作中の(ほぼ)全てのキャラクター共通の投げ技である「
通常投げ」に対し、
特定のキャラクターが固有する
必殺技以上の投げ技の事。通称
「コマ投げ」。
通常投げ(大抵は方向キー+ボタンor2ボタン同時押しで出る)よりも複雑な
コマンドを入力して発動するためにこの名前が付いた。
なお、立ちスクリューについてもこの項で解説する。
「
投げキャラ」と呼ばれるキャラは必ずこれをいくつか持っている。
また通常投げもそうだが、必ずしも「投げ」ているとは限らない。
少数ながらダメージがなく有利時間だけを生むものもある(「
屑風」「
折伏無間」など)。
コマンドが複雑なだけに入力に時間がかかったり面倒だったりするが、
と言った、何らかの見返りがある。
上記の特性を複数備えている投げ技もある。
ただしコマンド入力の必要が無いCPUにとっては(殆どの場合)単なる通常投げの上位互換に過ぎない。
よってキャラクターによっては間合いに入った瞬間発生の早いコマンド投げで投げるという凶悪戦法の原因になる事も少なくない。
これはMUGENにおいても同じで、よほど性能の悪い技で無い限りは
超反応で使うようにすれば手軽に強い
AIが出来る。
ただし対人で使うには非常にいやらしいAIになる上、AI戦では超反応での対応(無敵技やジャンプ)に極端に弱くなるか、
限定状況(特に0-1F投げを持つキャラを2P側で選択した場合)で異常に強くなるかのどちらかにはっきり分かれるため、やりすぎるのも考えものである。
自分の投げ間合いと相手の通常技の間合いの兼ね合いなどもあるので、匙加減は難しいのだが…。
またCPU専用のボスキャラクターには通常投げと同じ方向キー+ボタンで出せるのに、
コマンド投げとして扱われる投げ技を持つキャラクターもいる(
ゴンザレス、
ヨハンなど)。
CPU専用という事ならば操作する事など想定されていないのだから簡易なコマンドで設定されていても問題は無いのだが、
改造などで使用可能にするとかなり強力なキャラとなる事も。
特に上記2人の投げは範囲が広く投げ抜け不可・威力も高いとかなり凶悪。
なお
ルガール・バーンシュタインの
ゴッドプレスを始めとする所謂「
運送技」など、殆どの場合コマ投げには分類されず、
ガード出来る打撃判定のものは
打撃投げに、投げ判定のものは移動投げに分類される事が殆ど。
また、投げているように見えても
当て身投げは判定などが違う(MUGENでも別システムである)のでコマンド投げに含まれないのだが、
初期の頃はこの辺の区分が曖昧だったのか、『
餓狼伝説(初代)』の移植版では、
プレイヤーも使えるようになったギース・ハワードの当て身投げが空中の相手も取れるコマンド投げになっていた事があった。
立ちスクリュー
一回転コマンド
一回転
コマンドとは、名前の通りに十字キーをぐるりと一回転させるコマンド入力である。
「途中でレバーを上(「↖↑↗」)に入力しなければいけないんだから、立ったまま出すのは不可能なんじゃないか?」と、
このコマンドを初めて見た人は誰もが思う事だろう。
実際『ストII』稼働初期は正にその通りの状態であり、スクリューを決めるために様々な方法が編み出された。
- ジャンプから着地までに一回転させ、着地と同時にPボタンを押して出す「スカしスクリュー」
- 通常技などを出し、その行動不能時間を利用してコマンドの上入力部分を完成させ、硬直が切れた瞬間にPボタンを押して決める
(ガード硬直や喰らい硬直は投げを受け付けないので、キャンセルはさせない)
- 起き上がりに不注意に間合いに入った相手を吸う「起きあがりスクリュー」
- 相手の攻撃をガードもしくは喰らっている間に入力し、攻めが途切れた瞬間に吸う「リバサスクリュー」
そして、
- 「レバーを上下左右に1回ずつ(「→↓←↑+P」や「←↓→↑+P」といった入力)」入れればスクリューコマンドが成立する
- レバーを入れてから実際にジャンプするまでには数フレームの猶予があり(これを「ジャンプ移行フレーム」と呼ぶ)、
ジャンプ移行フレームは必殺技コマンドでキャンセル出来る
といった仕様が判明し、研究の結果「立ち状態でもレバーを半回転+1(最後を↑要素にする)回し、
最後のレバー入力と同時にPボタンを押せばスクリューが出せる」事が発覚。
ここに完全な立ちスクリューが完成した。
ちなみにゲームによっては一回転コマンドの定義が「一定時間内に↑・↓・←・→各一回(順不同)+ボタン」となっている作品も存在しており、
そういった作品では
ベアボンバーコマンド(→←↓↑)で出せる物も存在する。
これに限らず、コマンド表の表記(特に長いコマンド)がそのまま入力に必要なコマンドではないというケースは結構多い。
そのあたりはゲームのシステム(バグの場合もあるが、むしろ技を出しやすくするための仕様)に依る。
ゲームによってコマンド技が出やすいゲームとそうでないゲームがあったりするのは、このためである
(MUGENキャラも同様で、詳しくは各キャラのcmdファイルを覗けば分かる)。
外道の烙印押し
『
サムライスピリッツ零』の
妖怪腐れ外道のコマンド投げ。コマンドは「→←↓ニュートラル↑+ボタン」となる。
一回転コマンド、ベアボンバーコマンドとは違い、
ニュートラルを介し最後が上方向のため、「立ち烙印」は非常に難度が高い。
余談だが、これからニュートラルを抜かしたベアボンバーコマンドは
『超武闘伝』シリーズのメテオスマッシュ系もこのコマンドにあたる(例外もいるけど)。
スクリューパイルドライバー(ZERO3)
『ZERO3』のスクリューは、ジャンプ移行中にコマンドを完成させると間合いが狭くなる性質がある。
このため、立ちスクリューで本来の間合いを発揮するために、通常技の出始めを
キャンセルして出す「空キャンスクリュー」にしなければならない。
「空キャンスクリュー」自体は「移動投げ」の効果や「ジャンプ暴発防止」のために以前から行われていたが、必須テクニックの域に達したのはこれが初。
以降のシリーズではこの性質は削除されている。
スクリューパイルドライバー(ストIV以降)
『
ストIV』以降のスクリュー(というか1回転コマンド)は、従来のシリーズとは異なり「→↓
←↖+P」や「←↓
→↗+P」で出てしまう。
正確には「426を各1回、789からどれかを1回」が条件。そのため1回転といいつつベアボンバーコマンドでも出る。
もはや工夫など微塵も必要とせず、普通のコマ投げとして立ちスクリューを出せるようになった。
それどころか上記の前者のコマンドでは移動しながらの通常技からすかし・ガード後を吸う事を容易にし、
後者のコマンドではガードからのリバサで吸う事を容易にし、むしろ入力方法が一定で無い事が武器にさえなってしまっている。
その出しやすさ故に
ザンギでない方のスクリュー使いは、
ソニックブームを出そうとしてスクリューが暴発する有様である。
二回転コマンド
その後、レバー一回転より更に高難度の「レバー二回転」コマンドが現れた。
初出は『
スーパーストリートファイターII X』の、やはりザンギエフのスーパーコンボ「ファイナルアトミックバスター」。
以降、『スト』シリーズの投げ
超必殺技は大体このコマンドが割り当てられている(
例外もいるが)。
現在では
ヒューゴーの「ギガスブリーカー」から
ギガスコマンドと呼ばれる事が多い。
こちらの方は、どうやっても上方向が2回は要るので、立ち状態から出すのは不可能であるように思える。よって、立ちスクリュー以前の方法、つまり、
- 空中で二回転させる
- 必殺技でキャンセル出来る通常技(中Pなど)を出し、キャンセル受付時間中に二回転入力する。
- リバサ、喰らいギガス
などでしか出せないと思われていた。
しかし、実はいくつかの技は立ち状態からいきなり繰り出せる。
ファイナルアトミックバスター(スパII X)
『スパIIX』のザンギはジャンプ移行フレームが5Fであるため、「→↓←↑でジャンプ移行>→↓←↑+P」と各1F入力すれば0Fビタだが立ちファイナルが出せる計算である。
しかし人間にはほぼ無理であり、TASさんの力を借りなければならない。
一方、同コマンドの
サンダー・ホークの技「ダブルタイフーン」は、ホークのジャンプ移行フレームが3Fしかないため残念ながら不可能である。
ギガスブリーカー(ストIII 3rd)
まず、
ギガスコマンドは実はレバー一回転半で成立する。
コマンド表では二回転と書いたのに…スマンありゃウソだった。
端的に言えば一回転コマンドの最後のレバー入力が二回転目コマンドの最初の入力を兼ねるため、事実上一回転半で済む形になる。
例えば←↓→↑と順番に入力した際は最後の↑コマンドが同時に二回目の↑入力となるため、残りの←↓→3方向を入力すればコマンド成立となる。
また、ヒューゴーはハイジャンプ移行フレームが他のキャラよりも長く、
レバーコマンドの定義も「一定時間内に↑・↓・←・→各必要回(順不同)+ボタン」となっており、レバー入力の自由度は高め。
したがって、「←→(順不同)↓↑(これでハイジャンプ予備動作)←→↓(順不同、ハイジャンプキャンセル受付時間中に)+P」
と入力すれば立ちギガスが可能となる。
コツとして良く言われる「レバーを弾くように素早く回す」「レバー入れっぱなしから開始せずニュートラルから開始する」は、
短いコマンド受付猶予を無駄に消費したり、力のかけすぎで入力速度が落ちるのを防ぐため、非常に理に叶った表現と言える。
とは言え実戦で立ちギガスを決めるのは困難を極めるため、一旦コマンド一回転を仕込んでおき相手の行動次第で即残りの入力を行う「分割ギガス」など、
別のテクニックを併用しているプレイヤーが多数派だと思われる。
ただし「ギガスボタンがある」とまで評されるヒューゴーのトッププレイヤー「はやお」氏は、
こういった特殊入力無しで「→↓←↑→↓←+P」で出している。
一応硬直中にとりあえず回しておくという仕込み入力はやっているが。
ジェネシックエメラルドテイガーバスター(BLAZBLUE)
テイガーの
ディストーションドライブ(以下GETBと略す)。
これについては、「→↘↓↙←↖↑↗→↘ D ↓↙←C ↖↑」で立ちGETBを出す、というパッと見なんだか良く分からない方法が開発されている。
これはつまり、「下半回転+↑」コマンドによるジャンプの出がかりを通常技(D)でキャンセル
↓
さらにその通常技の出かかりを2回転投げ(2回転+C)コマンドでキャンセル
という荒業で、これもまた「立ちスクリュー」(↑入力によるジャンプの出がかりを1回転コマンドでキャンセルする方法)をさらに突き進めた技術であると言える。
ちなみに、『BLAZBLUE』にはGETB以外にも2回転コマンドの技があるが、この2つはどちらもコマンド投げではない
(それぞれ出の遅い
全地上判定のガー不攻撃と
超性能当て身(こちらは後の作品では
サマソコマンド)。どちらも
一撃必殺技)。
また、変則的な例として、『餓狼MOW』のビッグフォールグリフォンが挙げられる。
ビッグフォールグリフォン(餓狼MOW)
グリフォンマスクの二回転投げ。
グリフォンマスクの
ジャンプ移行がこの手のコマンドを持つキャラとしてはかなり早いため、ニュートラル状態からのビッグフォールは人間には不可能とされる。
立ち状態から出すにはフェイントを経由する必要があり、予備動作無しに不意に掴みに来るプレッシャーを与える事が出来ない。
ただし、グリフォンの前ダッシュはステップタイプであり、ステップ中はレバー上要素が反応しないため、前ステからBFGを繰り出す奇襲が成立する。
完璧に読んでいない限り普通の人間では反応しづらい。
なお『MOW』の奇妙なコマンド受付(最後の方向を入れてから14F以内にボタンを押すと成立)を利用して、
立ちAをガードさせる→硬直中に2回転→レバー6入れっぱなしで前歩き→AorC入力でビックフォールグリフォンという疑似立ちBFGは一応可能。
三回転コマンド
とうとう
三回転コマンドまでもが現れた。
『
アルカナハート2』にて、
大道寺きらが
前代未聞の三回転コマンド投げ「ラストアルマゲドンドロップ」を引っ下げて登場したのだ。
流石に立ちラスマゲはジャンプ不能キャラでない限り
人操作では無理…かと思いきや、
理論上は人操作でも出せるらしい。
ただし、その条件は「↑・←・↓・→を各1Fだけ入れ、それを3回繰り返してギリギリ間に合う」というもの。
具体的に言うと1/5秒間でレバー三回転をフレーム単位で成功させる(早過ぎても遅くてもダメ)というもの。
とある闘劇参加者が実戦で成功させたという報告もあり、ラスマゲの威力もあって近い内にきら様使いには必須テクになるかも知れない。
実際に決められるかどうかはさておき、
ラスマゲは単発で最大体力の7~8割を吹っ飛ばすというガッチガチのコンボゲーであるアルカナにあるまじき威力を誇る技であるため、
本当に立ちラスマゲが出来るようになれば最高級の脅威となるだろう。夢が広がりんぐ。
番外編
ギガデスプレッシャー
二回転以上+P
同人格闘ゲーム『
ヤタガラス』のオネエ口調のマスクマッチョ、
チャダの超必殺技。
以上、である。無論二回転でも発動は出来るが、最大
五回転コマンドで発動出来る。
一回転ごとにパイルドライバーが追加されていく仕様。
通常の二回転は3割前後のダメージだが、五回転にもなれば最大で7割近いという莫大なダメージを奪う。
さすがに立ちギガデスは二回転が限度ではあるが、
当て投げやコマンド投げのスカリに仕込む等すれば使い道が無くもない。
特にチャダは小技が優秀で、リーチは短いがノーキャンセルでコマ投げを仕込めば高度な当て投げになるのだが、
その小技をキャンセルしてコマ投げを出すと喰らい中なので掴めずスカる。
ここでしこたまレバーを回転させて不意打ちで掴む、等である。
チャダは超必殺技の対空投げも完備しているため、投げスカ後に暗転を見てから更に二択が持続するという、
かなりストロングな投げキャラとなっている。
こうしてみると、「必殺技」1回転コマ投げ→「超必殺技」2回転コマ投げ→「高ランク超必殺技」3回転コマ投げというノリで、
どんどん回転数が増えていっているらしい。まあさすがに3回転が限度であろう…きっと。
むしろ立ちで4回転以上ともなると、例え理論上でも出来る気がしない。
何故、そうまでして人は立ちスクリューを追い求めるのか。
それは実戦において立ちスクリューを覚えておけば、決められる場面が増えるからであり、
なによりも
ロマンであるからだ。
投げキャラを使うのであれば、最低でも一回転投げを立ち状態で決められるようにしておこう。
関連項目
最終更新:2024年11月03日 15:02