前回までのあらすじ!
ペロペロ大好きな変態教授・私の、501でのアナーキーな日々は続いていく…。
何だかんだあってジェットストライカー事件も終結。シャーリーとバルクホルンはアッチな仲だと勘違いされてしまうのだった!
ゲルト『んぁっ…! こ、このぉ…っ! ゆ、指を動かすな! 馬鹿者が……っ!』
シャーリー『へ、変な声出すなって! ちくしょう! なんでこんな押しにくいとこに……!』

私「…………ごめん。お邪魔したみたいね」




――夏! これほど我々変態を昂ぶらせる言葉が他にあるだろうか!?

――薄着! 水着! 透ける下着! 
いやんエッチなハプニング!

――日焼けしたあの子との甘い思い出……は無いにしても……

――とにかく! 夏という奴には計り知れない魔力がある!
我々を掴んで離さないほどのだ!

――そう、そしてそれは……この変態とて例外ではなかった!!




――501基地、私自室・研究室――

モァァァッ…

父「あ……暑い……くそぅ……」グタアッ

私「…………よし、思考網は正常。冷却装置も異常なし……!」カチャカチャ

父「お……おい私……よくこんな暑い中で機械いじりなぞ出来るな……」

私「私には舌以外に神経なんて通ってないわよ」

シャーリー「……冗談に聞こえない所が恐ろしいな……」グデエッ

私「なによー、助手なんだから手伝ってくれるのは当然でしょー? 団扇も貸してあげてるじゃないの」

シャーリー「両手塞いで作業させてるのはどこの誰だよ!」

父「お……大声立てんでくれ……余計に……」グダァァァッ

シャーリー「ほら! お父さんがまるでよく道路に転がって死んでるヒキガエルみたいに……!」

父「こ、怖いこと言うな!!」

私「轢かれて死んで、轢きガエル~ってか」カラカラ

シャーリー「うわあああ腹立つ! なあ! せめて窓開けよう!」

私「ダメよ! AIはちょっとのホコリでも動作不良起こすんだから!」

シャーリー「じゃあ、何か涼しくなるような機械は無いのかよ! ほら、風車が回って風が来るようなさ……」

私「んなの無いわよ。だって私、別に暑くないもの」

父「く……くそっ……もう限界だ!」ダッ!!

私「あっ! お父さん! ダメよ! お父さんには色々とまだ実験だ…手伝ってもらわなきゃ!」

父「もう騙されんぞ! 昨日だってそんな事言って液体窒素を掛けただろうが! 
とにかく、じゃあな! 涼しくなったら帰ってくるぞ!」ダダダッ!

シャーリー「お、お父さん! 私、いいのか?」

私「……ま、そのうち帰ってくるわよ。あ、じゃシャーリー、そこのタンク取って」

シャーリー「あ、ああ……ん?」

<LQ-N2>(液体窒素)

シャーリー「……なぁ、さっきから聞きたかったんだけど……一体何を作ってるんだ?
……ずいぶん入れるよな、液体窒素……」

私「…兵器転用も出来そうな物よ」ガチッ

シャーリー「……なんか一気に涼しくなった気がする」ゾクッ



――中庭――

ミーンミンミンミィィ―――ン!!

父「く……くそっ…どこも暑すぎる……まだ5月だろうが……」

父「どこか暗い所で涼もうと思ったのに……なんでいつの間にか外に……」

父「……ああ…セミの声が恨めしい……何でだ、何でロマーニャに蝉が……」

ジーワジーワジィィ――ワ!!

父「……も……もう駄目だ……い、意識が……」

バタッ…



――数十分後、食堂――

サーニャ「え、エイラ……暑い……」クタッ

エイラ「わっ、わっ! さ、サーニャ! 大丈夫カ!?」

宮藤「ほんと……5月にしては暑いよね」

サーニャ「よ、芳佳ちゃん、平気なの……?」

宮藤「え? あ、うん。扶桑ってだいたいこんな感じだから。それにここは開けてるから、風も通りやすいし……」

エイラ「お前はどうか知らないけど……私やサーニャは北国出身だからナー。暑いのはやっぱ嫌ダナ」

宮藤「確かに……なにか冷たい物とか食べたいですよね……」

私「そんなかわいこちゃん達に朗報!」バァーン!

宮藤「わ、私さん!?」ビクッ

エイラ「い、いつからいやがった!?」

シャーリー「さっきから出るタイミング計ってたぞ」

私「あっ言うな恥ずかしい」

エイラ「……で、何の用ダ? まーた変なモン作ったのカ?」

私「変なモンとか言わないでよーエイラちゃん。いやホント、決して変なモンを口に入れさせようとか、そういうんじゃないからね」

エイラ「逃げるぞサーニャ!」ダッ

私「ああっ! 待って! 話! 話だけでも! ね!」

サーニャ「そうよ、エイラ……聞いてあげましょう? 私さんが可哀想よ……」

私「うわあああんサーニャちゃあああん! サーニャちゃんだけよ、私にナチュラルに優しくしてくれるのは!」ギューッ!

サーニャ「! えっ、わ、私さ……!」カァァッ

エイラ「ああああ――――っ!! さ、サーニャああああああ!!
この変態ヤロー! サーニャから離れろおおおお!!」

私(ひゃほおおおお! か、髪が! すっげ! すっげフワフワ!! 何これ!? 天使じゃね!?
やべえ! 北欧美少女やべえ!! あああ是非ともペロペロ――)

ガツンッ!!!

私「あだっ!」

シャーリー「…話はどうした話は」

私「あ、忘れてた」

エイラ「さ、サーニャ! 無事カ!? もう大丈夫ダカンナ!」

サーニャ「……? う、うん……」

宮藤「? あれ、私さん。そっちの機械は……?」

私「ああ、コレ? そうそう、忘れるところだったわ。そもそもコレの発表に来たのよ」

シャーリー「完璧に忘れてたろうが」

私「やかましい!」

エイラ「……? 何ダ、穴が沢山開いてるナ」

サーニャ「上の方に受け口みたいなのがあるね……」

宮藤「私さん、なんなんですか? これ」

私「……フッフッフ、よくぞ聞いてくれました! これこそ! 天才・私教授の技術の集大成!
暑い日に冷たいアイスを食べたい、でも外に買いに行くのは嫌だ……そんな需要を瞬く間に満たす、世紀の大発明!
AI搭載型全自動氷菓製造機・名付けて……『ホワイトアルバム』!!」

宮藤「ほ、ほわいと……」

エイラ「アルバム……?」

サーニャ「か、かっこいい……」

エイラ「!?」

シャーリー「私も手伝ったけど……ホントか? ホントにこんなのでアイスが……」

私「やれやれ……こうも疑り深いと哀しいわねー。
百聞は一見に如かず。芳佳ちゃん、何か適当なジュースとかない?」

宮藤「え? ジュースですか? えーと……あ、ありました! ブドウジュースですけど……」

私「グウッド! それでいいわ! ……さて、まずはジュースを上の入れ口から入れます」トポトポ

エイラ「おー…入ってく……」

私「内部貯蔵タンクは4つあるから、最大4つのジュースをストックできるわけね。
……で、ジュースを入れ終わったら、穴に棒を入れて、あとはこのボタンを……」

ポチッ!
…ヴィィィィィィィィィィン…

≪……『根掘り葉掘り聞きまわる』のよォ~……≫

宮藤「わっ! しゃ、しゃべった!」

私「あとはAIが適当に喋りながらアイスを作ってくれるわ。およそ20秒弱ね」

≪『根掘り』は根っこが地面に埋まってるからスゲーわかる……≫キュイイイイン

≪だが『葉掘り』ってのはどういう事だァ――ッ!? 葉っぱが掘れるかっつーのよ!≫ガッシャン! ガッシャン!

≪ナメやがってこの言葉ァ超イラつくぜぇ~~~ッ!!≫ギュウウウン!

宮藤「…………」

エイラ「…………」

サーニャ「…………確かに」

エイラ「!!?」

シャーリー「……誰だよこの声」

私「通りすがりの眼鏡のお兄さん。アドリブでいろいろ喋ってもらったわ」

ズギュゥゥゥン!!

私「あ、出来たみたいね」

シャーリー「え!? 今の合図!?」

私「ほーら出来たわよー。できたてホヤホヤのブドウ味アイスキャンデー!」

エイラ「へえ、外見は割とマトモなんダナ」(……ホヤホヤ?)

私「でしょ? さ、遠慮せずにどうぞ」

宮藤「え、いいんですか? わーい! ありがとうございます! いただきますね!」パクッ

サーニャ「……あ、それじゃ私も……いただきます」パクッ

エイラ「サーニャ気をつけろヨ、私のことだから何かヤバい薬とか入れて、サーニャにあんな事やこんな事を……」

私「へえ、例えば?」

エイラ「そりゃー…動けなくなったサーニャを無理矢理にとか、サーニャを眠らせてその隙にとか……ってオイ! 何言わせんダ!」

私「ほーお、エイラちゃんはそーゆーのが好みだと」

エイラ「なっ! ち、違うゾ! 絶対違うからナー!」

私「いいのよ、人は誰しも特殊な性癖を心に秘めてるもの。何も恥ずかしい事なんて……」

エイラ「うわああああ誤解だああああああ!! な、なぁサーニャぁ! 頼む信じてくれ!」

サーニャ「え? あ、うん……」(……何を?)

宮藤「……! お、おいしい! すごくおいしいですよ、これ!」ペロペロ

サーニャ「うん……おいしい……」チュパチュパ

私「そうでしょ!? そうでしょ!?」(おおお……コレよ……コレが見たかったのよ……! 
一心不乱にアイスにしゃぶりつくあどけない唇! 冷たくて少しぎこちなく動く舌! そしてアイスを咥えるあの恍惚とした表情……!
全てはこのため……この瞬間のために…………作ってよかったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)

シャーリー「……なるほど。それであんなに必死に……」

私「……あ、やっぱ分かる?」

シャーリー「……お前が何か作る理由なんて、それぐらいしか考えられないからな」

私「『ペロペロするのも楽しいけれど、誰かがやるのも見てみたい』……今回のコンセプトよ」

シャーリー「……まあ、いいか。涼しいし。……それに、楽しいのはお前だけじゃないみたいだぞ? 何だかんだ言って」

私「へ?」


エイラ「おいしいナー、サーニャ」(ああ……サーニャぁ…アイス食べるサーニャも可愛いナァ……)デレーッ

サーニャ「うん、エイラ」チュパッ

エイラ「よく噛んで食べるんだゾー」(サーニャぁ…このままずっと眺めてたいなぁ……サーニャサーニャサーニャぁ……)デレレーッ

私「……あれ?」

シャーリー「……ああ」

私「……確かに楽しそうね」(ああ……混ざりたい……でもダメね、あれは眺めて楽しむべきものよ……)

エイラ「サーニャ、まだ暑いカ? 私の食べてもいいんだゾ?」(サーニャ見てたら暑さなんて…!)

サーニャ「大丈夫よ。……ありがと、エイラ」

エイラ「!! あ、ああ……」(ひゃっほおおおお!! サーニャに! サーニャにお礼言われちゃった! ありがとって! ありがとって!
サーニャぁぁぁ―――愛してるぅ―――――――!!!)デレルンルーン!

私「隠してるつもりなのかしらね……全部顔に出てるわよ」フフッ

シャーリー「それでも気付いてもらえないあたり、相当だよな」

私「……どうかしら? 意外と気付かないフリなのかもよ?」

シャーリー「?」

私「……で、どうかしら、味の方は?」

宮藤「はい! すっごくおいしいですよ!」

私「それじゃあ、これが普通に店で売られてても買うぐらい?」

宮藤「もちろんです! 普通のアイスよりもずっとおいしいですよ、これ!」

私「そう……そうよね、そりゃあ……」ククッ

シャーリー「まーた何か企んでやがるな……」

私「さーて何のことかしらー? あ、そうだ、お父さんを呼んでこないと……」

宮藤「あ、私もそろそろ朝ごはんの支度しなきゃ!」



――医務室――

父「……う~ん……お…お前にはまだ早……はっ!!」ガバッ!

父「……? こ、ここは……」

アレッシア「あ、よかった……お目覚めみたいね」

父「? えーと、あなたは確か……」

アレッシア「アレッシア・コルチといいます。ここでドクターとして勤めていますわ。
ビックリしましたよ。たまたま外に出てみたら、あなたが倒れてたんですから……」

父「それじゃあ、あなたがここに運んで……?」

アレッシア「ええ。軽度の熱中症です。とりあえず、全身を冷却しておきましたわ。……それにしても……」

父「? どうしました?」

アレッシア「あ、いえ、本当に人間そっくりに喋るんだな、って……」

父「……そりゃあ、こんなナリですけどね、心だけは人間のつもりですよ」

アレッシア「あ、すみません……そんなつもりじゃ……」

父「あ、いえ、こちらこそ……ありがとうございました。わざわざ運んでいただいて」

アレッシア「今日は特に暑いですから、できるだけ涼しい所にいるようにしてくださいね」

父「ありがとうございます。……しかし、お恥ずかしい限りだ。ロボットが熱中症になるなど……」

アレッシア「あら? もしかしたら、それだけ本物に近いってことじゃありません?」

父「! え、あ、ああ……そ、そうなんですかね……ハハハ」

アレッシア「ふふ……」

父(……優しい人だな……)

ダッダッダッダッ…
バタ――ン!!

私「お父さぁーん! 見つけたわよ!!」

父「げっ!」

アレッシア「あら、私さん。おはようございます」

私「おはようございます、アレッシアさん。今日も一段とお美しくいらっしゃる……」キリッ

アレッシア「はいはい。そんな上辺だけじゃあ引っ掛かってあげませんよ」

私「ぐっ……手強い……」

父「……で、何の用だ」

私「あ、そうそう。着いて来て。お出かけよ、お出かけ!」

父「へ?」

私「お父さんを探してる途中に聞いたんだけど、物資が色々と少なくなってるのよ。で、今日ローマに買い物に行くらしいんだけど、
私達もちょっとローマに用があるから、一緒に付いていくことにしたわ。……じゃ、そういうわけで、行きましょうか」

父「お、おい! 私! 待て! おい! いくらなんでも…!」ズルズル

私「お父さんが迷惑かけたみたいね。ごめんなさい」

アレッシア「いえいえ。それじゃあお父さん、お大事にね」

父「あ、アレッシアさぁ――ん!!」ズルズル…



――廊下――

父「さすがに急過ぎるだろう! 大体何をしにわざわざローマまで……」

私「…………それは行くまで秘密」

父「……俺がいかなきゃならんような事なのか?」

私「もちろん。お父さんにはバンバン働いてもらうわよ」

父「……働く? いったい何を……」

私「ま、そんな難しいことじゃないわ。……あら、それとも…もうちょっとアレッシアさんといたかった?」

父「なっ! お、大人をからかうもんじゃない!」

私「……そのビジュアルで言われてもね。イマイチ説得力が……」

父「…全く! エレンの奴もどうしてこんな子犬型に…! どうせならもっと威厳のある土佐犬型とかが……」

私「……それだったら、アレッシアさん、助けてくれたかしらね」

父「! ……それもそうか」

私「あ! ほらほらやっぱり! ヒューヒュー! よかったじゃない柴犬型で!」

父「だ、だから違う! 違うからな!」



――玄関――

宮藤「あ、私さーん。お父さんはいらっしゃいましたか?」

私「ええ。熱中症だって。全く、感覚器官が優秀すぎるってのも考えものよね」

ルッキーニ「やっほー! 私ー! おとうさーん!」

私「ハーイ、ルッキーニちゃーん。グッモーニンのついでにペロペ――」
ボカッ!!

私「あだっ! ……最近ちょっと過激すぎない?」

シャーリー「全く……ちょっと目を離すとこれだ…」ハァ

父「…? このトラックは? 大尉の私物か?」

シャーリー「ハハハ、こんなトラックが私のだったら楽しいだろうな。基地のだよ。今日はこれで、ローマに直行さ」

私「シャーリー、あんたが運転すんの? なんか危なっかしいわねー」

シャーリー「任せろって。きちんと"安全運転"で行くさ」

ルッキーニ「ね、ね! 早く! 早くいこ、シャーリー!」

シャーリー「分かった分かった。よーし、乗ってくれ。行くぞー」

私「へえ、荷台にね……なんかの映画みたいね」ドサッ

宮藤「? 私さん、その箱は?」

私「……ま、ちょっとした荷物よ」

ルッキーニ「あ、そーだ、私! あたしもアイスほしかったー!」

私「あーごめんごめん。基地に帰ったらね」

父「アイス?」

宮藤「すごいんですよー私さん! アイスがあっという間にできる機械を作ったんです!」

父「……なるほど、液体窒素はそこに使ったか」

私「あのシステム、色々と応用が効きそうね……聞いた話なんだけど、ある学会の発表じゃ、超低温でのネウロイの再生速度は著しく遅くなるらしいわ」

シャーリー「へーえ、やっぱ水とか氷は苦手なんだな、あいつら」

私「そうだ、お父さん、よければまた実験――」

父「断る!」

シャーリー「ハハハ、よーし、じゃあ出発進行!」

ブロロロロ…



――山道――

私「どこが"安全運転"よぉぉぉ――――――――――!!!?」

ブルゥンブオンブオン!! ドギュウゥ―――ン!!!
ガガガッ!! ドガガガガガッ!!!

宮藤「はわ、はわわわわわわ」ガクガク

ルッキーニ「やっほおおお! いっけえ、シャーリー!!」

シャーリー「おおともよ――――!!!」ギュアン!

ドガガガガドガガガ!! ブルォォ――――ン!!

宮藤「ひゃああああああ! し、シャーリーさはわわわわわわ」ガクガクガク

私「ど、ドリフトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

シャーリー(行ける…! 行ける! 今なら風に……!)

シャーリー「それええっ! もう一丁!!」ギュオオオオン!!

父「ぬぐあああああああっ!!??」ドガッ! バギョッ! ポーン!!

宮藤「ああ! お、お父さ―――ん!! し、シャーリーさぁん! お父さんがお、落ち……ひゃああっ!」

ルッキーニ「いえええええいっ!! すごいよ、シャーリー!!」

私(ああ……走馬灯が……おかあさーん……)



――数分後、ローマ市内――

ブロロロ…キキッ!

シャーリー「よーし、着いたぞー」

宮藤「…………」ゲソッ

私「…………」グデッ

ルッキーニ「あー楽しかった!」

宮藤「り、リーネちゃん……どうして教えて……」

私「……なんか一瞬川が見えたわ……向こう岸にお母さんが……」

シャーリー「あっはは! まあ、すぐに慣れるさ」

私「スピード狂は空だけにして……あれ? そう言えばお父さんは?」

宮藤「……あっ! そ、そう言えばさっきのドリフトでトラックから……!」

父「……い……いる…ぞ……」ボロッ

私「あ、いた」

ルッキーニ「わっ! ど、どうしたのお父さん! ボロボロだよ」

父「…あ……あの後坂を転がり落ちてな……い…意外と早く着けた………
……もう嫌だトラック嫌だ外出嫌だ」ブルブル

私「……思考網系に新要素・トラウマか……AIって凄いわね」

シャーリー「帰りは落ちないように紐でくくり付けといたらどうだ?」

私「あ、いいわねそれ」

父「やめろ! それじゃムチウチになるだろうが!」ビクッ


シャーリー「……じゃ、私達は買い物に行くけど……私はどうするんだ?」

私「ああ、私は別行動させてもらうわよ。帰りの時間になったら戻るから」

宮藤「え、一緒に買い物しないんですか?」

私「……私もそうしたいのは山々なんだけど……ちょっとばかし用があるのよ。ゴメンなさいね」

ルッキーニ「そっかー……それじゃね、私! あ、そうだ! 私にも何かおみやげ買ってってあげる!」

私「…ふふ、ありがとう、ルッキーニちゃん。そうね…じゃあ、文房具とか」
(ああ……優しいなぁルッキーニちゃんは……人間、この純粋さを失ったらダメよね……どっかのスピード狂みたく)

ルッキーニ「文房具? ペンとか?」

私「ええ。あったらでいいんだけど」

シャーリー「へえ、珍しいな。私が何か物を欲しがるなんて」

私「……ま、気まぐれよ、気まぐれ」

シャーリー「ふーん……分かった。じゃあな。遅れるなよー」

私「分かってるわよ。……あ、じゃあちょっとそこの箱を……」

シャーリー「……? その箱は?」

私「よいしょっと……ま、ちょっとした荷物よ。あ、お父さん、これ背負ってくれない?」ドサッ

父「うぐおおおっ!! わ、私! お、重……死……」ガクガク

私「ロボットでしょー? 死にゃあしないわよ。はい、歩いた歩いた」

父「く…くそぉ……昔は、昔はいい子だったのに……」ガクッガクッ

シャーリー(……大変だなぁ、父親って……)



――数分後、ローマ市中央広場――

私「……よし、この辺でいいかしら。もう下ろしてもいいわよ、お父さん」

父「…………」ピクッピクッ

私「あー……やっぱり力仕事は無理があったか……」

父「そ……そう思っとるなら……最初から……」ドサッ

私「あ、ちょっと! もう少し丁寧に下ろしてよねー」

父「くそぅ……この身が恨めしい…………」

私(…やっぱりシャーリー連れてくればよかったかしら…でも中佐に言いふらすかもしれないし……)

父「……はぁ……はぁ……そ、それで……私……そろそろ…教えて…もらうぞ……
なんだって……今日……こんな所に……」ゼハー

私「……やっぱり、研究ってお金がかかるのよね」

父「……?」

私「私は金なんて無くてもペロペロだけで生きていけるけど……多くの部品屋、加工屋はそうじゃない。
何だかんだ言って、金がなきゃ何もできないのよね」

父「まあ、そりゃあそうだが……」

私「……ところで、世の中には需要と供給ってものがあるわ。例えば……そう、こんな暑い日には……
みんなが冷たーいアイスを食べたくて仕方が無いでしょうね。これが需要。
……で、私にはデリシャスなアイスをいくらでも作る方法がある。……これが供給って奴よ」

父「!! わ、私! お前まさか……!」

私「幸い今日は休日! 財布の紐の緩んだカップルだの家族連れだのがウジャウジャいるわ!
そんな幸せな人たちから、アイス一本400円ぐらいでぼったくったって、誰も文句は言わないでしょーよ!
ただでさえ暑さで浮かれてるんだしね!」

父「じゃ、お前……最初から金儲けの為に来たのか!」

私「……研究費の回収よ。人聞きの悪い事言わないでちょうだい。
この『ホワイトアルバム』さえあれば、さらなる戦力の増強だって夢じゃないわよ。
それでいて出費はジュースと電池だけ! しかもジュースを水で薄めたりすればさらに節約できる!
いやー、笑いが止まらないわね!」ヒャッホーウ!!

父(……母さん、許してくれ……俺の力不足だ……どこで……どこで教育を……)

私「さ、善は急げ! 早速売るとするわよ!」

父「……善なのか? これ……」
最終更新:2013年02月07日 14:23