ら・かさみかい
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改修前 |
改修後 |
| 全長 |
131.7m |
136m |
| 全幅 |
23.2m |
23.2m |
| 基準排水量 |
15,140t |
不詳 |
| 機関 |
ディーゼルエンジン 出力:15,000馬力 |
ガスタービン4基・COGOG方式 出力不詳(推定80,000馬力以上) |
| 速力 |
最大18kt |
最大32kt |
| 兵装 |
主砲 口径:30.5cm 口径長:40 |
連装2基 4門 |
主砲(前部) 口径:15.5cm 口径長:52 |
3連装1基 |
主砲(後部) 口径:12.7cm 口径長:54 |
単装1基 |
副砲 口径:15.2cm |
単装14門 |
副砲(滑腔砲・両舷) 口径:12.0cm 口径長:44 |
単装4基 |
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艦首長魚雷発射管 口径:53.3cm |
2門 89式魚雷8発 |
両舷短魚雷発射管 口径:32.4cm |
3連装2基 |
| 18式近距離艦対空誘導弾発射機 |
8連装(おそらく)4基 ミサイル搭載数約100発 |
| 改良型中距離多目的誘導弾 |
100発 |
| 高性能20mm機関砲 |
4基 |
前史
事の始まりは
フォーク海峡海戦。ここで
ラ・カサミは操舵不能に陥り、座礁してしまう。
だが、結果的にこの海戦唯一の生存艦となり、日本の国力を知る
マイラスや親日派が上層部に掛け合うことで、日本に離礁および技術支援による修理を依頼。日本も国際情勢からムーを抑止力として強化する思惑があり、これを受託することになる。
技術水準の大きく異なる戦艦の大改造は、本来なら護衛艦を新造した方が安上がりになるレベルの無茶な行為であったが、
新世界技術流出防止法を回避するため、新造ではなく修理・改修という形で計画が進み始められた。
改修計画
改修の大前提として、技術流出防止法を守りながらも第二次世界大戦レベルの艦艇に優位性を持ちつつ、最悪の場合、日本にとって脅威にならない程度の性能とされた。
書籍版ではWeb版と違い、ラ・カサミが元からディーゼルエンジンを採用しているためか、ブラックボックス化したガスタービンエンジンへの換装も許可されており、出来ることが多かった。だが技術者たちが改修案を出した後、そんなことすら些事と言える難題が持ち上がる。
混乱
日本政府から「5ヶ月以内の戦線復帰」が打診されたのだ。これは、ムーから
バルチスタ沖海戦にラ・カサミ改を参加させたいと要請があったため。
しかし、戦線復帰と言うことは、修理と改修だけではなく、ムー海軍乗組員に対する「新技術の説明と運用方法の講習及び訓練」まで終わっていると言う事。つまり修理・改修を5ヶ月未満で完了させなければならない。
ミサイルやレーダーはまあいい。だが、主砲やFCSとなるとハードだけでなく、ソフトウェアの開発も同時に行わなければならず、そもそも日本は無論、現代地球においてラ・カサミの様な戦艦クラスの砲製造施設なんて存在しない。
あまりな無理難題に技術者たちは頭を抱え、そして休日がなくなったであろう……。
その結果、突貫工事と現存兵器の流用という形で改修が進むこととなる。
完成
そして完成したのが上記スペック表のものとなる。
また搭載されている武装について説明する。
- 52口径155mm三連装砲(前部主砲)
- おそらく技術者がもっとも苦労したと思われる武装。
口径から察して欲しいが、陸上自衛隊の99式自走155mm榴弾砲の砲身や装填機構をそのまま転用している。
砲塔に複合装甲を採用し、FCSの命中精度と自動装填による速射で威力低下を補っている。
特にFCSと砲制御機構は「完全な新規開発」であり、5カ月以内で完成までこぎつけたのは驚異的といわざるを得ない。技術者の皆様に脱帽である。
なお、ムー側は元の主砲(40口径30.5cm連装砲)を“流用して”命中率を上げてほしいと要望していたが、それが無理だったために形状だけを模した砲塔に155mm砲の砲身や装填装置などを移植している。
弾数は1門あたり100発、3門合計300発を搭載。
- 127mm単装速射砲(後部主砲)
- 対艦対空両用の主砲として搭載。
分速45発という記述から、こんごう型護衛艦の主砲でおなじみのOTOメラーラ単装速射砲とみられる。対空レーダーを連動させることで、グラ・バルカス帝国が相手なら充分な対空能力があると説明されている。
- 120mm単装砲(副砲)
- まさかの10式戦車砲塔流用。
いや、確かに装甲貫通能力はトップだし、命中精度も非常に高いが、いくら近接戦闘用の舷側砲とはいえ、戦車砲とはいかがなものか……。突貫工事のため、いろんな意味でかなり無理した感じがあるが、やはり無理があったのか実戦では使用どころか言及すらされていない。このため搭載されている弾種も不明である。
ちなみに装甲は「海上用に変更した」らしい。
- Mk.15 ファランクス 高性能20mm機関砲(対空砲)
- 単艦での戦闘を想定して船体の前後左右に1基ずつで合計4基を装備している。毎分3000発と紹介されているため、性能面は初期型と思われるが退役艦からの流用ではなくコピー品とのこと。
- 新型多目的誘導弾(RMPM)
- テスト的兵装。恐らく、今回のような技術供与目的のために研究中と思われる装備。
元は対戦車・対舟艇用の「中距離多目的誘導弾」。対艦誘導弾や重MATや96式多目的誘導弾システムに比べ、低コストかつ小型だが、射程は対艦用としてはかなり短いため、ロケットブースターを追加することで射程延伸(約40km)をはかっている。
地球の兵器に例えると艦載ヘルファイアに近い。元が元なので弾頭は軽いが、撃ちっぱなし能力や同時攻撃能力があるため、小型艦や木造帆船には充分な威力を発揮する。警備艇用や供与武器としてはうってつけである。
50発装填の大型発射器×両舷2基で合計100発搭載。ちなみに様々な弾頭が用意されており、HEAT弾以外も搭載している模様。
- 急造18式近距離艦隊空誘導弾(SAM)
- 93式近距離地対空誘導弾の艦載版で、早い話が和製RAM。
こちらも100発を搭載するがVLS搭載ではなく、また「本来は車輛型ですので斜めの発射」との記述から、車載用の発射機(8連装)をそのまま転用してきたとみられる。
- 艦首長魚雷発射管
- まさかの89式長魚雷を搭載。
正確には水上艦から発射できるように調整された「89式長魚雷改」である。
性能が輸出向けに削られているような話もなく、東も事前説明時に「射程が50kmにも及ぶ」と言及したり、発射時も「速度設定55ノット」という指示があることからフルスペックでの搭載だと思われる。発射管は2門で計8発の搭載。
- 短魚雷三連装発射管
- 護衛艦の物と同じ物が搭載されており、対潜だけでなく対水上にも使えるよう調整されている。射程が7kmと短いため、上部構造物を破壊した後に使用するよう説明を受けていたが、後述の理由と射程が短すぎたためか実戦では未使用に終わった。
なお時間不足の都合、モニタに表示される言語は地球基準のものらしい。
また、CIC(戦闘指揮所)を新規に設置する時間もなかったためか、もともと露天だった艦橋を防弾機能のある壁と天井で囲ってCICも兼ねるようにしている。一応海自でも、艦橋兼用CICは掃海艦艇などに見られる(直接戦闘する訳ではないので、こちらに防弾能力は無いが)。
また無線設備が充実させられているが、伝声管はそのまま残されている。
蛇足であるが、第一次改修ということがムーに伝達してあり、今後も改修を続ける予定とのこと。
書籍版では一足先に登場しているが、今後はWeb版でも登場してくるだろう。
今後の活躍に期待である。
余談
なお、現実では2025年からオーストラリアへの新造護衛艦の輸出が決定し、さらに東南アジア諸国への中古護衛艦の輸出計画が取り沙汰されるようになったが、それらは輸出相手国の求める装備を艦に搭載するなどして「共同開発」の名目で輸出することにより、殺傷装備の移転を禁じている防衛装備移転三原則を回避することになっている。
ラ・カサミ改は「修理」が名目だったが、現実でも似たような方法で輸出が行われることになってしまったことは面白い。
作中での活躍
フォーク海峡海戦での損傷後、日本まで曳航され、広島県の
呉基地にて修理・改修を受ける。
中央歴1642年12月24日朝、ムー海軍に引き渡され、翌1643年1月28日、海上自衛隊第4護衛隊群に護衛されて、ムー国
オタハイト軍港に帰還。
2月7日、首都
オタハイトに
グラ・バルカス艦隊が迫っているとの知らせを受け、
オタハイト港を出港。この時点でクルー達の訓練期間は
たったの1ヵ月ほどしかなく、十分なスペックを発揮するのには全く足りない状態だった。
先に出撃していた首都防衛艦隊の救援には間に合わなかったが、まず対空兵器でグラ・バルカスの艦載機数十機を撃墜。
続いてグラ・バルカス本国艦隊第52地方艦隊、通称
イシュタムの
分遣隊8隻と交戦。
戦艦「
メイサ」の砲撃で大破・航行不能に陥りながらも、89式魚雷改で「メイサ」と巡洋艦「フルド」を撃沈。他に砲撃とミサイルで駆逐艦2隻を撃沈、巡洋艦1隻と駆逐艦2隻を戦闘不能にするという大戦果を上げた。
なお魚雷の第一射を第二射で敵艦への照準と被弾の順番が逆になっているが、これはムー側の練度不足と
日本語能力の都合による設定ミスで、第一射を第二射が追い抜いて敵が被弾し、その後第一射がとどめを刺したとのこと。
他に軽空母1隻が無傷で残っていたが、艦載機をほぼすべて喪失しており、直後にムー本土から航空隊316機が駆けつけ、4隻すべてを撃沈している。
しかし前述のように訓練期間が1ヵ月ほどしかなかったのが原因で戦艦の装甲にも有効なHEAT弾を使用せずに榴弾で攻撃し続けたり、追い詰められるまで魚雷の使用をしなかったという致命的なミスを犯している。
仮に十分な訓練をした状態だったならば大破せずに勝利できた可能性は高い。
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〔最終更新日:2025年09月13日〕
最終更新:2025年09月13日 12:13