――? ? ?



夢を見る。
遠い昔の記憶。そして、己に残った数少ない記憶の一つ。


女『貴方を、愛しています』


かつて、守るべき者に愛を囁かれたことがある。
その言葉に、どう答えたかも覚えていない。ただ、彼もまた彼女を愛していたことだけは確かだ。


仲間『いいよなぁ、お前は。あんな綺麗な娘と仲良くなっちゃって』

?『黙れ。アレは王を守るウィッチだぞ。手出しなぞ出来るか』

仲間『またまたぁ。お前等が相思相愛なのは、誰の目からも明らかですよ、と』

?『この……ッ!』


間違いなく、その時こそが彼にとって幸せの絶頂だった。
だが、世の常と言うべきか、幸せというものは長くは続かない場合が殆どである。彼もまたそのような人間の一人であった。

騎士団とウィッチ、王の命令、さる怪異の討伐、度重なる戦いと仲間達の殉死。
熾烈を極めた戦いの末、残ったのは彼と、彼の愛したウィッチのみ。
しかし、多くの命と数多の策、決死の覚悟を以ってしても、怪異を倒しきることは出来なかった。

彼等に残された手は、最早……


?『……止、めろ! そんな真似をしたら、そもそも成功するかどうかすら……!』

女『ですから、私が人柱になります。…………さようなら』


最後に見た彼女の顔は、笑っていたのか、泣いていたのか。

ともあれ、彼は多くを失った。苦楽を共にした仲間、愛した女と諸共に。
後に残るのは、形ばかりの名誉だけ。しかし、そんなもので、胸に空いた穴を埋められる筈もない。


男『ふむ、予想だにしない結果だね。まさか、ウィッチ自身が封印の要となるとは。いや、使い魔と同調した状態ならば、それも不可能ではないか』


その時、絶望に膝を折った彼の前に、初めて見る男が現れる。
世界の全てを嘲るような、人の全てを否定するような、嫌な笑みを浮かべる男だった――ような気がする。


?『貴様、何者だ……ッ』

男『生憎と語るべき名前はない。それが僕等の慣わしでね。まあ、呼ぶのなら“悪霊(シュトヘル)”とでも呼んでくれ』

?『……シュト、ヘル』

男『ところで、君は彼女の命を救えずとも、その魂だけは救いたくはないかな?』

?『――――ッ!』

男『良い眼だ。だが、忘れないでくれ。これは救済という名の地獄巡りに過ぎないことをね。それでも構わないかな?』


思えば、この男との出会いからして失敗だった。
男の言葉に頷いてしまったが故に、長い長い時の中、苦悩と共に生きねばならない羽目になったのだから。

男の浮かべる笑みは、悪魔のそれではなかった。
それも当然、悪魔は人の心の隙間に入り込み、唆すだけの無能の存在。この男は、そんな生易しいものではない。

唯一にして全知全能。人に直接手を下し、遊び半分で多くの人々を虐殺する――――




――ネウロイ勢力圏内より20kmほどの森林地帯



アドラー「ッ! ………………夢、か」


入れ替えた精神と身体を馴染ませる為に、休息を選択したアドラーであったが、思ったほどの効果は得られなかったようだ。
全身が寝汗で濡れている。どうやら、うなされていたようだ。

正体不明の“男”との出会いは、彼にとって、途轍もないトラウマらしい。


アドラー「後、少しだ。……もう少しだけ、待っていてくれ、■■■」


視線の先には新緑豊かな大自然に似つかわしくない、雪化粧の施された岩山がポツンとそびえていた。
どういう訳か、その岩山の周囲だけが草木の一本も生えぬ不毛の大地と化している。

ネウロイの侵攻以前からそうであった岩山は、周辺の住人でも近づこうとはしない不気味な雰囲気を醸し出していた。


アドラー「……――むッ!」


遠くから鳴り響くエンジンを聞き取り、木々の合間に身を隠す。

音源の方向に視線を向ければ、8人のウィッチ達の姿が見えた。
ご丁寧に502JFW総出で、己を捕えに来た様子に嘆息する。

何故、この場所がバレたのだ、という疑問が噴出するも、すぐさま答えに辿り着く。
アドラーもまた、入れ替わりに際して、俺の過酷な鍛錬の記憶を垣間見ていた。逆に俺も己の記憶を見ていた所で不思議はない。

どうするべきか。
このままやり過ごすのが理想であるが、恐らく巧くはいくまい。
話し合いで解決しようにも、ようやく手に入れた肉体を手放す気は更々ない。一生平行線を辿ることになるのは目に見えている。

ならば、戦いしかあるまい。
愛した女と同じく、人を守る運命を持って生まれた彼女達を殺す自信はなかった。それでも譲れぬものはあるのだ。
問題があるとするなら……、そう考えながら、右目を縦断する傷をなぞるが、悩んでいる時間も惜しい。

森の中に放置していたストライカーを履き、一直線に空へと昇る。
使い魔としての経験が、使い魔もないままに空を駆ることを可能としてた。俺のそれと比しても異質な魔法力の制御法である。


ラル「…………居たな、俺の予測通りということか」

アドラー「これはこれは。使い捨ての暗兵の身体を取り戻す為に全員で来るとは、酔狂もここまで来ると滑稽でさえあるな」

管野「へッ! 言いたいように言いやがれ。何を言っても、強がりにしか聞こえねーよ……!」


アドラーの挑発を意に介さず、ウィッチの面々は逃がさぬように周囲を囲む。
隙を見せず、左右と背後を見渡し、正面でMG42を握っているラルを見据える。

ある種の覚悟を決めた者の瞳。恐らく、他の者達も同じような瞳をしているだろう。
見なくとも分かる。ウィッチとは、そういうものなのだ。


ジョゼ「鷲さん、俺さんの身体を返してください」

アドラー「断る。……ああ、いや、俺なら“いやだね”と言う所かな?」

ロスマン「人をからかうのも大概にしておきなさい。こちらも……」

アドラー「本気だと言うのだろう? しかし、何が本気だというのだ。敵を殺さぬまま生け捕りにするのは、至難の業だぞ?」

サーシャ「そんなことは言われなくても分かっています。……このまま、投降してください」


どうやら、付け入る隙はありそうだ。
殺すつもりがないのなら、攻撃はどうした所で甘くなる。
立ち回りさえ誤らなければ、この困難も乗り切れるだろう。

そう判断したアドラーは、やはり否定の言葉を口にし、揺さぶりをかける。


アドラー「ところで、俺はどうした? あの小僧のことだ、一人でめそめそ泣いている訳もあるまい」

ラル「……俺は、基地で待機している。我々がお前を連れて帰るのを心待ちにしているさ」

アドラー「嘘だな。アレは暗兵だ。依頼人を危険に晒して、自身は安全圏で見物などしているものかよ」

ニパ「……ッ」


己の言葉に漏れた僅かな感情に、アドラーはほくそ笑む。

ウィッチに弱点の一つ。対人戦闘における心理戦の経験不足を見事に突いたものであった。
この手の駆け引きは、ネウロイとの戦闘では決して養われない。

それ故、容易に敵へと情報の鱗片を漏らしてしまう。
今回漏らした情報は、明らかに俺が何処かに身を潜ませ、同調の機会を窺っているというものだった。


ラル「……もう一度言う。これが最後通牒だ。投降しろ、アドラー。我々も仲間だった者を撃ちたくはない」

アドラー「仲間だと思っていたのは其方だけだ。何度問われても、答えはノーじゃよ」

クルピンスキー「…………アドラー」


一つ、嘘を吐いた。

彼もまた、彼女達を仲間だと思っていた。
何百年という長い時間の中、心地よい時間と空間であったことは否定しない。……否定、できない。

ただ、その全てを捨て去っても尚、果たすべき使命があると判断したまでの話。


アドラー「話し合いは決裂じゃ。ならば後は――――――戦いであろう!」


言うや否や、神速を以って抜き放たれた片手剣から、蒼い斬撃がラルへと襲い掛かる……!


クルピンスキー「ナオちゃん……!」

管野「言われなくてもぉッ!」


ラルと斬撃との間に割って入ったのは管野直枝であった。

アドラーの放つ斬撃は、彼女の出身国で発祥したウィッチの剣技、秘剣・雲耀や烈風斬に近い。
それらに威力こそ劣るものの、発動までの速度と連撃が可能、更に通常のシールドならば両断可能とするならば、より実戦的で対人に特化した技と言えよう。

――いいか。あの斬撃をまともに防御できるのは、恐らくお前だけだ。

管野が生まれ持った固有魔法・圧縮式超硬度防御魔法陣。
魔法力を圧縮した分だけ、消耗が増し、防御可能な面積も減るという非常にピーキーなものであるが、ことピンポイントでの防御力に関しては他の追随を許さない。

シールドと斬撃が激突した瞬間、眩い光が迸った。
斬撃は僅かに超硬シールドに食い込んだかに見えたが、管野が拳を僅かに動かすと在らぬ方向へと曲がって、消えた。

これも俺が授けた策の一つ。

――万が一、シールドを斬り裂かれそうになっても、慌てずに斬撃を受け流せ。お前ならシールドの方向も微調整できる筈だ

斬撃が物体を斬り裂く軌道とは、正確には一つしか存在しない。達人は、これを瞬時に選択し、鋼鉄をも容易く斬り裂く。
逆に、それを外してさえしまえば、鋼鉄を斬り裂くことは、達人であっても不可能なのだ。

つまりこれは、管野のセンスと超硬シールドが斬り裂かれるまでのタイムラグを計算した上での防御法ということ……!

これならば格闘の素人であっても防御に問題はない。
敵の攻撃を見極め、捌くことを骨子とした拳法を修めた俺ならではの発想と言えよう。


アドラー(チ。余計な入れ知恵を……!)


苛立たしげに表情を歪めるアドラーは、的になることを避ける為、一気に上昇した。
しかし、歴戦のエースが、それに後れを取る筈もない。

アドラーには空戦の知識は多数存在している。
俺と出会う以前、肉体を手に入れる為、数多のウィッチと契約を交わし、条件が満たせぬと破棄を繰り返してきた。
第一次ネウロイ大戦、ヒスパニアでの怪異発生、第二次ネウロイ大戦初期。
不幸にもエースと呼ばれるウィッチと契約を結ぶことは叶わなかったが、それでも空戦の知識を満たしていくのは十分であった。

だが所詮、知識は知識。実戦に活用できるかは、経験が物を言う。
その経験値の不足を迷わず突き、追い縋るニパがピッタリと右側面に張り付き、銃弾の嵐を浴びせた。


アドラー「ぬぅッ……!?」


考える間もなく、手を突き出してシールドを展開する。
火花を散らして弾かれる弾丸を、アドラーは“左目”で見た。

――初撃は必ず右側面からにしろ。俺には右側の視界が存在しない。右目はね、義眼なんだよ。

アドラーが右目の傷をなぞりながら見せた懊悩と懸念。それは右半分の視界の消失であった。
考えてみれば至極当然である。傷跡が残るほどの深い切創が右目を縦断しているのなら、瞳を失っていなければ道理に合わない。

過酷な訓練の最中、俺は既に右目を失っていたのである。
空戦において――いや、日常生活でも致命的な損失。
それでも俺が義眼であることを悟らせなかった理由はあるのだが、今は関係がない。


ニパ「大尉、今だッ――!!」

サーシャ「……ッ!!」


PTRS1941。オーラシャが生み出した対戦車ライフル。
大型ネウロイの装甲すら紙の如く散らせる威力を秘めた銃を前に、サーシャは一瞬躊躇した。
それは数瞬先に待つであろう惨劇を重い、引き金にかけられた指が鉛と化す。

――そうしたら、次は左から攻撃だ。これは単発のライフルでやってくれ。あんまり連射が効くと俺の身体能力と奴の技量でも、動揺で防御できないだろうからな。

しかし、俺の言葉を信じ、引き金を引く。
反動の響きに腕と肩が痺れるが、興味があるのは、弾丸が如何なる結果を生むかのみ。

アドラーの技量か、暗兵の身体能力か。ともかく、放たれた弾丸は真っ二つに斬り裂かれ、標的に掠ることなく軌道を変える。


アドラー(あの餓鬼のこと、これしきで終わる筈がない……!)


戦いにおいて、俺には容赦も慈悲もない。戦う以上は徹底的に、致命的に叩きのめす。
アドラーが剣を振り抜き、隙だらけの状態になったからと、攻めを休ませる筈もない。
寧ろ、今が好機と一気呵成に責め立てるのは、短い期間とは言え共に戦ってきたアドラーが最も良く理解している。

その時、背後に生じた気配を敏感に察知する。
確認する余裕もない。振り抜いた剣を身体の後ろで左手に持ち帰るや、アドラーは回転するように振り抜き……

――その時には、アイツに余裕はないだろうよ。後ろに静かに立っていてくれるだけでいい。後は、こっちでやる。

虚しく空を斬った。
視線の先には、悲しげな顔をしたクルピンスキーが浮かんでいる。
彼女は銃撃の轟音を隠れ蓑に、エンジン音を可能な限り抑えながら、そろそろと後を追ってきただけである。


クルピンスキー「残念だよ、アドラー。君のことは嫌いじゃなかったんだけどね……」


最早アドラーの耳に、彼女の言葉は届いていない。
肉体を取り戻すつもりならば、何処からか近づいてきているはず。

ならば、何らかの気配が周囲に生じなければ可笑しい。にも拘らず、前後左右どころか、上下にすら何かが存在する気配はない。


俺「生真面目が過ぎるんだよ、お前は……」


聞こえてきたのは背後――つまり、つい先程まで正面に位置していた方向から俺の声が聞こえた。

ありえない。如何に隻眼とは言え、正面から接近してくる物体に気付かない訳がない。
純粋にそう思い、その純粋さが次の行動を妨げる。

背後からの衝撃に、ようやく自らの失敗を悟る。
一体、何が行われたのかは理解できない。だが、俺に反撃の機会を許してしまったことだけは、確かである。







――? ? ?



肉体の消失と落下を知らせる浮遊感。
何処に向かって落ちているのか分からない状況であっても、俺は冷静だった。

懐かしいような感覚。
ああ、そうか、と唐突に理解する。これは、己の内へ内へと埋没していく感覚だ。


俺「……ッとぉ。同調に成功したはいいが、何処だ此処は」

アドラー「ふむ。そうじゃな、言うなれば貴様の身体の内で再構成された儂の精神世界、といったところか」


足裏から伝わる確かな地面の感触に、着地の成功を確信するのも束の間、背後から声をかけられる。

振り返れば、眼前には無限の荒野が広がっていた。
暗雲立ち込める荒野は、まるでアドラーの精神状態を表しているかのよう。

荒野のそこここには、地面に突き立てられた無数の西洋剣が。その様相は、さながら墓標である。


俺「成程、それがお前本来の姿か……?」

アドラー「そうなるか。尤も本来の、というよりはかつてのと言った方が正しいがな」


其処には、一人の騎士が立っていた。

後ろに撫でつけた金髪。美丈夫という言葉がピタリと当て嵌まる精悍な顔立ち。身に纏う白い甲冑。腰に下げられた肉厚の長剣。
まさに、絵本の中から抜け出してきたかのような騎士。それは、アドラーがその年代の人間であったことを示しているのだろうか。

彼の背後には、荒野に似つかわしくない花束が敷き詰められた立派な墓標が一つだけ、ポツンと寂しく建てられていた。

此処が精神世界だとするならば、その墓標や周囲の主なき剣は何らかの意味を示唆しているのだろうが、全ての疑問を飲み込んで俺は構えた。

事ここに至って、話し合いで解決など出来る訳がない。ならば、力尽くで自らの肉体を取り戻すのみ。


アドラー「……一つ、聞かせて欲しい」

俺「………………」

アドラー「答えたくないのならそれでいい。……だが、あの時お前はあの場に存在していなかった筈だ。どうやって近寄った」


もしかしたら、俺の固有魔法を空間を超越するとでも思っているのだろうか。
だとしたら、盛大な勘違いである。あの場に俺は居たし、単純にアドラーが気付かなかっただけ。

しかし、それでは疑問が残る。
何故、アドラーが俺の存在に気付けなかったのか。
俺の感覚器官は常人のそれを遥かに凌駕するものであるし、彼に慢心はなかった。何らかの存在が近寄れば、気が付かなければ可笑しいのだ。

このまま手の内を明かさぬまま戦うことも良かったが、ある直感が口を開かせた。

その直感は、この世界が精神世界だというのならば、この世界での戦いもまた精神の戦いになるというもの。
正しい見解である。精神世界での戦いは肉体がない以上、命の奪い合いではなく、心の抓み合いとなるのは道理だ。
尤も、痛みや恐怖から逃れられる訳ではない。ここで傷つけば、最悪の場合、精神自体が崩壊しかねない。

俺は、敢えて自らの手の内を明かすことで、アドラーを追い詰め、行動を制限するつもりであった。
対人戦闘と心理戦において、この少年は悪魔染みた手練手管を見せる。


俺「中国の拳法は、他の武道とは決定的に一線を隠すところがある。何だと思う?」

アドラー「知らんな。生憎と学んだ剣技しか生かせぬ無能故、答えかねる」

俺「それはな、宇宙と一体になることを目的とした武術であるってことだ」


中華の合理。自身の内側を見つめ、外は宇宙と一体となることを目的とする古の知恵。
それらは力学的な肉体の操作のみならず、精神にまでも及ぶ。


俺「その中に圏境と呼ばれる技法がある」

アドラー「……けん、きょう」


圏境とは、瞑想の極意。
極めた者は天地と合一し、その姿を自然に溶け込ませ、存在そのものを消失させる技法。つまり、体術による透明化である。

目に見えぬ。それが戦闘において如何に恐ろしいことかは語るまでもない。古今東西において最強の――否、最悪の一つ。

加えてこの圏境は、純粋な体術であるが故に、魔法力やそれを原動力として発動する固有魔法では一切捕えることは出来ない。
最早、シユウにのみ伝えられるであろう概念と技法に、アドラーは息を呑む。


俺「これはあくまでも瞑想の極み。ならば、肉体が元のそれでなくとも十分に使える」

アドラー「化物め……ッ!」


ありったけの畏怖と、武の極みへと至った者への敬意を吐き捨てならが、腰の長剣を抜き放つ。

眼前には、掛け値なしの怪物が拳を握らず、既に構えを取っていた。
実力差は明白。鍛錬に掛けた時間が違う。思考を読む狡猾さが違う。下手をすれば、戦歴すら俺の方が苛烈であるかもしれない。

だが、何の問題もない。此処は、彼の世界だ。


俺「…………ッ、?」


身体が異常に重くなる。重力が二倍にも三倍にも増したかのような感覚が俺を襲う。


アドラー「再構築された精神世界は儂のものだ。貴様の不利、儂の有利は揺るぎない……!」

俺「そうかい。まあ、不利な状況は慣れてる。気後れする理由にはならないがな……ッ」


二人の影が激突する。
片や一つは願いと烈火の気合いを以って、片や冷酷とも言える冷静さを以って。

人と使い魔、暗兵と騎士、人のまま人を超えた者と願いの為に人を止めた者。
相容れぬ二つの存在は、一つの身体を巡って火花を散らす。勝者は一人。落としどころのない戦い故の必然。
如何なる結末を迎えるか、戦う二人すら、まだ知らない……。
最終更新:2013年02月06日 23:23