前回までのあらすじ!
ペロペロ大好き変態教授・私の、501のダーティーな日々は続いていく……。
メカ虫を利用した悪徳商法に501の面々を巻きこみ、一攫千金を狙う私。温泉旅行を餌に、大会を開いて金をかき集めようとするが……。
私「……書いてあるでしょう? 『募金箱』」
ミーナ「ぐ、ぐぬぬ……」
父「……さて、いろいろあったが……大会当日だ」
父「なんと
シャーリーを除く全員のウィッチが参加。いやはや、そこまで温泉に行きたいとは……」
父「ちなみにシャーリーは、整備や調整を始めとした各種の仕事に駆り出され、参加する暇がなかったらしい」
父「本人は非常に出たがっていたようだが……ったく、出してあげればいいのに……」
父「……え、俺? 俺は虫は苦手でな……温泉にも入れないし。…あ、でもアレッシアさんにプレゼントするのもいいかもな……」
「――さん、お父さん!」
父「うぉうっ! ど、どうした! そんな大声で!」ビクッ
シャーリー「そっちがどうしたんだよ、さっきからずっと独り言言ってさ……」
父「え? あ、ああ、そうか。すまん、気を付ける」
シャーリー「もうすぐ試合始まるぞ? じゃ、実況よろしく頼んだよ」
(……マイクに向かう白柴犬……なんてシュールな……)
父「任せておけ。昔からレスリングの実況に憧れてたんだ。そっちも解説頼んだぞ」
シャーリー「ってもなぁ……あんまり詳しくないし。まぁ、適当に実況やったら盛り上がるんじゃないか?」
父「そうか? じゃ、頑張って盛り上げさせてもらおう。こう見えても、俺の音声のモデルは扶桑の名俳優なんだ」
シャーリー「へぇー。そりゃすごいな」
父「……お、そろそろだぞ。よし準備だ準備」
父「温泉旅行に……行きたいか――――――ッ!!!!」
「イェェェ―――――――イッ!!!」
父「そうかッ! 俺も行きたい、でも入れないッ! だから代わりに行ってくれッ!
『501・ウィッチだらけの大武道会・仁義無き戦い編』ッッ!! 開幕だァ―――――――!!!!」
「ワァァァァァ―――――――――――――ッ!!!!!!」ヒューヒュー パチパチ
シャーリー(すげえノリノリだ、このワン公)
父「さて! 試合は8組でのトーナメント戦! 頂点にまで上り詰めたウィッチだけが、温泉旅行への切符を手にする事が出来るッ!
試合のルールは簡単ッ! 手元に携えた、そのもはや虫とは名ばかりのゴツい兵器を、どちらかが戦闘不能になるまで戦わせる!
制限時間は10分! それ以内に決着がつかない場合は……つかない場合は……っと、どうするんだ?」
シャーリー「えっ!? さ、さぁ……は、判定とか?」
父「あ、そうなのか? えー、それじゃ、10分以内に決着がつかない場合は、審査員による判定で勝敗を決めまーす。
なお、勝った方は負けた方からパーツを一つ手に入れることができる! 要するに、勝てば勝つほど強くなるのだッ!」
ルッキーニ「……へーえ……」チラッ
ペリーヌ「……?」
父「えー、ではまず、プログラム1番、主催の私教授によるスピーチだ!」
コツッ、コツッ、コツッ…
私「えー……あーあー。フーッ。……よし、聞こえるわね。えーっと、今日は私の為に――あ、いや、えー、お互いのぺロぺ……じゃねーや、
た、互いの……えーと、ますますの金儲け――っとと! じゃなくて! ま、まあとにかく、その、頑張ってねー!」
シャーリー(……すっげえグダグダだ)
父「はい、もういいぞ。戻れ」
私「試合前の最終調整、パーツ追加など、何でもお任せ下さいね! 報酬は応相談でー!」
父「戻れっつっとるだろ! えーそれでは、気を取り直して第一回戦・第一試合。始めたいと思います。
申し遅れましたが、今回実況を務めさせていただくのは、ビター&マイルドなナイスミドル俺・お父さん。解説は、空気抵抗も何のその、ダイナマイトにかっ飛ばす、グラマラス・シャーリーでお送りします」
シャーリー「何だそのキャッチフレーズ?」
父「ああ、今考えた」
シャーリー「……もう少しなんとかならなかったのか」
父「えー、では第一回戦・第一試合! バルクホルン大尉VS宮藤&リーネ組!!」
ゲルト「……最初は宮藤とリーネか。……いくら妹と言えど、手加減はしないぞ?」
宮藤「えっ妹?」
父「まずは試合前の意気込みを両陣営にお聞きしたいと思います。どうですか、バルクホルン大尉」
ゲルト「ふっ……カールスラント軍人に、そして姉に、負けは許されない! 頂点に立つのはこの私だ!
待ってろよぉ、クリスぅぅぅぅ!!!!! お姉ちゃんが必ず温泉に連れて行ってやるからなぁ―――――――!!!!」
ワァァァァァ――――――ッ!!!
シャーリー「……砕けてきたなあ、バルクホルンも……」
父「成程、ありがとう。さて、対する宮藤&リーネ組は……」
リーネ「芳佳ちゃんと温泉に行くのはこの私です。今回は誰が相手だろうと手加減はしません。ね、芳佳ちゃん?」ゴゴゴゴゴ
宮藤「う、うん……」(……なんだろ、リーネちゃんの周りの景色が歪んで見える……)
父「互いに覇気十分、と言った所のようです。さて、では次に両陣営の機体紹介。バルクホルン側は……カナブンモデル! 機体名は『クリストファー』とあります! 武装は……5mm機関銃一門のみ! しかし装甲は軽量ながらも堅牢な作り、さらには機体側面、正面に衝角を合計3本備えている! 直接攻撃主体の機体のようです!」
ゲルト「小細工は好かない。カールスラント軍人たるもの、正面から正々堂々と、だ」
父「成程……それでは、次に宮藤&リーネ組の機体紹介。機体のモデルはクワガタ、それも扶桑に生息する大型のオオクワガタだ!
機体名は……えーと、『クワちゃん』。随分と可愛らしい名前ですね」
宮藤「え、えへへ……あんまりかっこいいの、思いつかなくって」
リーネ「……お父さん? 芳佳ちゃんを馬鹿にしてるんですか……?」ゴゴゴゴッ
父「!! い、いえ決してそんなつもりはッ! さ、さて! クワちゃんの武装紹介に移りましょうか! えー、まず背面に5mm機関銃が4門。前足にも2門。
さらに大アゴの根元には対装甲ライフルが1門! 重攻撃型の機体ですね」
リーネ「クワちゃんに死角はありませんよ」
父「……さて、両方の機体紹介も済んだ所で……いよいよゴングが鳴ろうとしている! 準備はいいか、3人とも!」
ゲルト「当然!」
リーネ「勿論です!」
宮藤「え!? あ、はい!」
父「グッド!! それでは、お互い悔いの残らぬよう! 試合……開始ィ!!」
カーンッ!!!!
ゲルト「先手必勝だ! やれクリストファー!!」
クリストファー≪――!!≫ドギュンッ!!
父「先手を取ったのはバルクホルン大尉! 棘付きの外装に身を包んだカナブン・クリストファーを単身突撃させる!」
宮藤「えっ! あっ、わっ! ど、どうしよ――」
リーネ「ふっ……まさしく、飛んで火にいる夏の虫、ですね。弾幕張って、クワちゃん!!」
宮藤「えっリーネちゃん?」
クワちゃん≪――――!!!≫ドギャギャギャギャギャ!!!
父「しかし宮藤&リーネ組の容赦ない5mm機関銃の嵐!! さしもの外骨格も形無しかクリストファー!?」
シャーリー「……ところで、なんでクリストファーなんだろうな」
私「さぁ? クリスだからじゃない?」
シャーリー「うおっ!! わ、私、いたのかよ……」
私「整備の方は整備兵達でも十分対応できるレベルだしね。暇だから見に来たのよ。あ、座っていい?」
シャーリー「あ、ああ。ほら、どうぞ」
私「あんがと」
ドギャギャギャギャギャギャ!!!!!
ゲルト「……ふ、こんなものでクリストファーが止まると思ったか! そのまま突っ込めええ!!」
クリストファー≪――――!!!!≫ドシュウウウウウウン!!!!
父「な、何と! 銃弾をものともせず、全く勢いを失わずになおも突っ込むクリストファー!! まさに重戦車! 大尉の魔法力と完璧に同調しているッ!」
シャーリー「? どういうことだ、私?」
私「AIって言っても、完全に科学のみで出来てるわけじゃない。エーテルAIの名の通り、内部の記録板を始めとした各構造は、魔法力を使用した技術によって形作られているわ。だから、AIに魔法力を流し込むことで、AIと繋がった各部分の出力を、魔法力に応じて変えることだってできるのよ」
シャーリー「……?」
私「……分かりやすく言えば、メカ虫に固有魔法を持たせる事だってできるってこと。
あのカナブンも、大尉の怪力の影響を受けたから、あんな高スピードの突進ができるわけね」
シャーリー「……そう考えるとさ、結構凄い発明だよな、あれ……ところでさ」
私「ん?」
シャーリー「いや……基地内だけでするんだったら、何もわざわざ実況なんて付けなくたっていいんじゃないか? 録音もしてるみたいだけど……」
私「……ハァ……分かってないわねー、シャーリー……」
シャーリー「……じゃどうするつもりなんだよ?」
私「……大会が終わったら、録音したテープと虫のサンプルを持って大企業に売り込み……」
シャーリー「……へ?」
私「大会の収益を元に大量生産に乗り出し、世界規模で販売を開始……」
シャーリー「えっ? ちょ、ちょっと! おい!」
私「501のウィッチ達も夢中! をキャッチフレーズに、大々的な販促キャンペーンを開催。ここでこのテープが生きてくるわけね……。
そして、全世界にメカ虫ブームを呼び起こす……」
シャーリー「えーっ……」
私「やがては私は独立! メカ虫のみならず全世界の重工業を一手に引き受ける『ぺロフェ・インダストリー』を創立する!
そしてその後は企業経営の傍らにAI研究を楽しんで、18人ぐらいの美人秘書に囲まれながらゆっくりと過ごす……!」
シャーリー「…………ハァ…」
私「完璧だわ……なんて完璧なシミュレーション! 待ち望んだ理想郷が、酒池肉林がそこにある!!」
シャーリー「……うん、うん。上手く行くといいな」
私「……何よ、その憐れむような目は……」
クリストファー≪――!!!!≫ドドドドドドド!!!
父「! だ、弾幕を…抜けた! 弾幕を抜けましたクリストファー! まっすぐクワちゃんに向かっていくッ!
このまま激突すれば、クワちゃん無事では済まないッ!!」
ゲルト「もらったぁぁぁぁ!!! そのまま突っ切れええ!!」
リーネ「……待っていましたよ、それを……」
クワちゃん≪――!!≫ザッ!!
ゲルト「! な、なっ……!!」
クリストファー≪!!!≫ドグシャァァッ!!!
父「か……かわしたッ! クリストファー渾身の一撃をッ! クワちゃん、華麗なサイドステップで回避しましたッ!」
クリストファー≪!!!≫ガシャッ! ガシャッ!!
ゲルト「ま、まずい! 早く! 早く体勢を……!」
シャーリー「おわー……すっかり地面にめり込んでるよ」
私「棘を付けたのが仇になったわね」
リーネ「…………クワちゃん?」
クワちゃん≪――!!≫ガシッ!!
父「体勢の崩れたクリストファーをすかさずその鋭利な大アゴで捕らえるクワちゃん! クリストファーもはや逃れられず!」
クリストファー≪――!!!≫ギギッ!! ギギッ!!
リーネ「……照準!!」
クワちゃん≪――――≫ピピピピピ…ガシャコン!!
ゲルト「!! く、くそ……な、何とか逃げ――」
リーネ「ファイア!!!」
クワちゃん≪――!!!!≫チャキッ!
ドギャァァァァン!!!!!!
クリストファー≪≫バギョボッ!!!
ゲルト「……ここまでか。……クリス……すまない……」
クリストファー≪≫プスッ…プスッ……
父「決着ゥゥ―――――――ッ!!! 勝者・宮藤&リーネ組ッッ!!!」
ワァァァ――――――ッ!!!!!!
リーネ「やったね、芳佳ちゃん!!」
宮藤「う、うん!」(正直私何もしてないけど)
ゲルト「…………クリス……」ズーン
宮藤「……あのー、バルクホルンさん」
ゲルト「…? なんだ、宮藤……」
宮藤「……クリスちゃん、そもそも入院してるんなら温泉行けないんじゃあ……」
ゲルト「……あっ」
クリストファー≪……≫ボロッ…
――数十分後――
シャーリー「……とまあ、そんなこんなで……」
ルッキーニ『それーっ! カブトスラーッシュ!!』
ペリーヌ『あんまりですわ! 開始5秒でKOなんて!』
ルッキーニ『へっへ~ん、じゃ、そのレールガンっていうの貰って行くよ!』
父「1回戦、そして準決勝第1試合が……」
ミーナ『え? 優勝したら私を……!?』
坂本『ああ。最近疲れているようだったからな』
ミーナ『……是非優勝してちょうだい、美緒! あ、すみません、棄権します!』
私「……無事に終了したわけだけど」
エーリカ『ゴキ這いよりー!』カササササッ
エイラ『ひゃぁぁぁぁぁぁ!!!』
エーリカ『ゴキ羽広げ飛びかかりー!!』ブゥゥゥン!! ピトッ!
サーニャ『』 バタッ
エイラ『さ、サーニャぁぁ!! わ、分かった! 降参するから! サーニャを、サーニャを!!』
シャーリー「……なんか、凄い事になってきたな」
リーネ『クワちゃん! 弾幕――』
ルッキーニ『遅いよっ! やっちゃえールッキーニスペシャル!! 撃てーっ!!』ドギャァァァァン!!!
宮藤『ああーっ! く、クワちゃぁぁん!!』
リーネ『……おのれぇっ……!!』ギリッ…
宮藤『!!?』
父「飛び道具飛びまくり、パーツ奪いまくり、欲望渦巻きまくり……世紀末だな、こりゃ」
私「ま、私はお金が入ればそれでいいんだけどね」
父「……そのうち天罰が下るぞ」
私「あら? 天が裁けるのは人だけよ」
シャーリー「はは、人を超えたとでも言うのかよ?」
私「あるいは、人にすらなれない人未満、かもね。……あ、少佐とエーリカちゃんの試合、もうすぐ終わりそうよ」
父「! っとと、実況忘れてた……!」
シャーリー「そう言えば、これに勝った方がルッキーニと決勝だっけ?」
私「ええ。いやー凄かったわね、さっきのリーネちゃんVSルッキーニちゃん。凄まじく一方的だったわ」
シャーリー「遠くからあれだけ撃たれちゃあなぁ……
おまけにルッキーニ、砲弾に多重シールドなんて張るし……」
私「まさに攻防一体。いやー、かなりAIの性能を引き出してるわよ。データの集め甲斐があるってモンね」
ガキッ!! ガキィィンッ!!
シャーリー「おっ、向こうも大詰めみたいだな……」
坂本「くっ……速い!」
エーリカ「やれぇーっ、クイーンハルトマン!」
クイーンハルトマン≪――!!≫ドギャギャギャギャ!!
坂本「まだだっ! 回りこめ、烈風丸弐号!!」
烈風丸弐号≪――!!≫ヒュバッ!!
父「ゴキ――失礼、クイーンハルトマンの容赦ない弾幕! 烈風丸弐号、何とか体勢を立て直すが――!?」
エーリカ「読めてるよっ! それっ!!」
クイーンハルトマン≪!!!≫ドシュドシュドシュ!!!
坂本「!! くっ、ミサイルだと!? かわせ!」
シャーリー「あれどうしたんだ?」
私「さっきエイラちゃん達の装備から持ってった奴よ」
エーリカ「要は近づけなきゃいいんだもんね。どんどんいくよっ!」
クイーンハルトマン≪!!≫ドシュウッ!! ドシュウッ!! ドシュウッ!!
ドガァァン!!! ドガァァン!!!
坂本「ふ、さっきからどこを狙っている! 私はここだぞ!」
父「飛び交うミサイル! 会場に広がりゆく爆煙で、私何も見えません! 一体どうなっているんだ試合は!」
エーリカ(……煙幕はもう十分だね。よーし……!)
エーリカ「……もちろん、そのカマキリだよ。……狙いは!」
坂本「!? し、しまった! 煙幕――ッ!」
エーリカ「ごめんね、少佐。トゥルーデ、最近働きづめだからさ……。温泉でも行って、ゆっくりしてもらいたいんだ。
……いっけえぇぇ!! 『シュトルム!!』」
クイーンハルトマン≪――!!!!!≫ドギュゥゥゥゥゥゥン!!!!!
父「!! け、煙が晴れたッ! 竜巻を纏い、烈風丸弐号に突進するクイーンハルトマン! まさに流星! 黒き流星だッ!!」
坂本「!! そこかっ! 迎え撃て烈風――」
エーリカ「もう遅いよっ! とどめだ少佐ぁぁ―――!!」
ドゴォォォッ……!!
烈風丸弐号≪≫パキッ…ピシッ…
坂本「……鎌を、折られたか……」
烈風丸弐号≪ビーッ! ビーッ! ビーッ!≫
父「試合終了―――――ッ!! 竜巻は烈風をも制したッ! 勝者、エーリカ・ハルトマンッ!!」
ワァァァ――――――――ッ!!
エーリカ「いぇぇーいっ!! やったねクイーンハルトマン!」
クイーンハルトマン≪――≫ミョミョミョーン! カサカサカサッ!
坂本「……よくやった、ハルトマン。私の負けだ。だが、次はこうは行かないぞ!
さぁ、決勝で思う存分戦って来い!」
エーリカ「わーいわーい!」ピョンピョン
坂本「聞かんかっ!!」
父「えー、これにて準決勝2試合全てが終了しました。決勝戦は、30分の休憩を挟んだ後に行われます。
それでは、お疲れ様でした。また30分後に」プツッ
私「……さて、と。仕事に戻ろうかしらね」
シャーリー「ああ、あの2人の整備か?」
私「どっちも本気で来るだろうしね。……売り甲斐があるわ、いやホント」ニターッ
シャーリー「この期に及んで……」ハァ
私「じゃ、行ってくるわ」
シャーリー「あんまり迷惑掛けんなよー?」
私「はいはい」スタスタスタ
父「……くくっ」
シャーリー「? どうしたんだよ、お父さん?」
父「いや……何と言うか、おかしくてな。親子みたいで……」
シャーリー「お、親子ぉ?」
父「危なっかしい娘を心配する母親……そんな風に見えてね」
シャーリー「……って、私が母親かよ」
父「案外、あいつも楽しんでるかも知れんぞ? エレンはあいつをほとんど叱らなかったからなぁ……」
シャーリー「……エレン?」
父「!! あ、ああ……いや、何でもない。忘れてくれ」
シャーリー(……? 誰だろ、私のお母さんの名前かな……)
「……ん、何だ、この袋」スッ
父「ん? ……お、それは……あいつのだな」
シャーリー「私の? あ、いっつも舐めてる飴の袋か。……しっかし、こんな不味いのよく食べられるよ。エイラの持ってたサルミアッキとかいう飴だって、ここまで酷くは……」
父「ん……そうだな。あ、シャーリー。よければこの袋、あいつに届けてやってくれないか」
シャーリー「え、ああ、いいけど。でもそんなに大事なのか? これ」
父「……ああ」
シャーリー「……? ふうん、分かった。じゃ、届けてくるよ」ガタッ
父「済まないな。頼んだぞ」
シャーリー「任せとけって。それじゃ……あ、アレッシアさんだ」
父「えっ!!?」ガタッ
アレッシア「あ、お父さーん」タッタッタッ
父「あっ! あ、あっあっアレッシアさ……!!」
アレッシア「お父さん、実況も上手いんですね。すごくかっこよかったですよ!」
父「え! そ、そんな……べ、別に私など……ハハ……」テレテレ
シャーリー(……あれが機械なんて、信じられないな)フフッ
――研究室前の廊下――
エーリカ『ふあっ……わ、私ぃ……そこは……ダメぇっ……』
私『水圧レーザー、ミサイル、5mm機関銃……おまけに二足歩行ユニットに、AIを限界まで強化。5分で済ますには……ここしかないわね』
エーリカ『そ、それは……分かってるけどさ……ひゃぁぁっ!!?』
私『ふふ……可愛い。もっと、可愛い声……聞かせて? ね?』
エーリカ『やぁん……っ……そんなとこ……吸っちゃ……んんっ!!』
シャーリー「…………」カァァァッ
ルッキーニ「あ! シャーリーだ! おーい、シャーリー!!」タッタッタッ
シャーリー「えっ!? あ、ああ、ルッキーニか……」
ルッキーニ「ね、ね! さっきの試合、見てくれた!?」
シャーリー「あ、ああ。凄かったなぁ、ルッキーニ! こう……バーン! って!」
ルッキーニ「でしょでしょ!? シャーリー、ぜったい温泉行こうね! ……あ、ところでさ、私知らない?」
シャーリー「!! あ、ああ……アイツなら今……」
(……ヤバい。今のアイツなら……ルッキーニに何をしでかすか……!)
ルッキーニ「? そこの部屋にいるの? おーい、私――」
シャーリー「わーっ!! す、ストップストップ! 待てルッキーニ――」
ガチャッ…
エーリカ「……」ポーッ
シャーリー「あっ……は、ハルトマン……」
エーリカ「…………」ポケーッ
ルッキーニ「? どしたの、ハルトマン?」
私「……ああ……堪能した……いやー、天使ね天使。今ならドロドロに溶けた鉄の中に入っても大丈夫な気がするわ。
じゃね、エーリカちゃん! また何かあったら、いつでも来てね?」
エーリカ「う、うん……そ、それじゃね、私!」タッタッタッ…
シャーリー「……私ぃ……」
私「……な、何よその目は。言っとくけどね、正当な対価よ、対価! きちんと双方の合意を得て行為に及んだから!」
シャーリー「ほとんど脅迫だろうが! ルッキーニにも同じ事やる気か!?」
ルッキーニ「? なになに、なんの遊び!?」
シャーリー「いや、遊びじゃ……」
私「そうよー、すっごく楽しくて、気持ちいい遊び。これをやらなきゃ大人になれないのよ?」
シャーリー「えげつない嘘を教えるなっ! そりゃある意味大人になるけどさ!」
ルッキーニ「ふーん……あ、ところで、私。さっき、ハルトマン何買ってったの?」
私「え、エーリカちゃん? ああ、結構色々買って行ったわよ。……ルッキーニちゃんの今の装備じゃあ、もしかしたら……」
ルッキーニ「!!? ま、負けちゃう!?」
私「あくまでも可能性だけど、ね。でも、かなりのパワーアップを施したわ。今のままじゃ、苦戦は必至ね」
ルッキーニ「あ、あたしも買う! 私、いっちばん強いパーツちょうだい! ルッキーニスペシャルは誰にも負けないんだから!」
私「オッケーオッケー。じゃ、早速だけど見積もりは……」
シャーリー「……現金では?」
私「……? なんであんたが聞くの? まあいいけど……えーと、5mm機関銃2門、追加装甲、対虫用ミサイル、姿勢制御を始めとしたAIの全面強化、装着型レーダードーム、それから二足歩行ユニット……しめて430000円ね」
私「虫の開発にも金が掛るのよ。……ま、嫌なら"体"で……ってね。指、手は30分。脚は20分。首筋から背中にかけてなら15分。胸ならなんと5分!!」
ルッキーニ「……分かった! 払うよ、わた――」
シャーリー「待て待て待てぇ――――――――っ!!!! わ、分かった! 430000円だな。立て替えるよ……」ハァ
ルッキーニ「え! い、いいの!? シャーリー!」
シャーリー「ルッキーニを危ない目に遭わせるわけにはいかないからな。……言っとくが、ちゃーんと復興に使うんだぞ!!」
私「ヒャホーウ!! 毎度ありー! でもよくそんな金あったわね?」
シャーリー「給料は貰うけど、エンジンの部品を買うぐらいで、あんまり遣ってなかったからな。……でも、これで貯金はほとんどパーだよ……」
私「よかったじゃない、有効な使い道が見つかって」
シャーリー「どこが有効なんだよどこが!!」
私「……さーて、早速チューンナップしますかね。ほら、ルッキーニちゃん、この太っ腹なお姉さんに一応お礼言っときなさい?」
ルッキーニ「うん! ありがと! シャーリー大好き! ぜったい温泉につれてってあげるからね!」
シャーリー「ああ……ありがとう」(よかった……ルッキーニの貞操は守られたんだ……)
私「……でも、舌の渇きはどうしようもないわね……。そうだルッキーニちゃん。半額にしてあげるから、ちょっとばかしフトモモを……」
シャーリー「これでも舐めておけっ!」ビュンッ!
ベチン!!
私「……投げる事ないじゃない。結構大事なのよ、この飴」
シャーリー「そう言えば……そうだ、そもそもそれを届けに来たんだよ」
私「……だったら尚更丁寧に届けて欲しいわね」
――数十分後、食堂内特設スタジアム――
父「えー、テステス……よし、入ってるな。
お待たせしました! 決勝戦、開始であります!!」
ワァァァ――――――ッ!!!!!
父「熾烈な戦いを勝ち抜き、ついに決勝にまで上り詰めた2人のウィッチ!
皆様、拍手と歓声でお迎えいただきたい……選手、入場ですッ!!」
ウォォォォォ―――――――――!!!!!
父「圧倒的火力、そしてセンス!! 501最年少、しかしその溢れる才能はッ! 止まるところを知らないッ!
若く熱きガッティーナ、フランチェスカァァ……ルッキーニィィィ―――!!!!」
イェェァァァ―――――!!!!
ルッキーニ「やっほー!! マーマ、見てるー!?」
父「さて対するは……ッ! 風が悪魔を連れてきたッ! カールスラントのスーパーエース、流星の如く参戦ですッ!
君は天使か、それとも悪魔かッ! エーリカァァ……ハルトマァァ―――ン!!!!」
エーリカ「はぁーい!! 頑張るよーっ!」
ウラァァ―――――――ッ!!!!!
ウジュー!! ウジュー!! ウジュー!! ウジュー!!
EMT!! EMT!! EMT!! EMT!!
父「湧きあがるウジューとEMTコール!! もはや会場の熱気は最高潮!
アフリカよりも熱く燃えているッ!」
シャーリー「……何だ? EMTって」
私「……E(エロい)M(妄想)T(滾りまくり)?」
シャーリー「……なんか違う気がするな……」
エーリカ「……やっぱり、ね。こうなると思ってたよ」
ルッキーニ「……ごめんね、ハルトマン。温泉に行くのは……あたしとシャーリーだからっ!」
エーリカ「こっちの台詞だよ、ルッキーニ!」
ルッキーニ「……これが最後。全力で行くよ、ハルトマン!!」
エーリカ「いいよ、恨みっこなしだかんねっ! さぁ、来いっ! ルッキーニ!!」
父「両者、気合十分ッ!! それではッ! 虫を……あれ? お二方、虫は……?」
エーリカ「すぐ来るように言ってあるから……もうすぐだと思うよ」
ルッキーニ「うん!」
父「……?」
ドシィィィン… ドシィィン… ドシィィン…
ギャギャギャギャギャ…
シャーリー「!? な、何だ、この音!?」
私「……来たわね」
シャーリー「え、来たって、何が――」
ドギャァァァァァァァン!!!!!!
シャーリー「!?」
父「な、何だ!? 突如スタジアム両端の扉が爆発ッ!! 何が、何が来たのだと言うん――」
シャーリー「……え?」
ルッキーニ「……」ニヤッ
エーリカ「……」ニヤリッ
ルッキーニSP≪グギャァァァ――――――ッ!!!!≫ドシィィン!! ドシィィン!!
クイーンハルトマン≪ギャジャァァ――――――――ッ!!!!!≫ギャギャギャギャッ!! バシュウッ!!
シャーリー「」
父「」
私「……お、よし、ちゃんと動いてるわね」
エーリカ「……やっぱり、本気みたいだね……」ゴゴゴゴゴ
ルッキーニ「……そっちもね……」ゴゴゴゴゴ
シャーリー「な、な、ななななな……何なんだよっ!! あの二足歩行のバケモンはっ!!」
私「? 何って……虫よ? 何言ってんの」
シャーリー「あんな恐竜みたいなのと、エイのお化けみたいなのが虫であってたまるかっ!
どっちもお父さんより大きいぞっ!?」
ルッキーニ「恐竜……うん! いいね、かっこいいよ!
よーし、今日からこの子は、ルッキーニスペシャル・REXだっ!!」
ルッキーニSPREX≪ウゥォォォォォ――――――――ン!!!!≫
エーリカ「エイのお化け……なーるほど、言われてみれば……
ならこっちは、クイーンハルトマン・RAYっ!」
クイーンハルトマンRAY≪シュァァァァァァ――――――――ッ!!!!≫
シャーリー「だ、大体! どこに虫の要素が……」
私「ああ、ほら。あのコクピットっぽいとこ」
カブトムシ≪≫チョコン
ゴキブリ≪≫チョコン
シャーリー「……原型留めてねえ」
私「……あ、そろそろ戦闘開始ね」
父「……ハッ! し、失礼。余りの展開についうっかり……。
さ、さて! いよいよ決勝戦! 突如スタジアムに現れた二つの異形!! 果たして、勝利の女神が微笑むのはどちらなのかっ!?
泣けど笑えどこれが最後っ! 両者、悔いの無いようお願いしたい……ッ!! 試合、開始ィィ―――ッ!!!」
カァーン!!!!!
ルッキーニ「先手必勝!! いっけぇぇ――!!!」
REX≪グギャァァ!!≫ドシュドシュドシュ!!
エーリカ「迎え撃てーっ!」
RAY≪ジャァァッ!!≫ドシュシュシュシュ!!
父「容赦ないミサイルの応酬!! 互いに一歩も譲りませんッ!!」
ルッキーニ「それそれそれーっ! ロックオン!!」
REX≪ピピピピピ……ガチャンッ!!≫
エーリカ「!! なら、こっちもっ!」
RAY≪キュオオオオオ……≫
ルッキーニ&エーリカ「撃てぇぇ―――っ!!」
REX≪≫ドシュウウウウンッ!!!!
RAY≪≫シュバァァァァッ!!!
シャーリー「!! た、多重シールド弾! でも、ハルトマンのは……?」
私「水圧カッターね。固有魔法の疾風と合わせて、さらに圧力を高めてるみたい。言わば直進する水のメスよ」
ギャギャッ!!
ドギャァァンッ!!
REX≪グォォォッ!!!≫バキッ!!
RAY≪ジャァァッ!!!≫ドゴッ!!
ルッキーニ「!! き、機銃がっ!?」
エーリカ「まずい……ダメージはこっちのが上!」
ルッキーニ(あんなの何回も撃たれたら敵わない……直接攻撃で仕留める!)
「近づけええ!! REX!!」
エーリカ「……! く、来る!」
RAY≪……まだだ! まだ終わってない!!≫
シャーリー「!? し、喋った!?」
私「AIの性能も限界まで上げたしね。そりゃー喋るわよ」
REX≪ゴキブリキッドォォォォ!!!!≫ドッドッドッ!!
シャーリー「あっちもか……」
ルッキーニ「よし……! 踏んじゃえっ!!」
エーリカ「甘い! こっちの機銃はまだ生きてる! 喰らええっ!!」
RAY≪ハハハハハ!!≫ドギャギャギャギャギャ!!!
REX≪くっ……!≫
ルッキーニ「そんな豆鉄砲じゃREXに傷一つ付けられないよっ! いっけえREX!!」
REX≪うぉぉぉぉ!!!≫ガッ!!
エーリカ(……! 足を上げた! 今だっ!)
「ミサイルを叩きこめぇぇ―――!! RAYっ!!!」
RAY≪お前は誰も守れない! 自分の事もな! さあ、死ね!≫ドシュドシュドシュ!!!
ドッグォォォン!!!
REX≪がぁぁぁぁっ!!!≫バッキィィン!!
ルッキーニ「!! レドームが!」
エーリカ「これで索敵はできなくなったね……! ついでにその長物も外してあげる!!」
RAY≪キュオオオオオオ……≫
シャーリー「! また水圧カッターを撃つつもりだ!」
私「この至近距離……まあまず外す事はないと思うけど……」
ルッキーニ「させるかぁぁぁ――――っ!!!」
REX≪――!!≫ドギャッ!!
RAY≪がふっ!?≫メキョッ!!
エーリカ「!! お、起き上がると同時にキックを……!!」
シャーリー「頭に命中した! カッターのチャージが止まったぞ!」
私「あそこ、ちょっと脆く出来てんのよね。そこに気付くとは……」
ルッキーニ「……ハァ、ハァ……次で……決めなきゃ! 体勢を直される……その前に!」
エーリカ「……こうなったら……! 魔力を全開にして突っ切るしかない!」
ルッキーニ「……うじゅぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」コォォォォ!!!
エーリカ「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」コォォォォ!!!
父「!! り、両者、魔力最大っ!! 渾身の一撃を放たんと、機体に魔力を込めているッ!!」
私「……やばっ」
シャーリー「へ?」
私「正直まだ試作段階だから……一気に多量の魔力を込められたら……」
シャーリー「……ど、どうなるんだよ……?」
私「……隠れとこ」
シャーリー「!! ま、まさか……!!」
ルッキーニ&エーリカ「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
REX&RAY「地獄に堕ちろぉぉ! 兄弟ぃぃ!!!!」キィィィィィン…!!!!
カッ
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!
プス…プス…
宮藤&リーネ「」キュー
エイラ「さ……サーニャ……だいじょう……ぶ……」
サーニャ「」キュー
ゲルト「う……ん……な、何……が……」
坂本「ば、爆発……した……?」
ルッキーニ「……う……じゅ……っ……し、シャー……リー……」バタッ
エーリカ「え……へへ……この……場合…は……どっちの……勝ち……に……」バタッ
シャーリー「……けほっ。お、おい……私……」
私「わ、わー。凄いわねー、室内なのに青空がー……」アセアセ
シャーリー「…………」
私「……ま、ま! 試作機に事故は付き物、ってことで! それじゃ! 部屋に戻らな――」
シャーリー「う……後ろ……」
私「え?」クルッ
ミーナ「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
私「ひいっ! ち、中佐!」
ミーナ「……私さん? ……分かってるわよね?」
私「じ、事故! 単なる事故ですって! ねえ中佐!」
ミーナ「……あなたが作ったんでしょう? ……責任、取らなきゃ……ね?」ミシッ
私「えっちょっとまってやめてとめてやめて――」
キュッ
私「あっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
父「――この後、今回私が儲けた金は、全て基地の修理費として没収。さらに、10日間のトイレ掃除&ペロペロ禁止を言い渡された。
――メカ虫も全機、廃棄処分。ぺロフェ・インダストリーの夢は、まさに虫の命のごとく、儚く潰えたのである。
――なお、このメカ虫の廃材から、後に虫型ネウロイが誕生し、基地を震撼させるのだが……それはまた、別の話だ」
父「――あ、そうそう。温泉旅行だが、なんだかんだあって俺が貰う事になった」
父「俺、温泉入れないんだけどな……まあ、いいか」
第6話、おわり
最終更新:2013年02月07日 14:25