ギエロン星獣

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ギエロン星獣 - (2017/12/02 (土) 00:57:47) の編集履歴(バックアップ)


それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…


『ウルトラセブン』の名エピソードとされる26話「超兵器R1号」に登場した怪獣
身長50m、体重35000t。別名「再生怪獣」。
元はシャール星座の第7惑星ギエロン星に生息していた生物で、地球防衛軍の惑星破壊兵器R1号の実験が
ギエロン星を破壊するという方法で行われた際に、当のR1号の放射能で変異したもの。
何故ギエロン星を攻撃したかというと「ギエロン星は金星に近い過酷な環境で、生物がいるはずが無いと断定した」から。
実験場所を選ぶのに6ヶ月も検討したらしいが、ちゃんと調査したのか怪しいものである。

地球に飛来した目的は定かではないが、母星を破壊された復讐と考えられている。
武器は口から吐く放射能ガス(R1号の放射能を取り込んでいた物)、両手を近づけて発射するリング光線、鋭利な翼から放つ怪光。
硬質化した身体は飛行中に衝突した自分の頭ほどもある小惑星を粉砕し、
鋭利な翼はアイスラッガーも弾いてしまう。
最大の特徴は再生能力で、ウルトラホーク3号に積まれた新型ミサイルで粉々にされるが、一晩で再生した。
最期はウルトラセブンとの死闘の末に片翼をもがれ、アイスラッガーで頚動脈を切られて絶命した。

「粉々になっても再生できるのに、なぜ失血しただけで死ぬの?」という疑問は尽きないが、
資料によっては「セブンが再生能力を断ち切るために喉を切った」としていたり、
「実はあの鳥っぽい姿は上っ面だけで、実際はその体内を流れる黄色い血のような液体が本体のアメーバ状生物」
とする説があったりで、はっきりしていない。

ギエロン星獣という怪獣自体もファンからのデザインの評価が高く、セブン怪獣の中でも屈指の人気を誇る。
猛禽類に近い顔つきをしているが、これは
「“平和の象徴”であるハトが兵器の影響で凶暴化した」ということを暗示しているのではないか?
という説もある。
少なくともセブンとの戦いで右腕をもぎ取られた際に羽毛らしきものが舞っているので、鳥類を意識したのは確実。
登場回も含めて「地球を守るための行為がもう一方から観た場合悪になりうるのではないか」と問いかけた存在でもあった。

またこの話、R1号を開発した科学者が「ギエロン星獣が再生するならR1号より更に強力になったR2号を使いましょう!」
お前は何を言っているんだな提案をしたことでも有名である。
東京近郊で惑星破壊級の兵器を使うって……(R2号はR1号の十数倍の爆発力で、地球が2つ3つ消し飛ぶとされている)
劇中では「R2号の放射能でギエロン星獣が更に変化するかもしれない」
という理由で使用は中止されたが、ツッコむところはそこじゃないだろう。
尤も、前作『ウルトラマン』でも都心に出現したバルタン星人核ミサイルを容赦なく発射するような世界だから
仕方ないのかもしれない。
防衛や警備の方法としては最悪であるが。

ちなみにこのページのトップにある台詞は、ウルトラセブンことモロボシ・ダンが言ったもの。
ダンが星を破壊できるほどの超兵器の存在に疑問を持ち、フルハシ隊員と対話した時の台詞の一部である。

ダン「地球を守るためなら、何をしてもいいのですか?」
フルハシ「え?」
ダン「答えてください!」
フルハシ「…」
ダン「実験を止めるように進言してきます!」
フルハシ「待て! 忘れるなダン、地球は狙われているんだ。
      今の我々の力では守りきれないような強大な侵略者がきっと現れる。その時のために…」
ダン「超兵器が必要なんですね」
フルハシ「決まってるじゃないか!」
ダン「侵略者は、もっと強烈な破壊兵器を作りますよ!」
フルハシ「我々は、それよりも強力な兵器をまた作ればいいじゃないか!」
ダン「…それは、血を吐きながら続ける…、悲しいマラソンですよ…」(絞り出すように)

この台詞は果てしなく続く冷戦の軍拡競争を痛烈に批判したものであり、『ウルトラセブン』屈指の名台詞とされている。
(放送当時は冷戦中なので米ソの軍拡競争の真っただ中だった)
ただ、いくら批判の為の話とはいえ冒頭で「地球を侵略しようとする惑星なんか、ボタンひとつで木っ端微塵だぁ!」と
はしゃぐのはどうなんだウルトラ警備隊。
前作で「地球は地球人の手で守るべき」と説いたゾフィー兄さんもまさか地球人がここまでやらかすとは夢にも思わなかったに違いない。

ただノンマルトの時と同様、この世界に登場する異星人は基本的に全部侵略者であるという状況を忘れてはいけない。
宇宙はいわば地球上の大航海時代、帝国時代と似たような状況にあり、後進星である地球は彼らに狙われている。
良き友、良き上司、良き地球人であるからこそ、彼らは地球を守るために懸命に武装を強化しようとしているのだ。
地球人類だけが一概に悪いのではない。暴力を持って支配・侵略せんとする異星人側も悪く……。
ウルトラセブンという作品全体を通して、今話のダンの最後の一言に集約される重たいテーマを孕んでいるのだ。

尚、2011年3月のファミリー劇場での一挙放送の際、この回はあの原発事故を考慮して放送中止になっている。

SFC『ウルトラセブン』にも登場。
射程距離は短いがバリアで反射できない放射能ガスや、逆に射程距離が長いリング型の光線、
近距離では締め付け攻撃、中距離では突進攻撃なども使ってきて意外と多才。
なお他の怪獣を倒した時は「○○ 撃破!」と表示されるだが、ギエロン星獣だけは「ギエロン星獣 永眠」と表示され、
演出も個別演出、BGMも物悲しいものとなっているので少ししんみりとさせられる。
その直後にボーナスステージに突入するけど

背負ったテーマが重過ぎるためか、ステージショーやゲーム、小説などを除けば長らく映像作品への客演は無かったのだが、
『ウルトラマンジード』第20話にて遂に49年ぶりにテレビシリーズへの再登場を果たした。
(因みに『ジード』はウルトラセブン50周年記念作品としての側面もあるようで、ペガッサ星人やシャドー星人など
セブン関連の異星人が多数出演している。)
+ ウルトラマンジード20話「午前10時の怪鳥」ネタバレ注意
ある日の午前10時に突如街中に飛来。
当初は出現理由などが不明であったため、ウルトラマンジード・アクロスマッシャー形態の癒しの力によって
闘争本能を静められて追い返されたのだが、
次の日の午前10時にまたも出現。以降、何度倒してもバラバラに粉砕された破片を焼却処分しても
次の日の午前10時に再出現するようになる。
遺伝子解析の結果全てが同一個体であり、つまり同じギエロン星獣が何らかの手段で再生・復活を繰り返している事が判明。
再生能力以外でも、口から噴射する黄色いガスや腕から放つビーム、
殴りかかったジードが逆に痛がり、ウルトラマンゼロビヨンドのクアドロスラッガーすら跳ね返す程の強固さと
切れ味の鋭さを誇る翼状の腕などを持つ強敵であり、連戦でジード=朝倉リクも疲労困憊になってしまう。
あまりに連戦続きであるためか、ウルトラマンと怪獣が戦っている光景を尻目に、主婦が井戸端会議をする始末
(しかも、「最初にきっちり倒しておけばよかった」などとまるで他人事である)。
その後、採取した細胞の解析によって「高温の惑星であるギエロン星で進化した怪獣であるため、細胞内の水分含有量が非常に多く、
破片が液状化した後、細胞の成分が気化・再集結することで復活する」という再生プロセスが判明し、
更に井戸端会議の内容などから、破片を冷凍すると生命活動を停止し、再生もしなくなるという弱点も見つかったため、
ゼロビヨンドが破片が広域に拡散しないようバリアで覆った上でジード・ロイヤルメガマスター形態の
「スラッガースパークル(ウルトラセブンの力を借り、アイスラッガー状の光線を放つ技)」によって爆砕、
飛散した破片を大勢の街の住民に集めさせ、各家庭の冷蔵庫に入れられて再生能力を封じられた後に回収。
集められた破片は後日、宇宙の隅々に拡散され、永久凍結されることでようやく街に平穏な日常が戻った。
飛来した目的はハッキリしなかったが、本作の敵役である伏井出ケイが怪獣カプセルを手にしながらギエロン星獣と戦う
ウルトラマンジード(の最強形態「ロイヤルメガマスター」)を解析しているシーンで締めくくられており、
データ解析用の手駒だった模様(事実、この次の回で一度敗北している「ペダニウムゼットン」を用いてジードを圧倒している)。

と、どちらかといえば悲劇性やメッセージ性よりもその再生能力を主眼に置かれたためか、
「ただの手駒的扱いなのが残念」
「同じく再生能力を持つサラマンドラ等の別の怪獣でも良かったんじゃ?」
と否定的な意見もある一方、
「これで再登場のハードルが下がった」
「ギエロン星獣そのものを強敵として掘り下げてくれてよかった」などの好意的な意見もあり、
賛否両論である模様。
どちらかというとギエロン星人よりも井戸端会議など「危険な状況に慣れてしまった一般人」と言う面を強調した話といえるだろう。
尚、『ジード』における一般人の危機感の無さはこの話に限らず、ゼロが憑依した家庭持ちのサラリーマン
(街中で怪獣が暴れている状況にも関わらず)「大事な会議があるから」という理由でゼロへの変身を拒否し、ゼロと口論になるシーンがあったり、
そもそも防衛組織の類が存在しなかったり、ウルトラ世界でも少々特異な世界観ではある。
「人々が知恵を出し合い、善意でもって助け合えば、『悲しいマラソン』を終わらせることが出来る」という一つの答えを明示しているとも解釈出来る。
ただ、強大な力を得ていくウルトラマンとそれを倒そうとより強大な怪獣を送り込む敵陣営という
「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」に巻き込まれてしまった被害者という面は変わっていないどころが悪化している
(セブン劇中ではウルトラセブン(モロボシ・ダン)という第三者が止めに入る事が出来たが、ウルトラマン自身が当事者となっているため、制止役が一人もいない
と言っていいだろう。

因みに、劇中では「ギエロン星は灼熱の環境でした」と過去形で説明されているため、
本作でもギエロン星は過去の存在である可能性が高い。



MUGENにおけるギエロン星獣

現在はMature4evr氏、這い寄る混沌氏制作のものが公開されている。

+ Mature4evr氏製
  • Mature4evr氏製
SFC『ウルトラセブン』から移植されたキャラで、昔から公開されていた。
ジャンプがボタン操作によるものだったりと操作感は格ゲーよりアクションゲーム的な感覚に近い。
通常攻撃が地上でしか出せないものの、超必殺技は全体的に威力が高め。
キャラ自体の大きさも小さめ(動画によってはサイズを他の怪獣に合わせて出ていることもあるが)で
やられ判定も小さいがガードが出来ないという難点があり、格ゲーキャラとしては非常に癖が強い。
防御力などが特に高いわけでもなく、総合的に見て怪獣系キャラの中ではかなり控えめな強さだったりする。
デフォルトでそこそこ動くAIも入っている。

現在はRandomSelectで代理公開されている。

+ 這い寄る混沌氏製
  • 這い寄る混沌氏製
2011年12月10日に這い寄る混沌氏によって新たに公開された、同じくSFCドットのギエロン星獣。
Mture4evr氏製と異なり、サイズは大きめで操作感覚も通常キャラと同様となっている。
いつものようにSFCのドットを使いながらも各技にアレンジが効きSFC版に無い技も搭載されている。

デフォルトでAIも搭載されており、Watchでの強さとしては強上位~凶下位くらい。
ただし後述するように突進技が飛び道具でつぶせるため、飛び道具技を多用するキャラなら割と有利に戦えることもある。
怪獣だとベムラーエレキングと同じ位の強さであるが、飛び道具が苦手なのでデストロイアEXなどには不利で、
怪獣大決戦キャラでもラウンドを取る事は可能である。

原作の映像作品における再生能力も再現されており、KOされても一度だけパワーゲージの残量分体力が回復して復活できる。

SFCのゲームで強力だった突進技が充実しており、地上技で直進して突進する「チャージアタック」、
一度下がってから上に上昇するような軌道で突進する空中技の「グライドアタック」が搭載されている。
どちらの突進技も使用中は立ち、しゃがみ、空中技に対して無敵がつく。
ただし多くの飛び道具攻撃は当てる事が可能なので、飛び道具で反撃するキャラなら突進をつぶせるため有利に戦える。

他にもSFC版に無い技として、映像作品で使っていた腕の刃に光を反射させて攻撃するウィングフラッシュが搭載されている。
威力は低いものの非常に広い範囲を攻撃できるが、しゃがみ状態の相手には当たらない。
また放射能ガスも上下に波打つように吐き出されるようにアレンジされている。
他の氏のSFCドットのウルトラ怪獣同様、使用中は無敵になる避け動作も搭載されている。

2012年4月6日の更新で、超必殺技「超兵器R2号」が実装された。
発動すると、上記のR1号を開発した科学者の台詞と共に劇中では使われなかったR2号を
何を血迷ったか爆発させて全画面攻撃を行う。

出場大会

出演ストーリー

なこるる茶屋(2009年8月投稿の特別編に登場)