前回までのあらすじ!
ペロペロ大好き変態教授・私の、501でのマーベラスな日々は続いていく……。
海で宝探しをした私と
シャーリー。結局見つからず、地図の入っていた箱を燃やしてしまうが、実はその箱にはプレミアが…。
シャーリー「……軽く10個はあったよな、あの空箱」
私「」
――朝、501基地・海岸――
坂本「…………」スゥゥ
坂本「烈! 風! ざぁぁぁぁぁぁぁん!!!」ビュオオオッ!
バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!!!!
坂本「……ハァ、ハァ……くっ!」
坂本「……ダメだ、こんなものでは……!」
パチ、パチ、パチ…
坂本「?」
私「……見事な物ですね、少佐」
坂本「私か。おはよう。……何が見事なものか。こんな烈風斬では、真・烈風斬になど、とても……」
私「……海が真っ二つだったじゃありませんか」
坂本「……ダメなんだ。自分でも分かる。シールドどころか、最近では剣に魔力を込める事すらままならない。
……限界などという言葉は嫌いだが、こうも自分の身に降りかかると……」
私「…………」
坂本「……いかんな。つい弱音を……。ところで私、こんな所で何をしているんだ? お前が外に出ているなんて珍しいな」
私「いえ、開発に要る物がありましてね。適当な木材を探してるんです」
坂本「木材? なんだ、そんな物か。それだったらすぐに用意しよう……せりゃっ!」
ズバッ!!
私「ヒュー…いいんですか? 勝手に基地の木切っちゃって。ミーナ中佐に怒られますよ」
坂本「はっはっは、なに、間違って木を切るなんて日常茶飯事だ。今更ミーナが怒る事なんてないさ。それに、ミーナなら今日から3日ばかり出張だしな」カッカッカ
私(……毎日こんな訓練やってんのね、道理であんなに引き締まったフトモモに……)ジュペロ
坂本「…………なぁ、私」
私(……そーいや最近いろいろあってペロペロがご無沙汰ね……そろそろこの舌の渇きも限界だわ)ジュペロロン
坂本「……私?」
私「! は、はぃ!?」
坂本「……お前、前に言っていたよな? 『報酬さえ出せば、どんな物も作ってみせる』と」
私「え? ええ、まあそれが仕事ですから」
坂本「……そうか」
私「……?」
坂本「…………私、頼むッ!」バッ!
私「!!?」(ど、土下座!?)
坂本「何とか……魔力の減退をカバーできるような機械を作ってくれないか!」
私「……え?」
坂本「……さっきも言ったように、私の魔力は最早限界に近い…だが、私はまだ飛んでいたいんだ!
後輩の育成のために――昔ならそう言えたかもしれない。だが、宮藤たちはもうとっくに一人前の戦士だ。もう、私に教えられることは何もない……」
私「…………」
坂本「……それどころか、宮藤もリーネもペリーヌも八面六臂の大活躍だ。それこそ、私を追い抜きそうなほどに……。
上官なら、後輩の成長は素直に喜ぶべきだ。……喜ぶべきなんだ。なのに、心からそう思えない自分がいることに気が付いた。……そして、分かったんだ」
坂本「私は、飛んでいたい。後輩の為では無く、自分の為に。……みんなと共にいたい。……置いて行かれたくないんだ……」
私「少佐……」
坂本「今言っているのは、私のエゴ以外の何物でもない。『置いて行かれたくない』なんて、身勝手もいい所だ。……だが、この黒い気持ちを抱えたままで戦いを降りたくない。
せめて、この戦いが終わるまで……最期まで戦いぬいて、魔女としての自分と決別してから、後腐れなく引退したいんだ……」
坂本「無茶を言ってるのは分かってる。でも、少しでも可能性があるなら……頼む! どうか……どうか!」
私「……顔を上げてください、少佐。そのまんまじゃ……その、話しにくい」
坂本「…………」スッ
私(……目が真っ赤。必死に涙を抑えて……)
坂本「報酬ならいくらだって出す。手つかずの給料もあるし、何だったらその、ええと、ペ…ペロペロだって、どれだけでも……」
私「…………」ポン
坂本(……? 肩に手を……?)
私「……『できない』なんて、私が言うと思いました?」
坂本「!! で、できるのか!?」
私「丁度研究中の技術がありましてね。それを応用すれば、十中八九……いや、完璧に」
坂本「と……飛べるのか……私は……まだ!」
私「……朝食の後、私の部屋に来てください。早速、取りかかりましょう」
坂本「あ、ありがとう……私……ありがとう……!!」
私「フフ、お礼は完成してから、改めて聞かせて下さいな。……ああ、そうそう。報酬の件は、また後でじっくり……」
坂本「ああ、できることなら何でもしよう!」
私「…………ありがとうございます」ニヤッ
私(……うわはは……うわーっはっはっはっは!!)
私(ボれる……今回はボれるッ! なにせ精神的に参った人間は冷静な思考が不可能ッ!)
私(ここ最近、ロクにペロペロしてなかったしね!
おまけに新兵器の実験も出来ると来た! これは乗らない理由が無いッ!)
私(全身全霊隈なく無駄なく、思う存分ペロペロしてやるわよ、少佐ァァ―――ッ!)
私「うわぁ――っはっはっはっはっはっはァ―――!!!」
坂本「!?」ビクッ
――私自室・サロン――
シャーリー「~♪」カキカキ
父「……」フーッ…
バダム!!
私「仕事よ、野郎ども!」ドカドカ
シャーリー「あ、お邪魔してるぞー」
私「えー、なによもう、また勝手に入ったの?」
父「いや、俺が許可した。外で待たせるのも悪いしな」
私「あ、そう。ならいいわ。……ほらシャーリー、仕事よ仕事。とっとと飯食って戻ってきなさい」
シャーリー「え、仕事? ストライカー整備だったら、まだ時間が……」
私「んなチョロいの別の誰かにやらせりゃいいわ。臨時の依頼よ。少佐直々のね」
シャーリー「しょ、少佐? なんだって少佐が……?」
私「後で話す。ほら、いいから早く食べてきて。私達は先に始めとくから」
シャーリー「……? なんだか分かんないけど……分かったよ。それじゃちょっくら食ってくる」
タッタッタ…
私「……さて、と。お父さん?」
父「ん?」
私「私の代わりに――」
父「『代わりにストライカーの整備に行ってきて』と言う」
私「ストライカーの……ハッ!?」
父「……全く、ちょっと面倒な仕事があるとすぐこれだ。口でドライバー回すの凄く大変なんだぞ」
私「んなこと言いながらもなんだかんだでやってくれるお父さんマジカッコイー」
父「……今回だけだぞ」
私「はい、じゃお願いね。あ、中佐にはお父さんから言っといてね。……えーと、記憶板は……」スタスタ
父「……くそう」
――そしてその日から、彼女達の悪戦苦闘の日々が始まった!
シャーリー「うーん、マニュピレータの可動範囲がもう少し……」
私「あ、内部にミサイル入れましょ、ミサイル」ペロペロペロペロ
坂本「ふ……ぁっ! や、やめろ……首筋は……あはぁっ!」
シャーリー「この外骨格凄いな。何かの合金か?」
私「特殊強化モリブデン鋼とクロスカーボン。スーツの部分は限界まで魔素吸収機能を高めた合成繊維で……」ペロペロジュルッ
坂本「んぁぁっ! す、吸うな……そんな……んんっ! やぁっ……!」
シャーリー「よーし、AIの最適化完了だ!」
私「今回はちと凄いわよー? 装着者の脳波とシンクロして、感覚器官や神経に直接――」レロレロロン
坂本「いやああっ……頼む……もう……ああ……っ! ああっ!」
シャーリー「…………」
私「……何? 混ざりたい?」チュッチュペロペロ
シャーリー「なっ……! んなわけあるかっ!」
坂本「んむっ……ん……んっ……! ぷは…っ…! な、なぁ……い、今のもう一回……」トローン
――開発開始より3日後――
シャーリー「……で、出来た……」
私「ええ……まさか3日もかかっちゃうとはね」
シャーリー「……遊び過ぎだろ、途中で竹刀を作り始めた時はどうしようかと思ったぞ。しかも2本も」
私「いやぁ、木材が余っちゃって、つい」
坂本「す、凄い……これが……」
アーム付きスーツ≪≫ ドォ――ン
私「『兵士のための知能的かつ発展的自動腕付属スーツ』……『SOLdier's Intelligent and Developed Arms and a Suit』。
縮めて……『SOLIDAS』!」
坂本「ソリダス……」
シャーリー(相変わらずのネーミングセンスだなぁ……)
私「大気中の魔素を自動で吸収、装着者に還元する魔素還元機能付きの逸品です。
インナースーツの合成繊維は魔素の吸収、伝達を助ける特殊な素材。さらに上半身には多関節アーム2本を搭載したAI制御型装甲。
アームにはさらに各3発ずつロケット弾も積み込んでる。正直な話、これ1つで軍艦1隻を落とせるぐらいの戦闘力ですね」
坂本「ぐ、軍艦1隻!?」
シャーリー「ストライカーとの重量バランス調整が大変だったよ。……でもまぁ、そのおかげで着たままでも飛べるぐらいの重さに落ち着いた」
私「さらに、AIは魔力パルスで脳波と同調、装着者によりよいサポートを提供する、まさに夢のバトルドレス!
……さ、物は試し。着てみてください、少佐」
坂本「あ、ああ……ええと、どうやって着るんだ? これ」
私「まずは内側のインナースーツを着て、それから外側のアーマーを装着して下さい」
坂本「……あーっとだな、その……インナースーツの下は……」
私「何も付けないでください」
坂本「……この水練着も?」
私「何も付けないでください」
坂本「……こ、ここで着換えるのか……?」
私「何を恥じらうことがありますか、女同士でしょう?」ジュペロ
シャーリー「女同士で散々恥ずかしい事やってた奴がよく言うよ」
私「……あれは正当な報酬よ、報酬。最初からそーいう契約だったんだから」
坂本「……全く、仕方ない。分かったよ」バッ!
私(おお、勢いよく上着を……!)
坂本「……」スッ…
私「…………」ジーッ
シャーリー「…………」ゴクッ
スーッ……ハラリ
私「Oh……」
シャーリー「Oh……」
坂本「ふ、2人そろって妙な溜息をつくなっ!」マッパ
シャーリー(ひ、引き締まってるなぁ……なんかドキッとする……)
私「……ねぇ少佐、どうせなら最後にもう1回ペロペ――」
坂本「……前なら快く承諾できたがな……その……ああいうのは……やはり照れるし……。
そ、それに、報酬なら今までの分で払ったろう! 『完成するまではペロペロしてもいい』という条件だったはずだ!」
私「……残念」
坂本「全く……えーと、ここから足を……よし、これでいいな」ピチッ
シャーリー「おお……」
私「……グレート」
坂本「? こ、今度は何だ?」
私「ええなぁ……ピチピチのボディースーツええなぁ……見えないからこその淫靡さが……」ジュペロ
シャーリー「う、浮いてるぞ……! ちく……い、いや……その……」ゴニョゴニョ
私「んん~? 乳首がどうしたって、シャーリー?」
坂本「!?」
シャーリー「なっ! ち、違う! 断じてそんな事言ってないからな!」
私「はいはい」
坂本「……で、次はこの胸部装甲か」ヨイショ
ガチャン!! …ウィィィーン!!
≪寿命とは何だ? 最良の遺伝子を後世に残すための猶予期間だ!≫
シャーリー「今回もまた渋い声だな」
私「眼帯した白髪の爺さんに吹き込んでもらったわ。なんか扶桑刀持ってる危ない人だったけど」
キュオオオオオオ…
坂本「お……おお! 凄い……凄いぞ! 力がみなぎるようだ……!」
私「1日でも着続けてたら、体がSOLIDASに慣れるでしょう。しばらくは毎日メンテナンスに来てください。なにせ初の試みですから、不具合が無いとも……」
坂本「なに、お前が作ったんだろう? 不具合などあるものか、はっはっは!」
私「……ありがとうございます。……あ、そうだ。他の機能も1つ、説明しておきますね」スタスタ
坂本「ん? 何をやっているんだ? 後ろで」
私「あ、振り向かないで。そのままじっとしていて下さい」スッ
シャーリー「? ジッポライター?」
坂本「?」
私「……」カチッ、シュボッ
≪――!≫
ウィィィーン! バチッ!!
私「ッ! っとと……」
シャーリー「! あ、アームがライターを叩いた……!」
坂本「な、何?」
私「背後に熱源がある場合、アームが自動的にその熱源に攻撃を加えます。
……もっとも、基準となる熱源は、人間が興奮している時の体温になってますから、背後に立った人を間違って攻撃する、なんて事態は起こりませんし、致命傷を与えてしまう事もありません」
坂本「おお……便利だな。闇討ちにも対応できるとは」
私「あ、それから、寝る時は必ずAIの電源を切って下さいね。特殊な魔力パルスで脳とシンクロしてますから、しっかりと意識を保てない状態だと暴走しちゃいますんで」
シャーリー「えっ?」
坂本「ああ、ありがとう私! それじゃあ、ちょっとその辺りを走ってくる。……ああ、すまんがこの竹刀2本、借りていくぞ!
二刀流をやるのも面白そうだ!」ダッ!
シャーリー(……なんかさっき、さらっととんでもない事が聞こえたような)
私「それから、アーマーをパージすると……って、あ! ちょっと、少佐!」
ダダダダダ…
シャーリー「うわー、あっという間に出て行っちゃったよ……よっぽど嬉しかったんだな」
私「……せめて、この戦いが終わるまで、か」
シャーリー「え?」
私「…………」
――食堂――
ゴクッゴクッ…
宮藤「……っぷはぁ! おいしいなあー」
ペリーヌ「まったく……相変わらず、品の無い方ですわね」
リーネ「でも、どうしたんですか? こんなにたくさんのブドウジュース……」
ペリーヌ「
ガリアの皆さんが贈ってくださったんですわ。ほら、この手紙と一緒に」ピラッ
宮藤「『いつも私達を守ってくれるウィッチの皆さんへ、感謝を込めて』……えへへ、なんだか照れちゃうな……」
ペリーヌ「私達の使命には、それほどの重みがあるということですわ。……無論、それ相応の責任も」
宮藤「あ、こっちにも瓶がある!」
ペリーヌ「! ちょ、ちょっと宮藤さん! それは飲めませんわよ!」
宮藤「え? なんで――あ、ワインだ、これ」
ペリーヌ「ジュースと一緒に贈られてきたんです。『ワインの方が好きな大人の方もいらっしゃるでしょうし』――と。
まあ、いろいろヒヨッ子の宮藤さんには、少々早い飲み物ですわね?」フフン
宮藤「……むー……」ムスッ
リーネ「あ、あの……」アタフタ
バダーン!!
坂本「はっはっは! おはようみんな!」ウィーン
宮藤「あ、坂本さん! おはようご……ざ――」
ペリーヌ「まったく、少佐とお呼びしなさいとあれほど……おはようございます少……佐――?」
リーネ「……? どうしたのみん……な――、……え?」
坂本「……ん? どうした、3人とも?」ウィィィーンガシャンゴシャンウゥィーン
宮藤「さ、さささささ坂本さぁん!? な、なんなんですかその格好!? なんなんですかその腕ぇ!?」
リーネ「」ポカーン
ペリーヌ「しょ、少佐の背中から妙な機械音が……!? まさか、これが噂に聞いた扶桑の"ヨロイ"……!?」
坂本「はっはっは! 確かに鎧と言えば鎧になる! 上手い事を言うな、ペリーヌ」
ペリーヌ「! い、いえ、そんな、それほどでも……」(ああ、少佐に褒められた……なんだかよく分かりませんけど、とりあえず幸せですわ……)
坂本「これはな、私に作ってもらったんだ。何でも、戦闘のサポートをしてくれる凄い服らしい」
リーネ「私さんが?」
宮藤「そ、そうなんですか……びっくりしたー……」
坂本「このアームも結構自由に動くんだぞ。そーれ」グイッ
宮藤「え、えっ!?」ガシッ
坂本「たかいたかーい、っと」グオッ
宮藤「わぁぁ―――っ!!」ギュオオオン
リーネ「よ、芳佳ちゃん! だ、大丈夫!?」
宮藤「う、うん! わっ、わっ! す、すごい! すごいです坂本さん! わーい!」
坂本「そーれ、ぐるぐるー」グルグル
宮藤「うわぁ――――い!!」
ペリーヌ「あ、ちょ、ちょっと! ずるいですわよ宮藤さんだけ! しょ、少佐! 次はこのわたくしにも……!」
坂本「はっはっは! 心配するな、あとでお前にも――ん? なんだ、そこの瓶は」
リーネ「あ、ブドウジュースですよ。ペリーヌさんの故郷から贈られて来たんです」
坂本「ほう……美味そうなジュースだ。さすがはガリア、料理にかけては一流だな」
ペリーヌ「そ、そんな……あ、ありがとうございます、少佐……」テレテレ
坂本「よし! せっかくだ、私もいただくとしよう。構わないか、ペリーヌ?」
ペリーヌ「も、勿論! お好きなだけお飲み下さい、少佐!」
坂本「うむ、ありがとう! さてと……ん? こっちの方は香りがいいな。こっちにするか……」
コポコポコポ…
クイッ
宮藤「でも凄いよねー、私さん。あんな便利な服まで作っちゃうなんて」
リーネ「うん、やっぱりただの変態じゃなかったんだね」
ペリーヌ「……ハッ! まさかあの性的倒錯者、アレの製作にかこつけて少佐と変態的行為を……!?
なんてうらやま……じゃない! なんて破廉恥な!」
宮藤「ああ……私さんならありそう……あれ?」
坂本「…………ヒック」
リーネ「……あ! 少佐、間違ってワインのほう飲んじゃってる」
坂本「……う、うぅ~ん……」
ペリーヌ「しょ、少佐? もしかして、お口に合いませんでしたか?」
坂本「…………」ボーッ…
――もっさんの心の中――
坂本『な、何だ……い、意識……が……』
『酒には弱いか。それもまた、貴様の逃れられぬ性(サガ)だ』
坂本『……? お、お前は……?』
『お前の後ろにいる者さ。かりそめの意志、かりそめの心を宿した鋼鉄。……そして、貴様を自由へと導く者』
坂本『な……に……? どういう……つもりだ……』
『まぁ、脳波と魔力パルスを少々一致させるだけだ。――要するに、貴様の心をほんの少し開くんだよ』
坂本『……?』
『己の弱さを認めたくない。後輩に自分を追い抜かせたくない。自分がこの世にいたという爪痕を残したい……。そういう心さ』
坂本『わ、私は……』
『歴史のイントロンにはなりたくない。いつまでも記憶の中のエクソンでいたい。……そうだろう』
坂本『……私……は……』
『考えるな。貴様はこれから自由になる。貴様を縛る規律や規範から、貴様は脱却する。思うままに暴れるんだ……』
坂本『…………自由……』
『さぁ行け、自由の子よ。自由の魔女……"ウィッチ・オブ・リバティ"よ』
坂本『……………………』
坂本「…………」
ペリーヌ「……しょ、少佐? どうされたのです?」
坂本「…………」
坂本「……宮藤、今は……何時だ?」
宮藤「えっ!? え、えーっと……朝の8時、ぐらいですけど……」
坂本「……そうか。…………なら」
坂本「……訓練の時間だな?」ニヤッ
――私自室・サロン――
ドッゴオオオオオオオオオン……
シャーリー「……? 何の音だ?」カキカキ
私「ルッキーニちゃんが木から落ちたんじゃないの?」
シャーリー「うーん、40点だな、そのジョーク」カキカキ
私「誰も採点してくれなんて言ってないわよ」
シャーリー「……しっかしさぁ、よくあんなノウハウあったよな」
私「え?」
シャーリー「あのスーツだよ。いや、外骨格だっけ? なんかオマケにもう一着作ってたし」
私「ここに来る前、ちょっと扶桑の部隊で技術開発をしたことがあってね。えーと……『瞬殺無音部隊』だったかな」
シャーリー「ぶ、物騒な名前だな……」
私「そこで強化外骨格を開発したこともあったのよ。結局は完成しなかったけど……ま、そのときの経験が生きた、ってとこね。」
シャーリー「へーえ……」カキカキ
私「……ところで、さっきから何描いてんの、シャーリー」
シャーリー「ああ、これ? いやさ、ホラ、ウィッチって1人1人、パーソナルマークってあるじゃないか」
私「ああ、アンタのはウサギだっけ? あのどことなくエロ本っぽさの漂うマーク」
シャーリー「……ああ、そうだよ。それだ。で、さ。暇だったし、お前のマークを考えてみたんだよ」
私「へぇ、それが? どれどれ……? 何これ、歯車?」
シャーリー「やっぱ、機械っていったら歯車だしさ。『PeROFESSOR』のロゴが洒落てるだろ?」
私「……で、その歯車の中にいるのは……カメレオン?」
シャーリー「ああ、可愛いだろ? 目がつぶらで。私のウサギとおんなじ目の形なんだぜ」
私「いや……何でカメレオン?」
シャーリー「え? いやほら、だってベロが長いし――」
私「……ああ、そう」
シャーリー「……ど、どうかな?」
私「…………ま、いいんじゃない? アンタにしては」
シャーリー「! そ、そうか!?」
私「えっ……え、ええ。……でもまぁ、やっぱりまだま――」
バッゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!
私「!?」
シャーリー「――!? ど、ドアが……吹き飛――」
坂本「…………」フシュゥゥゥ…
シャーリー「……え? しょ……少佐?」
坂本「……ふむ、素振りはこんなものだな……よし次! ランニング10キロだ! わーっはっはっはっは!!!」ドダダダダ
私「――! 少佐! 危ない、前に壁が……!」
坂本「……フン」ドゴッ
バギョッ!! ガラガラガラ……
シャーリー「」
私「か、壁が……木っ端微塵……」
坂本「さぁ、訓練は始まったばかりだ! わっはっはっは、わーっはっはっはっは!! ……ヒック」ヨタヨタ
私「……ま、まさか……」
シャーリー「……な、何が……ん?」
トタタタタタ…
宮藤「シャーリーさん、私さん! 大丈夫ですか!?」
私「よ、芳佳ちゃん? リーネちゃん、ペリーヌちゃんも……」
ペリーヌ「わぁぁぁぁぁたしさぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん!!??」バリバリバリ
私「ヒッ!」
ペリーヌ「今度という今度は……堪忍袋の緒が切れましてよ!!」
私「な、何の……」
ペリーヌ「とぼけないで! どうせ貴女の仕業でしょう!! 白状なさい! 少佐に、私の少佐に何をしましたの!?」ブンブン
私「あっ、ちょっ、首掴まないで! 話す! 話すから!! 推測だけど……」
~説明終了~
宮藤「ぼ、暴走!?」
私「ええ、恐らく。あのスーツに付けられたAIは、常に装着者に対して微弱な魔力パルスを送っているの」
リーネ「ぱ、ぱる……?」
私「……ま、要するに魔力の電波。それで、その魔力パルスは装着者の脳波と同調して、より高いレベルでの戦闘サポートを提供するわ。
例えば、背面の敵の位置を神経に直接"感知"させたり、脳下垂体をちょこちょこっと弄って筋肉の働きを通常より何倍も高めたり……。
いわば、AIが装着者の『もう一つの脳』になるわけ」
ペリーヌ「そ、そんなの少佐に使わせて……!」
私「い、いやいやいや! 少佐から頼まれたのよ! 作ってくれ、って!」
宮藤「じゃ、じゃあ、坂本さんがあんなことになっちゃったのは……?」
私「……その魔力パルスには、ほんのちょっとだけど……副作用があるの。いえ、普通に意識がはっきりしてる分には、まったく影響はないんだけど……」
シャーリー「そう言えば、さっきもそんな事言ってたな。確か、着けたまま寝ちゃダメだとか……」
私「ええ。AIから放出される魔力パルスは、ごくわずかだけど……装着者を興奮状態にさせる効果がある。でもまあ、意識があるなら、十分に自制が効くレベルよ。
詳しい話をすると、つまりは魔力パルスが交感神経を――」
ペリーヌ「能書きはいいですから! 要するに!?」
私「……要するに、眠ったり、酔っぱらったりしてる間は、脳がパルスを制御できなくなって……モロにパルスの影響を受けちゃうってこと」
シャーリー「……つまり、自制が効かなくなって、暴れ回っちゃうわけか」
ドゴーン! ワーッ! キャーッ! ワッハッハッハー! メリメリメリッ、ボギッ!!
私「ああいう感じにね。……いやー、少佐が酒に弱いとは……そう言えば、海でもたしかそんな――」
ガシッ!!
ペリーヌ「どうすれば元に戻るんですの!? 教えなさい!!」グワングワン
私「だ、だから首を……あ、あるわよ、方法は……ちょっと危ないけど」
ペリーヌ「危ない目ならいくらでも遭いますわ! 少佐をお助けするためなら!!」
宮藤「ペリーヌさん……」
ペリーヌ「で、どんな方法なんですの!?」
私「……簡単よ。SOLIDAS――あのスーツのAIを壊せばいい。そうすればパルスは止まって、少佐は正気に戻るはずよ」
シャーリー「こ、壊すって……壊せるのか、あれを?」
私「普通の兵器は無理でしょうね。だから……来て。こっちよ」
――私自室・研究室――
私「えーと、たしかここに……あった!」
ドサッ!!
ペリーヌ「……? なんですの、このレオタードみたいな機械は?」
私「こんなこともあろうかと、SOLIDASの開発過程で作っておいた、もう一つの戦闘服。
『革新的かつ知能的な放電機能付き外骨格』――『Revolutionary And Intelligent Discharge ExoskeletoN』。
通称……『RAIDEN』!」
リーネ「ら、ライデン?」
シャーリー「ああ、そういやこんなのも作ってたな。単なる遊びだと思ってたけど……」
宮藤「雷電、って……雷のことかな?」
私「ビンゴ! エーテルAIと共に内蔵されたバッテリーによる電気を巡らせることで、全身の筋肉を強化、さらに魔力の伝達をスムーズにする代物よ。
バッテリーは最大48時間駆動、おまけに放電機能付き。電撃魔法を使えるペリーヌちゃんが使えば……とんでもない強さになるわね、きっと」
ペリーヌ「こ、これで……少佐を止められるんですの?」
私「……少佐と戦って、少佐の隙をついて、背後のAI部分を破壊できれば」
ペリーヌ「これで、少佐と……?」
私「えーと……あ、あったあった。はい、これ」スチャ
ペリーヌ「……? レイピア……いえ、どちらかといえばサーベルですわね」
私「高周波サーベル。電気を流し込むことで、1秒間に数百回の超高速振動を起こせる。また、刀身自体を帯電させることも可能よ。
この剣をまともに食らったら……あのスーツの装甲だろうと、タダでは済まないわね」
ペリーヌ「…………」
シャーリー「……なぁ、本当にこれしか方法がないのか? ほら、例えばさ、少佐を説得してAIの電源を切ってもらうとか……」
私「説得が通じるような相手?」
シャーリー「う……」
私「……可能性のある方法は、考えうる限りこれしかない。……それに、何も決闘しろなんて言ってるわけじゃない。そもそも、あのAIに命のやり取りなんて出来ないしね」
シャーリー「?」
リーネ「で、でも……少佐が戦うのを嫌がったら、どうするんですか?」
私「だからこそ、『断れない申し出』をする必要があるわけ。……えーと、あ、あったあった。……コレを使ってね」パサッ
シャーリー「……? ゴム風船?」
私「さ、外骨格を着て、ペリーヌちゃん。……作戦を説明するわ」
最終更新:2013年02月07日 14:29