ドリアン


「いつもそうだ」
「君たちはいつも……つまらぬ勝利をもたらせてくれる」

+ 担当声優
石塚運昇
『刃牙道』
銀河万丈
『バキ』

板垣恵介の格闘ギャグ漫画『刃牙』シリーズの登場人物。
果物ではなく、キャラ名が基本食品由来の別の漫画のキャラでもないし、宇宙の帝王の側近でもない。
(というか普通に英語圏で一定数使用されている男性名である。ドーリアンと言った方がピンと来やすいだろうか)。
原作では第2部『バキ』の最凶死刑囚編から登場。
2001年のアニメ版第1部『グラップラー刃牙』でもオリジナルの回想シーンのみで登場しているが、台詞を発していない
アメリカ人でかつて兵士として戦中の日本に来たことがあるため、年齢は60代と推測されている。

日本にやってきた5人の最凶死刑囚の一人で、初登場はなんと絞首刑の真っ最中。*1
如何様な手段を持ってしてか絞首刑に耐え、更に死亡を偽装し、その場に居た人間を全員殺害。
「敗北を知りたい」という言葉を残しそのまま脱獄、日本へと来日する。

Ladies and Gentleman
See you again in TOKYO

(紳士諸君 東京で会おう)

得意とする戦闘スタイルは文字通りの「なんでもあり」。
爪を切り揃えてナイフのように使う、自分の髭を抜いて息で拭き散らし目潰しにする、
胃の中に様々な道具を仕込む、ライターに仕込んだアラミド繊維をカッターのように使う、
グリス(液状潤滑剤)を手の甲に塗りたくってガラス片を纏い殺傷力を増させる、
冠位的な瞬間催眠術を掛ける等など多彩にも程がある。
格闘技術も、若かりし頃に中国拳法において「海王」の称号を得るほどの達人でもある。海王としての名はそのまま怒李庵(ドリアン)。

『O Toi La Vie(おゝ我が人生)』を好んでいるらしく、加藤戦や仕込み爆弾で独歩を吹き飛ばした際などに口ずさんでいる。
というか加藤戦では、1フレーズどころか 回を跨いで一曲丸々歌いきった

ただし2018年のアニメ版では、版権の都合かオリジナルの歌詞・曲(推定L'amour de ma vie(我が生涯の愛)?)に差し替えられた。
とりあえず銀河万丈氏が楽しそうである

愚地独歩に惹かれる所があったようで、来日早々道場を訪れてはその場に居た克巳を軽く倒したり、
地下闘技場での顔合わせが終わった直後に二人で連れ立って外へ向かい戦い、独歩の右手を切断したりしている。
その因縁で神心会とは全面対決の様相となり、次々と襲いかかる神心会の猛者達を撃破していく。
しかし右手を縫合し復活した独歩との拳法対決に破れ、神心会の一人・加藤の勝利への執念の前に敗北を認める。
……が、これは擬態であり、最後の切り札として腕の皮膚の中に埋め込んでいた爆弾で独歩を襲撃。汚いなさすがドリアンきたない

しかしその帰り際に烈海王と対峙、「一度も負けたことが無い」と豪語するドリアンは、強さとは何かを烈海王に問いかける。
烈海王は答えた。「強さとは己の意思を通す力、己のわがままを通す力である」と。
そして、それを前提とするなら「敗北を望んでいながら、無敗のあなたは、一度も勝ったことがない」とも。

事実、ドリアンは今までの戦い、武術で何度も敗北を喫していながら、
その都度都度、隠し武器や不意打ちなどで逆転、これを以てして「不敗」と豪語していたのだから。
「まったくもって滑稽でしかない、これ以上の喜劇はない」とドリアンはついに自分の矛盾と無様さを認め自嘲気味に笑う(項目冒頭画像)。
そしてドリアンは初めて「勝ちたい」と宣言し、烈海王の拳の下に今度こそ真に敗北する。

(気づいていたよ 烈 海王
    私こそが敗北者だったのだ…
    勝利に彩られていたハズのこの人生が その実 暗黒に満ち────……ッッ)

そうして精神的な拠り所を失ったドリアンは、幼児退行を起こし再起不能となった。


「ドリアンくん、俺がキャンディを山ほど買ってやる」
「ホント!?ホントに!?」
「好きなだけ買ってやるさ」

この時の台詞から、幼少期からいつも父親にキャンディを買ってもらえないという悲惨な境遇にあったことが、
今日のドリアンの、(その犯した罪はともかくとして)哀れとしか言えない人格形成に至った事が察され、
以後は烈海王に引き取られ、彼の下で過ごすようになる。

その後、大擂台賽編にてオリバが付き添う形で大擂台賽に参戦する……が、精神が全く回復してなかったため金剛拳使いの楊海王に惨敗。
とはいえ腐ってもドリアンなのでノーガードのまま急所狙いでボコられていたにもかかわらずダメージは殆ど残っていなかったが、
試合後に結果を不服とした楊海王にオリバが挑発、二人が対戦した後は通路に放置されそのまま忘れ去られた。
事実上、付き添いという名目で同行したオリバが大会に飛び入り参加する口実にされた感もある
まあ、キャンディをもらい、自分を大切にしてくれる人に囲まれ、好きな絵を描いて歌いながら白林寺で過ごしているドリアンは、
敗北を知ったことで幸福になったと言っても良いだろう。

WEB上で「敗北を知りたい」のフレーズだけなら聞いたことがある人も少なくないと思われる。


MUGENにおけるドリアン

刃牙キャラに定評のあるtokage氏が製作したものが存在する。
現在は氏のOneDriveに繋がらなくなっているため、茉莉氏によって代理公開されている。
3DCGを2Dに落とし込んで製作されており、火力と体力が高めに設定されている。
原作でも使った各種凶器技や相手に幻を殴らせる当て身技の催眠術、勝利時のオ・トワ・ラヴィ等原作再現もしっかりされている。
AIもデフォルトで搭載済み。

出場大会



*1
なお、ドリアンが収監されているのはアルカトラズ刑務所をモデルとしたと思われるワシントン州タコマ沖上のアルガードス刑務所。
しかしワシントン州では最強死刑囚編が連載されていた1999年頃はまだ死刑を行っていたのだが、
2010年から全ての死刑執行が停止され、アニメ版が放映された2018年に正式に死刑が廃止されており、最高刑は仮釈放なしの終身刑となっている。
またアメリカでの死刑は薬物注射が中心で、絞首刑は強盗殺人で第一級殺人罪に問われたビリー・ベイリーが1996年に執行されたのが最後のため、
いずれの場合も絞首刑となっているドリアンはかなりの異例である。
ドリアンがどのような罪を犯したのかは不明なので、死刑となるだけの重犯罪を働いたのだ……と推測するしかないのだが、
そもそもワシントン州で死刑が廃止となったのは裁判所ごとに基準が曖昧、かつ死刑宣告される確率が人種によって大きく偏っている事が原因のため、
白人系とはいえ正確な人種が不明な事も踏まえ、ドリアンが死刑に相当する犯罪者だったのかどうかは、リアルの事情によって分からなくなってしまっている。
……まあ脱獄時にやらかした事がやらかした事なので、その時点でもはや擁護の余地無く死刑相当の重犯罪を働いてしまっているわけだが。
加えてアルガードス刑務所がアルカトラズ刑務所同様に連邦刑務所であった場合、州法ではなく連邦法によって裁かれるため、
ドリアンは連邦法違反により死刑、そしてもし成功していればアメリカ合衆国最後の絞首刑による死刑であった……と考えるべきだろう。


最終更新:2025年07月22日 11:38