スピノサウルス

+ 現実のスピノサウルス
ジュラ紀(約1億5000万年前)ではなく白亜紀前期から白亜紀中期(約1億年前)にアフリカ大陸近辺に棲息していた大型肉食恐竜の一種で、
推定全長約10~18mと、確認されている肉食恐竜の中では最大クラスの体格を誇る種である。
名前の意味は「棘のあるトカゲ」で、脊椎にある「棘突起」という出っ張りが棘のように長く発達していた事に由来する。
生前は、この「棘」の間に皮の膜が張られる事で大きな「帆」を形成していた……というのが従来の主流な説だった。

研究の大本となった骨格標本は第二次世界大戦の戦乱で失われ、その後も良質な化石記録の発見には恵まれていないため、
その知名度に反して生前の姿の復元は難航している。
初期の復元では「帆を備えたティラノサウルス」のような姿だった。
その後、頭や歯がワニのものに似ていた事がわかり、水辺に住み魚を主食としていたと考えられるようになった。
もっとも、一応陸上恐竜の化石にスピノサウルスに襲われた痕跡がある物も発見されているため、機会があれば陸の獲物も捕食していたようだが。
その後、発見された後ろ足の化石が前足と比較して短かった事から、ゴリラのように握り拳を地面に付けて四足歩行をしていた説が浮上。
更に尾の化石が見つかると、イモリのような平たい尾であった事が判明し、主に水中で生活していたという半水棲説が浮上した。
ただ、「四足歩行説」「半水棲説」のどちらも賛否両論である。

帆の役割については「体温調節に使った」「威嚇等の視覚的アピールに用いた」とする説が従来の主流。
しかし現在では「腕を動かす筋肉の土台だった」「ラクダのように背中に脂肪のコブがあった」等の説も挙がっており、
帆の役割どころか本当に帆だったのかさえ不明瞭になっている。

日本で本項の『ジュラシック・パーク』の他、
ゾイドシリーズのスピノサパー、ダークスパイナー、ジェノスピノの元ネタとして知られる
(サパーとジェノは背鰭がノコギリになっていて、背中から外して振り回したりするが。
 なお、サパーのみ直立歩行型(スパイナーもほぼ同期だが前傾姿勢))。
後は『獣電戦隊キョウリュウジャー』のトバスピノ
(こちらも背鰭を外してブーメランと盾にするが、戦隊ロボなら通常営業である。顔を盾にされるジュウマンモスよりはマシだし)。

本項目では映画『ジュラシック・パークIII』に登場する恐竜について解説する。

過去作の舞台にもなったイスラ・ソルナ島にて、インジェン社を買収したマスラニ・グローバル社が秘密裏に研究・誕生させた恐竜であり、
インジェン社のリストに入っていない。
劇中に登場した個体も全長13.3m、体重4tとティラノサウルスよりも巨大で、
大きく鋭い鉤爪と大きな顎を武器にしており、劇中でも若いティラノサウルスと激戦を繰り広げた末に勝利している。
また、水中においてもある程度の活動が可能で、実際にボートを追跡するシーンが存在する。
水面から巨大な背鰭を見せながら悠々と泳ぐ様はまるでジョーズ

サイトB付近でパラセールを行って母親の恋人ベンと共に消息不明となったエリック少年を探すべく
(イスラ・ソルナ島は過去作の事件で立ち入り禁止区域になっており、大使館にも救助を拒否されたため自力で探さざるを得なかった)、
カービー元夫妻及びその一行と騙されて連れて来られたアラン・グラント博士の前に、島最大の脅威として立ち塞がる事になる。
過去2作品で主役恐竜だったティラノサウルスが、
『1』では意図しない形とは言えラプトル一行に追い詰められていたグラント博士達を救って映画のフィナーレを飾ったり、
『ロストワールド』では行方不明になった我が子を夫婦で懸命に探したりと、
強大な捕食者でありながらどこか憎めない存在として描かれていたのに対し、
スピノサウルスは一貫して徹底的なヒールとして描かれており、毎度お馴染みラプトル達と共に幾度となくグラント博士一行を苦しめた。

公開当時は「体格・凶暴性共にティラノサウルスをも上回る新たな主役恐竜」として大々的に宣伝されていたのだが、
やはりティラノサウルスの圧倒的な人気と知名度を覆す事は出来ず、
作品自体もパニックホラー要素に偏りすぎた前作『ロストワールド』の反省から、
親子愛や主人公たちの成長を中心にしたサバイバルアドベンチャーとしてまとまっているものの、
結局「恐竜の強大さと素晴らしさ」を知らしめた第一作を上回る評価は得られず何も得ず
スピノサウルス自体の知名度こそ上がったものの、主役交代という風潮までは生み出せなかった
むしろ上記の通り圧倒的人気を誇るティラノサウルスを中盤で雑なかませ犬のように扱った事から来る不満の声まで出る始末
(一応、道中で倒されたティラノサウルスは若く小さい個体であるというフォローはあるものの、
 それはスピノサウルスも同様であり、果たしてフォローになっているのか疑問である)。
これらの不満の声がよほど多かったのか、
15年後に公開された続編『ジュラシック・ワールド』では、ティラノサウルスの「レクシィ(第一作で活躍した個体)」が登場すると同時に、
スピノサウルスの標本骨格を粉砕するという意味深なシーンまで描かれており、直接登場していないにも関わらず意趣返しをされる事になってしまった。
その後、更に続編が二作出たが、映画本編にスピノサウルスは登場していない。

公開された設定によるとイスラ・ソルナ島にいた恐竜の大半は『III』の数年後にイスラ・ヌブラル島に移送され、
新たに建設されたジュラシック・パークで一括管理されていたのだが、『ジュラシック・ワールド』で勃発した事件によって全て野生化。
続編の『炎の王国』でヌブラル島自体が活火山の破局的噴火によって、秘密裏に運び出された一部の恐竜を除いて大部分が死亡している。
しかも、恐竜保護グループのホームページではスピノサウルスの絶滅を匂わせていたが、
スピンオフ作品『ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ』のシーズン4にてまさかの登場。
しかもプロデューサーの発言によれば『ジュラシック・パークIII』の個体と同一であり、体格は一回り大きくなっていて成長が窺える。
実際は絶滅などしていなかったらしく、そもそもイスラ・ヌブラル島に持ち込まれていないことが発覚し、
2001~2004年のいずれかの段階で、マンタ社がイスラ・ソルナ島から強奪したことが明らかとなっている。

なお古代に存在した本物の方は、生息域や時代が異なるため(スピノは約1億年前のアフリカなのに対し、ティラノは約7000万年前の北米)、
2種が相対する事は無かっただろうと言われている(全大陸が陸続きだった所謂パンゲア大陸は約2億年前)。

また、放映当時の復元図が基である古い造形故に、現在主流の「胴長短足で魚食性」とはかけ離れており、
本来のスピノサウルスであれば陸地においてティラノサウルスに勝利することは有り得ないため、
現在の視聴者からは「あいつ本当にスピノサウルスだったのかよ」としばしば突っ込まれている。
ただし、本シリーズに登場する恐竜は全て「琥珀(宝石状に硬化した樹脂)の中に閉じ込めれていたミイラから採取した恐竜の血」の遺伝子をベースに、
欠損部位をカエル等の遺伝子で補って作り上げた「紛い物」であり、本物の恐竜と同じ姿をしているという保証は何処にも(それこそ劇中設定にさえ)無い。
人間側の事情で意図的に複数の生物の(パーク運営に都合の良いであろうと想定された)特性を組み込まれた恐竜も多く、
シリーズを通して登場しているヴェロキラプトルですら作品毎に、時には同じ作品内でも個体毎に異なる外見をしている。
第一作目において主人公・グラント博士がオープン前のジュラシック・パークに招かれたのも、
パークの経営者がこういった事実に対し、恐竜の専門家であるグラント博士から「お墨付き」を貰おうとしたからである。
続編の『ジュラシック・ワールド』においても、
複数の恐竜の遺伝子を掛け合わせてインドミナス・レックスを肇とした合成生物生み出す事への是非を問われた学者が、
「このパークにはそもそも最初から本当の恐竜なんて存在してない」と開き直るシーンが存在する。
「マスラニ・グローバル社が秘密裏に開発していたリストにも載ってない恐竜」という裏設定から、
本シリーズのスピノサウルスは合成恐竜の第0号だったのでは?と考察しているファンもいる。

余談だが、現実世界でも永久凍土から発見された所謂「冷凍マンモス」から取り出した遺伝子を、
の受精卵に組み込んでマンモスを復活させると言う計画が存在する。

『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』では恐竜コレクターのドルマンスタインが飼育していたスピノサウルスが登場。
ドラえもん達の味方になったティラノサウルスと対決するという、旧作には無い展開が追加されている。
本作は「ティラノサウルスがいた白亜紀末期にはとっくに絶滅している」としばしばツッコまれていた旧作のアパトサウルス( ※ジュラ紀の恐竜 )を、
同じ竜脚類でも白亜紀末期に生息していたアラモサウルスに差し替える等、旧作に比べると時代考証に配慮した描写が見られるのだが、
前述の通り白亜紀の中期頃に生息していたとされる(白亜紀末期まで生きていたかは大分怪しい)スピノサウルスというのは、
きちんと白亜紀末期に合わせているアラモサウルスらの選出に比べるとやや浮き気味なチョイスである。
ドルマンスタインは時間犯罪者なので別の時代からお気に入りの恐竜を持ってきてアジトで飼っていたと考えれば矛盾は無いのだが、
わざわざスピノサウルスを登場させてティラノサウルスと戦わせるシチュエーションまで用意しているのは、
前述の『ジュラシック・パークIII』を意識しての事だろうか?

また『III』が公開された2001年には上述の通りトミー(現・タカラトミー)が展開していた『ゾイド』シリーズから、
スピノサウルス型ゾイドしてスピノサパー、翌年にはダークスパイナーという新製品が発売されている。
前者は比較的小型の戦闘工兵向けの機体だが、後者は当時の最新鋭主力機に劣らないパワーとスピードを兼ね備える大型機であり、
更には背ビレのジャミングブレードを使用して敵機の電子機器や操縦系統を強引に破壊または支配下に置く事すら可能。
対抗手段も非常に限られるなど文句無しに間違いなくこの時点での作中最強の兵器として君臨しており、
当時のトミーの関係者が、スピノサウルスという新たな人気恐竜の登場に大きな期待をかけていた事が窺える。

他にも、オープンワールド恐竜サバイバルアクション『ARK:Survival Evolved』をホロライブの面々が配信した際は、
癒月ちょこは際立った厳選個体を多数保有する上に変種までテイムしており、これを以てティラノサウルス等を倒してきた事から、
今ではホロライブARKにおけるちょこの代名詞にもなっている。


MUGENにおけるスピノサウルス

francis-zabi氏製作のキャラが存在。
現在は怪獣キャラでお馴染みのカーベィ氏によって代理公開されている。
設定通りの巨体が特徴だがハイパーアーマー持ちなので殴り合いには強く、
鉤爪や噛み付きなどの近接攻撃をメインに戦う。

出場大会

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最終更新:2024年09月21日 14:17