第2話 私が見たブリタニア




200 :チャーチルの犬[sage]:2011/06/09(木) 19:10:30.69 ID:ELXHwPhz0

第2話 私が見たブリタニア

―1929年 エジプト カイロ

「ミスター・チャーチル、奥方のバッグをひったくりやがった不届き者をひっ捕らえましたぜ!」

「――――!―――!!」ジタバタ

「ありがとう…って、…………………まだ子供じゃないか…。」

「そうですな。まったく…ブリタニアの名士で、政治家であらせらるミスター・チャーチルの奥方様からひったくりをするたぁとんでもねぇクソガキだな!!」

「―――…。」

「鞭打ちにでもしてやりますか?」

「………いや、いいよ。この子の親と会って話をする。それだけで十分だ。親の名前を訊いてくれないか?」

「分かりやした。――――――――――、―――?」

「――。」ボソッ

「親はいないそうです。」

「そうか…………君、その子を放してやってくれないか?」

「ええっ!?」




203 :チャーチルの犬[sage]:2011/06/09(木) 19:16:19.39 ID:ELXHwPhz0
「頼む。」

「まあ、アンタがそうおっしゃるなら…」

「………。」

「なんだ、坊主? お前には親がいないのか?」

「………。」

「それなら……私の所に来るか?」

「………。」

「心配するな。子供一人を養えないほど落ちぶれてはいないさ。」

「………。」

「あの、ミスター…訳しやしょうか?」

「いい。子供に意思を伝える時に大切なのは、言葉ではなく行動だ。」

ポンッ ナデナデ

「のぅ、小さきジェントルマンよ。」

「………。」

「このくたびれたジジイに人生を賭けてみる気は無いかい?」ニヤッ




207 :チャーチルの犬[sage]:2011/06/09(木) 19:21:29.08 ID:ELXHwPhz0

―1942年 北アフリカ オアシス ブリタニア一般兵士宿舎 AM 2:00

俺「………。」ブルッ

ガバッ

俺「寒い…。」

スタスタスタ



―ブリタニア一般兵士宿舎外

俺「………。」ズズッ

パトリシア「やほっ。どうしたの? 眠れない?」

俺「……はい。予想以上に冷えますね、砂漠の夜は。」

パトリシア「そうよねー。私もまだ慣れないわ。」




211 :チャーチルの犬[sage]:2011/06/09(木) 19:24:58.93 ID:ELXHwPhz0

俺「あなたは、何故ここに? ここは一般兵士用の宿舎で、ウィッチ用の宿舎ではないはずですよ?」

パトリシア「いや~、パットン親父の部屋でみんなと飲んで騒いでいたらこんな時間になちゃって…。で、宿舎に帰る途中でアンタを見かけたから声をかけてみたってわけ。」

俺「そうですか。ああ、これ、飲みますか?」

パトリシア「ありがと❤ これ、紅茶?」ズズッ

俺「はい。」

パトリシア「ていうか、こんな夜遅くに泉から水を汲んで来て淹れたの?」

俺「はい。」

パトリシア「ひぇ~…アンタも好きねー……。」

俺「体を手っ取り早く温めるには、紅茶が一番ですので。」

パトリシア「ふ~ん…。それにしても、きれいなブリタニア語ね。」

俺「ありがとうございます。ブリタニア人とは程遠い容姿をしている自分だと、やはり気持ちが悪いでしょうか?」

パトリシア「そんなことないわよ。容姿とかはどうでもいいの。大事なのは心意気よ、心意気!」

俺「そう言っていただけると………うれしいです。」




213 :チャーチルの犬[sage]:2011/06/09(木) 19:26:25.19 ID:ELXHwPhz0

パトリシア「う~ん…………もしかして、アンタって…私達のこと嫌ってないの?」

俺「? 嫌う理由に心当たりが無いのですが…。」

パトリシア「そうよね……でも、昼間邪魔したら撃つみたいなこと言ってたから、少なからず私達のこと嫌ってるのかと思ってたけど…。」

俺「アレには他意はありませんよ。ただ、私の邪魔を…ブリタニアの繁栄を邪魔するようであれば、容赦はしない。そのことを伝えたかっただけです。

  チャーチル首相が撃てといえば、私はあなた方を躊躇なく撃ちます。」

パトリシア「ふ~ん…そっか…。」



―トブルク東200km AM 10:00

ガードナー「俺准尉ィー、荷台の方は揺れてないですかー?」

俺「大丈夫ですー。とても快適ですよー。
  すいません…。自分の鈍足なためにわざわざ戦場まで送っていただいて…。」



215 :チャーチルの犬[sage]:2011/06/09(木) 19:28:14.55 ID:ELXHwPhz0

ガードナー「いいんですよ。我々にはこれくらいのことしか出来ませんから…。」

俺「そんなことは……」

ガードナー「いい大人が女子供に頼りきってしまって……情けない限りです…。」

俺「そんなことは……ないです…! 私達ウィッチはネウロイと戦う力があるからここにいるのです。でも、あなた方は戦う力がなくてなお決してここから逃げ出そうとしない。

  あなた方の勇気には感服いたします。」

ガードナー「ハハハ…それは言い過ぎですよ。でも……ありがとうございます。
      あ、もう到着ですね。」

俺「それでは、行ってきますね。」

ガードナー「必ず帰って来てくださいね…。」

俺「大丈夫ですよ。私にはまだやることがたくさんあります。それに、あなた方の勇気のためにも、決して死ぬわけにはいきません。

  俺ブリタニア王国陸軍准尉、出るっ!」




139 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:26:55.51 ID:2cmhcX4O0

―トブルク東200km 仮設テント内 AM 10:00

俺「…………。」ブロロロロ

加東「マイルズ少佐、本当にいいの?」

マイルズ「ええ……今回の敵は大型2体に中型が10体。その程度なら彼一人で充分よ。」

加東「ひょえ~……だからって彼一人に任せるっていうのも…ねぇ?」

マイルズ「はぁ……そうなのだけれど…彼が受けた命令イコールチャーチル国防相、つまり私達ブリタニア王国軍のトップの命令なのよね…。」

加東「それに逆らうのはいくらなんでも無理…か。で、私達が出てきたら、本気で撃たれそうだし…。」

ロンメル「一つの国のトップが関わってくると、さすがの我々も勝手が出来ないのだよ。」

加東「だからって、航空支援すらしないのは無茶ですって…。」

ロンメル「彼が直々にいらないと言ってきたんだぞ? そう言われたら、今の我々はそれに従うしかない。」

加東「でも…」

ロンメル「万一の時の戦略をモンティがちゃんと考えて用意してくれている。私とパットンだっている。
     大丈夫。こう見えても我々はけっこう名の売れた指揮官なのだよ?」

パットン「そうだぞ。ただのダンディなおじ様ではない。」ニヒッ

加東「そう…ですね…! お願いしますよ、閣下。」



141 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:31:47.47 ID:2cmhcX4O0

『ネウロイを発見しました。これより交戦します。』

マイルズ「!」

加東「さて、お手並み拝見といきましょうか。」

俺フィィィィィィィ

ロンメル「ん? 全身を覆うようにシールドを張ったのか?」

マイルズ「ああすれば、全方位からの攻撃は防げますからね。」

加東「いやいや、サラッと言ってるけど、あんなの簡単には出来ないわよ!?」

マイルズ「そうね。でも、アレが出来るからこそ彼は一人でも『部隊』と名乗れるの。」

加東「囲まれた……けど…。」

ネウロイシュピィィィィィ

俺「…………。」

加東「うわぁ…ネウロイの攻撃をものともしてない…。」

ネウロイキュィィィィィィ

マルセイユ「ケイ! 飛行杯だ! 出撃しよう!」




142 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:36:07.26 ID:2cmhcX4O0

加東「いや…多分大丈夫よ、マルセイユ。」

ネウロイダダダダダダダ

俺「…………。」チャキッ

ドンッ

マルセイユ「お、飛行杯を撃ち落としたぞ。」

加東「今、真横でネウロイに攻撃されていたのに、それをまるで無視するなんて…。」

マイルズ「話には聞いていたけど…これはなかなか壮絶な光景ね…。たった一人で、一方的にネウロイを虐殺してる…。」

ロンメル「なるほど、ああやって絶対的な防御力で敵の懐に入り込み、確実に一体ずつ倒していくわけか。」

パットン「ガハハハハハッ! イカれてやがるな!」

俺ドンッ ドンッ

ネウロイパリィィィィィィィィ

ネウロイパリィィィィィィィィ

加東「やっぱり大型も一撃か…。」




144 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:40:37.01 ID:2cmhcX4O0

マイルズ「あとは中型が1体だけ…。」

俺「ハァ……ハァ………ハァァ!」ドンッ

ネウロイパリィィィィィィ

ロンメル「よし! これで全滅だな!」

マイルズ「飛行杯の増援があった分、さすがの彼もしんどかったみたいですね。」

俺「…ハァ…ハァ……!」フラフラ

ロンメル「諸君、撤退だ。無駄足を踏ませて悪かったな。」


キュィィィィィィィィ


加東「なっ!? ネウロイ!? どこから!?」

ザアアアアアアアァァァァァァァァァ

マイルズ「砂の中から!? しかもさっきよりも大きい…。」





146 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:42:31.33 ID:2cmhcX4O0

加東「そんなの反則…。」

ロンメル「ボサッとするな! すぐに出撃の準備をしろっ!」

マイルズ・加東「「え…は、はい!」」

ロンメル「マイルズ隊は準備が出来次第、すぐに出撃だ。細かい指揮は君に任せる。とにかくできるだけ早く進撃して、彼の救出を最優先にしろ。」

マイルズ「はい!!」

ロンメル「航空隊は少し待て。敵の特性を見てから、出撃の是非を決める。」

加東「はい。」

パットン「砲撃部隊、何やってんだ!? そんなチンタラやってたら日が暮れちまうぞ!?」

「「「は、はい!」」」

パットン「ロンメル! パットンガールズは準備万端だ! この子らの方が速いから先に出撃させちまうぞ!?」

ロンメル「ああ任せた、パットン。」

パットン「パットンガールズ、ロックンロール!!」

パトリシア・マリリン・アビゲイル「「「イエッサー!!」」」



147 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:45:12.55 ID:2cmhcX4O0

ロンメル「さて、シャーロット…準備は出来ているね?」

シャーロット「は、はい!」

ロンメル「よし。とにかく、ネウロイのど真ん中を狙って、どこでもいいから一発当てるんだ。ほんの少しでいいから、スキを作ってくれ。それでは、砲撃用―」

『待ってください。手出しは無用です。』

ロンメル「なっ…!?」

マイルズ「何を言ってるの!? あなたはもうフラフラじゃない!」

加東「あとは私達に任せてここは退きなさい!!」

ネウロイシュピィィィィィィィィ

俺『ハァ……ハァ…!』シュィィィィィィ

ガガガガガガガ

マイルズ「ほら! シールドもそんなに小さくなってる!」

俺『ハァ…まだ…ハァ………やれます…!』



148 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:48:58.80 ID:2cmhcX4O0

パトリシア「…………。」

俺『しかとその目に焼き付けてください……これがチャーチル首相の……ブリタニア連邦の力です……!』

ドンッ

ダァンッ

ネウロイキュオオオオオオ

加東「ダメ! 一発では倒しきれない…!」

俺「……クッ……!」フラ…

パトリシア「危ない!」

俺「………ォォォォォオオオオオオオオオ!!」

ドンッ

ドンッ

ダァン

ネウロイパリィィィィィィィ

俺「ハァ…ハァ……ハァ……………。」バタリッ



149 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 02:51:56.50 ID:2cmhcX4O0

―トブルク基地

マイルズ「一体どういうつもり!?」

俺「…………。」

ロンメル「命令違反はまあよしとしよう。君の直属の上官はチャーチルブリタニア首相だからね。だが、あの時撤退をしなかったのはいただけないなぁ。」

マイルズ「あの時、自分がどういう状態だったか分かってるの?」

ロンメル「立つこともままならないで、あのネウロイを倒そうなんて、命を捨てるようなものだぞ。」

俺「…上官ではないあなたには関係のないことです。」

マイルズ「な―」

ロンメル「何を言っているんだ貴様はっ!!」

俺「」ビクゥ

ロンメル「関係ない? ふざけるなよっ!? 
     国籍が違おうが軍が違おうが…私の前で命を無碍にするようなことは絶対に許さん!!」

俺「…………。」




151 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:00:08.57 ID:2cmhcX4O0

ロンメル「分かったかぁ!?」

俺「…………。」

ロンメル「返事はどうしたっ!!」

俺「………それでは、失礼します。」ペコリ

スタスタスタスタ

ロンメル「……ハァ…。」

マイルズ「申し訳ありません…ブリタニア軍を代表して謝罪します…。」

ロンメル「いいよ。結局彼がネウロイを倒してくれたことには変わりは無いからな。
     しかし、彼は難儀な性質だなぁ…。」

マイルズ「…はい………。」

ロンメル「マイルズくん、彼は君に任せるということでいいかね?」

マイルズ「はい。でも、もしかしたらあの子がなんとかしてくれるかも…」

ロンメル「?」




152 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:06:09.18 ID:2cmhcX4O0

―1938年 ブリタニア チャーチル宅

「サー・チャーチル、少しお聞きしたいことがあるのですが…。」

「? どうしたのだ、俺?」

「貴方は、あの時どうして私を助けてくださったのですか?」

「…………不服か?」

「い、いえ! ただ、先日教えていただいたことにそぐわないように思いまして…。
 先日、大勢の貧しい人がいる中で、一人だけに施しを与えると他の者も施しを求めて暴動が起こるから、かえって良くないということを教えていただいたのですが……
 それなのに、何故エジプトに大勢の貧しい人々がいる中で、私だけを助けてくださったのですか?」

「ふむ…」

「いえ…あのっ! 聡明なサー・チャーチルがどういうお考えだったのか気になっただけで……別に、非難をしているというわけでは…」

「…正直に言うと、あれは一時の気の迷いだったのだよ…。まだ幼いのに人生を諦めきった目をしていた君をどうしても放っておけなかった…。」

「そう……なの…ですか…。」




154 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:12:10.53 ID:2cmhcX4O0

「だが、失敗だったのは、あの日のあの瞬間だけだよ。」

「へ…?」

「あの日、私が助けた君は今では立派なブリタニア紳士になって私を支えてくれている。それは暴動が起こるリスクを代価とした利益としては大きすぎるものだよ。」

「…………。」

「君を助けたのは、私が人生で成し遂げた最高の偉業だ。」

「………ありがとうございます。」

「君が今ここにいることは、決して失敗などではない。私はあの日、君を助けた自分を心の底から誇りに思うよ。」



―1942年 北アフリカ オアシス ブリタニア軍一般兵士宿舎外 AM 1:30

パトリシア「ハァイ❤」

俺「こんばんは。こんな夜遅くにどうされたんですか?」

パトリシア「少しアンタと話がしたくてね。今日も起きてくるかと思って待ってたら……これは予感的中ってヤツ?」




155 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:18:11.11 ID:2cmhcX4O0

俺「恥ずかしながら、今日も寒くて目が覚めてしまいました。やはり、この寒さにはなかなか慣れませんね。
  あ、紅茶どうぞ。」

パトリシア「ありがと❤」

俺「今夜もパットン将軍の所へ?」

パトリシア「そっ。戦勝祝い❤」

俺「昨日もされていませんでしたか?」

パトリシア「うん、昨日も勝ったからね。」

俺「勝つたびにパーティーをするのですか…」

パトリシア「当たり前じゃない! また一歩平和に近づいたのよ? 喜んでパーティーを開かない方がおかしいわよっ!!」

俺「そういうものですかね…?」

パトリシア「そういうもんなのっ! 

      それに……そのくらい喜んであげないと、勝利のために散っていった人が報われないじゃん……。」

俺「…………。」




156 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:24:09.66 ID:2cmhcX4O0

パトリシア「今日はありがとね。アンタのおかげで誰も傷つくことなく、ネウロイを追っ払えたわ。」

俺「いえ……私はブリタニアのために戦っただけで、貴方にお礼を言われる筋合いは……」

パトリシア「うっさいわねぇ……グダグダ言ってないで黙って感謝の気持ちを受け取りなさいよ。」

俺「私の発言は無視ですか…。」

パトリシア「そういうこと❤ パットン親父も言ってたわ。アイツはよくやってくれたって。」

俺「命令違反しても、ですか?」

パトリシア「たしかにそれは良くないけど……アンタが頑張ったという事実は変わらないってさ。」

俺「…………。」

パトリシア「私から見ても、あの時のアンタはイカしてたわよ。パットン親父ほどじゃないけどねっ!!HAHAHA!!」

俺「……ありがとうございます。」

パトリシア「命知らずのバカ……超クールじゃん!! アンタ気に入ったわ! ウチに来て犬のBobをFuckしていいわよ!」

俺「そ、それは遠慮しておきます…。」

パトリシア「何よ。つれないわねぇ…。これじゃあ、ウチのパパとは気が合いそうにないわね。」

俺「気が合う人なんてそうそういないと思いますよ…。」




157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/25(土) 03:25:32.31 ID:B1dwh9W90

ちょっとBOBFUCKしてくる





158 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:30:20.92 ID:2cmhcX4O0

パトリシア「それにしても、アンタはどうしてあんなに頑張るの? まさか…チャーチル首相に家族を人質に取られているとか……!?」

俺「そんなことはないですよ。チャーチル首相には良くしていただいています。
  それに、私の家族は私が小さい時に死んでしまっています。」

パトリシア「え…あっ……ゴメン…。」

俺「いいですよ、まだ私が小さい頃の話ですし。

  ちょっと自分語りをしてもいいですか?」

パトリシア「カモンッ! どんな<アアン❤>で<イクゥ❤>な物語を聞かせてくれるの!?」

俺「ハハハ…そういうのではないですよ…。平凡な、不幸で幸福な一人の男のつまらない話です。

  私はここ北アフリカのエジプト、カイロで生まれました。私の家は代々酒屋を営んでいて、毎日をそれなりに楽しく過ごしていました。

  そんなある日、両親がブリタニア人に殺されました。」

パトリシア「…えっ……!?」




159 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:36:10.03 ID:2cmhcX4O0

俺「私が5つの時、私達家族が住む町にあるブリタニア人が新しい酒屋を開きました。そのブリタニア人の店の酒は粗悪でまずかったそうです。

  だから、そのブリタニア人の店には客が全然来ませんでした。彼は、その原因を私の両親の経営する店があるからだと考えたようです。

  彼は私達の家に火を付けました。」

パトリシア「…………。」

俺「助かったのは、出口から近い所に部屋があった私だけ。両親も、祖母もその火事で死んでしまいました。

  犯人が新しく町に来たブリタニア人だということは、目撃者の証言ですぐに明らかになりました。しかし、地元の警察は彼を逮捕することはできませんでした。

  彼の身柄を引き取ったのは、ブリタニア大使館。彼の裁判はブリタニアで開かれました。治外法権というやつですね。

  そのブリタニア人は証拠不十分ということで、無罪になりました。」

パトリシア「ひどい……。」

俺「その出来事で、私は家族と家と、生きる希望を失くしました。

  それからの私は、観光客のブリタニア人から引ったくりをしてなんとか生計を立てて暮らしました。あの頃はいつ死んでもおかしくなかったですよ。

  私がチャーチル首相と会ったのはその時です。」

パトリシア「…………。」




160 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:42:10.17 ID:2cmhcX4O0

俺「首相は、チャーチル夫人のバッグを盗んだ私を咎めず、そればかりか私をブリタニアに連れ帰って養ってくださいました。

  あの時はまだブリタニア語は全然分からなかったから、首相が何と言ってくださったのか覚えていませんが、頭を撫でてくれた手がとても温かったのは覚えています。」

パトリシア「………ふぅん…。」

俺「突然家に押し掛けてきた私を、チャーチル家の方々はあたたかく迎えてくださいました。

  チャーチル首相は首相ご自身でブリタニア語を私に教えてくださいました。

  ブリタニア語をまったく話せない私に身振り手振りで懸命に伝えようようとされている姿をよく覚えています。

  そのおかげで学校に通える歳までに、なんとか日常会話くらいならブリタニア語で出来るようになりました。」

パトリシア「…………。」

俺「チャーチル首相は私をとてもいい学校に通わせてくださいました。

  その学校の方々も、ブリタニア語もおぼつかない上に、どう見てもブリタニア人には見えない褐色の肌をしたなんとも胡散臭い私でも一人の友人として扱ってくれました。

  その学校に通いながら、私は戦士として戦う鍛錬を始めました。」

パトリシア「…………。」





162 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:48:57.05 ID:2cmhcX4O0

俺「私が人並みの人生を歩めているのは、チャーチル首相とそのご家族、そして私がブリタニアで関わった全ての人々のおかげです。

  決して家族がブリタニア人に殺されたことを忘れたわけではありません。

  でも、私が見たブリタニアは、あたたかくて気高かった。」

パトリシア「…………。」

俺「ブリタニア王国のため……と大きなことを言っていますが、私はただ…チャーチル首相やチャーチル家のみなさん、幼馴染や友人達に幸せで誇り高く生きてほしいだけなのです。

  私はそのために強くなった。彼らにずっとあのままでいてほしいから強くなったのです。」

パトリシア「………Zzz……………ハッ!?……ご、ゴメン…! あの、その…パットン親父の部屋で大騒ぎしてたからちょっと疲れちゃって…!」

俺「ハハハッ……いえいえ。こちらこそすいません。長々と一人で喋ってしまって。

  今度は貴方のお話を聞かせていただいてよろしいですか?」

パトリシア「へ……私………?」

俺「はい。貴方は何故遠くリベリオンからここアフリカまで来たのですか?」




163 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 03:55:06.62 ID:2cmhcX4O0

パトリシア「う~ん……そうねぇ…。

      私はさ…リベリオンが大好きなのよね。賑やかで、楽しくて。

      リベリオン人として生まれて本当に良かったと思ってる。」

俺「フフッ……そうなのですか。」

パトリシア「その大好きなリベリオンがさ……欧州を助けたいって言ったの。

      お節介かもしれないけど、困ってる人達を助けたいって言った。

      だったら、一肌脱いであげないわけにはいかないじゃない?」

俺「…………。」ニコニコ

パトリシア「…何よ……ニヤニヤしちゃって…。」

俺「貴方は……素敵な女性ですね。」

パトリシア「なっ……とっ、突然何を言い出すのよ…!?///」




164 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 04:00:25.64 ID:2cmhcX4O0

俺「フフフッ…思ったことを言ったまでですよ。」

パトリシア「わ、私なんてっ…チャラチャラして…品もなくて……!」

俺「いえ…貴方は素敵ですよ。貴婦人が優雅に紅茶を飲む姿よりも、貴方が好きなものについて楽しそうに語る姿の方が、ずっと魅力的です。」ニコッ

パトリシア「うぅっ………///」

俺「パトリシアさん…私が言うと、どの口がそれを言うのかと思われるかもしれませんが

  ………がんばってください。

  私は貴方を応援しています。」

パトリシア「ハァ…本当にアンタだけには言われたくない言葉だよね。

      でも…………………ありがと。」





165 :チャーチルの犬:2011/06/25(土) 04:00:51.29 ID:2cmhcX4O0


ライーサ「私達はカールスラントアフリカ軍団よ。」

マルセイユ「お~い、マティルダ~新人が来たんだから、パーティの準備しろ~。酒だ~酒持って来~い。」

マティルダ「お任せください、鷲の使い。」

シャーロット「…………………………ダルイ…。」

フレデリカ「十代滅べ。」

ロンメル「以上、全員我輩の養女である。」

シュミット「誰だよカールスラント軍人は堅物ばっかりだとか言った奴は…。」

次回「チャーチルの犬」第3話 アフリカの三将軍
最終更新:2013年02月06日 23:33