ハーリタン物語(淮:Faivan vous Hartaut、理:harlitanen larfa)とは、古代リパラオネ叙事詩『スキュリオーティエ叙事詩』内の挿話の一つ。ゾルキヤ藩国に攻め込まれた際にユフィアと分断されてしまったハルタン・ド・スキュリオーティエ(淮:Hartan de Skyliautie harlitan、理:skurlavenija.anhartija)の悲劇について描いた物語である。


『ハーリタン物語』の位置

 『ハーリタン物語』は、1530年『スキュリオーティエ叙事詩』エスポーノ・ドーハ翻訳版における第6編『シャーツニアーの男』(anniastan z'es xarzniar)に相当する。具体的には、4章34節『戦う術を覚えたシャーツニアー』xarzni'ar zu nitek elmel)から4章39節『悲惨な終焉』の5節95行(5135文字)を指す。
 戦乱の中でユフィアたちと逸れてしまったヴェフィサイトたちを引き連れたユフィアの姉――ハルタン・ド・スキュリオーティエは道中で孤児(正確にはオスト)を保護しているシャーツニアーヴェンタフ・ファヴァフ(理:vantaf.Favaf、淮:Hoiia de Vaian hoivaiheité)と出会い、救命を請われる。ユフィアの元へと戻るために馬に乗って先導するハルタンは味方の装備をしたヴェフィサイトを見つけ、近づいていった。連れていた孤児たちも、安心して近づいたがそのヴェフィサイトたちは敵であるサフィアの伏兵であり、味方の旗を掲げていたのは欺瞞作戦なのであった。サフィアのヴェフィサイトたちは、ヴェフィサイト長であるサフィアより「殺しの快楽を味わえ」と命じられており、孤児たちを斬り付け殺害する。
 ハルタンは墜ちたヴェフィサイトたちにヴェフィサイトの徳を説いたうえで、残りの生存者を逃がすために戦いを始めた。休戦の印を示すフューナイテン・ラタスを行うなど、ヴェフィサイトの会戦におけるルールを表したにも関わらず、サフィアの手下たちは戦いを止めず、圧倒的な戦力差の中でハルタンの手下も打倒されてゆく。最期にハルタンは、逃がすべき者たちを逃がし、名誉を全うしたことを確認して、ユフィアが必ず敵を取るとの呪いの言葉を吐きかけながら討ち取られる。

影響

"tastersti d'lartass, d'ales, fanklaver fanme
arcies shrlo melx mi'd viojakh l'es la jurfheija
mi fuaj biu jol wioll da faller la als pesta!"


「民と皇帝、唯一のものを欺く者よ
良く聞け、我が妹ユフィアこそが
必ずや我の敵を取るだろう」


――『スキュリオーティエ叙事詩』第4章第39節『悲惨な終焉』第6連
 この物語の影響で、ハルタンの省略名称を表す "harlitan" は「(名誉のもとに、自ら進んで)犠牲となった者、犠牲者」を表すようになった。それに加えて、ヴァルガンテなどの反社会勢力の中では「鉄砲玉」という意味としても使われる。
 また、ユエスレオネ連邦において軍事作戦における殉死者に与えられる勲章として「ハーリタネン勲章」が存在する。
 17世紀の詩韻文復興運動(引用主義)による叙事詩『レーネガーディヤ』においては、Lerne.1:1 1:33などで引用されている。
最終更新:2025年04月02日 22:52