当て身投げ

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当て身投げ - (2013/05/03 (金) 09:12:24) の編集履歴(バックアップ)


          「Too easy!!」

コマンドを入力すると構えを取り、その状態で打撃技を受けると相手を捕らえて投げる」という必殺技
格闘ゲームではギース・ハワードが初めて実装した。
設定的な話をすれば、ブルー・マリーの祖父である周防辰己から盗んだのだが。後付だけど。
「当身投げ」と書かれる事もあるが、意味は変わらないので特に問題は無いだろう。
ただし「受身」は完全に誤り。

当て身、すなわち打撃技を捕らえて投げるから「当て身投げ」。
よって当て身投げを略して「当て身」と呼ぶのは、飛び道具反射技を「飛び道具」と略して呼ぶようなもので、
意味合いを考えると誤り、ないし非常に不適切だと言える。
これは当時ほぼ唯一のアーケードゲーム情報誌だった「ゲーメスト」の記事において当て身投げを当て身と
省略して書くことが多かったために広まったと言われている。
おそらくライターも読者も当て身などという古風な言葉に耳なじみがなかったのだろう。
3D(バーチャ・鉄拳)の方では「返し技」という呼称もあるが、後発であることもあって2Dの方へまで伝播してはいないようだ。それどころか逆にこちらの通称が流れる有様。

+ 余談だが…
実は他にも少々の誤解というか、あまり知られていない事実が存在する。
初代餓狼のギースは、全身無敵かつ立ちモーションと同じモーションで構え
相手が間合い内に入ると地上空中を問わず掴めるという驚異的な性能のコマンド投げと、
(尤も当時の投げ技は全て(地上空中は問うが)0F投げが基本であり、掴んだ後は終わるまで敵味方とも全身無敵である。
 判りやすい例だと初期ストIIは敵の飛び道具に重なりながら地獄車でゴロゴロ出来る。
 後に「投げスカリモーション」が追加され、0Fでも無くなり、タッグ用にか無敵まで無くなり現代に至る。)
一定の間合い内の相手の攻撃行動の前後にその技をあわせてくるという行動ルーチンをあわせ持っていたのである。
ヒットストップっぽく一瞬静止する演出とあいまって当て身投げと一見区別がつかないのだが、
そのつもりでよく見ていれば飛び道具の発射モーションや昇り蹴りのフォロースルーなど、明らかに攻撃判定が無い時でも
投げられてしまっていることが確認できる*1

ヴォルフガング・クラウザー獅子王藤堂香澄など、やはりSNK系のキャラが多く所持しているが、
他のゲームにおいてもこの手の技を持っているキャラは多く、格闘ゲーム界に広く浸透していると言える。
元々、格闘漫画等で強敵が主人公の攻撃を片手で受け止めて「この程度か」と嘲笑いながら投げ飛ばすと言う演出は珍しくなかった。
ギースの「Too easy!!」(容易い)と言うセリフも恐らくこの流れ。
ただし漫画では構えを取らない状態から出すのが基本である為、
上記の似非当て身投げである「超反応投げ」、言い換えると「小足見てから昇竜余裕でした」方が漫画に近いと言える。
+ 時代を先取りしていた?
実はベガ初代ストIIの企画段階では上記のような技を習得させる予定があったが、
技術的に表現が難しいこと、強すぎるとして見送ったとの逸話がある(ゲーメスト増刊「ストリートファイターⅡ」より)。
その名残がデッドリースルー(通常投げ)である。
ちなみにもう一つ、剣豪ものなどであった演出で
「主人公が攻撃するも強敵の姿が消える「ど、何処だ」
 →何時の間にやら攻撃した腕や刀の上に立っている(刀でも切っ先は宙にあり地面に踏みつけているわけではない)「う、動けん」
 →そのまま顔面を蹴飛ばされる」
(達人なら水面の木の葉の上に立つ事も可能なので体重を感じさせずに刀に乗ることも可能。何で動けなくなるかは知らん
と言う一連の流れを再現しようとした名残がヘッドプレスである。こちらは当て身投げというよりはブロッキング(無想転生)に近い。
ひょっとしたら当て身投げとブロッキングの元祖はベガだったかもしれないのだ……。

使用するキャラクターや技にもよるが、一般的に当身が成立する条件は大きく分けて二つある。
  • キャラクターの一部に当身判定を定義し、それに相手の攻撃判定が接触した場合
  • キャラクターの全身に当身判定を定義し、それに対応した判定の攻撃が接触した場合

前者の場合は当身判定を上半身に纏う上段、下半身に纏う下段の二つを1セットとして実装されている場合が多い。
この場合、比較的成立させやすいため、ダウンさせるのみ等リターンを低めに設定されることが一般的。

後者の場合は
  • 上段 当て身投げ: 空中判定 の殆どの攻撃
  • 中段当て身投げ:上段及び中段判定の地上通常攻撃
  • 下段当て身投げ:下段判定の攻撃
と言った風に、相手の攻撃の種類によって上・中・下段を使い分けて対応しなければならない場合が多いため、
人操作で使用する場合はある程度の先読みと反応の早さが要求される。
ただし成立させるのが若干難しい分、安めの追撃が可能など前者に比べリターンは若干高い傾向にある。

また、両者を複合させたものの場合は成立させる難易度が高い分、発生や隙、リターンの面で優秀な技である事が多い。

これから発展してコマンド入力した後一定時間内に相手の攻撃を受けたら発動する技のことを
当て身投げと総称するようになった。
そのため当て身投げといってもその後のカウンター動作はさまざまで、必ずしも投げているとは限らない。

カウンター動作が打撃技(当身打ち)の場合は無敵時間が設定されていることが多いが、
これが短いと技が発動しはしたものの潰された、などということもある。
さらに打撃攻撃だけではなく飛び道具に反応するものや投げに反応するものなど、
そもそも打撃技(本来の当て身の定義)以外に反応するものすら存在する。

ちなみに前述のギースのような相手の攻撃時の隙をついてマジで投げ技を使用形式のものはほとんど存在しないが
(ほぼCPUによる超反応でしか実行できず、人による再現性が低く、無敵技には無意味等の理由による)
比較的近いケースとしてスマブラでは「ガードからワンボタンですぐに投げが出せる」事を利用し、
『ジャストガードで相手の攻撃を受け止め、直後に投げを繰り出す』というテクニックが存在する。

実際の格ゲーでこれらの当身技がどのように使われているかというと、
  1. 割り込み手段として使用する
  2. 博打として使う
の二つである事が多い。
前者は無敵技を持たないなど防戦に向かないように調整されている事が多いため、リスクに対するリターンの比が小さい事が多い。
比較的よく使われるケースでは、ブロッキング・弾き・攻性防御のように、低威力だが相手に隙を作らせる類のを全員共通で持っていることが多い。
後者の用途が前提となる場合、リスクもリターンも大きく設定されることになる。
総じて、リスクに対するリターンの比が同程度であれば性能が良い方であるが、大半はリスクのほうが高く(例:攻撃力が通常技並みなのに隙ははるかに大きい)、
仕方なく使う、もしくは使われないけど脅しにはなるというのが現状である。
特に超必殺技の当て身投げは
  1. 外れたらゲージ丸損というさらなるリスク
  2. 暗転見てからスルー余裕でした
とさらに発動が難しいのでリターンや性能がよくてもほとんど使われない。
中には当身でとってから暗転したり発動しなかった場合別の攻撃を発生させたりするものもあるが・・・

…ただし、CPUはコマンドミスもなく的確にこうした当身技を使うことができるので、ガンガン的確に使ってくる場合も多い。
ボスキャラが持っていると大抵難易度が上がる原因になり、中にはラスボスの主力技が当身 というケースも存在する。



MUGENでは自分の攻撃判定と相手の攻撃判定が重なった場合に発動するという、
どう考えても当身投げを再現するためと思われるステコン、「ReversalDef」が存在する。
しかしこのReversalDef、MUGENの開発時期的に飛び道具(Projectile)が対象外なのはしかたがないとしても、
成立させるための属性をAttrに記すとReversalDefの判定自体が敵のReversalDefの対象になり
Reversが成立してしまうが、逆に記さないとHitOverrideを使用している相手でも投げてしまうなど、
いささか仕様に洗練の足らない部分があったりする。
一応これらは
  • 飛び道具に対する当身(恐怖の片鱗など)はHitOverrideを利用する(移行先のステートのmovetypeはH以外にしておく)
  • ReversalDefのトリガーに!EnemyNear,HitDefAttr=(成立させたい属性以外の属性)を入れる
などでの対処法で意図した性能に近づけられる(ただしやはりReversalDefとの差は完全には無くならない)。

ReversalDefは相手hitdefのguardflagではなくattrを参照して作動するので、
設定によっては「下段当身では取れないが上中段当身では取れる下段攻撃」や
「上中段当身では取れないが下段当身では取れる中段攻撃」という不自然なことになってしまう。
こうならないためには攻撃時のstatetypeを問わず(つまり立ち下段やしゃがみ中段でも)、
attrのarg1を下段攻撃の場合はC、中段攻撃の場合はSにしておく必要がある。

ちなみにReversalDefはパラメーターのP2StateNoを設定することで相手からステートを奪う事が可能だが、
HitOverrideはあくまでも自分自身のステートを移行させるだけのステコンなので、
ステートを奪いたい場合は別途攻撃などをヒットさせなければならない。

またhelperのhitdefに対して作動してしまうと非常にバグを起こしやすい。
詳しくは分身の項目にて。対処方法もそちらに記載されているので、
当身技を自分のキャラに搭載しようと考えている人や、
helperのステートでhitdef(特に打撃属性のhitdef)を実行しようと考えている場合にはぜひ参照しておいてほしい。

AIとの兼ね合いになるが、当身の発生を1Fに(time=0、animelem=1などでreversaldefを実行)した場合のみ、
発生1Fの攻撃を除くhitdefとairファイル上での当たり判定が同時に実行された攻撃(ほとんどのhitdefはこの方法で実行されている)に対し、
enemy,hitdefattr=(当身が成立する属性)をトリガーにして当身を実行しても当身が間に合う。
ただしhitdefを参照しての当身は他にenemy,timeトリガーなどを使わないと紛れもない超反応になり、
わざと空振るように技を振られると大きな隙をさらすことになるので、
用法用量を正しく守ってご利用ください。

派生技「当て身避け」

コマンド入力の後一定の間攻撃を受け付けるのは同じだが、
攻撃を無効にするだけの技。また、
  • ブロッキングのようにコマンド入力可能な時間ができる
  • ワープしてコンボを回避する
  • 成功により超必殺技につなげる
などの効果がある。

ニコニコではDIOやその系統の恐怖の片鱗をもっともよく見る。
阿部さんの当て身避け、スパイダーマン2.0の超必、必殺なども該当。
北斗の拳無想転生は、発動後にブロッキングすることで一定距離進む(結果として裏に回り込む)技になっている。

*1 これはネオジオ版の話で、ギースを操作できるSFC・MDの移植版では少々仕様が異なり、コマンド投げ仕様オンリーとなっていて、
相手が攻撃してこなくても至近距離(空中でもよい)にさえいれば投げ飛ばすことが可能となっている。
ただし、SFC版の「波動+斜め上」の入力はともかく、MD版当て身投げはタメ技になっており、おまけにタメ方向が前代未聞のニュートラルなので、
結局必然的に「その場で静止してタメを行い、相手が攻撃してきたと同時に残りを入力して攻撃を潰す」という受身的な戦術を要求される。
もっとも、慣れれば上下段の使い分けもいらないこっちの方がはるかに楽なのだが…