―21世紀初頭、自我に目覚めた軍事防衛プログラム『スカイネット』は、人類を脅威と判断、核攻撃を仕掛けた」
俺「逃げるぞ!」
―スカイネットは、人類抹殺のため、殺人マシーン『ターミネーター』を作り出す
友「走れ!」
―人類は、ジョンコナーの指揮の下、抵抗軍を組織、スカイネットに戦いを挑む
友「プラズマライフルでも喰らえ!」テュンテュン!
―そして2026年、人類側が優勢に見えたが、スカイネットは新型ターミネーター『T-800』を量産する
俺「友!お前だけでも基地に戻れ!」
―それでもまだ劣勢のスカイネットは、敵の指導者であるジョンコナーを歴史から消そうとする
友「何言ってやがる!」
―2029年、スカイネットはついに…
俺「戻ってコナーに知らせろ、タイムマシーンを見つけたって!」
―ストライクウィッチーズ×ターミネーター
抹殺者俺―
俺「くっ!」テュンテュン!!
フェイズドプラズマライフルをT-800(なぜか非武装)の胴体に撃ち込むが、チタン合金のボディはびくともしない
じきに距離をつめられ、俺は首をつかまれた。体が宙に浮く
俺「ぐっ…あ…」
T-シリーズ特有の赤い目は俺をまっすぐ睨み、わずかに首が動く。おちょくってるのか?
刺し違えても一体は倒す、そう思い、後ろ腰から円筒状のプラスチック爆弾を取り出す
俺「はっ…ゲーム、オーバー、だ!」
起爆装置の起動したそいつを、T-800の腹に思いっきり刺す
敵が一瞬驚いたような顔をした直後、爆発がおき、目の前が真っ暗になった
…と思ったら、今度は真っ白になって、俺は落下していた
俺「ぬわぁぁ!(ガンッ!)ぐふぅ」
数メートル落下した後、硬くて平らな地面に叩きつけられた
俺「いってぇ…あれ?ここどこだ?俺は確かスカイネットセントラルに居たはず…」
建物の中だろうか、とっても古臭くて清潔だ。抵抗軍のセーフハウスでもこんなのはないぞ
俺「壊された痕がないって言うのが不気味だな…武器は、全部無事か」
建物の内装をよく見ると、銃弾痕もなければガラスが一枚も割れていない。電灯も古いものだがすべてついている
俺(普通ならありえない。まるで違う世界に居るみたいだ)
とりあえず、外に出よう。そう思ったとき、
<ガシャーン!ウワー!!
俺「ぬ!?」
叫び声が聞こえた。銃声は聞こえないが、敵が来たのかもしれない。声がしたほうへと急ぐ
角を何回か曲がり、「格納庫」と書かれた扉の前まで来た。声はここからした
俺(格納庫…軍事施設か?)
ゆっくりと扉を開け、プラズマライフルを構える…
機械音を立てて、そのものは近づいてきた
怪我…故障でもしているのか、片足を引きずりながら歩いてくる
エイラ「あ…わ…」
ネウロイとも違う異型の敵を前に、私は後ずさることしかできない
サーニャを探して基地をうろついてただけなのに…
人型のそれは腕を振り上げ勢いよく降ろす。寸で避けて当たりはしなかったが、よろけて尻餅をついてしまった
そのものは私の前で立ち止まり、腰をかがめ、私を捕まえようと腕を突き出す
もうダメだと思ったとき、
<テュンテュン!!
青い光弾が飛んできた
エイラ「え?」
光弾はすべて命中し、人型のそれはよろけて後ろに下がっていく
俺「…」テュンテュンテュン!!!
黒髪黒瞳に中性的な顔立ち、薄汚れた野戦服に身を包んだ十代中ごろの男が、見たこともない銃を構えていた
エイラ(…すごい)
彼の銃から放たれた光弾はすべて着弾し、最後は敵を床に倒した
俺「大丈夫ですか!?」タッタッタ
それを確認すると彼が駆け寄ってくる
エイラ「…あ、あわ」
私はただ、彼と倒れたそれを交互に見ることしかできなかった
俺「…ダメだ、こいつはまだ動く」
破壊には至っていないということだろうか?それより、彼は何者なんだ?
そんな私の思考はよそに、彼は手を差し出してくる。そして一言
俺「Come with me, if you wanna live.」スッ
エイラ「…」ギュッ
気づいたら私は、彼の手を握っていた
エイラ「なぁ!あれは一体何なんだよ!」
彼女を引っ張られてハンガーを出る途中、変な質問をされた
俺「何って…ターミネーターですよ、T-800」
エイラ「は?抹殺者?」
俺「…あなた、ターミネーター知らないんですか?」
エイラ「知るわけないダロー」
いやな考えが頭をよぎる。ここは俺が居た時代・次元じゃない
そして、それを裏付けるものを見つけてしまった
俺「…あれは何です?」
なんかよくわからん円筒状の何かを指差す。辛うじて兵器だと言うことがわかるが、スカイネットや抵抗軍が作ったものでもない
エイラ「ストライカーユニットダ。見たことあるダロ?」
ターミネーターを知らない女の子、不自然なまでに綺麗な建物、よくわからん兵器…
俺「…今は何年です?」
エイラ「1944年ダ。頭大丈夫か?」
…なんてこった
<ギシャーンガシャーン ピピピ(ターゲット捕捉、目標抹殺)
T-800が活動を再開した
俺「…くっ」
エイラ「わ、私も戦う!」ガチャ
彼女は壁に立てかけてあった銃を手に取る
俺「ばっ、正気ですか!?」
エイラ「ふふん、私は未来予知の魔法が使えるんだ、そう簡単にはやられないよ」ドヤァ
俺「へ?魔法?」
ずいぶんとファンタジーな単語が聞こえた気がする
エイラ「オマエ、魔法知らないのか?」
俺「知るわけないでしょー」
<ギシャーッ!(無視すんなやゴラァァ)
エイラ「…」ガクブル
俺「喋ってる暇はなさそうですね、撃て!」
<テュンテュン!!ダダダダダ!!カンカンカン!!
弾丸と光弾がいくつも命中するが、弾丸の大半はあらぬ方向に跳ね返り、傷を負わせるにいたっていない
T-800「ギシャー!!」ドヤァ
エイラ「ぜんぜん効いてないゾ!」ダダダダ
何十発と当たっているが、敵は構わずこちらに向かってくる
俺「くそっ!…ん?」テュンテュン!!
ふと、ハンガーの天井に張り巡らされた梁に気づく
俺「梁を撃って!あれを落として奴の動きを止める!」テュンテュン!!
エイラ「わかった!」ダダダダ
T-800の真上にあった梁が、銃撃を受けて天井から外れる。そのまま敵の上に落ちる
T-800「!?」ドゥグシャーン!
エイラ「ウワッ!」
地面が少し揺れ、砂埃が舞う
T-800「…キュルキュル(モーターの空回り音)」
エイラ「死んだのか?」
俺「…いや、まだだ」
梁で床に押し倒されたT-800に近づく。頭のカバーをこじ開け、チップを引っ張り出す。ターミネーター特有の赤い目が消える
エイラ「それは?板チョコみたいな形してるけど」
俺「人間で言う、脳みそですよっ」グシャッ
チップを足で踏みつけ粉々にする。これでもうこいつは動かない
俺「怪我はないですか?」
エイラ「あ、大丈夫だ。その、アリガト…」
俺「お礼なんていいですって…ツゥ!」ズキッ
後頭部に痛みが走る。まただ
エイラ「ど、どうしたんダ!?撃たれたのカ!?」アウアウアー
俺「あう…持病の頭痛です。たいしたことはありません。だから落ち着いて」
エイラ「そ、そうカ、よかった…お前、名前は?どこから来たんだ?」
俺「ああ、名乗ってなかったですね。自分は…」
そのとき、
俺「!?」
後ろから声がし、首筋に鋭利な刃物が突きつけられる。カタナってやつだ
俺(気配がまったくなかった…ジャパニーズアサシン『ニンジャ』か!?)
エイラ「少佐!?」
少佐?結構階級高いな。ってそうじゃない、やはりここは軍事施設のようだ
坂本「…お前は何者だ。基地のものではないな」
女性の声だが、それには言い表すことのできない殺気と迫力があった
俺「抵抗する気はありませんよ、少佐殿」
両手を挙げ、女性のほうへ向き直る。履いてない下半身に目が行きそうになるが、ぐっと堪える
坂本「とりあえずついて来てもらおうか?いろいろ聞きたいことがある」
そういって刀を下ろし、片足でT-800を軽く蹴る。やはりこの女性もターミネーターを知らないみたいだ
俺「ちょうどいい。自分も聞きたいことが山ほどあるんで」
魔法とか女性の下半身とかとかとか
坂本「懸命だな。エイラ、お前も来い」
エイラ「りょ、了解」
エイラ(なんか大変なことになってきたゾ…)
昔、スカイネットに捕まって監獄に入れられたことがあった
床に片手を手錠で固定され、照りつける太陽に身を焼かれながら、ひたすら耐える。下手な拷問よりつらい
一緒に捕まった友が泣きながら懺悔を始めたときはどうしようかと思った。今思えば良く耐えられたもんだ。まだ十三才ぐらいだったかな?
そしてあの時から約三年後の今、俺はウィッチーズ基地の監獄に入れられている
俺「檻ではなくてちゃんとした部屋でベッドあり、電気あり、簡単な施錠だけで手錠はない…これを監獄と言えるのか?」
部屋の鍵は南京錠、やろうと思えばすぐに外せる。まぁ、脱獄する気はないけど
投獄される前、基地責任者に事情聴取を受けた
自分がいたのは、機械が反乱を起こした異世界で、そして自分は戦士だということ。話せるだけで話した
こっちの世界も、人ならざるものの侵略を受けているらしい。ネウロイとかいったか
そのネウロイに対抗しえるのは、魔法力を持ったウィッチだけ。とんでもない話だと思ったが、機械と戦争してる身がいえたことじゃない
俺「寝よう…考えても仕方ない」
そうだ、寝て起きれば元の世界に戻ってるかもしれない。戻っていつもどおりに仲間と一緒に戦ってるかもしれない
自分に言い聞かせ、ベッドに横になる。ベッドで寝るなんて何年ぶりだろうか
枕に顔をうずめ、深い眠りにつく。このままこっちに居てもいいかもしれない。睡魔で寝ぼけた頭は、そんなことを考えていた
坂本「人類と自我を持った機械が戦う世界、か」
ミーナ「あの子の話、信じるの?」
坂本「信じるしかないだろう。現にその機械がここにあるんだから」
T-800「」チーン
ミーナ「確かにそうね」
執務室、上官たちが彼を今後どうするのか話し合っている
坂本「エイラはどう思う?」
エイラ「へ?」
突然話を振られて思わず呆けた声を出してしまった
ミーナ「あの子のことよ。エイラさんの意見は?」
エイラ「…悪いやつじゃ、ないと思う」
ミーナ「奇遇ね。私も同じだわ」
エイラ(命の恩人だしナ)
口には出さなかった
坂本「それに、どうやらあいつは魔法力がある見たいだぞ。こっそり魔眼で確かめた」
エイラ「男なのにカ!?」
ミーナ「男性のウィッチも居ることは居るわ。とても数が少ないけれど」
坂本「明日ユニットを履かせてみよう。彼の扱いはその結果を見てからだ。ただ…」
エイラ「ただ、どうしたんダ?」
少佐が言葉を濁すなんて珍しい
坂本「異世界人の持つ魔力だし、それも極端に微量だ。ユニットが動くかどうか…」
エイラ「う、動かなかったらどうなるんダ?」
ミーナ「それを考えるのはやめましょう?いずれにせよ、すべては結果を見ないと」
坂本「そうだな、私としたことが…」
ミーナ「それじゃあ、二人ともおやすみなさい」
翌日、ハンガー
俺「こいつで空を飛ぶ…信じられん」
どことなく飛行機っぽい形をした二本一組のユニット。一体どういう仕組みで動いているのだろう?
俺(『お前に魔法力があるみたいだから、ユニットが動くかテストする!』なんて無茶苦茶だよなぁ…)
昨日の晩から無茶苦茶なことが立て続けに起きているが、それでも錯乱しないのは、人の常識が成す業か
エイラ「ここに足を入れるんダ」
言われたとおり、ユニットの口のような場所につま先から足を入れる
俺「履いた」
坂本「よし、動かしてみろ」
魔力を流し込めばいいんだな…ってなんでわかったんだ?知らないはずなのに
まぁいい。思ったとおりに、「んっ」と力を入れてみる
刹那、強烈な痛みが頭を打った
俺「っがあぁぁぁっ!!?」ガクン!
エ・も「!?」ビクッ!
俺「う、が…あ」ガクガク
後頭部に電気ショックを受けたような痛みが走る。あまりの痛さに視界が霞む
坂本「だ、大丈夫か!?」
俺「ぜぇはぁ…はい」ガクリ
痛みは一瞬だったが、強烈だったことに変わりはない
エイラ「少佐、見ロ!ユニットが動いてる!」
エイラの言葉通り、ユニットは快調なエンジン音を立て、地面には魔方陣が展開されている
坂本「一応動くのか…」
俺「あの、質問いいですか?」
エイラ「どうした?」
俺「こいつって、装着すると視界にいろいろ表示されるんですか?」
現に俺の視界には、高度、速度、方角、時刻、機体の傾き等の情報が表示されている。まるで戦闘機のHUDだ
エイラ「いや、そんなのないゾ」
坂本「お前の固有魔法かも知れんな。差し詰め『情報処理』と言ったところか(…おかしい、あんな微量だったのに)」
俺「ほぇ~、こりゃ便利そうだ」
エイラ「それよりお前、自分の目見てみろ」スッ
どこからか取り出した手鏡で俺の顔を映す。その腰のポーチは四次元ポケットなの?
俺「目…赤っ!?」
赤いには赤いが、充血ではなく、黒目の部分が真っ赤に染まっていた。まるでターミネーターのそれみたいに
エイラ「あと、使い魔の耳も出てないし…」
俺「…全部異世界人だからって理由で片付けちゃダメ?」
坂本「そう考えるしかないだろうな。まぁ、これでお前はここを追い出されずに済んだわけだ。はっはっは!」
それってつまりは、ユニットが動かなかったら追い出されてたのか…
坂本「よしっ!訓練も兼ねてひとっ飛びして来い!エイラ、先導してやれ」
上空
俺「ホントに飛んだよ…」ブーン
俺「ああ、すっごい気持ちいいです」
空を飛ぶ夢を見ているようだ。なんともいえない浮遊感がたまらない
エイラ「お前はこれからどうするんだ」
俺「おそらく、この基地に居ることになるでしょうね。帰る方法が見つかるまで」
エイラ「そうカ…帰りたいのカ?」
俺「いえ、その、あんな世界居たくない筈なのに、戻らなきゃって義務感がなぜかあって」
現に向こうで俺は任務の最中だった
…ちょっと待て、だったら向こうじゃ俺は戦死者扱いになってるんじゃないのか?
死んだはずの人間が戻ってもどうせ…それでも俺の頭にこびりつくこいつは一体なんだ?望郷の念ってやつか?
エイラ「…悩むくらいなら、ここに居たらどうダ?」
俺「え?」
エイラ「えっと、お前が居た世界よりこっちの方がまだマシっていうか、その、もし帰れても死んじゃったら意味ないっていうか…」
彼女のなりに励ましているつもりなのだろうか、身振り手振りを交えて言葉を紡ごうとしている
俺「…それは『ここに居てくれ』という意味で取っていいのですか?」
エイラ「ナッ!///そうじゃない!ただ、こっちの方がまだ安全って意味で…」アタフタ
…なんだ、いつもマイペースでどこか掴み所のない子だと思っていたけど、年相応にかわいいじゃないか
それと、なぜだか知らないけど、この子のそばに居たいと思った
俺「ハハッ、からかっただけですよ。ここに居させてください、少尉」ニコッ
エイラ「!」ドキッ
エイラ(ナンダ?今の感じ…?)
俺「少尉?どうしました?」キョトン
エイラ「エ?あぁいや何でもないんダナ(近い!顔近い!///)えっと、俺!」
俺「?」
エイラ「ようこそ!ストライクウィッチーじゅ、へ…」
俺「…」
エイラ「///」カンジマッタ
俺「…帰りましょうか」
エイラ「うん…///」
ウィッチーズに正式配属されてから早一週間、基地の雰囲気にも慣れてきた。基地の皆も、俺が異世界人だということを受け入れてくれた
もちろん、女性の下半身の光景についても。慣れちゃいけないものに慣れた気がする…
で、ウィッチたちの俺に対する評価はと言うと、
宮藤「女の子みたいでかわいいですね!」
言うな、ちょっと気にしてるんだ
リーネ「は、はぅ…」ガクブル
無理スンナ
ペリーヌ「汚い服で近づかないでくださいまし!」キー!
いや、替えの服ないから。元々こういう色だから
坂本「これからビシバシ鍛えていくからな、ハッハッハ!」
だからって滑走路ダッシュ二十本はないでしょう…
ミーナ「頼りにしてるわよ」
上層部への根回しありがとうございます
ゲルト「足手まといにはなるなよ」
善処します
エーリカ「よろしくね~」
とりあえずぱんt…ズボン履いてください
そのバストは反則だと思うんです
ルッキ「虫好きー?」
向こうの世界じゃ虫は食料です。ゴキブリのソテーってのがあってだな…
サーニャ「おはよう…ござい…ます…zzz」
何この守ってあげたくなる生き物
エイラ「改めてよろしくナ!」ニッ
この子の笑顔を見てるとなんか元気が出る
俺(皆個性的だよなぁ)
ウィッチーズと居ると、ここが最前線であることを忘れそうだ。現に皆忘れてそうだけど
ペリーヌ「俺さん?ボーっとしてないで、
模擬戦、はじめますわよ」
俺「おっとすまん」
基地上空、俺と宮藤・リーネ・ペリーヌの四人で模擬戦をやっている
実戦的な訓練と言うのはもちろんのこと、俺の場合は支給されたユニットBf-109 E-4のテストも兼ねてる
俺(ちょっと古い型だけど、仕方ないか)
国籍やパーソナルマークの塗装はされておらず、灰色一色である
リーネ「初戦は俺さん対ペリーヌさん、始め!」ピー!
両者一度すれ違った後反転、ペイント弾による模擬戦闘が開始される
ペリーヌ「遅い!」パパパパパパ
俺「ヌルい!」ヒョイヒョイ
エイラの未来予知よろしく弾丸を紙一重で回避する
宮藤「す、すご~い」
まぁ、全部この赤目のおかげなんだけどね。敵弾道予測に敵未来位置予測まで可能ってどんなチートよ
ペリーヌ「おのれ…」
俺「今度はこっちの番だ!」
体を無理にひねり、ほぼ位置を変えず180度反転する。俺のケツを追っかけてたペリーヌとはヘッドオン状態になる
ペリーヌ「バカですわね!」
そういって銃の引き金を絞る。よほど当てる自信があったのか、それとも弾倉に一発しかなかったのかはわからんが、ペイント弾が一発だけ飛んできた
視界に弾道が表示される。正面から向かってくるため、予測ルートが円に見える
その円に銃の照準を合わせ、引き金を絞る。放たれたペイント弾は向かってくるペイント弾に当たる
ペリーヌ「な―!?」
今度はこのバカ面に照準を合わせ、すれ違いざまに撃つ。見事命中だ
リーネ「(ピー!)勝負あり!俺さんの勝ち!」
宮藤「すごいすごい!」
宮藤、すごい以外に表現があるだろう?
ペリーヌ「む、無茶苦茶ですわ!弾を弾で撃ち落すなんて!」
俺「反則じゃないでしょう?それに、二発目を避ければいいだけですし。ユーティライネン少尉は避けましたよ?」
ペリーヌ「私は未来予知なんてできません!大体あなたは…」
宮藤「ペリーヌさん落ち着いて…」
次に試合を始めようとしたとき、基地からけたたましいサイレン―ネウロイの襲撃を告げる音―が聞こえてきた
ペリーヌ「ネウロイ!?」
俺「っ!」
坂本『私だ。四人とも一度降りて武装を実弾に切り替えろ。お前たちが先鋒だ!』
四人「了解!」
慣れた動きでハンガーに降り、ユニットを履いたまま武装だけ取り替える
俺は向こうから持ち込んだフェイズドプラズマライフルを手に取る
どことなくL85に似ているプルバップ式ライフルで、開発・生産はスカイネット。T-800の基本装備を抵抗軍が鹵獲した
プラズマガスを弾薬に用いるのだが、ガスの代わりになるものが見つかっていない。今回の戦闘分は足りるだろうが、今後対策を考えねば
武装を取り替えた四人は再び空に上がり、綺麗な四機編隊を組む
坂本『移動しながら無線越しに説明する。敵は大型1機、中型2機だ。中型が大型を援護する形で侵攻中。私たちが追いつくまで足止めしていてくれ!』
ペリーヌ「了解しました少佐。皆さん、行きますわよ!」ブゥン!
俺「…」
俺にとっては、対大型戦闘は初めてだ。小型相手の実戦を数回経験しているので、問題はないはずだが、やはり緊張する
そうこうしている内に、敵が見えてきた。おいおいあれって…
ペリーヌ「敵確認!」
リーネ「変わった形…今までのと違う」
俺「…トランスポーターとハンターキラーじゃねぇか」
大型と中型のネウロイは、向こうの世界でよく見た、機械軍の輸送機と戦闘機に酷似していた
宮藤「え?」
俺「エンジン四機のがトランスポーターで、二機がハンターキラー。機体側面に付けられた円筒状の物体がエンジン」
ペリーヌ「ず、ずいぶん詳しいんですわね」
俺「そりゃそうだ、スカイネットの兵器によく似てる」
宮藤「え!?それじゃあ、あのネウロイは、俺さんの世界の兵器を真似てるの!?」
リーネ「でもそんなことって…」
ありえなくはない。少佐が見せてくれた資料には、この時代にはない、SR-71を模したネウロイについて書かれていた
ネウロイにはわからないことが多い。目的もわからないし…人類の技術を先取りしているのか?
俺「その話は後だ。エンジンと本体の接合部分は装甲がもろい。あそこを撃ってエンジンを切り離し、本体を海に突き落とす」
リーネ「なるほど、確かにそれなら私たち四人でもできそう…」
ペリーヌ「ですが、それはあなたの居た世界での話でしょう?」
俺「コアの位置がわからない以上、そうするしかないでしょう。HK(ハンターキラー)だけでも墜とさないと」
宮藤「そうですよ!」
ペリーヌ「…わかりましたわ、指示を」
俺「HKを最低でも一機、増援がくる前にやります。宮藤はペリーヌに、リーネは俺の寮機について。トランスポーターは増援が来るまで放置。全機散開!」
俺「軍曹、遠距離から援護を頼む」
リーネ「了解!」
ペリーヌ「足手まといにはならないように」
宮藤「はい!」
HKをこんな間近で見たのは初めてだ
おのおの攻撃を開始しする。予想通り、エンジンの接合部はもろかった
俺「もげろ!」テュンテュン!
宮藤「当たって!」ダダダダ
ペリーヌ「…!」パパパパ
リーネ(目標をセンターに入れて…)ダァン!
<キィィィィン!!ドォォン!
四人の多重攻撃で、ついに一機目のエンジンがもげる
HKはバランスを崩し、降下を始める
宮藤「やった!」
ペリーヌ「いや、まだですわ」
リーネ「再生してる…!」
俺「もう一機のエンジンをやってる暇はない。尾翼を狙え!」
宮藤「りょうか…きゃ!」
HKはローターを失くしたヘリみたく回転しながらビームを乱射する
俺「くっそ、近づけない!」テュンテュン!
ビームをかわしたりシールドで防いだりしながらなので、接近することも攻撃することもままならない
リーネ「私がやります!」スチャ、ダァン!ガシャコン、ダァン!ドォォン!
<キィィィン!
二枚の尾翼に大穴が開き、HKはバランスを完全に崩す。俺は尾翼の根元に追い討ちをかけ、敵を海に落とす
宮藤「やった!やったやったぁ!」
俺「よし!次行くぞ!」
坂本「おーい!四人とも無事か?」ブゥン!
ペリーヌ「少佐ぁ!」パァァ
俺「中型一機を落としました。残り二機です」
坂本「了解した。私と宮藤たちで残りの中型をやる。お前はエイラ、ハルトマン、バルクホルンと一緒に大型をやれ」
俺「りょ、了解」
大型を任せられるとは思わなかった
エイラ「よ!お手柄ダナ」ブゥン!
俺「少尉。あの三人のおかげですよ」
エイラ「またまたご謙遜をー」ニコニコバシバシ
俺「ちょ、痛い、痛いから叩かないで」
ゲルト「お前ら、今は戦闘中だぞ。ふざけてないで…グチグチ」
エイラ「マータ始まったよ」
エーリカ「先行ってるよ!」ブゥン!
ゲルト「あ!こら待て」ブゥン!
俺「少尉、自分らも」
エイラ「ああ!」ブォン!
増援のウィッチたちにも敵の弱点を説明し、具体的な撃墜方法を指示する
トランスポーターも同じように、片側二つのエンジンを切り離し、尾翼も破壊、海に突き落とす作戦を取った
ゲルト「よし、全機さんか…ん?」
<キィィン!
トランスポーターの機体上部から、ゴリラのような体格をした人型の物体(全長20m以上)が起き上がる
エーリカ「な、なにあれ?」
俺「ハーヴェスターだ。ビームだけじゃなくてあの腕でも攻撃してくるから気をつけて」
あの馬鹿でかい人間収穫機が乗ってるところも向こうと同じだな。向こうじゃ人間を捕獲するためのマシーンだった
エイラ「ナンカよくわかんないけど、落とせばいいんダロ」
ゲルト「そうだな。全機攻撃開始!」
<ダダダダダダキィィィン!ブゥゥン!!パパパ!ダダダダ!!
さすがエースと言ったところか。敵の攻撃を見切り、的確に攻撃を加える
俺(俺も、俺にできることをやろう)
敵の前に陣取り、右側面前方のエンジンに集中攻撃を仕掛ける
ここまでされたら敵さんも黙っていない。ハーヴェスターの肩からビームが発射される。シールドで防ぐが、かなり強力だ
俺「くっ!」テュンテュンテュン!!
流れ弾数発が、狙いを外れ敵の上部装甲に当たる。たまたまもろい部分だったのか、結構な穴が開いた。中に空洞が見える
ゲルト「エイラ!あの中に入って、内側からコアを探せ!」ダダダ
エイラ「わ、わかった!」ブゥン!
大尉の指示に従って、少尉がトランスポーターの中に入っていく。俺はそれ見て胸騒ぎがした。悪い予感がする
トランスポーターは、ハーヴェスターとハーヴェスターが捕獲した人間を輸送するためのマシーンだ
向こうの世界では、機体上部装甲が開き、そこから人間を格納していた
そう、ちょうど今少尉が入っていった辺りの装甲が開いて…
俺「少尉戻れ!そいつは罠だ!」
ゲルト・エーリカ「「!?」」
叫んだときには、少尉は中に侵入し、装甲の穴がふさがった後だった
エイラ『俺?なにか言って…ウワ!(ダダダザー…)』
俺「くそっ!」
ゲルト「俺、罠って一体…」
俺「少尉っ!」ブゥン!
大尉の質問には答えず、ハーヴェスターからの攻撃を弾道予測で回避しつつ、機体の側面につく。この辺りが格納スペースだったはずだ
俺「少尉!大丈夫ですか?少尉!?」
エイラ『俺カ!?ああ、体は無事だけど、ユニットと銃がやられた』
俺「下がって!穴を開けます!」テュンテュン!
そういって側面装甲にゼロ距離射撃を加える
そのとき、急に体を持っていかれた
俺「なっ!うわぁぁぁっ!?」ギュン!
エイラ『俺?どうしたんダ?俺ぇ!』
ハーヴェスターの腕に捕まれ、体の自由を失った俺は、トランスポーターの上部装甲に捕まれたまま叩きつけられる
俺「がぁっ!?あ…」
激しい痛みが全身に伝わり、脳が揺さぶられ、一瞬意識が遠のく
必死に耐え、自身の無事を確認する。ユニットも壊れてはいない
ハーヴェスターはもう片方の腕を振り上げ、俺を殴り殺そうとする。ネウロイにしては珍しい物理攻撃だ
俺「はっ!やってみろっ!このくそったれ!」
俺の台詞を理解したかは知らんが、腕が振り下ろされる
…途中で爆ぜた
<キィィィィン!?
俺「な、なんだ…?」
ハーヴェスターに十字砲火が掛けられ、装甲が剥がれていく。ついでに、俺をつかんでいる手の力も緩んだ
宮藤「俺さん!」ダダダ
坂本「俺!」ダダダダ
もう一機のHKを破壊した少佐たちが、ハーヴェスターに追い討ちを掛ける
胸部の装甲がはがれ、その奥にコアが見えた
俺「くっ!」ブォォォン!
ユニットに魔力を目いっぱい流し込み、手の中から無理やり抜け出す
体を空中で安定させ、銃口をコアに向ける
俺「とっとと失せろ、糞野郎!」
テュゥン!!
<キィィィィン!!パリーン!
ガラス細工が割れるような音を立てて、ネウロイが光の結晶となって消える
俺「ん?」
ハーヴェスターの部分が消滅したかと思ったら、トランスポーターの部分も消滅を始めた
どうやら、ハーヴェスターが親機、トランスポーターが子機だったようだ。普通逆じゃね?
トランスポーターの消滅が進行し、
エイラ「わあぁぁぁぁ…!!」ヒューン
俺「少尉ぃぃぃ!」ブォォン!!
足場を失った少尉が落ちていく
俺は残った魔法力をかき集めユニットに流し、最大推力で少尉を追いかける
俺「手を伸ばして!早く!」ブォォン!!
エイラ「ああ…!」ヒューン
高度が下がり、海面が目の前まで迫る。このまま叩きつけられたら魔女でも大変なことになる
俺「ほら…!」ギュッ
海面まで数mの地点で少尉の手を何とか握り、体を抱き寄せ、機首を起こす
俺「どりゃぁぁっ!」グォォォン!
海面スレスレを超高速で飛行したため、海水が壁のように波立つ。海が割れると言うのはこういうことだ
俺「ふぅ、あぶねぇ…少尉、大丈夫ですか?」
エイラ「ぁぁ…でも、怖かっタ」ガクブル
俺「もう大丈夫ですよ少尉。俺たちは生きてる」ギュッ
エイラ「……え…くれ」ギュッ
俺「え?」
エイラ「名前で呼んでくれ!階級も敬語も要らない!」
驚いた。素直に驚いた。というか、俺が勝手に階級呼び敬語口調で話してただけなんだが…これは心を開いてくれたと言うことでいいのか?
エイラ「ダメ…か…?」ウルッ
…その涙目は落ちたときの恐怖から来てる物ですよね、そうですよね?
俺「…わかったよ、エイラ」ニコッ
エイラ「!」パァァ
ああ…笑顔がまぶしい…
宮藤「俺さーん!エイラさーん!大丈夫ですかぁ?」
少佐たち隊の皆が近づいてくる
俺「はい、何とか無事です…エイラ、ちょっと重い」ヨイショット
エイラ「ナッ!?乙女に対して重いとは失礼ナ!」
俺「…お前乙女って柄か?」
エイラ「ナンダトー!」
宮藤(リーネちゃん、あの二人)ヒソヒソ
リーネ(うん、何かすごい仲良くなってる)ヒソヒソ
ゲルト(キリツキリツ…)
エーリカ(ニシシ)
坂本「おい二人とも~いつまで抱き合ってるんだ~?」
上記の方々(あえて言わなかったことを!?)
俺「ん…?」
エイラ「え…?」
エ・俺「…」
俺「わぁぁぁ!?ごめん!すまん!///」パッ
エイラ「ウワッ!いきなり放すナ!落ちるダロ!!」ギュッ
俺「!!!//////」
坂本「はっはっはっは!」
…ああ、なんかもう、どうでもいいや…
あ、帰る時はちゃんと背中におんぶして飛んだよ?抱っこ飛行なんてしなかったよ?ホントだよ?
最終更新:2013年02月15日 12:42