか出来ない事だよなぁ -- 名無しさん (2019-06-19 00:49:53)
- switchはこれの極致みたいなゲーム機だと思う。据え置き機故の値段の高さはあるものの今までのニンテンドーで出たゲーム機で出来ることほぼ網羅してる -- 名無しさん (2019-06-20 16:49:38)
- 考えてみたけど何も思いつかなかったからこれも才能ひ -- 名無しさん (2019-06-23 22:06:28)
- ↑5 アルトは「古い技術にこだわるあまりに失敗した」奴だと思う -- 名無しさん (2019-06-23 22:44:03)
- amiboもこれに当たるのかな?フィギュアとファミコンロボの対戦相手になるシステム -- 名無しさん (2019-06-24 18:16:49)
- ↑×7 亀レスだがTCGだと「数年前までのカードプールだけで(ただしエラッタや制限カードは現行ルール準拠)現在の環境でも戦えるデッキを作る」と例える方が近いと思われ -- 名無しさん (2019-06-24 19:14:14)
- (先日のマリオダイレクト見て)そうだよなあ……無線コントローラーと言えばラジコンだったよなあ……。 -- 名無しさん (2020-09-05 21:09:35)
- ↑2デュエマだとnexチェンジが近いのかな? -- 名無しさん (2020-10-30 14:47:19)
- ガンダムで言うとνガンダムがこれに当たる -- 名無しさん (2020-12-11 22:00:02)
- 当たるかなぁ。サイコフレームは意味不明の塊みたいなもんだしアムロが構想したサイコフレーム抜きの物も堅実に仕上げただけで「水平思考」はやってないように思える -- 名無しさん (2021-02-04 01:37:39)
- コロナという影響もあるけど、「リーダー以外のメンバーを着ぐるみ(ロボット)にしよう」ってなったゼンカイジャーもこれ? -- 名無しさん (2021-05-02 08:37:59)
- νガンダムに関しては今までのガンダムのほとんどがその当時の最新技術を惜しみなくぶっこんだブツだから堅実に仕上げたということ自体が水平思考とも言えそう。というかワンオフの専用機でありながら他の量産型の機体(ロールアウトされてから3.4年のジェガン等)とのパーツの互換性があるというのも一応枯れた技術を使っていると言える -- 名無しさん (2021-05-02 09:55:23)
- ↑バイオセンサーやインコム技術を転用した高性能センサーだったり、ジェガン系は消耗品の類で主にゼータ系規格で構築されていたり -- 名無しさん (2021-05-02 10:23:55)
- 悪のνガンダムことリボーンズガンダムもそうかな。未知の技術を搭載したダブルオーライザーとは対照的だし。 -- 名無しさん (2021-05-02 12:48:31)
- と思ったけどツインドライヴシステムがあるから違うか。 -- 名無しさん (2021-05-02 12:49:55)
- 敢えて縦画面多様したウマ娘もこれかな -- 名無しさん (2021-05-02 12:59:22)
- 0系って「枯れた技術(既存の技術)」は使っているけど「水平思考(本来の目的以外のものに使う)」とまでは言い難いのでは? -- 名無しさん (2021-05-02 13:51:51)
- 「枯れた技術」と「水平思考」が案外同時に使われてるのはなくて大抵は片方だけだよなあ。陸上型のホイミスライムのそっくりさんである非スライム系の水棲生物のしびれくらげもホイミスライムが出た後の作品じゃなくてホイミスライムと同時出現だから枯れたものとまではとても言えないし -- 名無しさん (2021-05-02 14:34:59)
- 枯れた技術とか最新技術とか そういう問題じゃないのもあるんだな。まがりなりにも国が作ったんだぜ?接触確認アプリとワクチン予約サイトなんだけども…… -- 名無しさん (2021-06-04 23:10:49)
- 理屈は分かるけど、実際には保守層の言い訳にしかなってないのが現実よね -- 名無しさん (2021-09-14 20:08:28)
- キッズコンピュータ・ピコはメガドライブのコントローラーをタッチペンにし、スペックはサウンド面を変更した枯れた技術のマシンだけど幼児向けの電子知育玩具に特化しているとはいえロムカセットによる差し替えの存在も考えてゲーム機としても見られているから完全な水平思考とまでは言いにくい。普通に考えるとゲーム機とみなさない人は多いだろうけど -- 名無しさん (2021-11-09 20:09:01)
- 枯れた技術と古い技術の境目ってのは難しいね。ゲームボーイはモノクロの理由は十分あったが、ワンダースワンはその成功体験にとらわれたといえる。 -- 名無しさん (2021-11-09 21:25:45)
- リバイスドライバーなんかもこれに当てはまるのでは(砂鉄で絵を描く玩具の応用) -- 名無しさん (2021-11-10 00:18:16)
- 「枯れた」という言葉から古い技術と考えやすいが、実際は「成熟した技術」の別分野への転用だから、無限に広がる考えと言えるか -- 名無しさん (2021-12-12 15:47:04)
- スプラトゥーンもこれに近いと思うんだよね -- 名無しさん (2022-10-24 00:48:42)
- 相当なセンスが無いと出来ないからあんまり真似できない気がする -- 名無しさん (2023-01-21 11:29:27)
- 老舗ラーメン店の謎 -- 名無しさん (2023-01-21 12:06:38)
- ガンダムとかスライムとかの例えは同ジャンル内の垂直思考でしかない。そのキャラ設定を王道少女マンガや睡眠計測アプリみたいな一見すると関係性も親和性も見当たらない別ジャンル別作品に宛てがって初めて成立する -- 名無しさん (2023-05-11 12:37:36)
- ゲームボーイの時に任天堂社内ですら「カラーじゃなくて大丈夫なの?」って言われたんだよね。それで言ったのが「他社がカラーで来たらうちの勝ち」というあの名言。出そうとしてる商品の本質がどこにあるのか本当に分かっていないとこんな判断は怖くてできない。ここまでいけたのは多分横井軍平ただ一人だと思う。 -- 名無しさん (2023-06-30 18:46:27)
- 人工衛星の太陽光発電パネルの折り畳み方が折り紙のやり方、っていうのもこれかな? -- 名無しさん (2023-06-30 21:34:53)
- 最近の番組で、「ひろがるスカイ!プリキュア」と「ウルトラマンブレーザー」の変身アイテムのセンスが妙に似てるような気がするんだけど、ああいうクルクル回転しながら発光して文字が出てくる装置(?)が安く使えるようになって玩具に採り入れやすくなったのかな? -- 名無しさん (2023-06-30 22:06:01)
- 第二次世界大戦期ではまだ珍兵器だった自走地雷ゴリアテも、時代が進んで要求される技術がさらに枯れ、現代のドローン兵器がほぼ同じ構想を達成していることを考えると、当初のコンセプトが漸く完成を見たといえるのかもね -- 名無しさん (2025-01-14 12:41:31)
最終更新:2025年02月25日 21:01