午後1時、ハイデマリー私室
俺「大丈夫ですか?」
ハイデマリー「ええ、大丈夫..ゴホンゴホン」
あの戦いから一週間、勲章を貰ったり小尉に任命されたりと色々あったが
俺はまだこの基地でハイデマリーと一緒に飛んでいた
俺「薬ここに置いておきますね。食事が食べ終わったら飲んでください」
ハイデマリー「ごめんなさい。俺さんに迷惑をかけてしまって・・・」
俺「別に良いんですよ。どうせ暇ですし」
ハイデマリーはどうやら風邪をこじらせてしまったようだ。今はベットで毛布を被って寝ている
俺「ささ、早く食べて下さい。遅くなるとコックに怒られてしまいますので」
ハイデマリー「では...いただきます」
ハイデマリーが食事をする中、俺は椅子に腰かけて食べ終わるのを静かに待っていた
俺(暇だし...何かあるかな)
ポケットの中を探ってみる。入っていたのは.357マグナム弾、7.92mm弾の薬莢、ポップコーン、ガムの包み紙...
俺(久しぶりにやってみるか)
包み紙を取り出し、対角線上に折っていく
ハイデマリー「パクパク...俺さん?」
俺「ここでこうやって・・・何でしょう?」
ハイデマリー「何しているんでしょうか?」
俺「これですか?・・・ちょっと待って下さいね」
昔からやってきた事の
繰り返しだ。何も問題無く紙を折る事が出来た
俺「よし...完成です」
ハイデマリー「・・・鳥ですか?」
俺「折り鶴、という物です」
ハイデマリー「可愛いですね・・・」
折り鶴に興味を持ったらしく不思議そうに見つめるハイデマリー
俺「昼食はもう良いんですか?」
ハイデマリー「...はい。もうお腹が一杯です」
俺「では...」
彼女の手元に鶴を置き、食事の入ったお盆を持つ
俺「片付けてきますね。薬を飲むのを忘れないように」
ハイデマリー「分かりました」
部屋を出て食堂に向かう。廊下を歩いていると遠くに見慣れない人が立っている。何かを探しているみたいだが...
俺(お客さんかな?)
横を通り過ぎようとするが...
「?・・・そなたは俺小尉ではないのか!?」
やべぇよ...何か気付かれたよ...
俺「...そうですが何か?」
「ハイデマリーはどこにいるのだ!?」
B曹長「今
整備士が屋上にストライカーユニットとMG151/20があるのを発見したらしい」
俺「・・・せめて滑走路に着陸して欲しかったですね」
とりあえず今分かった事を整理してみる...
第一に彼女の名前はハインリーケ・プリンなんとか大尉。同じ
ナイトウィッチでかなりの腕前らしい
第二に彼女はハイデマリーの友達で結構仲が良いとの事(曹長曰く「昔よくハイデマリー大尉が話していた」)
第三に彼女はどこからともなく「ハイデマリーが倒れた」情報を知り、大量の医薬品と果物を持ってきた事
第四に彼女はハイデマリーの部屋で二人で話をしているらしい
B曹長「どこから情報が漏れたんだろうな...」
C曹長「もしかしたら兵士の中に向こうの基地のスパイでもいるかも...」
俺「あの人は結構力があるようですね」
C曹長「そりゃなぁ...王族の血を引き、周りからの人望もある」
俺「俺みたいな庶民の下っ端よりも良い人でしょうね」
王族を見るのは...L85担いだ王子が結婚したくらいの時以来だよな
この世界ではまだ一般的な物らしい。カールスラントも帝国だったっけ...
俺(ゆっくり夜間哨戒まで待つか)
どちらにせよ俺には関係無さそうだ。今のうちに"アレ"の練習でもしておこう・・・
ハイデマリー私室
ハインリーケ「他に体の異状は無いか?」
ハイデマリー「大丈夫です。でも今日の夜間哨戒には・・・」
ハインリーケ「今日はわらわがそなたの代わりに哨戒に出よう」
ハイデマリー「でも今日はハインリーケさん、非番では無いんですか?」
ハインリーケ「そなたはわらわの大切な友。だから助けてあげたいのだ」
ハイデマリー「・・・ありがとうございます//」
彼女は窓の外で散歩をしている俺さんを見ている
ハインリーケ「あの者が...そなたの言っていた思い人なのか」
ハイデマリー「はい///」
ハインリーケ「・・・ならあの者の素性や考えも知っておきたい」
ハインリーケ「ハイデマリーの思い人、そして僚機である以上...
基地、滑走路上
俺「...友達思いな方ですね・・・」
彼女達は気付かなかっただろう。俺から窓にレーザーが照射していた事を。
そしてそのレーザーが彼女達の声による窓の振動を拾い、僅かに変化した反射波を俺が解析していた事も。
俺「レーザー制御の練習として試しにやってみましたが...とんでもない事を話してくれましたねまったく・・・」
まぁ良い。レーザーの制御については文句無しの出来栄えだ。後は...
俺「後は出力を上げるのみ...」
午後7時、格納庫前
俺「うーん...俺はツンからデレに移行する時のヒロインの心情の変化ってのが好きなんだよ」
整備士I「ツンツンは?」
俺「俺はツンツンの方も好きだよ。強気に出るヒロインに逆に強気に出たり、あえて優しく攻めるってのも良いよね」
俺「一番ダメなのは...ツンデレツンデレツンデレ...無限ループが一番無理。もうお願いだから変わらないでくれって思っちゃたり...
ハインリーケ「まだ出発しないのか!?」
整備士I「...あの方はどう思う?」
俺「・・・ハイデマリーの次くらいに高評価かな」
俺「今行きます!」
午前2時、フレマル上空8000m
俺「異常無しです。ハインリーケ大尉」
ハインリーケ「そうか...」
ハインリーケ「...」ジーッ
俺(この人絶対ギャグとか通じないし...普通に話してみるか)
1時間ごとに異常無しと言うだけではあまりにも面白くない。ここは何か話すべきだろう
俺「んー...大尉はどうやってハイデマリーと知り合ったんですか?」
ハインリーケ「それはだな....あの日は雪の降る寒い夜だった...
俺(あれ?マズイのを引き当てちゃったかな...)
2時間後
ハインリーケ「...だから、わらわはハイデマリーを支えてあげようと思ったのだ」
俺「ウトウト...そ、そうだったんですか」
ハインリーケ「そなたはどうやって知り合ったのだ?」
俺「知り合ったのは・・・
俺は向こうの世界の事と、ハイデマリーと一緒に戦うようになるまでの事を簡潔に話した
ハインリーケ「元の世界に未練は無いのか?」
俺「どうせどこかの大学に行ってどこかの会社に勤める未来なら、こっちの方がやりがいがありますよ」
ハインリーケ「ふむ...」
そしてまた続く沈黙。次に口を開いたのはハインリーケ大尉だった
ハインリーケ「そなたは・・・ハイデマリーの事をどう思っているのだ?」
俺「どう、ですか・・・」
―IRSTに反応。パターン解析...敵ネウロイと判定―
俺「彼女の事は・・・好きですよ」
ハインリーケ「い、今何て...
俺「あ、因みにlikeじゃなくてloveの方です」
ハインリーケ「...」
俺「でも・・・そんな事言えませんよ」
ハインリーケ「・・・どうしてだ?」
―良い実験台だな・・・始めようじゃないか―
俺「あの子って優しいじゃないですか・・・だから俺が好きと言ったら応じてくれると思うんです」
俺「でもそれって・・・押しつけみたいで嫌なんです。それに...
俺「この今の...仲の良い友達という...状態が好きなんです」
ハイデマリーが俺に好意を持っているのは分かっている。だからこそ、それを使って親密になるのは嫌だ
ハインリーケ「・・・もし、ハイデマリーがそなたに告白したらどうするのだ?」
俺「それは応じますよ。あの子が俺を必要としているならね」
―測距レーザー照射...敵ネウロイとの距離80km。相対速度は+200m/s―
ハインリーケ「まったく...そなたは一つだけ忘れておる」
俺「?」
ハインリーケ「ハイデマリーはそなたが思うほど弱くない。だがハイデマリーは...そなたと同じく進める事に関しては上手くないのだ」
ハインリーケ「...そなたと同じ境遇にあるとは思わぬか?」
―追尾レーザー照射...ロックオン完了。大気とのズレを修正...完了―
俺「そう...そうなのかも知れません」
今、俺とハイデマリーは『どっちが先に言い出すか』というチキンレースをやっていると自分でも分かってはいる
俺「踏み出しても大丈夫でしょうか?」
―メインレーザー、魔力チャージ開始...波長は3.8μm、出力調整完了―
ハインリーケ「そなたはハイデマリーが自分を好いているのに気付いていながらそんな事を言うのか?」
俺「・・・慎重に進めたいんです」
―メインレーザー照射...敵装甲温度800℃...1000℃...敵船体、融解開始―
ハインリーケ「安心しろ。ハイデマリーはお前をちゃんと受け入れてくれるはずだ」
俺「...ご指摘、感謝します」
―敵船体、完全に崩壊。レーザー照射終了―
ハインリーケ「そろそろ夜明けだ・・・私は元の基地に戻る。ハイデマリーによろしく言っておいてくれ」
俺「ええ、色々話すついでに言っておきますよ」
ハインリーケ「それでは・・・また会おう!」
日の出の中へと飛び込んでいくように遠ざかる大尉の機体。すぐにその姿は小さくなり見えなくなった
俺「IRSTに反応無し。敵撃墜を確認」
俺「・・・今日は始めるには良い日なのかも知れませんね」
機体を反転、サン・トロンに針路を向ける
俺「ミッション完了。RTB」
1945年5月、
ガリア、マルセイユ沖合、上空11000m
ハイデマリー「敵は...あの辺りです」
俺の横を飛ぶハイデマリー。彼女が俺の右手を支えてとある方向を指し示す
俺「レーザー照射・・・目標探知完了」
俺「目標高度33300m、距離400km。誤差修正完了」
俺「出力最大までチャージ完了。タイミングをお願いします」
ハイデマリー「今サーニャさんとエイラさんが上がっているわ・・・」
ハイデマリー「エイラさんのブースター停止...今です!」
俺「照射開始...」
ハイデマリー「・・・撃破成功です!」
俺「・・・照射終了。上手くいったようですね」
ハイデマリー「はい...あっ///」
彼女をそのまま引き寄せ、背中から抱きしめる
俺「良いですよねぇ・・・あの二人はもっと高い所まで行ってるんですから」
ハイデマリー「私は...俺さんと一緒なら...どこでも良いですよ///」
俺「・・・実は言ってない事があるんだ」
ハイデマリー「俺さん?」
俺「・・・二人分の休暇貰ったんだ。ロマーニャの501で2カ月ほど休む事になったんだよ」
ハイデマリー「2か月分ですか!?」
俺「うん。昨日本部に行って『ハイデマリーとイチャイチャしたいんで休ませろゴルァ』って言ったらOK貰った」
俺「一応表向きは『501への応援』って事になってる。多分サーニャ中尉と交代で夜間哨戒をする事になるかもね」
ハイデマリー「その間のカールスラントの夜間哨戒は...
俺「ハインリーケがやってくれるから大丈夫大丈夫」
実際こんなに上手くいくとは思ってなかった。多分裏で何かが起きているのかもしれない
だがハイデマリーと楽しめるのなら何も問題は無い。今はそれだけで十分だ
俺「そうそう・・・ハイデマリーは海で泳いだ事ある?」
ハイデマリー「いいえ、海に行った事はあっても泳いだ事は...
雲の上、真っ青な空を飛び続ける二人の影はロマーニャへと飛んでいった・・・
最終更新:2013年02月07日 13:50