――午後、宮藤診療所にて――
俺「…えっ、宮藤さんが…居ない!?」
昨日、731部隊跡地の廃墟にて衝撃の事実を告げられた俺に対して、又しても災難が降りかかろうとしていた。
――「731な俺」というバットエンドSSの再現のため、俺は「兵士E」役としてこの世界に送り込まれた。
それもネウロイとの共鳴によって、「兵士E」の適格者であることを分析され。
そして今、シナリオに従い最後の絶望へと時が刻み始める――
清佳「はい…朝、あの子の部屋に行ったら何処にも姿が見えなくて……今近所の皆さんにも協力してもらい、芳佳を探しているのですが…」
俺「今までに…無断で家を出ることとか無かったんですか?」
清佳「あの子は必ず、外出する時は私か母に声を掛けます…でも……今日は…」
…な…なんだよ…くそっ…嫌な予感しかしない……
…っ…宮藤っ…!
ノートパソコンに映像を残した「兵士K」役の人物と教官から伝えられた事実、それが俺の予想する展開の方向を悪化させてゆく。
なんだ…これも「731な俺」のSSに即している…!?ましてや、俺がこれから取ろうとする行動自体も…
…ネウロイに監視されている…予知されている…
何もかも…変わらない…変われない…
このままじゃ最悪の未来…に…
だけど…――
俺は「731な俺」の結末を思い出す。
――宮藤「俺さん……どうして…っ…?うっ…うう…」――
――501のメンバーで、唯一残されたのは宮藤となった。悲しみで涙があふれ出る。――
――そして後日、第501統合戦闘航空団、通称「ストライクウィッチーズ」は全滅した。――
――BAD END――
だけど、宮藤だけは…死なないはずだ…!
俺「清佳さん…何か手掛かりは無いんですか!?部屋に残されたものとか…」
清佳「いえ…芳佳の部屋には何も………ですが…」
俺「…?」
清佳「…………」
俺「…ですが…何かあったんですか…?」
清佳「…………居間の箪笥が空いており…そこに隠しておいた手紙が…」
俺「…手紙………」
『一枚目はロマーニャで彼が死亡した通知、二枚目は坂本少佐とミーナ中佐が死亡した通知だっただろう?』
俺は教官の言葉を思い出す。
俺「もしかして…彼少尉とミーナ中佐と坂本少佐の…」
清佳「…………はい。」
身体が凍りついた。
俺「…じゃ、じゃあ隠してたって!…宮藤は今まで…3人が死亡したことを知らなかったってことですか?彼少尉さえも…」
清佳「…………」
俺「っ!なん」
俺は怒鳴り声を上げようとしたが、その前に清佳の気持ちを汲み取った。
戦地に赴き、そして多くの死を味わった我が子に、これ以上の負担を掛けたくはない。そう思うのは当然だ。
しかし、「彼」の死さえもはっきりとした通知を受け取っていなかった宮藤には、まだ彼が生きているかもしれないという微かな希望があったに違いない。
そして今、その希望は完全に彼女の心から消えてしまっている。
事実を知った宮藤に残ったもの、それは絶望。
俺の脳裏に宮藤の顔が浮かぶ。
俺はずっと…宮藤は彼が死んだことを知っていると思っていた…
でもそれは違った…
……俺が宮藤を慰めた時も、泣き止んだ宮藤に「あの時は彼に嫉妬していた」という心情を明かした時も、
落ち込んでいた時も、泣いていた時も、微笑んだ時も…
真実を知っていなかった…
恋人である彼が「まだ生きている」と願っていた…
だけど…知ってしまった…
希望を完全にへし折られた宮藤。
そして更に圧し掛かる、上官であり仲間である坂本とミーナの死。
そこから…考えられることは……
彼女が失踪したという現在の状況。
今の…宮藤の心情は…
――…芳佳の心はどうなってしまっている?
俺「くっ…くっそぉお!!」ダッ!
清佳「俺さん!?」
俺は診療所を飛び出し、走り出した。
俺「清佳さんっ、俺も探します!絶対に…」ダッダッダッダッ
今の芳佳の…心は…っ
俺「ぜったいに宮藤さんを見つけ出します!」
――数時間前、横須賀基地にて――
数時間前に遡る。俺は昨日の出来事により気分が冴えず、落ち込んだまま廊下を歩いていた。
俺「…………」
俺が…兵士E……脇役の人生…
俺の前から、歩いてくる教官の姿が目に映る。
俺「!!」
教官「…………」
俺は一度立ち止まったが、また歩き出し、顔を伏せて通り過ぎようとする。
敬礼をする気にもなれない。
俺「………」
教官「………」
二人はすれ違った。だが教官は無言だ。
俺は我慢できず、振り返って背中に話しかける。
俺「…あっ……あの!」
教官「お前に話すことなどもう何も無い。」
俺「…え……」
教官「それと、あの話を此処でしようとするな。」
俺「……俺たちは…宮藤はこれからどうなってしまうんですか?」
教官「俺二等兵、言ったことが聞こえ」
俺「どうなってしまうんですか!!」
教官「…………」
廊下に俺の声が響いた。遠くにいる兵士達の目線が集まる。
教官「全てお前達怠けた現代人が招いたことだ。」
俺「でも、だからってこの世界には関係ない!」
教官「関係ないだと?お前のような日本人がっ…この世界の多くの人間をも殺したのだろうが!!」ダッ…バキィ!!
教官は振り返り、近づいてきて俺の顔を殴り飛ばす。
だが吹き飛びそうになった俺は、脚をふんばって耐えた。
俺「!!ぐぁ…がぅ…」グッ…
教官「その言葉遣い、上官への敬礼をも怠るその態度、気に食わん。」
俺「ぅ…関係ないって…そういう意味じゃないぃ!」
教官「まだ言うか!」
俺「あんたがこのスト魔女の世界を守ることと、現代の日本への怒りは関係ないってことだ!」
教官「この糞ガキが!」バンッ!
俺「ぐっ…あぅぅ!」ズシャァ…
俺の腹部に教官は蹴りを入れ、流石に持ちこたえられなくなって転倒する。
教官「何を知ったように…それ以上喋ると処分を下すぞ。」
俺「ハァ…はぁ…あ、あんただって、元の世界じゃ他の国の人を沢山殺してきたじゃないか…」
教官「何?」
俺「はぁっ…他の国の怒りだってあんたは買ってんだ…人のことだけをあぁだこうだ言いやがって…」
教官「この…」
俺「確かに俺たちは教官達の過去の戦争があったから生かされたに等しい…それはとても尊敬しなくちゃいけない、倦怠な日々を送ることは侮辱になる!…でも…」
俺は痛くて流れた涙で溢れた目を、教官の目を合わせて言う。
俺「元の世界じゃ霊英を侮辱したって言われるけど…ストライクウィッチーズの世界は実在したんだ……今俺たちが居るのはこの世界だ!だから……」
教官「…………」
俺「この世界を、守ろうとしてもいいじゃねぇか……宮藤を守ろうとしてもいいじゃねぇかぁ!!」
溢れ出た想いを、会話や理由が成立していないとしても、俺は叫んだ。
ロマーニャを救いたかった。501を救いたかった。宮藤を救いたかった。
しかし救えなかった。しかも破滅を願ってしまっていた。
その後悔が、止まらなかった。
教官「………意味が理解出来んな。」
俺「…ぐぅ…ぅ…」
教官「お前はおれに何をして欲しい?」
俺「彼女を…501を…ロマーニャを…どうやったら助けられる…」
教官「全て過ぎたことだ。もう成す術など無い。」
教官は後ろを向き俺を放置して歩いていく。
俺「過ぎたことかもしれない…でも…ぁ…あんたしか…頼れないんだ…何か方法はあるはずだろ!?…頼む…っ」
教官「現実から逃げるな。」
俺「助けてよ……どうすりゃいいんだよ……」
教官「誤解しているようだが、この世界が存在することへの怒りは無い。実在したのだからな。平和を実現させたいとも願っている。だからこそ、その意も含め…」
教官の怒りは、現代人が過去の戦争を利用し娯楽として書いたSSによって仲間を失わされたことだけではない。
このストライクウィッチーズの世界が実在し、この世界にいるからこそ、怒りを持つ理由もあった――
教官「――俺の仲間を陥れ、自らの欲求の為だけに本来の平和な未来を変える原因を生んだお前達現代人を許せないと言っているんだ。」
……!!…そ…それは…
教官のその言葉を聞いた時、俺はこの世界に来て一番初めに出くわした惨劇を思い出した。
トラヤヌス作戦に失敗し、ロマーニャ北部の街が火の海に包まれ、その中で見かけた数々の人間の死。
もし「731な俺」というSSが存在しなければ、その街の被害は拡大しなかったのかもしれない。
SSの内容に沿った為に、死者の数が増してしまったのかもしれない。
そして何より、二期最終話通りの展開を迎えるべきであった。
501に「男ウィッチ」の登場など、すべきではなかった。
SS内の「原作には登場しないネウロイや戦闘シーン」という演出によって、√ウィッチ以外の人物の運命も大きく変化する。
本来の原作通りに時が進めば、彼女達や周りの脇役である兵士達の生死の運命が変化することはなかった。
SS作者の「イチャイチャしたい」という欲望によって、この世界は変わってしまった。
しかし幾ら悔やんだところで、もう遅い。
作者じゃないとしても俺は教官の威圧により自己嫌悪に陥る。
………くそっ…俺たちが悪いのか…?
イチャイチャするSS……書いたり読んだりしてた所為だって言うのかよ…っ
…その所為で…みんな死んで…今、501で一人だけ生き残ったのは……
そして俺に唯一残されたこの世界で生きる希望、それは、
…宮藤……芳佳…
絶望を感じながらも生きている、宮藤芳佳のみ――
教官の姿が見えなくなった後、俺は涙を拭いて立ち上がった。
――夜、横須賀基地付近にて――
そして、現在。
俺は必死に走り回って宮藤を探していた。基地へ帰る門限はとっくに過ぎている。
俺「ハァッ…はぁっ!何処だ…どにいるんだ…!」ダッダッダッ!
宮藤さえもいなくなったら…俺は……俺は…
俺「どこだぁー!!みやふじぃぃぃぃぃ!!」
自然と大きな声が出る。もう何時間も走り回っても見つからない。
俺「宮藤っ……頼む、返事をしてくれよ…!!っはぁ…!」
俺はさすがに息切れと疲労を感じ、その場に立ち止まった。
町中を走り回ったが、何処にも見つからない。
……神様…もうやめてくれ…助けてくれよ…
美千子「――……ぉ……俺さん…!俺さん!……おれさんっ!!」
膝に手を置き肩で息をしている俺のところに、同じく宮藤を探していた美千子が駆けつけた。
俺「みっ美千子さん……宮藤さんは…」
美千子「…はぁはぁ……芳佳ちゃんが…見つかりました……」
俺「えっ!!?」
美千子「でも……でもぉ……うっ…ぅぇえ…でもぉ…」
美千子の目には大粒の涙が溜まっていた。
俺「…ど…どうしたの……?…美千子さん…美千子さんっ!!」
美千子「でもぉ…!うぅ…」
――宮藤診療所にて――
俺「宮藤……宮藤さんっ!!」ダッ!
俺は美千子の言葉を聞き、すぐさま診療所に駆けつけた。
俺「はぁ…はぁ…まじかよ…っ…」
そこには魔法力を使って賢明に治療している清佳と彼女の肩に手を置いて魔力供給をしている祖母の芳子、捜索を手伝っていた近所の人達、
そして全員に囲まれるように、看護用のベットに横たわる宮藤の姿があった。
清佳「おねがい芳佳…しっかりしてっ…!」キィィィィィン!
芳子「芳佳っ!」
清佳と芳子は懸命に治療し、周りの人達は付き添ってタオルやガーゼで二人の顔の汗や宮藤の流した血を拭き取っている。
…血…!?
よく見ると、宮藤の胸部あたりから血が出ている。
――美千子「芳佳ちゃんが…防波堤の傍で見つかって…でもっ…滑って落ちちゃったみたいで…大怪我してて……今、清佳さん達が治療してて……うぅぅ」――
俺「なんでっ…なんでこんな事に……」
宮藤は死のうとしたのか…!?いやそんなこと有り得ない、有り得ちゃ駄目なんだ…!!
これも「731な俺」のシナリオ通りなのか!?宮藤だけは生き残るはずだろう!?
芳子「…清佳!!芳佳の脈拍数が…」
清佳「うぅ…芳佳っ!目を開けて!!」キィィィィィン!
俺「なんでだよ…どうしてこうなっちゃうんだよぉぉぉ!!」
俺は宮藤のすぐ傍に行き、顔は涙と汗でボロボロになりながらも必死に話しかける。
俺「芳佳っ…なんでっ……なんでぇ…!!」
清佳「芳佳!」
俺「死なないでよ、頼むから生きてよ…っ…お前も死んじゃったら……俺はどうすりゃいいんだよぉ!」
…どうして……憧れの世界に来たって言うのに……芳佳に会えたのに……好きになったのに…
なんでっどうしてっこんなことばっかり…
神様……恨むよ……
芳佳を…助けてよ……っ
俺「ふざけんなよぉ…!!お願い助けて…死なないで……よしかぁあ!!」
宮藤「――…っれ…さ……ん…」
俺「…!!芳佳っ…!?」
宮藤の口元が微かに動いた。
清佳「よしか!!」
俺「芳佳っ!!芳佳ぁ!!」
もう名前を叫ぶことしか出来ない。
宮藤「……俺さん……ごめんね……」
俺「何で謝るんだよ…謝んないでよ…何でだよ…!!」
宮藤「はは…俺…さ…んにお礼…出来そうにないみたい」
俺「お礼なんか要らない…だから生きてよぉっ!!」
宮藤「俺…さん…わ……た…し…」
俺「……?……え」
宮藤「俺さん…わたし……わたしね」
俺「…?……よし…か…?」
宮藤「わたし…やっぱり…――」
宮藤の頬に、涙が流れた。
宮藤「みんなに会いたいっ…死んじゃったリーネちゃん…ペリーヌ…さん…サーニャちゃんエイラさんっ…バルクホルンさん…
シャーリー…さ…ん…」
俺「あ……あ……っ」
宮藤「ルッキーニちゃん……ハルトマンさんっ…」
俺「ああ……あああああ…ぁ」
宮藤「坂本さん……ミーナ中佐……彼さん…」
俺「…ああああ…っああああああ!!」
宮藤「みんなに…うぅ……会いたい…会いたいよ…」
俺「そんな……いやだ……死なないはずなんだ…だって…そんなこと…書いてなかったはずなん」
――そして後日、第501統合戦闘航空団、通称「ストライクウィッチーズ」は全滅した。――
――BAD END――
俺「…ぜっ……ぜ……全滅……?…そんな…嘘だ……やめろよ……」
清佳「よしかっ…よしかああああっ!」
宮藤「会い…た…い…よ……ぉ」
俺「やだ…いやだ……いやだいやだいやだ…ぁ!!」
――そして後日、第501統合戦闘航空団、通称「ストライクウィッチーズ」は全滅した。――
俺「やめろ……誰か……誰かぁ………」
宮藤「……会……いたいよぉ…」
――BAD END――
俺「やめろおおおおおおおおおおおおおおっ…っ!!!」
宮藤「あ…い……たい…」
俺「約束する…俺が絶対宮藤を皆に会わせるからっ………だから生きてよぉ!!」
それは無理だと分かっていても、今は言うしかない。
宮藤「…………………お…れ……さん…」
俺「あああっうううううううっ……」
宮藤「そばに…いてくれ……………て……」
俺「ああっ…ああああああああああ!!――」
宮藤「あ…り………が………………――」
俺「…………ぁっ…あああっ……」
宮藤「……………――」
宮藤の心臓の音は、そこで途絶えた。
俺「あっああ……」
宮藤「……」
俺「ああああああっ…あああ!!」
宮藤「…」
俺「ああああああああああああああああああああああああ…っ!!!」
――
後日、宮藤の葬儀が執り行われた。
戦時中である為、式場に訪れる人数は限られている。
しかしその中に、俺の姿は見当たらない。
無断で夜間に外出し門限を破ったことに対しての処分を受け、士官ではないため営倉ではなく自室謹慎を命じらていた。
そしてあの日、宮藤が死んだ日以来、目が枯れたように涙が流せなくなった。
一日中寝て過ごす日々。
本当の絶望とはこういうものだったのかと、俺はベットで呟いた。
生きている気がしない毎日。
何かが抜け去った身体。
支えようが無い精神。
逃げ場が無い、
宮藤が死んだという事実。
――
――731部隊研究所跡地にて――
教官「…なんだ俺二等、此処に来たのか」
俺「…………」
教官「…お前に頼まれた通り、おれは宮藤の葬式には出席した。これで文句は言うまい。」
宮藤芳佳が死亡して二週間余りが過ぎた。
俺の謹慎が解けて
三日目となる。
俺は宮藤家に訪れるも、何ともいえない気分に満たされ、家を前にして逃げるようになってしまった。
だから今日は此処、731部隊の跡地に訪れた。
教官「さて、此処に来てお前は何をするつもりなんだ?もう何もない…おれ達に残されたものはこの世界で生き、そして死ぬことだ。」
俺「……ノートパソコン、借ります…。」
俺はただ、宮藤の姿を探していた。しかしそれはもう、虚像に過ぎない。
もう、彼女は死んでしまった。
教官「亡霊に縛られて生きるか…」
俺「…………。」カタッ カタッ
持ち主が自分よりも未来から来た現代人であるノートパソコンを起動させ、保存されたSSやスト魔女の音楽を調べ出す。
ははは…そういえば…映画観に行ったな…映画で出た新キャラ…服部…なんとかさんはこの世界にも勿論居るだろう。
でも今は501も無くなったし…彼女はきっと別の航空団に行ったんだろうな…
俺「…………。」カチッ…
俺は音楽フォルダにマウスのポインターを合せ、クリックする。
すると一番最初に目に映ったファイルは、「笑顔の魔法」と言う曲だった。
俺「笑顔の…魔法…」
俺はその音楽ファイルを再生させる。
…懐かしい曲だ……「約束の空」…ねぇ……もう俺は……宮藤を笑顔にすることなんて出来ない……
………………
…「叶えたい夢」…「この先が」…「たとえ暗闇でも」…「何も怖くない」……
…もし…俺があの時……あの黒い戦闘機のことを知っていたら…特攻覚悟で出撃できただろうか…
いや、出来るわけが無い…共鳴者だとしても…俺はネウロイに選ばれた、「兵士E」だからな…
いまさら後悔しても…もう……もう………
遅すぎる…
…………
俺はポインターをSSフォルダに移動させ、ダブルクリックをした。
そして一番下にある、「731な俺」を選択する。
この「731な俺」の作者の所為か……そういう事にしよう……
でももう…誰が悪いかなんて知らない…どうでもいい
SSを初めから読んでいくと、俺が走って彼を助けた後のシーンを発見した。
ここでは俺(兵士E)が彼(俺)を救出する部分がカットされており、墜落した後、彼は直ぐ看護室で目覚めるという構成になっていた。
そりゃ彼は主役だからな…
――俺「ここは?」――
――宮藤を庇い、墜落した後の記憶が無い。周りを見渡すと、どうやら此処は看護室のようだ――
――そして、ベットには涙ぐんだ宮藤が寄り添っていた――
そうそう……ここで宮藤は彼に好きだって告白するんだよな…
すっげー嫉妬してたよな…俺……
くそっ……あぁ………っ…
――宮藤「あっあの…私っ……」///――
――宮藤が頬を赤らめ何かを言おうとしている――
そりゃでも…嫉妬するかぁ…
――宮藤「私…っ…」///――
――宮藤「私…っ…俺さんの……」///――
なんたって目の前で…
――宮藤「私…俺さんのことが…!」――
告白するんだもんなぁ……
――宮藤「すっ………やっぱり何でもないですー!!」///――
……?
――宮藤は何かを言いかけたが、そっぽを向いてしまった――
……どういうことだこりゃ…
ここのシーンは実際の状況とは違うぞ?
――俺「…?そ、そうか…?」――
――宮藤「はいっ!!」///――
そりゃ確かに4話目で告白するのは早いかもだけと…実際は…告白してたし…
SS通りにはなっていな……
……
…確かにネウロイは元の世界から適役を選べるけど、このスト魔女世界の人物は操作できないはず…
――ネウロイが感じ取った最悪のシナリオの「共通」。しかし、それにはズレが存在する。
…このSSには完璧な「共通」があるからネウロイは利用した……だけど…ここの場面は違う…
スト魔女の登場人物の、「共鳴者」以外の思考は計れない…
…ってことは……このSSの共通は……本当は…
完璧ではないってことじゃないのか?――
そのズレは、切欠に変わる。あきらめていた望みを取り戻すための。
だけど…彼が告白されても、されなかったとしても……どっちにしろ俺自身は変われない…。
俺自身は…変われない……だから無意味だ…
どっちにしろネウロイの思惑通り…
……でも…
もし、俺自身が…変われるのならば……
後悔によって死んでいた可能性が、少しずつ湧き上がる。「もしやり直せるのなら」「過去を変えることが出来るのなら」――
………「731な俺」の…スト魔女の人物と共鳴者以外は操作できていないという不完全な「共通」…
…触ったネウロイのコアとコミュニケーションの進化を成す「共鳴」………
頭に響く、死に際の宮藤の声。
――「みんなに会いたいっ……」
…考えろ…考えろ…考えろ……
今の…最悪の未来を変える方法を……
あきらめるな……俺……
501基地で話しかけてくれた宮藤の声。
――「俺さんっ!」
もし…「731な俺」以上の「共通」を作れるのならば…
もし…あの時、元の世界でコアに触った俺に、自分が変わろうとする想いを伝えることが出来るのならば……
大好きな、宮藤の声。
ロマーニャを…
501を…
芳佳を…
救うことが、出来たんじゃないのか…――
俺の脳を思考させ、挫折した自分を立て直そうとする。
……「もし」を現実に……
宮藤に…笑顔を…
そして、よみがえる感情。
…俺は……
あきらめない。
あきらめない…
あきらめてたまるかっ!!
まだだ…
必ず、あるはずだ…
この未来を…変える方法が…――
――「そばに…いてくれ……………て……」
宮藤を…救う方法が…必ず――
――「あ…り………が………………――」
――
俺「……教官…」
教官「なんだ。」
俺「生きよう…これみたいなノートパソコンが開発される時代まで…何年も。…そして…それまでに……」
教官「…どういうことだ?」
絶望のさなかに、差し込んだ一筋の光――
俺「小説を書くんだ。『731な俺』以上の『共通』を含めた。」
過去を変える……今度こそ…俺は戦う…。
…自分と、望むべき未来と、
俺「そして、俺自身を…ネウロイのコアとして作中に登場させてくれ。」
教官「!?」
501の皆に会わせるという「約束」と…
命と…
宮藤の笑顔のために――
最終更新:2013年02月03日 16:01