『1944年9月4日 オレ軍曹の手記』

配属から3日が経つ。

今日は模擬戦を行った。カードはオレと坂本(ミス・ブシドーと呼んだら傍のメガネにしこたま怒られた)。

結果は惨敗、――もちろん俺のな。

悔しいが、付け焼刃の空戦技術じゃ当然か。

オッサンの麾下にあるアグレッサー部隊―もっとも、コイツらは通常の航空機だったが―とはワケが違う。

シールドは失って久しいから、ケツの取り合いになると途端にボロが出る。


今後は、空戦技術も身に付けないといかんだろう。 

大型ならともかく、小型のネウロイ相手じゃ、今の俺はカモもいいところだ。



ところで、ここの隊長が「ウィッチが軍の中核を成す事に固執する、ウィッチ至上主義者」ってのは本当かね?

とてもじゃないがそんな風には見えなかったが……。

あれか、女がよく持つ裏の顔って奴か? 確かに、時折思いつめたような表情を見せる時もあるが……。


まあいいや、疲れたしもう寝る。


『1944年9月6日 ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐の手記』

今日でオレさんが着任して5日になる。皆とも、徐々に打ち解け始めてきている。

特にルッキーニさんは彼の肩車が気に入ったようで、よくせがんでいるのを見かけるし、

当のオレさんは「負荷にちょうどいい」と言って、肩車をしたままランニングさえこなしている。

美緒は彼と訓練を共にすることも多いそうだが、彼女曰く「かなりの手練」らしい。


が、大柄な事で口調もやや乱暴というのもあって、リネットさんを含めた一部の人達はまだ苦手としているようだ。

しかし、見た目通りに全くの粗野な人物というわけでもなく、ある程度の気配りもあるようだ。

……一昨日の訓練後辺りからだろうか? 書類仕事をしている私に、よく紅茶を差し入れてくれる。

オリジナルのブレンドティーらしいが、そんな一面があるとは少し意外だった。



ただ、帰り際に「あんま無理すんなよ」等と言って、軽く頭を撫でて行くのは頂けない。

オレさんの年齢は19で私は18、そうそう子供扱いされる程の差ではないと思うが……。

無論、注意はしたが懲りる様子もなく続けるので、今ではほぼ黙認状態。

隊長の頭を隊員が撫でるなど、トゥルーデが見たら激怒する光景だろう。


それにしても、男性に頭を撫でられるなんて何年振りだろうか。

彼の大きな手は、感じこそ違えど『彼』を思い起こさせるのには十分過ぎた。

それからというもの、彼を少なからず意識してしまう。


……私は、『彼』の面影を彼に重ねているのだろうか。

それとも、彼女に似た危うげな雰囲気がそうさせているのか。

彼に抱いている感情が何なのかすら、自分でもよく分からない。



だが、もう失うのは沢山だ。

この先、私にとっての彼が『彼』のような存在になるのかは分からない。

それでも、また失う悲しみを得るくらいならば、いっそ――。




『1944年9月8日 オレ軍曹の手記』

今日で配属から1週間。

そろそろ次の襲撃がある筈だが、今日ではなかったようだ。

んで、いつも通りに訓練と装備の点検。

坂本は相変わらず槍相手だってのに強烈な打ち込みをしてくるし、チビッ子は肩車をせがんでくる。

肩車中に全力で走ってビビらせようともしたが、逆に楽しんでやがった。


それと、リベリオンの大尉はどこぞの堅物と違ってフランクでいい感じだ。

機械いじりも得意みたいだし、今度ストライカーでも見てもらうとするかね。


んで、後はいつものように執務室へ差し入れに。

が、昨日に引き続き断られた。

……流石に上官撫でるのは不味かったか? 

せめて部屋に置くだけでも許してもらえないか頼んでも、「結構です」の一点張り。


やっぱ怪しまれたか。少し反省だな。

だとすれば、しつこく干渉するもの逆効果だ。暫くは他の隊員から探りを入れるとしよう。


『1944年9月9日 オレ軍曹の手記』

ダンケルク撤退戦、そしてカレー。

どうやら、オレはあの戦場から逃れる事は叶わないようだ。



それにしても、「死んだ想い人と重ねて見てるのかもしれない」ってのも変な話だ。

『想い人を無事にブリタニアまで撤退させる』という目的を果たして死ねた人間。

『撤退が完了するまでカレーを死守する』という任務を果たせず、おめおめと生き延びた人間。

伝え聞くその想い人の雰囲気とも、俺は全く以て正反対。

――こんなクソッタレの一体どこに、かつての想い人を見たっていうんだ?

おまけに想い人を間接的に殺したクソッタレは今ものうのうと生きていて、お偉いさんのパシリときたもんだ。



そんな人間が人に想われるなんて、許される筈がない。


任務を果たせず、故郷も戦友も失い、戦う目的すら無くした兵士。




……本当、我ながら反吐が出る。




シャーリーのオレのストライカーに関するメモ』

  • やたらデカイ。2.5mくらい。

  • バイクなのは見た目だけで中身マジキチ。

  • カウル外してみたら積んでる魔導エンジンが星型7気筒。過給器の後付も可能だった。

  • つーか曲がらない。仮にも航空機のくせにマジで曲がらない。

  • 飛行用タイヤ?から普通のバイク用のごんぶとタイヤに交換できた。

  • 物は試しでクラッチ繋いだらタイヤのブロックが一瞬で削れて無くなった。

  • 重すぎてウイリーすらしない。

[総評]

アホか







今度はハイグリップタイヤ履かせてみよう。
最終更新:2013年02月07日 14:11