この作品での「魔女」は人間よりも遥かに長い寿命を持つ存在であり、時間の尺度に対する認識も大幅に異なっている。
魔女界という異世界に住み、バラの花から生まれる女性ばかりの種族である。逆に男性しかいない種族「魔法使い」も存在する。
生まれつき魔法の源である水晶玉を持ち、多くの物事を魔法で解決する。
物語当初では人間界との積極的な交流を絶っており、また価値観のズレから人間に偏見や不信感を持っている魔女も多い。
かつて人間界と魔女界とは交流があり、1000年前には時の魔女界の女王であったマジョトゥルビヨン(作中では「先々代の女王様」と呼ばれる。人間としての名は「トゥルビヨン・ベネックス」)が、
人間(おそらくフランス人)のケーキ職人であるジョルジュ・ベネックスと結婚するため退位している。
しかしその後のマジョトゥルビヨンの人生は悲劇の連続であった。
夫ジョルジュがケーキ材料のラズベリー刈り中に事故死したことに始まり、大切に育てた一人息子アンリは自分よりもずっと早く年老いていき、アンリの6人の子(5女1男)も父に比べて歳を取らない祖母を恐れ、彼女から離れてしまった。
しかもアンリが亡くなる際、祖母が手紙を送ったにもかかわらず、孫たちは誰一人来ることはなかった。
この事を深く悲しんだマジョトゥルビヨンは、アンリの死後魔女界に戻ると、魔女界にある呪いをかけて人間界との交流を断絶させ、自らも「呪いの森」と呼ばれる森で眠りについた。
その呪いとは「人間に姿を見られた魔女は『魔女ガエル』なる生き物に姿を変えられる」
「魔女ガエルにされた魔女は、自分を見破った者を弟子にとり、その者を魔女としなければならない。その者のみが呪いを解くことが出来る」
というもの。これが「魔女ガエルの呪い」である。
魔女ガエルは緑色をした頭でっかちの謎の生物で、『16』でのどれみによれば「カエルとも尺取り虫ともつかない奇妙な生き物」。
一応この姿でも魔法は使えるが、魔女にとっては屈辱的な姿であり、元の姿に戻ることを熱望する。
だが魔女見習いが正式な魔女になるためには9段階からなる見習い試験を経る必要があり、また見破った人間は魔女ガエルの姿に驚いて逃げてしまうことがほとんどであるため、実際は元の姿に戻るのは絶望的である。
そのため魔女界には戻れる見込みのない魔女ガエル達が余生を過ごす「魔女ガエル村」という集落が作られている。
この呪いが存在し、そしてどれみがマジョリカの正体を見破って魔女ガエルにしてしまったことこそが、このお話の全ての発端である。
この呪いははっきり口に出して指摘した場合にのみ有効であり、魔女見習い相手の場合は魔女
見習い
だということまで言わなければ発動しない。
そのため実はどれみはあいこ達に見られた段階では魔女ガエルになる可能性は低いのだが、危機を未然に防ぐために魔女見習いをすることになった。
この呪いの存在はどれみ達が魔女を目指す理由付けになる他、魔法を他人に知られてはいけないというお約束への説明にもなっている。
魔法で記憶を消すような真似をしないのは、心や記憶の操作は怪我や病気の治療・死者の蘇生と並び禁じられた魔法とされており、
これらを行使すると術者にペナルティが下ってしまうためである。
この「魔女ガエルの呪い」は後期2シリーズの重要な伏線でもあり、最終的にはどれみたちはマジョトゥルビヨンを目覚めさせ、6人の孫がアンリの死に立ち会わなかった理由が、マジョトゥルビヨンが思い込んでいた「自分を見捨てた」ではない事を告げた。
当時人間界は戦時下にあり、6人中1人は嫁ぎ先の国が主戦場だった。残る5人のうち3人は駆けつけたものの馬車が事故に遭ってしまい間に合わず、1人は出産を控え動けなかった。あと1人の理由は不明。
なおこの事から、6人は「歳を取らない」という理由だけで祖母トゥルビヨンの元を去った行為を悔やんでいたことが伺え、特に長男で末子の ロイは日記にその悔悟を綴っている。
真実を知ったマジョトゥルビヨンは呪いを解き、魔女界と人間界との悲しみの連鎖にピリオドを打った。
「魔女ガエルの呪い」が解かれたことで、魔女もしくは魔女見習いであることが露見した場合のペナルティは消滅した。
そのせいか、どれみたちは『16』で魔女見習いに復帰早々、白昼の稚内市街を堂々と魔女見習い服姿で歩いて、周囲から生暖かい目で見られるという失敗をやらかしている。
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