#6 急転
「一体どうなっているんだ!」
レーシュネからの知らせに思わず声を荒らげる。
一体攻めてきた連中は何を考えているんだ。余計な敵を作って何がしたいのだ。
「柄にもなくそんな大きな声を出してどうしたっていうんだ。」
ディスプレイから声が聞こえる。どうやらホットラインを切り忘れていたらしい。
「接触している最中にやられました。おそらく
ゼマフェロスと敵対している連中からの攻撃です。」
「ふーん。敵の親玉と敵に支援しようとしてる連中の偉いさんを纏めて始末できるって考えてたわけか。」
想定外の攻撃だというのに彼はやけに余裕そうだ。
「でも、あの空中要塞を見て技術的差を感じなかったというのは不自然です。」
「分かってないんじゃないかな。」
「どういうことです?」
「恐らく攻めてきた連中はユエスレオネが何かを分かっていない。それが何かを分かる知識さえない。古代人が銃をみてもそれが何かは恐らく分からないように。」
一瞬納得しかけたが何かがおかしい。少なくともゼマフェロスは技術的な差を認識していた。彼らが理解できない道理が無い。
その答えは次の知らせで分かった。最悪な形で。
「おい!今なんて言った!」
ディスプレイの向こうから怒鳴り声が聞こえる。
「一体どうしたんですか。」
「多分我々は先手を取られている。しかも
PMCFでは無く過激派に。」
「えっ」
「今報告が上がってきた」
彼の言うところによれば
タリェナフ派にクラナとの接触との痕跡があったらしい。
「さっきまで『技術的な差がわかっていない』なんてどや顔で語っていたのに、大外れでしたね。」
「あぁ、やられてしまった。」
「しかし、そうなれば人を送らないっていう訳がないですよね。」
「仕方ない。どれだけ送ればいい。」
やられた。ならどうすればいい。考えろ。「過激派に先手を取られた」なんて素直に言えば政権の危機になる。
一つ思いついた。
私は、レーシュネに指示を出した。
最終更新:2023年07月02日 16:37