ステイン





「正さねば──…誰かが血に染まらねば…!
 "英雄(ヒーロー)"を取り戻さねば!!」

「来い 来てみろ贋物ども…」

「俺を殺していいのは

  本物の英雄(オールマイト)だけだ!!」

堀越耕平氏の漫画『僕のヒーローアカデミア』に登場する(ヴィラン)
アニメでの担当声優は 井上剛 氏。

本名は「赤黒血染(あかぐろ ちぞめ)」
通称の「ステイン(Stain)」は英語で(血などで)染める・汚すといった意味である(格ゲーだとギースの台詞でも出てくる)。
「ヒーロー殺し」の二つ名を持ち、「ヒーロー」を個性を活かして治安維持・人命救助に当たる「職業」とみなす作中の価値観を否定し、
ヒーローは選ばれし者だけが名乗ることを許された称号」という考えに取り憑かれた男で、
この独特の思想のもと、各地で「資格なし」と判断したヒーローを襲ってきた凶悪犯罪者。
再起不能にされたヒーローは23人、殺害されたヒーローは17人に上り、個人としては作中屈指の犠牲者を出している。
それまで作品に登場した軽はずみに犯罪を犯していた類のヴィラン達とは異なり、
歪んだ正義感を持つ「思想犯」であり、読者に作中世界のいびつさを改めて意識させる大きなインパクトを与えた。

飯田天哉の兄であるインゲニウムを再起不能にしたことで天哉から憎悪され、
復讐に逸る天哉を返り討ちにして殺しかけるが、彼の身を案じて駆け付けた緑谷出久
出久のメッセージでいち早く駆け付けた轟焦凍がこれを阻止し、激戦の末に敗北。
そのまま拘束されるが、突如出久を攫いに現れた翼の脳無を強引に拘束を脱出して刺し殺し(結果論だが出久を救う)、
満身創痍の身体でその場にいたヒーロー達に立ち向かおうとするが、遂に限界を迎えて立ったまま気絶。
最終的に凶悪犯専用の刑務所「タルタロス」に収容された。

出久達はまだヒーロー免許を取得していなかったので一連の行動は法的にはアウトな行為だったが、
地元警察の面構署長の計らいによって出久達の行動は大衆には伏せられ、
ステイン逮捕は遅れて駆け付けたエンデヴァーの功績ということになり、
出久達は「たまたま居合わせて巻き込まれた」ということで処理された。

収監によりステイン自身は物語から退場したが、その強烈な姿と思想は作中世界全体に大きな影響を与えており、
現状のヒーロー達に対する不信感の兆しや、感化された若者や犯罪者達を取り込んだ(ヴィラン)連合の増長を招く事となった。
一方で彼の掲げるヒーローへの(あまりにも高過ぎる)理想像自体は作中でもある程度の説得力を持っており、
人助けよりも個人的な復讐を優先した姿勢などを徹底的に否定された天哉はその理想を「正しい」と評価した上で
その行動指針や手段は明確に否定しつつ、彼の言葉を自身のヒーローとしての在り方を見つめ直す切っ掛けとしている。

前日譚であるスピンオフ作品『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS』では敵の殺害をも辞さぬクライムハンター「スタンダール」として登場。
この時はバイザー型の仮面をつけて日本刀を武器にしたなかなかスマートでクールなヒーロー然としたコスチュームだったのだが、
主人公である苦労マンザ・クロウラーやその師匠ナックルダスターとの邂逅を経て本編の「ステイン」へと至る経緯が描かれた。
そこでもやっぱり歪んだ理論武装で明後日の方向にすっ飛んでったので「ああ、ステインは本当に最初からステインだったな…」と読者からは呆れられた
+ 仮面を被っているだけのヒーロー気取り
当初はクロウラー同様の非合法ヒーローであるヴィジランテとして出会い、互いに「お節介焼き」としてリスペクトする間柄だったのだが、
「仮面をつけていない自分はただの平凡な市民であり、本来の自分は仮面をつけたスタンダール」などという、
特にトラウマも無いのにどっかの覆面に脳を食い荒らされた人のような事をのたまい、
さらに更生した不良(断じて殺されるレベルの犯罪はしていない、むしろ個性差別の被害者でグレていただけ)ですら殺害しようとしたため対立。
あくまで「人助け」を目的としているクロウラーがその元不良を庇う事も「悪」だと断罪対象認定したが、乱入してきたナックルダスターの妨害を受ける。
そしてナックルダスターを同志扱いするも「俺はかっこいい正義の味方で、貴様はイカれた辻斬りだ」と一言で片付けられ、
さらに気取ったモノローグを垂れ流しながら襲い掛かった所、問答無用で顔面をぶち抜かれ、そのまま仮面ごと鼻を粉砕されて敗北した。

この時ナックルダスターから「よくいる仮面をつけて超人になったと思い込んだ奴」「所詮は自分も生身の人間だと忘れている奴は覚悟が足りない」
と一蹴されたが、何をどう勘違いしたのか「仮面をつけた英雄紛いこそヴィランを上回る悪で、それを断罪することこそ正義で自分の使命」などと言い出し
折られた鼻ごと自分の顔をえぐり取り、覚悟を完了した証拠として仮面不要の存在、ヒーロー殺しのステインになったのであった。大体お前が言うな案件
そしてスタンダールの活動に協力していたヴィランからも「あの人またわけわかんない事言ってる、ナルだなー」の一言でバッサリ切り捨てられた。

ちなみにスタンダールとは小説『赤と黒』を執筆し、同時に芸術作品を熱心に見上げすぎて首の血流が阻害され、
眩暈や失神など(最悪、血栓による脳卒中)を引き起こす「スタンダール症候群」の由来にもなった小説家のペンネームが由来と思われる。
本名の「赤黒」や後述の個性、ひいては「オールマイトを理想と仰ぐあまり頭に血が巡ってない様」など、
様々な意味が込められたネーミングであろう。

“個性”社会やヒーロー制度の歪みの表出として物語中で重要な人物ではあるが、彼の主張している事は何処までも極論に次ぐ極論の塊であり、
多くの二次創作において保須市での対決場面がステイン論破大喜利(或いは話す価値も無しで撃破RTA)になるくらいには、賛否両論の激しい人物である。
例えるなら大手医大に入学できず、滑り止めで入った医大の派閥に馴染めず医学部ドロップアウトした奴が、
「金に汚い偽医者共が!」って真面目に勤務してる町医者襲って医療崩壊の切っ掛け作ってたら、そらあナイチンゲールも助走つけて殴るよ

その後、ヒーローと超常解放戦線の全面戦争後、死柄木とオール・フォー・ワンの手引によって監獄タルタロスが壊滅した際に再登場。
上記の出来事で凶悪犯罪者が一斉に世へ解き放たれ、それは彼も例外では無かったが、オール・フォー・ワンには与さず独自行動を取る。
そしてヒーローとしての誓いはおろか師としての誓いも貫けなかった事実に心が折れかけていたオールマイトの前に現れ、
「お前はオールマイトではない」と吐き捨てると同時に何故自分がオールマイトであると騙るのか言えと詰問。
「世界を良くするために突っ走って、走り終えて、その結果が今の混沌の世の中である」というオールマイトの返答に、
オールマイト像の嫌がらせの落書きや看板を必死に取り払う、神野でオールマイトが最後に救った女性の姿を見せると共に、
現状の社会情勢は「結果」ではなく「過程」であり、引退を選んだ者も多い中でかつては否定した飯田やヒーローではないその女性も含めた、
現在でも抗い続けて善行を行う者達をオールマイトの意思から生まれた「新たな大火」と称し、
タルタロスの看守が離さずに持っていた死柄木に関する情報が入った情報媒体を託して去っていった。
ステイン自身のスタンスは以前と変わっていなかったが、その激励交じりの叱責はオールマイトの悲嘆の払拭に大きく貢献した。

スピンオフでの前日譚含めて「第一印象は底の知れない社会派ダークヒーローっぽいのに、知れば知るほど何こいつって印象になる人物像」は、
作者も意図的にやっている物だと思われる。
しかしそんな人物でも、結果的に失意の中にある真の英雄(オールマイト)が立ち直るきっかけとなったのである。
人間、一面だけでそうそう測れるものではないのだ。

+ 個性「凝血」
対象の血液を摂取することで、身体の自由を奪う個性「凝血」の使い手。
効果時間は血液型によって決まり、O<A<AB<Bの順で奪える時間は大きくなり、
最大に効果を発揮するB型に対しては8分もの拘束が可能。
摂取する血液の量に関わらず相手の動きを止められるため、
極端な話、ナイフでかすり傷を負わせただけでも「血液を舐める→拘束→殺害」が可能。
直接的な攻撃力は無いが、対人戦及びタイマンでは非常に厄介な初見殺しの能力である。
実際の我々の血液も、ステインが凝血し易いB型が固まり易くO型が固まりにくい。

加えて、ステインの身体能力及び戦闘技量も非常に高く、
フルカウル5%を習得した当時の出久ですら近接戦において圧倒されたほど。


MUGENにおけるステイン

VanguardMugen氏による『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.0以降専用のちびキャラが公開中。
海外製なのでボイスは英語。
機動力が非常に高く、突進技から近接戦に繋げるコンボが強力だが、
ナイフを投げ付ける飛び道具も備えており、遠近共に隙が無い。
また、当て身技や「凝血」で相手の動きを止める特殊技も存在する。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から


「信念なき殺意に何の意義がある」

出場大会



最終更新:2024年09月16日 01:38
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